JP5231914B2 - 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置 - Google Patents

酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5231914B2
JP5231914B2 JP2008243596A JP2008243596A JP5231914B2 JP 5231914 B2 JP5231914 B2 JP 5231914B2 JP 2008243596 A JP2008243596 A JP 2008243596A JP 2008243596 A JP2008243596 A JP 2008243596A JP 5231914 B2 JP5231914 B2 JP 5231914B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chemical species
active chemical
layer
oxidizing active
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008243596A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009098133A (ja
Inventor
和俊 野田
秀信 愛澤
大輔 竹内
暁 岩森
裕之 松本
幹彦 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
iwasakidenki
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tokai University Educational Systems
Original Assignee
iwasakidenki
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tokai University Educational Systems
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by iwasakidenki, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Tokai University Educational Systems filed Critical iwasakidenki
Priority to JP2008243596A priority Critical patent/JP5231914B2/ja
Publication of JP2009098133A publication Critical patent/JP2009098133A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5231914B2 publication Critical patent/JP5231914B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Description

本発明は、通常の立地条件にある工場・事業所等における一般的な諸工業プロセスにおいて、ランプや固体発光素子などの光源、線源、オゾナイザー、プラズマ装置を用いるプロセスで生成される原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種を含有する気体中から、これら酸化性活性化学種の存在量を測定する酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種センサを用いる酸化性活性化学種センサの測定方法及び測定装置、並びにこれら酸化性活性化学種の存在量をモニターする酸化性活性化学種センサを用いる活性化学種のモニター方法及びモニター装置に関するものである。
各種のランプ光源、線源から発せられるレーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、放電プラズマなどの発生装置では、発生させた酸化性因子、例えば、励起状態の酸素分子、オゾン(O3)、酸素イオン(O+、O2 +、O、O2 など)、酸素ラジカル(原子状酸素、分子状酸素)、ヒドロキシラジカル(・OH)などの原子状、分子状、イオン及びラジカルを含む気体が発生し、これらの活性化学種は活性酸素種に属するものであると意識される。
これらの酸化性の活性化学種は、工場・事業所等で行われる一般的に知られる工業的用途、例えば、金属、ガラス、及び半導体基板の洗浄工程、半導体レジストのアッシング(灰化)工程、並びに樹脂、プラスチックなどの有機系基材の表面改質工程といった各種工業プロセス中で広く用いられている。
この一般的な工業プロセス中では、酸化性の活性化学種の生成量又は存在量を検知し、経時的に発生量又は存在量を測定し、記録、集計して酸化性活性化学種の存在量をモニターし、変化に対応して制御することがプロセスから得られる製品の品質を保証し、工業プロセス全体の信頼性を向上させるうえで非常に重要な事柄である。
従来、上記のような工場・事業所等で実施される工業プロセスにおいて、酸化性活性化学種の生成量又は存在量を検知する分析手段としては、例えば、公知のオゾン検知器や発光分光分析法、レーザー誘起蛍光法、真空紫外光を用いるラジカル密度計測法などの手段が知られている。
上記装置では、オゾン(O)ガスに測定対象が限定されている場合であれば、オゾン検知器によってオゾン生成濃度の測定を行うことが可能である。しかしながら、もともと、オゾン検知器では、オゾン以外の酸化性活性化学種ガス、例えば酸素イオン、酸素ラジカルなど含む混合ガスを測定対象とすることを意図しておらず、又オゾンガス成分のみを混合ガスから単一成分として区別して測定することが原理的に不可能なこともあり、上記装置を用いてオゾンガスを含む混合ガスを測定対象とすること及びオゾンガスを含む混合ガス中のオゾンガスを測定することは行われていない。
又、このオゾン(O)を用いて酸化反応を行うプロセスでは、オゾン生成量をモニターすることだけでは酸化反応の工程管理として不十分となるケースがある。この場合には、直接酸化反応に寄与する酸化性活性種はオゾンよりも、むしろ、オゾンから解離分解して発生する原子状酸素ラジカル(OD)の方が支配的であることが一般的に知られている。一例として、非特許文献1に記載されているような、オゾンに対して波長248nm以下の紫外光を照射して原子状酸素ラジカル(OD)を生成し、シリコン表面に低温で酸化膜を形成する方法において、オゾン濃度が高濃度であってもオゾンの分解に高強度の紫外光を必要とし、又、オゾンと原子状酸素ラジカルの反応速度の関係から、たとえオゾン濃度が高濃度であったとしても直接酸化に寄与する原子状酸素ラジカル(OD)が被処理対象に十分到達できなくなり、又、高濃度のオゾン生成量の測定結果を得たとしても、反応が十分進行しない結果となる。このため、結局、オゾン濃度のモニタリングのみではシリコン酸化プロセスを正確に監視、制御することは困難である。
次いで、発光分光分析法では、励起状態にある原子、分子、イオン、ラジカルがよりエネルギー準位の低い基底状態のエネルギー準位へ電子遷移することに伴って、特徴的な発光スペクトルを発生する。これをモニターすることにより、その励起種の同定、生成量、及び存在量を比較的簡便に計測することができることを利用する。しかしながら、全ての原子、分子、イオン、ラジカルは電子遷移に伴って、必ず発光するものであるとは限らない。又、原子、分子、イオン、ラジカルの生成を伴うプロセスにおいては、原子、分子、イオン、ラジカルについて非常に弱い発光しか得られない場合や発光を伴わない場合もあり得る。
このように、発光分光分析法によって測定する場合には、測定すること自体が困難なことがある。特に、一般的な諸工業プロセスにおいて、処理対象である被処理基材が酸化性活性化学種生成源から離れた箇所に設置されている工程、例えば、リモートプラズマのような工程装置へ適用した場合には、上述の通り、被処理基材周辺で発生する酸化性活性化学種の密度、即ち、それに帰属する発光はプラズマ生成源からの距離に応じて指数関数的に減少するため、これを精密にモニターすることが困難であるという問題点があった。
さらに、レーザー誘起蛍光法、ラジカル密度計測器では、ラジカル類の絶対密度を計測することが可能であり、発光分光分析法で同定が困難な非発光励起種の密度が検出可能となる。この場合には、測定用の光学系が複雑で装置が非常に高価となり、一般的な製造プロセスへの導入は容易でない。
加えて、これら方法では、使用するレーザー、光学系の調整によって、同定可能な非発光励起種を個々の発生物質毎に限定して計測する必要があるため、被処理基材に作用する酸化性活性化学種の全体の存在量をモニターして、プロセスの歩留まりと向上させるという目的にはそぐわない。
上記に述べたように、製造プロセスでは、発生する原子、分子、イオン、ラジカルを測定することが必要とされているが、原子、分子、イオン、ラジカル毎の個別の測定手段を設置することは困難であり、さらに常時監視する要求もあり、どのようにして要求に応えるかということが問題となっていた。
産業用一般的計測にあってはセンサの利用が便利であり、既に多くの開発が行われ、成功しているものが少なくない。
例えば、ジルコニアセラミックスを利用する酸素センサは、自動車のエンジンの制御に使用される。又、気体中の湿度の計測ではセンサとして水晶振動板を用いる測定方法が開発されて、湿度の測定及びモニターすることを簡便に行うことができるようになった(特許文献1)。又、湿度を検知し、その結果をプロセスに反映させることも行なわれる(特許文献2)。
上記の測定対象である酸素や水分(湿度)と相違する、原子、分子、イオンやラジカルの状態にある化学種は、非常にライフサイクルが短く、不安定な物質である。これらの不安定物質をセンサにより測定する実験例は少なく、又、混合物ガスとして存在量をセンサ測定する産業用一般計測として、その例をみない。
以上のことから、工場・事業所内の一般的な工業プロセスで利用される酸化性活性化学種、例えば、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなど、ランプ光源、線源、レーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、熱プロセス装置、放電プラズマなどの生成手段で発生される原子、分子、イオンやラジカルなどの多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の存在量の測定、即ち多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の被処理基材への作用量を、センサを用いて測定すること、及び一定時間モニタリングする技術では、励起状態の酸素分子、オゾン(O3)、酸素イオン(O+、O2 +、O、O2 など)、酸素ラジカル(原子状酸素、分子状酸素)、ヒドロキシラジカル(・OH)などの原子状、分子状、イオン及びラジカルを含む多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の混合気体の測定を基本とし、検出手段としてセンサを利用している計測測定装置の要望は高い。
従来例として以下の場合について検討する。
不安定物質の存在を情報として取り出すことが宇宙環境に適する材料及び材料を用いた構造物や機構の開発に際し、地上シミュレータの開発が必要とされている。これには、宇宙環境に存在する原子状酸素ラジカルによる材料に対する影響、即ち、材料の原子状酸素耐性を調べるために原子状酸素発生装置を必要とする。この装置から発生する原子状酸素ラジカルが前記の材料及び材料を用いた構造物や機構にどのような影響を与えるかを実測し、材料に要求される特性や試作された材料の評価を行う。このような作業の先ず初めに、作用する原子状酸素がいかなる成分であり、その量を明確にする上でフルエンス量を分析する。検出には原子状酸素により酸化反応による被測定体の重量変化又は厚み変化量を測定する方法が提案されている(特許文献3)。
当然のことながら、特許文献3は、測定の対象を原子状酸素ビームのみに限定して測定可能とするものである。前記したように測定対象が一成分の場合にあっては、多成分の場合を除外するものとされている。多成分の場合の対象とする酸化反応では一成分の場合とは相違して、多成分による競合反応が起こることが想定される。競合反応に関与する物質では各々の物質による酸化反応が起こるが、各成分の反応の総和が競合反応の結果と一致しているということが明らかになっていないから、全体の反応結果を測定したからといって、その結果は個々の成分の総量になっているということが直ちに言えるということにはなっていない。又、特許文献3の反応は、減圧下で希薄の状態での測定結果である一方、産業界で必要とする反応は、減圧状態から大気圧程度までの幅広い圧力範囲の条件下であり、酸化因子が濃厚な状態である場合があるから、反応条件はかなり相違した条件下の反応であり、特許文献3の結果から必要とされるよりも過酷な反応条件下の反応の場合にも測定可能であることを示唆するものではない。
