JP4019858B2 - 水溶性共重合体、高分子凝集剤及び汚泥の脱水方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性重合体の製造方法に関するものであり、水溶性重合体を製造する技術分野、並びに水溶性重合体を使用する抄紙用薬剤及び増粘剤、特に高分子凝集剤の用途関連の技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水溶性重合体、特に高分子量の水溶性重合体は、高分子凝集剤、歩留向上剤及び増粘剤等として種々の技術分野で利用されている。
【0003】
前記用途で使用される高分子量の水溶性重合体としては、いわゆるカチオン系の重合体と称させる重合体が使用されることが多い。具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩等のカチオン性単量体を主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリルアミド等のノニオン性単量体を共重合成分として重合して得られる重合体、並びにカチオン性単量体、ノニオン性単量体に加えさらに(メタ)アクリル酸等のアニオン性単量体と共重合体させて得られる共重合体等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、下水処理、養豚場及び染色工程から排出される汚泥の脱水処理において、これら汚泥はカチオン要求量が高いため、その脱水処理で使用される凝集剤としては、前記水溶性重合体のうち、カチオン性単量体の共重合割合が大きい、いわゆる高カチオン性の重合体が使用されている。
当該凝集剤で使用される高カチオン性の重合体としては、製造が比較的容易であるという理由で、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩を90モル%以上有する重合体が使用されている。
しかしながら当該凝集剤は、脱水性能に優れるものの、得られるフロックの成長が不十分であるという問題を有していた。
この問題を解決するため、前記重合体の高分子化が検討されているが、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩は、その重合性が不十分であるため、高分子量体を得ることは困難であった。
【0005】
一方、ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩は、重合性に優れるため、前記問題を解決できる高分子量の重合体が製造可能であると予想されていた。
しかしながら、ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩を90モル%以上有する単量体混合物を重合した場合、得られる重合体の含水ゲルが、粘着性を有するうえ柔らかいため、得られた重合体を切断するためのチョッピングが困難であったり、仮にチョッピングできたとしても、乾燥工程において粒子同士が結合して、乾燥が不十分となったりして、最終製品が製造できないという問題があった。
従って、従来の製造方法では、得られる重合体の含水ゲルの粘着を防止するため、ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩の共重合割合として、85モル%を上限とすることが限界であった。
しかしながら、当該共重合割合とする重合体からなる凝集剤を、前記した様な高カチオン要求量の汚泥の脱水に使用した場合、高分子量体であるため、フロック形成能に優れるものの、カチオン性が低いため脱水性能が不十分となってしまい、得られる脱水ケーキの含水率を低減できないという問題を有していた。
【0006】
発明者らは、高カチオン性を有し、かつ高分子量の水溶性重合体を製造できる製造方法、並びに高カチオン要求量の汚泥に対しても、優れた脱水処理能力を発揮し得る高分子凝集剤及び汚泥の脱水方法を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は種々の検討の結果、ポリアルキレンオキサイド化合物の存在下に、高い単量体割合のアクリレート系カチオン単量体を重合すれば、得られる重合体がべとつくことがないため、容易にチョッピングでき、さらに得られる重合体は高カチオン性でかつ高分子量体であるため、高カチオン要求量の汚泥に適用した場合、優れた脱水性能を有することを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書において、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表、アクリルアミド又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表す。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリアルキレンオキサイド化合物の存在下、アクリロイル基を有するカチオン性単量体のみ、又はアクリロイル基を有するカチオン性単量体を90モル%以上有する単量体混合物を重合する水溶性重合体の製造方法に関するものである。
以下、それぞれの成分について説明する。
【0009】
