JP6308585B2 - 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法 - Google Patents

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Description

本発明は、抄紙工程で使用する歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法に関するものであり、詳しくは、抄紙工程において歩留向上剤を使用してワイヤー上に留める製紙原料の歩留を向上する方法に関するものである。
近年の製紙の抄紙工程においては、古紙配合率の増加や用水のクローズド化によって抄紙原料中には微細繊維、灰分、アニオン性夾雑物の割合が増加傾向にある。ワイヤー工程で抄紙する際に製紙原料をワイヤー上に留めるために一般的にポリアクリルアミド系(PAM系)ポリマーが歩留向上剤として使用されるが、これら微細繊維、灰分、アニオン性夾雑物の割合の増加はPAM系ポリマーの効果を抑制し歩留効果を低下させる要因となる。ワイヤー上での製紙原料の歩留率が低下することは生産性の低下のみならず、製紙原料中に含まれる填料あるいは紙力剤やサイズ剤といった製紙用薬剤の歩留が低下し紙製品の品質低下を招く要因の一つとなっている。そこで、PAM系ポリマーを使用した歩留向上方法が種々提案されている。例えば、特許文献1では、塩水溶液中において、該塩水溶液中に溶解可能な高分子分散剤を共存させ、ビニル系単量体あるいはビニル系単量体混合物とともに重合遅延性物質を全単量体に対し0.5〜5モル%添加し攪拌下、分散重合することにより得た1規定NaCl水溶液中、25℃で測定した固有粘度が18〜25dl/gの範囲にある高分子量水溶性重合体について開示されている。引用文献2では、ツインワイヤー抄紙機で、歩留り向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加する中性新聞印刷用紙の製造方法が開示されている。これらは何れもPAM系ポリマーの高分子量化を図ることによりパルプ繊維や填料との架橋吸着作用を高め、凝集力を向上させるといった技術思想である。しかし、高分子量のポリマーでは形成するフロックが大きく微細繊維や微粒な填料(無機物)を取りこぼし、紙の品質が低下することが懸念される。そのため、ポリマーの高分子量化だけではなく、構造に着目し歩留向上を図る方法も提案されている。特許文献3では、架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた2種以上のカチオン性ポリマーを含有するカチオン性ポリマー組成物を添加する方法が、特許文献4では、抄紙前の製紙原料に、重量平均分子量が1000以上、500万未満のビニル重合系カチオン性あるいは両性水溶性高分子及び/または重縮合系カチオン性物質(A)を添加し該製紙原料中の紙の欠点発生物質を処理した後、電荷内包率50%以上90%以下のビニル重合系イオン性水溶性高分子(B)を添加し抄紙する紙の製造方法が、それぞれ開示されている。しかし、これらの方法においても何れの製紙原料に対して安定した歩留効果が得られるわけではなく、特に微細繊維分や灰分割合が多い製紙原料において、更に高い歩留効果が得られる歩留向上方法が要望されている。
特開2008−056752号公報 特開2006−016716号公報 特開2004−300635号公報 特開2010−270419号公報
本発明は、抄紙工程で使用する歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法に関するものであり、微細繊維分や灰分割合が多い製紙原料において、歩留向上剤を用いて製紙原料の歩留向上方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、特定の構造単位を有し、特定の定義で規定された物性を有するカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤を抄紙前の製紙原料に使用することで製紙原料の歩留向上を達成することができる。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤として抄紙前の製紙原料に使用することで、微細繊維分や灰分割合の多い製紙原料に対しても高い歩留率を得ることができ生産性の向上や紙品質の向上を達成することができる。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜40モル%と下記一般式(3)で表される単量体0〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体60〜90モル%を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造したものである。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R 、R は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R 、R は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素又はCOOY 、Y あるいはY は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子を製造する際に使用するイオン性単量体のうち、カチオン性単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体は10〜40モル%であり、10モル%より少ないと高分子の電荷中和作用が低下し好ましくはなく、40モル%を超えると高分子量のものが得られ難くなるので好ましくはない。より好ましくは12〜35モル%の範囲である。
