JP2017000914A - 高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる汚泥脱水方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶液が所定の粘弾性を有する架橋型水溶性高分子。即ち、歪み率依存性測定における0.1質量%水溶液の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2との関係が、歪み率1%未満の時、G2<G1であり、歪み率350%を超える時、G2>G1であるとともに、角周波数依存性測定における0.1質量%水溶液の貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4との関係が、角周波数0.05rad/s未満の時、G3<G4であり、角周波数15rad/sを超える時、G3>G4である架橋型水溶性高分子を高分子凝集剤として使用する方法。
【選択図】なし
Description
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4が、角周波数0.05rad/s未満の時、G3<G4であり、角周波数15rad/sを超える時、G3>G4である
架橋型水溶性高分子(A)を含むことを特徴とする高分子凝集剤。
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G7と損失弾性率G8が、角周波数0.02rad/s未満の時、G7<G8であり、角周波数15rad/sを超える時、G7>G8である〔2〕に記載の高分子凝集剤。
下記一般式(1)
で表されるカチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物の重合体である〔1〕に記載の高分子凝集剤。
で表されるカチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物をエマルション重合することを特徴とする〔1〕に記載の高分子凝集剤の製造方法。
下記一般式(1)
で表されるカチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物をエマルション重合して重合体を得、該重合体を乾燥することを特徴とする〔1〕に記載の高分子凝集剤の製造方法。
で表されるカチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物を水溶液重合してゲル状の重合体を得、該ゲル状の重合体を乾燥することを特徴とする〔1〕に記載の高分子凝集剤の製造方法。
なお、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
本発明の高分子凝集剤は、水溶液の粘弾性が所定の値を示す架橋型水溶性高分子(A)を含むことを特徴とする。本発明の高分子凝集剤は、架橋型水溶性高分子(A)に所定の割合の線状型水溶性高分子(B)が混合されて成ることが好ましい。架橋型の水溶性高分子を含まない高分子凝集剤は、以下に説明するパラメータを具備する場合であっても本発明の範囲外である。
本発明の高分子凝集剤に必須成分として含まれる架橋型水溶性高分子(A)は、水溶液が所定の粘弾性を有することを特徴とする。架橋型水溶性高分子(A)が高分子凝集剤としての優れた性能を発揮するための物性は、レオメーターを用いて測定する粘弾性によって規定することができる。粘弾性によって規定することにより、好ましい架橋型水溶性高分子(A)の物性を規定することができる。
角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4とが、角周波数<0.05rad/sの時は常にG3<G4の関係にあり、0.05rad/s≦角周波数≦15rad/sの範囲においてG3とG4との大小関係が逆転し、角周波数>15rad/sの時は常にG3>G4の関係となることを特徴とする。
tanδ1=G2/G1 ・・・式(1)
で表されるtanδ1が1となるのは、歪み率が1〜350%の範囲内である。tanδ1=1となるのは、歪み率が5〜300%の範囲内であることが好ましく、10〜200%の範囲内であることがさらに好ましく、30〜150%の範囲内であることが特に好ましい。tanδ1=1となる点が歪み率350%を超える場合、架橋型水溶性高分子の架橋が不十分であり、その性質は線状型水溶性高分子の性質に近くなる。その結果、フロック径が大きくならなかったり、重力ろ過性が向上しなかったり、脱水ケーキの含水率が低下しないことがある。また、高分子凝集剤が高い性能を発揮することができる添加率の幅が狭くなる。tanδ1=1となる点が歪み率1%未満である場合、架橋反応が進み過ぎて、添加量が増加したり、脱水ケーキの含水率を十分に低下できないことがある。
tanδ2=G4/G3 ・・・式(2)
で表されるtanδ2が1となるのは、角周波数が0.05〜15rad/sの範囲内である。tanδ2=1となるのは、角周波数が0.08〜12rad/sの範囲内であることが好ましく、0.1〜10rad/sの範囲内であることがさらに好ましく、0.12〜1.6rad/sの範囲内であることが特に好ましい。tanδ2=1となる点が角周波数0.05rad/s未満である場合、架橋が不十分であり、その性質は線状型水溶性高分子の性質に近くなる。その結果、フロック径が大きくならなかったり、重力ろ過性が向上しなかったり、脱水ケーキの含水率が低下しないことがある。また、高分子凝集剤が高い性能を発揮することができる添加率の幅が狭くなる。tanδ2=1となる点が角周波数15rad/sを超える場合、架橋反応が進み過ぎて、高い性能を発揮するのに必要な添加量が増えたり、脱水ケーキの含水率を十分に低下できないことがある。
カチオン性単量体としては、ラジカル重合し得るラジカル重合性の二重結合及びカチオン基を有する単量体であって、下記一般式(1)で表される化合物の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物等を挙げることができる。これらのカチオン性単量体の中でも、ラジカル重合反応性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、得られる架橋型水溶性高分子(A)の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
これらのカチオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
架橋性単量体としては、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリロイル基を、1分子中に2個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体(以下、単に「架橋性単量体」又は「架橋剤」と略記することもある)を挙げることができる。
前記架橋性単量体の1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上である。2〜5個であるものが好ましく、2〜3個であるものがさらに好ましい。1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数が5個を超えても、(メタ)アクリロイル基の数に相応の高分子凝集剤としての性能向上の効果が得られない場合がある。
本発明の高分子凝集剤は、前記カチオン性単量体の他、必要に応じて共重合可能な単量体の1種又は2種以上を併用してもよい。共重合可能な単量体としては、特に制限されないが、以下に記載するアニオン性単量体及びノニオン性単量体が例示される。
これらのアニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらのノニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の高分子凝集剤は、架橋型水溶性高分子(A)に所定の割合の線状型水溶性高分子(B)が混合されて成ることが好ましい。線状型水溶性高分子(B)としては、上記架橋型水溶性高分子(A)を得るための単量体混合物から上記架橋性単量体を除いた単量体混合物を用いて製造される線状型水溶性高分子(B)が挙げられる。ポリ-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩ポリマーが例示される。また、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートポリマーやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩ポリマーが例示され、またこれら4級アンモニウム含有モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、4級アンモニウム含有モノマーと(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸との三元共重合体がある。
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G7と損失弾性率G8とが、角周波数<0.02rad/sの時は常にG7<G8の関係にあり、0.02rad/s≦角周波数≦15rad/sの範囲においてG7とG8との大小関係が逆転し、角周波数>15rad/sの時は常にG7>G8の関係になることが好ましい。
tanδ1=G4/G3 ・・・式(3)
で表されるtanδ1が1となるのは、歪み率が1〜500%の範囲内である。tanδ1=1となるのは、歪み率が5〜480%の範囲内であることが好ましく、10〜300%の範囲内であることがさらに好ましく、200〜480%の範囲内であることがさらに好ましい。tanδ1=1となる点が歪み率500%を超える場合、架橋型水溶性高分子の架橋が不十分であるか、架橋型水溶性高分子(A)の配合量が不足する。その結果、高分子凝集剤の性質は線状型水溶性高分子のみを用いる高分子凝集剤の性質に近くなる。また、汚泥処理に適する高分子凝集剤の添加率の幅が狭くなる。
tanδ2=G8/G7 ・・・式(4)
で表されるtanδ2が1となるのは、角周波数が0.02〜15rad/sの範囲内である。tanδ2=1となるのは、角周波数が0.02〜12rad/sの範囲内であることが好ましく、0.02〜10rad/sの範囲内であることがより好ましく、0.02〜1rad/sの範囲内であることがより好ましい。tanδ2=1となる点が角周波数0.02rad/s未満である場合、架橋型水溶性高分子の架橋が不十分であるか、架橋型水溶性高分子(A)の配合量が不足する。その結果、高分子凝集剤の性質は線状型水溶性高分子のみを用いる高分子凝集剤の性質に近くなる。また、汚泥処理に適する高分子凝集剤の添加率の幅が狭くなる。
架橋型水溶性高分子(A)を得るための重合の方法は、ラジカル重合であること以外には特に制限されないが、本発明に適用可能なラジカル重合の具体的な形態として、水溶液重合や懸濁重合、エマルション重合等が例示される。これらの中でも操作方法が簡便且つ原料及び製品の取扱いが容易であり、工業的な生産における生産コストの面でも有利な水溶液重合やエマルション重合が好ましい。また、エマルション重合で水層や油層を揮発させて粉末化させた場合の製造物でも構わない。
水溶液重合は、上記単量体混合物の水溶液をラジカル重合開始剤の存在下で重合する方法である。水溶液重合の場合、前記単量体混合物の濃度は、25〜85質量%とすることが好ましく、30〜65質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が例示される。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
エマルション重合は、所定の単量体、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤等を含有する水相と、非混和性の炭化水素からなる油状物質と、油中水滴型エマルションを形成させる有効量の界面活性剤と、を用いて油中水滴型エマルションを形成させ、このエマルションの液滴内で単量体を重合させる方法である。
本発明の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法では、処理対象の汚泥は特に制限されない。下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等がいずれも処理対象になる。
