JP5382708B2 - ピッチ低減方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製紙工程において、電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を製紙原料に添加することによるピッチ低減方法に関するものである。
紙の製造において、古紙配合率の増加や、中性抄造化、抄紙系用水のクローズド化により製紙原料中のアニオントラッシュ(アニオン性夾雑物)、マイクロピッチ、濁度成分が増加している。これらアニオントラッシュ、マイクロピッチ、濁度成分が微細な状態で製紙原料中に存在している限り製紙へ欠陥として発生することは少ないが、攪拌やエアレーション、pH変化、薬剤添加により集塊化され紙の欠陥発生原因となる。このうちアニオントラッシュと呼ばれる溶存性あるいは親水性のアニオン性成分、即ちホワイト顔料、分散剤、改質澱粉、カルボキシメチルセルロース、リグニンスルホネート、リグニン分解生成物、ヘミセルロース等は、低分子量カチオン性水溶性高分子物質による凝結作用で処理され一般的には使用されている。しかし、水に溶解しない疎水的な成分、即ち木材抽出物、サイジング剤、或いはコーティングバインダー等は、微細なコロイド粒子として製紙原料中に分散しており、表面電荷が低く、アニオン性に弱く解離している場合、或いは解離もしていない場合もあり、基本的に不安定な物質である。従って、温度、シェア、pH、或いはピッチ障害を抑制するために添加される有機や無機のカチオン性物質等によってコロイドが破壊され粗大化する。又、これら疎水的な成分は、カチオン性水溶性高分子物質により処理し、粒子径を粗大化させてしまうこともある。
「ピッチ」という用語は、低分子量及び中分子量の様々な天然の疎水性有機樹脂類を指し、又、これらの樹脂類が原因となるパルプ製造と製紙処理工程の際の析出物を指す。ピッチは、脂肪酸、樹脂酸、それらの不溶性の塩類、及び脂肪酸とグリセロール(トリグリセリド類の如きもの)やステロール類とのエステル等を指す。又、古紙製造時に由来するサイジング剤、ワックス類やコーティングバインダー等の疎水的微細粒子は、「スティッキー」と呼ばれているが、「ピッチ」と区別しないで使用される場合もある。これらの化合物は特徴を示す程度の、温度に依存する粘度、粘着性、及び凝集強さを示す。それらは単独で、あるいは不溶性の無機塩類、充填材、繊維、脱泡剤成分、被覆用結合剤、その他同様のものと一緒に析出することがある。
ピッチとして成長、粗大化する前のピッチ由来成分、即ちマイクロピッチはコロイド状になって分散しているが、何らかの攪拌やエアレーション、pH変化、薬剤添加により集塊化され紙の欠陥発生原因となる。抄紙系内でピッチ分がどのような要因で成長、粗大化し原因物質になっていくかについて様々な報告がされているが、第一には原料チェストや、混合チェスト、マシンチェスト、種箱までのおよそ3〜4%の原料系であり、もう一つは種原料(配合原料のみで白水で希釈される前の原料)が循環白水で希釈され、インレットとなり、その白水が更に循環する白水循環系である。即ち原料チェストや、混合チェスト、マシンチェスト、種箱までの間で集塊化され、ある程度の大きさの粒子となり、これらやや粗大化した粒子が、白水循環系においてパルプ繊維に定着せず集塊化が進んだピッチ分は、微細繊維や填料を巻き込んで粗大粘着物になり、ファンポンプ、配管内、ワイヤー、フェルト、ロール等の抄造装置や用具に付着するだけでなく、これら付着物が剥離して湿紙に乗り製紙欠陥となると推定される。そのため、アニオントラッシュやマイクロピッチが成長、粗大化する(ピッチとなる)前に凝結剤やピッチコントロール剤と言われるカチオン性ポリマーを添加し、電荷の中和によりアニオントラッシュやマイクロピッチを処理する方法や粘着性を低下する方法が種々提案されている。例えば、架橋性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドポリマーによるピッチ及びスティッキーの析出物を制御する方法が提案されている(特許文献1)。この架橋性ポリマーを使用することによりピッチ及びスティッキーの紙繊維への固定及び電荷の中和が高められるとしているが、特定の製紙原料にはある程度の効果が得られるものの、ポリマーの架橋性と高分子化の調整が困難でありあらゆる原料で満足した結果は得られていない。 又、PAM(ポリアクリルアミド)系ポリマーを使用することによるピッチ障害防止方法が提案されている。例えば、特許文献2では、両性PAM系ポリマーを用いる方法であるが、分子量を調整し、電荷中和やアニオントラッシュの封鎖にはある程度対応できるが、粘着性の封鎖については満足な効果が得られていない。特許文献3では、粘度平均分子量が1500万以上のカチオン性及びアニオン性PAMを使用することによりピッチ量の発生を抑制するとしているが、これは粗大なフロックにより紙にピッチ由来物質を抄き込むだけで、マイクロピッチの成長、粗大化の抑制や粘着性の封鎖は達成できていない。又、これまでに提案されたピッチ低減方法に関してポリマーの架橋度について記載された先行文献は見当たらない。
特表2007−500290号公報 特開2003−221798号公報 特開2007−100254号公報
本発明は、紙及び板紙の製紙工程において、ピッチの低減方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、抄紙前の製紙原料において、ビニル系単量体或いはビニル系単量体混合物を重合することにより得た電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を使用することにより、マイクロピッチ、アニオントラッシュ及び濁度成分の封鎖、或いはマイクロピッチが粗大化したピッチを低減することが可能であることを発見し本発明に達した。
