JP6166637B2 - 有機凝結剤およびこれを用いた廃水処理方法 - Google Patents

有機凝結剤およびこれを用いた廃水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機凝結剤とそれを用いた廃水の処理方法に関する。
従来、廃水処理方法として、廃水に無機凝結剤を添加混合後高分子凝集剤を添加混合することにより廃水中の懸濁物を凝集沈殿させる方法がある。無機凝結剤は荷電中和作用により廃水中の懸濁物の表面電荷を中和し懸濁物同士の反発力を小さくしながら懸濁物を凝結させる作用がある。これに高分子凝集剤を加えて生成させた凝集フロックを固液分離することにより懸濁物を廃水から除去する。しかし、この方法は多量の無機凝結剤が必要となるため、廃水処理後の固液分離で生じるスラッジ量が多量になり、スラッジの処理コストが上昇する問題点を有している。
凝結剤の添加量を低減するため、無機凝結剤に代わり有機凝結剤を使用することが検討されており、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(特許文献1)やポリアミン類(特許文献2)を用いた有機凝結剤やそれらを用いた廃水処理方法が提案されているが、特定の廃水には効果があるものの無機凝結剤に代わるものとしての性能は不十分である。これらを解決するため、近年、カチオン性単量体としてアミノ基を有する(メタ)アクリレートを用いた有機凝結剤の検討(特許文献3,4)が行われており、特定の組成範囲や分子量の有機凝結剤やそれを用いた廃水の処理方法が提案されている。しかしながら、これらの先行技術は一定の効果が得られるものの性能的には無機凝結剤に代わるには未だ不十分である。
特開2001−38104号公報 特開2009−125649号公報 特開2011−131165号公報 特開2011−139997号公報 特許第3977534号公報 特開2007−29766号公報 特許第4126931号公報
本発明の目的は、上記の課題を解決し、汚泥または廃水の処理においてわずかな添加量で凝結性能に優れ、良好な水質(濁度やSS量、COD等)を得る一方で固液分離後のスラッジ量を削減することができ、また、脱水ケーキを低含水率化することができる有機凝結剤を提供すること、およびそれを用いた廃水処理方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわち、
(1)カチオン性単量体(A)と共重合可能な単量体を多価チオール連鎖移動剤(B)を用いてラジカル重合して得られる固有粘度が0.01[dl/g]以上、10[dl/g]以下である共重合体からなる有機凝結剤。
(A):ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩
Figure 0006166637
E−[−(CH2)r−O−CO−(CH2)s−CH(SH)−CH3]n
Eは多価アルコールから末端OHを除いた基またはイソシアヌル酸からHを除いた基 、sは0または1以上20以下の整数、nは3以上20以下の整数
(2)カチオン性単量体(A)と共重合可能な単量体を片末端がエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマー(C)を用いてラジカル重合して得られる固有粘度が0.01[dl/g]以上、10[dl/g]以下である共重合体からなる有機凝結剤。
(C):エチレン性不飽和基がR1CH=C(R2)−X−であるポリアルキレンオキサイドオリゴマー
R1、R2はHまたは炭素数1〜3のアルキル基、XはR3O、またはOでR3は炭素数1〜4のアルキレン基
(3)カチオン性単量体(A)と共重合可能な単量体を多価チオール連鎖移動剤(B)と片末端がエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマー(C)の両方を用いてラジカル重合して得られる固有粘度が0.01[dl/g]以上、10[dl/g]以下である共重合体からなる有機凝結剤。
(4):多価チオール連鎖移動剤(B)の添加量が全単量体質量に対し100ppm〜20000ppmである(1)または(3)に記載の有機凝結剤。
(5):片末端がエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマーの添加量が全単量体とオリゴマーの合計molに対し、0.01mol%〜2mol%である、(2)または(3)に記載の有機凝結剤。
(6):(1)〜(5)のいずれかに記載の有機凝結剤を用いた廃水処理方法。
(7):(1)〜(5)のいずれかに記載の有機凝結剤を用いた製紙廃水の処理方法。
本発明により、汚泥または廃水の処理においてわずかな添加量で凝結性能に優れ、良好な水質を得る一方で固液分離後のスラッジ量を削減することができ、また、脱水ケーキを低含水率化することができる有機凝結剤およびそれを用いた廃水処理方法を提供する。
本発明の有機凝結剤は、カチオン性単量体と共重合可能なその他の単量体をラジカル重合する際に、多価チオール連鎖移動剤および/または片末端がエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマーを用いて重合することにより得られるポリマーであるが、2つの効果により優れた性能を発揮する。
1つ目の効果は分岐剤として多価チオール連鎖移動剤を用い、分子量を調節しながら星形のような高度に分岐したカチオン性ポリマーを得ることができることである。この分岐構造を有するポリマーはリニアポリマーに比べて、懸濁物質に接触する部位が多くなり効果的に荷電中和しながら凝結することで性能が向上する。また、分岐部分の電荷密度が見かけ上大きくなるため、より強力に荷電中和しながら凝結することで性能が向上する。さらに多価チオール連鎖移動剤は疎水性を有しているため、ポリマーに疎水基を導入することができ、その相互作用により凝結粒子および高分子凝集剤処理後の凝集フロックを高密度にすることで結果として凝結性能を向上させることと、廃水中に溶解しているアニオン性物質を不溶化し、凝結処理性能を高める効果がある。
