JP2004025094A - 架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種排水の処理剤としても適するだけでなく、製紙工業における歩留向上及び/または濾水性向上あるいは製紙原料の前処理にも適するイオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を開発する。
【解決手段】特定の単量体組成を有する単量体と複数のビニル基を有する単量体からなる単量体混合物を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤によって達成できる。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の単量体組成を有する単量体と複数のビニル基を有する単量体からなる単量体混合物を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤によって達成できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤及びその使用方法に関するものであり、詳しくは特定のイオン性単量体及び複数のビニル基を有する単量体を必須成分とする単量体(混合物)を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤とその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙における歩留向上剤や下水などの汚泥脱水には、従来カチオン性高分子凝集剤が使用されている。特に汚泥脱水剤は、近年の汚泥発生量の増加及び汚泥性状の悪化により、従来のカチオン性高分子凝集剤では、汚泥の処理量に限界があることや、脱水ケーキ含水率、SS回収率、ケーキの濾布からの剥離性などの点で処理状態は必ずしも満足できるものではなく、改善が求められている。これら従来のカチオン性高分子凝集剤の欠点を改良するために、両性高分子凝集剤が種々提案されているが、これらの両性高分子脱水剤は必ずしも十分に満足しうるものではない。また、脱水ケーキ含水率の低下や濾布からの剥離性改善を目的として、たとえば特開平2−219887公報や特公平8−164公報などには、架橋性のイオン性高分子凝集剤が開示されている。
【0003】
製紙における歩留向上剤に関しては、抄紙速度の高速化や製紙原料中への不純物の増加に対応するため凝集力の向上が追求されてきたため、架橋性高分子の応用という観点は考慮されてこなかった。高分子凝集剤は、性能向上のため一方向では高分子量化が追求されてきたため凝集力は確かに向上はしてきたが、特に製紙工業における歩留向上剤として使用した場合、地合の乱れなど副作用も発生する例が度々みられるようになった。これに対し架橋性高分子は水中における分子の広がりが直鎖状高分子に較べ相対的に小さいので、凝集力が抑制されていて製紙工業におけるプロセス薬剤に適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種排水の処理剤としても適するだけでなく、製紙工業における歩留向上及び/または濾水性向上あるいは製紙原料の前処理に適するイオン性水溶性高分子からなる処理剤を開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記のような発明に達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体5〜99.999モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、水溶性非イオン性単量体0〜94モル%及び複数のビニル基を有する単量体0.001〜1モル%からなる単量体混合物を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤に関する。
【化1】
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
【化3】
一般式(3)
R8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、
CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
【0006】
請求項2の発明は、前記架橋性イオン性水溶性高分子が噴霧乾燥品であることを特徴とする請求項1に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【0007】
請求項3は、前記架橋性イオン性水溶性高分子が、単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下の架橋性イオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項1に記載の凝集処理剤である。
【0008】
請求項4の発明は、前記複数のビニル基を有する単量体が、下記一般式(4)で表される多官能性水溶性ポリカチオン単量体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【化4】
一般式(4)
R10〜R13は水素又はメチル基、X3、X4は陰イオン、pは0〜20の整数をそれぞれ表わす、ただしPは下記一般式(5)で表わされる。
【化5】
一般式(5)
R14、R15は水素、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、炭素数2〜4のアルキレン基あるいはアルコキシレン基、R16は水素又はメチル基、Lは−O−又は−NH−、X5−は陰イオン、ただしR14〜R15が水素である場合は、部分的にPに置換されても良い
【0009】
請求項5の発明は、前記多官能性水溶性ポリカチオン単量体がアンモニア、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン、脂肪族第3級アミンから選択された一種以上のアミン類とエピハロヒドリンから生成した重縮合物とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドとの反応物であることを特徴とする請求項4に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする製紙スラッジの脱水方法である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を抄紙前の製紙原料中に添加、処理することを特徴とする製紙原料の前処理方法である。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤と、無機及び/または有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0014】
請求項10の発明は、前記アニオン性物質が、ベントナイトあるいはコロイダルシリカであることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法である。
【0015】
請求項11の発明は、前記アニオン性物質が、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と水溶性非イオン性単量体を0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
初めに本発明で使用する複数のビニル基を有する単量体について説明する。このような単量体の例として、メチレンビスアクリルアミドやエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−トなどの多官能性単量体、あるいはN、N−ジメチルアクリルアミドのような熱架橋性単量体などがあげられる。また、好ましい複数のビニル基を有する単量体としては、前記一般式(4)で表される多官能性水溶性ポリカチオン単量体である。この単量体は、以下のようにして合成することができる。すなわちエピハロヒドリンとアンモニア、第1級アミンまたは第2級アミンのうち、一種以上のアミン類と反応させた生成物を得た後、第3級アミノ基含有アクリルモノマーとを反応させ、その反応物の末端の少なくとも2つがビニル基を有するポリカチオン多官能性単量体である。すなわち、R10〜R13は水素または炭素数1〜3のアルキル基のなかから選ばれた同種または異種のアルキル基が結合したエピハロヒドリン残基を示す。このエピハロヒドリン残基は、一種類のアミンを使用すれば、同種の繰り返し単位が重合したものとなる。一方、二種以上のアミンを使用すれば異なった繰り返し単位が重合したものとなる。
【0017】
これらの第1級アミンの中で、好ましくは、メチルアミン及びエチルアミンである。前記第2級アミンは、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、などである。これらの第2級アミンは1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
