JP2014233647A - 凝集処理剤及び汚泥の脱水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下水、し尿、産業排水の処理で生じる汚泥に対して凝集剤を水に溶解することなく原液のままで添加し、効率が良い脱水処理を可能とする凝集処理剤及び汚泥の脱水方法を開発すること。【解決手段】特定の構造単位を有するカチオン性水溶性高分子の存在下、特定の水溶性単量体混合物を乳化重合し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を汚泥に水で希釈することなく原液のまま添加することで効率が良い脱水処理が達成できる。【選択図】 なし
Description
本発明は、凝集処理剤及びその凝集処理剤を使用した汚泥の脱水方法に関するものであり、詳しくは、特定の構造単位を有するカチオン性水溶性高分子の存在下、特定の水溶性単量体混合物を乳化重合し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤及びその凝集処理剤を使用した汚泥の脱水方法に関する。
都市下水などの処理場において、下水から沈降させた初沈生汚泥、活性汚泥槽からの流出水から沈降させた余剰汚泥あるいは混合生汚泥といった有機性の汚泥に高分子凝集剤を添加すると強固なフロックを形成する。このフロックをベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレスなどの圧搾脱水装置、または遠心分離機、真空濾過機などの脱水装置で処理すると顕著な効果で脱水を行なうことができ、その結果、低含水率の脱水ケーキが得られる。溶解性の面からエマルジョンあるいは分散液型高分子凝集剤を用いて汚泥の脱水を実施する場合があるが、汚泥への添加時は前記高分子凝集剤を水に溶解し希釈して添加する。この操作により高分子凝集剤は、希釈した時点で分散液が均一な水溶液の状態に変化し、これを汚泥に添加するというのが常識的かつ普通に行なわれている添加法である。しかし、高分子凝集剤を希釈して低濃度で添加することは、脱水機で脱水する場合に最も適した凝集状態を提供できるとは限らない。又、設備面から希釈装置を省略すると設備投資が削減可能であり、溶解設備を設置する面積に制約がある場合にも対応しやすいが、高分子凝集剤を原液のまま添加すると溶解が不良であり、分散性も不良なため良好な効果が得られない。そこで、高分子凝集剤を水で希釈することなく、即ち、原液のままで添加する方法が種々、提案されている。
例えば、特許文献1では、製造する際に高HLB界面活性剤を使用した油中水型エマルジョンを水混合による希釈過程を経ずに添加する方法、特許文献2では、製造する際に架橋性単量体を使用した油中水型エマルジョンを分散液状態のまま添加する方法、特許文献3では、製造する際に疎水性構造単位を有する油溶性高分子を使用した油中水型エマルジョンを水により希釈せず分散液状態のまま添加する方法が開示されている。これらの方法では、ある一定の効果が得られているものの、脱水機や汚泥の種類によっては、更なる効果の改善が要望されている。特許文献4では、アミノ基を有するカチオン性単位と2つのカルボキシル基を有するアニオン性単位を含む両性高分子存在下、水溶性高分子組成物を製造する方法、特許文献5では、イオン性水溶性重合体の存在下、水溶性重合体エマルジョンを製造する方法が開示されているが、水に希釈することなく原液のままで添加することについての言及はなく、最適化もされていない。
例えば、特許文献1では、製造する際に高HLB界面活性剤を使用した油中水型エマルジョンを水混合による希釈過程を経ずに添加する方法、特許文献2では、製造する際に架橋性単量体を使用した油中水型エマルジョンを分散液状態のまま添加する方法、特許文献3では、製造する際に疎水性構造単位を有する油溶性高分子を使用した油中水型エマルジョンを水により希釈せず分散液状態のまま添加する方法が開示されている。これらの方法では、ある一定の効果が得られているものの、脱水機や汚泥の種類によっては、更なる効果の改善が要望されている。特許文献4では、アミノ基を有するカチオン性単位と2つのカルボキシル基を有するアニオン性単位を含む両性高分子存在下、水溶性高分子組成物を製造する方法、特許文献5では、イオン性水溶性重合体の存在下、水溶性重合体エマルジョンを製造する方法が開示されているが、水に希釈することなく原液のままで添加することについての言及はなく、最適化もされていない。
本発明の課題は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる汚泥に対して凝集剤を水に溶解することなく原液のままで添加し、効率が良い脱水処理を可能とする凝集処理剤及び汚泥の脱水方法を開発することである。
上記課題を解決するため本発明者は、鋭意検討した結果、以下に述べる発明に達した。即ち、特定の構造単位を有するカチオン性水溶性高分子の存在下、特定の水溶性単量体混合物を乳化重合し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤及びその凝集処理剤を使用した汚泥の脱水方法である。
従来、市販されている高分子凝集剤を用いて汚泥の脱水を実施する場合、水で希釈し均一な水溶液の状態にした後に汚泥に添加するというのが常識的かつ普通に行なわれている添加法であるが、本発明の凝集処理剤は、溶解性に優れるため水に溶解することなく原液のまま汚泥に添加することが可能であり、希釈装置に係わる設備投資が不要であり、希釈設備を設置する場所に制約がある場合にも対応でき、更に水に希釈した場合よりも優れた脱水処理効果が達成できる。
本発明の特定の構造単位を有するカチオン性水溶性高分子の存在下、特定の水溶性単量体混合物を乳化重合し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤について説明する。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%を構成単位とするカチオン性水溶性高分子の存在下、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、下記一般式(3)で表される水溶性単量体0〜50モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%からなる水溶性単量体混合物を必須として含有する水溶液を分散相、水に非混和性の有機液体を界面活性剤によって有機液体を連続相となるよう乳化重合した後、適宜転相剤を添加し製造する。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基を表わす、X1 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基、X2 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
