JP2010107702A - 投写レンズ、プロジェクタ、および投写レンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化を図った投写レンズを提供する。
【解決手段】投写レンズは、レンズを保持する保持部および保持部の外周面から突出するカムピンを有するレンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64と、各レンズ枠が嵌挿されると共に、各レンズ枠を光軸C方向に沿って案内する直進溝524を有する案内筒52と、案内筒52が嵌挿されると共に、案内筒52に対して光軸Cを中心に回転されることによって各レンズ枠を光軸方向に沿って移動させるカム溝を有するカム筒53とを備える。直進溝524は、各レンズ枠が案内筒52の一方の端部から挿入可能に形成され、カム筒53は、端部から光軸Cに沿ってカム溝に繋がる案内溝70、および案内溝70とカム溝とが交差する部位に内面から外面に貫通する貫通孔701,702,703,704を有し、各カムピンは、貫通孔から露出する係合穴612A,622A,632A,642Aを有している。
【選択図】図4
【解決手段】投写レンズは、レンズを保持する保持部および保持部の外周面から突出するカムピンを有するレンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64と、各レンズ枠が嵌挿されると共に、各レンズ枠を光軸C方向に沿って案内する直進溝524を有する案内筒52と、案内筒52が嵌挿されると共に、案内筒52に対して光軸Cを中心に回転されることによって各レンズ枠を光軸方向に沿って移動させるカム溝を有するカム筒53とを備える。直進溝524は、各レンズ枠が案内筒52の一方の端部から挿入可能に形成され、カム筒53は、端部から光軸Cに沿ってカム溝に繋がる案内溝70、および案内溝70とカム溝とが交差する部位に内面から外面に貫通する貫通孔701,702,703,704を有し、各カムピンは、貫通孔から露出する係合穴612A,622A,632A,642Aを有している。
【選択図】図4
Description
本発明は、光軸に沿って移動可能なレンズを有する投写レンズ、この投写レンズを備えたプロジェクタ、およびこの投写レンズの製造方法に関する。
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光(光学像)を形成し、その光学像を投写レンズによって拡大投写するプロジェクタが知られている。この投写レンズは、1つあるいは複数のレンズを1つのレンズ群とする複数のレンズ群を有しており、このレンズ群の中には、光軸に沿って直線移動できるように構成されたレンズ群が備えられている。そして、投写レンズは、このレンズ群が移動されることによって、広角(以下「ワイド」という)から望遠(以下「テレ」という)、あるいはテレからワイドに光学像が変倍されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術では、複数のレンズ群をそれぞれ保持し、外側にカムピンを有する複数のレンズ枠、複数のレンズ枠が嵌挿される円筒状の案内筒(ガイド筒)、および案内筒が嵌挿される円筒状のカム筒が備えられている。そして、案内筒には、光軸に沿って形成された貫通する直進溝(ガイド溝)が設けられ、カム筒には、各レンズ枠に対応して移動動作を規定するカム溝が形成されている。複数のレンズ枠は、カムピンが直進溝およびカム溝に係合され、カム筒が回転されることにより、光軸方向にそれぞれ移動する。
また、各レンズ枠には、外縁部に光軸に沿う方向に貫通する孔および溝が設けられている。そして、略U字型の保持ピンが用意され、各レンズ枠は、この保持ピンの一方が孔に挿通され、他方が溝に係合されて、一緒に保持される。そして、これらのレンズ枠は、一度に案内筒に嵌挿される。
また、各レンズ枠には、外縁部に光軸に沿う方向に貫通する孔および溝が設けられている。そして、略U字型の保持ピンが用意され、各レンズ枠は、この保持ピンの一方が孔に挿通され、他方が溝に係合されて、一緒に保持される。そして、これらのレンズ枠は、一度に案内筒に嵌挿される。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、レンズ枠の外縁部に孔および溝を設けているため、レンズ枠の外形サイズが大きくなる。これによって、レンズ枠が嵌挿される案内筒も外形が大きくなり、ひいては、案内筒が嵌挿されるカム筒の外形が大きくなるという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る投写レンズは、光軸に沿って移動可能なレンズを有する投写レンズであって、前記レンズを保持する保持部、および前記保持部の外周面から前記光軸に対し交差する方向に突出するカムピンを有するレンズ枠と、前記レンズ枠が嵌挿されると共に、前記レンズ枠を光軸方向に沿って案内する案内筒と、前記案内筒が嵌挿されると共に、前記カムピンが係合され、前記案内筒に対して光軸を中心に回転されることによって前記レンズ枠を前記光軸方向に沿って移動させるカム溝を有するカム筒と、を備え、前記案内筒は、前記案内筒の一方の端部から前記カムピンが係合して前記レンズ枠が挿入されるように形成される直進溝を有し、前記カム筒は、前記案内筒の一方の端部と同一方向の端部から前記光軸に沿って前記カム溝に繋がる案内溝、および前記案内溝と前記カム溝とが交差する部位に内面から外面に貫通する貫通孔を有し、前記カムピンは、前記貫通孔から露出する係合部を有していることを特徴とする。
この投写レンズによれば、レンズ枠は、カムピンが直進溝および案内溝に案内されて案内筒の一方の端部から挿入される。そして、レンズ枠は、カムピンが案内溝とカム溝とが交差する部位まで挿入されると、係合部が貫通孔から露出する。これによって、レンズ枠は、係合部に係合する支持部材を用いて、カム筒の外部から支持されることが可能となる。案内溝は、カム溝に繋がっているので、レンズ枠は、支持部材に支持された状態でカム筒が回転されると、カムピンが案内溝への係合からカム溝への係合に切り換わり、レンズ枠は、案内筒に組み込まれる。
これによって、保持部は、レンズ枠が支持されるための部位が必要なく、光軸を中心とする半径方向において、薄い肉厚で形成されることができる。したがって、レンズ枠の外径寸法を小さくすることが可能となり、レンズ枠が嵌挿される案内筒、および案内筒が嵌挿されるカム筒も外径寸法を小さくすることができるので、ひいては投写レンズの小型化が図れる。
これによって、保持部は、レンズ枠が支持されるための部位が必要なく、光軸を中心とする半径方向において、薄い肉厚で形成されることができる。したがって、レンズ枠の外径寸法を小さくすることが可能となり、レンズ枠が嵌挿される案内筒、および案内筒が嵌挿されるカム筒も外径寸法を小さくすることができるので、ひいては投写レンズの小型化が図れる。
[適用例2]本適用例に係るプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、光学像を形成する電気光学装置と、前記光学像を投写する上記記載の投写レンズと、を備えていることを特徴とする。
このプロジェクタによれば、前述した投写レンズを備えているので、小型化を図ることが可能となる。
