JP2004059748A - 水溶性高分子エマルジョン及びその使用方法 - Google Patents

水溶性高分子エマルジョン及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製品の安定性が高く、取り扱いが容易であり、しかも両高分子の欠点を補う目的を持って、アミジン水溶性高分子とアクリル系あるいはジアリルアンモニウム系水溶性高分子の油中水型エマルジョン配合物を開発することであり、またそれを用いた各種排水や製紙に関する処理方法を開発することである。
【解決手段】アミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製した油中水型エマルジョン(A)と、特定の組成からなる単量体混合物を重合して得たイオン性水溶性高分子からなる油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョンによって達成できる。また、各種排水や製紙原料に添加することにより効率よく処理することができる。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性高分子エマルジョンに関し、詳しくはアミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製し油中水型エマルジョン(A)と、特定の単量体混合物を重合して得た油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョンに関する。また、その使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミジン系水溶性高分子は、その製法が特開平5−192513号公報に開示されている。また、特異な性質により各種応用が期待されているが、現在、有機汚泥脱水剤(特開平6−218399号公報)やインクジェット用紙表面処理剤(特開平8−39927号公報)として実用化されている。また、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの油中水型エマルジョンを調製後重合し、重合体エマルジョンとした後、塩化水素ガスを吹き込みアミジン系水溶性高分子からなる油中水型エマルジョンを合成する方法は、特開平5−309208号公報に開示されている。しかしこの方法は、加水分解時の未反応塩化水素が残存しているため合成物のpHが極端に低く、取り扱いが非常に悪い。また、生成した高分子からなる油中水型エマルジョンに酸を添加し、変性反応を行っているため変性後の油中水型エマルジョンの安定性が良好ではない。
【0003】
一方、アクリル系水溶性高分子あるいはジアリルアンモニウム系水溶性高分子は、重合が容易であり、分子量やカチオン化度を自由に変化できるため現在使用されている高分子凝集剤の大きな部分を占めている。しかし、汚泥脱水剤として用いた時、脱水ケーキの含水率が下がらないなど問題点を抱える。アミジン系水溶性高分子も解離度は低いため中性〜弱アルカリ性で水処理に使用できなくなるなど欠点を有する。また、アクリル系水溶性高分子あるいはジアリルアンモニウム系水溶性高分子とアミジン系水溶性高分子の油中水型エマルジョンの形態を有する製品は、まだ検討されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
油中水型エマルジョン製品は、粉末製品に較べ溶解速度が速く、実用上のメリットが非常に高い。またアミジン系水溶性高分子は、特徴ある機能を有するが、重量当たりのカチオン当量値が低い、カチオン性解離度が低く中性から弱アルカリ性において使用できないなど欠点がる。一方、アクリル系高分子あるいはジアリルアンモニウム系高分子は、四級アンモニウム型が一般的であるので、カチオン性解離の問題はない。しかし汚泥の脱水性が必ずしも十分ではない。従って本発明の目的は、製品の安定性が高く、また生成物pHも通常の高分子凝集剤と同様の取り扱いが可能であり、しかも両方の欠点を補う目的を持って、アミジン水溶性高分子とアクリル系水溶性高分子あるいはジアリルアンモニウム系水溶性高分子の油中水型エマルジョン配合物を開発することであり、またそれを用いた各種排水や製紙に関する処理方法を開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記のような発明に達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、アミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製した油中水型エマルジョン(A)と、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる単量体を5〜100モル%、下記一般式(3)で表わされる単量体を0〜60モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜95モル%からなる単量体混合物を重合して得た油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョンに関する。
【化1】
Figure 2004059748
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】
Figure 2004059748
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
【化3】
Figure 2004059748
一般式(3)
R8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、
CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
【0006】
