JP4823552B2 - 畜産廃水の処理方法 - Google Patents
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Description
そこで、家畜糞尿の処理方法としては、高分子凝集剤を用いた廃水処理法を適用することが知られている。そのなかで近年増えている廃水処理法は、例えば、家畜の原糞尿(汚濁物質)中の大きな固形分をセパレーターで取り除いた液に、カチオン性または両性の高分子凝集剤を含む水溶液を添加して固形分を凝集させ、固形分を脱水分離した後、残った濾液を曝気槽に送り、活性汚泥処理する方法である。その際、曝気槽から排出される余剰汚泥は、セパレーターで分離された原糞尿と混合した後に高分子凝集剤で凝集分離する。そして、凝集分離により得られた固形分は、発酵処理されて堆肥化される。
この対策として、特許文献1では高分子凝集剤を分割添加する方法が提案されている。
凝集剤の反応性を高めるためには、畜産廃水に添加する高分子凝集剤水溶液の液粘度を下げる方法が考えられるが、高分子凝集剤を含み、高粘度化しやすい高分子凝集剤水溶液の粘度を下げるためには、希薄溶液にしなければならない。ところが、希薄な高分子凝集剤水溶液を用いると、高分子凝集剤水溶液の量が多くなるため、廃水処理装置を大きくしなければならないし、必要とする水の量が多くなるという問題があり、現実的ではない。
また、高分子凝集剤の分子量を下げることにより高分子凝集剤水溶液の粘度を下げることもできるが、その場合には、固形分の脱水性が低下するので、実用的ではない。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、畜産廃水中の汚濁物質を容易に凝集させることができ、しかも既存の廃水処理装置を使用できる畜産廃水の処理方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の畜産廃水の処理方法は、畜産施設より発生する汚濁物質を含む畜産廃水に、2種以上の高分子凝集剤を添加して廃水処理する畜産廃水の処理方法であって、
高分子凝集剤の少なくとも1種が、下記構造式(1)〜(3)のいずれかで示されるカチオン性単位を50モル%以上有し、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の溶液の粘度が40mPa・s以下になる第1のカチオン性ポリマーであり、
高分子凝集剤の少なくとももう1種が、下記構造式(1)〜(3)のいずれかで示されるカチオン性単位を有し、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の溶液の粘度が60mPa・s以上になる第2のカチオン性ポリマーであることを特徴とする。
また、本発明の畜産廃水の処理方法においては、畜産廃水に添加する前に、第1のカチオン性ポリマーと第2のカチオン性ポリマーとをあらかじめ混合しておくことが好ましい。
本発明の畜産廃水の処理方法は、畜産施設より発生する汚濁物質を含む畜産廃水に、2種以上の高分子凝集剤を添加して廃水処理する方法である。
この第1のカチオン性ポリマー中のカチオン性単位量は50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。第2のカチオン性ポリマーより粘度が低い第1のカチオン性ポリマーは、第2のカチオン性ポリマーより先に汚濁物質表面の電荷を中和すると思われるため、カチオン性単位量が50モル%以上とカチオン度が高ければ、凝集速度をより速くすることができる。
また、高分子凝集剤の少なくとももう1種は、上記構造式(1)〜(3)のいずれかで示されるカチオン性単位を有し、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の溶液の粘度が60mPa・s以上になる第2のカチオン性ポリマーである。好ましくは60〜150mPa・sの範囲であり、より好ましくは60〜130、さらに好ましくは60〜100である。
なお、溶液の粘度はポリマーの分子量の指標となるものであり、溶液の粘度が低い程、分子量が低くなる(あるいは、溶液の粘度が高い程、分子量が高くなる)。よって、第1のカチオン性ポリマーは、第2のカチオン性ポリマーより分子量が低い。
R2,R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)またはアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)を示す。
R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基)、ベンジル基のいずれかを示す。
また、Aは酸素またはNH、Bは炭素数1〜4のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基)を示す。
また、構造式(1)〜(3)中のXは、Cl−、Br−、1/2SO4 2−を示す。