多価チオール連鎖移動剤を用いた高分子凝集剤に関する先行技術(特許文献5)があるが、これは高分子凝集剤の分子量分布を狭くすることが目的で、意図的な分岐をさせる記載はなく、使用量も少量であるので凝結剤レベルの分子量にはならず、また有機凝結剤に関する記載もないので本発明の範疇ではない。
多価チオール連鎖移動剤としては、分岐をさせるためチオール基を有する側鎖が3つ以上必要である。また、チオール基は末端に1級または2級状態で存在していることが好ましい。中心となる核としては多価アルコールまたはイソシアヌル酸が挙げられる。具体的にはトリメチロールエタン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリメチロールエタン トリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレート)ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、や1、3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられ、これらを単独または2種以上使用しても良い。これらの中で好ましくはペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)または、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)である。連鎖移動剤の使用量としては全単量体重量に対して100ppm〜20000ppmであり、500ppm〜10000ppmであることが好ましい。100ppm以下だと分岐したポリマー量が極端に少なく、また、凝結剤としては分子量が高すぎるポリマーしか得られない。20000ppm以上であると、ポリマーが小さくなりすぎて凝結剤としての効果が発揮されない。
2つ目の効果は、片末端がエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマーの存在下でラジカル重合することにより、ポリアルキレンオキサイド鎖をグラフト重合したポリマーを得ることができることである。ポリアルキレンオキサイド鎖はカチオン性単量体より疎水的であり、本発明の有機凝結剤に適度な疎水性を付与することができる。適度な疎水性を付与することより、荷電中和を妨げずに、凝結粒子や、凝結粒子を高分子凝集剤で処理した凝集フロックが、疎水基同士の相互作用で高密度になり、結果として凝結性能を向上させることと、廃水中に溶解しているアニオン性物質を不溶化し、凝結処理性能を高めることができる。
ポリマーに疎水性を付与する技術としては疎水性(メタ)アクリル酸誘導体を共重合させた有機凝結剤に関する先行技術(特許文献6)があるが、水に対する溶解性が低すぎるために共重合性が悪かったり、重合過程でゲル化することや、疎水性が強すぎるために荷電中和能力が低下する問題がある。
一方、方末端が特定のエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマーをカチオン性単量体と共重合して得られる高分子凝集剤に関する先行技術(特許文献7)があるが、この技術は高分子凝集剤に関するものであり、有機凝結剤としての記載はない。
片末端が下記一般式(1)であるエチレン性不飽和基であるポリアルキレンオキサイドオリゴマーはゲル化を起こしたり、水に不溶化することがなくポリアルキレンオキサイド鎖をグラフトさせることができ、良好な水溶性ポリマーを得ることができる。具体的には(メタ)アリルオキシ基、アリルエトキシ、アリルブトキシ基が挙げられる。
CH=C(R)−X− (1)
〔上記式中、R及びRは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは−RO−、又は−O−であり、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基である。〕
ポリアルキレンオキサイド鎖を構成するアルキレンオキサイドはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドなどが挙げられ、それら2種以上のブロック状のオリゴマーたとえばポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドブロックオリゴマーであって良い。またアルキレンオキサイドの繰り替えし単位は5以上であることが望ましい。これ以下であると十分な凝結性能が得られない。
また、他の末端についてはその構造は必ずしも制限されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、ブドキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシル基であるものが重合時にゲル化せず安定に製造できるので好ましい。
片末端がエチレン性不飽和基を有するアルキレンオキサイドオリゴマーは、通常のポリアルキレンオキサイドオリゴマーとアルコール、イソシアネオート化合物のエステル化、エーテル化、ウレタン化反応などにより調製される。その中でアリルオキシポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル、アリルオキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノブチルエーテルが好ましい。
ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの添加量としては全単量体とオリゴマーの合計molに対し0.01〜2mol%であるが、より好ましいのは0.1〜1mol%である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマーのみ単量体に添加する場合は、公知の連鎖移動剤を添加し、後述する固有粘度となるように分子量を調節する必要がある。