本発明は抄紙工程において、ビニル系単量体あるいはビニル系単量体混合物を重合することにより得た電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を使用する。ビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体が下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜100モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜35モル%、共重合可能な非イオン性水溶性単量体0〜90モル%、及び架橋性単量体からなる単量体混合物を重合したものである。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、
は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす
一般式(3)
は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO
SO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素又はCOO 、YあるいはYは水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明の特徴は、製紙のピッチ低減方法において、従来のピッチコントロール剤に比べて優れたピッチ低減効果が得られる薬剤を発見したことにある。この薬剤を添加することによりマイクロピッチ、アニオントラッシュ及び濁度成分を封鎖し、ピッチ低減効果を発揮する。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体は、原料として使用する単量体、カチオン単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体を10〜100モル%、必要に応じてアニオン性単量体、即ち一般式(3)で表される単量体を0〜35モル%、共重合可能な非イオン性水溶性単量体を0〜90モル%からなる単量体混合物と架橋性単量体の水溶液を重合することによって製造することができる。特に好ましい形態としては、油中水型エマルジョンであり、これは前記単量体水溶液を界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し重合した後、適宜転相剤を添加し製造されたものである。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を製造する際使用するイオン性単量体のうち、カチオン性単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体は10〜100モル%であり、好ましくは15〜90モル%の範囲である。
本発明で使用するビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を製造する際使用するイオン性単量体のうち、カチオン性単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体は以下の様な例がある。すなわち、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等が挙げられ、四級アンモニウム基含単量体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物等である。
前記水溶性両性重合体を製造する際には、上記ビニル系カチオン性単量体の他、ビニル系アニオン性単量体、即ち、一般式(3)で表される単量体を併用する。その例としてはビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸或いは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸或いはp−カルボキシスチレン酸等が挙げられる。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を製造する際使用する非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明で使用する架橋性単量体の具体例としてはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミドなどのビニル系メチロール化合物、アクロレインなどのビニル系アルデヒド化合物あるいはこれらの混合物が挙げられるが、これらの中でもN,N’−メチレンビスアクリルアミドの使用が好ましい。
本発明で使用する架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体は、電荷内包率35%以上、90%以下である。電荷内包率の定義は、特許第4167969号でも規定されているが、即ち、下記定義1で示される。
定義1)カチオン性の架橋性水溶性重合体および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン単量体の共重合率の差が正である架橋性水溶性重合体の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性重合体水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性重合体水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を電荷の中和を行なう十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量からブランク値を差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性重合体水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量)。
