JP6036828B2 - Qcmセンサとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、QCMセンサとその製造方法に関する。
生活環境中の大気には硫化水素ガス等の様々な腐食ガスが含まれるが、その腐食ガスは、たとえ低濃度であっても電子機器等を腐食してその劣化を速めてしまう。腐食ガスが電子機器に与える影響を把握するには、電子機器が設置された環境における腐食ガスを監視するのが有効である。
腐食ガスを監視する腐食センサとしてQCMセンサがある。QCMセンサは、両主面に電極が設けられた水晶板を有しており、実使用下においてはその電極に所定の電圧を印加することで水晶板を固有共振周波数で振動させる。
腐食ガスによる腐食が原因でQCMセンサの電極の質量が重くなると上記の固有共振周波数が減少するので、その減少量を測定することにより環境中に含まれる腐食ガスのおおよその量を監視することができる。
そして、そのQCMセンサの感度を向上させることで、低濃度の腐食ガスの影響を短時間に測定することが可能となる。
特開平5−296907号公報 特開平8−228123号公報 特公平6−24301号公報
QCMセンサとその製造方法において、QCMセンサの感度を高めることを目的とする。
以下の開示の一観点によれば、水晶板と、前記水晶板の一方の主面と他方の主面の各々に設けられた電極とを有し、前記水晶板の一方の主面と他方の主面の各々に設けられた前記電極の両方に、平面視で輪郭線を備えたパターンが設けられ、前記水晶板の一方の主面に設けられた前記電極と、前記水晶板の他方の主面に設けられた前記電極とは、平面視で同一の形状であり、且つ前記水晶板を挟んで対称に配置された前記パターンを有し、前記パターンは、スリット、複数のアイランド、開口、溝、及び凹部のいずれかであるQCMセンサが提供される。
開示のQCMセンサによれば、輪郭線を有するパターンにより電極が腐食し易くなるため、腐食によって電極の質量が速やかに増加する。これに伴いQCMセンサの共振周波数も速やかに増加するので、QCMセンサの感度が向上する。
図1(a)は腐食前の新品のQCMセンサの平面図であり、図1(b)は腐食後のQCMセンサの平面図である。 図2は、QCMセンサの電極の腐食のメカニズムを模式的に示す断面図である。 図3は、図1(a)のX1―X1線に沿う断面図である。 図4は、QCMセンサの電極の周縁付近の拡大断面図である。 図5(a)、(b)は、QCMセンサの電極の周縁における各イオンの動きを模式的に示す拡大断面図である。 図6(a)〜(c)は、調査で使用したQCMセンサの平面図である。 図7は、QCMセンサの共振周波数の変化量の絶対値を調査して得られた図である。 図8は、QCMセンサの電極のエッジ部分と面部分とを示す平面図である。 図9は、QCMセンサの電極の腐食速度を調査して得られた図である。 図10(a)は本実施形態の第1例に係るQCMセンサの平面図であり、図10(b)は図10(a)のX2−X2線に沿う断面図である。 図11は、本実施形態の第1例に係るQCMセンサが備える電極の拡大平面図である。 図12は、スリット23がないQCMセンサの共振周波数の変化量が時間と共にどのように変わるかを調査して得られた図である。 図13は、本実施形態の第1例に係るQCMセンサが備えるパターンの他の例を示す平面図(その1)である。 図14は、本実施形態の第1例に係るQCMセンサが備えるパターンの他の例を示す平面図(その2)である。 図15(a)は本実施形態の第2例に係るQCMセンサの平面図であり、図15(b)は図15(a)のX3−X3線に沿う断面図である。 図16は、本実施形態の第2例において、スリットがない場合と比べて感度がm倍になるように設計したQCMセンサが備える電極の平面図である。 図17は、本実施形態の第2例において、mとスリットの外径dとの関係を表すグラフである。 図18は、本実施形態の第2例に係るQCMセンサが備えるパターンの他の例を示す平面図(その1)である。 図19は、本実施形態の第2例に係るQCMセンサが備えるパターンの他の例を示す平面図(その2)である。 図20は、本実施形態の第3例に係るQCMセンサの平面図である。 図21は、本実施形態の第3例において、電極に開口を複数設けた場合のQCMセンサの平面図である。 図22は、本実施形態に係るQCMセンサの製造方法を示すフローチャートである。 図23(a)は、本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の平面図(その1)であり、図23(b)は図23(a)のX4−X4線に沿う断面図である。 図24(a)は、本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の平面図(その2)であり、図24(b)は、図24(a)のX5−X5線に沿う断面図である。 図25(a)は、本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の平面図(その3)であり、図25(b)は、図25(a)のX6−X6線に沿う断面図である。 図26(a)は、図24(a)の工程で使用するステンシルマスクの平面図であり、図26(b)は、図25(a)の工程で使用するステンシルマスクの平面図である。 