ここでR8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%を構成単位とするカチオン性水溶性高分子の存在下、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、下記一般式(3)で表される水溶性単量体0〜50モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%からなる水溶性単量体混合物を必須として含有する水溶液を分散相、水に非混和性の有機液体を界面活性剤によって有機液体を連続相となるよう乳化重合した後、適宜転相剤を添加し製造する。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基を表わす、X1 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基、X2 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
ここでR8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を重合する際に使用する一般式(1)で表されるカチオン性単量体としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアリルアルキルアミンの3級塩、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、あるいは塩化ベンジルなどのハロゲン化アリール化合物による4級化物等が挙げられ、これらのカチオン性ビニル系単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。一般式(1)で表されるカチオン性単量体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物等である。一般式(2)で表されるカチオン性単量体は、ジアリルメチルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物等がある。一般式(3)で表されるアニオン性単量体は、(メタ)アクリル酸あるいはそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、マレイン酸やイタコン酸あるいはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体のモル数は5〜100モル%であるが、好ましくは15〜80モル%、更に好ましくは25〜70モル%である。これは、低モルよりも中高モルの溶解性が高い傾向にあるためである。モル数が高くなりすぎると高い分子量が得られ難いため好ましくはない。一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体、一般式(3)で表される水溶性単量体を使用して重合した両性水溶性高分子を含有する凝集処理剤の粘性が低下する傾向にあるため原液添加に有効であり好ましい。この場合、一般式(3)で表される水溶性単量体は、最大50モル%であるが、1〜15モル%が好ましく、2〜10モル%が更に好ましい。
非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジン等が挙げられる。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を製造する際に存在させるカチオン性水溶性高分子として、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%を構成単位とするカチオン性水溶性高分子を使用する。一般式(1)あるいは(2)で表される単量体としては、前記と同様なものが使用される。同様に、非イオン性水溶性単量体としても前記のものが使用される。その中でも一般式(2)で表される単量体を構成単位とするカチオン性高分子が存在すると脱水処理効果が優れる傾向にあり、特にジアリルジメチルアンモニウム塩化物、即ち、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物あるいはジアリルジメチルアンモニウム塩化物と非イオン性単量体との共重合物が有効である。このカチオン性水溶性高分子を使用する目的は本発明の凝集処理剤を汚泥に添加する際にカチオン性水溶性高分子が電解質として作用するために水との親和性が高まり、溶解が促進されるためと考えられる。特に汚泥の脱水ケーキ含水率が低下する傾向にある。カチオン性水溶性高分子のカチオン量としては、純分で3.0〜10.0meq/gの範囲であり、好ましくは、3.0〜7.0meq/gである。10.0meq/gを超えると油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤のイオン性に影響を与えるため好ましくはない。カチオン性水溶性高分子の重量平均分子量は、1万〜150万の範囲であり、好ましくは10万〜100万である。150万を超えると油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤の物性に影響するため、又、製造時に安定した製造ができないため好ましくはない。カチオン性水溶性高分子の添加率は凝集処理剤全質量に対して、3質量%以上であり、5質量%以上が好ましい。上限としては15質量%である。15質量%を超えて存在すると油中水型エマルジョンを製造時に安定した製造ができなくなる。又、薬品原価が高くなり経済上好ましくはない。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を製造する際に架橋性単量体を共存させることができる。架橋性単量体を含有させて重合した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤、即ち架橋性水溶性高分子は、直鎖性高分子に比べて水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在する。架橋性高分子が汚泥中に添加されると懸濁粒子に吸着し、粒子同士の接着剤として作用し結果として粒子の凝集が起こる。この時「密度の詰まった」分子形態であるため懸濁粒子表面と多点で結合し巨大フロック化せず、より締った強度の高いフロックを形成すると推定される。しかも強度の高いフロックが形成され汚泥脱水性の改善が発現する。