定義2)両性でかつカチオン性単量体とアニオン単量体の共重合率の差が負である架橋性水溶性重合体の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性重合体水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性重合体水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を電荷の中和を行なう十分な量加え、その後ビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量からブランク値を差し引いた滴定量(ブランク値:架橋性水溶性重合体0.01%水溶液無添加時にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量)。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体は、前記電荷内包率が35〜90%の範囲内である。
電荷内包率の測定法については、カチオン性の架橋性水溶性重合体及び、両性で且つカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が正である架橋性水溶性重合体では、以下の様に計算される。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性重合体0.01%水溶液をミューテック社製PCD滴定装置(MutekPCD−03、MutekPCD−Two Titrator Version2)により、滴下液:1/1000Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。βは酢酸にてpH4.0に調整した架橋性水溶性重合体0.01%水溶液に1/400Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を電荷の中和を行なうに十分な量加え、十分に攪拌し、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、この滴定量をブランク値から差し引いた値とする。ブランク値とは酢酸にてpH4.0に調整した前記サンプルと同濃度のポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。
両性で且つカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である架橋性水溶性重合体では、以下の様に計算される。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性重合体0.01%水溶液をミューテック社製PCD滴定装置(MutekPCD−03、MutekPCD−Two Titrator Version2)により、滴下液:1/1000Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性重合体0.01%水溶液に1/400Nポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を電荷の中和を行なうに十分な量加え、十分に攪拌し、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、この滴定量をブランク値から差し引いた値とする。ブランク値とはアンモニアにてpH10.0に調整した前記サンプルと同濃度のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000Nポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mVにて滴定し、求めた滴定量である。
β値は、架橋性水溶性重合体の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。即ち架橋性水溶性重合体に対し、反対電荷が多量に存在するので、表面の電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は、1に比べ大きくなり電荷内包率は大きい(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体は、イオン性単量体及び非イオン性単量体と架橋性単量体からなる単量体混合物を共重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、通常の重合法によって行なうことができる。
重合法としては、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合などによって重合した後、水溶液、分散液、エマルジョン或いは粉末等任意の製品形態にすることができる。好ましい形態としては、濃度を高められ、溶解時間も短い油中水型エマルジョン重合品である。
油中水型エマルジョンの製造方法としては、イオン性単量体及び非イオン性単量体と架橋性単量体からなる単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する方法である。
また、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類或いは灯油、軽油、中油等の鉱油、或いはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、或いはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20重量%〜50重量%の範囲であり、好ましくは20重量%〜35重量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%の範囲である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行ない、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行なう。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、4、4’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