[適用例3]上記適用例に係る投写レンズの製造方法は、前記案内筒を前記カム筒に嵌挿する案内筒嵌挿工程と、前記レンズ枠を前記案内筒に嵌挿するレンズ枠嵌挿工程と、前記カム筒の外部から前記係合部に係合可能な支持部材を係合させ、前記レンズ枠を支持するレンズ枠支持工程と、前記カム筒を前記案内筒に対して回転させ、前記カムピンを前記カム溝に係合させるカム筒回転工程と、を備えることを特徴とする。
この投写レンズの製造方法によれば、支持部材を用いてレンズ枠をカム筒の外部から支持し、容易にカムピンをカム溝に係合させること、つまりレンズ枠を案内筒に容易に組み込むことができるので、投写レンズの製造の効率化を図ることが可能となる。
以下、本実施形態に係るプロジェクタについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクタは、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像をスクリーン等に拡大投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクタの概略構成を示す模式的図である。
図1に示すように、プロジェクタ1は、略L字状の光学ユニット2、機器本体を収納し、外装を構成する外装筐体3、図示しない制御部、制御部等に電力を供給する電源装置、およびプロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等を備えている。
本実施形態のプロジェクタは、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像をスクリーン等に拡大投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクタの概略構成を示す模式的図である。
図1に示すように、プロジェクタ1は、略L字状の光学ユニット2、機器本体を収納し、外装を構成する外装筐体3、図示しない制御部、制御部等に電力を供給する電源装置、およびプロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等を備えている。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピュータとして機能するものであり、プロジェクタ1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
光学ユニット2は、制御部による制御の下、光源211から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成して投写するユニットである。光学ユニット2は、光源装置21、照明光学装置22、色分離光学装置23、リレー光学装置24、電気光学装置25、投写光学装置としての投写レンズ5およびこれらの光学部品を所定位置に配置する光学部品用筐体4を備える。
光源装置21は、光源211およびリフレクタ212等を備える。そして、光源装置21は、光源211から射出された光束をリフレクタ212によって射出方向を揃え、照明光学装置22に向けて射出する。
照明光学装置22は、第1レンズアレイ221、第2レンズアレイ222、偏光変換素子223、および重畳レンズ224を備える。第1レンズアレイ221および第2レンズアレイ222は、重畳レンズ224とともに、光源装置21から射出された光束を後述する液晶パネル253の表面に略重畳させる。偏光変換素子223は、第2レンズアレイ222から射出されたランダム偏光光を液晶パネル253で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
色分離光学装置23は、2枚のダイクロイックミラー231,232、および反射ミラー233を備え、照明光学装置22から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
リレー光学装置24は、入射側レンズ241、リレーレンズ243、および反射ミラー242,244を備え、色分離光学装置23で分離されたB光をB光用の液晶パネル253Bまで導く機能を有する。なお、光学ユニット2は、リレー光学装置24がB光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、R光を導く構成としてもよい。
電気光学装置25は、入射側偏光板251、光変調装置として3つの液晶パネル253(R光用の液晶パネルを253R、G光用の液晶パネルを253G、B光用の液晶パネルを253Bとする)、射出側偏光板254、および色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム255を備える。電気光学装置25は、色分離光学装置23で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、光学像を形成する。
投写レンズ5は、1つあるいは複数のレンズを1つのレンズ群とする複数のレンズ群を備えており、これらのレンズ群が電気光学装置25から射出される光束の光軸Cに沿って配置されている。そして、投写レンズ5は、光学像の変倍機能、および焦点位置や収差等の補償機能を有し、電気光学装置25にて形成された光学像を前方に投写する。
光学部品用筐体4は、前述した光学部品21〜25、および投写レンズ5を光軸上の所定の位置に配置する。
ここで、投写レンズ5について詳細に説明する。なお、投写レンズ5に光束が入射する入射側を後側、投写レンズ5より光学像が投写される投写側を前側とする。
図2は、投写レンズ5の斜視図であり、図3は、投写レンズ5の断面図である。
図2、図3に示すように、投写レンズ5は、入射側に配置されるフランジ51、案内筒52、カム筒53、前側筒54、および光軸Cに沿って前側から順に配置される第1レンズ群81〜第7レンズ群87を備えている。投写レンズ5は、フランジ51側から入射した光学像を前側筒54側から投写する。
フランジ51は、矩形状に形成されており、中央部には、第7レンズ群87が固定配置され、四隅には、ネジが挿通される丸孔511が形成されている。投写レンズ5は、このフランジ51がネジ固定されることによって光学部品用筐体4に取り付けられている。
図2は、投写レンズ5の斜視図であり、図3は、投写レンズ5の断面図である。
図2、図3に示すように、投写レンズ5は、入射側に配置されるフランジ51、案内筒52、カム筒53、前側筒54、および光軸Cに沿って前側から順に配置される第1レンズ群81〜第7レンズ群87を備えている。投写レンズ5は、フランジ51側から入射した光学像を前側筒54側から投写する。
フランジ51は、矩形状に形成されており、中央部には、第7レンズ群87が固定配置され、四隅には、ネジが挿通される丸孔511が形成されている。投写レンズ5は、このフランジ51がネジ固定されることによって光学部品用筐体4に取り付けられている。
案内筒52は、図3に示すように、大きな径の大円筒部521と、小さな径の小円筒部522とが互いの端部で結合された形状を有し、大円筒部521が前側となるように構成されている。案内筒52には、大円筒部521と小円筒部522とで形成される段差部から後方に向けて光軸Cの方向に沿って切り欠かれた直進溝524が形成されている。また、案内筒52は、外周面前側にネジ溝523が形成され、後方端部には、フランジ51がネジ固定されている。