図27(a)、(b)は、FIB加工を用いる場合の本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の断面図(その1)である。 図28は、FIB加工を用いる場合の本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の断面図(その2)である。 図29は、図27(a)の工程で使用するステンシルマスクの平面図である。 図30(a)は、電極にパターンとして溝を形成した場合のQCMセンサの平面図であり、図30(b)は図30(a)のX7−X7線に沿う断面図である。 図31(a)は、電極にパターンとして凹部を形成した場合のQCMセンサの平面図であり、図31(b)は図31(a)のX8−X8線に沿う断面図である。
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が行った検討結果について説明する。
QCMセンサの共振周波数は、前述のように電極の質量の増加に伴って減少するが、その減少量はSauebreyの式によって電極の質量の増加量に比例することが知られている。このことを利用すると、例えば共振周波数が9MHzのQCMセンサにおいては、共振周波数の1Hzの減少は1ngの電極の質量の増加に対応することになり、極めて高感度に腐食ガスの影響を測定することができる。
ここで、QCMセンサの感度を更に向上させる方法として、電極の表面を荒らす方法が考えられる。この方法によれば、電極の表面と腐食ガスとの接触面積が増大し、腐食による電極の質量増加が増えるため、質量増加に伴う共振周波数の変化が大きくなってQCMセンサの高感度化を実現できる。
しかし、QCMセンサの他の部分に影響を与えずに、このように電極の表面のみを選択的に荒らすのは技術的に困難である。例えば、電極の表面を荒らすには、当該表面を機械的に研削したり、当該表面を化学的にエッチングしたりすることが考えられるが、これでは電極の周囲の水晶板等も研削やエッチングが施され、QCMセンサの特性が仕様から外れてしまう。
また、QCMセンサの基本共振周波数を高めることにより高感度化を図ることも考えられる。前述のSauebreyの式によれば電極の質量増加と共振周波数とは比例しているため、このように共振周波数を高めることで僅かな質量増加であっても共振周波数が大きく変化し、QCMセンサの高感度化を実現できる。
しかし、QCMセンサを安定して振動させるには基本共振周波数の大きさに応じた適切な発振回路を使用しなければならないため、一つの発振回路で低周波数から高周波数までをカバーするのは困難である。しかも、QCMセンサは本共振周波数が高いほど振動の安定性が低下することが知られており、30MHz程度が基本共振周波数の上限と考えられている。
以下に、上記のように電極の表面を荒らしたり、基本共振周波数を増大させたりすることなしに高感度化を実現できるQCMセンサについて説明する。
(本実施形態)
本実施形態では、以下のようにQCMセンサの電極の腐食のメカニズムに着目する。
図1(a)は、腐食前の新品のQCMセンサの平面図である。
このQCMセンサ1は、ATカットの水晶板2と、水晶板2の一方の主面と他方の主面の各々に形成された電極3と、導電性ペースト4により電極3に接続された導線5とを備える。
その導線5はソケット6に固定されており、ソケット6には導線5に接続された端子7が設けられる。また、電極3の材料は、この例では銀である。
このように新品のQCMセンサ1においては、電極3は腐食しておらず本来の光沢のある白色を呈している。
一方、図1(b)は、腐食後のQCMセンサ1の平面図である。
図1(b)に示すように、腐食後においては、電極3は錆が原因で黒褐色を呈するようになる。
そして、このQCMセンサ1を詳細に観察すると、電極3の全体が黒褐色に変色しているのではなく、電極3の周縁部分で黒褐色への変色が著しいのに対し、電極3の中心付近ではある程度の光沢が残っているのが分かる。
このことから、電極3の腐食は、その面内で均一に発生するのではなく、電極3の中心部分よりもその周縁部分で腐食の進行が進むことが明らかとなった。
図2は、電極3の腐食のメカニズムを模式的に示す断面図である。なお、図2では、電極3の材料として銀を使用し、その銀がH2Sガスによって腐食する場合を想定している。
電極3の表面には、大気中の水が吸着してなる水膜10が形成される。水膜10の厚さは、大気の湿度、電極3に吸着する物質、及び電極3の表面状態によって異なるが、数nm〜数十nm程度である。
その水膜10においては、以下の式(1)〜(5)の各々に対応した反応(1)〜(5)が進行する。
まず、電極3の銀が、次の式(1)のようにイオン化して水膜10に溶解する。
Figure 0006036828
式(1)の反応はアノード反応と呼ばれる。
また、H2Sガスは水膜10に溶けて次の式(2)のようにHS-イオンを生成する。
Figure 0006036828
このHS-イオンは銀を腐食させる原因となるが、HS-イオンによる銀の腐食には次の二種類の経路がある。
一つ目の経路は、HS-イオンとアノードで溶解したAg+イオンとが次の式(3)のように直接反応し、電極3の上に腐食生成物Ag2Sが生成される経路である。
Figure 0006036828
