JP5995534B2 - 凝集処理剤および排水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のカチオン性単量体を10〜80モル%、アニオン性単量体を0〜60モル%を含む単量体混合物に対して質量で20〜5,000ppmの架橋性単量体を含有させた単量体混合物水溶液を分散相、水と非混和性の炭化水素を連続相となるように界面活性剤によって乳化し重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンであって、レーザー回折による散乱式粒度分布計によって測定した粒径が0.5μm以下であることを特徴とする凝集処理剤に関する。
架橋ポリマーが広く普及して久しいが、高分子凝集剤における含水率の低減に関して、限界が見え始めている。
イオン性あるいは非イオン性水溶性単量体に架橋性単量体を共存させ、油中水型高分子エマルジョンを作成し、重合した水膨潤性マイクロゲルは、COD吸着材あるいは染料排水の処理剤として応用される試みがなされているが、イオン性の水溶性高分子剤に較べ添加量が増加するため、コスト高となり現実には実用化されている例は非常に限られている。架橋性単量体の添加量を減少させ水溶性を向上させた架橋あるいは分岐した水性高分子に関しても効果的には最適添加量の増加など同様な現象が起きており、やはりコスト的な問題に直面している。この原因として、ゲル粒子であるため、表面のみしか有効利用されないため、結果として使用量が増加することが考えられる。この解決法は、マイクロゲルの粒径制御であるが、現在までのところ凝集処理剤を用途として添加量減少を目標とし改良検討した例は見当たらない。
例えば特許文献1あるいは特許文献2は、アクリルアミド系高分子油中水型エマルジョンを作成し汚泥脱水剤を目的としているが、実施例ではその粒子径は1.5〜1.9μmと記載されており、カチオン性単量体の共重合比は15〜35モル%の範囲である。また特許文献3には、油中水型マイクロエマルジョン重合によるカチオン性単量体共重合率40モル%の有機微小球が記載され、その粒径は、0.1μmと記載されている。特許文献4は、油中水型エマルジョン重合によるカチオン性単量体共重合率5〜40モル%の両性有機微小球が記載され、その粒径は0.5μm以下の粒径であったと記載されている。この二つの特許文献は、製紙への応用が記載され、排水処理に関しては記載がない。
水膨潤性マイクロゲル、架橋あるいは分岐水性高分子のカチオン化度に関して注目してみると、架橋あるいは分岐水性高分子に記載がある。特許文献5および特許文献6は、共に(メタ)アクリル系カチオン性単量体、アクリルアミドおよび架橋性単量体の重合物を汚泥脱水剤として使用することが開示されている。これら特許文献の実施例を見ると形態として油中水型エマルジョンを用い、(メタ)アクリル系カチオン性単量体の共重合率は20〜60モル%の範囲であるが、粒径に関して2μm未満という記載しかなく、これは通常の平均的な粒径である。従って、これまで中カチオン性の架橋あるいは分岐した高分子に関する微細粒径品についての知見は得られていない。
特開2000−218299号公報 特開2000−218297号公報 特開平4−241197号公報 特開平4−226102号公報 特開平02−219887号公報 特開昭61−293510号公報
本発明の課題は、水膨潤性マイクロゲル、架橋あるいは分岐水性高分子の問題点とされる処理可能な添加量域増加によるコスト上昇を解決するため、これら水性高分子粒子製造時に、油中水型エマルジョンの粒径を制御することにより、現状よりも微細な粒径の水性高分子を市販品として汎用されている(メタ)アクリル系単量体を使用して開発することである。
上記課題を解決するため本発明者は、鋭意検討した結果、以下に述べる発明に達した。すなわち下記一般式(1)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体を4070モル%、下記一般式(3)で表される単量体を0〜30モル%、非イオン性単量体を3060モル%、及び該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で502000ppmの架橋性単量体を含有させた単量体混合物水溶液を分散相、水と非混和性の炭化水素を連続相となるように界面活性剤によって乳化し重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンであって、当該油中水型エマルジョンの塩水溶液粘度(4%食塩水中に高分子濃度が0.5%になるように完全溶解したときの粘度を25℃において回転粘度計にて測定)は5mPa・s以上、60mPa・s以下であり、レーザー回折による散乱式粒度分布計によって測定した粒径が0.5μm以下であることを特徴とする凝集処理剤あるいはその希釈液を排水に添加すること、または汚泥に添加し、混合した後脱水機により脱水することを特徴とする凝集処理剤によって課題を解決できる。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
また本発明は、下記(A)と下記(B)を質量配合比で10:90〜50:50含有することを特徴とする凝集処理剤である。