1.ポリアルキレンオキサイド化合物
本発明の製造方法で使用されるポリアルキレンオキサイド化合物としては、片末端が下記一般式(1)で表わされるエチレン性不飽和基を有するポリアルキレンオキサイドオリゴマーを使用する。
又、これ以外のエチレン性不飽和基、例えば(メタ)アクリロイル基である場合、重合体製造の際に、ゲル化を起し易く、ゲル化を起さなかった場合でも、得られる重合体が水溶性のものとはならないことがある。
【0010】
【化2】
【0011】
〔上記式中、R1及びR2は、水素又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは−R3O−、−O−又は−R4NHCOO−であり、R3及びR4は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は−Ph−若しくは−Ph−R5−であり、Phは、置換基を有していても良いフェニレン基であり、R5は、炭素数1〜4のアルキレン基である。〕
【0012】
R1及びR2の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
Xは−R3O−、−O−又は−R4NHCOO−であり、Xが、これら以外の例えばエステル結合である場合、共重合体製造の際に、ゲル化を起し易く、ゲル化を起さなかった場合でも、得られる共重合体が水溶性のものとはならない。Xとしては、−R3O−又は−O−が好ましい。
【0013】
前記R3及びR4は、炭素数1〜4のアルキレン基又は−Ph−若しくは−Ph−R5−であり、Phは、置換基を有していても良いフェニレン基であり、R5は、炭素数1〜4のアルキレン基である。
R3及びR4のアルキレン基としては、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、置換基を有していても良いフェニレン基としては、具体的に、p−フェニレン基、m−フェニレン基、及びこれらの混合物等があり、好ましくはp−フェニレン基である。フェニレン基への置換基としてはアルキル基及びアルキルエステル基等が挙げられる。
R5のアルキレン基としては、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
R3及びR4としては、メチレン基又はフェニレン基が特に好ましい。
【0014】
上記一般式(1)で表わされるエチレン性不飽和基は、具体的には、アリルオキシ、メタリルオキシ、アリルエトキシ、アリルプロポキシ、アリルブトキシ、プロペニルオキシ基及びビニルベンジルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも反応性に優れ、入手が容易である点で、アリルオキシ基、メタリルオキシ基及びプロペニルオキシ基が好ましい。
【0015】
ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの主鎖を構成するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンオキサイドオリゴマー、ポリプロピレンオキサイドオリゴマー及びポリブチレンオキサイドオリゴマー等が挙げられる。
又、2種以上のポリアルキレンオキサイド単位をブロック状に有するもの、例えば、ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイドブロックオリゴマーが挙げられる。
これらの中でも、ポリプロピレンオキサイド単位を有するものが好ましい。
【0016】
ポリアルキレンオキサイドにおいて、アルキレンオキサイドの繰り返し単位数は、前記と同様の理由で、5以上のものが好ましく、より好ましくは5〜80のものである。
【0017】
又、他の末端については、その構造は必ずしも制限されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基であるものが、前記と同様の理由で好ましい。
【0018】
これらのポリアルキレンオキサイドオリゴマーは、通常のポリアルキレンオキサイドオリゴマーとアルコール、イソシアネオート化合物とのエステル化、エーテル化、ウレタン化反応等により調製されるが、市販されているものもあり、本発明においては、それら市販品を使用することもできる。
【0019】
2.アクリロイル基を有するカチオン性単量体
本発明の製造方法で使用されるアクリロイル基を有するカチオン性単量体(以下アクリル系カチオン単量体という)としては、種々の化合物を使用することができる。
アクリル系カチオン単量体の具体的としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及びジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキルアクリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジアルキルアミノアルキルアクリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩;並びにジアルキルアミノアルキルアクリルアミドの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩等が挙げられる。