単量体の重合濃度は20〜50重量%の範囲であり、好ましくは25〜40重量%の範囲であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。これらの単量体を重合して得られるビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体の重量平均分子量は、10万〜600万の範囲であり、好ましくは50万〜600万の範囲である。600万より大きいと粗大なフロックを形成するため地合いや紙質へ悪影響を及ぼし好ましくはない。
本発明におけるピッチ低減方法として、本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体だけでなく、他の薬品を併用して添加することができる。即ち、填料、紙力剤、サイズ剤、硫酸バンド、歩留向上剤、濾水性向上剤等と同時に添加することができる。
本発明で使用する電荷内包率が35%未満の水溶性重合体は、架橋が進行した状態にある。高分子量の直鎖状水溶性高分子を添加すると、凝集フロックは大きくなるが、シェアに対して抵抗力は大きくなく、また表面電荷の調節など凝結作用は少ない。これは直鎖状水溶性高分子が、水中に分子が広がった状態で存在することによる。重合系のような高分子量のカチオン性水溶性高分子の凝集作用は、いわゆる「架橋吸着作用」による多数懸濁粒子を水溶性高分子の分子鎖による結合作用で起きると考えられている。しかし直鎖状水溶性高分子は伸びた状態にあり、そこに懸濁粒子を吸着させ生成した凝集フロックは、大きいがふわふわしたものを生成させることが主な機能となる。そのため表面電荷の調節、表面粘着性低減などピッチコントロール剤に求められる機能は発現し難い。
これに対し架橋性水溶性高分子は、架橋することによって水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在し、さらに架橋が進めば水不溶性で水膨潤性のゲルとなる。架橋性水溶性高分子が製紙原料中に添加されると懸濁粒子に吸着し、粒子同士の接着剤として作用し結果として粒子の凝集が起こる。この時「密度の詰まった」分子形態であるため粒子表面と多点で結合し、表面電荷調節や表面粘着性低減作用に適した挙動をとると考えられる。特に本発明では、架橋度の比較的高い水溶性高分子を使用する。この架橋度の比較的高い水溶性高分子は、水中において「密度の詰まった」分子形態の傾向が強くなり「粒子的」性質が高くなる。この「粒子的」性質が高くなるということは硫酸バンドのような無機凝集剤の凝結剤的な作用をする傾向が高くなる。無機凝集剤では凝結的な作用だけであるが、本発明で使用するビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体は、重合系高分子に特有な凝集作用も合わせ持ち、製紙原料中に含有されるマイクロピッチやアニオントラッシュを粗大化させることなく効率よくピッチ低減作用を発揮すると考えられる。その結果、パルプ繊維に定着させ抄紙系外へ排出することができると考えられる。電荷内包率が90%より高いと架橋が進みすぎ添加量の増大やパルプ繊維への定着能が低下する。電荷内包率が35%以上、90%以下であると本発明の効果を発揮するが、抄造原料の性状によっては、電荷内包率が35%より低いと上記の作用が発揮し難く高い効果が得られない場合もある。そのため、あらゆる抄造原料に対応するには電荷内包率35%以上が好ましい。
本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体の添加場所としては、以下の二箇所が考えられる。一つ目は、製紙工程上流の濃度が3〜4%前後の原料系、即ち原料チェストや、混合チェスト、マシンチェスト、種箱においてであり、もう一つは、種原料が循環白水で希釈され、インレットとなり、その白水が更に循環する白水循環系である。何れか或いは両方に添加するかはピッチ発生の原因物質を特定し、その原因物質がどの過程でピッチになりやすいかを見極めて決定することが肝要である。
製紙工程上流の濃度が3〜4%前後の原料系においては、アニオントラッシュやマイクロピッチ、濁度成分は、攪拌やエアレーション、pH変化、薬剤添加により集塊化される。そのため、集塊化される前に凝結剤を添加し処理する必要がある。一方、白水循環系では、パルプ繊維に定着せず集塊化が進んだピッチ分が、微細繊維や填料を巻き込んで粗大粘着物になり、欠陥の要因になると想定される。白水循環系での凝結剤に求められることは、集塊化したピッチ分を、粗大粘着物になる前に繊維へ定着させ抄紙工程内から紙として排出し、白水循環系中の集塊化したマイクロピッチや濁度成分の濃度を低下させることであり、本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体の適用はこの要求に合致する。
対象抄造製紙原料としては特に限定はなく、新聞用紙、上質紙、PPC用紙、塗工原紙、微塗工紙、板紙等に適用できる。又、個別の製紙原料についても限定はなく、機械パルプ、脱墨古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、ブロークパルプ等に適用できる。