特許文献3の例を参考にして、現在必要とされている原子、分子、イオンやラジカルなどの多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の存在量の測定、即ち多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の被処理基材への作用量を、センサを用いて測定することなどの技術上の解決すべき課題が開示されているというものではない。
又、引用文献3に示される重量測定の測定手段として示されている第1実施例で採用している測定手段は、一端側で前記被測定体を吊り下げていると共に他端側寄り部分でカウンターウエイト7を吊り下げているレバーと、前記レバーを支持するリボン型懸架手段と、前記リボン型懸架手段に設けたコイルと、前記コイルに接近して配置した磁石と、前記レバーの他端側に配設したランプおよび光電管と、前記光電管からの出力を増幅するサーボアンプと、前記サーボアンプの出力側に設けた調整器と、フィルターと、測定結果を記録するレコーダを用いるという煩雑な構成のものである。測定手段として振動子を利用して行う工業計測手段の適用には否定的であり、そのために前記の手段を用いることとせざるを得なかったと考える。その理由は既に検出手段として振動子を利用して行う工業計測手段は知られており、この適用を行うことが適切であり、その手段を採用することが普通である。あえて前記の煩雑な測定手段を採用することはないということができる。
結論として、特許文献3記載の内容は、本発明者らの要望にこたえることができる内容にはなっていない。
特許文献4の発明では、水晶振動子上の電極のラジカル被照射面に、ラジカルと化合することにより気体となる物質を含む膜が形成されており、このモニタにラジカルが照射されると、ラジカルは前記膜に含まれるラジカル被照射物質と化合して気体となり、その分、該膜の膜厚は減少する。該膜の膜厚減少に伴う水晶振動子の周波数の変化を検出することによりラジカル照射量が評価される。具体的には例えば、周波数変化から前記ラジカル被照射物質のうちラジカルと反応した分の重量(原子数或いは分子数)を求める。一方、ラジカル照射により該モニタから発生する気体の組成を分析する手段(ガス組成分析器等)により分析し、ガス組成分析手段により求められる前記気体分子の構成元素比、つまり被照射物質とラジカルであった元素との構成比と、前記ラジカル被照射物質のうちラジカルと反応して消失した分の重量(原子数或いは分子数)とから、該膜に含まれる物質と化合したラジカル量(数)、即ち照射されたラジカル量(数)を評価する。
このような複雑な測定方法を採用することは、ラジカルが、外殻軌道に不対電子を有する原子、分子の総称であり、その化学的な特性上、他の粒子種に比べて非常に寿命が短い、即ち、その電子配置に起因して反応性が非常に高い故にラジカル同士や他の粒子との反応によってその化学的活性を容易に失う不安定な物質であることが背景にあるためと考察できる。
特許文献4は、特許文献3同様、測定対象を上記のラジカル種一成分とするものであり、多成分のラジカルを測定対象としていない。又、実プロセスにおいては、何らかの方法で生成したラジカル種のみをラジカル被照射物質と化合させて気体を生成させ、又さらにその気体を測定対象とするといった反応測定系は非常に特異な例であると考えられる。現実的には上述の通り、ラジカル同士や他粒子との反応による生成物や荷電粒子などが存在するため、これら影響を考慮した測定方法を採用することが必要不可欠となり、このような複雑かつ測定対象が単一成分に限定された方法は有効な測定手段にはなりにくい。
換言すれば、表面処理が行われる被照射物側からの観点からいうと、反応系内のラジカルとその検知膜との化学反応の検出だけでなく、励起状態の中性粒子及びイオン種を含めた荷電粒子による検知膜への物理的な衝撃なども考慮して、これら混合した他成分系を同時に検出するということが非常に重要な事象であるのだが、従来技術ではこのような検出方法に関して何ら考慮がなされていなかった。
何れにしても、特許文献3及び特許文献4記載の方法は、多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の存在量の測定、即ち多成分系の混合状態にある酸化性活性化学種の被処理基材への作用量を直接測定することを示唆するものではない。
再度繰り返しとなるが、上記の通り、工場・事業所内の一般的な工業プロセスで利用される酸化性活性化学種、例えば、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなど、ランプ光源、線源、レーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、熱プロセス装置、放電プラズマなどの生成手段で発生される原子、分子、イオンやラジカルなどの混合した状態の酸化性活性化学種の存在量及び被処理基材への作用量を、振動子を利用したセンサを用いて即座に検出し、これをプロセスに組み込んで製造装置に組み込まれて一定時間モニタリングする技術は、必要とされているにもかかわらず、全く手がつけられていないと言ってよく、我々が至急に開発することが必要とされる技術上の喫緊の課題である。
特開平11−39576号公報 特開2004−333427号公報 特開平3−2586号公報、特許第2900403号公報 特開平7−50258号公報、特許第3319055号公報 真空、Vol.48、No.5、309−312頁(2005年)
本発明が解決しようとする課題は、工場・事業所等の一般的な工業プロセスで使用され、レーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、熱プロセス装置、放電プラズマなどの発生装置で発生する、励起酸素、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどの原子、分子、イオン及びラジカル全てを対象とする中から選ばれる単一又は多成分を含む対象ガスの存在及び存在量を測定する新規な酸化性活性化学種センサ、又、新規な酸化性活性化学種センサを使用した新規な測定方法及び測定装置を提供することである。
(1)上記の課題を解決するために、従来の装置についての問題点に対応する要求に関し以下の考察を行った。
(イ)原子、分子、イオンやラジカルを含有する気体中に含まれる、レーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、放電プラズマなどの発生装置で発生する、原子、分子、イオンやラジカルなどから選ばれる単一又は多成分を含む対象ガスの存在及び存在量を検出することを可能にするための対策。
(ロ)個々の測定を何回も長時間にわたって行い、その測定結果に基づいてモニタリングするために、個々の測定を何回も長時間にわたって可能にするための対策。
(2)上記の課題を解決するための対策に対応するために以下の手段を採用することについて検討した。
(イ)に対する対策として、以下のように考察した。計測の対象はレーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、熱プロセス装置、放電プラズマなどの発生装置で発生する、励起酸素、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどの原子、分子、イオン及びラジカル等の酸化性活性化学種全てを対象とするものである。このように多種類の活性化学種を測定対象とする場合には個々の物質の特性に注目すると個々の物質に対応するセンサを利用することを考えることが通例であることは、前述のとおりであり、問題の解決にならない。これらの活性化学種に共通する化学的な作用又は物理的な作用に注目し、その作用に対応するセンサに注目することが解決の糸口となる。励起酸素、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどの活性化学種に共通する化学的作用又は物理的な作用とは何かについて考察し、酸化性活性化学種に対しては気体状で作用する酸化反応であるという共通点であるという化学的、物理的な作用を示す内容に着目することが有効である。
(ロ)に対する対策として、以下のように考察した。
個々の測定を何回も長時間にわたって行い、その測定結果に基づいてモニタリングするために、個々の測定を何回も長時間にわたって可能にすることは、センサが時間の経過に伴って反応により消失する場合には、従来使用しているセンサの厚さを2倍量のものにすること、又は、1層の表面に更に1層を形成することが考えられる。又、測定時間についてモニタリングを意図して延長することを考えるのであれば、2層で形成するセンサの表面層が測定による反応により消失する場合にあっては、下の層は使用中に増加する層とすることにより、長時間にわたる測定が可能となる。
(3)以上の(イ)及び(ロ)の結果、以下のことが有効であると考え、実験で測定できることを確認した。
(イ)については以下の通りである。
振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する反応層と、前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層とが設けられ、前記反応層は単一層若しくは多層により構成され、前記反応層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数は増加する作用、又は前記反応層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数が減少する作用を有しており、前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層を有する酸化性活性化学種センサである。
(ロ)については以下の通りである。
振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する、第1層及び第1層上に形成される第2層からなる反応層が構成され、前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層とが設けられ、前記反応層の第2層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数を増加させる作用を有し、第2層の消滅後は、第1層が前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数を減少させる作用を有しており、前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層を有する酸化性活性化学種センサである。
(4)前記(3)の(イ)又は(ロ)のいずれかに記載の前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層と前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層は発振回路に接続された金属製のリードピン又は電極板が電気的に接触又は保持され、又、この電極間に交流電圧が印加されることにより、振動子による一定周期の振動数を発振周波数として検知する酸化性活性化学種センサである。
この酸化性活性化学種センサにより酸化性活性化学種の全てを対象として、一定時間のモニターを可能にする。
(5)酸化性活性化学種を含有する気体との反応により質量が減少する材料としては、炭素の同素体を含む化合物から選ばれる。炭素の同素体としてグラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブなどから選ばれる物質を挙げることができる。
(6)酸化性活性化学種を含有する気体との反応により質量が増加する材料としては、酸化によって質量が増加する無機材料、好ましくは銀を含む単一又は銀を主成分として含有する合金などから選ばれる。
(7)次に、「酸化性活性化学種センサの振動子が水晶振動板又はSAW(弾性表面波素子)デバイスであること」として、酸化性活性化学種センサの振動子の種類を具体的に特定した。
(8)又、「酸化性活性化学種を含有する気体は、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射又は放電プラズマによって生成されるもの」として、その発生源を明らかにした。
(9)前記(3)から(8)のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサと酸化性活性化学種を含有する気体とを接触させて、酸化性活性化学種センサの振動子の周波数を測定することにより酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量を測定することができる。
