JP6096822B2 - 整流装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、空気抵抗低減のためにエンジンルームの前側下面をフロントアンダーカバーで覆うとともに、所定の形状の突起を下方に突出させることが記載されている。
特許文献2には、フロア下面から車両平面視において前方側が窄まったハの字状の整流部材を突出させることにより、その後方側の床下中央部において負圧域が形成されるようにすることが記載されている。
特許文献3には、前輪の前部等に設けられ走行時の空気流を整流する可動式のエアバランス部材を、上方に離間して配置された駆動装置によって駆動することが記載されている。
特許文献4には、車体床下に翼型を有する複数の整流フィンを車幅方向に離間させて配置することが記載されている。
特許文献5には、車体床下より下方へ突出した複数のフィンを、操舵輪の操向動作と連動して鉛直軸回りに回動させることが記載されている。
特許文献6には、ダウンフォースの発生と空気抵抗の低減を両立するため、車両前後方向に沿って延在しかつ車幅方向に分散して複数配置される整流フィンの後方側に、断面三角形状であり車幅方向に延在する突出部を形成することが記載されている。
特許文献7には、エンジンルーム内からの気流と車両前方からの走行風との干渉を抑制し、空力性能と冷却性能とを両立させるため、フロアトンネル前部にガイド部材を設けることが記載されている。
特許文献8には、後部車両床面に翼厚を有し側部が薄く形成された整流フィンを設け、その左右に垂直補助翼を設けることが記載されている。
特許文献9には、車体前部下面に設けられるエンジンのアンダーカバーに、下方に突出した整流板を形成するとともに、整流板の後方側に孔部を設けることが記載されている。
特許文献10,11には、前輪の前方側に、下方に突出するとともに平面視において前方側に突出した箇所を有するディフレクタを設けることが記載されている。
このような空力起因の振動は、例えば、車両の床面に沿って流れる気流が、フロアより下方に突出したリアサスペンションのサスアーム(ロワリンク)において剥離して比較的低周波の圧力変動を伴う乱流となり、この乱流が車両後方側でフロアに再度近接することが原因であると考えられている。
こうした乱流が車体中央部を流れる主流に干渉し、車体後端部付近で例えば数Hz程度の低周波で圧力が変動する領域が形成された場合、これが車体に対する起振力となって車両のピッチング振動を励起してしまう。
これに対し、車体後部床面を整流用のカバーで覆い、整流を図ることも考えられるが、この場合サイズの大きな整流部材を設ける必要があり、重量やコストの増加が懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、簡単な構成により空力に起因する車体振動を抑制した整流装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、車体下面部から少なくとも一部が突出して配置されるとともに下端部が車両前面視において傾斜して配置されるサスペンション装置の構成部材に対して車両後方側に設けられ、車幅方向にほぼ沿って延在しかつ下方側へ突き出した整流部材を有し、前記整流部材の下縁部は、前記構成部材よりも下方側へ突出するとともに、車両前面視において前記構成部材の下端部と同一の方向へ傾斜して形成され、前記サスペンション装置の構成部材は、後輪を支持するリアサスペンション装置のロワリンクであることを特徴とする整流装置である。
これによれば、走行風がサスペンション装置の構成部材を起点として剥離することによって発生する乱流を、構成部材の車幅方向における全域にわたって車体から確実に剥離させることができ、さらにその圧力変動を高周波とすることによって、乱流が主流と干渉して低周波の圧力変動を伴いつつ車体に対して付着と剥離とを繰り返し、車体を加振して車体振動を励起することを防止できる。
これにより、凹凸路走行時等におけるピッチング振動を抑制し、乗り心地を改善することができる。
これによれば、ロワリンクの全長にわたって上述した効果を実質的に均等に得ることができる。
これによれば、車両の通常走行時に上述した効果を確実に得ることができる。
これによれば、積載状態の変化や、旋回、不整地走行などでサスペンション装置がストロークした場合であっても、整流部材の下縁部を常に構成部材の下方に維持することができ、上述した効果を確実に得ることができる。
実施例の整流装置は、例えば、乗用車等の自動車の車体下部に設けられるものである。
図1は、実施例1の整流装置を有する車両の車体下部を模式的に示す図である。
図1は、車体を鉛直方向下方側から見た平面視図である。
図2は、図1のII部拡大図である。
図3は、図2のIII−III部矢視図である。
車体10は、下面部であるフロアパネル11を有する。
フロアパネル11は、ホイールベース間においては、フロアトンネル等の凹凸を除いて実質的に平面状に形成され、乗員等が収容される車室(キャビン)の床面部を構成する。
フロアパネル11の後部には、スペアタイヤパン12が形成されている。
スペアタイヤパン12は、スペアタイヤ等を収容するために、車体後部のラゲッジルーム床面を下方に張り出させて構成されている。
リアサブフレーム20は、鋼板プレス部材を集成し溶接することによってそれぞれ中空梁状に形成されたフロントメンバ21、リアメンバ22、サイドメンバ23等を有して形成されている。
サイドメンバ23は、フロントメンバ21、リアメンバ22の側端部近傍の領域間を連結し、車両前後方向にほぼ沿って延在する部材である。
サイドメンバ23は、車幅方向に離間して一対設けられている。
リアサブフレーム20は、フロントメンバ21、リアメンバ22の両端部にそれぞれ設けられた防振用の円筒ゴムブッシュを介して車体10の下部に締結されている。
リアサスペンション装置30は、ロワリンク31、アッパリンク32、トレーリングリンク33、トーコントロールリンク34、ダンパスプリングユニット35、スタビライザ装置36等を有して構成されるダブルウィッシュボーン式サスペンションである。
ロワリンク31は、リアサブフレーム20のサイドメンバ23の後端部近傍における下部と、ハウジングHの後端部近傍における下部との間にわたして設けられている。
アッパリンク32は、リアサブフレーム20のサイドメンバ23の上部と、ハウジングHの上部との間にわたして設けられている。
ロワリンク31及びアッパリンク32は、協働して主に後輪RWのキャンバ方向の位置決めを行う機能を有する。
また、ロワリンク31の下端部は、車両の通常走行時(一例として、通常の積載状態において平坦路を一定速走行する場合)において、リアサブフレーム20よりも前方側におけるフロアパネル11よりも下方へ突出して配置されている。
トレーリングリンク33は、車両の前後方向にほぼ沿いかつハウジングH側となる後端部がリアサブフレーム20側となる前端部に対して車幅方向外側かつ下側となるように傾斜して配置されている。
トレーリングリンク33は、主に後輪RWの前後方向の位置決めを行う機能を有する。
トーコントロールリンク34は、車幅方向にほぼ沿って配置されている。
トーコントロールリンク34は、主に後輪RWのトー方向の位置決めを行う機能を有する。
ダンパスプリングユニット35は、図3に示すように伸縮方向が上下方向にほぼ沿って配置されている。
ダンパスプリングユニット35の上端部及び下端部は、防振用のゴムマウントを介して、車体10及びロワリンク31にそれぞれ連結されている。
スタビライザ装置36は、左右のロワリンク31のストローク量が異なる際に、復元方向(左右のロワリンク31のストローク量が均等となる方向)への反力を発生することによって、旋回時におけるロール剛性を向上させる。
駆動力伝達装置40は、プロペラシャフト41、ディファレンシャル42、ドライブシャフト43等を有して構成されている。
プロペラシャフト41は、車両前後方向にほぼ沿って延在し、キャビン下部のフロアパネル11の車幅方向中央部を凹ませて形成したフロアトンネル内に収容されている。
ディファレンシャル42は、最終減速機構、左右後輪RWの回転速度差を吸収する差動機構等を備えている。
ドライブシャフト43は、両端部にリアサスペンション装置30のストロークを許容する等速ジョイントが設けられている。
排気装置50は、エキゾーストパイプ51、サイレンサ52等を有して構成されている。
エキゾーストパイプ51は、車体前部に搭載されるエンジンからフロアトンネル内を介して車体後部まで伸び、リアサブフレーム20の下方を通ってサイレンサ52に接続されている。
サイレンサ52は、エキゾーストパイプ51の後端部近傍に設けられた消音機である。
サイレンサ52は、スペアタイヤパン12の側方においてフロアパネル11の下方に吊り下げられている。
フラップ100は、リアサスペンション装置30の車両後方側において、車体10のフロアパネル11から下方に衝立状に突き出した平板状の部材である。
フラップ100は、走行風がロワリンク31に干渉して発生する乱流を、車体10から剥離させる機能を有する。
フラップ100は、鉛直方向及び車幅方向に平行な平面にほぼ沿って延在している。
フラップ100は、左右一対設けられ、リアサスペンション装置30の左右のロワリンク31の後方側にそれぞれ配置されている。
下縁部101は、ロワリンク31の下端部の傾斜と実質的に同じ方向、角度に傾斜して形成されている。
フラップ100の車幅方向外側の側縁部102は、後輪RWの車幅方向内側の側面部と隣接して配置されている。
フラップ100の車幅方向内側の側縁部103は、車幅方向における位置が、ロワリンク31の車幅方向内側の端部とほぼ同じ箇所に配置されている。
なお、この参考例及び後述する実施例2においては、上述した実施例1と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
参考例の車両においては、走行に伴い車両の周囲を流れる気流(走行風)は、以下説明するような挙動を示す。
気流F1の内部及び周囲においては、所定の周期で圧力が変動する。
気流F2の周囲においては、所定の周期で圧力が変動する。
ここで、気流F2は、気流F1に対して比較的流速が遅く、かつ、圧力変動の周波数も低くなる。
こうした乱流は、スペアタイヤパン12の下面等において車体からの剥離と車体への再付着を繰り返し、車体10に対して例えば1乃至4Hz程度の加振力を作用させる。
その結果、車体10にピッチング方向の振動が生じて乗り心地を悪化させることになる。
実施例2の整流装置は、フラップ100を、実施例1のように車体10側に固定する構成に代えて、リアサスペンション装置30のロワリンク31に固定したことを特徴とする。
フラップ100の下縁部101は、ロワリンク31の下端部との位置関係が、実施例1の整流装置における車両1の通常走行時と実質的に同様となるように配置される。
以上説明した実施例2によれば、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、積載状態の変化、旋回、不整地走行などによりリアサスペンション装置30がストロークした場合であっても、フラップ100の下縁部101を、ロワリンク31の下端部の下方に常に維持することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車体、サスペンション装置、整流装置の構成は、上述した実施例に限定されず、適宜変更することができる。
例えば、車体形状やサスペンションの形式は、適宜変更することができる。
また、実施例では整流部材が左右に分割して設けられているが、車幅方向に連結された一体型の整流部材を用いてもよい。
(2)実施例の整流装置は、後輪用のサスペンション装置の後方側に設けられているが、本発明の整流装置は前輪用サスペンション装置の後方側に設けてもよい。
(3)フラップは車体又はサスペンションの構成部材に固定される構成に限らず、アクチュエータによって駆動される可動式の構成としてもよい。例えば、車速や路面状態を判別し、空力起因の車体振動が顕著となる領域においてのみフラップを突出させ、それ以外の領域では退避させて空気抵抗の低減を図る構成としてもよい。
RW 後輪 H ハウジング
10 車体 11 フロアパネル
12 スペアタイヤパン
20 リアサブフレーム 21 フロントメンバ
22 リアメンバ 23 サイドメンバ
30 リアサスペンション装置 31 ロワリンク
32 アッパリンク 33 トレーリングリンク
34 トーコントロールリンク 35 ダンパスプリングユニット
36 スタビライザ装置
40 駆動力伝達装置 41 プロペラシャフト
42 ディファレンシャル 43 ドライブシャフト
50 排気装置 51 エキゾーストパイプ
52 サイレンサ
100 フラップ 101 下縁部
102,103 側縁部
Claims (4)
- 車体下面部から少なくとも一部が突出して配置されるとともに下端部が車両前面視において傾斜して配置されるサスペンション装置の構成部材に対して車両後方側に設けられ、車幅方向にほぼ沿って延在しかつ下方側へ突き出した整流部材を有し、
前記整流部材の下縁部は、前記構成部材よりも下方側へ突出するとともに、車両前面視において前記構成部材の下端部と同一の方向へ傾斜して形成され、
前記サスペンション装置の構成部材は、後輪を支持するリアサスペンション装置のロワリンクであること
を特徴とする整流装置。 - 前記整流部材の下縁部を、車両前面視において前記ロワリンクの下端部と実質的に平行となるように傾斜させたこと
を特徴とする請求項1に記載の整流装置。 - 前記整流部材は、前記サスペンション装置よりも車両後方側において車体に固定され、
前記整流部材の下縁部は、車両が通常走行時の車高である場合において、前記構成部材の前記下端部よりも下方側に突出するよう配置されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の整流装置。 - 前記整流部材は、前記構成部材に固定されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の整流装置。
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