本発明で使用するカチオン性単量体は、以下の様なものがある。即ち、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である。その例として一般式(1)で表わされる単量体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物である。一般式(2)で表わされる単量体は、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物等がある。
本発明における両性水溶性高分子を製造する際に使用するアニオン性単量体、即ち前記一般式(3)で表される単量体は0〜30モル%の範囲である。30モル%より多いと高い分子量のものの製造が難しくなる。
本発明で使用するアニオン性単量体は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸あるいはp−カルボキシスチレン酸等が挙げられる。
本発明で使用する非イオン性単量体は、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、イオン性単量体および非イオン性単量体からなる単量体混合物を共重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、通常の重合法によって行なうことができる。
重合法としては、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合等によって重合した後、水溶液、分散液、エマルジョンあるいは粉末等任意の製品形態にすることができる。好ましい形態としては、高分子量のものが得られやすい油中水型エマルジョン重合である。
油中水型エマルジョンの製造方法としては、特開平10−140496号公報や特開2011−99076号公報等に挙げられる方法に準じて適宜に製造することができる。カチオン性単量体、アニオン性単量体及び非イオン性単量体からなる単量体混合物を水、水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合する。
油中水型エマルジョンからなるカチオン性あるいは両性水溶性高分子を製造する場合、無機塩を添加することができる。塩を添加するタイミングは、イオン性単量体と非イオン性単量体からなる単量体混合物を混合した水溶液中や共重合後の油中水型エマルジョン中或いは油中水型エマルジョン希釈液中、等である。
添加する無機塩は、ナトリウムやカリウムの様なアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンと、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の陰イオンとを組み合わせた塩が使用可能である。これら塩類の濃度としては、0.5質量%〜15質量%である。
また、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類或いは灯油、軽油、中油等の鉱油、或いはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、或いはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行ない、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行なう。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1、1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、4、4’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
これらラジカル重合開始剤は、単独で使用しても併用でも良いが、過酸化物系開始剤を使用することが好ましい。これは、過酸化物系開始剤は、水素引き抜き能が高く、分岐構造が導入されやすい性質があるためである。又、過酸化物系開始剤とアゾ系開始剤と併用、あるいはレドックス系開始剤として使用しても良い。過酸化物系開始剤とアゾ系開始剤を併用することにより、微量の分岐構造が導入され、電荷内包率10.0%未満の範囲の高分子を調製しやすくなるため最も好ましい組み合わせである。過酸化物系開始剤単独時の添加率としては、20〜2000ppmであり、好ましくは100〜1000ppmの範囲である。過酸化物系開始剤とアゾ系開始剤の併用の場合は、過酸化物系開始剤の添加率が、10〜1000ppmであり、アゾ系開始剤の添加率が、10〜1000ppmである。好ましくは、過酸化物系開始剤50〜800ppmであり、アゾ系開始剤50〜800ppmであり、更に好ましくは、過酸化物系開始剤50〜500ppmであり、アゾ系開始剤50〜500ppmの範囲である。レドックス系開始剤として使用する場合は、過酸化物系の添加率が、10〜500ppmであり、還元剤の添加率としては、10〜1000ppmである。好ましくは、過酸化物系10〜300ppmであり、還元剤20〜800ppmである。又、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5質量%併用、あるいはギ酸ソーダを対単量体0.02〜0.5質量%併用すると効果的である。
単量体の重合濃度は20〜50質量%の範囲であり、好ましくは25〜40質量%の範囲であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。
塩水中分散重合は、特開2007−16086号公報などによって製造することができる。塩水溶液中において、該塩水溶液中に溶解可能な高分子分散剤を共存させビニル系単量体或いはビニル系単量体混合物を分散重合する場合、重合遅延性物質を全単量体に対し0.5〜5モル%添加することにより、増粘が抑制可能であり、重量平均分子量が高い水溶性高分子を製造することができる。又、前記重合遅延性物質はイタコン酸、マレイン酸、フタル酸、アリルアミンおよびジアリルジメチルアンモニウムクロライドから選択される一種以上である。