そして、二つ目の経路は、次の式(4)のようにアノードとなる電極3の表面にHS-イオンが吸着して腐食生成物Ag2Sが生成される経路である。
Figure 0006036828
なお、カソードでの反応は、大気中のO2が水膜10に溶解する反応であって、次の式(5)で表される。
Figure 0006036828
上記した式(3)、(4)により生成された腐食生成物Ag2Sが、図1(b)に示した電極3の錆である。
また、これらの式(3)、(4)により、腐食によって腐食生成物Ag2Sが生成される速さは、水膜10中におけるAg+イオンとHS-イオンの各々の濃度や、水膜10におけるこれらのイオンの拡散の速さ等の因子により決まることが分かる。
ここで、QCMセンサにおける腐食の速度は、上記した因子の他に、以下のように駆動中のQCMセンサに生じる電界にも依存すると考えられる。
図3は、上記した図1(a)のX1―X1線に沿う断面図である。
図3に示すように、各電極3は、水晶板2を介して互いに対向しており、コンデンサに類似した構造を有する。
このようなコンデンサ状の構造において発生する電界Eの強度は以下のように算出できる。
まず、QCMセンサ1の基本共振周波数f0と水晶板2の厚さtとの間には、次の式(6)の関係が成立することが知られている。
Figure 0006036828
ここで、QCMセンサ1の基本共振周波数f0が次の式(7)の値のとき、
Figure 0006036828
式(6)より厚さtについて次の式(8)が得られる。
Figure 0006036828
そして、各電極3の間に印加する電圧を5Vとすると、水晶の誘電率は4.6であるから、各電極3の間には、
Figure 0006036828
で与えられる電界Eが生じることになる。
その電界Eは、図3に示すように、電極3の中央部よりもその周縁付近において強く発生する。
図4は、電極3の周縁付近の拡大断面図である。
図4に示すように、電極3の周縁においては、上記のような強い電界Eによって多くのHS-イオンが電極3の表面に供給され、当該表面の腐食が促される。
また、図5(a)、(b)は、電極3の周縁における各イオンの動きを模式的に示す拡大断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、電極3の表面の水膜10内にはAg+イオンとHS-イオンが含まれるが、これらのイオンの移動方向は電界Eの向きに応じて変化し、各イオンは電界Eによって攪乱される。
例えば、図5(a)のように電界EによってAg+イオンとHS-イオンの各々が互いに向かい合う方向に移動する場合には、Ag+イオンとHS-イオンとが出会ったところで腐食生成物Ag2Sが生成され、各イオンは電気的に中性となる。
一方、図5(b)に示すように、Ag2Sを生成しなかったAg+イオンとHS-イオンは、電界Eの向きが反転すると互いに離れ方向に移動し、電界Eが再び反転すると上記のように腐食生成物Ag2Sを生成し得る。
このように、電界Eは未反応のイオンを攪乱してそれらの反応を促進するような役割をする。特に、この効果は、電界Eが集中する電極3の周縁部で顕著となり、これが一因で図1(b)に示した腐食の進行の相違が生じると考えられる。
次に、このような電界Eによる腐食の助長がSauebreyの式に与える影響について説明する。
QCMセンサ1についてのSauebreyの式は次の式(10)で表される。
Figure 0006036828
式(10)における各値の定義は以下の通りである。
Δf: 共振周波数の変化量、
fq: 基本共振周波数、
ρq: 水晶板2の密度、
N: 水晶板2のカットに依存する定数、
S: 電極3の総面積、
Mf: 腐食生成物の質量。
式(10)の右辺において、fq 2/(Nρq)は水晶板2と基本共振周波数fqとによって定まる定数で、Mf/Sは電極3の単位面積あたりの腐食生成物の質量である。よって、Sauebreyの式に従えば、共振周波数の変化量Δfは電極3の総面積には関係がないということになる。
本願発明者は、このことを確認するために以下の調査を行った。
図6(a)〜(c)は、その調査で使用した電極の面積が異なる三つのQCMセンサの平面図である。この調査では、概略円形の電極3の直径Dが7.0mm(図6(a))、3.5mm(図6(b))、2.4mm(図6(c))の三つのQCMセンサA〜Cを同一雰囲気中においた。なお、この雰囲気の温度は23℃とした。
更に、その雰囲気には腐食ガスとしてH2Sガス、SO2ガス、及びNO2ガスを添加した。雰囲気中におけるこれらの腐食ガスの濃度は、H2Sガスが0.25ppm、SO2ガスが0.15ppm、NO2ガスが0.13ppmである。
また、この雰囲気には湿度がほぼ0%の乾燥窒素も導入したが、上記の各腐食ガスを調湿することにより、雰囲気の湿度を50%に維持した。
図7は、この雰囲気に上記の図6(a)〜(c)の各々のQCMセンサ1を曝したときの共振周波数の変化量の絶対値を示す図である。
図7において、横軸は各QCMセンサA〜Cを上記の雰囲気に曝してからの経過時間を示し、縦軸は各QCMセンサA〜Cの共振周波数の変化量を示す。
図7に示すように、QCMセンサA〜Cのいずれにおいても、雰囲気に曝した直後では急激に共振周波数の変化量が増加しているが、これは上記の水膜10(図2参照)の形成が原因であり、この時間では電極3の腐食はまだ始まっていない。
