JP4047120B2 - 凝集剤及びその使用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デンドリマー(樹木状重合体)と特定の活性基を有する水溶性高分子とを組み合わせた凝集剤に関し、またその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特公平6−70132号公報
現在、大部分の高分子凝集剤はイオン性あるいは非イオン性の水溶性高分子化合物が使用されている。特にアクリルアミドや(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、重合が容易であり分子量も自在に調節できることから市販品の圧倒的多数を占めている。しかし、これらアクリル系高分子は種々の問題点を有している。すなわち、ビニル重合系化合物であるため分子量分布を有し、ほとんと凝集機能に作用しない低分子成分を含有し無駄が多い。高分子凝集剤の多くはイオン性水溶性高分子であるが、大部分は非イオン性単量体とイオン性単量体との共重合反応によって生成する。そのため共重合性比の関係からイオン性基と非イオン性基が不均一に分布し、やはり凝集剤の性能を非効率化していると考えられる。また、部分的には枝分かれをしていても全体としては線型の高分子であり、水溶液における広がりが大きく、その結果、水溶液の粘性が高く、取り扱い、あるいは分散性は低くなり、性能に影響していると考えられる。更に前記の状態と矛盾するようであるが、高分子は全く直線的に広がっているわけではないので、曲がりくねって束になり、凝集作用は水中において外側を向いた活性基のみが担っていると推定される。従って束の内側にある活性基は、機能せず無駄になる。
【0003】
デンドリマー(樹木状重合体)の物性や製造法は、特許文献1などに開示されているが、重合体分子の中心から外側に向かって枝が樹木状に展開している。エマルジョンのような微粒子をさらに小さくして、一個の微粒子を分子レベルで合成したとも解釈される。水処理薬剤は微粒子の外側の活性基のみが作用すると考えれば、デンドリマーを水処理薬剤に応用することは理にかなったことと考えられる。デンドリマーの一番外側を応用する目的に合わせて化学変性し、適用していくことは、ビニル重合系高分子の問題点を補える可能性を秘めている。しかし、化学構造をみて理解されるようデンドリマーはビニル重合系高分子にくらべ分子量は、はるかに低く凝集剤として応用する場合にその適用範囲は非常に限られる。懸濁粒子の表面電荷中和などには適しているが、生物処理汚泥の脱水や製紙における歩留向上剤には応用は難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように現在のビニル重合系高分子化合物を応用した高分子凝集剤は、種々の問題点があり、凝集剤として非効率的である。しかし、デンドリマー単独ではその応用範囲は非常に限られる。従って本発明の目的は、デンドリマーの優れた性能を保ちながら、その適用範囲を広げるように改良することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記のような発明に達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、デンドリマー(樹木状重合体)と下記一般式(1)及び/又は(2)で表される構造単位5〜100モル%及び下記一般式(3)で表される構造単位0〜50モル%をそれぞれ有する水溶性高分子とを組み合わせた凝集剤に関する。
【化1】
【化2】
、R 、R は水素又はメチル基、 、X は陰イオンをそれぞれ表す。
【化3】
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素またはCOOY 、Y あるいは は水素または陽イオン
【0006】
請求項2の発明は、前記デンドリマー(樹木状重合体)において、一番外側の世代に有する活性基として、一級アミノ基〜四級アンモニウム塩基から選択される一種以上を必須として有し、適宜カルボキシル基及びスルフォン酸基から選択される一種以上を有することを特徴とする請求項1に記載の凝集剤である。
【0007】
請求項3の発明は、前記デンドリマーにおいて、一番外側の世代に有する一級アミノ基〜四級アンモニウム塩基からなるカチオン性基のモル%をa、該世代に有するカルボキシル基あるいはスルフォン酸基からなるアニオン性基のモル%をb、該世代に有する非イオン性基のモル%をcとするとき、a:bのモル比がb/a=0〜10にある(ただし、5≦a≦100、0≦b≦50、0≦c≦95とする)ことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の凝集剤である。
【0008】
請求項4の発明は、前記デンドリマーが、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のデンドリマーからなる凝集剤である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を有機汚泥あるいは製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする凝集剤の使用方法である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を、抄紙前の製紙原料中に添加し前処理することを特徴とする凝集剤の使用方法である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする凝集剤の使用方法である。