請求項2の発明は、アミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製した油中水型エマルジョン(A)と、前記一般式(3)で表わされる単量体を3〜100モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜97モル%からなる単量体混合物を重合して得た油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョンである。
【0007】
請求項3の発明は、前記アミジン系水溶性高分子水溶液が、アミジン系水溶性高分子の粉末製品を溶解して得たものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1〜3に記載の水溶性高分子エマルジョンを有機汚泥に添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする汚泥脱水方法である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜3に記載の水溶性高分子エマルジョンを製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする製紙スラッジの脱水方法である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンを抄紙前の製紙原料中に添加し処理することを特徴とする製紙原料の前処理方法である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンを、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンと、無機あるいは有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法である。
【0013】
請求項9の発明は、前記アニオン性物質が、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と(メタ)アクリルアミドを0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項8に記載の製紙方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の油中水型エマルジョンからなるアミジン系水溶性高分子エマルジョンは、アミジン系水溶性高分子の水溶液を調製した後、水と非混和性の炭化水素系溶剤及び油溶性界面活性剤とともに共攪拌することにより調製することができる。まず初めにアミジン系水溶性高分子について説明する。一般的には一級アミノ基または変換反応により一級アミノ基が生成しうる置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルとの共重合体を製造し、更に、該共重合体中のシアノ基と一級アミノ基を反応させてアミジン化することにより得ることができる。
【0015】
前記エチレン性不飽和モノマーとしては、N−ビニルカルボン酸アミドであり、その例としては、N−ビニルホルムアミドやN−ビニルアセトアミドなどをあげることができる。共重合体中において、かかる化合物に由来する置換アミノ基は、加水分解あるいは加アルコール分解により容易に一級アミノ基に変換される。更にこの一級アミノ基は、隣接したシアノ基と反応してアミジン化する。また共重合するビニル系ニトリル類としては、アクリロニトリルが最も一般的である。
【0016】
これらのエチレン性不飽和モノマーとニトリル類との重合モル比は、通常20:80〜80:20であるが、若し所望ならばこの範囲外の重合モル比、例えば、更にエチレン性不飽和モノマーの比率の大きい重合モル比を採用することもできる。一般的にカチオン性高分子凝集剤中に占めるアミジン単位の比率が多い方が凝集剤としての性能は優れている。また、アミン単位も凝集剤としての性能に有利に寄与していると考えられる。従って、凝集剤として好適な共重合体を与えるエチレン性不飽和モノマーとニトリル類との重合モル比は、一般に20:80〜80:20、特に40:60〜60:40である。
【0017】
エチレン性不飽和モノマーとニトリル類との共重合の方法としては、通常のラジカル重合法が用いられ、塊状重合、水溶液沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等のいずれも用いることができる。溶媒中で重合させる場合、原料モノマー濃度が通常5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%で実施される。重合開始剤には一般的なラジカル重合開始剤を用いることができるが、アゾ化合物が好ましく、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパンの塩酸塩等が例示される。また、重合反応は、一般に、不活性ガス気流下、30〜100℃の温度で実施される。得られた共重合体は、そのままの状態あるいは希釈して、即ち、溶液状もしくは懸濁状でアミジン化反応に供することができる、また、公知の方法で脱溶媒、乾燥し、共重合体を固体として分離した後、固体状でアミジン化反応に供することもできる。
【0018】
アミジン化反応は、エチレン性不飽和モノマーとして前記一般式で示されるN−ビニルアミド化合物を用いた場合には、共重合体の置換アミノ基を一級アミノ基に変換し、次いで、生成した一級アミノ基と隣接するシアノ基と反応させてアミジン構造を生成させるという2段階反応により製造することができる。そして、好ましくは、該共重合体を、強酸また強塩基の存在下、水またはアルコール溶液中で加温して、一段階でアミジン構造を生成させる。この場合においても、先ず、一級アミノ基が中間構造として生成しているものと考えられる。
【0019】