(A);下記一般式(4)で表される単量体を4070モル%、下記一般式(3)で表される単量体を0〜30モル%、非イオン性単量体を3060モル%からなる該単量体あるいは該単量体混合物を、該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で502000ppmの架橋性単量体を添加して重合した、当該油中水型エマルジョンの塩水溶液粘度(4%食塩水中に高分子濃度が0.5%になるように完全溶解したときの粘度を25℃において回転粘度計にて測定)は5mPa・s以上、60mPa・s以下であり、レーザー回折による散乱式粒度分布計によって測定した粒径が0.5μm以下であるカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョン。
(B);下記一般式(5)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体10〜100モル、下記一般式(3)で表される単量体を0〜90モル、非イオン性単量体を0〜90モルからなる該単量体を重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョン。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、CSO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO
は水素またはCOO 、Y は水素イオンまたは陽イオンをそれぞれ表す。
一般式(4)
10は水素又はメチル基、R11、R12は水素、炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基であり同種でも異種でも良い、R13は炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基、は酸素またはNH、は炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(5)
14は水素又はメチル基、R15、R16は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R17は水素、炭素数1〜3のアルキル基、あるいはヒドロキシアルキル基であり、同種でも異種でも良い、は酸素またはNH、は炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
本発明の凝集処理剤は、油中水型エマルジョンあるいはその希釈液を排水に添加する排水処理方法、または汚泥に添加し、混合した後脱水機により脱水する汚泥処理方法にも使用することができる。
本発明のカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンは、通常の平均的な粒径が1〜2μmであるのに対し、平均的な粒径を0.5μm以下に小さくすることによって、架橋あるいはマイクロゲルの問題点とされた添加量増加によるコスト上昇を抑えることに成功した。なお、本発明で言うカチオン性あるいは両性水性高分子とは、重合時共存させる架橋性単量体の添加量、あるいは共重合させる単量体組成によって、分子の形態からは架橋性あるいは分岐性水溶性になり、また水溶性との関係は、水溶性あるいは水膨潤性になる場合もあり、これらを含めて水性高分子と言う。
本発明における凝集性の向上は、油中水型高分子エマルジョンが従来とは異なる架橋型構造を持たせることが可能なため、難凝集性の汚泥に対しても良好な凝集力を発揮することができることによるものと考えられる。これには分子量、カチオン当量、親水性・疎水性のバランスなどが影響していると考えられるが、本発明においては、これらの因子を分子量の調節、架橋剤を加え重合し架橋性高分子にすることにより疎水化し調節することができたと考えられる。その結果、本発明の凝集処理剤は、架橋・分岐あるいは水膨潤性水性高分子凝集処理剤の欠点とされた、処理可能添加量領域の増加が少なく直鎖性高分子とほぼ同程度の添加量により汚泥脱水操作などが可能となった。また本発明の油中水型エマルジョンの粒径は、0.5μm以下と一般的な油中水型エマルジョンの粒径1〜2μmより細かい。そのため粒子表面積が増加し、懸濁粒子に対する作用機能が向上し、凝集処理可能添加量領域が減少にシフトしたと考えられる。
本発明のカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンを製造するうえで最も重要となるのが、粒径制御である。また粒径に関して説明しておくと本発明において言う粒径は、レーザー回折による散乱式粒度分布計によって測定した数値を粒径としている。これはメジアン径であり、分散系における全分散粒子数の累積50%に相当する粒子数の平均粒径である。通常、単量体水溶液を分散相、炭化水素からなる油状物質を連続相となるように界面活性剤を用いて油中水型エマルジョンを作成し重合した後の粒径は、1〜2μmの範囲の重合物が生成する。本発明においてはこの粒径を0.5μm以下の範囲まで小さくする。この目的を達成するため三つの手法を使用する。一つは界面活性剤の添加量を通常である対油中水型エマルジョン0.5〜5質量%より増加させ、5〜25質量%まで添加する。この手法は粒径を0.5μm以下の範囲まで小さくするために最も有効である。
またもう一つの手法としては、油中水型エマルジョン全体に対する単量体の濃度を低下させることである。通常、重合時単量体の濃度は、35〜50質量%であることが普通に行われているが、本発明においては、25〜45質量%に調整して重合を実施する。しかし、重合濃度が低くなることは、生産性が下がり好ましくないばかりか、油中水型エマルジョンの安定性をも低下させる。従って好ましくは30〜45質量%である。また粒径分布は、動的光散乱法によって測定した数値を採用している。