構造式(1)で示される単位の具体例としては、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
構造式(1)〜(3)のいずれかで示される単位を有していることにより、高分子はカチオン性を示し、汚泥粒子のアニオン性電荷を中和すると共に、表面に吸着架橋し分散粒子を凝集させることができる。さらに畜産廃水のようなpHの高い汚泥においても構造式(1)のカチオン基はその解離度が低下しないので好ましい。
構造式(2)または(3)で示されるカチオン性単位を有する高分子はポリアミジンであり、構造式(2)および(3)の単位は40モル以上であることが好ましい。構造式(2)および(3)以外の単位としては、例えば、ビニルアミン単位、アクリロニトリル単位、ビニルホルムアミド単位などが挙げられる。
高分子凝集剤水溶液には、第1のカチオン性ポリマーおよび第2のカチオン性ポリマー以外に、必要に応じて、ノニオン性、アニオン性の凝集剤や無機凝集剤が含まれていても構わない。
畜産施設より発生する汚濁物質としては、牛、豚、馬、鶏等の家畜の糞尿が挙げられる。
また、畜産廃水に上記高分子凝集剤水溶液を添加する方法としては特に制限されず、周知の方法を採用できる。
また、固形分を分離して残存した濾液を、曝気槽に送り、活性汚泥処理し、汚泥を分離除去して処理水を得る。
以上のように畜産廃水を廃水処理することにより、乾燥固形分と処理水とを得る。
また、上述した畜産廃水の処理方法では、高分子凝集剤水溶液を希薄にする必要がないから、既存の廃水処理装置を使用できる。
以下の例において用いた高分子凝集剤は表1に示すA〜Eである。高分子凝集剤A〜Cは第2のカチオン性ポリマーであり、高分子凝集剤D,Eは第1のカチオン性ポリマーである。
また、A〜Eの高分子凝集剤のカチオン性単位は、
A〜C:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 100モル%
D,E:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 80モル%と、メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5モル%
高分子凝集剤における上記カチオン性単位以外の単位は、アクリルアミドである。
なお、高分子凝集剤水溶液の粘度は、次のようにして求めた。すなわち、4質量%食塩水中のポリマー濃度0.5質量%溶液の粘度は、高分子凝集剤2.5g、食塩20gを純水に溶解し、合計500gの水溶液を調製し、その水溶液を25℃でB型回転粘度計(60rpm)で測定することにより求めた。
畜産廃水であるA養豚場廃水(固形分3.38質量%)300mlをビーカーにとり、そのビーカーに、表1に示す高分子凝集剤2.5gを475gの純水に溶解させた0.1質量%の高分子凝集剤水溶液を表2に示す添加量で添加した。その後、ビーカー内をスパチュラにより30秒間に100回の割合で撹拌して汚濁物質を凝集させた。
この凝集処理および凝集処理により得たフロックを以下のように評価した。評価結果を表2に示す。
フロック生成時間:撹拌開始からフロックが形成されるまでの時間を計測した。
フロック径:凝集して形成されたフロックの平均径を測定した。
水抜け性:凝集汚泥を48メッシュの濾布で濾過し、10秒間の濾液量を測定して水抜け性を評価した。
濾液濁り:目視により濾液の濁りを判定した。
A養豚場廃水の代わりにBファーム畜産廃水(固形分5.15質量%)を用い、高分子凝集剤水溶液を表3に示す添加量で添加したこと以外は実施例1と同様にして汚濁物質を凝集させ、実施例1と同様に評価した。評価結果を表3に示す。
これに対し、高分子凝集剤が第2のカチオン性ポリマーのみである比較例1,4の処理方法では、凝集速度が遅く、しかもフロックを形成しなかった。
また、高分子凝集剤が第1のカチオン性ポリマーのみである比較例2,3,5〜7の処理方法では、フロック径が小さく、水抜け性が低く、濾液は濁っていた。
Claims (2)
- 畜産施設より発生する汚濁物質を含む畜産廃水に、2種以上の高分子凝集剤を添加して廃水処理する畜産廃水の処理方法であって、
高分子凝集剤の少なくとも1種が、下記構造式(1)〜(3)のいずれかで示されるカチオン性単位を50モル%以上有し、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の溶液の粘度が40mPa・s以下になる第1のカチオン性ポリマーであり、
高分子凝集剤の少なくとももう1種が、下記構造式(1)〜(3)のいずれかで示されるカチオン性単位を有し、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の溶液の粘度が60mPa・s以上になる第2のカチオン性ポリマーであることを特徴とする畜産廃水の処理方法。
- 畜産廃水に添加する前に、第1のカチオン性ポリマーと第2のカチオン性ポリマーとをあらかじめ混合しておくことを特徴とする請求項1に記載の畜産廃水の処理方法。
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