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤と、無機アニオン性物質あるいは有機アニオン性水溶性高分子とを組み合わせて使用することを特徴とする請求項7に記載の凝集剤の使用方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のデンドリマーと水溶性高分子からなる凝集剤は、デンドリマーにおいて、一番外側の世代に有する活性基として、一級アミノ基〜四級アンモニウム塩基から選択される一種以上を必須とし、適宜カルボキシル基及びスルフォン酸基から選択される一種以上を有する。このようなデンドリマーは、一番外側の世代に有する活性基としてアミノ基を持つタイプを化学変性することにより容易に合成できる。アミン型デンドリマーは、活性基がアミノ基からなるので、そのままでも凝集剤として使用できるが、四級アンモニウム塩基を有していないので、pHによって性能が大きく変化するため、四級アンモニウム塩基型に変性することが好ましい。変性剤として第一はモノハロゲン化物である塩化メチル、塩化ベンジルなどである。第二はミカエル付加反応をする四級アンモニウム塩基含有化合物であるアクリルアミドアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物などである。第三は、グリシジルトリメチルアンモニウム塩化物などエポキシ基と四級アンモニウム塩基とを含有する化合物である。四級アンモニウム塩基は、デンドリマー一分子中一番外側の世代のアミノ基に対し5〜100モル%、好ましくは10〜100モル%、さらに好ましくは20〜100モル%である。
【0014】
カルボキシル基やスルフォン酸基を導入するには、モノハロゲン化物である塩化酢酸などである。あるいはミカエル付加反応をするアクリルアミドプロパンスルフォン酸などが使用できる。その他カルボキシル基やスルフォン基を持ちアミノ基と反応すればどのようなものでも使用できる。アニオン性基はデンドリマー一分子中一番外側の世代に有するアミノ基に対し0〜50モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜50モル%である。非イオン性の活性基を導入するには、ミカエル付加反応をするアクリルアミドやN,N−ジメチルアクリルアミドなどが使用できる。またモノハロゲン化アルキルである塩化メチルや塩化ベンジルなどである。非イオン性活性基導入は同様にアミノ基と反応すればどのようなものでも使用できる。非イオン性基はデンドリマー一分子中一番外側の世代に有するアミノ基に対し0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、さらに好ましくは0〜70モル%である。
【0015】
変性反応の条件は、使用する変性剤の種類によって多少変化するが、pH10〜弱アルカリ性下で行う。反応温度は0〜100℃で行うが、好ましくは10〜60℃で行う。
【0016】
使用するデンドリマーは、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーやポリアミノアミド系デンドリマーで、世代数3〜5のものが適している。分子量としては、数百〜数万であり、好ましくは数百〜数千である。
【0017】
本発明のデンドリマーからなる凝集剤は、ビニル重合による高分子化合物のように分子量分布と共重合性比による分子個々の活性基の不均一性が減少する。すなわち、変性剤が均一に混合される限りにおいてデンドリマー個々の分子中活性基数はほぼ同数になる。従ってそれだけ効率的な凝集作用を行うことができる。
【0018】
次にデンドリマーと組み合わせる一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する水溶性高分子について説明する。一般式(1)で表される構造単位を有する水溶性高分子はビニルアミジン系高分子である。この高分子はN−ビニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルとの共重合物の酸による加水分解反応と同時に起こるアミジン化反応により合成することができる。単量体であるN−ビニルカルボン酸アミドの例としては、N−ビニルホルムアミドやN−ビニルアセトアミドなどをあげることができる。使用する酸は、無機あるいは有機の強酸が好ましく、例えば塩酸、硝酸あるいはp−トルエンスルフォン酸などである。また共重合するビニル系ニトリル類としては、アクリロニトリルが最も一般的である。加水分解後の分子中ビニルアミジン構造単位のモル%は、5〜100モル%であり、好ましくは10〜100モル%、最も好ましくは20〜100モル%である。また、アミジン化反応しなかった分子内ビニルアミン構造単位は、そのまま残り、分子中に0〜40モル%であり、好ましくは0〜30であり、最も好ましくは0〜20モル%である。非イオン性構造単位は、未加水分解のカルボン酸アミド基と未反応のニトリル基であり、0〜95モル%であり、好ましくは0〜90モル%、最も好ましくは0〜80モル%である。
【0019】
また一般式(2)で表される構造単位を含有する水溶性高分子は、ビニルアミン系高分子である。この高分子は、N−ビニルカルボン酸アミド重合体の酸あるいはアルカリによる加水分解反応によって合成することができる。使用する酸は無機あるいは有機の強酸が好ましく、例えば塩酸、硝酸あるいはp−トルエンスルフォン酸などである。また、アルカリは苛性アルカリが好ましく、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムなどである。単量体であるN−ビニルカルボン酸アミドの例としては、N−ビニルホルムアミドやN−ビニルアセトアミドなどをあげることができる。加水分解後の分子中ビニルアミン構造単位のモル%は、5〜100モル%であり、好ましくは10〜100モル%、最も好ましくは20〜100モル%である。非イオン性構造単位は、未加水分解のカルボン酸アミド基であり、0〜95モル%であり、好ましくは0〜90モル%、最も好ましくは0〜80モル%である。
【0020】