さらにもう一つは、油相と水相の比を増加させることである。通常油相は、油中水型エマルジョン全量に対して20〜35質量%の範囲であるが、この比を増加させ35〜55質量%の範囲にすることにより粒径を小さくすることができる。しかし、これもコスト上昇に導くため好ましくは35質量%〜50質量%である。
油中水型エマルジョンを製造する場合の分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油等の鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して5〜25質量%であり、好ましくは8〜25質量%の範囲である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行ない、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行なう。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、4、4’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
本発明で使用するカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンは、カチオン度が10〜80モル%である。本願発明者等は、特願2011−98842において0.5μm以下の粒径を有する油中水型エマルジョンからなる汚泥処理剤を出願している。この油中水型エマルジョンは、同じく架橋性水性高分子であるが、カチオン性単量体共重合率として80〜100モル%である。発明の課題として繊維分が少なく、親水性の高い難凝集性の汚泥に対しても良好な凝集力を発揮することができる汚泥処理剤を開発することである。この目的の一つの解決法として架橋度が高く、カチオン性の高い水性高分子油中水型エマルジョンを宛てることにより対処した。この処方はカチオン化度が高く、しかも架橋度を強めることにより高分子の体積あたりのカチオン性基密度を高めた高分子微粒子を汚泥懸濁液に添加し、汚泥粒子表面の電荷中和とともに、直鎖水溶性高分子の添加時のように巨大フロックは形成しないが締まったコンパクトなフロックを形成させることが目的であった。表面電荷の中和のみなら重縮合系高分子が適用できるはずだが、重縮合系高分子では、目に見えるほど大きなフロックの形成は期待できない。従って架橋度が高く、カチオン性の高い水性高分子微粒子は、凝結剤的な性質と凝集剤的な性質を併せ持つものと考えられる。
一方、本発明において架橋度は高いが、カチオン化度としては前記水性高分子微粒子より低い水性高分子微粒子である。この目的は、表面電荷の中和作用は前記水性高分子微粒子より低いが、架橋吸着作用による比較的大きな凝集フロックを形成させる処理剤を開発することである。言葉を変えて言えば凝集性能に力点を置いたものとなる。例えば脱水機によっては強いシェアがかかり強力なフロック形成が求められる場合がある。脱水機を例示して説明すれば遠心脱水機には本発明の水性高分子微粒子を使用するが、ベルトプレス型脱水機には前記架橋度が高く、カチオン化度80〜100モル%の水性高分子を宛てるという使え分けをすることになる。
本発明のカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンのカチオン共重合率は、20〜80モル%であるが、好ましくは40〜70モル%のものが適している。また重量平均分子量は、300万〜1500万であり、好ましくは300万〜1000万であり、更に好ましくは300万〜700万である。なお本発明における重量平均分子量を求める際は静的光散乱法を用いて測定を行っている。
本発明で用いるカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンは製造時、カチオン性単量体としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等、ジアリルアルキルアミン等の3級塩、塩化メチル等のハロゲン化アルキル等、あるいは塩化ベンジルなどのハロゲン化アリール化合物による4級化物等があげられ、これらのカチオン性ビニル系単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な例として一般式(1)は、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物などである。あるいは(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等の塩化メチルや塩化エチルなど低級アルキル基のハロゲン化物による四級化物である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物などである。また一般式(2)であらわされる単量体は、ジアリルメチルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物などがある。
また必要に応じて共重合されるノニオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明においては両性水性高分子を使用しても良好な凝集効果を達成できる場合があるが、アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸あるいはそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、マレイン酸あるいはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
