JP6102482B2 - レンズ鏡筒、およびプロジェクター - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載の投写レンズの製造方法は、各レンズ枠を重ねてU字型の治具(保持ピン)でこれらのレンズ枠を支持し、一度にガイド筒に挿入するようになっている。レンズ枠は、上述の製造方法のため、各レンズ枠が重ねられた場合に各レンズ枠の間隔が各カム溝の間隔に合うように厚みが設定され、外周面には、保持ピンの支持用の孔および溝が設けられている。
また、特許文献1に記載の保持ピンに係合突起を設ける技術においても、レンズ枠は、厚みの増加が抑制されるとはいうものの、径方向のサイズが大きくなる。これに伴って、ガイド筒、およびカム筒も外形が大きくなり、ひいては、投写レンズが大型化することや高重量化するという課題がある。
よって、複数のレンズ枠を重ねることでカムピンがカム溝の端部に位置付けられるようにレンズ枠の厚みを設定することなく、また、治具で複数のレンズ枠を支持することなくカムピンをカム溝の端部に位置付けることができるので、レンズ枠の小型化、軽量化を図りつつ、製造が容易なレンズ鏡筒の提供が可能となる。すなわち、レンズ枠は、複数のレンズ枠を重ねる構成においては、重ねられる方向(光軸に沿う方向)の厚さが厚くなり、治具でレンズ枠を支持する構成においては、支持する部位が必要になるため、光軸と直交する方向の肉厚が厚くなるが、本適用例の構成によれば、レンズ枠は、光軸に沿う方向の厚さや、光軸と直交する方向の肉厚を厚くすることなくカムピンをカム溝の端部に位置付けさせることができる。したがって、レンズ枠の小型化、軽量化、ひいてはレンズ鏡筒の小型化、軽量化を図りつつ、容易にレンズ鏡筒を製造することが可能となる。また、複数のレンズ枠を重ねるための形状や、治具に支持される形状を、レンズ枠に盛り込むことが不要になるので、レンズ枠の形状の簡素化が可能となり、このレンズ枠を製造する金型構造や金型形状の簡素化が図れる。
これによって、第1開口部から案内筒に挿入されるレンズ枠のカムピンがカム溝の第1端部に位置付けられるようにレンズ枠と突起部とが当接する構成に比べ、レンズ枠および突起部の形状を簡素なものとすることができる。すなわち、カムピンがカム溝の第1端部に位置付けられるようにレンズ枠と突起部とが当接する構成においては、レンズ枠を第1端部から第2端部に移動させるためには、レンズ枠が突起部の反対側に移動可能とするようにレンズ枠および突起部を構成する必要があり、レンズ鏡筒の構造やレンズ枠および突起部の形状が複雑化する。
一方、本適用例による構成によれば、レンズ枠が突起部の反対側に移動可能とする構造が不要なので、レンズ鏡筒の構造、およびレンズ枠や案内筒の簡素な形状が可能になると共に、これらの部材を製造する金型構造や金型形状の簡素化が可能となる。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、変調した光をスクリーン等の投写面に拡大投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、および電源装置4を備えている。なお、図示は省略するが、外装筐体2の内部には、さらに、光学ユニット3や電源装置4等を冷却する冷却装置が配置されている。
光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置31に加え、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、光学装置35、レンズ鏡筒としての投写レンズ5、およびこれらの光学部品を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37を備える。
各光変調装置351は、透過型の液晶パネル、液晶パネルの光入射側に配置された入射側偏光板、および液晶パネルの光射出側に配置された射出側偏光板を備え、各色光を画像情報に応じて変調する。
ここで、投写レンズ5について詳細に説明する。なお、以下では説明の便宜上、投写レンズ5において、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光が入射する側を後側、投写レンズ5より光が射出される側を前側として記載する。
図2は、投写レンズ5の斜視図であり、図3は、投写レンズ5の断面図である。図4は、投写レンズ5の分解斜視図である。
投写レンズ5は、図2〜図4に示すように、固定枠51、光軸5Cに沿って前側から順に配置される第1レンズ群501〜第5レンズ群505、レンズ枠61,62,63、案内筒52、カム筒53、およびフォーカス筒54を備えている。なお、図4は、固定枠51およびフォーカス筒54を省略した図である。