該反応の具体的条件としては、例えば、共重合体に対し、その置換アミノ基に対して通常0.9〜5.0倍、好ましくは1.0〜3.0倍当量の強酸、好ましくは塩酸を加え、通常80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度で、通常0.5〜20時間加熱することによりアミジン単位を有するカチオン化高分子とすることができる。一般に置換アミノ基に対する強酸の当量比が大きいほど、かつ、反応温度が高いほど、アミジン化が進行する。また、アミジン化に際しては反応に供する共重合体に対し、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上の水を反応系内に存在させる。
【0020】
本発明に係るアミジン系水溶性高分子は、最も典型的には、上記で説明したところに従い、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとを共重合させ、生成した共重合体を、通常、水懸濁液として塩酸の存在下に加熱して置換アミノ基と隣接するシアノ基からアミジン単位を形成させることにより製造される。そして、共重合に供するN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのモル比、及び共重合体のアミジン化条件を選択することにより、各種の組成のアミジン系水溶性高分子を製造することができる。
【0021】
加水分解後の分子中アミジン構造単位のモル%は、5〜100モル%であり、好ましくは10〜100モル%、最も好ましくは20〜100モル%である。非イオン性構造単位は、未加水分解のカルボン酸アミド基と未反応のニトリル基であり、0〜95モル%であり、好ましくは0〜90モル%、最も好ましくは0〜80モル%である。また、分子量は、1万〜1000万であり、好ましくは10万〜1000万であり、更に好ましくは100万〜700万である。
【0022】
次に本発明のアミジン系水溶性高分子エマルジョンの調製方法について説明する。アミジン系水溶性高分子の水溶液、少なくとも一種類の炭化水素からなる油状物質及び油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させ調製することができる。アミジン系水溶性高分子の水溶液の濃度としては、15〜50重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。この時、油中水型エマルジョン中の水相と油相の割合を3:1とするならば、油中水型エマルジョン中のアミジン系水溶性高分子の純分は、約13〜34重量%となる。
【0023】
炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、またはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。
【0024】
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜6のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
【0025】
本発明の油中水型エマルジョンは重合後、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面化成剤の例としては、カチオン性界面化成剤やHLB9〜15のノニオン性界面化成剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系あるいはポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。
【0026】
次に前記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる単量体を5〜100モル%、下記一般式(3)で表わされる単量体を0〜60モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜95モル%からなる単量体混合物を重合して得たイオン性水溶性高分子からなる油中水型エマルジョンについて説明する。すなわち単量体混合物水溶液の濃度及びpHを調製し、少なくとも水と一種の非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する。カチオン性水溶液高分子を重合する場合は、単量体水溶液のpHは、2〜6に、両性水溶液高分子を重合する場合は、単量体水溶液のpHは、2〜4にそれぞれ調整する。単量体水溶液の濃度としては、30〜75重量%に調整する。これに水と非混和性の炭化水素からなる油状物質と界面活性剤が加わり、液全体に対する単量体濃度は、20〜50重量%になる。
【0027】
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが上げられ、四級アンモニウム基含有単量体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。また前記一般式(2)で表されるカチオン性単量体の例としては、ジメチルジアリルアンモニウム系単量体であり、その例としてジメチルジアリルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。
【0028】
さらに一般式(3)で表されるアニオン性単量体の例としては、スルフォン基でもカルボキシル基でもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
【0029】
水溶性非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。
【0030】
次に前記一般式(3)で表わされる単量体を3〜100モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜97モル%からなる単量体混合物を重合して得たイオン性水溶性高分子からなる油中水型エマルジョンについて説明する。この場合もカチオン性あるいは両性水溶性高分子と同様に、単量体水溶液を調製した後、少なくとも水と一種の非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する。単量体水溶液のpHは中和あるいは未中和状態で2〜10に調整する。単量体水溶液の濃度としては、30〜75重量%に調整する。これに水と非混和性の炭化水素からなる油状物質と界面活性剤が加わり、液全体に対する単量体濃度は、20〜50重量%になる。前記一般式(3)で表わされる単量体あるいは水溶性非イオン性単量体の例としては、既に述べたものと同様なものを使用することができる。