(10)前記酸化性活性化学種と反応する反応層から構成される構造の電極層に不活性ガスを供給する供給手段及び不活性ガスを供給後はシャッター機構によりモニター内部に密閉した状態に保つ酸化性活性化学種含有気体中の酸化性活性化学種の存在量の測定方法とし、酸化性活性化学種と振動子との反応が制御されるようにした。
(11)前記酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量の測定方法を経時的に行い、結果を記録することにより酸化性活性化学種含有気体中の酸化性活性化学種の存在量をモニターすることができる。
(12)酸化性活性化学種を含有する気体を供給する供給部、供給部に接続して前記酸化性因子となる酸化性活性化学種センサを内部に設置した酸化性活性化学種を含有する気体の流通部、流通部に接続して設けられた、酸化性活性化学種を含有する気体を排出する排出部からなる酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量を測定する装置を得ることができる。
(13)酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量の測定装置から得られる測定結果を経時的に記録する記録装置を接続することで、酸化性活性化学種の存在量の測定装置をモニターすることができる装置を得ることができる。
本発明によれば、レーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、放電プラズマなどの発生装置で発生する、励起酸素、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどの原子、分子、イオン及びラジカル全てを対象とする酸化性活性化学種の存在量を測定するための新規な酸化性活性化学種のセンサ、新規な酸化性活性化学種センサを使用した新規な酸化性活性化学種の測定方法及びその新規な測定装置を得ることができる。
本発明の酸化性活性化学種センサは以下の通りである。
振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する反応層と、前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層とが設けられ、前記反応層は単一層若しくは多層により構成され、前記反応層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数は増加する作用、又は前記反応層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数が減少する作用を有しており、前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層を有することを特徴とする酸化性活性化学種センサである。
前記反応層については、単一層として形成してもよいし、多層に形成することもできることを意味する。反応層を多層構成にする効果としては長時間の測定が可能となること、1素子で繰り返し使用する測定でも劣化が遅くすることができるなど、使用上およびコスト面で有利である。又、例えば、酸化性活性化学種1との反応率が高い層と酸化性活性化学種1との反応率が低い層を交互に積層した交互多層薄膜の構成とすることで、低濃度又は低酸化力の酸化性活性化学種1を検出する場合には、酸化性活性化学種1との反応率が高い反応層のみで検知し、検出の対象が高濃度又は高酸化力の酸化性活性化学種へ変化した場合には、前記の高反応率の反応層に加え、低反応率の反応層を併用して計測を行うことできるため、時々刻々と濃度又は酸化力が変化するような酸化性活性化学種1を長時間安定してモニターすることが可能となる。
上記のセンサを図1により説明する。
図1は、反応層が酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数が増加する作用を有する場合である。
振動子32の一方の表面には、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する反応層32と、前記反応層32の下面は原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層33とが設けられている。前記反応層32は単一層若しくは多層により構成される(図1では単一層の場合が示されている。多層の場合には、複数の反応層が積層されていることを示している。)。前記反応層32は前記酸化性活性化学種1との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数が増加する作用を有している。
前記反応層32の下面には原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層33及び振動子2及び振動子2のもう一方の面には酸化性活性化学種に不活性な電極層33が設けられおり、前記酸化性活性化学種1との反応により質量が減少し、その質量の減少を振動子の振動数が増加を振動子の振動数(発振周波数)でとらえ、電極層32により計測することにより、前記原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種を測定する。
図2は、反応層が酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数が減少する作用を有する場合を示している。
振動子32の一方の表面には、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する反応層31と、前記反応層31の下面はに原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層33とが設けられている。前記反応層31は単一層若しくは多層により構成される(図1では単一層の場合が示されている。多層の場合には、複数の反応層が積層されていることを示している。)。前記反応層31は前記酸化性活性化学種1との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する作用を有している。
前記反応層31の下面には原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層33及び振動子2及び振動子2のもう一方の面には酸化性活性化学種に不活性な電極層33を設けられおり、前記酸化性活性化学種1との反応により質量が増加し、その質量の変化を振動子の振動数が増加を振動子の振動数(発振周波数)でとらえ、電極層33により計測することにより、前記原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種を測定する。
図3は、反応層に酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数を減少させる反応層上に、酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数を増加させる反応層から構成される電極層からを積層するセンサである。
振動子2を鋏んで少なくとも一方の表面に、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する、第1層の反応層31及び第1層の反応層上に形成される第2層の反応層32が設けられ、前記第1層の反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層とが設けられ、前記第2層の反応層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数を増加させる作用を有し、第2層の消滅後は、第1層が前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数を減少させる作用を有しており、前記振動子2の他の表面に設けられた、前記酸化性活性化学種に不活性な電極層33と前記振動子の他の表面に設けられた振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層33を有することを特徴とする酸化性活性化学種センサである。
前記3種類の酸化性活性化学種センサにおいては、前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な電極層と前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な電極層は発振回路に接続された金属製のリードピン又は電極板が電気的に接触又は保持され、又、この電極間に交流電圧が印加されることにより、振動子による一定周期の振動数を発振周波数として検知することができる酸化性活性化学種センサである。
この酸化性活性化学種センサにより酸化性活性化学種の全てを対象として、一定時間のモニターを可能にする。
さらに、電極層33は、前記酸化性活性化学種1に直接曝露されないように好ましくは密閉構造とする(密閉構造については図示していない)。
密閉構造とすることで、電極層33は酸化性活性化学種1である酸化性の原子、分子、イオン及びラジカルとの化学反応による発振周波数の変化に寄与しないばかりか、わずかではあるが、電極層表面に存在する吸着サイトへのガス原子、分子の吸着、脱離による不要な周波数変化を抑制することが可能となる。ただし、これらの影響が酸化性活性化学種1による周波数変化よりも十分小さく、測定上支障にならないと判断できるような場合などはこの限りでなく、酸化性活性化学種の検出上、問題のない構成であればよい。
本発明の酸化性活性化学種1に対して不活性な電極層33の金属、又は無機系の材料の具体例としては、金や白金、若しくは耐酸化性処理なされた金属層や二酸化珪素などの無機系材料が上部に積層された金属層を挙げることができる。
酸化性活性化学種1の一部のみを反応層と反応させることで長時間の計測を目的とする場合には、上記二酸化珪素など無機系材料を反応層の上に直接又は間接的に配置した構成とすることが可能である。このような無機系材料には、測定対象である酸化性活性化学種1の一部のみを下層に透過するような貫通孔を持つ構造、又は多数の空隙を有する多孔質体構造で、酸化性活性化学種1のフィルターの役割を有するものが用いられる。このような貫通孔を持つ構造体としては、例えば、多数孔を有するパンチングメタルやガラス、セラミクス材質、若しくはマスクパターンを用いて反応層上に直接形成された薄膜やス薄膜の一部をマスクエッチングによって除去することで孔あけ処理した構成が挙げられる。又、多数の空隙を有する多孔質体構造は各種の印刷法若しくはゾルゲル法など公知の方法で形成することができる。
前記のような構成を用いる場合、事前に配置したフィルター構造に対する酸化性活性化学種の透過率(開口率)を求めておくことで、検出量に対する酸化性活性化学の実際の存在量を換算することが可能である。
上記のような電極層の構成の他、検知感度や測定条件によっては、酸化性活性化学種1に不活性な電極層33上の両面に酸化性活性化学種1の検知体である電極層31、32を各々積層して用いても良く、片面同様に、水晶振動板2の両面を検知面とすることが可能である。
本発明の測定対象である活性化学種は、各種のランプ光源、線源から発せられるレーザー、電子線、イオンビームやオゾナイザー、放電プラズマなどの発生装置から発生する原子、分子、イオンやラジカルである。酸化性活性化学種とは、より具体的には、励起状態の酸素、オゾン、酸素イオン、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどを含むガス中に含まれる強い酸化性を有する原子、分子、イオン及びラジカルの総称である。
測定対象である活性化学種は、これらの全体の存在量を計測する及びこれらを一定時間毎に全量を計測する。その結果を記録してモニターしようとするものである。
振動子2には水晶振動板又はSAW(弾性表面波素子)デバイスを用いる。
SAWデバイスは、水晶振動子の一種であり、圧電性結晶基板の上に金属薄膜の電極が形成された構造である。「SAW」とは、Surface Acoustic Waveで、圧電性結晶基板の固体表面を伝搬する機械的振動の波である。この基板の電極に電気信号を加えることによって、エネルギー変換を行い振動する現象のため、水晶振動子同様、表面上の質量変化(膜厚変化)によって振動数が変化する。特に、SAWデバイスは、高周波領域でも基板上の伝搬損失が少なく、電極表面が非常に敏感であることから、高感度検出が可能なデバイスとなっているが、あくまで水晶振動子の分類の一つである。