塩水中分散重合時の重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決定し、温度としては0〜100℃の範囲で行う。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系の何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリル等が挙げられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。又、レドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。これら開始剤の中で最も好ましいのは、水溶性アゾ開始剤の2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物である。アゾ系開始剤の添加率は、重合開始時、単量体当たり50〜500ppm、好ましくは70〜200ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回に分けて添加することが好ましい。
塩水分散重合時において、ラジカル重合開始剤は、単独で使用しても併用でも良いが、過酸化物系開始剤を使用することが好ましい。添加率としてラジカル重合開始剤総量として、10〜500ppmの範囲である。
又、レドックス系開始剤で共重合する場合、40℃以上の条件で重合を開始させると重合の制御は難しく、急激な温度上昇や重合液の塊状化などが起きて、高重合度で安定な分散液が得られないため、15〜35℃が好ましい。この開始剤の添加率は、重合開始時、単量体当たり5〜100ppm、好ましくは10〜50ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回添加することが好ましい。添加回数としては、2〜5回、好ましくは2〜3回である。これらイオン性高分子からなる高分子分散剤の添加量としては、対単量体1〜30質量%であり、好ましくは2〜20質量%である。1%以下では、分散剤としての効果がなく、30%以上では、分散液の粘性が高くなる上、コスト的に不利になる。
歩留向上剤としてポリアクリルアミド系(PAM系)ポリマーが一般的に使用されているが、抄紙工程のワイヤーパートでの製紙原料の更なる歩留向上を得るためにPAM系ポリマーの高分子量化を図り、ポリマーと製紙原料中のパルプ繊維や填料との架橋吸着作用を高め、凝集効果を向上させる方法が検討されてきたが、この場合、ポリマー間の過剰な絡み合いを引き起こす結果、電荷中和作用が低下し歩留効果の大きな向上は得られないことがある。本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、高分子量を維持し、ポリマーの主鎖に微量の分岐構造が導入されたものである。これは側鎖の立体障害や電荷によって分子内、分子間の反発力が高まり、絡み合いを抑制するものである。この結果、架橋吸着作用と電荷中和作用が両立することになり高い歩留効果が発現するものと推測される。この分岐構造は製造時の単量体のモル組成や架橋剤量だけでなく製造条件等によって変化するので一概には言えないが、電荷内包率を指標とすることができる。
本発明で使用する電荷内包率は、以下のように定義される。
定義(A):カチオン性水溶性高分子の場合、あるいは両性水溶性高分子でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子0.0025質量%水溶液を京都電子工業(株)製PCD滴定装置(PCD−500、AT−510)により、滴下液:1/1000Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.1ml/5sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。βは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子0.0025質量%水溶液に(株)日本精機製作所製エースホモジナイザー(AM−11)により、10000rpm、5分間の条件にてせん断を加え、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:自動制御、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。
定義(B):両性水溶性高分子でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水溶性高分子0.025質量%水溶液を京都電子工業(株)製PCD滴定装置(PCD−500、AT−510)により、滴下液:1/1000Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.1ml/5sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。βはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水溶性高分子0.0025質量%水溶液に(株)日本精機製作所製エースホモジナイザー(AM−11)により、10000rpm、5分間の条件にてせん断を加え、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:自動制御、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。
尚、PCD滴定装置は、同様な測定ができるのであれば前記装置に限定はしないが、数値を規定する必要上、前記装置で前記条件において測定した同一のイオン性高分子の電荷内包率の実験誤差が±0.5%以内に入る必要がある。