本発明はカチオン性単量体と共重合可能なその他の単量体をラジカル重合する際に、上記の多官能チオール連鎖移動剤および/またはポリアルキレンオキサイドオリゴマーを、添加することで得られる有機凝結剤であるが、両方とも添加してラジカル重合することで得られる有機凝結剤が特に効果が高い。
本発明におけるカチオン性単量体としてはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩が挙げられる。具体的にはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩として塩化メチル付加物や塩化ベンジル付加物、塩酸塩、硫酸塩などが挙げられる。その他共重合可能な単量体としてはアニオン性およびノニオン性単量体が挙げられる。
アニオン性単量体としてもラジカル重合性を有するものであれば、使用に制限は無く、具体的には、不飽和カルボン酸及びその塩が挙げられ、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、その塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属塩が挙げられる。好ましい単量体は、アクリル酸及びメタクリル酸及びその塩である。
ノニオン性単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、アクリロニトリル及びビニルアセテートなどを挙げることができる。
本発明の有機凝結剤を得るためのラジカル重合方法には特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、分散重合、エマルション重合、水溶液重合、水溶液ゲル重合等、従来公知の方法を用いることができる。これらのラジカル重合方法の中では製造コスト、重合物の取り扱い易さから、水溶液ゲル重合、油中水型エマルション重合が好ましい。これらの方法から得らえる有機凝結剤の形態としては粉末状または油中水型エマルション等が得られ、その形態は適宜選択される。
油中水型エマルション重合の場合、本発明に用いる所定の単量体を含有する水相と、非混和性の油と界面活性剤からなる油相とを混合して得られる油中水型エマルションに、所定の連鎖移動剤やポリアルキレンオリゴマー、ラジカル開始剤を添加し、窒素雰囲気下で重合することにより本発明のポリマーを有する油中水型エマルションを得ることができる。油としてはパラフィン類や各種鉱油およびそれらの混合物を挙げることができる。油の含有量は、油中水型エマルション全量に対して20質量%〜50質量%が好ましい。使用する界面活性剤はHLBが3〜11であることが好ましい。そのような界面活性剤の例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これら界面活性剤の有効な添加量は、油中水型エマルション全量に対して0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。エマルション重合を行う場合、重合条件は使用するモノマーや開始剤、重合体の物性に応じて適宜設定される。重合温度は0〜100℃で行い、10〜80℃が好ましい。単量体濃度は20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。重合時間は1〜10時間が好ましい。
水溶液ゲル重合の例を説明すれば、単量体濃度が10〜80質量%、好ましくは25〜60質量%の単量体水溶液に所定の連鎖移動剤やポリアルキレンオキサイドオリゴマー添加し窒素雰囲気下で重合開始剤を用いて、重合開始温度0〜35℃、重合温度120℃以下で、0.1〜10時間重合させて重合体とする方法である。得られたポリマーゲルを裁断、乾燥、粉砕し、粉末状のポリマーを得る。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシドやパーメンタハイドロオキシド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビス−(アミジノプロパン)ハイドロクロライド、アゾビスシアノバレリン酸、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]などのアゾ系化合物、並びに過酸化水素、過硫酸塩と重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄などの組み合わせからなるレドックス触媒など公知のものが挙げられる。また、重合は紫外線照射により行うこともでき、アゾ開始剤、例えばケタール型、アセトフェノン型などの光重合開始剤を用いて重合することもできる。重合開始剤の使用量としては、目的とする共重合体の重合度及び粘度などに応じて定めれば良く、通常、全単量体の合計重量を基準にして10〜2万ppm用いることが好ましい。
得られるポリマーの分子量としては1N硝酸ナトリウム溶液中での30℃における固有粘度[η]が0.01dl/g以上、10dl/g以下である。好ましくは0.1dl/g以上、7dl/g以下である。10dl/gより大きい固有粘度では懸濁物質を十分に補足することができず、凝結粒子が大きく柔らかく水を多量に含有するようになるため、最終的な固液分離が不十分になり、0.01dl/gより小さな固有粘度では懸濁物質を凝結させることができない。固有粘度の測定方法としてはJISK7367−1に従い、ウベローデ型毛管粘度計などの毛管粘度計を用いて、いくつかのポリマー濃度において測定した還元粘度の値をポリマー濃度に対してプロットしたHugginsプロットを作成し、濃度0に外挿することより得ることができる。分子量を調節する方法としては、ポリアルキレンオリゴマーのみを添加する場合には公知の連鎖移動剤を使用することができる。また、多価チオール連鎖移動剤を用いる場合には、単独に加え、公知の連鎖移動剤との併用もできる。公知の連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物や、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類、エタノール等のアルコール類、メタリルスルホン酸ナトリウム等のアリル化合物が挙げられる。