このように、高感度な特長ではあるが、一般の水晶振動子よりも電極が小さくなるため、使用用途や目的によって、通常の水晶振動子との利用の棲み分けが適時行われる。
振動子2として水晶振動板を用いる場合について説明する。使用する水晶振動板の形状は、一般に市販されている公知のものを適宜使用することができる。
この水晶振動板2は、測定対象、測定範囲など任意の条件下に基本発振周波数変化量を測定することが可能できる。円形の水晶振動板を利用する場合は、水晶振動板の直径は、概ね0.5〜20mm、より好ましくは1〜8mmの範囲内である。次に、水晶振動板2表面に形成される電極面の直径も概ね0.1〜19mm、より好ましくは1〜7mmの範囲内で形成された素子が使用できる。尚、水晶振動板2およびその表面に形成される電極面は必ずしも円形である必要はなく、基本発振可能な形状で測定に支障がなければ任意の形状のものを用いることができる。
水晶振動板2は、通常、表面粗さ0.6μm程度の公知の表面研磨仕上げがなされることにより十分に目的を達成することができる。検知特性の観点から述べると、測定環境の外的な変動因子などの影響を受けにくく、安定性向上の観点から、通常の研磨仕上げにさらに鏡面処理を施した表面粗さ0.06μm程度の水晶振動板を利用することが好ましい。鏡面仕上げの水晶振動板を利用した検知技術に関する発明は、本発明者らによる特願平2006−244836に記載されている通りである。
本発明の酸化性活性化学種センサ90の振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に形成する酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数が増加する反応層から構成される電極層32(図1の場合)、酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する反応層から構成される電極層31(図2の場合)、第1層31、さらに第1層上に形成される第2層32は(図3の場合)、酸化性活性化学種1を含有する気体との反応により、各々質量が減少/増加して、振動子板の振動数(発振周波数)を増加/減少することにより測定を行うものである。
振動子2の表面に形成する、酸化性活性化学種1を含有する気体との反応により質量が減少する電極層32、又は第2層の電極層32の成分は、炭素の同素体又は炭化水素を含む化合物により構成されている。
本発明でいう炭素の同素体とは、同一元素から成るが、その原子の配列や結合が異なり、性質が異なる単体を意味し、具体的にこのような材質の薄膜層としては、カーボン、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブなどから選ばれる単一成分又はこれらの複合成分が挙げられる。薄膜層を形成する場合には、これら炭素の同素体を公知の真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマCVD法、スピンコート法の手段により形成する。特にカーボンナノチューブなどのナノ構造の炭素同素体の薄膜層を振動子2上の不活性な電極層33上に安定して形成する場合には、まずニッケル(Ni)やコバルト(Co)などの金属触媒を形成した上で、熱CVD法などでナノカーボン構造を形成する方法が公知の技術として知られている。
炭化水素を含む化合物は、炭化水素を含む化合物をポリマー化して形成される
ポリマー層による層を意味する。
特にポリマーとして、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルジシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリ四フッ化炭素を挙げることができるがこの限りではない。形成方法の容易さや材料の入手し易さなどから考慮すると、より好ましくはポリイミド、ポリエチレン及びポリ四フッ化炭素である。これらは例えばディップコート法、スピンコート法、蒸着重合法、スパッタリング法など公知の技術により形成する。
振動子の振動数の変化させることは、酸化性活性化学種1と電極層32を形成する炭化水素を含む化合物とを反応させて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)のような揮発性有機物として飛散させることにより、若しくは酸化性活性化学種1の力学的な衝突によって電極層32が物理的にエッチングされる際に振動子板2の質量が減少することを利用する。
質量が減少する尺度は反応効率により表現される。炭化水素を主成分として含有する電極層に用いられる各材質の酸化性活性化学種との反応効率は、使用する酸化性因子となる原子、分子、イオン及びラジカルの形態やエネルギーの状態、圧力や周囲の雰囲気に大きく依存するため、明確に定義することは難しいが、その参考として、原子状酸素ラジカルとカーボン(C)の反応効率を1.0とすると、ポリイミドは2.0から2.55、ポリエチレンは3.3、ポリ四フッ化炭素は0.05となることが各種文献に記載されている(「宇宙環境利用のサイエンス」、井口洋夫監修、裳華房(2000年))。
酸化性活性化学種1を含有する気体との反応により質量が増加又は減少する層を選択する場合には、酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数が増加する反応層から構成される電極層32(図1の場合)、酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する反応層から構成される電極層31(図2の場合)、若しくは、第1層31、さらに第1層上に形成される第2層32(図3の場合)の構成について、それぞれ説明した。
前記図3の場合には、第1層31及び第2層32の2層の検知層の構成のみに限定して説明したが、3層以上の構成であっても差し支えない。その際には単一成分の層を3層以上積層した構成としても差し支えないし、電極層32に挙げた成分の層を積層してもよいし、2層以上の交互多層薄膜としてもよい。
例えば、酸化性活性化学種1との反応率が高いカーボン(C)と反応率が低いポリマーを交互に積層した交互多層薄膜の構成とすることで、酸化性活性化学種1の濃度が低い場合は酸化性活性化学種1との反応率が高いカーボン(C)層のみで検知し、高濃度になった場合は前記カーボン層に加え、酸化性活性化学種1となる原子、分子及びイオン及びラジカルとの反応率がカーボン(C)よりも低いポリマーを用いて計測することで長時間安定したモニターが可能となる。
測定時間に対する発振周波数の変化量を図に示すと図4の通りである。
図4において、酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数が増加する反応層から構成される電極層を用いる場合(図1の場合)は、実線で示し、前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数を減少する反応層から構成される電極層を用いる場合(図2の場合)は、点線で示した。
酸化性活性化学種計測時間の経過と共に発振周波数の変化量も増加又は減少する。上記のような電極層の積層構成とすることで、モニター90の構成部材である電極層32表面付近に存在する酸化性活性化学種1を含有する気体は、炭素の同素体又は炭化水素を含む化合物の電極層32との化学反応により、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)のような揮発性有機物として飛散除去、若しくは物理的衝撃によってエッチングされる。このときの反応による電極層32の厚み減少に応じた発振周波数の増加シフト量が、酸化性活性化学種1の作用量として図4実線に示すように計測される。
一方、酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する反応層から構成される電極層31(図2の場合)、第1層について酸化性活性化学種1を含有する気体との反応により質量が増加する層を選択する場合(図3の場合)には、第1層は酸化性活性化学種1との反応により質量が増加して振動子の振動数(発振周波数)を減少させるものであり、純銀(Ag)又は銀の合金、具体的には、銀(Ag)と白金(Pt)、銀(Ag)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)とロジウム(Rh)、銀(Ag)と銅(Cu)を例示することができるがこの限りではなく、合金の組成比は任意の組成比を採用することができる。また、単一層でも、使用上の問題が無く、本来の目的を有するのであれば構わない。
この構成の測定時間に対する発振周波数の変化量を図に示すと図4の点線で示したとおりである。時間の経過と共に発振周波数の変化量も減少する。
図3の構成の場合、図5にその周波数変化例を示した通り、酸化性活性化学種1が高濃度の場合や長時間モニタリングを行った場合、第2層の炭素又は炭素を含む化合物により構成される層は徐々に反応が進行し、ついには完全に消失して、下の層である第1層の純銀(Ag)又は銀の合金からなる層が表面に露出する。第1層は酸化性活性化学種1との反応により質量が増加するので、発振周波数変化量は一転して減少方向へ変曲し、例えば周波数計測器に公知の微分演算等の手段を備えておくことで、電極層32の消失を自動で確実に計測することができる。
従来、酸化性活性化学種1との反応によって検知用の電極層が消失した場合、その下層に存在する電極層において、測定環境によっては、ガス種やイオン種等の物理的な衝撃や吸脱着、その他環境因子に起因する発振周波数の変動が酸化性活性化学種のモニター量として検知される恐れがあったが、上記のような構成とすることでこのような誤検知は皆無であり、酸化性活性化学種1の精密計測を行うことができるため、測定方法として非常に有用である。
上記のような構成では、第1層の電極層31も酸化性活性化学種1の検出に寄与しているが、第2層の電極層32を、電極層31の上部に積層形成すること(図3の場合)が有効である理由として、銀を主成分として含有するような構成の電極層31は初期段階では酸化性活性化学種1と効率良く反応するが、徐々にその表面や膜内部に酸化銀が形成されて質量や厚みの増加が飽和し、すなわち周波数減少量が飽和してしまい、酸化性活性化学種1の長時間のモニタリングが困難となるためである。一方、炭素を主成分として含有する電極層32は上述の通り、酸化性活性化学種1の種類や濃度が変化しない限り、また、電極層32自体が消失しない限り、常に一定の反応速度で酸化性活性化学種1と反応、除去されるため、上記のような構成とすることで、常時、酸化性活性化学種1の正確な計測が可能である。
このように酸化性活性化学種量が低濃度か高濃度か全く未知のプロセスへ本発明の計測を適用する場合には、上記、図1から3までに例示した3つの構成のセンサ全てを選択して任意の箇所に複数並べて配置して、それぞれ酸化性活性化学種を事前に検出しておいて、プロセス計測に最適な構成を選択するようにしても良い。
これら成分による前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数を増加させる反応層から構成される電極層(図1の場合)、前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数を減少させる反応層から構成される電極層(図2の場合)、第1及び第2の電極層(図3の場合)を形成する際には、水晶振動板2の全面、又は水晶振動子板2の一部にパターニングされた任意の形状で、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマCVD法、スピンコート法などの公知の成膜方法を適宜採用する。
水晶振動板2と薄膜電極層31、又は水晶振動板2と薄膜電極層33との十分な密着性を確保するために、各々層間にチタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)などの薄膜密着層を適宜挿入することができる。尚、この薄膜密着層の形状、仕様は一般的に利用されている通りの公知の形状及び仕様が採用される。これらにより得られる特性は、本発明の振動子に直接影響を与えるものではない。
電極層31、32及び33は、上記水晶振動板の発振の妨げとならず、且つ確実に電極として機能する膜厚、概ね10nmから1μmの範囲内、より好ましくは300〜500nmの範囲内で、各々、薄膜電極層として測定に良好な任意の形状で形成することができる。
水晶振動板2については、水晶振動板自体の質量が減少すると感度が良好になることが知られており、本発明では、この関係を層の質量変化に組み合わせて感度よく発振周波数変化量を測定するものである。
質量付加量Δm及び振動周波数の変化量Δfの関係は、Sauerbrey により導かれており(G. Sauerbrey, Z. Phys. 155, 1959, 206)、次式で表すことができる。
Figure 0005231914