電極3の腐食が開始するのは0.1h以降であり、この時間におけるグラフの傾きはQCMセンサA〜Cごとに異なる。このことは、Sauebreyの式に従えば共振周波数の変化量Δfは電極3の総面積には関係がないという上記の結論とは相違する。
本願発明者は、このような相違がなぜ生じたのかについて以下のように検討した。
まず、式(10)の右辺のfq 2/(Nρq)をKで表すと、Sauebreyの式はΔf=−KΔMと表される。ただし、ΔM=Mf/Sである。
次に、図8の平面図に示すように、電極3のうち腐食の進行が他の部分よりも速い周縁領域をエッジ部分I、それ以外を面部分IIと定義する。
エッジ部分Iは特に限定されないが、平面視したときの電極3の輪郭線Pから測って当該電極3の膜厚未満の領域で浸食が顕著に進行するので、輪郭線Pから当該膜厚以上の距離Δdだけ内側に入った領域をエッジ部分Iとするのが好ましい。この例では、距離Δdが0.1mm〜0.5mm程度の領域をエッジ部分Iとする。
そして、エッジ部分Iと面部分IIとを用いてΔMを更に書き改めると、Sauebreyの式は式(11)のように変形できる。
Figure 0006036828
なお、式(11)における各腐食量は、腐食によって増加した電極3の質量を表し、その総量は式(10)のMfに等しい。
式(11)の右辺の括弧内の第1項は、電極3の単位面積当たりの腐食量であって、この値は電極3の大きさには無関係である。
一方、同じ括弧内の第2項は、他の部分と比較して腐食の進行が速いエッジ部分Iを考慮した値であって、この項の効果によって図7のように電極3の総面積に応じて共振周波数の変化量Δfが異なる値になったと考えられる。
上記の第2項は、このようにエッジ部分Iが変化量Δfに与える効果を表すものである。そして、その変化量Δfは、QCMセンサが腐食ガスに対してどの程度敏感に反応するかどうかの目安となり、QCMセンサの感度として使用し得る。
また、式(11)の第2項の分子の(エッジ部分Iの腐食量)は、電極3の輪郭線Pが長くなるほど多くなる。そこで、その第2項との類推から、本実施形態では次の式(12)で与えられる比RでQCMセンサの感度を推定する。
Figure 0006036828
式(12)において、Sは電極3の総面積であり、Lは電極3の輪郭線Pの長さである。
比Rは、式(11)の右辺の括弧内の第2項の分子(エッジ部分Iの腐食量)を輪郭線Pの長さLに置き換えたものであり、電極3の幾何学的特徴を表すS、Lに基づいて感度を直接的に表現することができる。
ここで、図7の調査で使用した三つのQCMセンサA〜C(図6参照)の各々について式(12)の比(L/S)を算出すると以下のようになる。
・QCMセンサA
L/S=(7×3.14)/(3.5×3.5×3.14)=0.57
・QCMセンサB
L/S=(3.5×3.14)/(1.75×1.75×3.14)=1.14
・QCMセンサC
L/S=(2.4×3.14)/(1.2×1.2×3.14)=1.67
このようにQCMセンサA、QCMセンサB、QCMセンサCの順に比L/Sが大きく感度が高くなるが、これは図7のようにQCMセンサA、QCMセンサB、QCMセンサCの順に共振周波数の変化量Δfが大きくなる調査結果と一致する。
図9は、上記のQCMセンサA〜Cが備える電極3の腐食速度を調査して得られた図である。
なお、腐食速度は、各QCMセンサA〜Cの共振周波数の変化量Δfの単位時間当たりの変化量をいう。また、図9の横軸は上記の比L/Sである。
調査に際しては、温度、湿度、及び腐食ガスの濃度が同一の雰囲気に各QCMセンサA〜Cを曝した。
図9に示すように、比L/Sが大きくなるほど腐食速度が速い。これは、同一の雰囲気においては、比L/Sが大きいQCMセンサほどその雰囲気の腐食性が強いと感じ、QCMセンサの感度が高いことを表す。
以上の結果から、QCMセンサの感度を高めるには比L/Sをなるべく高くすればよいことが明らかとなった。
比L/Sを高めるには、平面視したときになるべく長い輪郭線を備えたパターンを電極3に形成することにより、腐食が進行し易いエッジ部分をなるべく多く電極3に設けるのが好ましい。
なお、比L/Sを高めるために電極3の総面積Sを小さくすることも考えられる。しかし、これではQCMセンサのクリスタルインピーダンスが高くなってQCMセンサの発振が不安定になるので、上記のようにLを大きくして比L/Sを高めるのが好ましい。
以下に、このように比L/Sを高めて感度が高められた本実施形態に係るQCMセンサの例について説明する。
(第1例)
図10(a)は第1例に係るQCMセンサ20の平面図であり、図10(b)は図10(a)のX2−X2線に沿う断面図である。
本例では、図10(b)に示すように、水晶板2の上に第1の金属膜21と第2の金属膜22とをこの順に積層し、これらの金属膜21、22により電極3を形成する。
なお、電極3は、水晶板2の一方の主面2aの上だけでなく、水晶板2bの他方の主面2bの上にも形成される。
また、上記の第1の金属膜21の材料としては、第2の金属膜22よりも腐食ガスに対する反応性が低い材料を使用する。本例では第1の金属膜21の材料として金を使用する。
このように腐食ガスに対して反応性が低い材料を使用することにより、第2の金属膜22が腐食しきっても第1の金属膜21は腐食せずに水晶板2の上に残存する。そのため、第1の金属膜21のみで電極3の機能を確保することができ、第2の金属膜22が腐食しきった後でも電極3に電圧を印加してQCMセンサ20を振動させることができる。
一方、第2の金属膜22の材料としては、第1の金属膜21と比較して腐食ガスに対する反応性が高い材料を使用する。その材料は監視対象の腐食ガスに応じて選択し得るが、本例では第2の金属膜22の材料として銀を使用する。
これにより、腐食ガスによって第2の金属膜22が適度に腐食し、腐食ガスを良好に監視することができる。
また、本例では、図10(a)に示すように、電極3の第2の金属膜22に、上記の比(L/S)を高めるためのパターンとして複数のスリット23を設ける。
スリット23の平面形状は特に限定されない。この例では、電極3の中心Cと同心をなす弧状に各スリット23を設ける。
このようにスリット23を弧状にすることで、第2の金属膜21にはスリット23がない連結部23xが形成される。その連結部23xにより第2の金属膜22の全ての部分が連結されるため、第2の金属膜22の腐食が進行して金属膜21、22同士の密着力が低下した場合でも、第2の金属膜22の全部が第2の金属膜21から剥離する危険性を低減できる。
更に、本例では、水晶板2の一方の主面2aに設けられた電極3と、その水晶板2の他方の主面2bに設けられた電極3とが、平面視で同一のスリット23を有する。このように比(L/S)を高めるためのパターンを各電極3で同一とすることにより、各電極3に印加する電圧で水晶板2を安定的に振動させることができる。
そして、振動の安定性を高めるには、各スリット23が有する幾何学的な対称性をなるべく高めるのが好ましい。本例では、図10(a)のように各スリット23が電極3の面内に対称軸Nを有しており、各スリット23の幾何学的な対称性が高められているので、上記のように振動の安定化を図ることができる。これについては、後述の第2例と第3例でも同様である。
図11は、電極3の拡大平面図である。
図11に示すように、スリット23を設けることで電極3には平面視で複数の輪郭線Pが形成される。これにより、輪郭線Pの長さの総和Lを長くして式(12)の比L/Sを高めることができ、QCMセンサ20が高感度となる。
次に、スリット23がない場合と比較して、このQCMセンサ20の感度がどの程度高くなるかを計算する。なお、この計算に際しては、簡略化のために連結部23xを無視し、各スリット23は同心円であるものとする。
また、図11の各寸法W0〜W7、rの値として以下の値を使用する。
W0=0.1mm、W1=0.2mm、W2=0.3mm、W3=0.4mm、W4=0.6mm、W5=0.7mm、W6=0.7mm。
この場合、電極3の輪郭線Pの総和Lは、
L=(0.1+0.3+0.4+0.7+0.8+1.2+1.3+1.9+2.0+2.7+2.8+3.5)×2×π=35.4π(mm)
となる。
また、電極3における全てのスリット23の総面積Qは、
Q={0.12+(0.42−0.32)+(0.82−0.72)+(1.32−1.22)+(2.02−1.92)+(2.82−2.72)}×π=1.42π
となる。
そして、電極3の総面積Sは、
S=3.52×π−Q=12.25π−1.42π=10.83π
となる。
これに対し、スリット23がない場合の電極3の総面積S0は、
S0=3.52×π=12.25π
となり、この場合の輪郭線Pは電極3の外周のみなので、当該輪郭線Pの長さの総和L0は、
L0=3.5×2×π=7π
となる。
よって、本例における電極3の総面積Sは、スリット23がない場合の総面積S0の約0.88倍(=S/S0)となる。更に、本例における電極3の輪郭線Pの長さの総和Lは、スリット23がない場合の長さの総和L0の約5.1倍(=L/L0)となる。
ここで、スリット23がないQCMセンサについて、その共振周波数の変化量Δfの絶対値が時間と共にどのように変わるかを調査したところ、図12の結果が得られた。
図12の縦軸は共振周波数の変化量Δfの絶対値を示す。そして、その横軸は、腐食ガスを含む雰囲気にQCMセンサを曝してからの経過時間を示す。
図12に示すように、電極への水膜の形成で共振周波数の変化量Δfが大きい初期の時間を経過すると、電極の腐食が開始して変化量Δfの増加量がやや変化する。このときの単位時間当たりの変化量Δfは約1053Hz/hである。この時点では、QCMセンサの電極のエッジ部分I(図8参照)が腐食するため、上記の値(1053Hz/h)には、電極の面部分IIだけでなく、エッジ部分Iの腐食による寄与も含まれる。
そして、この調査を更に続けたところ、単位時間当たりの共振周波数の変化量Δfは約870Hz/hに収束した。このように長期間にわたって電極を腐食ガスに曝すと、電極のエッジ部分I(図8参照)は腐食しきって腐食の進行が鈍る。よって、上記の値(870Hz/h)は、実質的には電極の面部分IIの腐食に伴うものと考えられる。
図12の結果より、単位時間当たりの共振周波数の変化量Δfにおいて、エッジ部分Iの寄与は、183Hz/h(=1053Hz/h−870Hz/h)となることが分かる。
この結果を用いると、図12と同じ雰囲気内に本例に係るQCMセンサ20を置いた場合では、そのQCMセンサ20の単位時間当たりの共振周波数の変化量は、
(S/S0)×870Hz/h+(L/L0)×183Hz/h=0.88×870Hz/h+5.1×183Hz/h=1698.9Hz/h
となる。
これは、スリット23がない場合と比較して感度が約2倍(=1698.9/870)になることを示す。また、この感度は、基本共振周波数が35MHzのQCMセンサが有する感度に相当する。
以上のように、本例によれば、輪郭線Pを備えたパターンとしてスリット23を電極3に設けることで、QCMセンサ20の感度を表す比(L/S)を大きくすることができる。
これにより、電極3において腐食し易いエッジ部分が増え、微量の腐食ガスであっても腐食に伴う電極3の質量変化を大きくし、QCMセンサ20の高感度化を実現できる。
しかも、このQCMセンサ20によれば、高感度化を図るために電極3の表面を荒らしたり、基本共振周波数を高めたりする必要もない。
更に、スリット23のようなパターンを設けると、上記のようにQCMセンサ20の感度を比(L/S)で表すことができる。そのため、輪郭線Pの長さの総和Lや電極3の総面積Sによって感度を制御することができ、QCMセンサ20の感度の制御が容易となる。
なお、比(L/S)を高めるためのパターンの形状は上記に限定されず、以下のような様々な形状のパターンを採用してもよい。
図13及び図14は、QCMセンサ20に設けるパターンの他の例を示す平面図である。なお、図13及び図14において、図10(a)、(b)で説明したのと同じ要素にはこれらの図におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図13の例では、電極3の中心Cと同心をなす半円弧状の複数のスリット23をパターンとして設ける。この場合も、連結部23xを設けることで、腐食が進行した第2の金属膜22が剥離するのを防止できる。
一方、図14の例では、第2の金属膜22が複数の円形のアイランド22cを有し、その各々が連結部23xで連結される。この場合は、各アイランド22cが比(L/S)を高めるためのパターンとなり、各アイランド22cの輪郭線Pの長さの総和LによってQCMセンサ20の感度を制御することができる。
(第2例)
図15(a)は第2例に係るQCMセンサ30の平面図であり、図15(b)は図15(a)のX3−X3線に沿う断面図である。なお、図15(a)、(b)において、図10(a)、(b)で説明したのと同じ要素にはこれらの図におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図15(a)に示すように、本例では、比(L/S)を高めるためのパターンとして電極3に設けるスリット23を環状にする。なお、本例では、第2の金属膜22の各部を連結するための連結部23x(図10(a)参照)を設けない。
このQCMセンサ30の各寸法は特に限定されないが、この例ではスリット23の幅W0を1mm、電極3の外周からスリット23までの間隔W7を1mm、電極3の直径Dを7mmとする。
このようにスリット23を設けることで、第1例と同様に、スリット23の輪郭線Pの長さの総和LによってQCMセンサ30の感度を高めることができると共に、当該感度を簡単に制御することができる。
次に、QCMセンサ30の感度がスリット23によってどの程度高められるのかを計算する。
まず、スリット23と電極3の各々の輪郭線Pの長さの総和Lは、
3×π+5×π+7×π=15×π(mm)
となる。
また、そのスリット23の総面積ΔSは、
ΔS=2.52×π+1.52×π=4×π(mm2
であるから、電極3の総面積は
S=3.52×π−4×π
となり、QCMセンサ20の感度を表す比(L/S)は、
L/S=(15×π)/(3.52×π−4×π)=1.8
となる。
一方、スリット23を形成しない場合は、電極3の輪郭線Pの長さの総和Lは7πであり、電極3の総面積Sは3.52×πであるから、感度を示す比(L/S)は、
L/S=7π/3.52×π=0.57となる。
よって、スリット23を設けると、スリット23がない場合と比較してQCMセンサ30の感度が3.2倍(=1.8/0.57)となる。
このように、本例においても、QCMセンサの高感度化を実現することができる。
ここで、上記のようにスリット23を設けない場合の比(L/S)は0.57であるから、スリット23がない場合と比較して感度がm倍のQCMセンサ30を製造するには、当該QCMセンサ30の比(L/S)が、次の式(13)を満たせばよいことになる。
Figure 0006036828
図16は、このように感度がm倍になるように設計したQCMセンサ30が備える電極3の平面図である。
図16においては、スリット23の外径をdとしている。なお、これ以外の寸法は図15(a)で説明したのと同じであって、スリット23の幅W0は1mm、電極3の直径Dは7mmである。
このとき、スリット23と電極3の各々の輪郭線の長さの総和Lは、2(d−1)π+2dπ+7πである。また、電極3の総面積Sは3.52π−d2π+(d−1)2πとなる。
これらLとSを式(13)に代入すると、次の式(14)が得られる。
Figure 0006036828
式(14)をdについて解くと、次の式(15)が得られる。
Figure 0006036828
図17は、式(15)におけるmと外径dとの関係を表すグラフである。
図17のグラフ又は式(15)を利用することで、スリット23がない場合のm倍の感度を有するために要する外径dを決定することができる。
以上説明したように、本例によればQCMセンサ30の高感度化を実現できると共に、所定の感度を得るためのスリット23の外径dを式(15)や図17のグラフから簡単に決定でき、QCMセンサ30の設計が容易となる。
なお、本例では上記の比(L/S)を高めるためのパターンとしてスリット23を設けたが、パターンの形状は上記に限定されず、以下のような様々な形状のパターンを採用してもよい。
図18及び図19は、QCMセンサ30に設けるパターンの他の例を示す平面図である。なお、図18及び図19において、図15(a)、(b)で説明したのと同じ要素にはこれらの図におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図18の例では、パターンとして複数の環状のスリット23を同心円状に設ける。なお、各スリット23は、電極3の中心Cと同心をなす。
また、図19の例では、第2の金属膜22にパターンとして円形の複数の孤立したアイランド22cを設ける。
図18と図19のいずれにおいても、スリット23やアイランド22c等のパターンと電極3の各々の輪郭線PによってQCMセンサ30の感度を高めることができる。
(第3例)
上記した第1例と第2例では、第1の金属膜21と第2の金属膜22とを積層して電極3を形成した。
既述のように、腐食ガスに対する反応性が低い第1の金属膜21は、第2の金属膜22が腐食しきった後でも電極3の機能を確保し、QCMセンサを振動させる役割を担う。
但し、第2の金属膜22が腐食しきった後にQCMセンサを使用する必要がない場合には、以下のように第1の金属膜22を省き、第2の金属膜22のみで電極3を形成するようにしてもよい。
図20は、本例に係るQCMセンサ40の平面図である。なお、図20において、図10(a)、(b)で説明したのと同じ要素にはこれらにおけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図20の例では、水晶板2の上に電極3として第2の金属膜22を直接形成する。第2の金属膜22の材料は、監視対象の腐食ガスに応じて選択され、例えば銀や銅をその材料として使用し得る。
また、電極3には、比(L/S)を高めるためのパターンとして開口22xが設けられる。このように開口22xを設けることで、開口22xがない場合と比較して電極3と開口22xの各々の輪郭線Pの長さの総和Lが長くなり、QCMセンサ40の感度を表す比(L/S)を大きくすることができる。
更に、電極3の全ての部分が互いに連結されているので、電極3の腐食が進行して電極3と水晶板2との密着力が低下しても、電極3の全てが水晶板2から剥離する危険性を低減できる。
一方、図21は、開口22xを複数設けた場合の本例に係るQCMセンサ40の平面図である。
このように複数の開口22xを設けることにより、上記の輪郭線Pの長さの総和Lが図20におけるよりも更に長くなり、QCMセンサ40の更なる高感度化を実現することができる。
また、この場合も電極3の全ての部分が互いに連結されているので、腐食の進行に伴う電極3の剥離を抑制できる。
(製造方法)
次に、本実施形態に係るQCMセンサの製造方法について説明する。
上記のように本実施形態には第1〜3例に係るQCMセンサがあるが、以下ではこれらの代表として第1例に係るQCMセンサの製造方法について説明する。
図22は、本実施形態に係るQCMセンサの製造方法を示すフローチャートである。
図22の最初のステップS1では、輪郭線Pの長さの総和Lと電極3の総面積Sとを調節することにより、所定の感度を有するQCMセンサを設計する。
その感度は、式(12)に示したように、総和Lと総面積Sとの比(L/S)で推定される。
なお、総和Lを長くしすぎると電極3における腐食の進行が速くなってQCMセンサの寿命が短くなるので、腐食ガスの濃度等の測定環境の条件を考慮し、寿命と感度とのバランスをとりつつ総和Lを決定するのが好ましい。
次のステップS2では、ステップS1で求めた総和Lと総面積Sとを有するQCMセンサを実際に作製する。
図23(a)、図24(a)、及び図25(a)は、本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の平面図であり、図23(b)、図24(b)、及び図25(b)はその平面図である。
まず、図23(a)に示すように、水晶板2の上に、概略円形にパターニングされた第1の金属膜21を蒸着法等により形成する。
既述のように、第1の金属膜21の材料としては腐食ガスに対する反応性が低い材料を使用し得る。この例では、第1の金属膜21として厚さが約0.1μmの金膜を形成する。
なお、図23(b)は、図23(a)のX4−X4線に沿う断面図である。
図23(b)に示すように、第1の金属膜21は、水晶板2の一方の主面2aと他方の主面2bの各々の上に形成される。
次に、図24(a)に示すように、第1の金属膜21の上に銀膜又は銅膜を蒸着法で形成することにより連結部23xを形成する。