アントンパール社製 MCRレオメーターを用いて、試料を固形分0.1質量%に溶解した水溶液粘弾性の振動歪み率依存性と角周波数依存性を測定した。
<粘弾性測定装置>
アントンパール社製MCR302型レオメーター、制御ソフトウエアレオプラス32(ver.3.62)
<測定条件>
治具:50mmφ_0.5°コーンプレート
測定温度:25℃
<歪み率依存性測定>
周波数1Hzにおいて歪み率1%→1000%をかけた場合の溶液の貯蔵弾性率と損失弾性率を測定した。
<周波数依存性測定>
歪み率0.1〜10%線形昇降範囲で、角周波数100→0.1rad/sをかけた場合の溶液の貯蔵弾性率と損失弾性率を測定した。
凝集した汚泥中のフロックの大きさ(フロック径)を目視で測定した。
内径75mm、深さ100mm、目開き80meshのステンレス製篩に、凝集した汚泥を一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、汚泥投入後、5秒、10秒、20秒、30秒経過後のろ液の容量を計測して、重力ろ過性を評価した。このうち、10秒経過後のろ液の容量を10秒後ろ液量(mL)とした。
前記ろ過速度の評価後のろ液の外観について、下記の基準で目視で評価した。
◎: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が全く見られない
〇: ろ液に懸濁成分(SS)の流出がほとんど見られない
△: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が若干量見られる
×: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が多量に見られる
ろ過速度を測定した後のろ液50mlをWhatman社製GFBフィルターを用いてろ液を真空ろ過した。このフィルターを100℃の乾燥機に2時間入れ、前後の質量増加よりろ液SSを算出した。
前記のろ過速度測定後にステンレス製篩上に残った汚泥の含水ケーキを全量取り出し、ベルトプレス用ろ布(ポリエステル製、杉綾織)に挟んで卓上試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3分間圧搾することで脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキから中心の一部をサンプリングしてアルミパンに秤量し、105℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量を測定し、乾燥による減少量と乾燥前の質量の質量比から含水率を求めた。
回収率は以下の式により算出した。
(回収率)=(1−(ろ液SS÷原水SS))×100
ろ過速度を測定した後のケーキを採取し,手絞りを実施し、絞り具合を数値化した。
1: 1回目の手絞りで指の間より汚泥が漏れる
2: 2回目の手絞りで指の間から汚泥が漏れる
3: 3回目の手絞りで指の間から汚泥が漏れる
五つ口セパラブルフラスコにHLB値3.7のソルビタンセスキオレート23.9g、249.5gのパラフィン油を添加し溶解し、油相を調製した。
79%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩水溶液389.4gと50%アクリルアミド水溶液184.8gを混合し、イソプロピルアルコール1.6g、キレート剤EDTAの5%水溶液を4.0g、開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.01gとメチレンビスアクリルアミド0.008gを含む水溶液を含む水溶液2.0gを添加後、イオン交換水を添加し、98%硫酸でpH3.0に調整し、704.2gの水相を調製した。油相を撹拌しながら、水相を添加し、ホモジナイザーにて高速撹拌して油中水型エマルションを調製した。フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計をつけ、撹拌翼で撹拌しながら、窒素ガスで脱気を開始した。十分に脱気した後、窒素ガスを供給しながら、さらに二酸化硫黄を0.02vol%含む窒素ガスを34.9ml/分の供給量で乳化液中に吹き込み、重合を開始させた。50℃に到達後、2時間この温度を保持した後、二酸化硫黄を含む窒素ガスの供給量を186.4ml/分に増やし、さらに50℃で1時間保持した後、窒素ガス及び二酸化硫黄を含む窒素ガスを停止し、重合を終了した。親水性界面活性剤として、HLB値13.5のポリエチレングリコールモノオレートをエマルションに含まれる総乳化剤の加重平均のHLB値が10.0となるように、43.1g加えて混合し、油中水型エマルションを調製した。なお、製造例1で得られた重合体を「重合体1」ともいい、製造例2以下についても同様とする。
単量体組成を表1に記載のように変更した以外は、製造例1と同様に操作し、重合体2、3、5、6をそれぞれ得た。これらの重合体の粘弾性の測定結果を表1に示した。
<製造例4>
79%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩水溶液313gと50%アクリルアミド水溶液45.4gを混合し、イソプロピルアルコール1.6g、キレート剤EDTAの5%水溶液を4.0g、開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.03gとメチレンビスアクリルアミド0.0036gを含む水溶液を含む水溶液2.0gを添加後、イオン交換水を添加し、98%硫酸でpH3.0に調整し、704.2gの水相を調製した。油相を撹拌しながら、水相を添加し、ホモジナイザーにて高速撹拌して油中水型エマルションを調製した。フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計をつけ、撹拌翼で撹拌しながら、窒素ガスで脱気を開始した。十分に脱気した後、窒素ガスを供給しながら、さらに二酸化硫黄を0.02vol%含む窒素ガスを34.9ml/分の供給量で乳化液中に吹き込み、重合を開始させた。50℃に到達後、2時間この温度を保持した後、二酸化硫黄を含む窒素ガスの供給量を186.4ml/分に増やし、さらに50℃で1時間保持した後、窒素ガスおよび二酸化硫黄を含む窒素ガスを停止し、重合を終了した。親水性界面活性剤として、HLB値13.5のポリエチレングリコールモノオレートをエマルションに含まれる総乳化剤の加重平均のHLB値が10.0となるように、14.1g加えて混合し、エバポレーターにて脱水後、減圧乾燥を行い、粉末の重合体4を得た。