レンズ枠61は、図3、図4に示すように、第2レンズ群502を保持する保持部611、およびカムピン612を有している。
保持部611は、第2レンズ群502の外周を覆うように筒状に形成され、案内筒52内に嵌挿される。また、保持部611には、図4に示すように、筒状の外周面から突出し、カムピン612より突出量が小さな係合部611aが設けられている。係合部611aは、保持部611の外周面の前側に、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられ、案内筒52内の後述する段差部52b(図6(a)参照)に係合可能に形成されている。
カムピン612は、図3に示すように、保持部611が案内筒52に嵌挿される際に、案内筒52の後述する直進溝523に挿通され、先端が直進溝523から飛び出すような長さに設定されている。
レンズ枠63は、図3、図5に示すように、レンズ枠61と同様に、第4レンズ群504を保持する筒状の保持部631、および3つのカムピン632を有している。
保持部621,631は、外径がレンズ枠61の保持部611の外径と同一の大きさに形成され、カムピン622,632は、カムピン612と同一形状に形成されている。
切欠き63nは、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられており、案内筒52の後述する突起部52a(図6参照)に対応するように形成されている。具体的に、切欠き63nは、レンズ枠63が案内筒52に嵌挿される際に突起部52aが通過するように形成されている。
図6は、案内筒52を示す図であり、(a)は、斜視図、(b)は断面図である。
案内筒52は、図4、図6に示すように、前側に位置する筒状の大円筒部521と、大円筒部521より小さな径の筒状の小円筒部522とが互いの端部で結合され、大円筒部521に前側開口部52Aが設けられ、小円筒部522に後側開口部52Bが設けられて筒状に形成されている。前側開口部52Aは、第1開口部に相当し、後側開口部52Bは、第2開口部に相当する。なお、案内筒52は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
案内筒52には、図6に示すように、大円筒部521と小円筒部522とで形成される段差部から後方に向けて光軸5Cに沿って切り欠かれた直進溝523が形成されている。直進溝523は、カムピン612,622,632が挿通されるように、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられている。
レンズ枠61,62,63は、レンズ枠63,62,61の順で前側開口部52Aから大円筒部521に挿入され、カムピン632,622,612が直進溝523に挿通されて、保持部631,621,611が小円筒部522に嵌挿される。レンズ枠61は、案内筒52に嵌挿されるレンズ枠61,62,63のうち、最後に案内筒52に嵌挿される最終レンズ枠に相当する。
突起部52aは、保持部621の後方側の端面に当接可能な大きさに形成され、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられている。突起部52aは、保持部621が当接することで、レンズ枠62が案内筒52内の所定の位置に位置付けられ、カムピン622に対応するカム筒53のカム溝72の端部にカムピン622が位置するように設定されている。
段差部52bは、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ形成され、案内筒52に嵌挿されるレンズ枠61の係合部611aに対応して設けられている。
段差部52bは、レンズ枠61の係合部611aが係合し、レンズ枠61の後方(後側開口部52B側)への移動を規制する。段差部52bは、係合部611aが当接することで、レンズ枠61が案内筒52内の所定の位置に位置付けられ、カムピン612に対応するカム筒53内のカム溝71の端部にカムピン612が位置するように設定されている。
係止部525は、光軸5C方向において、カム筒53が係止される突起であり、大円筒部521から離間し、円周方向に沿って断続的に形成されている。係止部525は、各直進溝523の間に、直進溝523とは離間して形成されている。
そして、小円筒部522の後側の端面、つまり後側開口部52B側の端面には、図示しない位置決めピンおよびネジ穴が設けられており、案内筒52は、位置決めピンで位置決めされ、固定枠51に設けられた挿通孔(図示省略)から挿通されたネジがネジ穴に螺合されて固定枠51に固定される。