以下に示す合成例によって本発明のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を具体的に説明するが、本発明は以下の合成例に限定されるものではない。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水15.4g、80重量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)101.3g、50重量%アクリルアミド(AAMと略記)237.9g、メチレンビスアクリルアミド0.6%水溶液5.0g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2重量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=20/80(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)0.7g(対単量体0.35重量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合した。B型粘度計により製品粘度を測定すると、350mPa・sであった。コロイド滴定法と前記計算式により電荷内包率を求めると36.5%であり、試作−1とする。更に合成例1と同様の操作によりDMQ/AAM=20/80(モル%)電荷内包率55.5%(試作−2)、DMQ/AAM=40/60(モル%)電荷内包率46.5%(試作−3)、DMQ/AAM=40/60(モル%)電荷内包率72.8%(試作−4)、DMQ/DMC/AAC/AAM=20/10/5/65(モル%)電荷内包率54.6%(試作−5)、DMQ/DMC/AAC/AAM=20/10/5/65(モル%)電荷内包率80.6%(試作−6)である架橋性水溶性重合体を合成した。結果を表1に示す。
(比較合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水17.1g、80重量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)101.3g、50重量%アクリルアミド(AAMと略記)237.9g、メチレンビスアクリルアミド0.6%水溶液3.3g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2重量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=20/80(モル%)である。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)0.7g(対単量体0.35重量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル5.0g(対液1重量%)を添加混合した。その後、B型粘度計により製品粘度を測定すると、400mPa・sであった。前記計算式により電荷内包率を求めると22.9%であり、試作−7とする。
結果を表1に示す。更に比較合成例1と同様の操作によりDMQ/AAM=40/60(モル%)、電荷内包率93.6% である架橋性水溶性重合体を合成した(試作−8)。
(表1)
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMC:メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド
製紙工場の製紙工程上流の原料系であるマシンチェスト原料(脱墨古紙DIP80%配合、pH6.80、乾燥固形分4.15質量%)を用い、本発明のピッチ低減方法の試験を行った。即ち前記表1に示すビニル重合系架橋性水溶性重合体試料−1〜6を対製紙原料固形分400ppm添加し60秒攪拌した。その後、ワットマン濾紙No.41により濾過し、濾液の濁度をHACH社製2100P型により、アニオントラッシュのカチオン要求量をBTG社製PCD−03型により測定した。
又、マイクロピッチの測定は、水溶性重合体で処理した製紙原料を、Whatman濾紙No.41で濾過し、その濾液を厚さ0.2mmのカウンティングチェンバー(ヘマサイトメーター)上に採取し、光学顕微鏡1200倍で観察した。ピントを垂直方向にずらしていきながら静止画を複数枚撮影した。カウンティングチェンバー上の異なる5箇所以上で同様の操作を繰り返した。画像処理ソフト(Media Cybernetics,inc. IMAGE−PRO PLUS Ver.5.0)を用い、顕微鏡画像の静止画を取込み、RGB値のレンジ設定をR値(0−190)、G値(0−130)、B値(0−156)に調整することにより、目的とする粒子を抽出した。その抽出した粒子について、個数を測定した。
更に集塊化し成紙の欠陥となり得る粘着物の測定は、以下の様に行った。即ち水溶性重合体で処理した製紙原料を、直径90mmの円形濾紙(WhatmanNo.41、20〜25μm以上の粒子保持する)で5分間濾過し、濾過後の原料から濾紙を剥がし、剥がしたウェットシートを使用する。測定面は、剥がしたウェットシートの濾紙に面していない側の面とする。濾過量は、直径90mmの大きさで坪量150g/mになるように、対象原料の濃度を計算して採取する。このウェットシートを濾紙に面していない側を測定面とし、SUS板に張り合わせ、上の粘着物を媒体に転写する。この際、ウェットシートのSUS板(厚さ0.1mm)に張り付けた面と反対面に厚手の濾紙を合わせ、プレス機にセットし、410KPa、5分間加圧する。
次にウェットシートを張り付けたSUS板をロータリードライヤーにセットし、105℃で6分間加熱する。この際、ロータリードライヤーのシリンダー側にSUS板を、フェルト側は転写されたウェットシート側をセットする。
加熱後、SUS板上のウェットシートからの付着面(直径90mm)中の任意の箇所20箇所を選択し、実体顕微鏡を用いてデジタルカメラで撮影し、画像としてコンピュータに保存する。その後、マイクロピッチを測定した場合と同様の画像処理ソフトを用い、RGB値のレンジ設定を調整することにより、目的とする粒子を抽出した。抽出した付着物の中から、大きさ、長短半径比、穴数、穴面積の最適条件下で再度抽出し、繊維分や他の付着物と、粘着性ピッチを判別する。その抽出した粒子について、粘着性ピッチ総面積、総個数を測定し、1mあたりに換算した。
(比較例1)
実施例1と同様なマシンチェスト原料を用いて同様な操作で試験をビニル重合系架橋性水溶性重合体試作−7、8、比較1(市販のピッチコントロール剤、ポリメタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、重量平均分子量50万)及び無添加について実施した。結果を表2に示す。





