JP2019111496A - 被処理水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理水から除去対象物質を除去する。【解決手段】本発明は、原水、排水、汚泥から選択される被処理水の処理方法に関するものであって、被処理水にセルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加することを特徴とする。原水や排水など被処理水に除去対象物質が含まれる場合は、除去対象物質にセルロースナノファイバーが付着し、固液分離が容易になる。被処理水が汚泥の場合は、セルロースナノファイバーを汚泥に添加することで、汚泥の濃縮性を向上させることもできるし、汚泥の脱水性を向上させることもできる。【選択図】図1

Description

本発明は、浄水処理、排水処理、汚泥処理などの水処理技術に関する。
従来より、浄水処理、排水処理、汚泥処理などの水処理技術では多様な処理剤が用いられている。具体的には、浄水処理前の原水に添加して臭気物質などを吸着除去する粉末活性炭、この粉末活性炭の固液分離や、浄水・排水処理で濁質の凝集フロックを形成するための無機凝集剤及び有機凝結剤、この凝集フロックをさらに粗大化させる高分子凝集剤などがあり、これら無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤は汚泥の濃縮脱水用途でも用いられている。
しかし、粉末活性炭は、分散性が高い反面、沈降性が悪いので、使用後の粉末活性炭をいかに効率よく被処理水から除去できるかが問題となる。また、無機凝集剤は、被処理水のpHを酸性側に傾けるため、被処理水のアルカリ処理が必要であり、有機凝結剤は無機凝集剤のようなアルカリ処理は不要なものの、最適添加量の幅が狭く、過剰添加では逆に処理が悪化する場合がある。
高分子凝集剤は、浄水処理、排水処理のみならず汚泥処理にも広く使用することができるが、高分子凝集剤は種類によってはpH依存性があり、被処理水の前処理(pH調整等)が必要となる場合がある。また、汚泥処理の際、高分子凝集剤を多量に使用すると、逆に脱水汚泥の含水率が高くなる場合もあり、また、汚泥の粘度が高くなって脱水機に付着する問題もある。更に、浄水処理では、厚生労働省令でアクリルアミド等の残留物質に関し厳しい制限があるため、使用可能な高分子凝集剤の種類や量に制限がある。
従って、従来の処理剤に代わり、安全性が高く、上記問題を回避可能な新たな処理剤が要望されていた。安全性が高い処理剤として、例えば、セルロース系の材料は汚泥処理などの分野で用いられている(特許文献1、2)。
汚泥脱水以外の用途としては、セルロースファイバーを粒子状活性炭と結合させた造粒活性炭の浄水カートリッジが公知である(特許文献3)。
特開2003−238278号公報 特開2012− 71296号公報 特開2017−178697号公報
しかし、特許文献1では、下水汚泥をコンポスト化して肥料の製造原料を得ることを目的とするために、活性再生セルロースを下水汚泥に添加し脱水するものであり、また、特許文献2では、汚泥用の脱水助剤として再生セルロース繊維の繊維状物を適用するに過ぎず、セルロースナノファイバーの吸着性を適用したものではない。
また、前記特許文献1、2における従来のセルロース系材料は、用途が汚泥脱水などに限定され、また、その処理能力も十分ではなかった。
前記特許文献3においては、造粒活性炭は高価な上、その用途も水道水を浄化するための浄水カートリッジタイプなど小規模浄水に限定されていた。
この造粒活性炭は、水道水の臭気物質や有機物質の吸着除去に有効であり、粒子状活性炭と繊維のセルロースナノファイバーとが結合され製造されるものであるが、造粒活性炭を形成するために、バインダーの代わりにセルロースナノファイバーを適用したものであり、バインダーを適用した場合の欠点、即ち、活性炭の吸着率低下を防止するための造粒活性炭を製造する技術に過ぎない。
このセルロースナノファイバーの結合力、もしくは吸着力を、一般の浄水、排水、汚泥の水処理に対して処理水中の濁質成分除去や、使用済粉末活性炭の除去に利用できないか、未だ検討の余地があり、従来において、水処理技術では、セルロースナノファイバーの結合、吸着の性質を有効利用した技術は存在していない。
本発明者らは上述の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、ナノレベルのセルロース系材料は合成有機材料に比べて毒性が低く、安全性が高い上、粉末活性炭や濁質の凝集分離、汚泥の濃縮脱水など多様な用途で高い処理能力を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成とすることができる。
(1)原水、排水、汚泥から選択される被処理水に、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加して被処理水を処理する方法である。
(2)被処理水にセルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加した後、無機凝集剤と、有機凝結剤と、高分子凝集剤から選択される少なくとも1種の凝集剤を更に添加することもできる。
(3)被処理水に無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を添加した後、更に、高分子凝集剤を添加することもできる。
(4)被処理水は除去対象物質として粉末活性炭を含む場合もある。