【0031】
また、多官能性単量体を重合時共存させ架橋性の水溶性高分子を合成することもできる。多官能性単量体の例としては、N,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドなどがあげられる。単量体に対する添加量は、重量換算でに0.0005〜1%であり、好ましくは0.05〜0.1%である。重合温度は前記のような通常の重合条件で行なうことができる。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5重量%など併用すると効果的である。
【0032】
重合条件は通常、カチオン性、両性あるいはアニオン性水溶性高分子のいずれの場合も、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行う。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系,過酸化物系、レドックス系いずれでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどがあげられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。
【0033】
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。またレドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。さらに過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素,ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。
【0034】
前記単量体を共重合して得られるカチオン性あるいは両性水溶性高分子の分子量は、100万〜2,000万であり、好ましくは300万〜2000万、さらに好ましくは500万〜1500万である。また、アニオン性水溶性高分子は、100万〜2,000万であり、好ましくは300万〜2000万、さらに好ましくは500万〜1500万である。
【0035】
また、ニ種類の油中水型エマルジョンの配合比としては、高分子純分換算による重量で30:70〜70:30であり、好ましくは40:60〜60:40である。片方の組成が30重量%未満であると、相乗効果が得られにくい。
【0036】
本発明のアミジン系水溶性高分子エマルジョンとイオン性水溶性高分子エマルジョンの配合からなる水溶性高分子は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理持に発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥、あるいは製紙スラッジの脱水に使用することができる。さらに、古紙や機械パルプに由来するピッチ類あるいはアニオン性物質の前処理を行うため、抄紙前の製紙原料中に添加して使用することもできる。
【0037】
更に本発明のアミジン系水溶性高分子エマルジョンとイオン性水溶性高分子エマルジョンの配合からなる水溶性高分子は、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。また、無機あるいは有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。前記アニオン性物質のうち、無機物としては、ベントナイト、カオリン、クレイあるいはタルクなどであり、またコロイダルシリカも使用できる。
【0038】
前記アニオン性物質が、アニオン性水溶性高分子の場合は、どのようなアニオン性水溶性高分子も使用できるが、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と(メタ)アクリルアミドを0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液を使用することが好ましい。これは特開昭62−15251号公報などによって製造することができる。高分子分散剤は、イオン性あるいは非イオン性高分子を使用するが、アニオン性高分子を使用することが好ましい。例えば、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(塩)やスチレンスルホン酸(塩)などのアニオン性単量体の(共)重合体である。これらアニオン性単量体とカルボキシル基含有単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などとの共重合体も使用可能である。さらに非イオン性の単量体であるアクリルアミドとの共重合体も使用できる。
【0039】
本発明のアミジン系水溶性高分子エマルジョンとイオン性水溶性高分子エマルジョンの配合からなる水溶性高分子の添加量は、有機汚泥固形分に対し重量で0.1〜1.0%であり、好ましくは0.2〜0.7%である。また、前処理として使用するには、製紙原料中乾燥分に対し、50〜10,000ppmであり、好ましくは100〜2,000ppmである。さらに濾水及び/又は歩留向上剤として使用する場合は、製紙原料中乾燥分に対し、50〜2,000ppmであり、好ましくは100〜1,000ppmである。また、アニオン性水溶性高分子と組み合わせた場合の添加量は、製紙原料中乾燥分に対し、50〜1,000ppmであり、好ましくは100〜500ppmである。この時、アニオン性水溶性高分子は、製紙原料中乾燥分に対し、50〜1,000ppmであり、好ましくは50〜500ppmである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0041】