前記第3級アミノ基含有アクリルモノマーは、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また最も好ましいものは、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。
【0019】
複数のビニル基を有する単量体の添加量は以下のようになる。すなわちメチレンビスアクリルアミドやエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−トなどの多官能性単量体、あるいはN、N−ジメチルアクリルアミド単量体などの場合は、単量体混合物全重量に対し0.001〜0.1モル%であり、好ましくは0.002〜0.05%であり、更に好ましくは0.005〜0.05%である。また多官能性水溶性ポリカチオン単量体の前記単量体混合物全重量に対する添加量は、0.001〜1モル%であり、好ましくは0.01〜0.5%であり、更に好ましくは0.05〜0.5%である。重合温度は前記のような通常の重合条件で行うことができる。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5重量%など併用すると効果的である。
【0020】
前記多官能性水溶性ポリカチオン単量体を前記単量体混合物と共重合することにより製造したイオン性架橋性水溶性高分子は、従来のN,N−メチレンビスアクリルアミドあるいはエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのような架橋点間の比較的短い架橋剤を使用した場合に較べ、架橋点間が長く、その上カチオン性基が架橋点間に存在する。従って分子が収縮し過ぎず、水中における形態が適度な状態で存在できる。その結果、架橋性高分子の特徴を保持し、懸濁粒子との接触も効率的に行なわれる。
【0021】
重合法としては、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合などによって重合した後、それぞれ水溶液、分散液、エマルジョンあるいは粉末など任意の製品形態にすることができる。好ましい形態としては、濃度を高められ、溶解時間も短い油中水型エマルジョン重合品、あるいは塩水中分散重合品が好ましい。また、油中水型エマルジョン重合品を噴霧乾燥した粉末品も好ましい。
【0022】
油中水型高分子エマルジョンの製造方法としては、カチオン性単量体、あるいはカチオン性単量体と共重合可能な単量体からなる単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する。
【0023】
分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。
【0024】
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
【0025】
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面化成剤の例としては、カチオン性界面化成剤やHLB9〜15のノニオン性界面化成剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。
【0026】
また、油中水型エマルジョン重合した重合物を、そのまま噴霧乾燥することもできる。従来、架橋性の水溶性高分子を粉末化することは、乾燥時、架橋反応が進行する副反応が起き、なかなか実用化が難しかった。しかし、この噴霧乾燥することにより架橋性水溶性高分子の粉末を容易に企業的規模で生産可能となった。噴霧化を用意にするため油中水型エマルジョン重合品の濃度を多少調節後、噴霧乾燥機に送り、70〜110℃程度の温度により、乾燥する。また乾燥時、熱によって架橋反応が進み、その分汚泥脱水剤としての性能が向上することも期待できる。
【0027】
さらに塩水溶液中に分散した高分子微粒子分散液からなる水溶性重合体に関しては、特開昭62−15251号公報などによって製造することができる。この方法は、カチオン性単量体あるいはカチオン性単量体と非イオン性単量体を、塩水溶液中で該塩水溶液に可溶な高分子からなる分散剤共存下で、攪拌しながら製造された粒系100mμ以下の高分子微粒子の分散液からなるもである。イオン性架橋性水溶性高分子を製造する場合は、これら単量体に複数のビニル基を有する単量体を重合時共存させる。
【0028】
高分子からなる分散剤は、カチオン性水溶性高分子としては、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の単独重合体や非イオン性単量体との共重合体を使用である。また、水溶性非イオン性高分子は、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/ポリビニルカプロラクタム共重合体、アクリルアミド/スチレン共重合体、無水マレイン酸/ブテン共重物の完全アミド化物などアミド基と若干の疎水性基を有する水溶性高分子が有効である。
【0029】
塩水溶液を構成する無機塩類は、多価アニオン塩類が、より好ましく、硫酸塩又は燐酸塩が適当であり、具体的には、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸水素アンモニウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム等を例示することができ、これらの塩を濃度15%以上の水溶液として用いることが好ましい
【0030】
油中水型エマルジョン重合の場合は重合濃度として、20〜50重量%であり、好ましくは25〜40重量%である。また、塩水溶液中分散重合の場合は、15〜40重量%であり、好ましくは20〜35重量%である。またどちらも重合温度としては、0〜80℃であり、好ましくは20〜50℃、最も好ましくは20〜40℃であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合温度を設定する。
【0031】
本発明の架橋性水溶性イオン性高分子は、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体5〜99.999モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、非イオン性単量体0〜94モル%及び複数のビニル基を有する単量体0.0001〜1モル%からなる単量体混合物を重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、既知の重合法によって行うことができる。
【0032】
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミンなどの重合体や共重合体が上げられ、四級アンモニウム基含重合体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。また前記一般式(2)で表されるカチオン性単量体の例としては、ジメチルジアリルアンモニウム系単量も使用可能であり、その例としてジメチルジアリルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。
【0033】
さらに一般式(3)で表されるアニオン性単量体の例としては、スルフォン基でもカルボキシル基でもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
【0034】
水溶性非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。
【0035】
前記単量体あるいは単量体混合物を共重合して得られる架橋性イオン性水溶性高分子の分子量は、50万〜2,000万であり、好ましくは50万〜1500万、さらに好ましくは500万〜1000万である。
【0036】
本発明の架橋性イオン性水溶性高分子は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥、あるいは製紙スラッジの脱水に使用することができる。さらに、古紙や機械パルプに由来するピッチ類あるいはアニオン性物質の前処理を行うため、抄紙前の製紙原料中に添加して使用することもできる。
【0037】
更に本発明の架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤は、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。
また、架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤と、無機あるいは有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。前記アニオン性物質のうち、無機物としては、ベントナイト、カオリン、クレイあるいはタルクなどであり、またコロイダルシリカも使用できる。
【0038】