架橋性単量体としては、メチレンビスアクリルアミドやエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの複数の重合性二重結合を有する単量体、あるいはN、N−ジメチルアクリルアミド単量体などの熱架橋性単量体がその一例である。添加率としては単量体混合物全質量に対し0.0005〜0.1%であり、好ましくは0.001〜0.05%であり、更に好ましくは0.001〜0.03%である。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5質量%併用すると効果的である。
更に以下に述べる油溶性高分子を油中水型エマルジョンに添加しておけば、汚泥への分散性およびエマルジョンの溶解性の改善が促進できることが分かった。油溶性高分子は、疎水性単量体とカチオン性基を有する単量体、アニオン性基を有する単量体、または分子中にポリオキシエチレン鎖を有する単量体との共重合によって製造することができる。疎水性単量体は、スチレンやα−メチルスチレンなど芳香環やアルキル基の付加した芳香環を有する単量体やα−オレフィンなど炭素数6〜20の芳香環あるいは脂肪族ビニル化合物である。また炭素数4〜18のアルキル基を持つアルキル(メタ)アクリレートも使用することができる。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては以下のものがある。すなわちアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等である。
カチオン性基を有する単量体は、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドあるいはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等である。ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド等である。またジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどが挙げられる。
アニオン性基を有する単量体の例としては、メタクリル酸あるいはアクリル酸である。また分子中にポリオキシエチレン鎖を有する単量体の例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートであり、ポリオキシエチレンの重合度として3〜20である。
これら疎水性単量体とカチオン性基を有する単量体、アニオン性基を有する単量体、あるいは分子中にポリオキシエチレン鎖を有する単量体との共重合の組み合わせのうち、最も好ましいのは疎水性単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシルあるいはアクリル酸ラウリル、カチオン性単量体としてジメチルアミノエチルメタクリレート、アニオン性基を有する単量体としてメタクリル酸あるいはアクリル酸、ポリオキシエチレン鎖を有する単量体としてポリオキシエチレン(メタ)アクリレートであり、ポリオキシエチレンの重合度として4〜10であると最も好ましい。
油溶性高分子中の疎水性単量体のモル比は、好ましくは50〜95モル%であり、更に好ましくは50〜80モル%である。一方カチオン性基を有する単量体、アニオン性基を有する単量体、ポリオキシエチレン鎖を有する単量体のモル比は、好ましくは5〜50モル%であり、更に好ましくは20〜50モル%である。
油溶性高分子は前記単量体混合物を調整後、通常の重合法によって行なうことができる。重合法としては溶液重合、塊状重合、懸濁重合などが挙げられる。好ましい方法は重合操作、取り扱いが容易な溶液重合である。溶液重合の場合、単量体濃度は質量%で20〜80%、好ましくは40〜60%で重合する。その場合の重合溶媒は非極性の有機溶媒が好ましい。すなわち芳香族や脂肪族炭化水素であり、特に好ましいのは油中水型エマルジョン重合に分散媒として使用する沸点190°Cないし230°Cのパラフィンあるいはイソパラフィンが好ましい。
油溶性高分子の添加法は、任意に使用することができる。すなわち油溶性高分子を重合後、油中水型エマルジョンに適切な量を加え分散する。あるいは特にカチオン性油溶性高分子を添加する場合は、単量体油中水型分散液に予めカチオン性油溶性高分子中のアミノ基に比例した量の酸を添加しておき、重合後カチオン性油溶性高分子を添加することもできる。好ましくは予め酸を添加しておき、重合後カチオン性油溶性高分子を添加する。その他の油溶性高分子を使用する場合は、特に制限はない。
上記の様に添加する酸は、カチオン性油溶性高分子のアミノ基を中和、解離させカチオン性油溶性高分子の分散性を増強させ、分散安定剤としての機能を向上させるためである。またもう一つの目的として重合後の油中水型分散液pHを調整し水溶性高分子の劣化防止などである。このような目的で使用する酸は、水相内水溶性高分子や分散液形態保持に悪影響を及ぼすことがなければどのようなものを用いても良い。具体的には、コハク酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸などが挙げられる。
添加する酸の量は、カチオン性油溶性高分子の分子中アミノ基に対し、重合前の油中水型単量体分散液あるいは重合後の油中水型高分子分散液に30モル%以上添加する。また好ましくは30モル%以上、1000モル%以下であり、更に好ましくは50モル%以上、500モル%以下である。
また上記酸は、アニオン性基を有する単量体で代替することができる。すなわち両性水溶性高分子を製造する場合は、カルボキシル基あるいはスルホン基を含有する単量体を中和することなしに原料として使用する。これらアニオン性基を有する単量体の酸の量で不足する場合は、追加の酸として上記コハク酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸等を追加する。アニオン性水溶性高分子を製造する場合も同様な操作を行なうことができる。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤の製造方法としては、イオン性単量体、あるいはイオン性単量体と共重合可能な非イオン性単量体、あるいは架橋性単量体を含有する単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させ重合することにより合成する。