(アミジン系水溶性高分子油中水型エマルジョンの調製1)アミジン系水溶性高分子(重量平均分子量;300万、アミジン構造単位;72モル%、アクリロニトル構造単位;14モル%、一級アミノ基構造単位;9モル%、N−ビニルホルムアミド構造単位;5モル%)100gをイオン交換水388gに溶解した。この水溶液の濃度は26%であり、pHは3.4であった。これに沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン120.0gにソルビタンモノオレート10.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.8gを仕込み溶解させた溶液を混合し、ホモジナイザーにて2000rpm、15分間で乳化した。(試料‐1)生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル10.0g(対液2.0重量%)を添加混合した。エマルジョン粘度、1%水溶液pH、1%水溶液粘度の各値を表1に示す。
【0042】
(アミジン系水溶性高分子油中水型エマルジョンの調製2〜3)調製1と同様な操作により、アミジン系水溶性高分子(重量平均分子量;200万、アミジン構造単位;85モル%、アクリロニトル構造単位;7モル%、一級アミノ基構造単位;4モル%、N−ビニルホルムアミド構造単位;4モル%)(試料‐2)、アミジン系水溶性高分子(重量平均分子量;400万、アミジン構造単位;59モル%、アクリロニトル構造単位;5モル%、一級アミノ基構造単位;25モル%、N−ビニルホルムアミド構造単位;11モル%)(試料‐3)をそれぞれ調製した。エマルジョン粘度、1%水溶液pH、1%水溶液粘度の各値を表1に示す。
【0043】
(比較調製1)攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにソルビタンモノオレート10.0g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物1.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水150.0g、N−ビニルホルムアミド85.9g及びアクリロニトリル64.1gを混合し、前記油相成分と混合した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、N−ビニルホルムアミド/アクリロニトリル=50/50(モル%)である。得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液0.4g(対単量体0.1重量%)を加え、単量体溶液の温度を25〜28℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.05重量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を27±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、N−ビニルホルムアミドに対しモル比で1.2倍の36%塩酸191.4gを添加し、70℃で5時間、90℃で3時間反応させ、加水分解とアミジン化反応を行った。
【0044】
冷却後、転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル13.5g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(比較−1)とした。また(大塚電子製DLS−7000)によってを測定した。結果を表1に示す。分析のうち、生成したアミジン系高分子の組成は、核磁気共鳴装置、重量平均分子量は静的光散乱法による分子量測定器によって行った。その結果、重量平均分子量;250万、アミジン構造単位;78モル%、アクリロニトル構造単位;10モル%、一級アミノ基構造単位;8モル%、N−ビニルホルムアミド構造単位;4モル%であった。またエマルジョン粘度、1%水溶液pH、1%水溶液粘度の各値を表1に示す。
【0045】
(アニオン性水溶性重合体分散液の合成例)攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:107.7g、硫酸アンモニウム26.8g、硫酸ナトリウム17.9g、60アクリル酸:32.7g、50%アクリルアミド:90.3gを加え、30重量%の水酸化ナトリウム5.8gによりアクリル酸の16モル%を中和した。また15重量%のメタクリル酸/アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸=3/7(モル比、酸の90モル%を中和)共重合体水溶液(溶液粘度42、600mPa・s)18.9gを添加した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により30℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で1.0g(対単量体0.0015重量%)添加し重合を開始させた。重合開始後8時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、15時間で反応を終了した。この試料のアクリル酸とアクリルアミドのモル比は30:70であり、粘度は200mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であることが判明した。また、重量平均分子量を測定すると、1000万であった。これをアニオン性水溶性高分子−Aとする。
【0046】
【表1】
Figure 2004059748
エマルジョン粘度、1%水溶液粘度;mPa・s
【0047】