前記アニオン性物質が、アニオン性水溶性高分子の場合は、どのようなアニオン性水溶性高分子も使用できるが、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と(メタ)アクリルアミドを0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液を使用することが好ましい。この高分子の製造法は、前記架橋性カチオン性あるいは両性水溶性高分子の場合と同様である。高分子分散剤は、アニオン性高分子を使用することが好ましい。例えば、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(塩)やスチレンスルホン酸(塩)などのアニオン性単量体の(共)重合体である。これらアニオン性単量体とカルボキシル基含有単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などとの共重合体も使用可能である。さらに非イオン性の単量体であるアクリルアミドとの共重合体も使用できる。また、場合によっては、無機のアニオン性物質と有機のアニオン性物質とを併用しても良い。
【0039】
本発明のイオン性架橋性水溶性高分子の添加量は、汚泥固形分に対し重量で0.1〜1.0%であり、好ましくは0.2〜0.5%である。また、前処理として使用するには、製紙原料中乾燥分に対し、50〜10,000ppmであり、好ましくは100〜2,000ppmである。さらに濾水及び/又は歩留向上剤として使用する場合は、製紙原料中乾燥分に対し、50〜2,000ppmであり、好ましくは100〜1,000ppmである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0041】
【実施例1】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水113.1gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液23.6gを混合し、これを35%水酸化ナトリウム水溶液22.4gで当量中和した。中和後、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液126.7g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液34.0g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液65.1g及び合成例で作成した多官能性水溶性ポリカチオン単量体60%水溶液0.8g(対単量体0.3重量%)各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.01に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=40/10/15/35(モル%)である。
【0042】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液2.0g(対単量体0.5重量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02重量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−1)とした。また静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
【実施例2】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン120.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水32.0g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液184.4g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液27.0g及び合成例で作成した多官能性水溶性ポリカチオン単量体60%水溶液1.1g(対単量体0.4重量%)各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.35に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=80/20(モル%)である。
【0044】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液2.4g(対単量体0.6重量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02重量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−2)とした。結果を表1に示す。
【0045】
【実施例3〜5】
実施例1あるいは実施例2と同様な操作により、表1に示す複数のビニル基を有する単量体とその他の単量体組成により、それぞれDMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−3)、DMQ/AAM=80/20(試料−4)、DMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−5)(いずれもモル%)からなる組成の油中水型両性高分子エマルジョンを合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0046】
【実施例6】
温度計、攪拌機、窒素導入管、ペリスタポンプ(SMP−21型、東京理化器械製)に接続した単量体供給管およびコンデンサ−を備えた500mLの4ツ口フラスコ内にメタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)の80重量水溶液%46.3g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)の80重量%水溶液60.5g、アクリル酸(以下AACと略記)の60重量%水溶液20.6g、アクリルアミド(以下AAMと略記)の50%水溶液36.5g、イオン交換水173.1g、硫酸アンモニウム125.0g、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物単独重合体30.0g(20重量%液、粘度6450mPa・s)をそれぞれしこみpHを3.3に調節した。この時各単量体のモル%は、DMC/DMQ/AAC/AAM=25/35/20/20である。次ぎに反応器内の温度を30±2℃に保ち、30分間窒素置換をした後、開始剤として2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ニ塩化水素化物の1%水溶液1.0g(対単量体0.01%)を添加し重合を開始させた。内部温度を30±2℃に保ち重合開始から7時間反応させた時点で上記開始剤を対単量体0.01%追加し、さらに7時間反応させ終了した。得られた分散液のしこみ単量体濃度は20%であり、ポリマー粒径は10μm以下、分散液の粘度は750mPa・sであった。また、静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。この試料を試料−6とする。結果を表1及び表2に示す。
【0047】
【実施例7〜10】
実施例6と同様な操作により、表1に示す複数のビニル基を有する単量体とその他の単量体組成により、それぞれDMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−7)、DMQ/AAM=80/20(試料−8)、DMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−9)、DMQ/AAM=80/20(試料−10)(いずれもモル%)からなる組成の塩水溶液中分散重合品を合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0048】
【実施例11〜13】
実施例1〜3で製造した油中水型エマルジョン、親水性界面活性剤添加前の試料−1〜試料−3に対応する試料を、スプレードライヤーに噴霧し、粉末品の試料−11〜試料−13を製造した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0049】
【比較例1〜3】
実施例1〜5と同様な操作により、複数のビニル基を有する単量体を共存させず表1に示す単量体組成により、比較−1〜比較−3の油中水型エマルジョン重合品を合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0050】
(アニオン性水溶性重合体分散液の合成例)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:107.7g、硫酸アンモニウム26.8g、硫酸ナトリウム17.9g、60アクリル酸:32.7g、50%アクリルアミド:90.3gを加え、30重量%の水酸化ナトリウム5.8gによりアクリル酸の16モル%を中和した。また15重量%のメタクリル酸/アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸=3/7(モル比、酸の90モル%を中和)共重合体水溶液(溶液粘度42、600mPa・s)18.9gを添加した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により30℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で0.6g添加し重合を開始させた。重合開始後3時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに6時間後にそれぞれ3.0g追加し15時間で反応を終了した。この試作品を試作−1とする。この試作−1のアクリル酸とアクリルアミドのモル比は30:70であり、粘度は200mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であることが判明した。また、重量平均分子量を測定すると、1000万であった。これをアニオン性水溶性高分子−Aとする。