【0020】
3.その他単量体
本発明の製造方法は、上記アクリル系カチオン単量体を必須とするものであるが、必要に応じて、アクリル系カチオン単量体と共重合可能な単量体(以下その他単量体という)との単量体混合物であっても良い。この場合、単量体混合物中のその他単量体の割合は、10モル%未満である必要がある。
その他単量体としては、アクリル系カチオン単量体以外のカチオン性単量体、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を挙げることができる。
【0021】
アクリル系カチオン単量体以外のカチオン性単量体としては、前記アクリル系カチオン単量体で具体例として挙げたアクリレート体を、メタクリレートに置き換えた化合物等が挙げられる。
【0022】
アニオン性単量体としては、ラジカル重合性を有するものであれば、使用に制限は無く、具体的には、不飽和カルボン酸及びその塩が挙げられ、より具体的には(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸等が挙げられ、本発明で好ましい単量体は、(メタ)アクリル酸である。
【0023】
前記不飽和カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0024】
ノニオン性単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、アクリロニトリル及びビニルアセテート等を挙げることができる。
【0025】
これらのカチオン性単量体、アニオン性単量体及びノニオン性単量体は、単独でも、2種以上を混合して使用することもできる。
これらの中でも、カチオン性単量体とオリゴマーとの共重合性を改善でき、得られる共重合体の特性を調整できる点で、(メタ)アクリルアミドを併用することが好ましい。
(メタ)アクリルアミドの割合としては、単量体全体の10モル%未満が好ましい。
【0026】
4.水溶性重合体の製造方法
本発明の製造方法は、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの存在下、アクリル系カチオン単量体のみ、又はアクリル系カチオン単量体を90モル%以上有する単量体混合物を重合する水溶性重合体の製造方法である。
【0027】
この場合、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの割合としては、使用する全単量体を基準として、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーを0.05〜10モル%とするのが好ましい。
この割合が0.05モル%に満たない場合は、高分子量のカチオン性重合体が得られるものの、べとついてしまいチョピングできないことがあり、10モル%を越えると未重合の単量体が多くなったり、得られる重合体が水に不溶性になることがある。
【0028】
重合方法としては、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの存在下に、アクリル系カチオン単量体、さらには必要に応じて併用する、その他の単量体との混合体を、水溶性重合体を得る方法として一般的な重合方法により重合すれば良く、これらの中でも水性媒体中で重合する方法が好ましい。
【0029】
かかる水性媒体中での重合方法の具体的な一例として、水溶液重合の例を説明する。即ち、単量体濃度が10〜80質量%、好ましくは25〜60質量%の単量体水溶液を酸素の非存在下に、重合開始剤を用いて、重合開始温度0〜35℃、重合温度100℃以下で、0.1〜10時間重合させて重合体とする方法である。
【0030】
この場合の重合開始剤としては、具体的に、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物、2,2'−アゾビス−(アミジノプロパン)ハイドロクロライド、アゾビスシアノバレリン酸、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]等のアゾ系化合物、並びに過酸化水素、過硫酸ナトリウムと重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の組み合わせからなるレドックス触媒等が挙げられる。
又、重合は紫外線照射により行うこともでき、例えばケタール型、アセトフェノン型等の光重合開始剤を用いて重合することもできる。
【0031】
重合開始剤の使用量としては、目的とする共重合体の重合度及び粘度等に応じて定めれば良く、通常、全単量体及び重合開始剤の合計量を基準にして10〜2万ppm用いることが好ましい。
共重合体の分子量は、使用する単量体及び重合開始剤の種類及び割合の他、さらに連鎖移動剤を併用して、この種類及び割合を変えることにより調整することもできる。
この場合の連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物や、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類等が挙げられる。
【0032】