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル第4級塩(以下、「DAC」と略記する)の79質量%水溶液313gとアクリルアミド(以下、「AMD」と略記する)の40質量%水溶液57gを秤量し、純水を加えて全質量を500gとした。このとき、この溶液の各単量体のモル組成はDAC/AM=80/20mol%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を5℃に調節した。その後、架橋性単量体として和光純薬株式会社製の、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下、「V−50」と略記する)及び亜硫酸水素ナトリウムを、各単量体純分の合計質量に対して、それぞれ1000ppm、10ppmとなるように加えた。次いで、反応容器の上方からこの溶液に光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。光照射には13Wブラックライト蛍光管4本を用い、照射強度が365nm用のUV照度計で0.4mW/cm2となる条件下、60分間光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。
得られた含水ゲル状の重合体を容器から取り出して細断した。これを温度100℃で2.5時間乾燥後、粉砕して粉末状の重合体7を得た。この重合体7の物性を前記の方法で分析し、結果を表1に示した。
(実施例1)
下水処理場で発生する混合生汚泥(重力濃縮:機械濃縮=6:4)を用いてスクリュープレス脱水機に準じた凝集脱水試験を実施した。混合生汚泥の性状は、TS(Total Solid)=22,900mg/L、pH=4.67であった。
まず、この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れた。ここに、重合体7及び重合体4を質量比9:1で混合して成る凝集剤の0.2質量%水溶液を添加した。添加量は、凝集剤として80ppm、100ppm、120ppmの3水準とした。
ジャーテスターを用いて、この汚泥を100rpmで30秒間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を用いて10秒ろ過速度を測定した。その後、ろ液外観、ろ液SS(Suspended Solids)、回収率、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表2に示した。
凝集剤の組成を表2に記載の通り変更した他は実施例1と同様に操作して凝集脱水試験を実施した。
下水処理場で発生する混合生汚泥を用いて遠心脱水機に準じた凝集脱水試験を実施した。混合生汚泥の性状は、pH=4.89、TS=25,100mg/Lであった。
まず、この汚泥100mLを200mLのビーカーに入れた。ここに、重合体5及び重合体1を質量比7:3で混合して成る凝集剤の0.2質量%水溶液を添加した。添加量は、凝集剤として80ppm、100ppm、140ppm、180ppmの4水準とした。
トリトン社製攪拌機を用いて、この汚泥を1000rpmで30秒間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を用いて10秒ろ過速度を測定した。その後、ろ液外観、ろ液SS、回収率、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表4に示した。
凝集剤の組成を表4に記載の通り変更した他は実施例4と同様に操作して凝集脱水試験を実施した。
Claims (10)
- レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での歪み率依存性測定における貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2が、歪み率1%未満の時、G2<G1であり、歪み率350%を超える時、G2>G1であるとともに、
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4が、角周波数0.05rad/s未満の時、G3<G4であり、角周波数15rad/sを超える時、G3>G4である
架橋型水溶性高分子(A)を含むことを特徴とする高分子凝集剤。 - 前記架橋型水溶性高分子(A)1質量部に対して、0.1〜99質量部の線状型水溶性高分子(B)を含む請求項1に記載の高分子凝集剤。
- レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での歪み率依存性測定における貯蔵弾性率G5と損失弾性率G6が、歪み率1%未満の時、G6<G5であり、歪み率500%を超える時、G6>G5であるとともに、
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G7と損失弾性率G8が、角周波数0.02rad/s未満の時、G7<G8であり、角周波数15rad/sを超える時、G7>G8である請求項2に記載の高分子凝集剤。 - 前記架橋型水溶性高分子(A)を油中水型エマルションの形態で含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高分子凝集剤。
- 前記架橋型水溶性高分子(A)を粉末の形態で含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高分子凝集剤。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高分子凝集剤を汚泥に添加して汚泥フロックを形成した後、該汚泥フロックを脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
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