【0051】
【表1】
DMC:メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド、架橋剤:対単量体モル%、PCM:多官能性水溶性ポリカチオン単量体、MBA;メチレンビスアクリルアミド、
製品形態:E;油中水型エマルジョン品、D;塩水溶液中分散重合品、
P;噴霧乾燥品
【0052】
【表2】
分散液粘度:mPa・s、分子量の単位:万
【0053】
【実施例14〜26】
都市下水消化汚泥(pH7.66、全ss分28,500mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取し、表2の架橋性水溶性イオン性高分子、試料−1〜試料−13を対汚泥固形分4000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0054】
【比較例4〜6】
表2の比較例の試料、比較−1〜比較−3の試料を用い、実施例14〜26と同様な試験操作によって行った。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:重量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0056】
【実施例27〜39】
都市下水混合生汚泥(pH6.89、全ss分40、300mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取し、ポリ塩化第二鉄を対汚泥固形分2000ppm添加しビ−カ−移し変え攪拌5回行った。この時の汚泥pHは、4.86であった。次ぎに表2の試料−1〜試料−13を対汚泥固形分3000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0057】
【比較例7〜9】
表2の比較試料、比較−1〜比較−3を用いた試験を実施例27〜39と同様な試験操作によって行った。結果を表4に示す。
【0058】
【実施例40〜52】
製紙会社現場の製紙スラッジ(pH6.05、全ss分20,500mg/L)200mlをポリビ−カ−に採取し、表2の試料−1〜試料−13を対乾燥固形分液0.2添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧4Kg/m2で1分間脱水する。その後ケ−キの濾布剥離性及びケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
【0059】
【比較例10〜12】
表2の比較試料、比較−1〜比較−3を用いた試験を実施例40〜52と同様な試験操作によって行った。結果を表5に示す。
【0060】
【実施例53〜58】
機械パルプ、LBKP及びチラシ古紙からなる中質紙製紙原料(pH5.82、濁度1250FAU、全ss3.05%、灰分0.25%、カチオン要求量0.055meq/L、ゼ−タポテンシャル−9mV)100mL採取し、攪拌機にセットした。また実施例1〜13と同様な操作により表6の試料−14〜試料−17あるいは比較−5〜比較−6及び試料−14と試料−15を噴霧乾燥したものをそれぞれ製造した。これら試料を対ss分300ppm添加し、500回転/分で60秒間攪拌する。その後、ワットマン製NO.41(90mm)の濾紙にて全量濾過し、濾液のカチオン要求量をミュ−テック社製、PCD−03型により、また濁度をHACH、DR2000P型濁度計にて測定した。結果を表7に示す。
【0061】
【比較例13〜15】
比較として重縮合系カチオン性ポリマー、ジメチルアミン/エピクロロヒドリン/ポリアミン反応物(分子量:15,000、カチオン当量値:7.51meq/g)(比較−4)、及び実施例1〜13と同様な操作により製造した表6の比較−5〜比較−6を用いて試験を行った。結果を表7に示す。
【0062】
【実施例59〜71】
中質紙原料(LBKP/DIP/TMP=10/60/30、pH7.1、全ss2.40%、灰分0.30%)を用い、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。初めに液体硫酸バンド1.5%、その後、表2の試料−1〜試料−13を対製紙原料0.015%添加し、合成例で製造したアニオン性水溶性高分子−Aを対製紙原料0.015%添加した。薬剤の添加順は上記の順で15秒間隔により下記試験条件で行い、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは5.60であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC、NO.2にて濾過し測定した。また濾紙を乾燥後、濾紙を800℃で焼却し灰分を測定することにより無機物歩留率を算出した。更に上記全種類の薬品を加え抄紙した場合の紙の地合を確認するため、タッピスタンダ−ドシ−トマシン(1/50m2)によって乾燥坪量60g/m2の紙を抄紙し、乾燥後、目視にて地合を観察した。以上の結果を表8に示す。
【0063】
【比較例16〜19】
比較として重縮合系カチオン性ポリマー、ジメチルアミン/エピクロロヒドリン/ポリアミン反応物(分子量:15,000、カチオン当量値:7.51meq/g)(比較−4)、及び表2の比較−1〜比較−3を用いて試験を行った。結果を表8に示す。
【0064】
【実施例72〜84】
上質紙製造用の製紙原料(LBKPを主体としたもの、pH6.23、全ss分2.37%、灰分0.41%)を検体として、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。添加薬品として、カチオン性デンプン、対製紙原料0.5重量%(以下同様)、軽質炭酸カルシウム、20%、中性ロジンサイズ、0.2%、硫酸バンド0.6%、表2の試料−1〜試料−13をそれぞれ0.025%この順で15秒間隔により下記試験条件で表1に示した試作品を添加し、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは6.87であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC NO.2にて濾過し測定した。また乾燥後、濾紙を600℃で焼却し灰分を測定することにより炭酸カルシウムの歩留率を算出した。結果を表9に示す。
【0065】
【比較例20〜23】
比較として表2の比較−1〜比較−3を用いて同様な操作により試験を行った。結果を表9に示す。
【0066】
【表4】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0067】
【表5】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0068】
【表6】
(a及び(bは多官能性水溶性ポリカチオン単量体、(c及び(dはMBA;メチレンビスアクリルアミド、添加量は対単量体モル%、製品形態:E;油中水型エマルジョン、D;塩水溶液中分散重合品、P;噴霧乾燥品
【0069】
【表7】
濾液カチオン要求量:meq/L
濾液濁度:FAU
【0070】
【表8】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%
【0071】
【表9】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤及びその使用方法に関するものであり、詳しくは特定のイオン性単量体及び複数のビニル基を有する単量体を必須成分とする単量体(混合物)を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤とその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙における歩留向上剤や下水などの汚泥脱水には、従来カチオン性高分子凝集剤が使用されている。特に汚泥脱水剤は、近年の汚泥発生量の増加及び汚泥性状の悪化により、従来のカチオン性高分子凝集剤では、汚泥の処理量に限界があることや、脱水ケーキ含水率、SS回収率、ケーキの濾布からの剥離性などの点で処理状態は必ずしも満足できるものではなく、改善が求められている。これら従来のカチオン性高分子凝集剤の欠点を改良するために、両性高分子凝集剤が種々提案されているが、これらの両性高分子脱水剤は必ずしも十分に満足しうるものではない。また、脱水ケーキ含水率の低下や濾布からの剥離性改善を目的として、たとえば特開平2−219887公報や特公平8−164公報などには、架橋性のイオン性高分子凝集剤が開示されている。