その蒸着法では、図26(a)の平面図に示すステンシルマスク50を用い、そのステンシルマスク50の開口50aを通じて銀原子や銅原子が第1の金属膜21上に堆積させ、図24(a)のように整形された連結部23xを形成する。
なお、図24(b)は、図24(a)のX5−X5線に沿う断面図である。
次に、図25(a)に示すように、第1の金属膜21の上に再び銀膜又は銅膜を蒸着法で形成することにより、スリット23を備えた第2の金属膜22を形成する。
図26(b)は、本工程で使用するステンシルマスク51の平面図である。そのステンシルマスク51には開口51aが設けられており、その開口51aを通じて銀原子や銅原子が第1の金属膜21の上に堆積することで、図25(a)のように整形された第2の金属膜22を形成することができる。
なお、図25(b)は、図25(a)のX6−X6線に沿う断面図である。
以上により、図13に示したのと同様のQCMセンサ20の基本構造が完成する。
なお、上記の例ではステンシルマスク50、51(図26参照)を用いて第2の金属膜22をパターニングしたが、以下のようにFIB(Focus Ion Beam)加工により第2の金属膜22をパターニングしてもよい。
図27〜図28は、FIB加工を用いる場合の本実施形態に係るQCMセンサの製造途中の断面図である。
まず、既述の図23(a)のように水晶板2の上に第1の金属膜21を形成した後、図27(a)に示すように、第1の金属膜21の上に蒸着法で第2の金属膜22として銀膜又は銅膜を約0.1μmの厚さに形成する。
図29は、本工程で使用するステンシルマスク52の平面図である。ステンシルマスク52には円形の開口52aが設けられており、その開口52aを通じて銀原子や銅原子が第1の金属膜21上に堆積することで、図27(a)のように円形に整形された第2の金属膜22が形成される。
次に、図27(b)に示すように、FIB加工装置で生成したガリウムイオンビーム等のイオンビームIBを第2の金属膜22に照射する。イオンビームIBが照射された部分の第2の金属膜22は蒸散し、これにより第2の金属膜22にスリット23が形成される。
このようなFIB加工により、図28に示すように、複数のスリット23を備えたQCMセンサ20の基本構造を得ることができる。
なお、上記では既述の第1例に係るQCMセンサ20の製造方法について説明したが、第2例や第3例に係るQCMセンサも上記と同様に製造し得る。
例えば、第2例に係るQCMセンサ30(図15(a)参照)を製造するには、図24〜図25の工程と同様にステンシルマスクを用いる蒸着法により、第1の金属膜21の上に連結部23xのない第2の金属膜22を形成すればよい。
また、第3例に係るQCMセンサ40(図20参照)を製造するには、図23の工程を省き、図24〜図25の工程で水晶板2の上に直接第2の金属膜22を形成すればよい。
(その他の実施形態)
上記した本実施形態では、比(L/S)を高めるパターンとしてスリットや開口を形成した。パターンはこれに限定されず、電極3にパターンとして溝や凹部を形成してもよい。
図30(a)は、電極3にパターンとして環状の溝22yを形成した場合のQCMセンサの平面図であり、図30(b)は図30(a)のX7−X7線に沿う断面図である。
一方、図31(a)は、電極3にパターンとして平面視で円形の凹部22zを形成した場合のQCMセンサの平面図であり、図31(b)は図31(a)のX8−X8線に沿う断面図である。
なお、図30及び図31において、上記した図20及び図21におけるのと同じ要素にはこれらにおけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図30(a)や図31(a)のような溝22yや凹部22zも平面視で輪郭線を有するため、比(L/S)を高めてQCMセンサの高感度化を実現できる。なお、これらの溝22yや凹部22zは、第2の金属膜22をその途中の深さまでエッチングすることにより形成し得る。

Claims (3)

  1. 水晶板と、
    前記水晶板の一方の主面と他方の主面の各々に設けられた電極とを有し、
    前記水晶板の一方の主面と他方の主面の各々に設けられた前記電極の両方に、平面視で輪郭線を備えたパターンが設けられ、
    前記水晶板の一方の主面に設けられた前記電極と、前記水晶板の他方の主面に設けられた前記電極とは、平面視で同一の形状であり、且つ前記水晶板を挟んで対称に配置された前記パターンを有し、
    前記パターンは、スリット、複数のアイランド、開口、溝、及び凹部のいずれかであることを特徴とするQCMセンサ。
  2. 前記電極の全ての部分は互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のQCMセンサ。
  3. 水晶板の二つの主面の各々に、輪郭線を持つパターンを備えた電極を形成する工程を有し、
    前記電極を形成する工程では、前記水晶板の一方の主面の前記電極と、前記水晶板の他方の主面の前記電極とに、平面視で同一の形状であり、且つ前記水晶板を挟んで対称に配置された前記パターンを形成し、
    前記パターンは、スリット、複数のアイランド、開口、溝、及び凹部のいずれかであることを特徴とするQCMセンサの製造方法。
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