又、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
単量体の重合濃度は20〜50質量%の範囲であり、好ましくは20〜40質量%の範囲であり、更に好ましくは20〜30質量%の範囲である。これは、単量体の濃度が高い程、水に希釈せずに原液のまま添加する場合、溶解性が低下する傾向にあるためである。単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB1〜8のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテートなどが挙げられる。これら低HLBの界面活性剤により乳化、重合した場合は重合後に転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
高HLB界面活性剤を使用すると乳化させ油中水型エマルジョンを形成させ重合したエマルジョンは、このままで水となじむので転相剤を添加する必要がない場合もある。高HLB界面活性剤としては、HLB11〜20の界面活性剤があり、その具体例としては、カチオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエステル系などである。具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレート等である。高HLB界面活性剤を使用することによって重合後、希釈時、特に転相剤を添加しなくても水に溶解可能な油中水型エマルジョンを形成させることが可能である。これら界面活性剤の添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。これら界面活性剤の添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
高HLB界面活性剤を使用すると乳化させ油中水型エマルジョンを形成させ重合したエマルジョンは、このままで水となじむので転相剤を添加する必要がない場合もある。高HLB界面活性剤としては、HLB11〜20の界面活性剤があり、その具体例としては、カチオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエステル系などである。具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレート等である。高HLB界面活性剤を使用することによって重合後、希釈時、特に転相剤を添加しなくても水に溶解可能な油中水型エマルジョンを形成させることが可能である。これら界面活性剤の添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。これら界面活性剤の添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合は窒素雰囲気下にて、重合開始剤、例えば2、2’−アゾビス(アミジ
ノプロパン)二塩化水素化物または2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物のような水溶性アゾ系重合開始剤、あるいは過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム併用のような水溶性レドックス系重合開始剤を添加し、撹拌下ラジカル重合を行う。
ノプロパン)二塩化水素化物または2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物のような水溶性アゾ系重合開始剤、あるいは過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム併用のような水溶性レドックス系重合開始剤を添加し、撹拌下ラジカル重合を行う。
高分子凝集剤は、廃水処理薬剤や製紙用添加剤として広範囲に使用され、既に工業的になくてはならない薬剤となっているが、前記高分子凝集剤は、水溶性高分子物質から構成されているので水に溶解すると高粘性溶液となり、従来、濃度を0.05〜0.3質量%程度に希釈して排水や汚泥に添加してきた。そのため高粘性液体を攪拌するための特別な溶解装置が必要であり、その設置場所も必要になり設備投資計画に一定の負担を強いている。これら装置と設置場所が必要なくなるのは、非常に大きなメリットである。
上記観点から検討を加えた結果、汚泥との適切な攪拌状態を確保することによって希釈して低濃度にした水溶液状態で添加する従来法に較べ、分散状態にある高濃度液状品をそのまま汚泥に添加すると、脱水ケーキの含水率を低下できるなど優れた効果が発現することが分かった。即ち、本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤に汚泥に添加すると、製造する際に存在させるカチオン性水溶性高分子が電解質として作用し水との親和性が高まることで、油中水型エマルジョンの粒子表面が徐々に溶解していき、汚泥中の懸濁粒子を凝集させる。一度凝集した汚泥フロックは、後から溶解した水溶性高分子と攪拌によって新しいフロック面が現れ凝集しさらに密度の高い凝集フロックへと進化していく。その結果、これら高密度化した凝集フロックを脱水することによりケーキ脱水率の低下が起こると考えられる。本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を製造する際に架橋性単量体を共存、更には高HLB界面活性剤を共存、油溶性高分子を含有させることで凝集処理剤の溶解性、分散性が促進され、脱水効果も向上する。
製造する際に架橋性単量体を共存させた油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を原液添加することで、分散粒子が徐々に溶解するため凝集剤が継続的に添加されると同様な効果、攪拌による凝集フロックの新しい凝集面の生成及び架橋性高分子の懸濁粒子表面での多点結合により汚泥脱水性の改善が発現すると考えられる。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤は、液粘性があまり高いと汚泥中にイオン性水溶性重合体微粒子が分散しにくくなり好ましくない。そのため液粘性は、50〜500mPa・sであるが、好ましくは50〜400mPa・s、更に好ましくは50〜350mPa・sである。又、油中水型エマルジョンを構成するカチオン性及び/又は両性水溶性重合体の重量平均分子量としては、300万〜1000万であるが、更に好ましくは300万〜7000万の範囲である。本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を4質量%食塩水中に高分子濃度が0.5質量%になるように完全溶解したときの25℃において回転粘度計にて測定した塩水溶液粘度は、5mPa・s以上、70mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以上、60mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以上、50mPa・s以下であればその効果を最大限に発揮することができる。