(安定性試験)調製1〜3及び比較調製ポリアミジン系水溶性高分子の油中水型エマルジョンの安定性試験を実施した。直径が3.5cm、高さが17cmのサンプルビンに各試料を150gを仕込んだ。この時、各エマルジョンの深さは約15.6cmになった。55℃、3日間の恒温槽内に保管し、油中水型エマルジョンの粘性変化、分離状態、0.5重量%における水溶液粘度を測定した。上澄相の深さは目視により、粘性の変化をB型粘度計により測定した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 2004059748
原液粘度、0.5%溶液粘度;mPa・s、上澄み;cm
【0049】
【実施例1〜4】
調製1〜3ポリアミジン系水溶性高分子の油中水型エマルジョンと表3に示した定法により合成したイオン性水溶性高分子の油中水型エマルジョンの配合物を作成した。結果を表4に示す。
【0050】
【表3】
Figure 2004059748
DMC:メタクロルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMQ:アクリロルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、
DD;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド
AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド、
【0051】
【表4】
Figure 2004059748
【0052】
【実施例5〜8】
化学工業余剰汚泥をもちいて脱水試験を行った。各分析値は以下の通りでる。pH6.95、全ss分24、500mg/L。この200mLをポリビ−カ−に採取し、表4の配合したエマルジョンEM−1〜EM−4を対汚泥固形分0.25%それぞれ添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性と脱水ケ−キの硬さ(含水率やフロック強度と関係)を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
【0053】
【比較例5〜10】
表4の配合した比較のためのエマルジョンCEM−1、CEM−2及びCEM−4、アミジン系水溶性高分子エマルジョン単独である試料−1、イオン性水溶性高分子エマルジョンE−1、E−2につき試験した。結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
Figure 2004059748
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
脱水ケーキ硬さ:○>△>×の順に良いことを示す。
【0055】
【実施例9〜12】
雑誌古紙製造工程より排出される製紙スラッジを用いて脱水試験を行った(pH7.02、全ss分21,400mg/L)。このスラッジ200mlをポリビ−カ−に採取し、表4の配合したエマルジョンEM−1〜EM−4をそれぞれスラッジ乾燥固形分0.175%添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧4Kg/m2で1分間脱水する。その後、脱水ケ−キの硬さ(含水率やフロック強度と関係)及びケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表6に示す。
【0056】
【比較例11〜16】
表4の配合した比較のためのエマルジョンCEM−1、CEM−2及びCEM−4、アミジン系水溶性高分子エマルジョン単独である試料−3、イオン性水溶性高分子エマルジョンE−1、E−2につき試験した。結果を表6に示す。
【0057】
【表6】
Figure 2004059748
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
脱水ケーキ硬さ:○>△>×の順に良いことを示す。
【0058】
【実施例13〜15】
中質紙製紙原料として、LBKP、機械パルプ及び雑誌古紙からなる原料(pH6.25、濁度1200FAU、全ss2.55%、灰分0.20%、カチオン要求量0.044meq/L、ゼ−タポテンシャル−11mV)を用いて前処理としての効果を試験した。この製紙原料100mL採取し、攪拌機にセットし表4の配合したエマルジョンEM−1〜EM−3をそれぞれ対製紙原料固形分400ppm添加し、500回転/分で60秒間攪拌する。その後、ワットマン製NO.41(90mm)の濾紙にて全量濾過し、濾液のカチオン要求量をミュ−テック社製、PCD−03型により、また濁度をHACH、DR2000P型濁度計にて測定した。結果を表7に示す。
【0059】
【比較例17〜21】
表4の配合した比較のためのエマルジョンCEM−1及びCEM−3、アミジン系水溶性高分子エマルジョン単独である試料−2、イオン性水溶性高分子エマルジョンE−1、E−3につき試験した。結果を表7に示す。
【0060】
【表7】
Figure 2004059748
濾液カチオン要求量:meq/L
濾液濁度:FAU
【0061】
【実施例16〜18】
LBKPを主体とした上質紙製造用の製紙原料、pH6.23、全ss分2.37%、灰分0.41%を検体として歩留試験を行った。この製紙原料をパルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。添加薬品として、カチオン性デンプン、対製紙原料0.4重量%(以下同様)、軽質炭酸カルシウム、15%、中性ロジンサイズ、0.25%、硫酸バンド1.0%、表4の配合したエマルジョンEM−1〜EM−3をそれぞれ0.025%をこの順で15秒間隔により下記試験条件により添加し、攪拌を開始する。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC NO.2にて濾過し測定した。また乾燥後、濾紙を600℃で焼却し灰分を測定することにより炭酸カルシウムの歩留率を算出した。結果を表8に示す。