【0003】
製紙における歩留向上剤に関しては、抄紙速度の高速化や製紙原料中への不純物の増加に対応するため凝集力の向上が追求されてきたため、架橋性高分子の応用という観点は考慮されてこなかった。高分子凝集剤は、性能向上のため一方向では高分子量化が追求されてきたため凝集力は確かに向上はしてきたが、特に製紙工業における歩留向上剤として使用した場合、地合の乱れなど副作用も発生する例が度々みられるようになった。これに対し架橋性高分子は水中における分子の広がりが直鎖状高分子に較べ相対的に小さいので、凝集力が抑制されていて製紙工業におけるプロセス薬剤に適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種排水の処理剤としても適するだけでなく、製紙工業における歩留向上及び/または濾水性向上あるいは製紙原料の前処理に適するイオン性水溶性高分子からなる処理剤を開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記のような発明に達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体5〜99.999モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、水溶性非イオン性単量体0〜94モル%及び複数のビニル基を有する単量体0.001〜1モル%からなる単量体混合物を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤に関する。
【化1】
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
【化3】
一般式(3)
R8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、
CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
【0006】
請求項2の発明は、前記架橋性イオン性水溶性高分子が噴霧乾燥品であることを特徴とする請求項1に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【0007】
請求項3は、前記架橋性イオン性水溶性高分子が、単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下の架橋性イオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項1に記載の凝集処理剤である。
【0008】
請求項4の発明は、前記複数のビニル基を有する単量体が、下記一般式(4)で表される多官能性水溶性ポリカチオン単量体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【化4】
一般式(4)
R10〜R13は水素又はメチル基、X3、X4は陰イオン、pは0〜20の整数をそれぞれ表わす、ただしPは下記一般式(5)で表わされる。
【化5】
一般式(5)
R14、R15は水素、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、炭素数2〜4のアルキレン基あるいはアルコキシレン基、R16は水素又はメチル基、Lは−O−又は−NH−、X5−は陰イオン、ただしR14〜R15が水素である場合は、部分的にPに置換されても良い
【0009】
請求項5の発明は、前記多官能性水溶性ポリカチオン単量体がアンモニア、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン、脂肪族第3級アミンから選択された一種以上のアミン類とエピハロヒドリンから生成した重縮合物とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドとの反応物であることを特徴とする請求項4に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする製紙スラッジの脱水方法である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を抄紙前の製紙原料中に添加、処理することを特徴とする製紙原料の前処理方法である。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤と、無機及び/または有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0014】
請求項10の発明は、前記アニオン性物質が、ベントナイトあるいはコロイダルシリカであることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法である。
【0015】
請求項11の発明は、前記アニオン性物質が、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と水溶性非イオン性単量体を0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
初めに本発明で使用する複数のビニル基を有する単量体について説明する。このような単量体の例として、メチレンビスアクリルアミドやエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−トなどの多官能性単量体、あるいはN、N−ジメチルアクリルアミドのような熱架橋性単量体などがあげられる。また、好ましい複数のビニル基を有する単量体としては、前記一般式(4)で表される多官能性水溶性ポリカチオン単量体である。この単量体は、以下のようにして合成することができる。すなわちエピハロヒドリンとアンモニア、第1級アミンまたは第2級アミンのうち、一種以上のアミン類と反応させた生成物を得た後、第3級アミノ基含有アクリルモノマーとを反応させ、その反応物の末端の少なくとも2つがビニル基を有するポリカチオン多官能性単量体である。すなわち、R10〜R13は水素または炭素数1〜3のアルキル基のなかから選ばれた同種または異種のアルキル基が結合したエピハロヒドリン残基を示す。このエピハロヒドリン残基は、一種類のアミンを使用すれば、同種の繰り返し単位が重合したものとなる。一方、二種以上のアミンを使用すれば異なった繰り返し単位が重合したものとなる。
【0017】
これらの第1級アミンの中で、好ましくは、メチルアミン及びエチルアミンである。前記第2級アミンは、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、などである。これらの第2級アミンは1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
前記第3級アミノ基含有アクリルモノマーは、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また最も好ましいものは、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。
【0019】
複数のビニル基を有する単量体の添加量は以下のようになる。すなわちメチレンビスアクリルアミドやエチレングルコ−ルジ(メタ)アクリレ−トなどの多官能性単量体、あるいはN、N−ジメチルアクリルアミド単量体などの場合は、単量体混合物全重量に対し0.001〜0.1モル%であり、好ましくは0.002〜0.05%であり、更に好ましくは0.005〜0.05%である。また多官能性水溶性ポリカチオン単量体の前記単量体混合物全重量に対する添加量は、0.001〜1モル%であり、好ましくは0.01〜0.5%であり、更に好ましくは0.05〜0.5%である。重合温度は前記のような通常の重合条件で行うことができる。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5重量%など併用すると効果的である。
【0020】
前記多官能性水溶性ポリカチオン単量体を前記単量体混合物と共重合することにより製造したイオン性架橋性水溶性高分子は、従来のN,N−メチレンビスアクリルアミドあるいはエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのような架橋点間の比較的短い架橋剤を使用した場合に較べ、架橋点間が長く、その上カチオン性基が架橋点間に存在する。従って分子が収縮し過ぎず、水中における形態が適度な状態で存在できる。その結果、架橋性高分子の特徴を保持し、懸濁粒子との接触も効率的に行なわれる。
【0021】
重合法としては、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合などによって重合した後、それぞれ水溶液、分散液、エマルジョンあるいは粉末など任意の製品形態にすることができる。好ましい形態としては、濃度を高められ、溶解時間も短い油中水型エマルジョン重合品、あるいは塩水中分散重合品が好ましい。また、油中水型エマルジョン重合品を噴霧乾燥した粉末品も好ましい。
【0022】
油中水型高分子エマルジョンの製造方法としては、カチオン性単量体、あるいはカチオン性単量体と共重合可能な単量体からなる単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する。