一般式(4)で表されるカチオン性単量体は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩化ベンジルなどのハロゲン化アリール化合物や炭素数が7〜20のハロゲン化アルキルによる4級化物等が挙げられ、これらのカチオン性ビニル系単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物などである。
一般式(5)で表されるカチオン性単量体は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩化メチルや塩化エチルなど低級アルキル基のハロゲン化物による四級化物である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物などである。
本発明の水性高分子を製造するために、重合時に構造改質剤、すなわち高分子を構造変性する架橋性単量体を使用する。繊維分が少ない、いわゆる難脱水性汚泥の場合には非常に有効な方法である。この架橋性単量体は、単量体総量に対し質量で20〜5,000ppm、また好ましくは50〜2,000ppm存在させる。架橋性単量体の例としては、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシランなどがあるが、この場合の架橋剤としては、水溶性ポリビニル化合物がより好ましく、最も好ましいのはN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。またギ酸ナトリウム、イソプロピルアルコール、メタリルスルホン酸ナトリウム等の連鎖移動剤を併用することも架橋性を調節する手法として効果的である。添加量としては、単量体総量に対し質量で0.001〜1.0%、好ましくは0.01〜0.2%存在させる。
本発明におけるカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンの塩水溶液粘度(4%食塩水中に高分子濃度が0.5%になるように完全溶解したときの粘度を25℃において回転粘度計にて測定)は5mPa・s以上、60mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以上、30mPa・s以下であればその効果を発揮することができる。これを重量平均分子量で表わせば300万〜1500万であり、好ましくは300万〜1000万であり、更に好ましくは300万〜700万である。一般に塩水溶液粘度が低いカチオン性水性高分子または両性水性高分子は弱攪拌条件の攪拌槽に適合し、塩水溶液粘度が高いカチオン性水性高分子または両性水性高分子は強攪拌条件の攪拌槽に適合する。
本発明において用いるカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンを排水あるいは汚泥に添加する際は、任意に希釈した水溶液にすることが適しており、添加時の溶液量や粘性を考慮すると0.2〜0.5質量%溶液の形で添加する方法が好ましい。
架橋性高分子の架橋の度合いを表示する方法は、現在のところまだ一般的な表示はない。特許文献3では「イオン性回復率」によって定義され、また特開2005−144346号公報では、「電荷内包率」を定義しているが、いずれも架橋によって高分子のイオン性基が分子の外側に現れにくくなることを応用してそれらの電荷を測定している。ここでは初めに粘性の測定によって架橋度を表すことを説明する。本発明の水性高分子は、その0.2質量%水溶液粘度をAQV、前記カチオン性または両性水性高分子の0.5質量%1N食塩水溶液中粘度をSLVとすると、両方の比が
30≦AQV/SLV≦300(25℃において)
であることが好ましい。この数値は架橋の度合いを表すのに使用することができる。架橋性のイオン性水性高分子は、分子内で架橋しているために、水中においても分子が広がりにくい性質を有し、直鎖状高分子に較べれば水中での広がりは小さいはずであるが、架橋度が増加するに従い、B型粘度計(回転粘度計の一種)に測定した場合の粘度は大きくなる。この原因はB型粘度計のローター(測定時の回転子)と溶液との摩擦かあるいは絡み合いによるものと推定されるが正確には不明である。一方、架橋性のイオン性水性高分子の塩水中の粘度は、架橋度が増加するに従い低下していく。架橋によって分子が収縮しているので、塩水の多量のイオンによってその影響をより大きく受けるものと考えられる。従ってこれらの理由によって二つの粘度測定値の比、AQV/SLVは、架橋度が高くなるに従い大きくなる(架橋がさらに進み水不溶性になった場合は、この関係は成り立たない)。本発明の高架橋性のカチオン性あるいは両性水性高分子では、この値は約30〜300程度になる。直鎖状の水性高分子、あるいは弱く架橋した水性高分子では、この値が10から30未満程度であることを考慮すると、本発明の架橋性カチオン性あるいは両性水性高分子は、高度に架橋した水性高分子であることが分かる。
また前述の電荷内包率に関しても説明する。電荷内包率は、以下のように定義される。すなわち、