尚、凝集剤として使用するような高分子量の共重合体を製造する場合には、その量は10〜2000ppmが好ましく、抄紙剤として使用するような共重合体を製造する場合には、100〜2万ppmが好ましい。
【0033】
本発明により得られたゲル状の重合体は、その後、公知の方法で切断・細断する。本発明の製造方法によれば、得られる高分子量の重合体は容易に切断することができる。この場合、採用される切断方法としては、例えば、ミートチョッパー等の方法が挙げられる。
細断した重合体は、バンド式乾燥機、回転式乾燥機、遠赤外線式乾燥機及び振動流動式乾燥機等の乾燥機を使用し、温度60〜150℃程度で乾燥し、ロール式粉砕機等で粉砕して粉末状の共重合体とされ、粒度調整され、高分子凝集剤等として使用する場合は、その後必要に応じて添加剤等が添加される。
【0034】
5.用途
本発明の製造方法で得られる重合体は、種々の用途に応用することが可能である。例えば、高分子凝集剤、製紙工程における歩留向上剤等の抄紙用薬剤、塗料用等の増粘剤、並びに膏体用基材等が挙げられ、特に高分子凝集剤及び抄紙用薬剤として好適なものである。
【0035】
高分子凝集剤として使用する場合は、平均分子量が数百万〜千数百万の重合体が好ましく、特に、下記の測定方法で測定した0.5%塩粘度が5〜200mPa.sが好ましい。さらに、重合体中の0.1%不溶解分量が洗浄後で5ml以下のものが好ましい。
【0036】
0.1%不溶解分量:
重合体を純水に溶解し、400mlの0.1質量%(固形分換算)溶液を調製する。この溶液全量を直径20cm、83メッシュの篩で濾過し、篩上に残った不溶解分を集めてその容量を測定する。
【0037】
0.5%塩粘度:
重合体を4質量%の塩化ナトリウム水溶液に溶解し、0.5質量%共重合体溶液を調製する。B型粘度計を用いて、温度25℃、60rpm、5分後の重合体溶液の粘度を測定する。
【0038】
本発明の高分子凝集剤の使用に際しては、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びスルファミン酸等、脱水処理に悪影響がでない限り公知の添加剤と混合して使用しても良い。
【0039】
本発明の高分子凝集剤は、種々の汚泥に加えられて、フロック強度、濾過速度及び含水率のバランス性に優れたフロックを形成するものであるが、汚泥への添加方法、フロックの形成方法に格別の方法はなく、現在使用されている方法が問題なく適用されるもので、適用できる汚泥としては、特に制限はなく、具体例としては、生活廃水処理汚泥、食品工業廃水処理汚泥、化学工業廃水処理汚泥、養豚場廃水処理汚泥及びパルプ又は製紙工業汚泥等が挙げられる。
【0040】
本発明の高分子凝集剤は単独でも使用できるが、無機凝集剤又は有機カチオン性化合物と併用することもできるもので、無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄及びポリ硫酸鉄等が挙げられ、有機カチオン性化合物としては、ポリマーポリアミン、ポリアミジン及びカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0041】
特に、本発明の高分子凝集剤を両性のものとしたときには、無機凝集剤の添加された汚泥に、その高分子凝集剤を添加する方法が、脱水方法としてより効率的で、この場合、無機凝集剤を添加した後、pHを4〜8調整することが好ましく、より好ましくは5〜7である。
【0042】
本発明の高分子凝集剤の汚泥への添加量は、通常0.1〜3%/汚泥の乾燥固形分、好ましくは0.2〜2%/汚泥の乾燥固形分であり、0.1%未満では汚泥の懸濁物回収率が充分でなく、3%を超えて使用しても効果の向上は認められない。
【0043】
形成されたフロックは、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリュウーデカンター等の脱水装置を用いて脱水され脱水ケーキとすることができる。
【0044】
又、本発明の凝集剤は、濾過部を有する造粒濃縮槽を使用する脱水方法にも適用可能であって、具体的には、汚泥に、無機凝集剤を添加し、さらに高分子凝集剤を添加した後、又は高分子凝集剤と共に、該汚泥を、濾過部を有する造粒濃縮槽に導入し、該濾過部からろ液を取り出すと共に造粒し、この造粒物を脱水機で脱水処理する方法等が挙げられる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「%」とは質量%を意味する。
○実施例1
ステンレス製反応容器に、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩水溶液(以下、DACという。)、アクリルアミド水溶液(以下、AMという。)及びアリルオキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノブチルエーテル〔日本油脂(株)製商品名PKA−5015。エチレングリコール/プロピレングリコールはブロック共重合体で、それらのモル比は75:25。エチレンオキサイドの繰り返し数=平均24、プロピレンオキサイドの繰り返し数=平均8。数平均分子量=1600。以下PKA−5015という。〕を入れ、それぞれが95、5.0及び0.3のモル比で、全単量体濃度55%、総重量1.0kgになるように蒸留水を加えた。