【0023】
分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。
【0024】
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
【0025】
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面化成剤の例としては、カチオン性界面化成剤やHLB9〜15のノニオン性界面化成剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。
【0026】
また、油中水型エマルジョン重合した重合物を、そのまま噴霧乾燥することもできる。従来、架橋性の水溶性高分子を粉末化することは、乾燥時、架橋反応が進行する副反応が起き、なかなか実用化が難しかった。しかし、この噴霧乾燥することにより架橋性水溶性高分子の粉末を容易に企業的規模で生産可能となった。噴霧化を用意にするため油中水型エマルジョン重合品の濃度を多少調節後、噴霧乾燥機に送り、70〜110℃程度の温度により、乾燥する。また乾燥時、熱によって架橋反応が進み、その分汚泥脱水剤としての性能が向上することも期待できる。
【0027】
さらに塩水溶液中に分散した高分子微粒子分散液からなる水溶性重合体に関しては、特開昭62−15251号公報などによって製造することができる。この方法は、カチオン性単量体あるいはカチオン性単量体と非イオン性単量体を、塩水溶液中で該塩水溶液に可溶な高分子からなる分散剤共存下で、攪拌しながら製造された粒系100mμ以下の高分子微粒子の分散液からなるもである。イオン性架橋性水溶性高分子を製造する場合は、これら単量体に複数のビニル基を有する単量体を重合時共存させる。
【0028】
高分子からなる分散剤は、カチオン性水溶性高分子としては、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の単独重合体や非イオン性単量体との共重合体を使用である。また、水溶性非イオン性高分子は、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/ポリビニルカプロラクタム共重合体、アクリルアミド/スチレン共重合体、無水マレイン酸/ブテン共重物の完全アミド化物などアミド基と若干の疎水性基を有する水溶性高分子が有効である。
【0029】
塩水溶液を構成する無機塩類は、多価アニオン塩類が、より好ましく、硫酸塩又は燐酸塩が適当であり、具体的には、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸水素アンモニウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム等を例示することができ、これらの塩を濃度15%以上の水溶液として用いることが好ましい
【0030】
油中水型エマルジョン重合の場合は重合濃度として、20〜50重量%であり、好ましくは25〜40重量%である。また、塩水溶液中分散重合の場合は、15〜40重量%であり、好ましくは20〜35重量%である。またどちらも重合温度としては、0〜80℃であり、好ましくは20〜50℃、最も好ましくは20〜40℃であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合温度を設定する。
【0031】
本発明の架橋性水溶性イオン性高分子は、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体5〜99.999モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、非イオン性単量体0〜94モル%及び複数のビニル基を有する単量体0.0001〜1モル%からなる単量体混合物を重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、既知の重合法によって行うことができる。
【0032】
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミンなどの重合体や共重合体が上げられ、四級アンモニウム基含重合体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。また前記一般式(2)で表されるカチオン性単量体の例としては、ジメチルジアリルアンモニウム系単量も使用可能であり、その例としてジメチルジアリルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。
【0033】
さらに一般式(3)で表されるアニオン性単量体の例としては、スルフォン基でもカルボキシル基でもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
【0034】
水溶性非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。
【0035】
前記単量体あるいは単量体混合物を共重合して得られる架橋性イオン性水溶性高分子の分子量は、50万〜2,000万であり、好ましくは50万〜1500万、さらに好ましくは500万〜1000万である。
【0036】
本発明の架橋性イオン性水溶性高分子は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥、あるいは製紙スラッジの脱水に使用することができる。さらに、古紙や機械パルプに由来するピッチ類あるいはアニオン性物質の前処理を行うため、抄紙前の製紙原料中に添加して使用することもできる。
【0037】
更に本発明の架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤は、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。
また、架橋性イオン性水溶性高分子からなる処理剤と、無機あるいは有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。前記アニオン性物質のうち、無機物としては、ベントナイト、カオリン、クレイあるいはタルクなどであり、またコロイダルシリカも使用できる。
【0038】
前記アニオン性物質が、アニオン性水溶性高分子の場合は、どのようなアニオン性水溶性高分子も使用できるが、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と(メタ)アクリルアミドを0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液を使用することが好ましい。この高分子の製造法は、前記架橋性カチオン性あるいは両性水溶性高分子の場合と同様である。高分子分散剤は、アニオン性高分子を使用することが好ましい。例えば、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(塩)やスチレンスルホン酸(塩)などのアニオン性単量体の(共)重合体である。これらアニオン性単量体とカルボキシル基含有単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などとの共重合体も使用可能である。さらに非イオン性の単量体であるアクリルアミドとの共重合体も使用できる。また、場合によっては、無機のアニオン性物質と有機のアニオン性物質とを併用しても良い。
【0039】
本発明のイオン性架橋性水溶性高分子の添加量は、汚泥固形分に対し重量で0.1〜1.0%であり、好ましくは0.2〜0.5%である。また、前処理として使用するには、製紙原料中乾燥分に対し、50〜10,000ppmであり、好ましくは100〜2,000ppmである。さらに濾水及び/又は歩留向上剤として使用する場合は、製紙原料中乾燥分に対し、50〜2,000ppmであり、好ましくは100〜1,000ppmである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0041】
【実施例1】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水113.1gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液23.6gを混合し、これを35%水酸化ナトリウム水溶液22.4gで当量中和した。中和後、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液126.7g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液34.0g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液65.1g及び合成例で作成した多官能性水溶性ポリカチオン単量体60%水溶液0.8g(対単量体0.3重量%)各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.01に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=40/10/15/35(モル%)である。