定義1)カチオン性あるいは両性水性高分子でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である水性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水性高分子あるいは両性水性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水性高分子あるいは両性水性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記カチオン性水性高分子あるいは両性水性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、カチオン性水性高分子あるいは両性水性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量である。
定義2)両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である水性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記両性水性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、両性水性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量である。
すなわち電荷内包率の高い水性高分子は、架橋度が高まった水性高分子であり、電荷内包率の低い水性高分子は、架橋度が低い水性高分子であると言える。この理由は、以下の通りに説明される。直鎖状水性高分子は、希薄溶液中では、分子はほぼ「伸びきった」形状をしている。一方、架橋性水性高分子は、溶液中において粒子状の丸まった形状をしていて、粒子状の内部に存在するイオン性基は、外側には現われにくく、反対電荷との反応も緩慢に起こると考えられる。
ここで架橋性カチオン性水性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が正である架橋性両性水性高分子に関しては、電荷内包率は以下のようになる。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
滴定量αは、試料である架橋性カチオン性(両性)水性高分子に反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を滴下して行き、カチオン性(両性)水性高分子の「表面」(粒子状の表面部)に存在するイオン性基にイオン的静電反応を行わせる操作を意味する。
次に架橋性カチオン性(両性)水性高分子の理論的な電荷量を中和するに十分な量以上の反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウムを添加し、反応時間を十分取ったその後、余剰のポリビニルスルホン酸カリウムをジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定する。また別に架橋性カチオン性(両性)水性高分子を添加しないでポリビニルスルホン酸カリウム溶液をジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定し、ブランク値を出しておき、ブランク値より架橋性カチオン性(両性)水性高分子を添加した場合の滴定量を差し引き、この値がβとなる。β値は、架橋性カチオン性(両性)水性高分子の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。すなわち架橋性カチオン性(両性)水性高分子に対し、反対電荷が多量に存在するので、表面のカチオン性電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は1に近き、電荷内包率は大きくなる(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である架橋性両性水性高分子の電荷内包率に関しても、上記とほぼ同じ内容で説明することができるが、アニオン性基を解離させるためアンモニアでpHをアルカリ性にするという違いだけがある。本発明のカチオン性または両性水性高分子は、この電荷内包率が35〜80%、好ましくは35〜70%の架橋性高分子であるため高架橋性の水性高分子であると言える。
本発明の凝集処理剤は、一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるカチオン性単量体、一般式(3)で表されるアニオン性単量体を含む単量体混合物を重合し製造したカチオン性あるいは両性水性高分子の単独でも使用可能であるが、一般式(4)で表されるカチオン性単量体を含む単量体を重合し製造したカチオン性あるいは両性水性高分子(A)と一般式(5)あるいは一般式(2)で表されるカチオン性単量体を含む単量体を重合し製造したカチオン性あるいは両性水性高分子(B)とを配合した水性高分子を使用することにより更に効果が向上する場合がある。すなわち水性高分子(A)は、ベンジル基など疎水的な側鎖を有する(メタ)アクリル系水性高分子であり、水性高分子(B)は、ベンジル基など疎水的な側鎖を有さない(メタ)アクリル系水性高分子である。その場合の両水性高分子の配合比は、質量で10:90から50:50である。水性高分子(A)が10質量%未満では、汚泥脱水時のケーキ含水率が十分低下しない場合があり、水性高分子(A)が50質量%を超えると、濾過性が不足する場合があり、更に薬品コストが掛かるため、効率的に汚泥処理が行えないことがあるので好ましくない。