回転規制部は、フォーカス筒54の外面に光軸5Cを中心とする円周方向に所定の角度で2つ設けられている。
フォーカス筒54は、ネジ溝541が案内筒52のネジ溝524に螺合されて案内筒52に回転可能に支持される。
カム筒53は、ガラス繊維入りPC(polycarbonate)等の合成樹脂製で、筒状に形成されている。カム筒53は、内部に案内筒52の小円筒部522が嵌挿されて案内筒52に対して光軸5Cを中心として回転可能に形成されている。なお、カム筒53は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
前側突出部531は、光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で形成されており、案内筒52の大円筒部521と係止部525との間に配置される部位である。前側突出部531は、円周方向の長さが各係止部525の間隔より小さく、大円筒部521と係止部525と間に挟装される幅で設定されている。
カム筒53は、案内筒52の小円筒部522が嵌挿された後、所定の位置まで回転されると、前側突出部531が大円筒部521と係止部525との間に配置され、光軸5C方向において、案内筒52に係止される。
カム筒53の内面には、図4、図7に示すように、断面が凹形状の案内溝70、および前側から順に形成されたカム溝71,72,73がそれぞれ光軸5Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3組設けられている(図7では、2組を示す)。案内溝70およびカム溝71,72,73の断面形状は、カムピン612,622,632の先端が係合するように形成されている。
カム溝71,72,73は、図7に示すように、導入部71A,72A,73A、および移動規定部71B,72B,73Bをそれぞれ有している。
移動規定部71B,72B,73Bは、レンズ枠61,62,63をワイド端から投写レンズ5内において最も繰り出された位置となるテレ端までの間を連続的に移動可能に形成されている。
そして、カム溝71,72,73は、ワイド端側が案内溝70に繋がるように形成され、レンズ枠61,62,63は、カム筒53に嵌挿された案内筒52に挿入された状態で、ワイド端側に位置することとなる。
また、カム筒53には、図示しないズームリングが取り付けられ、カム筒53は、このズームリングが回転されることで案内筒52に対して光軸5Cを中心として回転する。そして、投写レンズ5は、このズームスリングが回転されることによって、レンズ枠61,62,63に保持されている第2レンズ群502、第3レンズ群503、第4レンズ群504がワイド端からテレ端の間で移動されることによって投写する画像の大きさを変える。なお、本実施形態の移動規定部71B,72B,73Bは、投写レンズ5の前方から見て、カム筒53が光軸5Cを中心にして時計回り回転されると、各レンズ枠がワイド端側からテレ端側に移動するように設定されている。
先ず、カム筒53に案内筒52の小円筒部522を嵌挿させる。具体的に、図4に示すように、カム筒53の前側突出部531が案内筒52の各係止部525の間を通過するように、カム筒53と案内筒52とを円周方向において位置合わせし、カム筒53の前方から案内筒52の小円筒部522を挿入する。そして、大円筒部521に前側突出部531が当接するまで小円筒部522をカム筒53に嵌挿させる。
(1)案内筒52の内面には、カムピン622がカム溝72の端部に位置付けられるようにレンズ枠62と当接する突起部52aが設けられている。これによって、レンズ枠62を突起部52aに当接させた後、カム筒53を回転することで容易にカムピン622をカム溝72に係合させることができる。
よって、レンズ枠62とレンズ枠63とを重ねることでカムピン622がカム溝72の端部に位置付けられるようにレンズ枠62やレンズ枠63の厚みを厚くすることなく、また、治具でレンズ枠62を支持することなくカムピン622をカム溝72の端部に位置付けることができるので、レンズ枠62,63の小型化、軽量化を図りつつ、製造が容易な投写レンズ5の提供が可能となる。したがって、レンズ枠62,63の小型化、軽量化、ひいては投写レンズ5の小型化、軽量化を図りつつ、容易に投写レンズ5を製造することが可能となる。また、レンズ枠62とレンズ枠63とを重ねるための形状や、治具に支持される形状を、レンズ枠62やレンズ枠63に盛り込むことが不要になるので、レンズ枠62,63の形状の簡素化が可能となり、このレンズ枠62,63を製造する金型構造や金型形状の簡素化が図れる。
これによって、前側開口部52Aから案内筒52に挿入されるレンズ枠のカムピンがカム溝71のテレ端(第1端部)に位置付けられるように、レンズ枠と突起部とが当接する構成に比べ、レンズ枠および突起部の形状を簡素なものとすることができる。すなわち、カムピンがカム溝の第1端部に位置付けられるようにレンズ枠と突起部とが当接する構成においては、レンズ枠を第1端部から第2端部に移動させるためには、レンズ枠が突起部の反対側に移動可能とするように、レンズ枠および突起部を構成する必要があり、投写レンズの構造やレンズ枠および突起部の形状が複雑化する。
一方、本実施形態による構成によれば、レンズ枠62が突起部52aの反対側(後側)に移動可能とする構造が不要なので、投写レンズ5の構造、およびレンズ枠62や案内筒52の簡素な形状が可能になると共に、これらの部材を製造する金型構造や金型形状の簡素化が可能となる。
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の投写レンズ5は、案内筒52内を移動するレンズ群が3つ(第2レンズ群502〜第4レンズ群504)で構成されているが、3つに限らず、2つや4つ以上で構成してもよい。そして、これらのレンズ群を保持する複数のレンズ枠のうちの少なくとも1つのカムピンがカム溝の端部に位置付けられるように、このレンズ枠と当接する突起部を案内筒52に設けてもよい。
Claims (6)
- 複数のレンズ群と、
前記複数のレンズ群をそれぞれ保持し、当該複数のレンズ群の光軸に対して直交する方向に突出するカムピンを有する複数のレンズ枠と、
第1開口部、第2開口部および前記光軸に沿って延出する直進溝を有し、前記直進溝に前記カムピンが挿通され、前記第1開口部から前記複数のレンズ枠が順次内部に嵌挿される案内筒と、
前記案内筒が内部に嵌挿され、前記直進溝から突出する前記カムピンが係合するカム溝を有し、前記案内筒に対して前記光軸を中心に回転されることによって前記直進溝と前記カム溝とで前記カムピンを誘導し、前記複数のレンズ枠を前記直進溝に沿って移動させるカム筒と、
を備え、
前記案内筒の内面には、前記複数のレンズ枠のうちの少なくとも1つの前記レンズ枠の前記カムピンが前記カム溝の端部に位置付けられるように、当該レンズ枠と当接し、当該レンズ枠の前記第2開口部側への移動を規制する突起部が設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項1に記載のレンズ鏡筒であって、
前記突起部に当接する前記レンズ枠より前記第2開口部側に配置される前記レンズ枠には、前記突起部を通過させる切欠きが設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡筒であって、
前記カム溝は、
前記第1開口部側に位置する第1端部、および前記第2開口部側に位置する第2端部を有し、
前記突起部は、
前記突起部に当接する前記レンズ枠の前記カムピンが前記第2端部に位置付けられるように、前記レンズ枠と当接することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記複数のレンズ枠のうち、前記案内筒に最後に嵌挿される最終レンズ枠は、前記カムピンより突出量が小さな係合部を有し、
前記案内筒の内面には、前記第1開口部から嵌挿される前記最終レンズ枠の前記係合部に係合して前記最終レンズ枠の前記第2開口部側への移動を規制する段差部が形成され、
前記段差部および前記係合部は、前記最終レンズ枠の前記カムピンが前記カム溝の端部に位置付けられるように形成されていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記案内筒の前記第1開口部に回転可能に支持されるフォーカス筒と、
前記フォーカス筒に保持されるフォーカスレンズ群と、
前記案内筒の前記第2開口部側に固定される固定枠と、
前記固定枠に保持される固定レンズ群と、
を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 光源と、
前記光源から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置にて変調された光を投写する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
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