【0042】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液2.0g(対単量体0.5重量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02重量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−1)とした。また静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
【実施例2】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン120.0gにソルビタンモノオレート6.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.6gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水32.0g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液184.4g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液27.0g及び合成例で作成した多官能性水溶性ポリカチオン単量体60%水溶液1.1g(対単量体0.4重量%)各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.35に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=80/20(モル%)である。
【0044】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液2.4g(対単量体0.6重量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02重量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−2)とした。結果を表1に示す。
【0045】
【実施例3〜5】
実施例1あるいは実施例2と同様な操作により、表1に示す複数のビニル基を有する単量体とその他の単量体組成により、それぞれDMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−3)、DMQ/AAM=80/20(試料−4)、DMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−5)(いずれもモル%)からなる組成の油中水型両性高分子エマルジョンを合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0046】
【実施例6】
温度計、攪拌機、窒素導入管、ペリスタポンプ(SMP−21型、東京理化器械製)に接続した単量体供給管およびコンデンサ−を備えた500mLの4ツ口フラスコ内にメタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)の80重量水溶液%46.3g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)の80重量%水溶液60.5g、アクリル酸(以下AACと略記)の60重量%水溶液20.6g、アクリルアミド(以下AAMと略記)の50%水溶液36.5g、イオン交換水173.1g、硫酸アンモニウム125.0g、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物単独重合体30.0g(20重量%液、粘度6450mPa・s)をそれぞれしこみpHを3.3に調節した。この時各単量体のモル%は、DMC/DMQ/AAC/AAM=25/35/20/20である。次ぎに反応器内の温度を30±2℃に保ち、30分間窒素置換をした後、開始剤として2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ニ塩化水素化物の1%水溶液1.0g(対単量体0.01%)を添加し重合を開始させた。内部温度を30±2℃に保ち重合開始から7時間反応させた時点で上記開始剤を対単量体0.01%追加し、さらに7時間反応させ終了した。得られた分散液のしこみ単量体濃度は20%であり、ポリマー粒径は10μm以下、分散液の粘度は750mPa・sであった。また、静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。この試料を試料−6とする。結果を表1及び表2に示す。
【0047】
【実施例7〜10】
実施例6と同様な操作により、表1に示す複数のビニル基を有する単量体とその他の単量体組成により、それぞれDMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−7)、DMQ/AAM=80/20(試料−8)、DMQ/AAC/AAM=60/20/20(試料−9)、DMQ/AAM=80/20(試料−10)(いずれもモル%)からなる組成の塩水溶液中分散重合品を合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0048】
【実施例11〜13】
実施例1〜3で製造した油中水型エマルジョン、親水性界面活性剤添加前の試料−1〜試料−3に対応する試料を、スプレードライヤーに噴霧し、粉末品の試料−11〜試料−13を製造した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0049】
【比較例1〜3】
実施例1〜5と同様な操作により、複数のビニル基を有する単量体を共存させず表1に示す単量体組成により、比較−1〜比較−3の油中水型エマルジョン重合品を合成した。組成を表1に、結果を表2に示す。
【0050】
(アニオン性水溶性重合体分散液の合成例)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:107.7g、硫酸アンモニウム26.8g、硫酸ナトリウム17.9g、60アクリル酸:32.7g、50%アクリルアミド:90.3gを加え、30重量%の水酸化ナトリウム5.8gによりアクリル酸の16モル%を中和した。また15重量%のメタクリル酸/アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸=3/7(モル比、酸の90モル%を中和)共重合体水溶液(溶液粘度42、600mPa・s)18.9gを添加した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により30℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で0.6g添加し重合を開始させた。重合開始後3時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに6時間後にそれぞれ3.0g追加し15時間で反応を終了した。この試作品を試作−1とする。この試作−1のアクリル酸とアクリルアミドのモル比は30:70であり、粘度は200mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であることが判明した。また、重量平均分子量を測定すると、1000万であった。これをアニオン性水溶性高分子−Aとする。
【0051】
【表1】
DMC:メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド、架橋剤:対単量体モル%、PCM:多官能性水溶性ポリカチオン単量体、MBA;メチレンビスアクリルアミド、
製品形態:E;油中水型エマルジョン品、D;塩水溶液中分散重合品、
P;噴霧乾燥品
【0052】
【表2】
分散液粘度:mPa・s、分子量の単位:万
【0053】
【実施例14〜26】
都市下水消化汚泥(pH7.66、全ss分28,500mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取し、表2の架橋性水溶性イオン性高分子、試料−1〜試料−13を対汚泥固形分4000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0054】
【比較例4〜6】
表2の比較例の試料、比較−1〜比較−3の試料を用い、実施例14〜26と同様な試験操作によって行った。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:重量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0056】
【実施例27〜39】
都市下水混合生汚泥(pH6.89、全ss分40、300mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取し、ポリ塩化第二鉄を対汚泥固形分2000ppm添加しビ−カ−移し変え攪拌5回行った。この時の汚泥pHは、4.86であった。次ぎに表2の試料−1〜試料−13を対汚泥固形分3000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0057】