油中水型エマルジョンに油溶性高分子を含有させた場合、油溶性高分子は、油中水型エマルジョンを水により希釈する場合、水とのなじみが向上し油溶性高分子無添加時より希釈液を早く調製することができる。一方、本発明の様に油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を希釈せず原液の状態で汚泥に添加する場合、汚泥中の水分により直接希釈されることになるが、エマルジョン粒子表面には油の膜が存在し、水とは混じりにくく水溶性高分子は、簡単には溶解していかない。これを助けるのが所謂転相剤であるが、これら転相剤は、一般的にはHLBの高い、すなわち親水性界面活性剤であり、低分子の化合物である。親水性界面活性剤は油とは混じらず、エマルジョン粒子表面から剥離していく油の膜を水中に分散させていくのを助ける。本発明で使用する油溶性高分子は、油の中にも溶解していくのでエマルジョン粒子表面の油の膜中にも存在すると推定される。そのため原液の状態で汚泥等に添加する場合も汚泥中の水分によって速やかに希釈、溶解していき、その結果優れた凝集効果を発現するものと考えられる。
本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤の適用可能な汚泥は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性汚泥(いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝沈・浮上汚泥およびこれらの混合物)に水に希釈することなく原液のままで添加される。汚泥に対する添加率は、汚泥種、脱水機種によっても異なるが、通常汚泥固形分に対し0.005〜2.0質量%、好ましくは0.01〜2.0質量%である。対象とする汚泥に特に限定されないが、繊維分の少ない汚泥、有機分含有量(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対し特に有効であり好ましい。又、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、PAC、硫酸バンドなどの無機系凝集剤と併用しても良い。
使用する脱水機の種類は、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円板型脱水機、ロータリープレス等に対応できる。特に高い圧搾力が与えられるスクリュープレスや多重円板型脱水機で有効である。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。先ず、本発明の油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤の合成例を具体的に説明する。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gにポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水71.98g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下、DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下、DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(以下、AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(以下、AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)、及びカチオン性水溶性高分子として35質量%ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量50万)92.86g(対液6.4質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gにポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水71.98g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下、DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下、DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(以下、AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(以下、AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)、及びカチオン性水溶性高分子として35質量%ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量50万)92.86g(対液6.4質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)1.9g(対液0.37質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル10.0g(対液1.9質量%)、油溶性高分子として50質量%アクリル酸2−エチルへキシル/ジメチルアミノエチルメタクリレート(70/30モル%)共重合物を5.0g(対液0.5質量%)添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり製品粘度は300mPa・s 、0.2質量%水溶液粘度は499mPa・s、0.5質量%塩水溶液粘度は28.5mPa・sであった。これを試作品Aとする。