前記滴定量α値は、試料であるカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子に反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウムあるいはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を滴下して行き、カチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子の「表面」(粒子状の表面部)に存在するイオン性基にイオン的静電反応を行わせる操作を意味する。
前記滴定量β値は、水溶性高分子の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。即ち水溶性高分子に対し、せん断によって現出した反対電荷が多量に存在するので、表面の電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は、大きくなり電荷内包率は大きい(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
即ち、電荷内包率の大きい水溶性高分子は、架橋が高まった水溶性高分子であり、電荷内包率の低い水溶性高分子は、架橋が少ない水溶性高分子であると言える。この理由は、以下の通りに説明される。直鎖状水溶性高分子は、希薄溶液中では、分子はほぼ「伸びきった」形状をしている。一方、架橋型水溶性高分子は、溶液中において粒子状の丸まった形状をしていて、粒子状の内部に存在するイオン性基は、外側には現われ難く、反対電荷との反応も緩慢に起こると考えられる。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、電荷内包率が10.0%未満の範囲内である。通常の直鎖型高分子や架橋型高分子の場合、ポリマーの収縮やポリマー間の絡み合いが生じ、ポリマーの表面に存在する電荷が減少し電荷中和作用が抑制され歩留効果が低下する場合がある。
分岐構造が進行した場合や架橋構造を有した場合は、分子間の架橋まで分岐が進行し強い絡み合いが生じ電荷内包率が高くなっていると考えられ、この値が10.0%を超える。又、直鎖型高分子も高分子量のものでは10.0%を超える。高分子量であることを考慮しても30%以上の高分子は架橋型高分子であると言える。つまり、直鎖型高分子から分岐構造を有し、分岐が進行、更に架橋型高分子となる過程において、電荷内包率が極小となる領域があり、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、この領域にある高分子を適用すると歩留効果が高くなることを発明したものである。直鎖型高分子では、ポリマーの収縮により絡み合いが生じ電荷内包率が高く、分岐が進行した場合や架橋型高分子の領域では、分子間の架橋により、更に強い絡み合いが生じ電荷内包率が増加すると考えられる。一方、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、適度な分岐構造により立体障害や電荷の反発が生じポリマー間の絡み合いが起こり難くなっていることが推測される。本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子では、電荷内包率が10.0%未満の範囲において適度な分岐構造を有するため微細繊維分や填料、特に微粒な炭酸カルシウムと架橋吸着作用が最適化され、高い歩留効果が発現されるものと考えられる。適度な分岐構造を有するためには、電荷内包率8.0%以下が好ましい。又、本発明で規定する電荷内包率の値が−(マイナス)となることがあるが、10.0%未満であれば本発明の水溶性高分子の分岐構造の範囲内であり、測定上−であっても差し支えない。実験上、電荷内包率の最低値−3.0の水溶性高分子が得られており、本発明の効果が確認されている。
高い電荷内包率を有する分岐が進行した高分子や架橋型高分子を製造するためには重合時あるいは重合後、構造変性剤として架橋性単量体を単量体総量に対し、一般的には0.00005〜0.050質量%の範囲内で存在させたものが歩留向上剤として使用される場合が多い。単量体組成や重合条件により異なるが、0.050質量%を超えると架橋が進行しすぎて水不溶性となるため歩留向上剤用途としては好ましくはない。又、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤では、分岐構造が進行した状態、あるいは架橋構造になると電荷内包率が10.0%を超える傾向にあるため、電荷内包率10%を超えない様に架橋性単量体の添加率を調製する必要がある。又、使用しなくても差し支えない。架橋性単量体の例としては、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられ、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドが好ましく適用されている。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤は、微細繊維分割合の多い製紙原料に適用するとより効果が発揮される。通常、製紙工程において上流からパルプ乾燥固形分濃度が2.0質量%以上で移送されてきた製紙原料が抄紙機の直前では白水や清水等によりパルプ乾燥固形分濃度が2.0質量%より低い製紙原料に希釈されている。一般的には0.5〜1.5質量%に希釈されており、これらはインレット原料やヘッドボックス原料と呼ばれており、これら原料(以下、インレット原料とする。)に対して歩留向上剤が添加され抄紙される。本発明の歩留向上剤もインレット原料に適用し、本発明で規定する微細繊維分割合とはインレット原料中の微細繊維分割合のことである。インレット原料中の成分としては長繊維分と微細分に大別される。インレット原料を200メッシュワイヤーで濾過した場合、ワイヤー上の原料が長繊維分であり、200メッシュアンダーが微細分である。微細分とは微細繊維分と填料を含んだものであり、填料は灰分測定で求めることができる。填料の大きさは一般的に200メッシュより細かいため全て微細分に含まれるものとみなす。