さらに一般式(1)あるいは(2)で表される構造単位を有する水溶性高分子は、重合時アニオン性単量体を共重合することにより両性水溶性高分子を合成することができる。アニオン性単量体の例としては、スルフォン基、カルボキシル基を有する単量体であってもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。これら両性水溶性高分子中のカチオン性基のモル%としては、前記一般式(1)あるいは(2)で表される構造単位を5〜100モル%、好ましくは10〜100モル%を含有する。アニオン性基のモル%は前記一般式(3)で表される構造単位を0〜50モル%、好ましくは3〜50モル%を各々含有する。また非イオン性構造単位を0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%含有する。
【0021】
これらデンドリマーと水溶性高分子の組み合わせる比率は、重量で20:80〜50:50であり、好ましくは30:70〜50:50である。水溶性高分子が50重量%未満であると、相乗効果が得られにくく、またデンドリマーが20%未満であるとデンドリマーの効果が得られにくい。目的物への添加方法は、混合したものを添加してもよいし、それぞれの溶液を調整し同時あるいは両物質を逐次添加しても良い。
【0022】
本発明のデンドリマーと水溶性高分子からなる凝集剤は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理時に発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥、あるいは製紙スラッジの脱水にアニオン性、カチオン性及び両性から選択される一種の高分子凝集剤と組み合わせて使用することができる。特に強固で粘着性の低いフロックが必要であるベルトプレスやフィルタープレスにおける脱水操作に適している。さらに、古紙や機械パルプに由来するピッチあるいは類アニオン性物質の前処理を行うため、抄紙前の製紙原料中に添加して使用することもできる。この処理では、重合度の高いものは必要なく、個々分子のイオン化度が均一であることが効率良い処理を行える。
【0023】
更に本発明のデンドリマーと水溶性高分子からなる凝集剤は、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的としてアニオン性無機物質やアニオン性水溶性高分子と組み合わせて、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することもできる。前記アニオン性無機物質としては、ベントナイト、カオリン、クレイあるいはタルクなどであり、またコロイダルシリカも使用できる。
【0024】
前記アニオン性水溶性高分子は、アニオン性単量体3〜100モル%と水溶性非イオン性単量体を0〜97モル%含有する単量体混合物の共重合体である。アニオン性単量体は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸やスチレンスルホン酸などである。製品形態は、市販されている、ペースト品、エマルジョン品、デイスパージョン品あるいは粉末品などどのようなものでも使用できる。水溶性非イオン性単量体は、アクリルアミドが好ましいが、その他の非イオン性単量体、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられ、アクリルアミドが最も好ましい。
【0025】
また、多官能性単量体を重合時共存させ架橋性の水溶性高分子を合成することもできる。多官能性単量体の例としては、N,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドなどがあげられる。単量体に対する添加量は、重量換算で0.0005〜1%であり、好ましくは0.05〜0.1%である。重合温度は前記のような通常の重合条件で行うことができる。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1〜5重量%など併用すると効果的である。
【0026】
これらアニオン性水溶性高分子の分子量は、100万〜2,000万であり、好ましくは300万〜2000万、さらに好ましくは500万〜1500万である。また、アニオン性水溶性高分子は、100万〜2,000万であり、好ましくは300万〜2000万、さらに好ましくは500万〜1500万である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0028】
(合成例1)撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた五つ口セパラブルフラスコに、8−カスケード:1,4ジアミノブタン[4]:(1−アザブチリデン)4プロピルアミン(第二世代、理論分子量780、アミノ基数8)を30.0g採取し、イオン交換水120gを加え均一にし、30℃で攪拌下、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの60重量%水溶液27.8gを30分かけて滴下した。その後3時間反応させ四級アンモニウム塩基を導入した。コロイド滴定によりデンドリマー1分子に対し3個の四級アンモニウム塩基が導入された。これを試料−1とする。
【0029】
(合成例2)撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた五つ口セパラブルフラスコに、8−カスケード:1,4ジアミノブタン[4]:(1−アザブチリデン)4プロピルアミン(第二世代、理論分子量780、アミノ基数8)を30.0g採取し、イオン交換水120gを加え均一にし、30℃で攪拌下、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの60重量%水溶液34.8gを30分かけて滴下した。その後2時間反応させ四級アンモニウム塩基を導入した。次にモノクロル酢酸の結晶5.8gを加え、同じ30℃により3時間反応させた。終了後コロイド滴定により測定するとデンドリマー1分子に対し3.6個の四級アンモニウム塩基と1.3個のカルボキシル基が導入された。これを試料−2とする。