(5)本発明は原水、排水、汚泥から選択した1種以上の被処理水を処理する処理装置も提供するものであり、この処理装置は、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加、撹拌し、該セルロースナノファイバーを被処理水中の濁質に付着させる第1の処理手段を有する。
(6)また、本発明は原水、排水、汚泥から選択した1種以上の被処理水を処理する処理装置も提供するものであり、この処理装置は、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加、撹拌し、該セルロースナノファイバーを被処理水中の粉末活性炭に付着させる第1の処理手段を有する場合もある。
(7)処理装置には、第1の処理手段の前段に設置され、セルロースナノファイバー(溶液)を添加前の被処理水を処理する前処理手段と、第1の処理手段の後段に設置され、セルロースナノファイバー(溶液)を添加後の被処理水を処理する後処理手段とから選択される1以上の手段を設置してもよい。この場合、前処理手段は、被処理水に粉末活性炭を添加可能な装置又は設備である。後処理手段としては、被処理水に無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を添加し、撹拌する第2の処理手段と、被処理水に高分子凝集剤を添加し、撹拌する第3の処理手段のいずれか一方又は両方を設置することもできる。例えば、第2、第3の処理手段の両方を用いる場合は、第2の処理手段の後段に第3の処理手段を設置し、第3の処理手段は第2の処理手段の撹拌よりも遅い速度の緩速撹拌を行う装置としてもよい。さらに、汚泥処理等の用途では、第2の処理手段を用いず、第3の処理手段のみを用いてもよく、このときの撹拌速度は比較的遅い緩速撹拌とすることもできる。
水処理にセルロースナノファイバーを使用することで、被処理水が原水や排水の場合は除去対象物質の除去効率が向上し、被処理水が汚泥の場合は汚泥の濃縮性や脱水性が向上する。
本発明を模式的に示す図 第1例の処理方法を説明する図 第2例の処理方法を説明する図 第3例の処理方法を説明する図
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
図1は本発明の代表的な処理フローを示す図であり、本発明では、原水、排水、汚泥などから選択される被処理水にセルロースナノファイバーを添加する工程を必須とするが、その他の薬剤や工程は特に限定されない。例えば、セルロースナノファイバーに加え、任意の凝集剤を使用することもできるし、セルロースナノファイバー添加の前後で、他の処理工程を追加してもよく、これらの工程、凝集剤、その他薬剤の組合せも特に限定されない。先ず、本発明に用いる被処理水について具体的に説明する。
[被処理水]
本発明の被処理水とは処理対象物であって、水を含むものであれば特に限定されず、浄水又は用水用の原水、排水、汚泥なども被処理水に含まれる。
-原水
原水は、水道水、用水(工業用水、産業用水、農業畜産用水)に用いられるものであって、具体的には、淡水又は海水、特に、河川水、地下水(井水)、湖沼水、雨水などから1種以上を被処理水として本発明に用いることができる。
-排水
被処理水としての排水は特に限定されず、例えば、工場排水、家庭排水、鉱業排水、工事建設現場排水、農業畜産排水、商業施設排水、し尿、その他排水(雨水なども含むいわゆる下水等)から1種以上を被処理水として本発明に用いることができる。
-汚泥
被処理水としての汚泥は特に限定されないが、例えば、余剰汚泥、初沈汚泥(生汚泥)、浄水汚泥、又は、これら汚泥の濃縮汚泥などから1種以上を被処理水として本発明に用いることが可能であり、上記原水や排水の処理で生じた汚泥も含まれる。これらの中でも、下水、し尿など有機性物質を多く含む排水の処理工程で生じる有機性の汚泥、特に余剰汚泥が、本発明は特に適している。
[セルロースナノファイバー]
セルロースナノファイバーとは細長のナノ形状物質である。具体的には、セルロースナノファイバーの平均幅は、例えば、0.1nm〜100nm、好ましくは1〜50nm、より好ましくは1〜20nmであり、平均幅10nm未満のものを用いることもできる。なお、平均幅とは、繊維の長手方向と直交する断面の断面径のことであって、例えば、走査型電子顕微鏡などを使用して測定することができる。
セルロースナノファイバーの平均長さは、平均幅より長ければ特に限定されず、通常、長さは平均幅の100倍程度以上であって、例えば、0.1μm〜50μm、好ましくは0.2μm〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmであり、平均長さ10μm未満のものを用いることもできる。平均幅と同様、平均長さも電子顕微鏡等を使用して測定することができる。
セルロースナノファイバーとしては、有機―無機ナノ複合体などを用いることもできるが、セルロースを主成分(50質量%以上、通常80質量%以上がセルロース)とするものが好ましく、通常は実質的にセルロースからなるものを用いる(95質量%以上がセルロース)。
セルロースナノファイバーの原料は特に限定されず、広葉樹、針葉樹、竹等の木材系パルプ;古紙等の再生品系パルプ;更には、CMC(カルボキシメチルセルロース)、キチン、キトサンなどのセルロース様物質から選択される1種以上を主原料として用いることができる。セルロースナノファイバーは市販品も使用することができる。セルロースナノファイバーには、解繊度として低解繊(繊維径分布がブロード)から高解繊(繊維径分布がシャープ)までのものが有るが、解繊度は特に限定されない。
セルロースナノファイバーを構成するセルロースの重合度や分子量は特に限定されないが、例えば銅エチレンジアミン法で測定される重合度が200〜800、好ましくは200〜650程度であり、重合度から算出される分子量は3万〜15万、好ましくは6万〜11万程度である。