(合成例2)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gにポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水2.34g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)及びカチオン性水溶性高分子として20質量%ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量50万)162.5g(対液6.4質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gにポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水2.34g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)及びカチオン性水溶性高分子として20質量%ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量50万)162.5g(対液6.4質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)1.9g(対液0.37質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル10.0g(対液1.9質量%)、油溶性高分子として50質量%アクリル酸2−エチルへキシル/ジメチルアミノエチルメタクリレート(70/30モル%)共重合物を5.0g(対液0.5質量%)添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり、製品粘度は347mPa・s、0.2質量%水溶液粘度は964mPa・s、0.5質量%塩水溶液粘度は33.3mPa・sであった。これを試作品Bとする。
(比較合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gに(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水164.3g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)を各々採取し添加した。カチオン性水溶性高分子は無添加とした。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン137.5gに(20)ソルビタントリオレート15.0gを仕込み溶解させた。別に、脱イオン水164.3g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMQと略記)113.1g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(DMCと略記)2.43g、80質量%アクリル酸(AACと略記)4.2g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)58.43g、ギ酸ナトリウム0.08g(対単量体0.06質量%)、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.0015g(対単量体0.0012質量%)を各々採取し添加した。カチオン性水溶性高分子は無添加とした。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて8000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=50/1/5/44(モル%)である。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)1.9g(対単量体0.34質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル10.0g(対液1.9質量%)、油溶性高分子として50質量%アクリル酸2−エチルへキシル/ジメチルアミノエチルメタクリレート(70/30モル%)共重合物を5.0g(対液0.5質量%)添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり、製品粘度は360mPa・s、0.2質量%水溶液粘度は660mPa・s、0.5質量%塩水溶液粘度は64.2mPa・sであった。これを試作品Cとする。
食品余剰汚泥(pH6.31、SS分8500mg/L)を用い、スクリュープレス型脱水機を想定した汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記試作品Aあるいは試作品Bを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)でそれぞれ対汚泥SS分120ppmあるいは150ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例3と同様の汚泥を用い汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記試作品Cを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)で対汚泥SS分120ppmあるいは150ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表1に示す。尚、試作品Cを汚泥に添加、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後に目視にてポリマー未溶解物が観察された。
実施例3と同様の汚泥を用い汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記試作品Cを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)で対汚泥SS分120ppmあるいは150ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表1に示す。尚、試作品Cを汚泥に添加、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後に目視にてポリマー未溶解物が観察された。
(比較例2)
実施例3と同様の汚泥を用い同様な操作を、試作品Aあるいは試作品Cを水で0.2質量%濃度に溶解し対汚泥SS分150ppm(懸濁粒子質量%)加えて実施した。結果を表1に示す。