カム筒53は、円筒状に形成され、内側に案内筒52が嵌挿されて案内筒52に対して光軸Cを中心として回転可能になっている。カム筒53の内面には、第2レンズ群82〜第6レンズ群86の移動動作を規定するカム溝71,72,73,74等が形成されている。
前側筒54は、円筒状に形成され、フォーカス用の第1レンズ群81が固定配置されている。前側筒54は、内周面にネジ溝が形成されており、案内筒52のネジ溝523に螺合されて案内筒52に取り付けられている。そして、第1レンズ群81は、前側筒54が光軸Cを中心として回転されることによって、光軸C方向に沿って移動するように構成されている。
第2レンズ群82〜第6レンズ群86は、5つのレンズ枠にそれぞれ保持されて案内筒52の小円筒部522に嵌挿され、光軸Cに沿って移動可能に構成されている。詳細は後述するが、レンズ枠には、カムピンが形成されており、このカムピンが直進溝およびカム溝に係合されている。そして、各レンズ枠は、このカムピンがカム筒53の回転により直進溝524とカム溝71,72,73,74との交点に誘導されることで光軸C方向に移動する。投写レンズ5は、これらのレンズ群が移動されることによって光学像を変倍する。
なお、本実施形態の投写レンズは、カム筒53および前側筒54が手動によって回転されるように構成されている。そして、カム筒53には、図示しないズームリングが取り付けられており、カム筒53は、このズームリングが操作されることによって回転される。また、以下では、説明の便宜上、前方から見て時計回りの方向を「右方向」、反時計回りの方向を「左方向」として記載する。
レンズ枠、案内筒52、およびカム筒53についてさらに詳細に説明する。
先ず、各レンズ枠について詳細に説明する。
図4は、投写レンズ5を分解した図であり、フランジ51および前側筒54を除いた図である。
図4に示すように、5つのレンズ枠は、前側からレンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64、後方レンズ枠65の順に配置され、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64、および後方レンズ枠65は、レンズ枠ユニット60として構成されている。
先ず、各レンズ枠について詳細に説明する。
図4は、投写レンズ5を分解した図であり、フランジ51および前側筒54を除いた図である。
図4に示すように、5つのレンズ枠は、前側からレンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64、後方レンズ枠65の順に配置され、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64、および後方レンズ枠65は、レンズ枠ユニット60として構成されている。
レンズ枠61は、図3、図4に示すように、第2レンズ群82を保持する保持部611、およびカムピン612を有している。
保持部611は、第2レンズ群82の外周を覆うように環状に形成され、光軸Cを中心とする半径方向の肉厚は、第2レンズ群82を安定して保持するような肉厚に設定されている。
保持部611は、第2レンズ群82の外周を覆うように環状に形成され、光軸Cを中心とする半径方向の肉厚は、第2レンズ群82を安定して保持するような肉厚に設定されている。
カムピン612は、保持部611の外周面から光軸Cに対し交差する方向に突出して形成され、光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられている。カムピン612は、円柱状に形成されており、先端は、端部が細くなるテーパ状になっている。また、カムピン612の中央部には、突出する方向に沿って形成された係合部としての丸穴(係合穴612A)が設けられている。
3つのカムピン612は、同一長さに設定されており、図4に示すように、3つのカムピン612を含むレンズ枠61の外径寸法D1は、案内筒52の小円筒部522の外径寸法より大きく設定されている。つまり、カムピン612の長さは、図3に示すように、レンズ枠61が案内筒52に嵌挿された際に、先端が直進溝524から飛び出すように設定されている。
レンズ枠62は、レンズ枠61と同様に、環状の保持部621、および3つのカムピン622を有している。そして、保持部621の内面には、第3レンズ群83が保持部621の縁部と図示しない金属板とに挟持されて取り付けられている。
保持部621は、外径寸法が保持部611の外径寸法と同一の寸法を有している。カムピン622は、カムピン612と同形状に形成され、係合部としての丸穴(係合穴622A)を有している。そして、カムピン622の長さは、カムピン612の長さと同一に形成され、レンズ枠62が案内筒52に嵌挿された際に、カムピン612と同様に、先端が直進溝524から飛び出すように設定されている。
保持部621は、外径寸法が保持部611の外径寸法と同一の寸法を有している。カムピン622は、カムピン612と同形状に形成され、係合部としての丸穴(係合穴622A)を有している。そして、カムピン622の長さは、カムピン612の長さと同一に形成され、レンズ枠62が案内筒52に嵌挿された際に、カムピン612と同様に、先端が直進溝524から飛び出すように設定されている。
レンズ枠ユニット60は、前述したように、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64、および後方レンズ枠65を備えている。
図5、図6は、レンズ枠ユニット60を分解した斜視図であり、図5は、前方から見た図、図6は、後方から見た図である。
図5、図6は、レンズ枠ユニット60を分解した斜視図であり、図5は、前方から見た図、図6は、後方から見た図である。
前方レンズ枠63は、図5、図6に示すように、レンズ枠61と同様に、環状の保持部631、および3つの前方カムピン632を有している。保持部631は、外径寸法が保持部611の外径寸法と同一の寸法を有している。そして、前側の内面には、第4レンズ群84(図3参照)が保持され、第4レンズ群84の後方には、中間レンズ枠64が移動可能に挿入されている。
前方カムピン632は、カムピン612と同形状に形成され、係合部としての丸穴(係合穴632A)を有している。前方カムピン632は、保持部631の外周面前側に設けられ、前方レンズ枠63に挿入される中間カムピン642の前方に位置するように形成されている。そして、前方カムピン632の長さは、カムピン612の長さと同一に形成され、レンズ枠ユニット60が案内筒52に嵌挿された際に、カムピン612と同様に、先端が直進溝524から飛び出すように設定されている。
保持部631には、図5、図6に示すように、それぞれの前方カムピン632の後方に、光軸Cに沿って切り欠かれた切欠き633が形成されている。切欠き633は、幅寸法が中間カムピン642の径寸法より大きく形成されており、中間レンズ枠64が移動される際に中間カムピン642が通過するための逃げ部である。
また、保持部631の外周面後側には、外側に突出する突起部636が形成されている。突起部636は、光軸Cを中心とする円周方向に60°の等間隔に6つ形成されており、その6つの突起部636の外面を結ぶ外形寸法は、小円筒部522の内径寸法より僅かに小さく設定されている。