本発明のカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤は、化学工場、食品工場、紙・パルプ工場、自動車工場、製鉄・鉄鋼工場、自動車工場等の工場から排出される排水、し尿処理場、下水処理場等から排出される生物処理水に添加される。凝集処理剤の添加量としては、排水の液量に対して0.1〜100ppm、好ましくは0.1〜10ppmである。又、本発明のカチオン性あるいは両性水性高分子からなる凝集処理剤は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性汚泥(いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝沈・浮上汚泥およびこれらの混合物)に添加される。この中で余剰汚泥あるいは混合生汚泥は有機分含有量(VSS/SS)が多く、繊維分が少なく、腐敗度が高いことから濃縮性が悪く、難脱水性であり、従来の汚泥処理剤では処理が難しい該汚泥に対して本発明のカチオン性あるいは両性水性高分子からなる凝集処理剤は効果を発揮する。通常、汚泥に対して0.1〜0.3質量%水溶液として添加される。汚泥に対する添加量は、汚泥種、脱水機種によっても異なるが、通常汚泥固形分に対し0.1〜2.0質量%、好ましくは0.3〜1.0質量%である。
また本発明のカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤は、単独で排水あるいは汚泥に添加しても良いが、無機凝集剤と併用すると、脱水効果がより向上する場合がある。該無機凝集剤としては、塩鉄、硫鉄、ポリ鉄、PAC、硫酸バンドなどが挙げられる。又、処理状況に応じて他の凝集処理剤と併用しても良い。
汚泥脱水剤として使用する際の脱水機の種類は、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円板脱水機、ロータリープレスなどに対応できる。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエーテル100g(エマルジョン全量に対し20質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水42.7gとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液162.0g、アクリルアミド(以下AAMと略記)50%水溶液40.8g、及びメチレンビスアクリルアミド0.5質量%水溶液1.5g(質量で対単量体50ppm)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油相と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて12000rpmで5分間攪拌乳化した。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール5質量%水溶液1.5g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜34℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物の1質量%水溶液1.5g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。試験に供する試料を、水性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.5質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに静的光散乱法による重量平均分子量およびレーザー回折による散乱式粒度分布計、堀場製作所製LA−920によって粒径を測定した。これを試料−1とする。
同様な操作により表1のような組成の水性高分子、試料−2〜8を、油中水型エマルジョン重合により合成し凝集処理剤とした。
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエーテル100g(エマルジョン全量に対し20質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水38.6gとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物80%水溶液150.6g、アクリルアミド50%水溶液51.6g、アクリル酸(以下AAC)80%水溶液4.7g及びメチレンビスアクリルアミド0.5質量%水溶液1.5g(質量で対単量体50ppm)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.80に調節し、油相と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて12000rpmで5分間攪拌乳化した。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール5質量%水溶液1.5g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物の1質量%水溶液1.5g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。試験に供する試料を、水性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.5質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに静的光散乱法による重量平均分子量、レーザー回折による散乱式粒度分布計、堀場製作所製LA−920によって粒径を測定した。これを試料−9とする。