実施例3と同様の汚泥を用い同様な操作を、試作品Aあるいは試作品Cを水で0.2質量%濃度に溶解し対汚泥SS分150ppm(懸濁粒子質量%)加えて実施した。結果を表1に示す。
(表1)
試作品Aあるいは試作品Bを水に希釈せず原液の状態で添加した場合、試作品Cを水に希釈せず原液の状態で添加した場合に比べて処理状態が良く、特にケーキ含水率が低下することが確認できた。これは、試作品A、Bに存在しているカチオン性水溶性高分子が高分子電解質として作用するため水との親和性が高まり脱水効果が促進された結果であると考えられる。又、試作品Aを通常の0.2質量%濃度に溶解した場合に比べてもケーキ含水率は低下する傾向にあり、水に希釈せず原液のまま添加することの有用性が確認できた。
下水余剰汚泥(pH6.57、SS分14250mg/L)を用い、スクリュープレス型脱水機を想定した汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、表1の試作品Aあるいは試作品Bを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)でそれぞれ対汚泥SS分90ppm、120ppmあるいは150ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例4と同様の汚泥を用い汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、試作品Cを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)で対汚泥SS分90ppmあるいは120ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表2に示す。尚、試作品Cを汚泥に添加、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後に目視にてポリマー未溶解物が観察された。
実施例4と同様の汚泥を用い汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、試作品Cを水に希釈することなく原液の状態(濃度25%)で対汚泥SS分90ppmあるいは120ppm(懸濁粒子質量%)加え、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量の測定、及びフロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で30秒間脱水し、脱水ケーキ径、含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表2に示す。尚、試作品Cを汚泥に添加、撹拌回転数500rpmで20秒撹拌後に目視にてポリマー未溶解物が観察された。
(表2)
試作品Aあるいは試作品Bを水に希釈せず原液の状態で添加した場合、試作品Cを水に希釈せず原液の状態で添加した場合に比べてケーキ含水率が低下することが確認できた。これは、試作品A、Bに存在しているカチオン性水溶性高分子が高分子電解質として作用するため水との親和性が高まり脱水効果が促進された結果であると考えられる。
Claims (4)
- 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%を構成単位とするカチオン性水溶性高分子の存在下、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、下記一般式(3)で表される水溶性単量体0〜50モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%からなる水溶性単量体混合物を必須として含有する水溶液を分散相、水に非混和性の有機液体を界面活性剤によって有機液体を連続相となるよう乳化重合した後、適宜転相剤を添加し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基を表わす、X1 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基、X2 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
ここでR8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。 - 前記水溶性単量体混合物中に架橋性単量体を含有することを特徴とする請求項1に記載の凝集処理剤。
- 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%を構成単位とするカチオン性水溶性高分子の存在下、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される水溶性単量体5〜100モル%、下記一般式(3)で表される水溶性単量体0〜50モル%、非イオン性水溶性単量体0〜95モル%からなる水溶性単量体混合物を必須として含有する水溶液を分散相、水に非混和性の有機液体を界面活性剤によって有機液体を連続相となるよう乳化重合した後、適宜転相剤を添加し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を、水により希釈せず分散液状態のまま汚泥に添加し脱水機により脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはヒドロキシアルキル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基を表わす、X1 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基、X2 −は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
ここでR8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。 - 前記水溶性単量体混合物中に架橋性単量体を含有する水溶液を分散相、水に非混和性の有機液体を界面活性剤によって有機液体を連続相となるよう乳化重合した後、適宜転相剤を添加し製造した油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を、水により希釈せず分散液状態のまま汚泥に添加し脱水機により脱水すること特徴とする請求項3に記載の汚泥の脱水方法。
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