【比較例7〜9】
表2の比較試料、比較−1〜比較−3を用いた試験を実施例27〜39と同様な試験操作によって行った。結果を表4に示す。
【0058】
【実施例40〜52】
製紙会社現場の製紙スラッジ(pH6.05、全ss分20,500mg/L)200mlをポリビ−カ−に採取し、表2の試料−1〜試料−13を対乾燥固形分液0.2添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧4Kg/m2で1分間脱水する。その後ケ−キの濾布剥離性及びケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
【0059】
【比較例10〜12】
表2の比較試料、比較−1〜比較−3を用いた試験を実施例40〜52と同様な試験操作によって行った。結果を表5に示す。
【0060】
【実施例53〜58】
機械パルプ、LBKP及びチラシ古紙からなる中質紙製紙原料(pH5.82、濁度1250FAU、全ss3.05%、灰分0.25%、カチオン要求量0.055meq/L、ゼ−タポテンシャル−9mV)100mL採取し、攪拌機にセットした。また実施例1〜13と同様な操作により表6の試料−14〜試料−17あるいは比較−5〜比較−6及び試料−14と試料−15を噴霧乾燥したものをそれぞれ製造した。これら試料を対ss分300ppm添加し、500回転/分で60秒間攪拌する。その後、ワットマン製NO.41(90mm)の濾紙にて全量濾過し、濾液のカチオン要求量をミュ−テック社製、PCD−03型により、また濁度をHACH、DR2000P型濁度計にて測定した。結果を表7に示す。
【0061】
【比較例13〜15】
比較として重縮合系カチオン性ポリマー、ジメチルアミン/エピクロロヒドリン/ポリアミン反応物(分子量:15,000、カチオン当量値:7.51meq/g)(比較−4)、及び実施例1〜13と同様な操作により製造した表6の比較−5〜比較−6を用いて試験を行った。結果を表7に示す。
【0062】
【実施例59〜71】
中質紙原料(LBKP/DIP/TMP=10/60/30、pH7.1、全ss2.40%、灰分0.30%)を用い、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。初めに液体硫酸バンド1.5%、その後、表2の試料−1〜試料−13を対製紙原料0.015%添加し、合成例で製造したアニオン性水溶性高分子−Aを対製紙原料0.015%添加した。薬剤の添加順は上記の順で15秒間隔により下記試験条件で行い、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは5.60であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC、NO.2にて濾過し測定した。また濾紙を乾燥後、濾紙を800℃で焼却し灰分を測定することにより無機物歩留率を算出した。更に上記全種類の薬品を加え抄紙した場合の紙の地合を確認するため、タッピスタンダ−ドシ−トマシン(1/50m2)によって乾燥坪量60g/m2の紙を抄紙し、乾燥後、目視にて地合を観察した。以上の結果を表8に示す。
【0063】
【比較例16〜19】
比較として重縮合系カチオン性ポリマー、ジメチルアミン/エピクロロヒドリン/ポリアミン反応物(分子量:15,000、カチオン当量値:7.51meq/g)(比較−4)、及び表2の比較−1〜比較−3を用いて試験を行った。結果を表8に示す。
【0064】
【実施例72〜84】
上質紙製造用の製紙原料(LBKPを主体としたもの、pH6.23、全ss分2.37%、灰分0.41%)を検体として、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。添加薬品として、カチオン性デンプン、対製紙原料0.5重量%(以下同様)、軽質炭酸カルシウム、20%、中性ロジンサイズ、0.2%、硫酸バンド0.6%、表2の試料−1〜試料−13をそれぞれ0.025%この順で15秒間隔により下記試験条件で表1に示した試作品を添加し、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは6.87であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC NO.2にて濾過し測定した。また乾燥後、濾紙を600℃で焼却し灰分を測定することにより炭酸カルシウムの歩留率を算出した。結果を表9に示す。
【0065】
【比較例20〜23】
比較として表2の比較−1〜比較−3を用いて同様な操作により試験を行った。結果を表9に示す。
【0066】
【表4】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0067】
【表5】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
【0068】
【表6】
(a及び(bは多官能性水溶性ポリカチオン単量体、(c及び(dはMBA;メチレンビスアクリルアミド、添加量は対単量体モル%、製品形態:E;油中水型エマルジョン、D;塩水溶液中分散重合品、P;噴霧乾燥品
【0069】
【表7】
濾液カチオン要求量:meq/L
濾液濁度:FAU
【0070】
【表8】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%
【0071】
【表9】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%
Claims (11)
- 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体5〜99.999モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、水溶性非イオン性単量体0〜94モル%及び複数のビニル基を有する単量体0.001〜1モル%からなる単量体混合物を重合した架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤。
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
R8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、
CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン - 前記架橋性イオン性水溶性高分子が噴霧乾燥品であることを特徴とする請求項1に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤。
- 前記架橋性イオン性水溶性高分子が、前記単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下の架橋性イオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項1に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤。
- 前記多官能性水溶性ポリカチオン単量体がアンモニア、脂肪族第1級アミン、脂肪族第2級アミン、脂肪族第3級アミンから選択された一種以上のアミン類とエピハロヒドリンから生成した重縮合物とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドとの反応物であることを特徴とする請求項4に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤。
- 請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする製紙スラッジの脱水方法。
- 請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を抄紙前の製紙原料中に添加、処理することを特徴とする製紙原料の前処理方法。
- 請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤を、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法。
- 請求項1〜5に記載の架橋性イオン性水溶性高分子からなる凝集処理剤と、無機及び/または有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法。
- 前記アニオン性物質が、コロイダルシリカあるいはベントナイトであることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法。
- 前記アニオン性物質が、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と水溶性非イオン性単量体を0〜97モル%含有する単量体(混合物)を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項9に記載の製紙方法。
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