この他、本発明の効果を阻害しない範囲で安定剤やpH調整剤、酸化防止剤、界面活性剤等の添加物を追加しても良い。
本発明の有機凝結剤の処理対象となる廃水には、産業廃水、無機物質懸濁廃水等が含まれる。具体的には、製紙廃水、自動車業、製鉄業等の工業廃水、クリーニング業廃水、金属加工業の廃液が挙げられる。
製紙廃水とは、古紙パルプを製造する際に排出される古紙パルプ製造廃水、クラフトパルプ(KP)を製造する際に排出されるクラフトパルプ製造廃水、機械パルプを製造する際に排出される機械パルプ製造廃水、塗料を紙に塗工する際に排出される塗工液廃水、パルプを抄紙する際に排出される抄紙工程廃水、塩素で漂白処理をした際に排出される晒し系廃水等である。さらにこれらの製紙廃水を活性汚泥処理した廃水、クラリファイヤー処理水、及びこれらを更に硫酸アルミニウム等で処理した廃水、さらに上述の各種製紙廃水や、冷却廃水等からなる総合廃水であってもよい。一般的に、前記製紙廃水には、繊維分、填料、顔料等の懸濁物質が含まれる。
金属加工業の廃液には、例えば、ダイキャスト鋳造、熱間鍛造で用いられる水溶性または水分散性の処理液や潤滑剤、切削油等を含む廃液が挙げられる。
他の例としては、半導体製造や液晶パネル製造における現像工程、剥離工程、エッチング工程、洗浄工程等で発生する電子産業廃水、塗装・染色工場で発生する有機性廃水、化学工場廃水、下水処理場等における下水の汚濁廃水がある。他に、食肉加工工場廃水、食品加工工場廃水がある。食品加工工場廃水には、有機質、油分が多く含まれる。他の例として、動物や魚の血液等を含む畜産系処理水や、し尿及び有機性産業汚濁廃水がある。
さらに他の例として、地盤改良、トンネル掘削、ビル建設現場等で発生する工事・建設汚濁廃水、砂利採取、砂利砕石、河川、港湾等の工事現場で発生する浚渫泥漿等が挙げられる。一般的にこれらの廃水には無機懸濁物が多量に含まれる。
本発明の有機凝結剤の使用方法については公知の方法たとえば、凝結剤を添加することによる凝結工程と高分子凝集剤を一種または2種以上添加することにより粗大フロックを形成する2段階で廃水を処理する凝集沈殿法や凝結工程に続く脱水機などの機械で連続的に行われる脱水法等が挙げられる。
廃水への添加形態は水溶液、粉末、油中水エマルション等特に限定されないが、水溶液の状態であることが好ましい。水溶液の場合にはあらかじめ、水を張った攪拌機つきの溶解タンクに所定量の有機凝結剤を添加して撹拌溶解させたり、ラインミキサーを含む溶解ラインにて水と有機凝結剤を接触混合して溶解させる。その際、ポリマー濃度は0.01%〜1%であることが好ましい。
[凝結工程]
本発明の有機凝結剤の添加量は、廃水のpH、SS、TS等の廃水の性状、他の凝結剤を併用する場合はその添加量に応じて調整される。有機凝結剤の添加量は、廃水の量に対して固形分換算で通常0.1〜1000ppm好ましくは0.5〜100ppmである。
本発明は、凝結作用を向上させるために、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに公知の無機凝結剤や、本発明の有機凝結剤と異なる他の有機凝結剤を併用することができる。併用する場合は廃水への添加方法は特に制限されず、個別に添加しても、あらかじめ混合しても添加することができる。公知の無機凝結剤の例としては、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミ、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、ポリ鉄、ポリシリカ鉄等を挙げることができる。これらの無機凝結剤は単独でも2種類以上用いてもよい。他の有機凝結剤の例としては、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの縮合物、ポリエチレンイミン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
無機凝結剤を併用する場合は、無機凝結剤の添加量も考慮される。例えば、有機凝結剤を使用することにより低減された無機凝結剤の量100質量部に対し、有機凝結剤の添加量を0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることがより好ましい。無機凝結剤の添加量は廃水の量に対して固形分換算で通常10〜2000ppmであり、好ましくは50〜2000ppmである。無機凝結剤の添加順はあらかじめ混合あるいは同時に添加しても、先に添加してもよいが、有機凝結剤を先に添加することが好ましい。
[凝沈工程]
凝結粒子形成された廃水にはさらに高分子凝集剤を添加混合する。凝結粒子がさらに粗大化した凝集フロックが形成される。本工程では、公知のアニオン性またはノニオン性高分子凝集剤を用いることができる。アニオン性高分子凝集剤としては、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合物、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合物、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等を挙げることができる。ノニオン性高分子凝集剤としてはポリアクリルアミド、アクリルアミドと他のノニオン性モノマーの共重合物等を挙げることができる。高分子凝集剤の好ましい重量平均分子量は200万〜2000万である。高分子凝集剤の添加量は凝結後の廃水の性状により調整される。添加量は凝結された廃水中に、廃水の量に対して固形分換算で0.05〜20ppmが好ましい。