【0030】
(合成例3)撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた五つ口セパラブルフラスコに、8−カスケード:1,4ジアミノブタン[4]:(1−アザブチリデン)4プロピルアミン(第二世代、理論分子量780、アミノ基数8)を30.0g採取し、イオン交換水120gを加え均一にし、30℃で攪拌下、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド30.8gを50重量%水溶液に希釈した後、30分かけて滴下した。その後2時間反応させ三級アミノ基を導入した。終了後中和滴定により測定するとデンドリマー1分子に対し4.5個の三級アミノ基が導入された。これを試料−3とする。
【0031】
(合成例4)撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた五つ口セパラブルフラスコに、8−カスケード:1,4ジアミノブタン[4]:(1−アザブチリデン)4プロピルアミン(第二世代、理論分子量780、アミノ基数8)を30.0g採取し、イオン交換水120gを加え均一にし、30℃で攪拌下、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの60重量%水溶液34.8gを30分かけて滴下した。その後2時間反応させ四級アンモニウム塩基を導入した。次にモノクロル酢酸の結晶5.8gとアクリルアミドの結晶4.4を加え、同じ30℃により3時間反応させた。終了後コロイド滴定により測定するとデンドリマー1分子に対し3.5個の四級アンモニウム塩基と1.4個のカルボキシル基が導入された。またアクリルアミドの未反応物を測定することにより1.4個のアミド基が導入された。これを試料−4とする。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
(a;四級アンニウム塩基、(b;カルボキシル基、(c;三級アミノ基、(d;アミド基(すべてデンドリマー一分子中個数)
【0033】
【実施例1〜8】
表1のデンドリマー試料−1〜試料−4とカチオン性水溶性高分子(アミジン構造単位80モル%、ビニルアミン構造単位2モル%、二トリル構造単位9モル%、ビニルホルムアミド構造単位9モル%、分子量300万)(高分子1)あるいはカチオン性水溶性高分子(ビニルアミン構造単位76モル%、ビニルホルムアミド構造単位24モル%、分子量400万)(高分子2)とを表2に記載した割合と組み合わせた混合物を調製した。これら混合物を石油化学工業余剰汚泥(pH7.10、全ss分31,000mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取した中に対汚泥固形分0.30添加した。その後ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0034】
【比較例1〜4】
縮合系ポリアミン(ポリエチレンポリアミン/エピクロロヒドリン反応物(分子量;6,000)(高分子3)あるいはビニル重合系両性水溶性高分子(メタクリル酸ジメチルアミノエチルの塩化メチル四級化物70モル%、アクリル酸15モル%、アクリルアミド15モル%、分子量;0.6万)(高分子4)とを表2に記載した割合と組み合わせて配合した混合物を調製した。その後、これら比較試料を実施例1〜12と同様な試験操作によって試験した。結果を表3に示す。
【0035】
【表2】
配合量;重量%
【0036】
【表3】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:重量%
【0037】
【実施例9〜16】
製紙会社のパルプ製造工程及び抄紙工程より発生した製紙スラッジ、pH6.15、全ss分23,100mg/L、200mlをポリビ−カ−に採取し、表2のデンドリマーと水溶性高分子からなる凝集剤、凝集剤−1〜凝集剤−8を対乾燥固形分液0.15添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧4Kg/m2で1分間脱水する。その後ケ−キの濾布剥離性及びケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0038】
【比較例5〜8】
縮合系ポリアミン(高分子3)あるいはビニル重合系両性水溶性高分子(高分子4)とを表2に記載した割合と組み合わせた配合物、比較−1〜比較−4を用い、これら比較試料を実施例9〜16と同様な試験操作によって試験した。結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:重量%
【0040】
【実施例17〜24】
表1のデンドリマー試料−1〜試料−4と(アミジン構造単位73モル%、ビニルアミン構造単位7モル%、二トリル構造単位11モル%、ビニルホルムアミド構造単位9モル%、分子量70万)(高分子5)あるいはカチオン性水溶性高分子(ビニルアミン構造単位70モル%、ビニルホルムアミド構造単位30モル%、分子量45万)(高分子6)とを表2に記載した割合と組み合わせて配合した混合物を調製した。次に機械パルプ、LBKP及びチラシ古紙からなる中質紙製紙原料(pH6.55、濁度1100FAU、全ss2.63%、灰分0.20%、カチオン要求量0.040meq/L、ゼ−タポテンシャル−9mV)100mL採取し、攪拌機にセットし表5の凝集剤−9〜凝集剤−16をそれぞれ対ss分350ppm添加し、500回転/分で60秒間攪拌する。その後、ワットマン製NO.41(90mm)の濾紙にて全量濾過し、濾液のカチオン要求量をミュ−テック社製、PCD−03型により、また濁度をHACH、DR2000P型濁度計にて測定した。結果を表6に示す。