セルロースナノファイバーは、一般に、主原料であるパルプを、化学的処理、機械的処理、酵素処理などの1以上のナノ繊維化処理によりナノサイズまで解きほぐして製造される。
このナノ繊維化処理とその前後の一以上の工程で、セルロースを化学修飾してもよいが、セルロースを疎水化すると被処理水への分散性が低下するので、非疎水化セルロースナノファイバー、親水化セルロースナノファイバーが本発明には適している。さらに、化学修飾をせずにナノ繊維化処理をしたセルロースナノファイバーをそのまま用いることもできる。
セルロースナノファイバーは、パウダー状(固形分90質量%以上)、ウェットパウダー状(固形分20質量%以上)、シート状、ペレット状、ペースト状、スラリー状、又はこれらを分散溶媒で希釈した希釈分散溶液など多様な形態のものを用いることができるが、取扱いの点では、ペースト状、スラリー状、希釈分散溶液などのセルロースナノファイバーの溶液が好ましく、スラリー状又は希釈分散溶液が特に好ましい。
しかし、本発明はこれに限定されず、これら、セルロースナノファイバー溶液と、溶液以外(パウダー、ペレット等)のセルロースナノファイバーから1種又は2種以上を選択して一緒に使用することもできる。
上記セルロースナノファイバーの溶液は、固形分として、セルロースナノファイバーを溶媒に分散させたものである。セルロースナノファイバーの含有量は、ペースト状品の場合は例えば20質量%未満、好ましくは5〜15質量%、通常は10質量%前後であり、スラリー状品の場合は例えば1〜5質量%、通常1質量%前後であり、希釈分散溶液の場合は例えば1質量%未満、好ましくは0.005〜0.5質量%、特に0.01〜0.1質量%である。
セルロースナノファイバー用の溶媒は、水又は親水性溶媒を含むものであれば特に限定されないが、好ましくは水を主成分(50質量%以上)とし、水の含有量は80質量%が好ましく、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上、更に水からなる溶媒を用いることもできる。必要に応じて、溶媒には防腐剤、界面活性剤、pH調整剤、pH緩衝剤などの添加剤を1種以上添加してもよい。
上記のようなセルロースナノファイバーは、分子が揃って配列していることから、強度、弾性に優れるなどの性質を持ち、また、毒性が極めて低いため安全性が高く、環境負荷も小さい上、広いpH域(例:pH2〜13)の被処理水に対応できるなどの利点もある。
更に、セルロースナノファイバーは、無機物、有機物、これら1以上の物質の複合体である濁質(SS)、粉末活性炭などの多様な物質に吸着し、これらの物質を凝集させる上、無機凝集剤や有機凝結剤などの他の薬剤により凝集フロックが形成された状態では、この凝集フロックを成長させる。
また、セルロースナノファイバーを汚泥に添加すると、汚泥粒子を凝集させて汚泥濃縮を促進する上、凝集した濃縮汚泥の粘度も低下するので、脱水汚泥が脱水機に付着し難くなり、その結果、汚泥の固液分離性も向上する。このように、セルロースナノファイバーは、浄水処理、排水処理、汚泥処理などの処理剤として広く使用することが可能であり、また、従来の処理剤(無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤)と併用する場合は、これら処理剤の使用量を減らすことができる。
なお、本発明は、上記セルロースナノファイバーと他の薬剤とを組み合わせた使用を何ら制限しない。以下、他の薬剤について説明する。
[凝集剤]
本発明の処理方法は、任意の凝集剤を併用することも可能である。凝集剤は特に限定されず、無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤の中から1種以上を選択して用いることができる。
無機凝集剤としては、公知の硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、塩化第2鉄あるいはこれらの混合物が使用可能である。無機凝集剤の添加量は、被処理水の種類やその水質などにより適宜変更することができる。
有機凝結剤は、例えば、縮合系ポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダリン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、アリルアミン塩重合体からなる群より1種以上を選択して用いることができる。
縮合系ポリアミンの具体例としては、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの縮合物、アニリンとホルマリンの縮合物、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アンモニアとエピクロルヒドリンとの縮合物などが挙げられる。エピクロルヒドリンと縮合するアルキレンジアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミンなどが挙げられる。
高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤から1種以上を選択して用いることができる。高分子凝集剤の種類は特に限定されないが、後述する第1、第2例の処理方法では、ノニオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤の少なくとも一方が好ましく、後述する第3例の処理方法ではカチオン系高分子凝集剤と両性高分子凝集剤の少なくとも一方が好ましい。
アニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アニオン性モノマーの共重合体、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体を好ましく挙げることができる。アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属塩又はアンモニウム塩を好ましく挙げることができる。
アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体としては、アクリルアミド・アクリル酸共重合体、アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体を好ましく挙げることができる。
ノニオン系高分子凝集剤としては、ノニオン性モノマーの単独重合体又は共重合体を好ましく用いることができ、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、メタアクリロニトリル、酢酸ビニル等及びこれらの組み合わせを用いることができ、より好ましくはポリアクリルアミドを用いることができる。
高分子凝集剤の添加工程においては、上述のカチオン系高分子凝集剤を添加した後に、さらに上述のアニオン系高分子凝集剤を添加する二剤法を用いることも可能である。
カチオン系高分子凝集剤としては、カチオン性モノマーを必須成分として有し、カチオン性モノマーの単独重合体もしくは共重合体、又はカチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体からなるカチオン系高分子凝集剤、及び分子内にアミジン単位を有するカチオン系高分子凝集剤を好ましく用いることができる。
カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートもしくはこれらの中和塩、4級塩及びこれらの組み合わせなどを好ましく挙げることができる。
ノニオン性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタアクリロニトリル、酢酸ビニル等及びこれらの組み合わせを好ましく挙げることができる。本発明において用いることができるカチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体からなるカチオン系高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの少なくとも一方(いずれも塩化メチル4級化物が好ましい)と、アクリルアミドとの共重合体を好ましく使用することができる。
また、本発明において用いることができる分子内にアミジン単位を有するカチオン系高分子凝集剤としては、例えば、N−ビニルホルムアミド/アクリロニトリル共重合体のアミジン化物を好ましく挙げることができる。
両性高分子凝集剤としては、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位及びノニオン性モノマー単位の共重合体を好ましく用いることができる。本発明において用いることができる両性高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの少なくとも一方(いずれも塩化メチル4級化物が好ましい)と、アクリルアミドと、アクリル酸との共重合体を好ましく挙げることができる。
本発明に用いる薬剤は上記に限定されず、必要に応じて酸、アルカリなどのpH調整剤などを被処理水に添加することも可能である。
以下、セルロースナノファイバーを用いた本発明の処理方法の具体例について詳細に説明する。
図2〜4の符号1a、1b、1cは本発明に用いる処理装置の具体例をそれぞれ示しており、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
[第1例の処理方法(濁質除去)]
図2は第1例の処理方法に用いる処理装置1aを示しており、この処理装置1aは、少なくともセルロースナノファイバー又はその溶液を被処理水に添加する第1の処理手段16を有している。
第1の処理手段16は特に限定されないが、例えば、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方が収容された供給手段5を有する。セルロースナノファイバー溶液を収容する場合、供給手段5には好適濃度のセルロースナノファイバーを含む溶液を収容してもよいし、セルロースナノファイバー又はその溶液(例えばスラリー)と溶媒(例えば水)とを別々に収容し、使用の際に溶媒で5〜200倍、好ましくは10〜100倍程度に希釈してもよい。
セルロースナノファイバーの添加量は特に限定されず、被処理水の水質などに応じて適宜変更可能ではあるが、例えば、固形分1質量%のスラリーを使用する場合、そのスラリーとしての添加量が被処理水1L当たり0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜1000mg(固形分量で0.001mg〜10mg、好ましくは0.01mg〜10mg)になるように、セルロースナノファイバーの溶液を被処理水に添加する。
セルロースナノファイバーの添加場所は特に限定されないが、好ましくは撹拌手段を備えた処理槽11と、その前段の1か所以上で被処理水に添加し、セルロースナノファイバーと被処理水とを撹拌混合する。従って、図2の処理装置1aでは、処理槽11と供給手段5とが、セルロースナノファイバーを被処理水に添加、混合する第1の処理手段16の一部又は全部を構成する。