ここに、f は水晶振動板の主基本周波数、Aは電極の面積、μq は水晶のせん断弾性係数、ρqは水晶の密度である。例えばATカット面で切り出した水晶振動板の場合、水晶振動板の厚さtと主基本周波数fの間には、次式の関係がある。
Figure 0005231914

従って、主基本振動数fを高くするほど、即ち、水晶振動板自体の厚さtを薄くするほど質量センサとしての感度が高くなることが分かる。即ち、水晶振動板自体の厚さを薄くすることは、水晶振動板自体の質量を軽くすることと同義である。
以上の関係から、使用に際して、水晶振動板は、主基本周波数fが高いものを使用すると感度が高くなり、このことを利用すると、測定の精度が向上することが分かる。
測定対象、測定範囲など任意の条件に良好な任意の主基本発振周波数の素子を利用することが可能であり、その周波数範囲としては概ね1〜100MHz、より好ましくは3〜20MHzの範囲内の発振周波数を有する素子が使用できる。
また、上記のように本発明では水晶振動板についてのみ詳細な原理を記載したが、本考案の質量変化を測定する圧電素子の振動を利用するという測定原理上、同類のものとして公知のSAW(弾性表面波素子)デバイスを用いる構成も利用可能である。
前記酸化性活性化学種センサ90と酸化性活性化学種1を含有する気体とを接触させて、振動子の発振周波数変化量を測定することによる酸化性活性化学種1を含有する気体中の酸化性活性化学種1の存在量の測定方法及びその測定装置について、図6及び図7を用いて説明する。
酸化性活性化学種1を含有する気体の発生源(図7ではプラズマ源70)を経て、酸化性活性化学種1を含有する気体を供給する供給部(図7ではリモート酸素プラズマ供給部80)が設けられており、供給部から離れた場所で、酸化性活性化学種1を含有する気体が通過する場所に、酸化性活性化学種センサ90を設置する。
酸化性活性化学種センサ90には、前記水晶振動子2を鋏んで少なくとも一方の表面に、酸化性活性化学種1を含有する気体と反応する第2層(図6、32)、さらに第2層の下部に形成される第1層(31、図6では第2層の下部に設置されているために示されていない)とから構成される電極層に不活性ガス5を、水晶振動子板2を保持しているマウントに設けられたガス供給孔4から、電極層32の表面近傍に供給する。供給後、電極層32の上部と電極層の周囲の間に設置されたシャッター機構6が閉じられ、不活性ガスが内部に封鎖される。その結果、不活性雰囲気が保たれる。
上記のような構成とすることで酸化性活性化学種1が高濃度な場合、ごく短時間で電極層32が消失、または電極層31が表面酸化されて水晶振動板の発振が停止し、計測の続行やモニターが続行できなくなるといった不具合を防止することができる。
又、不活性ガス5の供給に加えシャッター機構6により電極層31および32を不活性ガス雰囲気で密閉することで、酸化性活性化学種1と電極層31および32との反応を抑制、制御することが可能となる。即ち、電極層31および32は常時、酸化性活性化学種1に曝されることがなくなるため、電極層の長寿命化を図ることができる。尚、シャッター機構6は必ずしも例示した形状、構造である必要はなく、同等な性能を有していれば形状、構造について明確な定義はなく、不活性ガス5としては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスなどが挙げることができ、何れも本発明で用いることができる。
又、ここでは図示していないが、本発明の酸化性活性化学種センサの信号測定としては、測定発振周波数を高感度高精度で測定できればよく、単純な公知の周波数測定器、周波数カウンタのみでも測定上支障がなければ構わない。このように、基準発振信号や多数のミクサを必要としない簡便なセンサとして利用可能な構成である。
さらに、酸化性活性化学種1を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量の測定装置から得られる測定結果を経時的に記録する記録装置を接続することにより、酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量のモニターした結果を記録して打ち出すことができる。
又、上記、測定結果の記録装置に出力機能を設けて、一定量の酸化性活性化学種が得られるように、記録装置から酸化性活性化学種生成手段に対して公知の技術を利用してフィードバック制御を行うようにしてプロセスを制御することができる。
以下、本発明の具体的態様の例を示す。
実施例1では、図3に示す構成の振動子を用いた。第1層の電極層31として膜厚約100nmの銀(Ag)薄膜を、第2の電極層32として膜厚約40nmのカーボン(C)薄膜を、第3の電極層33として膜厚約200nmの金(Au)薄膜をそれぞれATカット水晶振動板2上に真空蒸着法にて形成し、ここでは図示されないリードピンを電極層31と32及び電極層33に接触、発振回路、および周波数カウンタに接続し、9MHzの基本発振周波数で動作させた。
上記構成の酸化性活性化学種センサ90を図7に示すような減圧装置内に組込み、ここでは図示されない減圧排気手段によって減圧装置内部を2×10Pa以下まで排気後、酸素ガスを圧力2.0×10Paまで供給、保持し、ここでは詳しく図示されない石英ガラス管の外周に電極対を設けたプラズマ源70の電極間に高周波(13.56MHz)電界を電力100Wで印加することで、リモート酸素プラズマ80を発生させ、プラズマ源70のプラズマ吹き出し口とモニター装置90間の距離を約20mm隔てた状態にし、発振周波数変化量を計測することで、リモート酸素プラズマ80から生成する酸化性活性化学種1の計測及びモニターを行った。
尚、ここでは図示されていないが、プラズマ源70の石英管を介して確認される発光を発光分光分析器にてモニタリングしたところ、原子状酸素ラジカル及び分子状酸素ラジカルに帰属する発光ピークが確認された。一方、プラズマ源70から減圧装置内部に吹き出したリモート酸素プラズマ80自体の発光は、目視でプラズマ源70からの発光と比較しても非常に弱く、ここでは図示されない減圧装置に設けられた石英ガラス製のビューポートを介して分光分析を試みたが、原子、分子、イオン及びラジカル何れの発光ピークも観測されなかった。
さらに、真空フィードスルーを介して、チャンバー内部に分光測定用の石英ファイバーを導入配置し、リモート酸素プラズマ80の発光分光分析を行ったところ、プラズマ発生源70のプラズマ生成箇所と比較して、1/100以下程度の発光強度しか得られず、正確なモニタリングは困難であった。このように、従来法によるモニタリングでは酸化性活性化学種の分析が難しく、実用上、課題が多い。
これから、電極層32の質量減少による周波数増加量さらに電極層32の消失により、電極層31の質量増加に伴う周波数減少量をそれぞれ一定時間経過ごとに計測し、モニターを行った。結果を図8中の実点で示した。また、比較として、酸化性活性化学種1に不活性な金(Au)蒸着層のみを水晶振動板2両面上に形成して、同様なモニターを行ったところ、図8中の白点で示すように、周波数の変化はほとんど確認されなかった。
上記実施例では、酸化性活性化学種1の生成源としてプラズマ源70を用いた例を開示したが、これ以外の装置であっても計測及びモニターすることができる。本発明のモニター装置によれば、紫外放射ランプ光源などによって生成される酸化性活性化学種においても、同様な検知特性を発現することが可能である。
実施例2では、ポリマーを用いた場合の酸化性活性化学種の計測の妥当性について検証した。まずATカット水晶振動板2上に、第1及び第3の電極層33として膜厚約200nmの金(Au)薄膜を真空蒸着法にて成膜した。つづいて、アルゴンなど不活性イオン種の衝撃によるターゲットと呼ばれる固体材料の真空中への放出(スパッタリング現象)を利用した薄膜形成方法である公知の高周波スパッタリング法を用い、ポリイミドフィルムをターゲット材料として、第1の電極層33上にポリマー薄膜を膜厚約300nmで、第2の電極層32として形成し、図9に示すような構成のセンサヘッドに組み込んだ状態で6MHzの基本発振周波数で動作させた。
上記構成の酸化性活性化学種センサ90を実施例1同様、図7に示すような減圧装置内に組込み、プラズマ源70のプラズマ吹き出し口とモニター装置90間の距離を約35mm隔てた状態にて、酸素ガス圧力2.5×10Paで、ここでは詳しく図示されない石英ガラス管の外周にスパイラル状の電極コイルを設けた誘導結合プラズマ源70に高周波(13.56MHz)電界を200、250、300Wでそれぞれ印加したときの発振周波数変化量を計測した。
このときのモニター結果を図10に示した。図に示す通り、時間とともに発振周波数が増加しており、又、高周波電力の増加に伴い、周波数増加量の変化量が増大しており、リモート酸素プラズマ80中に存在する酸化性活性化学種の検出がポリマーによる測定体を用いても可能であることが判明した。また、図11に示した通り、実施例1のカーボン薄膜測定体では時間による周波数変動率(量)が大きく、一定時間計測後にその変化が飽和する傾向が得られているが、本構成のようなポリマー測定体を用いることで、変動率(量)が小さく、かなりの長時間経過しない限り飽和しないため、長時間にわたり酸化性活性化学種の計測が可能となり、最適な膜厚(膜量)、膜質(材質)を利用することによって最適なプロセス測定条件を明確にすることが可能である。
実施例3では、半導体用有機系レジスト材料を酸化性活性化学種の検出体として用いた。実施例2と同様、第1及び第3の電極層33として膜厚約200nmの金(Au)薄膜を真空蒸着法にて形成後、第2の電極層32として日本ゼオン製電子線用レジスト材料(ZEP520A)をスピンコート法により膜厚約400nmでATカット水晶振動板2上に形成し、図9に示すような構成のセンサヘッドに組み込んだ状態で6MHzの基本発振周波数で動作させた。
上記構成の酸化性活性化学種センサ90を実施例1、2同様の減圧装置内に組込み、プラズマ源70のプラズマ吹き出し口とモニター装置90間の距離を約25mm隔てた状態にて、酸素ガス圧力1.3×10Paで、高周波(13.56MHz)電界を100W一定で印加したときの発振周波数変化量を計測した。
このときのモニター結果を図12に示した。図に示す通り、時間とともに周波数が直線的に増加し、リモート酸素プラズマ80中に存在する酸化性活性化学種の検出が市販のレジスト材料を用いても可能であることが判明した。さらに、一定時間経過後には周波数変化が飽和しており、検出体である薄膜層32の消失が検知された。即ち、本方式のようなセンサ構成を用いることで、酸化性活性化学種量の検出のみならず、有機系レジスト除去のプロセスにおいてウェハー基板に塗布するものと同一のレジスト材料を振動子上に形成しておくことで、レジスト除去量のリアルタイムモニターが可能となるため、プロセスの歩留まり向上の観点から非常に有用である。
以上の実施例では、水晶振動子の周波数変化量の結果のみを例示したが、水晶振動子上に形成される酸化性活性化学種検出体(電極層32)の膜厚、密度等は既知であるため、計測した周波数変化量と検出体の基本物性値から、酸化性活性化学種量や検出体の残存膜厚などを演算、記録、表示することは容易に実現可能である。
以上の結果から、本発明の酸化性活性化学種の計測及びモニター方法、並びに計測装置及びモニター装置を用いることによって、酸化性活性化学種を安定してモニターすることが可能である。また、本発明の構成によって、酸化性活性化学種の測定体である電極層の消失を検知することができる。
前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数が増加する反応層を用いる場合の一例を示す酸化性活性化学種センサの模式図である。 前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する反応層を用いる場合の一例を示す酸化性活性化学種センサの模式図である。 前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して振動子の振動数が増加する反応層上に、前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して振動子の振動数が減少する反応層を積層して用いる場合の一例を示す酸化性活性化学種センサの模式図である。 本発明の実施態様の周波数変化の一例を示す図である。 本発明の実施態様の周波数変化の一例を示す図である。 本発明の実施態様の一例を示す計測装置の概略模式図である。 本発明の実施例で用いた酸化性活性化学種生成及び計測装置を示す模式図である。 実施例1における酸化性活性化学種の計測結果の一例を示す図である。 実施例2及び3における計測装置を示す模式図である。 実施例2における酸化性活性化学種の計測結果の一例を示す図である。 実施例2における酸化性活性化学種の計測結果の別の一例を示す図である。 実施例3における酸化性活性化学種の計測結果の一例を示す図である。
符号の説明
1・・・酸化性活性化学種
2・・・水晶振動板
31・・・第1の電極層
32・・・第2の電極層
33・・・第3の電極層
4・・・ガス供給孔
5・・・不活性ガス
6・・・シャッター機構
70・・・プラズマ源
80・・・リモート酸素プラズマ
90・・・酸化性活性化学種センサ