微細繊維分とは、インレット原料中の微細分から灰分を除いたものであり、測定方法としては、インレット原料スラリー100gを採取し、200メッシュワイヤーで濾過し、ワイヤー上の原料をNo.2濾紙(東洋濾紙製、保留粒子径5μm)を使用し濾過、SS分を測定し元のインレット原料SS分からワイヤー上の製紙原料SS分を除いたSS分が微細分であり、元のインレット原料SS分に対する質量%で表す。例えば、元のインレット原料SS分が10000ppmでワイヤー上のSS分が6000ppmの時は、微細分割合は、(10000−6000)/10000×100=40質量%になる。灰分割合とは、インレット原料SS分の525℃で2時間灰化後の残量(Ash分)を元のインレット原料SS分に対する割合で示したものである。灰分としては、製紙工程で填料として添加される分もあるが、古紙から持ち込まれた填料分も含まれる。この測定方法で測定されたAsh分が3000ppmの場合、配分割合は3000/10000×100=30質量%になる。よって、微細繊維分割合は、微細分割合から灰分割合を除いたものであり、40−30=10質量%が微細繊維分割合となる。一般的な製紙原料では、この微細繊維分割合が10〜15質量%未満であるが、古紙配合率の高い製紙原料や用水のクローズド化が進行した抄紙系内で使用される製紙原料は15質量%を超える場合がある。本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、微細繊維分割合が15質量%以上の多い製紙原料に対して適用すると、他のPAM系ポリマーに比べてより効果を発揮する。微細繊維分割合が多い程、効果を発揮しやすいので、好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上である。50質量%以上では微細繊維分割合が過剰でありPAM系ポリマー単独では効果を発揮しなくなることがあり好ましくはない。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤を使用する紙の種類としては、新聞用紙、上質印刷用紙、中質印刷用紙、グラビア印刷用紙、PPC用紙、塗工原紙、微塗工紙、包装用紙、ライナーや中芯原紙の板紙などいずれでも使用可能等が挙げられる。特に微細繊維分割合の高い板紙や新聞用紙に適用すると効果的である。
高い凝集力を得るには高分子量が必要であるため、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子の分子量は、固有粘度で表わすと、油中水型エマルジョンを構成する水溶性高分子の25℃で測定した0.5質量%における、4質量%食塩水溶液中の固有粘度が10〜25dl/gであるが、好ましくは15〜25dl/gであり、更に好ましくは17〜25dl/gの範囲である。固有粘度が10dl/gより低いと歩留向上効果が著しく低下し、25dl/gより高いと紙の品質、特に地合いが低下する場合がある。分子量は、光散乱法による重量平均分子量が1000万から2000万の範囲内が好ましい。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤の製紙工程における添加場所は、従来の歩留向上剤として、せん断工程であるファンポンプやスクリーンの前後が一般的であり、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子も同様な添加場所が適用される。少ない添加率で最も歩留率を向上させるには最終せん断工程であるスクリーン前後に添加するのが好ましい。又、分割して添加しても良い。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤は、紙力剤、サイズ剤、硫酸バンド、凝結剤やその他の製紙用薬品と同時に添加することができ、歩留向上処方としてその他のカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子、アニオン性水溶性高分子、ベントナイトあるいはコロイダルシリカ等とも併用することができる。
以下に本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤として、表1に示す電荷内包率を示す試料A〜Cを調製した。製造は、油中水型エマルジョン重合法の常法により、一般的に歩留向上剤として使用されているカチオン性単量体が15〜25モル%のものを調製した。これらは、何れも製造時にラジカル重合開始剤として過酸化物系開始剤ぺルオキソ二硫酸アンモニウムとアゾ系開始剤ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを併用し本発明において規定する電荷内包率になる様に調製した。一方、本発明の範囲外の水溶性高分子試料D〜Fを油中水型エマルジョン重合法の常法により調製した。試料Fは製造時、架橋性単量体メチレンビスアクリルアミドを0.5ppm(対単量体)添加したもの。
(表1)
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
AAM:アクリルアミド
0.5質量%塩水溶液粘度:4質量%食塩水中に高分子濃度が0.5質量%になるように溶解したときの25℃において測定した粘度
(実施例2)ブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留率の測定試験を行なった。200メッシュワイヤー使用。使用原料は、某製紙会社の新聞用紙抄造インレット原料を用いた。固形分濃度0.8266質量%で、軽質炭酸カルシウム等Ash分として27.5%対紙料固形分濃度、微細繊維分割合は30.7%対紙料固形分濃度であった。インレット原料の物性値は、pH7.6、Whatman No.41濾紙濾過液のミューテック社製PCD−03型を使用したカチオン要求量は、0.050meq/Lである。ブリット式ダイナミックジャーテスターの攪拌回転数は900rpmに設定した。本発明の試料A〜Cの0.1質量%水溶液を対紙料固形分に対して200ppm添加(ポリマー純分)し、攪拌回転数900rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)実施例2と同様な製紙原料を用いて、比較試料−D〜Fの0.1質量%水溶液を対紙料固形分に対して200ppm添加(ポリマー純分)し、攪拌回転数900rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(表2)