第1例の処理方法では、被処理水として原水と排水のいずれを用いることも可能であり、これらの被処理水には、有機物(糖類、タンパク質、油脂類、繊維分、微生物類等)と無機物(鉱物、粘土等)から選択される1以上の物質を含む濁質が分散している。セルロースナノファイバーを被処理水に添加すると、この濁質にセルロースナノファイバーが付着(吸着)する。
セルロースナノファイバーを添加後の被処理水は、後処理手段19で後処理、例えば、1種以上の凝集剤を添加、混合してもよい。具体的には、後処理手段19は、1以上の処理手段(第2、第3の処理手段17、18)を有しており、これら処理手段17、18にはそれぞれ凝集剤の供給手段7、9を設置することができる。好ましくは、セルロースナノファイバーを添加後の被処理水に、第2の処理手段17の供給手段7から、先ず、無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方(以下、「無機凝集剤(有機凝結剤)」と略記)、特に好ましくは無機凝集剤を添加する。
無機凝集剤(有機凝結剤)の添加場所は、セルロースナノファイバーの添加場所より下流側であれば特に限定されず、また、無機凝集剤(有機凝結剤)の添加量も特に限定されない。例えば、無機凝集剤の添加量は、セルロースナノファイバー添加後の被処理水1L当たり10mg〜1000mgである。この添加量は、例えば無機凝集剤製品としての添加量(固形分)であり、無機凝集剤製品は、凝集作用を持つ成分以外の添加剤を含む場合もある。
無機凝集剤(有機凝結剤)を添加後の被処理水は、セルロースナノファイバーを撹拌混合した処理槽11又は別の処理槽21で撹拌混合する。従って、この撹拌混合に用いられる処理槽11、21と、無機凝集剤(有機凝結剤)の供給手段7とで、凝集剤を添加撹拌する第2の処理手段17の一部又は全部が構成される。
このときの撹拌速度Sは特に限定されないが、セルロースナノファイバー撹拌時の速度Sと同程度とし、無機凝集剤(有機凝結剤)を撹拌混合する。
無機凝集剤(有機凝結剤)により被処理水中の濁質が凝集してフロックが形成されるが、予め濁質にはセルロースナノファイバーが付着しているので凝集性が高く、フロックの成長が促進される。
第2の処理手段17の後段に第3の処理手段18を設置して更に撹拌混合を行う場合、第3の処理手段18では、フロックが形成された被処理水を、上記撹拌速度S、Sよりも遅い撹拌速度Sで緩速撹拌してフロックを更に成長させることが好ましい。緩速撹拌は同じ処理槽21で行ってもよいし、他の処理槽22で行ってもよい。
すなわち、緩速撹拌に使用する処理槽21、22が第3の処理手段18の少なくとも一部を構成する。更に、第3の処理手段18に供給手段9を設置し、緩速撹拌の際、又は、緩速撹拌の前に高分子凝集剤を添加してもよい。
高分子凝集剤は特に限定されず、上述した高分子凝集剤から1種以上を選択して用いることができるが、無機凝集剤と併用する場合は、ノニオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤の少なくとも一方を用いることが好ましい。更に、上記二剤法のように、1種以上の高分子凝集剤(例:カチオン系)を添加した後、他の1種以上の高分子凝集剤(例:アニオン系)を添加してもよい。高分子凝集剤の添加量は特に限定されないが、例えば、被処理水1L当たり0.01mg〜20mg、好ましくは0.05mg〜5mg(固形分、高分子凝集剤の全量)程度である。
高分子凝集剤を添加する場合も添加しない場合も、緩速撹拌によりフロックが成長した被処理水は、通常、沈殿、生物処理、ろ過などの1以上の他の後処理を経て、フロックが汚泥として固液分離される。このとき、フロックにセルロースナノファイバーが含まれているので、沈殿やろ過での固液分離性も高い。
フロックが固液分離された後の処理水は、被処理水が原水の場合は上水道、用水等の用途に使用され、被処理水が排水の場合は下水道や河川に放水される。このとき生じた汚泥は、後述する第3例の処理方法の被処理水として使用することができる。
以上は、セルロースナノファイバーを被処理水の濁質除去に使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
[第2例の処理方法(粉末活性炭除去)]
図3は第2例の処理方法に用いる処理装置1bを示しており、この処理装置1bは第1例の処理方法の処理装置1aと同様の装置構成とすることもできるが、第2例では、セルロースナノファイバー添加前の前処理を行う前処理手段15を必須とする。
前処理は、処理槽11又はその前段(着水井や取水点)で、セルロースナノファイバーを添加する前の被処理水に粉末活性炭を添加するものであって、粉末活性炭用の供給手段(装置)を設置してもよいが、粉末活性炭は作業者が散布して添加してもよい。また、粉末活性炭を被処理水と混合する撹拌手段を別途設置することもできる。すなわち、セルロースナノファイバーの添加場所である処理槽11や着水井、粉末活性炭の撹拌手段、粉末活性炭の供給手段などで前処理手段15の一部又は全部が構成される。
ここで、粉末活性炭とは、粒状活性炭(通常粒径150μm以上)よりも小径の活性炭粒子のことである。例えば、粉末活性炭としては水道用粉末活性炭(JWWA K113:2005)等を用いることが可能であり、一例を挙げると、75μmメッシュのふるい残分が10%以下のものである。
この粉末活性炭を水質に応じた添加量、または、予め設定した添加量で被処理水に添加する。このときの添加量は、原水の水質や、粉末活性炭による除去対象に応じて適宜変更可能であるが、例えば被処理水1L当たり1〜1000mg、より好ましくは2〜100mg程度である。