また、保持部631の外周面後側には、外側に突出する突起部636が形成されている。突起部636は、光軸Cを中心とする円周方向に60°の等間隔に6つ形成されており、その6つの突起部636の外面を結ぶ外形寸法は、小円筒部522の内径寸法より僅かに小さく設定されている。
前方レンズ枠63の後方端面には、図6に示すように、光軸Cに沿って延出する位置決めピン634、およびネジ穴635が円周方向に120°の等間隔でそれぞれ3つ設けられている。なお、ネジ穴635は、タップネジSCが挿入される下穴として形成されており、タップネジSCの締め付けトルクが比較的小さくなるように、通常の穴径より僅かに大きな穴径が設定されている。
中間レンズ枠64は、レンズ枠61と同様に、環状の保持部641、および3つの中間カムピン642を有し、保持部641の内面には、第5レンズ群85(図3参照)が保持されている。中間レンズ枠64は、前方レンズ枠63に遊嵌され、中間カムピン642が前方レンズ枠63の切欠き633から飛び出し、光軸C方向にスムーズに移動できるように構成されている。
中間カムピン642は、カムピン612と同形状に形成され、係合部としての丸穴(係合穴642A)を有している。中間カムピン642の長さは、3つの中間カムピン642を含む中間レンズ枠64の外径寸法D2(図5参照)が外径寸法D1と同一になるように設定されている。そして、中間カムピン642は、レンズ枠ユニット60が案内筒52に嵌挿された際に、カムピン612と同様に、先端が直進溝524から飛び出すように設定されている。
後方レンズ枠65は、外径が保持部631の外径と同等の寸法を有して環状に形成され、その内面には、第6レンズ群86(図3参照)が保持されている。後方レンズ枠65は、光軸Cに沿って移動可能に配置される複数のレンズ枠のうち、最も後方に配置されている。
後方レンズ枠65は、前方レンズ枠63の後方端面にネジ固定されるよう構成されている。具体的に、後方レンズ枠65の外周縁部には、図6に示すように、前方レンズ枠63の位置決めピン634に嵌合する孔651、および前方レンズ枠63のネジ穴635に対応する丸孔652が形成されている。
後方レンズ枠65は、前方レンズ枠63の後方端面にネジ固定されるよう構成されている。具体的に、後方レンズ枠65の外周縁部には、図6に示すように、前方レンズ枠63の位置決めピン634に嵌合する孔651、および前方レンズ枠63のネジ穴635に対応する丸孔652が形成されている。
そして、後方レンズ枠65は、治具によって保持された前方レンズ枠63に中間レンズ枠64が挿入された後、前方レンズ枠63の後方端面にタップネジSCによって固定される。このように、前方レンズ枠63および後方レンズ枠65は、前方レンズ枠63が治具によって保持されると共に、前述したようにネジ穴635の穴径が比較的大きく設定されているため、タップネジSCによるネジ締めが行われた際に、変形が抑制される。これによって、前方レンズ枠63、後方レンズ枠65にそれぞれ保持されている第4レンズ群84、第6レンズ群86の偏芯が抑制される。
そして、ネジ締めが行われた後、前方レンズ枠63および後方レンズ枠65の間には、さらに接着剤が塗布されて前方レンズ枠63と後方レンズ枠65との固定強度が確保されている。なお、レンズ枠ユニット60は、前方レンズ枠63に後方レンズ枠65が取り付けられた後に、反射光を観察する反射偏芯測定によって光学特性が確認される。
このように、レンズ枠ユニット60は、前方レンズ枠63および後方レンズ枠65がネジ固定されて一体的に移動可能に構成され、中間レンズ枠64が前方レンズ枠63と後方レンズ枠65との間に移動可能に配置され、案内筒52に嵌挿される1つのユニットとして構成されている。つまり、前方レンズ枠63に保持されている第4レンズ群84、および後方レンズ枠65に保持されている第6レンズ群86は、一体的に移動され、中間レンズ枠64に保持されている第5レンズ群85は、第4レンズ群84と第6レンズ群86との間で、第4レンズ群84および第6レンズ群86とは異なった移動が可能になっている。
次に、案内筒52について詳細に説明する。
図7は、案内筒52を後方から見た斜視図である。
案内筒52は、ガラス繊維入りPC(polycarbonate)等の合成樹脂製であり、図4、図7に示すように、前述した大円筒部521および小円筒部522を有している。なお、案内筒52は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。また、案内筒52は、大円筒部521および小円筒部522を別体で形成し、ネジ等で固定して一体的に構成してもよい。
図7は、案内筒52を後方から見た斜視図である。
案内筒52は、ガラス繊維入りPC(polycarbonate)等の合成樹脂製であり、図4、図7に示すように、前述した大円筒部521および小円筒部522を有している。なお、案内筒52は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。また、案内筒52は、大円筒部521および小円筒部522を別体で形成し、ネジ等で固定して一体的に構成してもよい。
大円筒部521は、内径がレンズ枠61の外径寸法D1より大きく設定されており、レンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が挿入可能な大きさに設定されている。大円筒部521の外周には、前述したように、前側筒54が螺合されるネジ溝523が形成されている。
また、大円筒部521の端部には、前側筒54の回転範囲を規定するための切欠き521Aが形成されている。前側筒54は、大円筒部521に螺合された後、図示しない外周面に設けられたネジ孔にネジが挿通され、このネジは、切欠き521A内に飛び出すようになっている。このネジは、前側筒54が案内筒52に対して回転されると、左右の回転方向に対応して切欠き521Aの円周方向における端面と当接する。そして、前側筒54は、案内筒52に対して回転される範囲が規定される。また、前側筒54は、回転される範囲が規定されることによって、案内筒52から離脱されないようになっている。
小円筒部522は、大円筒部521から挿入されたレンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が嵌挿され、光軸C方向にスムーズに移動できるように設定されている。また、前述したように、大円筒部521と小円筒部522とで形成される段差部から後方に向かって直進溝524が設けられている。直進溝524は、カムピン612,622、前方カムピン632、および中間カムピン642が係合され、各レンズ枠を光軸C方向に沿って案内する。
直進溝524は、光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3つ設けられている。そして、直進溝524は、レンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が案内筒52の一方の端部、つまり前方側から挿入されることによって、カムピン612,622、前方カムピン632、および中間カムピン642と係合されるように形成されている。また、直進溝524の幅寸法は、カムピン612の外径寸法より僅かに大きな寸法に設定されている。
直進溝524は、レンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が案内筒52内に嵌挿された際に、カムピン612,622、前方カムピン632、および中間カムピン642のそれぞれに左右両側から係合する。そして、直進溝524は、レンズ枠61,62、前方レンズ枠63および中間レンズ枠64を、左右方向、すなわち光軸Cに対して円周方向に回転することを阻止しながら、光軸Cに沿って案内するようになっている。
小円筒部522の外周面の前側縁部には、図7に示すように、円周方向に沿って突出する2つの帯状の突起部(前方係止部525、後方係止部526)が形成されている。この前方係止部525および後方係止部526は、カム筒53を光軸C方向に位置決めするための突起部であり、その外径寸法は、カム筒53の内径より僅かに小さく設定されている。
前方係止部525は、3つの直進溝524同士の間に形成されている。後方係止部526は、前方係止部525に対して後方に所定の距離を有して形成され、直進溝524同士の間に、一方の直進溝524に対しては、所定の距離離間し、他方の直進溝524に対しては、端部まで形成されている。
前方係止部525は、3つの直進溝524同士の間に形成されている。後方係止部526は、前方係止部525に対して後方に所定の距離を有して形成され、直進溝524同士の間に、一方の直進溝524に対しては、所定の距離離間し、他方の直進溝524に対しては、端部まで形成されている。
また、後方係止部526の後方には、小円筒部522の外周面に沿って後方係止部526の縁部から後方に向かって突出する回転規制突起529が2つ形成されている。2つの回転規制突起529は、互いの距離が所定の寸法に設定されており、カム筒53の回転範囲を規定する。
カム筒53は、案内筒52が嵌挿された後、後述するネジ孔534(図4参照)にネジが挿通され、このネジは、カム筒53の内面から飛び出し、2つの回転規制突起529の間に位置するようになっている。そして、カム筒53は、案内筒52に対して回転されることによって、内面から飛び出たネジが左右の回転方向に対応して2つの回転規制突起529のいずれかに当接し、回転される範囲が規定される。また、カム筒53は、回転される範囲が規定されることによって、案内筒52から離脱されないようになっている。
カム筒53は、案内筒52が嵌挿された後、後述するネジ孔534(図4参照)にネジが挿通され、このネジは、カム筒53の内面から飛び出し、2つの回転規制突起529の間に位置するようになっている。そして、カム筒53は、案内筒52に対して回転されることによって、内面から飛び出たネジが左右の回転方向に対応して2つの回転規制突起529のいずれかに当接し、回転される範囲が規定される。また、カム筒53は、回転される範囲が規定されることによって、案内筒52から離脱されないようになっている。
また、小円筒部522の後側端面には、図7に示すように、フランジ51が取り付けられる位置決めピン527およびネジ穴528が複数形成されている。
次に、カム筒53について詳細に説明する。
カム筒53は、ガラス繊維入りPC(polycarbonate)等の合成樹脂製であり、案内筒52の小円筒部522が嵌挿される。そして、カム筒53は、前述したように、案内筒52に挿入されたレンズ枠61,62、前方レンズ枠63および中間レンズ枠64の移動動作を規定するカム溝等が形成されている。なお、カム筒53は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
カム筒53は、ガラス繊維入りPC(polycarbonate)等の合成樹脂製であり、案内筒52の小円筒部522が嵌挿される。そして、カム筒53は、前述したように、案内筒52に挿入されたレンズ枠61,62、前方レンズ枠63および中間レンズ枠64の移動動作を規定するカム溝等が形成されている。なお、カム筒53は、合成樹脂に限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
カム筒53は、図4に示すように、前側端部に内面側に突出する前方突出部531が複数形成されている。
前方突出部531は、光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で形成されており、その内径は、小円筒部522の外径より僅かに大きく、案内筒52の前方係止部525および後方係止部526の外径寸法より小さく設定されている。
また、前方突出部531は、円周方向における長さが案内筒52の後方係止部526同士の間より短く、光軸C方向の幅寸法が前方係止部525と後方係止部526との間の距離より僅かに小さく設定されている。カム筒53は、案内筒52が嵌挿され、所定の位置まで回転された際に、この前方突出部531が前方係止部525と後方係止部526との間に挟持され、案内筒52に対して光軸C方向において位置決めされる。
前方突出部531は、光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で形成されており、その内径は、小円筒部522の外径より僅かに大きく、案内筒52の前方係止部525および後方係止部526の外径寸法より小さく設定されている。
また、前方突出部531は、円周方向における長さが案内筒52の後方係止部526同士の間より短く、光軸C方向の幅寸法が前方係止部525と後方係止部526との間の距離より僅かに小さく設定されている。カム筒53は、案内筒52が嵌挿され、所定の位置まで回転された際に、この前方突出部531が前方係止部525と後方係止部526との間に挟持され、案内筒52に対して光軸C方向において位置決めされる。
図8は、カム筒53を後方から見た斜視図である。
カム筒53は、図8に示すように、後側端部に内側全周に亘って帯状に突出する後方突出部532が形成されている。
後方突出部532の内径は、前方突出部531の内径と同寸法に設定されている。
カム筒53は、小円筒部522が嵌挿された際に、この前方突出部531および後方突出部532が小円筒部522の外面と当接し、小円筒部522に対してガタつくこと無く滑らかに回転される。
カム筒53は、図8に示すように、後側端部に内側全周に亘って帯状に突出する後方突出部532が形成されている。
後方突出部532の内径は、前方突出部531の内径と同寸法に設定されている。
カム筒53は、小円筒部522が嵌挿された際に、この前方突出部531および後方突出部532が小円筒部522の外面と当接し、小円筒部522に対してガタつくこと無く滑らかに回転される。
また、カム筒53には、外周面前側に光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で外面から突出する3つのボス533が形成されている。このボス533には、ネジ穴が形成されており、ズームリングがこのボス533にネジ固定される。そして、カム筒53は、前述したように、このズームリングが操作されることによって回転される。
図9は、カム筒53を内面側から見た展開図である。
図8、図9に示すように、カム筒53の内面には、断面が凹形状の案内溝70、および前側から順に形成されたカム溝71,72,73,74がそれぞれ光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3組設けられている。
図8、図9に示すように、カム筒53の内面には、断面が凹形状の案内溝70、および前側から順に形成されたカム溝71,72,73,74がそれぞれ光軸Cを中心とする円周方向に120°の等間隔で3組設けられている。
案内溝70は、カム筒53の前側端部、つまり案内筒52の一方の端部と同一方向の端部から光軸Cに沿って直線的に形成されている。案内溝70は、光軸Cから底部までの距離の2倍が、外径寸法D1よりわずかに大きくなるように設定されている。また、案内溝70の断面形状は、カムピン612の先端形状に沿うように形成されている。
そして、案内溝70は、レンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が案内筒52に挿入される際に、直進溝524から飛び出したカムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642が係合される。
そして、案内溝70は、レンズ枠61,62およびレンズ枠ユニット60が案内筒52に挿入される際に、直進溝524から飛び出したカムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642が係合される。
カム溝71,72,73は、それぞれ案内溝70の中途部に繋がり、カム溝74は、案内溝70の終端部に繋がっている。カム溝71,72,73,74は、カムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642にそれぞれ係合可能に形成され、レンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64をそれぞれ光軸Cに沿って個別に移動させるように形成されている。
カム溝71,72,73,74は、図9に示すように、導入部71A,72A,73A,74A、および移動規定部71B,72B,73B,74Bをそれぞれ有し、断面形状は、案内溝70の断面形状と同一に形成されている。
カム溝71,72,73,74は、図9に示すように、導入部71A,72A,73A,74A、および移動規定部71B,72B,73B,74Bをそれぞれ有し、断面形状は、案内溝70の断面形状と同一に形成されている。
導入部71A,72A,73A,74Aは、案内溝70、つまり光軸Cに対して略直交する方向に延出している。そして、導入部71A,72A,73A,74Aは、各レンズ枠が最も後退した位置、つまりワイド端に位置するように形成されている。
移動規定部71B,72B,73B,74Bは、導入部71A,72A,73A,74Aにそれぞれ連続して繋がり、各レンズ枠が最も後退した位置(ワイド端)から最も繰り出される位置(テレ端)までの間(ズーム域)を連続的に移動可能に形成されている。そして、投写レンズ5は、各レンズ枠に保持されている第2レンズ群82〜第6レンズ群86が移動されることによって光学像を変倍する。
具体的に、移動規定部71B,72B,73B,74Bは、カム筒53の内面に螺旋状の軌跡として形成されている。この軌跡は、光軸Cに対して前方に傾斜しており、この傾斜している角度(カム圧力角)は、各レンズ枠に対応して設定されている。また、移動規定部71B,72B,73B,74Bは、カム筒53が光軸Cを中心にして右方向に回転されると、各レンズ枠がワイド端側に移動し、左方向に回転されると、テレ端側に移動するように設定されている。なお、本実施形態の移動規定部71B,72B,73B,74Bは、カム筒53の回転角度の範囲が略60°で各レンズ枠がズーム域を移動できるように設定されている。
また、移動規定部71B,72B,73B,74Bは、光学像の所定の変倍および収差の補償等の光学特性を確保しつつ、カム筒53を回転させる操作性を損なわない範囲において、カム圧力角が大きく設定されている。そして、図3、図9に示すように、カム筒53の光軸C方向の長さLが短くなるように設定されている。なお、本実施形態の投写レンズ5は、約1.6倍の光学像の変倍が可能に設定されている。
そして、それぞれのレンズ枠は、各カムピンがカム筒53の回転によって、直進溝524と各カム溝との交点に誘導されてそれぞれ光軸Cに沿って移動する。
具体的に、レンズ枠61は、カムピン612がカム溝71に案内されて移動し、レンズ枠62は、カムピン622がカム溝72に案内されて移動する。
前方レンズ枠63および後方レンズ枠65は、前方カムピン632がカム溝73に案内されて移動し、中間レンズ枠64は、中間カムピン642がカム溝74に案内されて移動する。また、前方レンズ枠63および後方レンズ枠65は、中間カムピン642の前方に設けられた前方カムピン632に案内されるが、前述した突起部636によって光軸Cに対する傾きが抑制され、滑らかに移動可能になっている。
具体的に、レンズ枠61は、カムピン612がカム溝71に案内されて移動し、レンズ枠62は、カムピン622がカム溝72に案内されて移動する。
前方レンズ枠63および後方レンズ枠65は、前方カムピン632がカム溝73に案内されて移動し、中間レンズ枠64は、中間カムピン642がカム溝74に案内されて移動する。また、前方レンズ枠63および後方レンズ枠65は、中間カムピン642の前方に設けられた前方カムピン632に案内されるが、前述した突起部636によって光軸Cに対する傾きが抑制され、滑らかに移動可能になっている。
このように、カム溝71,72,73,74は、カム筒53が案内筒52に対して光軸Cを中心に回転されることによって、レンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64を光軸C方向に沿って移動させる。
また、図9に示すように、案内溝70と導入部71A,72A,73A,74Aとが交差する部位には、内面から外面に貫通する楕円状の貫通孔701,702,703,704がそれぞれ形成されている。貫通孔701,702,703,704は、光軸C方向より円周方向に大きく形成されており、光軸C方向の大きさは、係合穴612A,622A,632A,642Aの内径寸法よりそれぞれ僅かに大きくなっている。
以上説明したように、投写レンズ5は、光軸Cに沿って移動可能に順次配置された複数のレンズ枠が案内筒52に嵌挿され、この案内筒52が嵌挿されたカム筒53が回転されることによって、各レンズ枠が移動し、光学像が変倍される。
次に、本実施形態の投写レンズ5の製造方法について説明する。
本実施形態の投写レンズ5の製造方法は、案内筒嵌挿工程、レンズ枠嵌挿工程、レンズ枠支持工程、カム筒回転工程、フランジ取付工程および前側筒取付工程を備える。
本実施形態の投写レンズ5の製造方法は、案内筒嵌挿工程、レンズ枠嵌挿工程、レンズ枠支持工程、カム筒回転工程、フランジ取付工程および前側筒取付工程を備える。
案内筒嵌挿工程は、案内筒52をカム筒53に嵌挿する工程である。
具体的に、カム筒53の前方突出部531(図4参照)が案内筒52の後方係止部526(図7参照)同士の間を通過するように、カム筒53と案内筒52とを円周方向において位置合わせし、カム筒53の前方から案内筒52の小円筒部522を挿入する。そして、前方係止部525に前方突出部531が当接するまで案内筒52をカム筒53に挿入し、案内筒52をカム筒53に嵌挿する。
具体的に、カム筒53の前方突出部531(図4参照)が案内筒52の後方係止部526(図7参照)同士の間を通過するように、カム筒53と案内筒52とを円周方向において位置合わせし、カム筒53の前方から案内筒52の小円筒部522を挿入する。そして、前方係止部525に前方突出部531が当接するまで案内筒52をカム筒53に挿入し、案内筒52をカム筒53に嵌挿する。
次に、直進溝524と案内溝70とを円周方向において一致させる。つまり、直進溝524から案内溝70が見えるように、案内筒52あるいはカム筒53を回転させて、円周方向における案内筒52とカム筒53との位置合わせを行う。
レンズ枠嵌挿工程は、レンズ枠ユニット60、レンズ枠62、およびレンズ枠61を案内筒52に嵌挿する工程である。
レンズ枠支持工程は、案内筒52に挿入したレンズ枠を支持部材によってカム筒53の外部から支持する工程である。そして、レンズ枠支持工程は、レンズ枠ユニット60、レンズ枠62、およびレンズ枠61が嵌挿される度に行われる。
レンズ枠支持工程は、案内筒52に挿入したレンズ枠を支持部材によってカム筒53の外部から支持する工程である。そして、レンズ枠支持工程は、レンズ枠ユニット60、レンズ枠62、およびレンズ枠61が嵌挿される度に行われる。
レンズ枠嵌挿工程およびレンズ枠支持工程の詳細について説明する。
図10は、投写レンズ5の断面図であり、各レンズ枠が支持部材によって支持された状態を示す図である。図10に示すように、支持部材90は、係合穴612A,622A,632A,642Aと係合する円柱状の形状を有し、カム筒53の外部からそれぞれの係合穴に挿入可能に構成されている。
図10は、投写レンズ5の断面図であり、各レンズ枠が支持部材によって支持された状態を示す図である。図10に示すように、支持部材90は、係合穴612A,622A,632A,642Aと係合する円柱状の形状を有し、カム筒53の外部からそれぞれの係合穴に挿入可能に構成されている。
先ず、直進溝524と案内溝70とが一致した状態の案内筒52の前方から、直進溝524および案内溝70に中間カムピン642および前方カムピン632が係合するようにレンズ枠ユニット60を挿入する。そして、図10に示すように、係合穴642Aと貫通孔704とが一致するところまで中間レンズ枠64を挿入させた後、カム筒53の外部から支持部材90を係合穴642Aに係合させて中間レンズ枠64を支持する。次に、係合穴632Aと貫通孔703とが一致するところまで前方レンズ枠63を挿入した後、カム筒53の外部から支持部材90を係合穴632Aに係合させて、前方レンズ枠63を支持する。
同様に、案内筒52の前方から、直進溝524および案内溝70にカムピン622が係合するようにレンズ枠62を挿入する。そして、図10に示すように、係合穴622Aと貫通孔702とが一致するところまでレンズ枠62を挿入させた後、カム筒53の外部から支持部材90を係合穴622Aに係合させてレンズ枠62を支持する。
同様に、案内筒52の前方から、直進溝524および案内溝70にカムピン612が係合するようにレンズ枠61を挿入する。そして、図10に示すように、係合穴612Aと貫通孔701とが一致するところまでレンズ枠61を挿入させた後、カム筒53の外部から支持部材90を係合穴612Aに係合させてレンズ枠61を支持する。
なお、貫通孔701,702,703,704は、円周方向が大きい楕円状に形成されているので、各レンズ枠が支持部材90によって支持された状態で、各貫通孔と支持部材90とは、円周方向において僅かな隙間を有している。
なお、貫通孔701,702,703,704は、円周方向が大きい楕円状に形成されているので、各レンズ枠が支持部材90によって支持された状態で、各貫通孔と支持部材90とは、円周方向において僅かな隙間を有している。
カム筒回転工程は、カム筒53を案内筒52に対して回転させ、案内溝70に係合しているカムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642をカム溝71,72,73,74にそれぞれ係合させる工程である。
カム筒回転工程は、第1回転工程、係合解除工程、および第2回転工程を備えている。
第1回転工程は、案内筒52に対してカム筒53を左方向に僅かに回転させ、カムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642を案内溝70への係合から導入部71A,72A,73A,74Aの入口への係合にそれぞれ切り換える工程である。具体的に、支持部材90に対して僅かな隙間を有している各貫通孔の内面が支持部材90に当接するまでカム筒53を回転させ、各カムピンを案内溝70への係合から、各導入部の入口への係合に切り換える。
カム筒回転工程は、第1回転工程、係合解除工程、および第2回転工程を備えている。
第1回転工程は、案内筒52に対してカム筒53を左方向に僅かに回転させ、カムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642を案内溝70への係合から導入部71A,72A,73A,74Aの入口への係合にそれぞれ切り換える工程である。具体的に、支持部材90に対して僅かな隙間を有している各貫通孔の内面が支持部材90に当接するまでカム筒53を回転させ、各カムピンを案内溝70への係合から、各導入部の入口への係合に切り換える。
係合解除工程は、係合穴612A,622A,632A,642Aに挿入されていた支持部材90を抜出し、支持部材90と係合穴612A,622A,632A,642Aとの係合を解除する。
第2回転工程は、カム筒53をさらに左方向に回転させ、各導入部の入口に係合している各カムピンをそれぞれの導入部の奥側に係合させる。なお、この第2回転工程において、カム筒53は、前方突出部531が案内筒52の前方係止部525と後方係止部526との間に挟持され、光軸C方向の移動が規制される。
その後、ネジをカム筒53のネジ孔534に挿通する。
フランジ取付工程は、フランジ51を案内筒52の後方端部にネジ固定する。なお、フランジ取付工程は、レンズ枠嵌挿工程の前に行ってもよい。
前側筒取付工程は、前側筒54を案内筒52のネジ溝523に螺合して案内筒52に取り付ける。その後、ネジを前側筒54のネジ孔に挿通する。
そして、ズームリングをカム筒53のボス533にネジ固定し、投写レンズ5の製造が終了する。
そして、ズームリングをカム筒53のボス533にネジ固定し、投写レンズ5の製造が終了する。
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の投写レンズ5によれば、レンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64は、カム筒53の外部から支持部材90によって支持されるので、保持部611,621,631,641には、各レンズ枠が支持されるための部位を設ける必要がなく、光軸Cを中心とする半径方向において、薄い肉厚で形成されることができる。したがって、各レンズ枠は、外径の小型化が可能となり、レンズ枠が嵌挿される案内筒52、および案内筒52が嵌挿されるカム筒53も外径寸法を小さくすることができるので、ひいては投写レンズ5の小型化が図れる。