Claims (10)

  1. 振動子と、
    前記振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に設けられ、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する反応層と、
    前記振動子と前記反応層との間に設けられ、前記酸化性活性化学種に不活性な第1電極層と、
    前記振動子の、前記表面とは他の表面に設けられ、前記振動子の振動数を計測する、前記酸化性活性化学種に不活性な第2電極層とを備え、
    前記反応層は、
    前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより前記振動子の振動数を減少させる第1層と、
    前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより前記振動子の振動数を増加させる第2の層とを有し、
    前記反応層は、前記第1層及び前記第2層の積層体であり、前記第1電極層上に前記第1層が形成され、該第1層上に前記第2層が形成されていることを特徴とする酸化性活性化学種センサ
  2. 振動子を鋏んで少なくとも一方の表面に、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種と反応する、第1層及び第1層上に形成される第2層からなる反応層が構成され、前記反応層の下に原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性活性化学種に不活性な第1電極層が設けられ、前記反応層の第2層は前記酸化性活性化学種との反応により質量が減少して、それにより振動子の振動数を増加させる作用を有し、第2層の消滅後は、第1層が前記酸化性活性化学種との反応により質量が増加して、それにより振動子の振動数を減少させる作用を有しており、前記振動子の他の表面に設けられた、振動子の振動数を計測する、酸化性活性化学種に不活性な第2電極層を有することを特徴とする酸化性活性化学種センサ。
  3. 前記第1電極層と前記第2電極層は発振回路に接続された金属製のリードピン又は電極板が電気的に接触又は保持され、又、この電極間に交流電圧が印加されることにより、振動子による一定周期の振動数を発振周波数として検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化性活性化学種センサ。
  4. 前記第1層が、炭素の同素体から選ばれる単一成分又は複合成分を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサ。
  5. 前記第2層が、炭化水素を含む樹脂による薄膜層であって、炭化水素を含む樹脂がポリマーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサ。
  6. 前記第層が、銀又は銀の合金から選ばれる化合物により形成される層であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサ。
  7. 前記振動子は水晶振動板又はSAW(弾性表面波素子)デバイスであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサ。
  8. 前記酸化性活性化学種は、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射又は放電プラズマによって生成されるものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の酸化性活性化学種センサ。
  9. 前記酸化性活性化学種を含有する気体を供給する供給部、
    供給部に接続して請求項1からのいずれかに記載の酸化性活性化学種センサを内部に設置した酸化性活性化学種を含有する気体の流通部、および
    流通部に接続して設けられた、酸化性活性化学種を含有する気体を排出する排出部
    を備えることを特徴とする酸化性活性化学種を含有する気体中の酸化性活性化学種の存在量の測定装置。
  10. 請求項に記載の測定装置に、さらに、得られる測定結果を経時的に記録する記録装置接続されていることを特徴とする酸化性活性化学種の存在量の測定装置。
JP2008243596A 2007-09-27 2008-09-24 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置 Expired - Fee Related JP5231914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008243596A JP5231914B2 (ja) 2007-09-27 2008-09-24 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007250557 2007-09-27
JP2007250557 2007-09-27
JP2008243596A JP5231914B2 (ja) 2007-09-27 2008-09-24 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009098133A JP2009098133A (ja) 2009-05-07
JP5231914B2 true JP5231914B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=40701264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008243596A Expired - Fee Related JP5231914B2 (ja) 2007-09-27 2008-09-24 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5231914B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013035304A1 (ja) * 2011-09-05 2013-03-14 独立行政法人産業技術総合研究所 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法
CN104541148B (zh) * 2012-08-10 2018-06-05 富士通株式会社 Qcm传感器及其制造方法
JP6125969B2 (ja) * 2013-10-07 2017-05-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 殺菌パウチ、殺菌システム、殺菌方法および活性酸素種インジケータ
JP5885049B2 (ja) 2013-10-17 2016-03-15 Dic株式会社 重合性液晶組成物の製造方法
KR101714209B1 (ko) * 2015-09-04 2017-03-08 현대자동차주식회사 수정진동자를 구비한 pm센서, 그 제조방법 및 운용방법
JP7237934B2 (ja) * 2017-08-25 2023-03-13 インフィコン インコーポレイティッド 製造工程の監視のための水晶振動子マイクロバランスセンサ及びそれに関連する方法
JP7348873B2 (ja) * 2020-03-31 2023-09-21 太陽誘電株式会社 センサ素子及びガスセンサ