第1例の処理方法と同様、被処理水は原水や排水であって、上記のような濁質の他、臭気物質や、トリハロメタン前駆体等の有害物質が含まれるが、これらの物質は粉末活性炭に吸着され、被処理水の液相から除去される。粉末活性炭は粒状活性炭よりも小径なため、被処理水への分散性が高く、上記物質の吸着除去効率も高いが、分散性が高いゆえに被処理水からの除去が問題となる。
粉末活性炭を添加後の被処理水に第1の処理手段16からセルロースナノファイバーを添加し、必要に応じて処理槽11等で撹拌混合すると、粉末活性炭にセルロースナノファイバーが吸着して凝集し、粉末活性炭が沈降して被処理水から固液分離される。従って、特殊な装置や薬剤を使用しなくても、粉末活性炭を被処理水から除去することができる。
セルロースナノファイバーの添加量は、粉末活性炭の添加量などに応じて適宜変更可能であるが、例えば、固形分1質量%のスラリーを使用した場合、スラリーとしての添加量が被処理水1L当たり0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜1000mg(固形分量で0.001mg〜10mg、好ましくは0.01mg〜10mg)である。
なお、粉末活性炭の除去効率を高めるためには、セルロースナノファイバーを添加した後に、無機凝集剤と、有機凝結剤と、高分子凝集剤から選択される1種以上の凝集剤を後処理手段19から添加することも可能であり、好ましくは、後処理手段19として、少なくとも第2の処理手段17を設置し、セルロースナノファイバー添加後に、先ず、無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方、より好ましくは無機凝集剤を添加する。
無機凝集剤の添加量は、粉末活性炭の添加量や被処理水の水質などにより適宜変更可能であるが、例えば、セルロースナノファイバー添加後の被処理水1L当たり10mg〜1000mg(例えば無機凝集剤製品としての添加量、固形分)である。無機凝集剤や有機凝結剤の添加により、セルロースナノファイバーが付着した粉末活性炭の沈降がより促進される。
なお、粉末活性炭の添加量が極端に多くなければ、セルロースナノファイバー単独、又は、無機凝集剤や有機凝結剤との併用だけでも、粉末活性炭を十分に分離可能であるが、高分子凝集剤などの他の薬剤の使用は何ら制限されない。
例えば、第1例の処理方法と同様に、無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を添加した後の被処理水に、第3の処理手段18から高分子凝集剤を添加することもできる。この場合、第1例と同様に、高分子凝集剤を添加後は、第2の処理手段17の撹拌速度よりも遅い撹拌速度で緩速撹拌することが望ましい。
上記のような凝集剤を添加する場合も添加しない場合も、沈殿、ろ過などの1以上の他の後処理、好ましくは沈殿により、粉末活性炭がセルロースナノファイバーと共に被処理水から固液分離される。固液分離後の処理水は上水道、用水等の用途に使用されるか、下水道や河川水に放水される。
第1例の処理方法、第2例の処理方法のいずれも、被処理水として原水、排水の両方を用いることができるが、セルロースナノファイバーは環境負荷が小さい上に毒性も極めて低いので、水道水や用水用途、すなわち、原水を被処理水とした場合に特に適している。
以上は、原水又は排水を被処理水としたが、本発明はこれに限定されない。次に、汚泥を被処理水とする第3例の処理方法について説明する。
[第3例の処理方法(汚泥)]
図4は第3例の処理方法に用いる処理装置1cを示しており、この処理装置1cはセルロースナノファイバーを供給する第1の処理手段16の他、必要に応じて濃縮槽31(濃縮池)、脱水装置35等の他の装置を有しており、例えば、汚泥を濃縮槽31で濃縮した後、脱水装置35で脱水する。
第1の処理手段16の供給手段5は、濃縮槽31の前段から脱水装置までの間で、一ヶ所以上に接続されている。より具体的には、供給手段5は、濃縮槽31の前段と、濃縮槽31と脱水装置35の間のうち、少なくとも一方又は両方に接続され、濃縮前の汚泥と、濃縮後の汚泥のいずれか一方又は両方にセルロースナノファイバーを添加する。
濃縮前の汚泥にセルロースナノファイバーを添加する場合、濃縮槽31などで汚泥とセルロースナノファイバーを撹拌混合すると、セルロースナノファイバーにより汚泥粒子が凝集し、汚泥濃縮が進行する。濃縮した汚泥(濃縮汚泥)は、通常、脱水装置35へ送られる。
脱水装置35は、例えば、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、フィルタープレス脱水機、真空脱水機、多重円板型脱水機、ろ過装置などから1以上を選択して使用することが可能である。
いずれの脱水装置35を用いた場合も濃縮汚泥が脱水されて分離水が分離し、脱水汚泥は脱水ケーキとして脱水装置35から取り除かれるが、汚泥の粘着性が高い場合、脱水ケーキの一部又は全部が脱水装置35から取り除かれず残ることがあり、特に、粘着性の高い有機性の汚泥を、脱水装置35を用いて機械的に脱水する場合に問題になる。
第3例の処理方法では、汚泥濃縮用のセルロースナノファイバーを添加しない場合、あるいは、その添加量が少ない場合は、脱水装置35へ送る前の濃縮汚泥にセルロースナノファイバーを添加することができる。
セルロースナノファイバーの添加により脱水効率が向上する上、汚泥の粘着性も抑制されるので、脱水ケーキの剥離性が向上し、脱水装置35の汚れが防止される。
このように、第3例の処理方法においては、汚泥濃縮と汚泥脱水のうち、一方又は両方の用途でセルロースナノファイバーを使用することができる。セルロースナノファイバーは濃縮汚泥に含有されていれば脱水に寄与するので、例えば、濃縮用途で添加したセルロースナノファイバーが脱水用途でも機能する。
なお、第3例の処理方法では、後処理手段19の設置は何ら制限されず、セルロースナノファイバーに加え、無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤から選択されるいずれか1種以上の凝集剤を使用することも可能であり、好ましくは、高分子凝集剤用の第3の処理手段18を少なくとも設置し、高分子凝集剤を添加する。第3の処理手段18の前段又は後段、好ましくは前段に第2の処理手段17を設置し、無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を、高分子凝集剤と併用することもできる。
上記のような凝集剤は、脱水前であって、好ましくは、セルロースナノファイバーを添加後の汚泥に添加すると、濃縮汚泥の脱水効率がより向上する。また、高分子凝集剤の使用により脱水汚泥の粘度が上昇することがあるが、セルロースナノファイバーにより脱水汚泥の粘性が抑制され、脱水ケーキの剥離性も維持される。
凝集剤の使用量は特に限定されず、汚泥の状態などにより適宜変更可能であるが、無機凝集剤の場合は汚泥1L当たり100mg〜5000mg(例えば無機凝集剤製品としての添加量、固形分)が好ましく、高分子凝集剤の場合は汚泥の懸濁物質SSに対し0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜2質量%程度である。
第3例の処理方法では、セルロースナノファイバーの添加量は汚泥の状態、その用途(濃縮、脱水又は両方)により適宜変更可能である。例えば、固形分1質量%のスラリーを使用する場合、濃縮工程の前段から脱水工程までの間で、スラリー添加量の合計は、好ましくは、汚泥1L当たり0.1mg〜10000mg、好ましくは1mg〜10000mg(固形分量で0.001mg〜100mg、好ましくは0.01mg〜100mg)である。
なお、第1〜第3例の処理方法のうち、2以上の処理方法を組み合わせてもよい。例えば、第1例、第2例の処理方法で発生する汚泥にはセルロースナノファイバーが含まれるので、この汚泥を第3例の処理方法に用いる場合、セルロースナノファイバーの添加を省略、あるいは、その添加量を少なくすることができる。
次に、実施例により第1〜第3例の処理方法をより具体的に説明するが、いずれの処理方法もこれに限定されない。
以下各実施例では、広葉樹漂白パルプを原料とし、平均重合度約600、平均分子量約100,000のセルロースナノファイバーを1質量%スラリーとしたものを使用した。
−第1例の処理方法(濁質除去)
[実施例A1〜A4、比較例A1]
河川水(pH7.5、濁度4.30、色度4.43)を被処理水(原水)とし、試験用の撹拌装置にはジャーテスターを使用した。上記被対象水500mlをビーカーに取り、セルロースナノファイバーを表1に示す量注入して150r.p.mで1分間混合した。その後、PACを表1に示す量注入して150r.p.mで3分間撹拌し、次いで50r.p.mで5分間撹拌した。撹拌停止から5分経過後の上澄水の水質を測定した。結果を表1に記載する。
Figure 2019111496
[実施例A5〜A8、比較例A2〜A3]
河川水(pH7.0、濁度24.0、色度25.1)を被処理水(原水)とし、試験用の撹拌装置はジャーテスターを使用した。被処理水500mlをビーカーに取り、セルロースナノファイバーを表2に示す量注入して150r.p.mで1分間混合した。
その後、PACを表1に示す注入して150r.p.mで3分間撹拌した。更に、アニオン系高分子凝集剤(アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共重合物、分子量1200万)を表2に示す量注入し50r.p.mで5分間撹拌した。撹拌停止から5分経過後の上澄水の水質を測定した。結果を表2に記載する。
Figure 2019111496
上記表1、表2及び下記表3〜6において、セルロースナノファイバー注入率は1質量%スラリーの注入率であり、PAC(無機凝集剤)の注入率は被処理水に対する固形分としての凝集剤注入率であり、高分子凝集剤の注入率は被処理水に対する固形分としての凝集剤注入率である。
表1及び表2の結果より、従来の無機凝集剤単独、あるいは無機凝集剤と高分子凝集剤の併用による凝集沈殿処理と比較して、水処理(河川水)にセルロースナノファイバーを使用することで処理水(上澄水)の水質が改善されることがわかる。従ってセルロースナノファイバーが浄水処理や排水処理などの水処理全般に効果的であることが確認された。
−第2例の処理方法(粉末活性炭)
[実施例B1〜B4、比較例B1]
市販の粉末活性炭(エバダイヤ5LPD;水ing社製)を水道水に分散させ、1L当たり粉末活性炭を200mg含有する試験水を調整した。各試験の撹拌には、ジャーテスターを使用した。
試験水500mlをビーカーに取り、セルロースナノファイバーを表3に示す量で注入し、180r.p.mで3分間撹拌した。撹拌停止から5分経過後の上澄水の水質を測定した。結果を表3に記載する。
Figure 2019111496
表3の結果より、比較例B1では粉末活性炭は静置しても沈降が遅く、上澄水に多く残留したが、セルロースナノファイバーの添加により粉末活性炭が凝集して沈殿し、上澄水に殆ど残留しないことが確認された。
[実施例B5〜B7、比較例B2]
無機系の濁質としてカオリンを水道水に分散させて濁度10の水道原水の模擬水を調整した。処理試験の撹拌にはジャーテスターを使用した。この模擬水500mlをビーカーに取り、上記の粉末活性炭を20mg/L添加し、150r.p.mで1分間混合した。
次に、セルロースナノファイバーを下記表4に記載の量で注入し、150r.p.mで1分間撹拌した。その後、PACを表4に記載の量で注入して150r.p.mで3分間撹拌し、更に50r.p.mで5分間撹拌した。撹拌を停止してから5分経過後の上澄水の水質を測定した。結果を表4に記載する。
Figure 2019111496
表4の結果より、セルロースナノファイバーを添加すると通常のPAC単独処理と比較して上澄水の水質が改善され、粉末活性炭が殆ど残留しなかった。従って、浄水処理において粉末活性炭を添加した場合、凝集剤を過剰注入しなくてもろ過池への流出が防止可能なことがわかる。
−第3例の処理方法(汚泥)
[実施例C1〜C2、比較例C1]
オキシデーションディッチ法の下水処理場から発生する余剰汚泥(pH6.4、TS 2600mg/L、SS 2400mg/L、VSS 89.0質量%、繊維分 2.8質量%)1Lを1Lビーカーに取り、セルロースナノファイバーを下記表5に記載の量で添加して、ビーカー移し替えを10回行い混合した。混合後直ちに、1Lのメスシリンダーにゆっくり移し、所定時間毎に汚泥と分離水との界面を測定し、その界面位置を汚泥体積とした。結果を表5に記載する。
Figure 2019111496
表5の結果より、セルロースナノファイバーの添加が汚泥の濃縮を促進することがわかる。
[実施例C3〜C6、比較例C2]
オキシデーションディッチ法の下水処理場から発生する余剰汚泥(pH 6.2、TS 3500mg/L、SS 3000mg/L、VSS 61.5質量%、繊維分 2.5質量%)200mlを300mlビーカーに取り、セルロースナノファイバーを下記表6に記載の量で添加してビーカー移し替えを10回行い混合した。
次いでカチオン系高分子凝集剤(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物/アクリルアミド共重合体、分子量400万、水道水で0.2質量%に調整)を表6に記載の量添加した後、ビーカー間の移し変えを10回行い凝集させた。凝集汚泥を60メッシュのナイロンろ布で重力脱水し、重力ろ過後の汚泥を2枚のろ布に挟みピストン型脱水装置を用いて2kg/cmの圧力で1分間圧搾し、得られた脱水ケーキの含水率測定を行った。結果を表6に記載する。
Figure 2019111496
表6の結果より、セルロースナノファイバーの添加は、ケーキ含水率の低下効果があることがわかる。また、セルロースナノファイバーを濃縮時に添加しておけば、濃縮の促進とケーキ含水率低下の両方の効果が得られる。
1a、1b、1c:処理装置
5、7、9:供給手段
11、21、22:処理槽
15:前処理手段
16:第1の処理手段
17:第2の処理手段
18:第3の処理手段
19:後処理手段
31:濃縮槽
35:脱水装置

Claims (7)

  1. 原水、排水、汚泥から選択される被処理水に、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加することを特徴とする被処理水の処理方法。
  2. 前記被処理水に前記セルロースナノファイバーと前記セルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加した後、無機凝集剤と、有機凝結剤と、高分子凝集剤から選択される少なくとも1種の凝集剤を更に添加する請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記被処理水に無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を添加した後、更に、高分子凝集剤を添加する請求項2に記載の処理方法。
  4. 前記被処理水は除去対象物質として粉末活性炭を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理方法。
  5. 原水、排水、汚泥から選択された1種以上の被処理水に、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加、撹拌し、該セルロースナノファイバーを被処理水中の濁質に付着させる第1の処理手段を有する被処理水の処理装置。
  6. 原水、排水、汚泥から選択された1種以上の被処理水に、セルロースナノファイバーとセルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加、撹拌し、該セルロースナノファイバーを被処理水中の粉末活性炭に付着させる第1の処理手段を有する被処理水の処理装置。
  7. 前記セルロースナノファイバーと前記セルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加する前の被処理水を処理する前処理手段と、前記セルロースナノファイバーと前記セルロースナノファイバー溶液の少なくとも一方を添加した後の被処理水を処理する後処理手段とから選択される1以上の手段を有し、
    前記前処理手段は、前記被処理水に粉末活性炭を添加し、
    前記後処理手段は、前記被処理水に無機凝集剤と有機凝結剤の少なくとも一方を添加し、撹拌する第2の処理手段と、前記被処理水に高分子凝集剤を添加し、撹拌する第3の処理手段のいずれか一方又は両方を有する請求項5又は請求項6に記載の処理装置。
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