JP3643521B2 - 腐食環境監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、腐食環境中における金属の腐食量、並びに、その腐食性物質の種類と濃度を同時に、かつ、連続的に監視する腐食環境監視装置、特に大気の腐食環境監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種機器の製造工程、あるいは、その使用中における腐食の発生は、機器の外観を損なうだけでなく、誤作動の原因となる。特に、容易に修理や交換のできない機器においては、その誤作動により機器の信頼性を損なうだけでなく、修理や交換、さらには不意の機器停止等により莫大な費用の支出が発生する。
【0003】
水溶液中では、水自身が金属を腐食させる酸化剤として作用し、さらに海水中ではそれに含まれるNaCl等の塩化物イオンが腐食を加速させる作用がある。
【0004】
上記に対し大気中では、大気に含まれる酸素や水蒸気(湿度)に加えて、亜硫酸ガス、硫化水素、塩素等のガスが金属の腐食を加速させる。
【0005】
また、こうした腐食性ガスには、製鉄工場における亜硫酸ガス,窒素酸化物,硫化水素等のガス、上下水処理場においては殺菌処理に用いられる塩素系ガスやオゾン、処理水中から発生するアンモニアや硫化水素等の還元性硫化物ガス、化学工場においては、製造工程で発生する亜硫酸ガスや塩素ガス、半導体等のデバイス製造工場では使用される塩酸,硫酸,硝酸,フッ化水素などの酸性ガスが挙げられる。
【0006】
水溶液中における腐食環境や腐食の進行状況を把握する手段としては、腐食防食協会編集、1993年の材料環境学入門、第274頁(丸善株式会社出版)に記載のように、電気化学的測定法により腐食速度や水溶液中に含まれる腐食性物質の濃度を求める方法が知られている。
【0007】
一方、大気中における腐食速度を求める方法としては特開昭63−83659号公報に記載のように、供試材料を絶縁薄膜を介して積層した電極積層体を結露させ、この時の電極間に流れる電流を計測することにより供試材料の腐食速度を求める方法や、1994年腐食防食協会発行、材料と環境、第43号、第550頁記載のように、炭素鋼板上に絶縁ペーストを部分的に塗布し、該絶縁ペースト上に導電ペーストを塗布,積層したものを用い、炭素鋼板と導電ペーストとの間に流れる電流を計測することにより、その上に付着した海塩粒子等の付着量を計測する方法が知られている。
【0008】
また、1994年腐食防食協会発行、材料と環境、第43号、第378頁に記載のように、水晶振動子基板上に堆積させたニッケル薄膜の腐食量を計測する方法が知られている。
【0009】
一方、大気中に存在するガスの濃度を測定する方法として、日本では「大気汚染防止法」に公定法として定められている湿式法や、紫外線吸収により励起したSO2分子から発生する蛍光強度や、NOとO3が反応するときに発生する化学発光強度を測定することにより、それらのガス濃度を検出する方法が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の電流の計測により大気中における腐食速度を測定する方法では、測定環境の相対湿度が低くて、電極基板が結露しない場合には計測できないと云う問題がある。即ち、相対湿度が低い場合は、電気を流すために必要十分な水膜が形成されず、電極間に電流が流れないために計測不可能となる。
【0011】
また、前記大気腐食速度の測定法はいずれも腐食速度のみを計測し、大気中の腐食性ガス成分の種類やその濃度を測定することはできない。
【0012】
一方、上記大気中の腐食性ガスを計測する方法では、NOとNO2のような同一種類のガス成分は、1つの計測装置で測定できるが、異なった種類のガスを測定するためには、そのガス成分の種類だけ計測装置を揃えなければならず、計測装置の維持管理が煩雑になると云う問題がある。
【0013】
圧電基板を用いたセンサとしては、特開平4−307351号公報のように、腐食センサとして用いられているが、このセンサを用いて複数の金属の腐食量と環境中のガス成分濃度や湿度を測定するためには、検出する成分数だけのセンサを設置しなければならない。即ち、2種類の金属の腐食量と4成分のガス濃度と湿度を計測するためには合計6種類のセンサを設置して計測する必要性がある。さらに、想定外のガスが存在した場合は、センサを設置していないのでこれを計測することができないと云う問題がある。
【0014】
本発明の目的は、腐食環境中に存在する腐食性物質の種類と、環境中の金属の腐食量を監視できる腐食環境監視装置の提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明の要旨は次のとおりである。