同様な操作により表1のような組成の水性高分子、試料−10〜13を、油中水型エマルジョン重合により合成し凝集処理剤とした。
(比較例1)
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエーテル14.3g(エマルジョン全量に対し3.0質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水134.4gとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物80%水溶液150.6g、アクリルアミド50%水溶液59.0g及びメチレンビスアクリルアミド0.5質量%水溶液1.5g(質量で対単量体50ppm)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油相と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて12000rpmで5分間攪拌乳化した。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール5質量%水溶液3.0g(対単量体0.1質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜34℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物の1質量%水溶液1.5g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。試験に供する試料を、水性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.5質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに静的光散乱法による重量平均分子量およびレーザー回折による散乱式粒度分布計、堀場製作所製LA−920によって粒径を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同様な操作により12000rpm、5分攪拌乳化し組成を本発明の範囲外にした製品である比較−2〜7をそれぞれ合成した。結果を表1に示す。
(表1)
モル比;全モノマーに対するモル比。
AAM;アクリルアミド
DMQ;アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMC;メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMBZ;アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
DMPQ;アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド
AAC;アクリル酸
架橋剤;メチレンビスアクリルアミドの単量体に対する質量(ppm)、0.5%塩粘度:0.5%高分子水溶液中に1Nになるよう塩化ナトリウムを添加、完全溶解後にB型粘度計により25℃の条件において測定された粘度。溶液粘度;0.2%水溶液、電荷内包率;%、重合後粒径;マイクロメートル(μm)
ここで表1に記載する試料−1〜試料−13の試料に関して重合後粒径が、0.2〜0.5μmであるのに対して、比較−1〜4の重合後粒径は、0.7〜1.1μmと大きい。比較−5、6の試料は、重合後粒径は0.3〜0.4μmであるが、単量体のモル比が本発明の範囲外である。比較−7の試料は、重合後粒径は0.4μmであるが、溶液粘度/塩粘度比17、電荷内包率14%と低く、架橋性が低く直鎖状の水性高分子であることが分かる。本発明の試料−1〜13の水性高分子は、溶液粘度/塩粘度比42〜144、電荷内包率35〜65%と大きく架橋性あるいは分岐性水性高分子の特徴を有していることが分かる。
(試料の配合)
試料−7、13(以上水性高分子A)と試料−2、6、10、比較−1、5、7(以上水性高分子B)を配合した試料−14〜19を調製した。配合比は質量による比である。表2に示す。
また比較として二種類の試料を混合し、本発明の範囲外である比較−8〜9を調製した。配合比は質量による比である。その結果を表2に示す。
(表2)
下水処理場より発生する混合生汚泥(汚泥性状が、pH5.91、SS:15,500mg/L、TS:16,500mg/L、VSS:80.4 %/SS)について汚泥脱水試験を実施した。300mLポリビーカーに汚泥を200mL入れた後、表1、2の試料−1〜19の溶解液を対汚泥SS分1.0質量%添加し、ビーカー移し替え20回の攪拌により汚泥を凝集させ、フロックの大きさを観察、その後40メッシュの濾布つきビーカーにより濾過速度を調べた。
(比較試験例1)
比較試験として、実施例6と同様な操作を比較−1〜9に関して実施した。これらの結果を表3に示す。
(表3)
フロック径;mm、10秒後濾液量;mL、ケーキ含水率;質量%
試料−1〜19に較べ、粒径、組成が本発明の範囲外である比較−1〜9はフロック径、10秒後濾液量およびケーキ含水率共に効果が低下している。