粗大な凝集フロックを固液分離することにより、清澄な処理水を得ることができる。固液分離の方法は従来公知の方法で行うことができる。例えば、沈降分離、加圧浮上、濾過などにより固液分離でき、好ましくは沈降分離が行われる。凝集フロックやその他の懸濁物を固液分離することにより、清澄性の良好な処理水を得ることができる。本発明の廃水処理方法は、適宜pH調整剤を廃水に添加しながら行ってもよい。
[脱水工程]
脱水処理においても公知の方法、たとえば、有機凝結剤を添加後、カチオン性高分子凝集剤を添加し脱水する方法や、有機凝結剤を添加混合後にノニオン性および/またはアニオン性高分子凝集剤を添加混合し、さらにカチオン性高分子凝集剤を添加する有機汚泥の脱水方法があるがこのような汚泥の脱水処理においても従来の有機凝結剤に比べ本発明の有機凝結剤の使用により高い効率で脱水処理ができる。
添加する高分子凝集剤は、上述の公知のアニオン性および/またはノニオン性凝集剤の他に公知のカチオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤を用いることができる。カチオン性高分子凝集剤としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、マンニッヒ変性物、ポリアミジン等一般的なカチオン系凝集剤を使用することができる。両性高分子剤はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩と、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの未中和または部分中和、全中和酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体などが挙げられる。高分子凝集剤の重量平均分子量は200万〜2000万である。形成されたフロックは、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター等の一般的な脱水装置を用いて脱水され、脱水ケーキとすることができる。
以下に本発明を実施例および比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例1>
ステンレス製反応容器に、50%アクリルアミド水溶液と79%ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級化物水溶液を表1に示す割合になるように量り取った。全単量体濃度が55質量%となるように蒸留水を加え、濃硫酸でpH4に調製し、1000gの水溶液を得た。さらに窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら温度を10℃に調節した。これに多価チオール連鎖移動剤としてカレンズMTPE1の25%メタノール溶液を、MTPE1が全単量体重量に対し1000ppmとなるように添加し、撹拌した。さらに2,2’−アゾビス−(アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬(株)製V−50)を全単量体重量に対して2000ppm添加し、混合撹拌後、反応容器の上方から13Wブラックライトを用いて0.4mW/cm2の照射強度で60分間照射して重合を行い、含水ゲル状の水溶性共重合体を得た。含水ゲル状の水溶性共重合体を容器から取り出し細断後、温度80℃で5時間乾燥後粉砕して粉末状の水溶性共重合体を得た。この水溶性共重合体を有機凝結剤A1とした。
<製造例2>
製造例1と同様に単量体水溶液を調製後、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーとしてユニルーブPKA5015(Mw=1600)を全単量体とオリゴマーの合計molに対し、0.3mol%となるように添加し、混合撹拌した。窒素ガスを60分溶液に吹き込みながら温度を10℃に調節した後、連鎖移動剤として亜硫酸水素ナトリウムを全単量体重量に対し50ppm添加し、さらにV−50を全単量体重量に対して2000ppm添加し混合撹拌後、製造例1と同様に重合、後処理を行い有機凝結剤A2を得た。
<製造例3>
製造例1と同様に単量体水溶液を調製し、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーとしてPKA5015を全単量体に対し0.1mol%となるように添加した。窒素ガスを60分溶液に吹き込みながら温度を10℃に調節した後、多価チオール連鎖移動剤としてカレンズMTPE1の25%メタノール溶液を全単量体重量に対して3000ppmとなるように添加し、撹拌した。さらにV−50を添加し製造例1と同様に重合、後処理を行い有機凝結剤A3を得た。
以下同様にして表1に示す製造例4〜9を行い、有機凝結剤A4〜A9を得た。
<比較製造例1>
製造例2においてポリアルキレンオキサイドオリゴマーを入れない以外は同様にして有機凝結剤B1を得た。
<比較製造例2>
製造例5においてポリアルキレンオキサイドオリゴマーを入れない以外は同様にして有機凝結剤B2を得た。
<比較製造例3>
製造例8においてポリアルキレンオキサイドオリゴマーを入れない以外は同様にして有機凝結剤B3を得た。
<製造例10>
油中水型エマルション有機凝結剤A10は、以下に記載する工程により合成した。1000ml四つ口セパラブルフラスコに50%アクリルアミド水溶液11.0g、79%ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級化物水溶液360.0g、多価チオール連鎖移動剤としてカレンズMTPE1の20%アセトン溶液をMTPE1が全単量体に対し6000ppmとなるように添加し、さらに蒸留水を投入し、濃硫酸でpHを4に調整した後、開始剤としてV−50を0.4g含む水溶液20gを添加し、全量400gのモノマー水溶液になるように調製した。さらに、この単量体水溶液をHLB 4.2のノニオン性界面活性剤9.9gを溶解したパラフィン油160gに加え、ホモジナイザーにて高速攪拌して乳化した。フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計を取り付け、攪拌機を通常の化学反応用の攪拌機に代え、攪拌しながらこの乳化液中に30分間窒素ガスを通し脱気した後、50℃に昇温して、窒素ガス雰囲気下で4時間重合を行った。重合終了後、HLBが13.0のノニオン性界面活性剤10.5gを加えてエマルションの有機凝結剤A10を得た。
<製造例11>
製造例10において表1に示す全単量体とオリゴマーの合計比率の単量体とポリアルキレンオキサイドオリゴマーPKA5015を全単量体とオリゴマーの合計比率で0.3mol%添加し、さらにカレンズMTPE1の代わりにメタリルスルホン酸ナトリウム(SMS)を3000ppm添加して重合すること以外は同様にしてエマルションの有機凝結剤A11を得た。
<製造例12>
製造例10において多価チオール連鎖移動剤としてカレンズMTPE1を全単量体に対し10000ppm、アリルオキシポリアルキレンオキサイドオリゴマーPKA5015を全単量体とオリゴマーの合計の0.1mol%となるように添加し重合すること以外は同様にして有機凝結剤A12を得た。以下同様にして表1に示すように製造例13〜15を行い、有機凝結剤A13〜A15を得た。
<比較製造例4>
製造例11において、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーを添加せず、表1の比率の単量体を添加して重合する以外は同様にして製造し、エマルションの有機凝結剤B4を得た。
<比較製造例5>
製造例14においてポリアルキレンオキサイドオリゴマーを添加せず、表1の比率の単量体を添加して重合すること以外は同様にして製造し、エマルションの有機凝結剤B5を得た。
Figure 0006166637
表1において、略号は以下を意味する。
DAC:ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級塩
AM:アクリルアミド
PKA5015:日油(株)製ユニルーブPKA5015(アリルオキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノブチルエーテル、Mw=1600)
MTPE1:、昭和電工(株)製カレンズMTPE1(ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート))
NaHSO3:亜硫酸水素ナトリウム
SMS:メタリルスルホン酸ナトリウム
固有粘度[η]:JISK7367−1に従いウベローデ型粘度計で測定して得られた1N硝酸ナトリウム中30℃における値:dl/g
<性能評価例1>(実施例1〜3、比較例1〜3)
A製紙工場廃水(TS=1680mg/l、SS=200mg/l、COD800mg/l)を用いて凝集沈殿試験を行った。廃水400mlをビーカーに採取した。表2に示す有機凝結剤をイオン交換水に溶解してポリマー分が0.1重量%の水溶液とした。また、無機凝結剤として硫酸バンド(酸化アルミニウムとして8重量%)を準備した。ビーカーをジャーテスターにセットし、有機凝結剤A7を廃水に対しポリマー分換算で4ppmとなるように添加後120rpmで15秒撹拌を行った。次にイオン交換水にポリマー分が0.1重量%となるように溶解したアニオン性高分子凝集剤(MTアクアポリマー(株)製アコフロックA110H)を廃水に対しポリマー分換算で0.5ppm添加して120rpmで60秒撹拌後、さらに60rpmで60秒撹拌してフロックを生成させた。以下同様にして表2に示すサンプルの有機凝結剤を添加し、フロックを形成させた。また、比較として、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーと多価チオール連鎖移動剤を用いない有機凝結剤B3を用いてフロックを形成させた。また有機凝結剤の代わりに硫酸バンドを表2に示す量を廃水に対して見かけ重量換算で表2に示す量を添加した以外は実施例同様に行いフロックを形成させた。生成したフロック径とフロックが沈降して深さが5cmになるまでの沈降時間、上澄みの目視による濁度(○は濁りなしで良、△は濁り有で可、×は濁多く、不可)、上澄み液のCOD値(JISK−0102に示す方法)を測定した結果を表2に示す。この結果から実施例に用いた本発明の有機凝結剤は比較例に比べて、添加量が少なく、凝集特性や処理水の清澄性(濁度、COD値)に優れており、無機凝結剤に比べて添加量が大幅に削減できている。
Figure 0006166637
<性能評価例2>(実施例4〜6、比較例4〜6)
B砂利破砕工場砂利洗浄廃水(TS=25100mg/l、SS=20500mg・l)を用いて凝集沈殿試験を行った。廃水400mlをビーカーに採取した。表3に示す有機凝結剤をイオン交換水でポリマー分0.1重量%の水溶液とした。また、無機凝結剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC、酸化アルミニウムとして10重量%)を準備した。ビーカーをジャーテスターにセットし、有機凝結剤A10を廃水に対し固形分換算で5ppmとなるように添加後150rpmで15秒撹拌を行った。次にイオン交換水にポリマー分が0.1重量%となるように溶解したアニオン性高分子凝集剤(MTアクアポリマー(株)製アコフロックA130H)を廃水に対してポリマー分換算で2ppm添加して100rpmで60秒撹拌してフロックを生成させた。以下同様にして表3に示すサンプルの有機凝結剤を添加し、フロックを形成させた。また、比較として、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーと多価チオール連鎖移動剤を用いない有機凝結剤B4を廃水に対しポリマー分換算で5ppm添加してフロックを形成させた。さらに、有機凝結剤の代わりに無機凝結剤PACを表3に示す量を廃水に対して見かけ重量で表3の量となるように添加した以外は実施例同様に行いフロックを形成させた。生成したフロック径とフロックが沈降して深さが5cmになるまでの沈降時間、上澄みの目視による濁度(○は濁りなしで良、△は濁り有で可、×は濁多く、不可)を測定した結果を表○に示す。この結果から実施例に用いた本発明の有機凝結剤は比較例に比べて、添加量が少なく、凝集特性や処理水の清澄性(濁度)に優れており、無機凝結剤に比べて添加量が大幅に削減できている。
Figure 0006166637
<性能評価例3>(実施例7〜9、比較例7〜9)
C製紙工場廃水(TS=33300mg/l、SS=31300mg/l)を用いて脱水試験を行った。廃水200mlをビーカーに採取した。表3に示す有機凝結剤をイオン交換水に溶解してポリマー分換算で0.1重量%水溶液を調製した。無機凝結剤として硫酸バンド(酸化アルミニウム換算で8重量%)を準備した。有機凝結剤A1を廃水に対してポリマー分換算で5ppm添加し、平羽根翼で250rpmで30秒撹拌した。次にイオン交換水にポリマー分が0.1重量%となるように溶解したアニオン性高分子凝集剤(アコフロックE2300)を廃水に対しポリマー分換算で10ppm添加し250rpmで30秒撹拌した。最後にイオン交換水にポリマー分が0.1重量%となるように溶解したカチオン性高分子凝集剤(アロンフロックE3150)を廃水に対しポリマー分換算で25ppm添加し250rpmで30秒撹拌してフロックを形成させた。以下表4に示すサンプルを添加し同様な方法でフロックを形成させた。比較としてポリアルキレンオキサイドオリゴマーと多価チオール連鎖移動剤を用いない有機凝結剤B1を添加し実施例同様な方法でフロックを形成させた。また、硫酸バンドを廃水に対し見かけ重量で表4に示す量を添加し実施例同様の方法でフロックを形成させた。フロック径を測定後、#60Meshの濾過缶に廃水を流し込み、10秒後の濾液量を測定した。さらに濾液の外観を測定した。濾過缶に残ったケーキの強度を手絞り(5が最も締まったケーキで最良で、1が最も悪く水持ちした柔らかいケーキ)を行い測定した。また、ケーキをベルトプレスでプレス後の含水率を測定した。表4に示すように本発明の有機凝結剤は比較例に比べて、添加量が少なく、濾水性やフロック径、ケーキ強度に優れており、また、無機凝結剤に比べて添加量が大幅に削減できている。
Figure 0006166637
<性能評価例4>(実施例10〜12、比較例10〜12)
D化学工場廃水(TS=28000mg/l、SS=26100mg/l)を用いて脱水試験を行った。廃水200mlをビーカーに採取した。表4に示す有機凝結剤をイオン交換水に溶解してポリマー分が0.1重量%水溶液を調製した。無機凝結剤として硫酸バンド(酸化アルミニウム換算で8重量%)を準備した。有機凝結剤A4を廃水に対しポリマー分換算で4ppm添加した後、平羽根翼で250rpmで30秒撹拌した。イオン交換水にポリマー分が0.1重量%となるように溶解した両性高分子凝集剤(アロンフロックE5561)を150ppm添加し250rpmで30秒撹拌してフロックを形成させた。同様にして表5に示す有機凝結剤を用いてフロックを形成させた。比較としてポリアルキレンオキサイドオリゴマーと多価チオール連鎖移動剤を用いない有機凝結剤B2を廃水に対しポリマー分換算で8ppm添加し、実施例と同様にしてフロックを形成させた。また、有機凝結剤の代わりに硫酸バンドを見かけ重量で表5に示す量を添加し、実施例同様にフロックを形成させた。フロック径を測定後、#60Meshの濾過缶に廃水を流し込み、10秒後の濾液量を測定した。さらに濾液の外観を測定した。濾過缶に残ったケーキ強度を手絞り(5が最も締まったケーキで最良で、1が最も悪く水持ちした柔らかいケーキ)を行い測定した。また、ケーキをベルトプレスでプレス後の含水率を測定した。表4に示すように本発明の有機凝結剤は比較例に比べて、添加量が少なく、濾水性やフロック径、ケーキ強度に優れており、また、無機凝結剤に比べて添加量が大幅に削減できている。
Figure 0006166637
<性能評価例5>
E製紙工場廃水(TS=44000mg/l、SS=38300mg/l)を用いて脱水試験を行った。廃水200mlをビーカーに採取した。表4に示す有機凝結剤をイオン交換水に溶解してポリマー分が0.1重量%の水溶液を調製した。無機凝結剤として硫酸バンド(酸化アルミニウム換算で8重量%)を準備した。有機凝結剤A13を廃水に対してポリマー分換算で5ppmを添加後、平羽翼で200rpmで20秒撹拌後、イオン交換水にポリマー分で0.1重量%となるように溶解したアニオン性高分子凝集剤(MTアクアポリマー(株)製アコフロックE2300)を廃水に対しポリマー分換算で7ppm添加し、200rpmで30秒間撹拌した。最後にイオン交換水にポリマー分で0.1重量%となるように溶解したカチオン性高分子凝集剤(MTアクアポリマー(株)製アロンフロックE3360)を廃水に対してポリマー分換算で20ppm添加し200ppmで30秒撹拌してフロックを形成させた。以下同様にしてA14、A15を用いてフロックを形成させた。実施例16は有機凝結剤A15のポリマー分0.1重量%溶液を廃水にポリマー分換算で2ppm添加後、平羽翼で200rpmで20秒撹拌後、硫酸バンドを見かけ重量で廃水に対し200ppm添加し、平羽翼で200rpmで20秒撹拌後、実施例13と同様に高分子凝集剤でフロックを形成させた。実施例17は硫酸バンドを見かけ重量で廃水に対し200ppm添加し、平羽翼で200rpmで20秒撹拌後、有機凝結剤A15を廃水に対しポリマー分で2ppm添加し、平羽翼で200rpmで20秒撹拌した後、実施例13と同様に高分子凝集剤でフロックを形成させた。さらに、実施例18は廃水に対し有機凝結剤A15をポリマー分換算で2ppmと硫酸バンドを見かけ重量で200ppm同時に添加し、平羽根翼で200rpmで20秒撹拌後、実施例13と同様に高分子業種剤でフロックを形成させた。比較例としてポリアルキレンオキサイドオリゴマーと多価チオール連鎖移動剤を用いない有機凝結剤B5を廃水に対してポリマー分で5ppm添加し、平羽翼で200rpm20秒撹拌後、実施例13同様に高分子凝集剤で処理してフロックを形成させた。また、有機凝結剤の代わりに硫酸バンドを見かけ重量分換算で表6に示す量添加後、平羽翼で200rpm20秒撹拌後、実施例13と同様に高分子凝集剤でフロックを形成させた。#60Meshの濾過缶に廃水を流し込み、10秒後の濾液量を測定した。さらに濾液の外観を観察した。濾過缶に残ったケーキの強度を手絞りにより判定した。またケーキをベルトプレスにてプレス後の含水率を測定した。表6に示すように本発明の有機凝結剤は比較例に比べて濾水性、フロック性、含水率に優れるため無機凝結剤に比べて添加量を大幅に削減することができる。また、無機凝結剤と併用した場合も無機凝結剤の使用量を大幅に減らすことができ、さらに有機凝結剤を無機凝結剤より先に添加することで凝集製性能やケーキ強度が向上していることが向上していることがわかる。
Figure 0006166637

Claims (5)

  1. ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩とアクリルアミドとを単量体組成中、99.7〜100mol%含む単量体混合物であって、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩を15〜95mol%と、アクリルアミドを4.7〜85mol%と、を含む単量体混合物を下記式(B1)
    E−[−(CH−O−CO−(CH−SH] ・・・化(B1)
    及び/又は下記式(B2)
    E−[−(CH−O−CO−(CH−CH(SH)−CH ・・・化(B2)
    (但し、化(B1)及び化(B2)において、Eは多価アルコールから末端OHを除いた基又はイソシアヌル酸からHを除いた基であり、r、sはそれぞれ0又は1〜20の整数であり、nは3〜20の整数である)
    で表される多価チオール連鎖移動剤を全単量体質量に対して100〜20000ppmで用いてラジカル重合する、固有粘度が0.01〜10[dl/g]である共重合体からなる有機凝結剤の製造方法
  2. ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩と、アクリルアミドと、片末端が下記式(1)
    CH=C(R)−X− ・・・化(1)
    (但し、化(1)において、R及びRはそれぞれH又は炭素数1〜3のアルキル基であり、XはRO又はOであり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である)
    で表されるポリアルキレンオキサイドオリゴマーと、の合計量が100mol%であって、
    ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩を15〜95mol%と、アクリルアミドを4.7〜84.9mol%と、を含む単量体混合物を、前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーを全単量体と前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーとの合計量に対して0.01〜2mol%を用いてラジカル重合する、固有粘度が0.01〜10[dl/g]である共重合体からなる有機凝結剤の製造方法
  3. ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩と、アクリルアミドと、片末端が下記式(1)
    CH=C(R)−X− ・・・化(1)
    (但し、化(1)において、R及びRはそれぞれH又は炭素数1〜3のアルキル基であり、XはRO又はOであり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である)
    で表されるポリアルキレンオキサイドオリゴマーと、の合計量が100mol%であって、
    ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩を15〜95mol%と、アクリルアミドを4.9〜84.9mol%と、を含む単量体混合物を、下記式(B1)
    E−[−(CH−O−CO−(CH−SH] ・・・化(B1)
    及び/又は下記式(B2)
    E−[−(CH−O−CO−(CH−CH(SH)−CH ・・・化(B2)
    (但し、化(B1)及び化(B2)において、Eは多価アルコールから末端OHを除いた基又はイソシアヌル酸からHを除いた基であり、r、sはそれぞれ0又は1〜20の整数であり、nは3〜20の整数である)
    で表される多価チオール連鎖移動剤を全単量体質量に対して100〜20000ppm、及び前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーを全単量体と前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーとの合計量に対して0.01〜2mol%を用いてラジカル重合する、固有粘度が0.01〜10[dl/g]である共重合体からなる有機凝結剤の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造された有機凝結剤を用いた廃水処理方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造された有機凝結剤を用いた製紙廃水の処理方法。
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