【0062】
【比較例22〜27】
表4の配合した比較のためのエマルジョンCEM−2及びCEM−2、アミジン系水溶性高分子エマルジョン単独である試料−3、イオン性水溶性高分子エマルジョンE−2、E−3につき試験した。結果を表8に示す。
【0063】
【表8】
Figure 2004059748
総歩留率;重量%、炭酸カルシウム歩留率;重量%
【0064】
【実施例19〜21】
中質紙製紙原料として、機械パルプ、雑誌古紙及びLBKPからなる原料(pH6.25、濁度1200FAU、全ss2.55%、灰分0.20%を用い歩留試験を行った。この製紙原料をパルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈し、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。初めに液体硫酸バンド1.5%、エマルジョン型ロジンサイズ、0.15%、タルク6%、表4の配合したエマルジョンEM−1〜EM−3をそれぞれ0.02%、合成例で作成したアニオン性水溶性高分子−Aを0.015%、この順で15秒間隔により下記試験条件で行い、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは5.60であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC、NO.2にて濾過し測定した。また濾紙を乾燥後、濾紙を800℃で焼却し灰分を測定することによりタルク歩留率を算出した。結果を表9に示す。
【0065】
【比較例27〜32】
表4の配合した比較のためのエマルジョンCEM−1〜CEM−3、アミジン系水溶性高分子エマルジョン単独である試料−3、イオン性水溶性高分子エマルジョンE−1、E−2につき試験した。結果を表9に示す
【0066】
【表9】
Figure 2004059748
総歩留率;重量%、填料歩留率;重量%

Claims (9)

  1. アミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製した油中水型エマルジョン(A)と、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる単量体を5〜100モル%、下記一般式(3)で表わされる単量体を0〜60モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜95モル%からなる単量体混合物を重合して得たイオン性水溶性高分子からなる油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョン。
    Figure 2004059748
    一般式(1)
    R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
    Figure 2004059748
    一般式(2)
    R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
    Figure 2004059748
    一般式(3)
    R8は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、
    CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
  2. アミジン系水溶性高分子水溶液を、水に対し非混和性の炭化水素系溶剤と油溶性乳化剤を添加し攪拌することにより調製した油中水型エマルジョン(A)と、前記一般式(3)で表わされる単量体を3〜100モル%及び水溶性非イオン性単量体0〜97モル%からなる単量体混合物を重合して得た油中水型エマルジョン(B)とを混合した水溶性高分子エマルジョン。
  3. 前記アミジン系水溶性高分子水溶液が、アミジン系水溶性高分子の粉末製品を溶解して得たものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョン。
  4. 請求項1〜3に記載の水溶性高分子エマルジョンを有機汚泥に添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
  5. 請求項1〜3に記載の水溶性高分子エマルジョンを製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする製紙スラッジの脱水方法。
  6. 請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンを抄紙前の製紙原料中に添加し処理することを特徴とする製紙原料の前処理方法。
  7. 請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンを、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法。
  8. 請求項1あるいは2に記載の水溶性高分子エマルジョンと、無機あるいは有機のアニオン性物質と組み合わせて、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として、抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする製紙方法。
  9. 前記アニオン性物質が、前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100モル%と(メタ)アクリルアミドを0〜97モル%含有する単量体混合物を塩水溶液中、該塩水溶液に可溶な高分子分散剤共存下、分散重合法により製造された粒径100μm以下のアニオン性水溶性高分子からなる微粒子の分散液であることを特徴とする請求項8に記載の製紙方法。
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