(表2)
中質紙抄紙工程から入手した種箱原料(pH6.40、乾燥固形分4.15質量%)と白水(pH6.65、乾燥固形分0.30質量%)を用い、白水循環系に添加する本発明のピッチ低減方法の試験を行った。先ず、白水にビニル重合系架橋性水溶性重合体試作1〜6を200ppm添加し、60秒間攪拌した。その後、種原料をビニル重合系架橋性水溶性単量体で処理した白水で乾燥固形分1.0重量%に希釈し、ワットマン濾紙No.41により濾過し、濾液の濁度をHACH社製2100P型により、アニオントラッシュのカチオン要求量をBTG社製PCD−03型により測定した。
又、マイクロピッチの測定は、種原料をビニル重合系架橋性水溶性単量体試作1〜6で処理した白水で希釈した原料を、実施例1と同様な操作で実施した。結果を表3に示す。
更に集塊化し成紙の欠陥となり得る粘着物の測定についても、種原料をビニル重合系架橋性水溶性単量体試作1〜6で処理した白水で希釈した原料を対象に実施例1と同様な操作で実施した。結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例2と同様な種箱原料と白水を用いて同様な操作で試験をビニル重合系架橋性水溶性重合体試作−7、8、比較1及び無添加について実施した。結果を表3に示す。
(表3)
実施例1の試作−1〜6を添加した場合、比較例1の試作−7、8及び比較1を添加した場合よりもカチオン要求量、濁度及びマイクロピッチが大きく減少した。 一方、実施例1の試作−1〜6を添加した場合の転写法粘着性ピッチ数及び粘着性ピッチ総面積は、比較例1の試作−7、8と比べて大きな差はないことから、アニオントラッシュ、濁度成分、マイクロピッチが粗大化し粘着性を帯びる前に処理できたことが確認できた。実施例2の試作−1〜6を添加した場合では、比較例2−4の無添加に対して、カチオン要求量、濁度の減少幅は小さいが、転写法粘着性ピッチ数及び粘着性ピッチ総面積が大きく減少しており、白水循環系によりマイクロピッチが粗大化したピッチの粘着性低減効果が確認できた。試作−7、8及び比較1では試作−1〜6の処理効果は得られなかった。製紙工程上流の原料については凝結剤添加によりアニオントラッシュやマイクロピッチを処理することが、白水循環系では粘着性ピッチを処理することが重要であり、本発明のビニル重合系架橋性水溶性重合体での処理効果が確認できた。
以上、本発明により、マイクロピッチ、アニオントラッシュ及び粘着ピッチ低減効果が確認でき、これは、抄紙工程において、製紙欠陥や汚れ発生等のトラブルの要因となるピッチの低減方法を提供する課題を解決する。
ピッチ発生による製紙欠陥や汚れを抑制するため本発明で使用するビニル重合系架橋性水溶性重合体を、製紙工程において添加する場所を図示したフロー図である。
(1)原料チェスト
(2)混合チェスト
(3)マシンチェスト
(4)水溶性重合体(原料系添加)
(5)種箱
(6)一次ファンポンプ
(7)二次ファンポンプ
(8)スクリーン
(9)インレット
(10)ワイヤー
(11)白水
(12)水溶性重合体(白水循環系添加)

Claims (3)

  1. 抄紙前の製紙工程において、ピッチコントロール剤として、電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体のみを製紙原料に添加するピッチ低減方法であり、前記電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体が下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜100モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜35モル%、共重合可能な非イオン性水溶性単量体0〜90モル%、及び架橋性単量体からなる単量体混合物を重合した重量平均分子量が10万〜600万のものであることを特徴とするピッチ低減方法。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、
    は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす
    一般式(3)
    は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO
    SO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素又はCOO 、YあるいはYは水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。ビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体を製紙原料に添加することを特徴とするピッチ低減方法。
  2. 前記ビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体の形態が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜100モル%、前記一般式(3)で表される単量体0〜35モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体0〜90モル%、及び架橋性単量体からなる単量体混合物水溶液を界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し重合した後、適宜転相剤を添加し製造された油中水型エマルジョンであることを特徴とする請求項に記載のピッチ低減方法。
  3. 前記電荷内包率35%以上、90%以下のビニル重合系架橋性水溶性カチオン性或いは両性重合体の添加場所が製紙工程の主製紙原料流に混合される白水の配管であることを特徴とする請求項1に記載のピッチ低減方法。
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