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2678223B2 (ja) * 1989-04-14 1997-11-17 株式会社日立製作所 腐食環境監視方法及びその装置
JP3146610B2 (ja) * 1991-03-25 2001-03-19 富士ゼロックス株式会社 ガス検知装置
JP3301144B2 (ja) * 1993-03-04 2002-07-15 松下電器産業株式会社 一酸化炭素検出素子
JP3319055B2 (ja) * 1993-08-06 2002-08-26 日新電機株式会社 水晶振動子式ラジカルビームモニタ
JPH07225184A (ja) * 1993-12-13 1995-08-22 Hochiki Corp 腐食性ガス判定装置
JPH08332371A (ja) * 1995-06-06 1996-12-17 Advanced Display:Kk 紫外線処理方法およびそれに用いる装置
JP2000065708A (ja) * 1998-08-25 2000-03-03 Toto Ltd センサ素子、その製造方法およびそれを用いた生体成分分析装置および尿成分分析装置
JP2000246200A (ja) * 1999-02-26 2000-09-12 Iwasaki Electric Co Ltd 表面処理装置
JP3643521B2 (ja) * 1999-07-29 2005-04-27 株式会社日立製作所 腐食環境監視装置
JP2001242057A (ja) * 2000-02-28 2001-09-07 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti 簡易小型ガスまたは大気中浮遊微粒子検出装置
JP2004340766A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Hitachi Ltd 化学物質検出装置
US7681449B2 (en) * 2006-02-28 2010-03-23 Exxonmobil Research And Engineering Company Metal loss rate sensor and measurement using a mechanical oscillator