【0041】
【比較例9〜12】
実施例17〜24と同様な試験操作によって縮合系ポリアミン(高分子3)あるいはビニル重合系両性水溶性高分子(高分子4)とを表5に記載した割合で配合した表5の比較試料5〜8用いて試験した。結果を表6に示す。
【0042】
【表5】
配合量;重量%
【0043】
【表6】
濾液カチオン要求量:meq/L
濾液濁度:FAU
【0044】
【実施例25〜32】
中質紙原料(LBKP/DIP/TMP=10/60/30、pH7.1、全ss2.40%、灰分0.30%)を用い、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。初めに液体硫酸バンド1.5%、表1の凝集剤−1〜凝集剤−8を対製紙原料0.020%、最後にアニオン性水溶性高分子(アクリル酸ナトリウム30モル%、アクリルアミド70モル%、分子量1,200万)を対製紙原料0.015%添加した。薬剤の添加順は上記の順で15秒間隔により下記試験条件で行い、攪拌を開始する。全薬品添加後のpHは5.60であった。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC、NO.2にて濾過し測定した。また濾紙を乾燥後、濾紙を800℃で焼却し灰分を測定することにより無機物歩留率を算出した。結果を表7に示す。
【0045】
【比較例13〜16】
表2に記載した配合物、比較−1〜比較−4を用い、実施例25〜32と同様な試験操作によって試験した。結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%
【0047】
【実施例33〜40】
上質紙製造用の製紙原料(LBKPを主体としたもの、pH6.23、全ss分2.37%、灰分0.41%)を検体として、パルプ濃度0.9重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミックジャ−テスタ−により歩留率を測定した。添加薬品として、カチオン性デンプン、対製紙原料0.5重量%(以下同様)、軽質炭酸カルシウム、20%、中性ロジンサイズ、0.2%、硫酸バンド0.6%、表2の凝集剤−1〜凝集剤−8をそれぞれ0.02%この順で15秒間隔により下記試験条件で表1に示した試作品を添加し、攪拌を開始する。30秒後に10秒間白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTEC NO.2にて濾過し測定した。また乾燥後、濾紙を600℃で焼却し灰分を測定することにより炭酸カルシウムの歩留率を算出した。結果を表8に示す。
【0048】
【比較例17〜20】
表2に記載した配合物、比較−1〜比較−4を用い、実施例33〜40と同様な試験操作によって試験した。結果を表8に示す。
【0049】
【表8】
総歩留率;重量%、無機物歩留率;重量%

Claims (8)

  1. デンドリマー(樹木状重合体)と下記一般式(1)及び/又は(2)で表される構造単位5〜100モル%及び下記一般式(3)で表される構造単位0〜50モル%をそれぞれ有する水溶性高分子とを組み合わせた凝集剤。
    、R 、R は水素又はメチル基、 、X は陰イオンをそれぞれ表す。
    は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素またはCOOY 、Y あるいは は水素または陽イオン
  2. 前記デンドリマー(樹木状重合体)において、一番外側の世代に有する活性基として、一級アミノ基〜四級アンモニウム塩基から選択される一種以上を必須として有し、適宜カルボキシル基及びスルフォン酸基から選択される一種以上を有することを特徴とする請求項1に記載の凝集剤。
  3. 前記デンドリマーにおいて、一番外側の世代に有する一級アミノ基〜四級アンモニウム塩基からなるカチオン性基のモル%をa、該世代に有するカルボキシル基あるいはスルフォン酸基からなるアニオン性基のモル%をb、該世代に有する非イオン性基のモル%をcとするとき、a:bのモル比がb/a=0〜10にある(ただし、5≦a≦100、0≦b≦50、0≦c≦95とする)ことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の凝集剤。
  4. 前記デンドリマーが、ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のデンドリマーからなる凝集剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を有機汚泥あるいは製紙スラッジに添加、凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする凝集剤の使用方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を、抄紙前の製紙原料中に添加し前処理することを特徴とする凝集剤の使用方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤を、歩留向上及び/又は濾水性向上を目的として抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することを特徴とする凝集剤の使用方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の凝集剤と、無機アニオン性物質あるいは有機アニオン性水溶性高分子とを組み合わせて使用することを特徴とする請求項7に記載の凝集剤の使用方法。
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