つづいて、これに窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液温度を温度10℃に調節し、単量体混合物の水溶液を得た。
さらに、全単量体重量を基準として、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩(以下、V−50と言う。)及び重亜硫酸水素ナトリウムを、それぞれ1000ppm及び20ppmとなるように加えて、反応容器の上方から、100Wブラックライトを用いて6.0mW/cm2の照射強度で60分間照射して重合を行い、含水ゲル状の水溶性共重合体を得た。
含水ゲル状の水溶性共重合体を容器から取り出し、小型ミートチョッパーを使用して裁断した。これを温度80℃で5時間乾燥後粉砕して粉末状の水溶性共重合体を得た。この場合のゲルの裁断時と乾燥時における状態(以下含水ゲル処理状態という)を、以下に示す3段階で評価した。
○:裁断時に粒子同士の付着が少なく、乾燥粒子も互いに分離していた。
△:裁断時に粒子同士の付着が著しい。乾燥粒子は結合して小さな団子状となり、内部は未乾燥となった。
×:裁断時に粒子同士の付着が著しい。乾燥粒子は結合して大きな団子状となり、内部は未乾燥となった。
この水溶性共重合体について0.1%不溶解分量と0.5%塩粘度を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0046】
○実施例2、比較例1及び2
単量体、重合開始剤等を表1記載の内容に変更する以外は、実施例1と同様にして粉末状の水溶性共重合体を得た。この際、実施例1と同様にして含水ゲル処理状態を評価した。
得られた水溶性共重合体について、0.1%不溶解分量と0.5%塩粘度を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
○実施例3(汚泥脱水処理)
処理対象汚泥として、都市下水混合生汚泥(pH=6.0、SS=26000mg/l、VSS=21000mg/l)を使用した。
混合生汚泥200mlを500mlのビーカーに採取し、高分子凝集剤として重合体No.A−1の0.2%水溶液を添加後、攪拌機を用いて90秒間攪拌して汚泥フロックを生成させ、フロックの粒径を測定した。
その後、80メッシュの網をフィルターとして用いて、前記汚泥フロック分散液を重力濾過した。10秒後の濾液容量を測定しこれを濾過速度として示した。得られたケーキをミニベルトプレス機にて圧搾脱水(面圧0.5kg/cm2、3段)し含水量を測定した。
これら評価結果を表2に示す。
【0049】
○比較例3(汚泥脱水処理)
重合体No.B−1において団子状とならなかった少量の乾燥粒子を用いた。
実施例3において、高分子凝集剤として重合体No.B−1の0.2%水溶液を使用した以外は同様の操作により、汚泥フロックを生成させ、フロックの粒径を測定した。
その後、実施例3と同様にして、濾過速度及び含水量を測定した。それら評価結果を表2に示す。
【0050】
○比較例4(汚泥脱水処理)
重合体No.B−2において団子状とならなかった少量の乾燥粒子を用いた。
実施例3において、高分子凝集剤として重合体No.B−2の0.2%水溶液を使用した以外は同様の操作により、汚泥フロックを生成させ、フロックの粒径を測定した。
その後、実施例3と同様にして、濾過速度及び含水量を測定した。それら評価結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、高カチオン性でかつ高分子量の水溶性重合体を得ることができ、さらに得られた含水ゲル状の重合体は、容易に切断できるうえ、細断された重合体粒子は、乾燥工程において粒子同士が結合することなく、容易に乾燥することができる。
さらに得られた重合体は、高分子凝集剤、製紙工程における抄紙用薬剤、塗料用等の増粘剤及び膏体用基材等の種々の幅広い用途に応用することが可能であるばかりでなく、それらの用途において優れた特性をも発揮するものである。
特に高分子凝集剤として好ましく適用できるものであり、高カチオン要求量の汚泥に対しても、優れた脱水処理能力を発揮する。
Claims (5)
- 前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーが、アルキレンオキサイド単位の繰り返し単位数が5以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
- 前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーが、他の末端が炭素数1〜8のアルコキシル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水溶性重合体の製造方法。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られた水溶性重合体からなることを特徴とする高分子凝集剤。
- 請求項4に記載の高分子凝集剤を汚泥に添加して脱水処理することを特徴とする汚泥の脱水方法。
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