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009098133A (ja) 2009-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5231914B2 (ja) 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置
US8823941B2 (en) Detection device
US7639355B2 (en) Electric-field-enhancement structure and detection apparatus using same
US9121754B2 (en) Surface acoustic wave monitor for deposition and analysis of ultra-thin films
US20060054881A1 (en) SERS-active structures including nanowires
JP5935492B2 (ja) 光学デバイス及び検出装置
JP2008083036A (ja) センサ基板およびこれを用いた複合センサ
JP4500967B2 (ja) 物質吸着検知方法およびセンサ
CN110441242A (zh) 基于金刚石微悬臂梁的气体检测系统和方法
JP2014190909A (ja) 光学デバイス、検出装置及び電子機器
JP5796395B2 (ja) 光学デバイス、検出装置及び検出方法
JP4527663B2 (ja) センサ、センサ機構、および測定方法
JP2016003946A (ja) 電場増強素子、分析装置、及び電子機器
JP5341918B2 (ja) トリアセトントリペルオキシドを検出する装置および方法
JP2013246115A (ja) 光学デバイス及び検出装置
JP4973441B2 (ja) 雰囲気分析装置及び雰囲気分析方法
US6977506B2 (en) Method of analyzing gas using quartz oscillator and apparatus therefor
US8536873B2 (en) Substance detection method and substance detection device
JP2015141068A (ja) ラマン分光装置、及び電子機器
JP2017138340A (ja) 検出装置
Hallil et al. Guided SH-SAW sensor based on DWNTs sensitive material for VOCs and humidity detection
JP2020153904A (ja) センサ基板の製造方法、センサ基板および検出装置
JP6171469B2 (ja) 検出装置
Hallil et al. Love wave gas sensor based on DWNTs sensitive material
Yap et al. Low Loss Performance of Two-Port SAW Resonator Sensor with Electrophoretically Deposited Graphene Oxide on Reflectors

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090331

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091224

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110915

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111013

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20120210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120213

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120712

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130322

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5231914

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees