JP6649762B2 - 架橋型高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる廃水処理方法 - Google Patents

架橋型高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる廃水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、架橋型高分子凝集剤及びその製造方法並びに廃水処理方法に関する。詳しくは、水溶液が所定の粘弾性を有する架橋型高分子凝集剤及びその製造方法並びに廃水処理方法に関する。
生活排水、産業廃水等に含まれる汚泥を凝集・沈降・分離させることを目的として、高分子凝集剤が使用されている。高分子凝集剤としては、線状型水溶性高分子から成るカチオン性高分子や両性高分子が多用されている。汚泥の処理において、脱水ケーキの含水率は高分子凝集剤の添加率に密接に関連する。高分子凝集剤の添加率が低い場合は、脱水ケーキの含水率を十分に低下させることができない。また、高分子凝集剤の添加率が高い場合も、脱水ケーキの含水率を十分に低下させることができない。即ち、従来の高分子凝集剤は、その添加率が低過ぎても高過ぎても良好な性能を発揮することができない。従来の高分子凝集剤の最適な添加率は、廃水の性状によって変動する。また、従来の高分子凝集剤は、廃水の処理に適する添加率の幅が狭い。
近年、畜産施設から排出される汚泥の処理方法は、大規模経営化や環境配慮の風潮から化学的処理法が用いられるようになってきている。糞尿自体をセパレータで分別した汚泥や余剰汚泥の処理に高分子凝集剤が用いられている。しかし、畜産廃水は、畜産に対する飼料の変化や季節等により、廃水の性状が変動する。また、廃水の一部がエマルション状になっている場合もある。そのため、従来の高分子凝集剤では、畜産廃水の効率的な処理が困難である。
上記の問題を解決するために、先ず、カチオン性凝集剤の総添加量の70〜95質量%を添加して混合した後、残余の凝集剤を添加する方法がある(特許文献1)。しかし、この方法は高分子凝集剤の使用量の増加や工程の煩雑化を生じる。
また、ポリアミジンを用いる廃水処理方法であって、塩粘度の異なる2種類以上の水溶性高分子を用いて脱水処理する方法がある(特許文献2)。しかし、アミジンの使用は薬剤コストの上昇を招く。また、分子量が低いため、造粒性が乏しい。そのため、凝集剤の添加量の増加を生じる。
特開2004−202401号公報 特許4823552号公報
本発明が解決しようとする課題は、畜産廃水に対する凝集性が優れ、ろ過速度が速く、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができる高分子凝集剤及びその製造方法並びに廃水処理方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
従来の線状型水溶性高分子から成る高分子凝集剤を水に溶解して水溶液とする場合、凝集剤分子同士の相互作用や水分子との水素結合に起因し、線状型の凝集剤分子が糸まり状になっていると考えられる。糸まり状になった高分子凝集剤は、汚泥との反応が進行し難く、強固な汚泥フロックを形成することが困難である。また、線状型水溶性高分子から成る凝集剤はその添加量を多くする必要がある。特に、畜産廃水は、固形分が少なく、その一部がエマルション状となっている。また、畜産廃水は、畜産の飼料が変化することにより、その性状が変化する。そのため、従来の線状型水溶性高分子から成る高分子凝集剤は、畜産廃水から生じる汚泥を効率良く脱水することが困難であることが多い。
一方、架橋型水溶性高分子から成る高分子凝集剤は、分子構造がリジットであり、凝集剤分子同士の相互作用や水分子との相互作用が小さい。そのため、汚泥への吸着速度が速く、強固な汚泥フロックを形成できる。また、架橋構造を有しているため、線状型水溶性高分子よりも疎水性が高く、生成した汚泥フロックの脱水性が高くなる。
特に、水溶液が所定の粘弾性を有する架橋型水溶性高分子を高分子凝集剤として使用すると、畜産廃水に対する凝集性が優れ、ろ過速度が速く、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での歪み率依存性測定における貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2とが等しくなる歪み率y(%)が下記式(1)
1≦y<500 ・・・式(1)
を満たすとともに、
レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4とが等しくなる角周波数x(rad/s)が下記式(2)
0.05<x≦15 ・・・式(2)
を満たすことを特徴とする架橋型高分子凝集剤。
〔2〕 前記架橋型高分子凝集剤が、
カチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物を重合して得られる水溶性高分子である〔1〕に記載の架橋型高分子凝集剤。
〔3〕 前記カチオン性単量体が、
下記一般式(1)
Figure 0006649762

(但し、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
で表されるカチオン性単量体である〔2〕に記載の架橋型高分子凝集剤。
〔4〕 前記架橋型高分子凝集剤の剤型がエマルションである〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の架橋型高分子凝集剤。
〔5〕 前記架橋型高分子凝集剤の剤型が粉末である〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の架橋型高分子凝集剤。
〔6〕 カチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物をエマルション重合することを特徴とする〔4〕に記載の架橋型高分子凝集剤の製造方法。
〔7〕 カチオン性単量体5〜98.9999モル%と、
ノニオン性単量体1〜94.9999モル%と、
架橋性単量体0.0001〜0.01モル%と、
からなる単量体混合物をエマルション重合して重合体エマルションを得、該重合体エマルションを乾燥することを特徴とする〔5〕に記載の架橋型高分子凝集剤の製造方法。
〔8〕 無機凝集剤を添加しない廃水処理方法であって、
全蒸発残留物が2,000〜50,000(mg/L)の廃水に〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の架橋型高分子凝集剤を添加することを特徴とする廃水処理方法。
〔9〕 前記廃水が畜産廃水である〔8〕に記載の廃水処理方法。
本発明の架橋型高分子凝集剤は、畜産廃水に対する凝集性に優れ、ろ過速度が高く、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができる。本発明の架橋型高分子凝集剤は、様々な性状の畜産廃水に対して優れた性能が発揮される。本発明の架橋型高分子凝集剤は、廃水に対して採りうる添加率の幅が広い。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
(1)架橋型高分子凝集剤
本発明の架橋型高分子凝集剤は、以下に説明するパラメータを具備する架橋型水溶性高分子から成ることを特徴とする。本発明の架橋型高分子凝集剤は、線状型高分子を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、線状型高分子の含有率が1質量%未満であることをいう。
(1−1)架橋型水溶性高分子
本発明の高分子凝集剤は、水溶液が所定の粘弾性を有する架橋型水溶性高分子から成ることを特徴とする。架橋型水溶性高分子が高分子凝集剤としての優れた性能を発揮するための物性は、レオメーターを用いて測定する粘弾性によって規定することができる。
本発明の高分子凝集剤は、レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での歪み率依存性測定における貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2とが、歪み率<1%である時は常にG2<G1の関係にあり、1%≦歪み率<500%の範囲においてG1とG2との大小関係が逆転し、歪み率≧500%である時は常にG2>G1の関係になるとともに、
角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4とが、角周波数≦0.05rad/sの時は常にG3<G4の関係にあり、0.05rad/s<角周波数≦15rad/sの範囲においてG3とG4との大小関係が逆転し、角周波数>15rad/sの時は常にG3>G4の関係となることを特徴とする。
即ち、以下の式(2)
tanδ=G2/G1 ・・・式(2)
で表されるtanδが1となるのは、歪み率が1%以上500%未満の範囲内である。tanδ=1となるのは、歪み率が5〜400%の範囲内であることが好ましく、10〜300%の範囲内であることがさらに好ましく、20〜200%の範囲内であることが特に好ましい。tanδ=1となる点が歪み率500%以上である場合、架橋型水溶性高分子の架橋が不十分であり、その性質は線状型水溶性高分子の性質に近くなる。その結果、フロック径が大きくならなかったり、ろ過速度が向上しなかったり、脱水ケーキの含水率が低下しないことがある。また、様々な性状を有する畜産廃水に対して、その効果を発揮し難くなる。tanδ=1となる点が歪み率1%未満である場合、水溶性高分子の架橋反応が進み過ぎて、添加量が増加したり、脱水ケーキの含水率を十分に低下できないことがある。
また、以下の式(3)
tanδ=G4/G3 ・・・式(3)
で表されるtanδが1となるのは、角周波数xが0.05rad/s<x≦15rad/sの範囲内である。tanδ=1となるのは、角周波数が0.08〜12rad/sの範囲内であることが好ましく、0.1〜10rad/sの範囲内であることがさらに好ましく、0.12〜1.6rad/sの範囲内であることが特に好ましい。tanδ=1となる点が角周波数0.05rad/s以下である場合、水溶性高分子の架橋が不十分であり、その性質は線状型水溶性高分子の性質に近くなる。その結果、フロック径が大きくならなかったり、ろ過速度が低下したり、脱水ケーキの含水率が低下しないことがある。また、様々な性状を有する畜産廃水に対して効果を発揮し難くなる。tanδ=1となる点が角周波数15rad/sを超える場合、水溶性高分子の架橋反応が進み過ぎて、高い性能を発揮するのに必要な添加量が増えたり、脱水ケーキの含水率を十分に低下できないことがある。
なお、上記で規定される粘弾性は、架橋型水溶性高分子の3次元構造を示した指標である。この値は、架橋性単量体の添加量及び連鎖移動剤の添加量、重合触媒の量等を適宜変えることによって調整することができる。例えば、架橋性単量体の添加量を増加することにより、tanδ=1となる歪み率を低くすることができる。また、架橋性単量体の添加量を増加することにより、tanδ=1となる角周波数を大きくすることができる。同様に連鎖移動剤の添加量を増加することにより、tanδ=1となる歪み率を大きくすることができる。また、連鎖移動剤の添加量を増加することにより、tanδ=1と
なる角周波数を低くすることができる。
所定の粘弾性を有する架橋型水溶性高分子は、所定のカチオン性単量体、所定のノニオン性単量体及び所定の架橋性単量体を必須成分とし、共重合可能な他の単量体を任意成分とする単量体混合物を重合することにより製造される。
(1−1−1)カチオン性単量体
カチオン性単量体としては、ラジカル重合し得るラジカル重合性の二重結合及びカチオン基を有する単量体であって、下記一般式(1)で表される化合物の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物等を挙げることができる。これらのカチオン性単量体の中でも、ラジカル重合反応性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、得られる架橋型水溶性高分子の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006649762
但し、上記一般式(1)中のRは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。Zとしては、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや硫酸イオンが例示される。
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの好ましいカチオン性単量体の中でも、特に高分子凝集剤としての性能に優れ、カチオン性単量体及び架橋型水溶性高分子の品質及び貯蔵安定性にも優れることから、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩(DAC)及びジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩(DMC)が最も好ましい。
これらのカチオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるカチオン性単量体の配合量は、5〜98.9999モル%であることが好ましく、20〜98モル%であることがより好ましく、50〜95モル%であることが特に好ましい。即ち、架橋型水溶性高分子は、カチオン性単量体単位を5〜98.9999モル%で含むことが好ましく、20〜98モル%で含むことがより好ましく、50〜95モル%で含むことが特に好ましい。
(1−1−2)ノニオン性単量体
ノニオン性単量体としては、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのノニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物が好ましい。
CH=CR−CO−NR ・・・化(2)
但し、上記一般式(2)中のRは水素原子又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
これらの(メタ)アクリルアミド系化合物の中でも、水溶性であり、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリルアミド(AM)が最も好ましい。
これらのノニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるノニオン性単量体の配合量は、1〜94.9999モル%であることが好ましく、2〜80モル%であることがより好ましく、5〜50モル%であることがより好ましい。即ち、架橋型水溶性高分子は、ノニオン性単量体単位を1〜94.9999モル%で含むことが好ましく、2〜80モル%で含むことがより好ましく、5〜65モル%で含むことが特に好ましい。
(1−1−3)架橋性単量体
架橋性単量体としては、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリロイル基を、1分子中に2個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体(以下、単に「架橋性単量体」又は「架橋剤」と略記することもある)を挙げることができる。
CH=CR−CO− ・・・化(3)
但し、上記一般式(3)中のRは水素原子又はメチル基であり、−CO−はカルボニル基を表す。
前記架橋性単量体の1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上である。2〜5個であるものが好ましく、2〜3個であるものがさらに好ましい。1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数が5個を超えても、(メタ)アクリロイル基の数に相応の高分子凝集剤としての性能向上の効果が得られない場合がある。
このような架橋性単量体としては、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、エチレン又はポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、モノ及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリメチロールアルカンポリ(メタ)アクリレートが例示される。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
単量体混合物中における架橋性単量体の配合量は、0.0001〜0.01モル%であることが好ましく、0.0002〜0.008モル%であることがより好ましく、0.0005〜0.007モル%であることが特に好ましい。即ち、架橋型水溶性高分子は、架橋性単量体単位を0.0001〜0.01モル%で含むことが好ましく、0.0002〜0.008モル%で含むことがより好ましく、0.0005〜0.007モル%で含むことが特に好ましい。架橋性単量体の添加量が0.0001〜0.01モル%である場合、架橋型水溶性高分子同士の相互作用が弱いため粘性が低く、ハンドリングが優れる。また、粘性が低いことから、汚泥との反応が速やかに進行し、強固なフロックを形成することができる。0.0001モル%未満である場合、架橋反応が不十分となることがあり、その場合、高分子凝集剤としての汚泥フロックの形成能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、脱水ケーキの含水率が低くならなかったりすることがある。また、架橋性単量体の添加量が0.01モル%を超えると、架橋反応が進み過ぎることがあり、これは、特に水溶液重合の場合では不溶解量が増加し、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減るため、凝集効果を十分に発揮できない。また、エマルションの場合は、処理に必要な添加量が増え、処理コストが増大する。
(1−1−4)共重合可能な単量体
本発明の高分子凝集剤は、前記カチオン性単量体の他、必要に応じて共重合可能な単量体の1種又は2種以上を併用してもよい。共重合可能な単量体としては、特に制限されないが、以下に記載するアニオン性単量体が例示される。
アニオン性単量体としては、下記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類の他、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸等及びこれらの塩類を挙げることができる。これらのアニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類が好ましい。塩類としては、アンモニウム塩並びにナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
CH=CR−CO−OM ・・・化(4)
但し、上記一般式(4)中のRは水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属原子を表す。
これらの(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類の中でも、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリル酸及びそのアンモニウム塩が最も好ましい。
これらのアニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるアニオン性単量体の配合量は、1〜94.9999モル%であることが好ましく、2〜80モル%であることがより好ましく、5〜50モル%であることがより好ましい。
(2)架橋型水溶性高分子の製造方法
架橋型水溶性高分子を得るための重合の方法は、ラジカル重合であること以外には特に制限されないが、本発明に適用可能なラジカル重合の具体的な形態として、水溶液重合や懸濁重合、エマルション重合等が例示される。これらの中でも操作方法が簡便且つ原料及び製品の取扱いが容易であり、工業的な生産における生産コストの面でも有利な水溶液重合やエマルション重合が好ましい。また、エマルション重合後に水層や油層を揮発させて粉末化させても良い。
(2−1)水溶液重合
水溶液重合は、上記単量体混合物の水溶液をラジカル重合開始剤の存在下で重合する方法である。水溶液重合の場合、前記単量体混合物の濃度は、25〜85質量%とすることが好ましく、30〜65質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
重合反応の際に用いられるラジカル重合開始剤は特に制限されない。水溶液重合の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤及び光重合開始剤等を適宜利用できる。これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合開始温度は、通常0〜35℃が好ましい。重合時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。また、重合反応は酸素の存在しない不活性雰囲気で行うことが好ましい。これらの重合条件は公知である。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
前記水溶液重合による製造方法の中でも、得られる架橋型水溶性高分子の物性や品質のバラツキが少なく、安定した生産が可能であり、物性の調整が容易である等の理由から、光照射重合が特に好ましい。光照射重合の具体例としては、光重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下、前記単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う方法が例示される。
光照射重合に用いられる光重合開始剤は特に制限されない。好ましい光重合開始剤として、アセトフェノン系光重合開始剤やアゾ系開始剤等が例示される。その中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易である等の理由から、水溶性のアゾ系開始剤が特に好ましい。
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が例示される。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されない。光重合開始剤の種類、架橋型重合体の分子量、単量体組成及び残存単量体の含有量に応じて、適宜調整すればよい。水溶性アゾ系開始剤の場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で100〜3000ppmが好ましい。
光照射重合に用いられる連鎖移動剤は、主に架橋型水溶性高分子の分子量の調整及び不溶解物の発生を抑制する目的で添加される。その種類は特に制限されない。本発明で使用可能な連鎖移動剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、イソプロパノール等が例示される。これらの中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、少量の添加量でも効果が高く、架橋型水溶性高分子の分子量を容易に調整できる等の理由から、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は特に制限されない。連鎖移動剤の種類、架橋型重合体の分子量、単量体組成、架橋性単量体の添加量及び不溶解量に応じて、適宜調整すればよい。亜硫酸水素ナトリウムの場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で5〜500ppmが好ましく、10〜300ppmがさらに好ましく、15〜200ppmが最も好ましい。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が5ppm未満では、不溶解物の発生を抑制できない場合がある。その場合、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が500ppmを超えると、架橋型重合体の分子量が低くなり過ぎることがある。その場合、高分子凝集剤としての汚泥に対する凝集力が低下し、フロック径が大きくならない。また、ろ過速度が低下したり、汚泥中の微細な固形物がろ液に抜けて、ろ液の透明性が悪化する場合がある。
光照射重合に用いられる光の波長、照射強度、照射時間等の光照射条件は特に制限されない。使用する光重合開始剤の種類及び添加量並びに架橋型重合体の物性及び性能に応じて、適宜調整すればよい。光重合開始剤として、前記水溶性アゾ系開始剤を使用する場合、波長365nm付近の光が好ましく、照射強度は365nm用のUV照度計による0.1〜10.0mW/cmが好ましい。照射時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。
(2−2)エマルション重合
エマルション重合は、所定の単量体、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤等を含有する水相と、非混和性の炭化水素からなる油状物質と、油中水滴型エマルションを形成させる有効量の界面活性剤と、を用いて油中水滴型エマルションを形成させ、このエマルションの液滴内で単量体を重合させる方法である。
油状物質としては、パラフィン類、各種鉱油、パラフィン類や各種鉱油と同等の特性を有する炭化水素系油、及びこれらの混合物を挙げることができる。油状物質の含有量は、油中水滴型エマルション全量に対して15〜50質量%の範囲であり、20〜40質量%であることが好ましい。
界面活性剤は、HLBが3〜11であることが好ましい。そのような界面活性剤の例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、油中水滴型エマルション全量に対して0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
エマルション重合を行う場合の重合条件は、使用する単量体や開始剤、重合体の物性に応じて適宜設定される。重合温度は5〜90℃が好ましい。単量体の重合濃度は20〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。重合時間は1〜10時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。重合反応は酸素のない不活性雰囲気で行うことが好ましい。
エマルション重合を行う場合の平均粒子径は、0.03〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積平均値をいう。
上記に説明した重合方法を用いることにより、本発明で規定する所定の粘弾性を有する架橋型水溶性高分子を製造することができる。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。架橋型水溶性高分子の0.1%水溶液の粘度は、100〜3000mPa・sであり、150〜1500mPa・sであることが更に好ましく、180〜1000mPa・sであることが特に好ましい。粘度の調整は、重合度や架橋度を調節することにより行うことができる。重合度の調節は、重合触媒濃度、連鎖移動剤の使用等、公知の方法により行うことができる。架橋度の調節は、架橋性単量体の配合量を調節することにより行うことができる。
架橋型水溶性高分子の重量平均分子量は、50万〜1500万であることが好ましい。重量平均分子量が50万未満の場合、高分子凝集剤としての汚泥フロックの形成能が不足して、フロック径が十分に大きくならないことがある。また、重量平均分子量が500万を超えると、高分子凝集剤の溶解性が悪化し、溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因となる。
架橋型水溶性高分子の不溶解量は、50mL以下であることが好ましく、20mL以下であることがさらに好ましく、10mL以下であることが最も好ましい。不溶解量が50mLを超えると、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。
架橋型水溶性高分子の0.5%塩粘度は、5〜50mPa・sであることが好ましく、7〜30mPa・sであることがさらに好ましく、10〜20mPa・sであることが最も好ましい。0.5%塩粘度が5mPa・s未満の場合、高分子凝集剤としての凝集性能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、重力ろ過性が低下することがある。0.5%塩粘度が50mPa・sを超えると、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
(3)廃水処理方法
本発明の高分子凝集剤を用いる廃水処理方法では、下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等がいずれも処理対象になる。本発明の高分子凝集剤は畜産廃水に対して特に優れた性能を有する。即ち、一部がエマルション状となっている廃水や成分が変動する廃水に対して特に有効に作用する。
本発明の廃水処理方法は、上記各種廃水に、本発明の高分子凝集剤を添加して脱水することを特徴とする。脱水方法の具体例としては、各種廃水に本発明の高分子凝集剤を添加し、公知の方法で撹拌及び/又は混合することで汚泥中の懸濁物と高分子凝集剤を作用させて、汚泥フロックを形成させる。形成された汚泥フロックを、公知の手段により機械的に脱水処理することで、処理水と脱水ケーキに分離する。
脱臭、脱リン及び脱窒等を目的とする場合は、汚泥のpHを5未満にすることが好ましい。
本発明の廃水処理方法は、無機凝集剤を添加しない。そのため、処理コストが低く、操作が簡便である。
脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤脱水機、ロータリープレスフィルター等が例示される。
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
〔粘弾性の歪み率依存性と角周波数依存性の測定方法〕
アントンパール社製 MCRレオメーターを用いて、試料を固形分0.1質量%に溶解した水溶液粘弾性の振動歪み率依存性と角周波数依存性を測定した。
<粘弾性測定装置>
アントンパール社製MCR302型レオメーター、制御ソフトウエアレオプラス32(ver.3.62)
<測定条件>
治具:50mmφ_0.5°コーンプレート
測定温度:25℃
<歪み率依存性測定>
周波数1Hzにおいて歪み率1%→1000%をかけた場合の溶液の貯蔵弾性率と損失弾性率を測定した。
<周波数依存性測定>
歪み率0.1〜10%線形昇降範囲で、角周波数100→0.1rad/sをかけた場合の溶液の貯蔵弾性率と損失弾性率を測定した。
〔ろ過速度〕
内径75mm、深さ100mm、目開き80meshのステンレス製篩に、凝集した汚泥を一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、汚泥投入後、5秒、10秒、20秒、30秒経過後のろ液の容量を計測して、重力ろ過性を評価した。このうち、10秒経過後のろ液の容量を10秒後ろ液量(mL)とした。
〔脱水ケーキの含水率〕
前記のろ過速度測定後にステンレス製篩上に残った汚泥の含水ケーキを全量取り出し、ベルトプレス用ろ布(ポリエステル製、杉綾織)に挟んで卓上試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3分間圧搾することで脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキから中心の一部をサンプリングしてアルミパンに秤量し、105℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量を測定し、乾燥による減少量と乾燥前の質量の質量比から含水率を求めた。
<製造例1>
79%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩水溶液313gと50%アクリルアミド水溶液45.4gを混合し、イソプロピルアルコール1.6g、キレート剤EDTAの5%水溶液を4.0g、開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.03gとメチレンビスアクリルアミド(MBA)0.0036gを含む水溶液を含む水溶液2.0gを添加後、イオン交換水を添加し、98%硫酸でpH3.0に調整し、704.2gの水相を調製した。油相を撹拌しながら、水相を添加し、ホモジナイザーにて高速撹拌して油中水型エマルションを調製した。フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計をつけ、撹拌翼で撹拌しながら、窒素ガスで脱気を開始した。十分に脱気した後、窒素ガスを供給しながら、さらに二酸化硫黄を0.02vol%含む窒素ガスを34.9ml/分の供給量で乳化液中に吹き込み、重合を開始させた。50℃に到達後、2時間この温度を保持した後、二酸化硫黄を含む窒素ガスの供給量を186.4ml/分に増やし、さらに50℃で1時間保持した後、窒素ガスおよび二酸化硫黄を含む窒素ガスを停止し、重合を終了した。親水性界面活性剤として、HLB値13.5のポリエチレングリコールモノオレートをエマルションに含まれる総乳化剤の加重平均のHLB値が10.0となるように、14.1g加えて混合し、エバポレーターにて脱水後、減圧乾燥を行い、粉末の重合体1を得た。この重合体の粘弾性の測定結果を表1に示した。
<製造例2〜7、比較製造例1〜6>
単量体組成を表1に記載のように変更した以外は、製造例1と同様に操作して重合体を得た。これらの重合体の粘弾性の測定結果を表1に示した。
Figure 0006649762
〔廃水処理試験1〕
(実施例1〜4、比較例1〜6)
猪牧場から採取した畜産廃水を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した廃水は、pH=6.69、TS(Total Solid)=5,000(mg/L)、SS(Suspended Solids)=3,840(mg/L)である。この廃水200mLを300mLのビーカーに入れ、各凝集剤をそれぞれ添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表2に記載した。この廃水を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。これらの結果を表2に示した。
Figure 0006649762
Figure 0006649762
実施例1の高分子凝集剤は、所定の粘弾性の架橋型水溶性高分子を含んでおり、添加率60〜100ppmの範囲で良好な性能を示した。
これに対して、比較例1で用いる高分子凝集剤のtanδ=1となる角周波数は0.05rad/sである。比較例1の高分子凝集剤は、添加量80ppmの時、ろ過速度が最も良好であるが、添加量をさらに増やすと、ろ過速度が低下した。即ち、添加過剰となった。比較例2〜3も比較例1と同様な結果となった。比較例4は線状型ポリマーで角周波数が範囲内のものではあるが、十分なろ過速度が得られず、含水率も低下しない。
比較例5及び6は、線状ポリマーと架橋ポリマーの混合物であり、実施例1〜4よりも添加量が増加した。
〔廃水処理試験2〕
(実施例5〜8、比較例7〜9)
黒豚牧場から採取した畜産廃水を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した廃水は、pH=7.14、TS(Total Solid)=13,700(mg/L)、SS(Suspended Solids)=11,100(mg/L)である。この廃水200mLを300mLのビーカーに入れ、各凝集剤をそれぞれ添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表2に記載した。この廃水を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。これらの結果を表3に示した。
実施例5〜8の高分子凝集剤は、所定の粘弾性の架橋型水溶性高分子を含んでおり、添加率60〜100ppmの範囲で良好な性能を示した。それに対して、比較例7〜9は実施例程の濾過速度の向上や含水率の低減が確認できなかった。
Figure 0006649762
〔廃水処理試験3〕
(実施例9〜11、比較例10〜12)
黒豚牧場から採取した畜産廃水を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した廃水は、pH=7.52、TS(Total Solid)=18,100(mg/L)、SS(Suspended Solids)=14,600(mg/L)である。この廃水200mLを300mLのビーカーに入れ、各凝集剤をそれぞれ添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表2に記載した。この廃水を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。
これらの結果を表4に示した。
実施例9〜11の高分子凝集剤は、所定の粘弾性の架橋型水溶性高分子を含んでおり、添加量を200〜275ppmの範囲で添加量増加に相関して、10秒濾過速度の増加と含水率の低減を示した。それに対して、比較例10〜12は添加量250ppmで濾過速度と含水率が頭打ちとなった。
Figure 0006649762

Claims (7)

  1. ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩を50〜95モル%と、
    アクリルアミドを5〜50モル%と、
    メチレンビスアクリルアミドを0.0001〜0.01モル%と、
    からなる単量体混合物であり、且つ前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩とアクリルアミドとの合計量に対する前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩のモル分率が60モル%以上である単量体混合物を重合して得られる水溶性高分子であって、
    線状型高分子を実質的に含まず、
    0.2%水溶液の粘度が400〜1100mPa・sであり、
    レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での歪み率依存性測定における貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2とが等しくなる歪み率y(%)が下記式(1)
    1≦y<500 ・・・式(1)
    を満たすとともに、
    レオメーターを用いた0.1質量%水溶液の25℃での角周波数依存性測定における貯蔵弾性率G3と損失弾性率G4とが等しくなる角周波数x(rad/s)が下記式(2)
    0.05<x≦15 ・・・式(2)
    を満たすことを特徴とする架橋型高分子凝集剤。
  2. 前記架橋型高分子凝集剤の剤型がエマルションである請求項1に記載の架橋型高分子凝集剤。
  3. 前記架橋型高分子凝集剤の剤型が粉末である請求項1に記載の架橋型高分子凝集剤。
  4. ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩を50〜95モル%と、
    アクリルアミドを5〜50モル%と、
    メチレンビスアクリルアミドを0.0001〜0.01モル%と、
    からなる単量体混合物であり、且つ前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩とアクリルアミドとの合計量に対する前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩のモル分率が60モル%以上である単量体混合物をエマルション重合することを特徴とする請求項1に記載の架橋型高分子凝集剤の製造方法。
  5. ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩を50〜95モル%と、
    アクリルアミドを5〜50モル%と、
    メチレンビスアクリルアミドを0.0001〜0.01モル%と、
    からなる単量体混合物であり、且つ前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩とアクリルアミドとの合計量に対する前記ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートの塩化メチル4級塩のモル分率が60モル%以上である単量体混合物をエマルション重合して重合体エマルションを得、該重合体エマルションを乾燥することを特徴とする請求項1に記載の架橋型高分子凝集剤の製造方法。
  6. 無機凝集剤を添加しない廃水処理方法であって、
    全蒸発残留物が2,000〜50,000(mg/L)の廃水に請求項1乃至3のいずれか1項に記載の架橋型高分子凝集剤を添加することを特徴とする廃水処理方法。
  7. 前記廃水が畜産廃水である請求項6に記載の廃水処理方法。
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