(実施例3)ブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留率の測定試験を行なった。200メッシュワイヤー使用。使用原料は、某製紙会社の新聞用紙抄造インレット原料を調製して用いた。調製インレット原料の物性値は、固形分濃度0.7160質量%で、軽質炭酸カルシウム等Ash分として11.0質量%対紙料固形分濃度、微細繊維分割合は10.6質量%対紙料固形分濃度であった。製紙原料の物性値は、pH7.6、Whatman No.41濾紙濾過液のミューテック社製PCD−03型を使用したカチオン要求量は、0.018meq/Lである。ブリット式ダイナミックジャーテスターの攪拌回転数は900rpmに設定した。本発明の試料A〜Cの0.1質量%水溶液を対紙料固形分に対して200ppm添加(ポリマー純分)し、攪拌回転数900rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表3に示す。
(比較例2)実施例3と同様な製紙原料を用いて、比較試料−D〜Fの0.1質量%水溶液を対紙料固形分に対して200ppm添加し、攪拌回転数900rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表3に示す。
(表3)
使用したインレット原料の微細繊維分割合が30.7%/SSと高い実施例2では、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子試料A〜C使用時に高い歩留率を示した。一方、本発明の範囲外の高分子試料を使用した比較例では歩留率は低いものとなった。これは、本発明における水溶性高分子は10.0%未満の範囲の電荷内包率を有しており、この範囲の電荷内包率を有する適度に分岐した構造である高分子により微細繊維分との反応性が高く歩留効果が高くなったことが考えられる。又、微細繊維分割合が10.6質量%と低いインレット原料を用いた実施例3については、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、本発明の範囲外の電荷内包率を有する試料と同程度以上の歩留効果を示した。つまり、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤は、従来の歩留向上剤に比べて紙料の微細繊維割合に限らず、安定して高い歩留効果を発揮することが確認できた。












Claims (2)

  1. 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体を10〜40モル%と下記一般式(3)で表される単量体を0〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を60〜90モル%を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造したカチオン性あるいは両性水溶性高分子であり、下記定義(A)あるいは定義(B)で測定した電荷内包率が10.0%未満であるカチオン性あるいは両性水溶性高分子であり、当該カチオン性あるいは両性水溶性高分子の25℃で測定した0.5質量%における、4質量%食塩水溶液中の固有粘度が15〜25dl/gであるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤。
    定義(A):カチオン性水溶性高分子、あるいは両性水溶性高分子でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液にせん断を加え、ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量である。
    定義(B):両性水溶性高分子でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である場合
    電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
    αはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水溶性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した両性水溶性高分子水溶液にせん断を加え、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量である。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R 、R は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    は水素又はメチル基、R 、R は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(3)
    は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素又はCOOY 、Y あるいはY は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
  2. 請求項1に記載の歩留向上剤を、微細繊維分割合が15質量%以上の製紙原料に添加することを特徴とする製紙原料の歩留向上方法。
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