(1)本実施形態の投写レンズ5によれば、レンズ枠61,62、前方レンズ枠63、中間レンズ枠64は、カム筒53の外部から支持部材90によって支持されるので、保持部611,621,631,641には、各レンズ枠が支持されるための部位を設ける必要がなく、光軸Cを中心とする半径方向において、薄い肉厚で形成されることができる。したがって、各レンズ枠は、外径の小型化が可能となり、レンズ枠が嵌挿される案内筒52、および案内筒52が嵌挿されるカム筒53も外径寸法を小さくすることができるので、ひいては投写レンズ5の小型化が図れる。
(2)本実施形態の投写レンズ5によれば、案内筒52が大円筒部521を有しているので、各カムピンと各保持部とが一体的に構成されている各レンズ枠を大円筒部521の端部から挿入することができ、投写レンズ5製造の簡素化および部品点数の削減が可能となる。
(3)本実施形態の投写レンズ5によれば、小型化が図れるので、既存機種のプロジェクタに対して光学像の変倍倍率を高めた仕様変更が行われた際にも、他の部材の変更を抑制してこの投写レンズ5を搭載することが可能となり、プロジェクタの大型化を抑制すると共に、部品の共通化を図ることが可能となる。
(4)本実施形態のプロジェクタ1によれば、前述した投写レンズ5を備えているので、小型化が図れる。また、投写レンズ近傍のスペースを効率的に使用することができるので、電気光学装置25等を冷却する冷却ファンとして風量の大きいファンを使用したり、CPU等の回路素子を実装する回路基板や電源装置に備えられた回路基板等を効率的に構成すること(例えば、回路素子の配列、配線処理、サイズ等)が可能となる。
(5)本実施形態の投写レンズ5の製造方法によれば、各レンズ枠を外部から支持して容易にカムピン612,622、前方カムピン632、中間カムピン642をカム溝71,72,73,74に係合させること、つまり熟練を要することなく各レンズ枠を案内筒52に組み込むことができるので、投写レンズ5の製造の効率化を図ることが可能となる。また、複数のレンズ枠を一度に案内筒52に組み込むことができるので、さらに投写レンズ5の製造の効率化が図れる。
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の投写レンズ5は、第1レンズ群81〜第7レンズ群87の7つのレンズ群を有して構成されているが、これ以外の数のレンズ群で構成してもよい。
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の投写レンズ5は、第1レンズ群81〜第7レンズ群87の7つのレンズ群を有して構成されているが、これ以外の数のレンズ群で構成してもよい。
前記実施形態の投写レンズ5は、カム筒53および前側筒54が手動によって回転されるように構成されているが、モーター等を使用して電動によってカム筒53および前側筒54が回転されるように構成してもよい。
前記実施形態のカム溝71,72,73,74は、カム筒53が右方向に回転されると各レンズ枠がワイド端側に移動し、左方向に回転されると各レンズ枠がテレ端側に移動するように形成されているが、右方向に回転されるとテレ端側に移動し、左方向に回転されるとワイド端側に移動するように形成してもよい。
前記実施形態のプロジェクタ1は、光変調装置として透過型の液晶パネル253を用いているが、反射型の液晶パネルを利用したものであってもよい。また、光変調装置は、マイクロミラーアレイを用いたデバイス等を使用したものであってもよい。
前記実施形態の投写レンズ5は、プロジェクタ1以外にも、光学像の変倍機能を有する一眼レフカメラ、ビデオカメラ、電子カメラ、医療機器用の光学機器等にも適用することが可能である。
1…プロジェクタ、5…投写レンズ、25…電気光学装置、51…フランジ、52…案内筒、53…カム筒、54…前側筒、61,62…レンズ枠、63…前方レンズ枠、64…中間レンズ枠、65…後方レンズ枠、70…案内溝、71,72,73,74…カム溝、71A,72A,73A,74A…導入部、71B,72B,73B,74B…移動規定部、81…第1レンズ群、82…第2レンズ群、83…第3レンズ群、84…第4レンズ群、85…第5レンズ群、86…第6レンズ群、87…第7レンズ群、90…支持部材、253…液晶パネル、524…直進溝、611,621,631,641…保持部、612,622…カムピン、612A,622A,632A,642A…係合穴、632…前方カムピン、642…中間カムピン、701,702,703,704…貫通孔。
Claims (3)
- 光軸に沿って移動可能なレンズを有する投写レンズであって、
前記レンズを保持する保持部、および前記保持部の外周面から前記光軸に対し交差する方向に突出するカムピンを有するレンズ枠と、
前記レンズ枠が嵌挿されると共に、前記レンズ枠を光軸方向に沿って案内する案内筒と、
前記案内筒が嵌挿されると共に、前記カムピンが係合され、前記案内筒に対して光軸を中心に回転されることによって前記レンズ枠を前記光軸方向に沿って移動させるカム溝を有するカム筒と、
を備え、
前記案内筒は、前記案内筒の一方の端部から前記カムピンが係合して前記レンズ枠が挿入されるように形成される直進溝を有し、
前記カム筒は、前記案内筒の一方の端部と同一方向の端部から前記光軸に沿って前記カム溝に繋がる案内溝、および前記案内溝と前記カム溝とが交差する部位に内面から外面に貫通する貫通孔を有し、
前記カムピンは、前記貫通孔から露出する係合部を有していることを特徴とする投写レンズ。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、光学像を形成する電気光学装置と、
前記光学像を投写する請求項1に記載の投写レンズと、
を備えていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載の投写レンズの製造方法であって、
前記案内筒を前記カム筒に嵌挿する案内筒嵌挿工程と、
前記レンズ枠を前記案内筒に嵌挿するレンズ枠嵌挿工程と、
前記カム筒の外部から前記係合部に係合可能な支持部材を係合させ、前記レンズ枠を支持するレンズ枠支持工程と、
前記カム筒を前記案内筒に対して回転させ、前記カムピンを前記カム溝に係合させるカム筒回転工程と、
を備えることを特徴とする投写レンズの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014048452A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Konica Minolta Inc | レンズ鏡筒 |
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JP2015118117A (ja) * | 2013-12-16 | 2015-06-25 | 株式会社ニコン | レンズ鏡筒、撮像装置 |
-
2008
- 2008-10-30 JP JP2008279333A patent/JP2010107702A/ja not_active Withdrawn
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