下水処理場より発生する余剰汚泥(汚泥性状が、pH6.59、SS:18,750 mg/L、TS:19,000mg/L、VSS:82.7%/SS)について、スクリュープレスを対象とした凝集濾過試験及び圧搾試験を実施した。300mLポリビーカーに汚泥を200mL入れた後、表1、2の試料−1〜19の溶解液を対汚泥SS分1.0質量%添加し、ビーカー移し替え20回の攪拌により汚泥を凝集させ、フロックの大きさを観察、その後40メッシュの濾布つきビーカーにより濾過速度を調べた。これらの結果を表4に示す。
(比較試験例2)
比較試験として、実施例7と同様な操作を比較−1〜9に関して実施した。これらの結果を表4に示す。
(表4)
フロック径;mm、10秒後濾液量;mL、ケーキ含水率;質量%
試料−1〜19に較べ、粒径、組成が本発明の範囲外である比較−1〜9はフロック径、10秒後濾液量およびケーキ含水率共に効果が低下している。
製紙工場の古紙製造時に排出される古紙排水(pH9.65、TS4020ppm、SS3190ppm、電気伝導度1.79mS/cm)を用い、ジャーテスターによって排水処理試験を実施した。ビーカーに200mLの排水を採取し、試作−1〜19を対液1.5ppm添加し、150rpmで0.5分間攪拌、100rpmで0.5分間攪拌、50rpmで0.5分間攪拌した後、攪拌を継続しながらフロックの大きさを記録し、攪拌停止後、沈降速度を測定した。測定は、凝集スラッジと上澄みからなる境界面が10cm沈降する時間を測定し、シリンダー内を境界面が下降する速度に換算した。又、攪拌停止2分後の上澄み濁度を濁度計により測定した。これらの結果を表5に示す。
(比較試験例3)
比較試験として、実施例8と同様な操作を比較−1〜9に関して実施した。これらの結果を表5に示す。
(表5)
試料−1〜19に較べ、粒径、組成が本発明の範囲外である比較−1〜9はフロック径、沈降速度および上澄み濁度共に処理効果が低下している。
食品工場排水の活性汚泥処理水(pH6.5、SS7900ppm、濁度56NTU、溶解性CODMn75ppm)を用い、ジャーテスターによって排水処理試験を実施した。ビーカーに200mLの排水を採取し、試作−1〜19を対液1.0ppm添加し、150rpmで0.5分間攪拌、100rpmで0.5分間攪拌、50rpmで0.5分間攪拌した後、攪拌を継続しながらフロックの大きさを記録し、攪拌停止2分後の上澄み濁度及び溶解性CODMnを測定した。これらの結果を表6に示す。
(比較試験例4)
比較試験として、実施例9と同様な操作を比較−1〜9に関して実施した。これらの結果を表6に示す。
(表6)
試料−1〜19に較べ、粒径、組成が本発明の範囲外である比較−1〜9はフロック径、上澄み濁度及び溶解性CODMn共に処理効果が低下している。



Claims (1)

  1. 下記(A)と下記(B)を質量配合比で10:90〜50:50含有することを特徴とする凝集処理剤。
    (A);下記一般式(4)で表される単量体を4070モル%、下記一般式(3)で表される単量体を0〜30モル%、非イオン性単量体を3060モル%からなる該単量体あるいは該単量体混合物を、該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で502000ppmの架橋性単量体を添加して重合した、当該油中水型エマルジョンの塩水溶液粘度(4%食塩水中に高分子濃度が0.5%になるように完全溶解したときの粘度を25℃において回転粘度計にて測定)は5mPa・s以上、60mPa・s以下であり、レーザー回折による散乱式粒度分布計によって測定した粒径が0.5μm以下であるカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョン。
    (B);下記一般式(5)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体4070モル、下記一般式(3)で表される単量体を0〜30モル、非イオン性単量体を3060モルからなる該単量体を重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョン。
    一般式(2)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(3)
    は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、CSO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO
    は水素またはCOO は水素イオンまたは陽イオンをそれぞれ表す。
    一般式(4)
    10は水素又はメチル基、R11、R12は水素、炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基であり同種でも異種でも良い、R13は炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基、は酸素またはNH、は炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(5)
    14は水素又はメチル基、R15、R16は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R17は水素、炭素数1〜3のアルキル基、あるいはヒドロキシアルキル基であり、同種でも異種でも良い、は酸素またはNH、は炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
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