【0016】
〔1〕 複数個の圧電素子表面に、該圧電素子毎に異なる種類の金属薄膜が形成され、測定環境中に配置し、前記金属薄膜を形成した各圧電素子を発振回路によりそれぞれ発振させて、前記各圧電素子から出力される周波数の時間的な変化を測定し、該時間的な変化を予め求められた前記金属薄膜に対する周波数の時間的な変化との関係に基づいて、前記環境中の腐食性物質または腐食性ガス種類と濃度および/または前記金属薄膜の腐食量を検出するできるよう構成したことを特徴とする腐食環境監視装置。
【0017】
〔2〕 大気中に配置した複数個の圧電素子の基板面に導電性薄膜が形成され、該導電性薄膜面には圧電素子毎に異なる種類の金属薄膜が堆積されており、
前記金属薄膜を形成した各圧電素子を発振回路によりそれぞれ発振させ、その大気中の腐食性物質または腐食性ガスについてその種類と濃度および/または金属薄膜の腐食量を、発振周波数の変化から計測できるよう構成したことを特徴とする腐食環境監視装置。
【0018】
〔3〕 前記測定環境中に温度センサおよび湿度センサの少なくとも一方が配置されている前記〔1〕または〔2〕に記載の腐食環境監視装置。
【0019】
〔4〕 大気中に配置した複数個の圧電素子の基板面に導電性薄膜が形成され、該導電性薄膜面には圧電素子毎に異なる種類の金属薄膜が堆積されており、
該圧電素子には温度および湿度の計測手段が併設されており、
前記金属薄膜を形成した各圧電素子を発振回路によりそれぞれ発振させ、その大気中の腐食性物質または腐食性ガスについてその種類と濃度および/または前記金属薄膜の腐食量を、発振周波数の変化から計測できるよう構成したことを特徴とする腐食環境監視装置。
【0020】
〔5〕 前記金属薄膜を形成した各圧電素子を発振回路によりそれぞれ発振させ、その大気中の腐食性物質または腐食性ガスの種類とその濃度および/または前記金属薄膜の腐食量を、前記発振周波数の変化に基づき同時、かつ、連続的に計測できるよう構成した前記の腐食環境監視装置。
【0021】
〔6〕 前記圧電素子が、水晶振動子または弾性表面波デバイスで構成されている前記の腐食環境監視装置。
【0022】
〔7〕 前記の腐食環境監視装置において、大気中からの付着物量を計測する付着物量計測手段を備えたことを特徴とする腐食環境監視装置。
【0023】
〔8〕 前記付着物量計測手段が、基板面に腐食性物質とは反応しない導電性薄膜が形成された圧電素子であって、該圧電素子を発振回路により発振させ、その発振周波数の変化に基づき同時、かつ、連続的に付着物量を計測する前記〔7〕に記載の腐食環境監視装置。
【0024】
〔9〕 前記付着物量計測手段が、絶縁層上に形成された一対の電極、該一対の電極間に直流電圧または交流電圧の印加手段、前記一対の電極間の直流抵抗またはインピーダンス値により付着物量を計測する前記〔7〕に記載の腐食環境監視装置。
【0025】
〔10〕 前記付着物量計測手段が、絶縁層上に形成された一対の電極を有し、該電極の一方が腐食監視対象金属と同じ金属で形成され、もう一方が導電性材料で形成されており、両電極間の電気化学的電位差により生じる直流値により付着物量を計測する前記〔7〕に記載の腐食環境監視装置。
【0026】
〔11〕 前記圧電素子の発振周波数の変化に基づき計測された計測結果に基づき大気中の腐食性物質または腐食性ガスについてその種類と濃度および/または前記金属薄膜の腐食量を、予め入力されたデータに基づき推定する演算処理装置と、該演算処理装置による各演算結果を表示する表示装置を備えた前記の腐食環境監視装置。
【0027】
〔12〕 前記演算処理装置による各推定演算値が所定の値に到達すると警報を発する警報発生手段を備えている前記〔11〕に記載の腐食環境監視装置。
【0028】
前記のように圧電素子基板に異なる種類の金属薄膜をそれぞれ堆積させた圧電素子を複数大気中に配置し、発振回路により各圧電素子を発振させ、各素子の周波数変化を連続的に監視することにより達成される。
【0029】
本発明の原理を圧電素子として水晶振動子を用いて説明する。金属薄膜を堆積させた水晶振動子基板を発振回路により発振させると、堆積させた金属の質量に比例して、一定の周波数で発振する。
【0030】
この金属薄膜が腐食すると、腐食生成物の形成により堆積させた金属の質量が変化する。この質量変化は式〔1〕に従って、水晶振動子の振動数変化と関係付けられる。
【0031】
【数1】
Δf=−kf0 2(Δw/A) …〔1〕
ここで、f0は水晶振動子の初期周波数、Δfは周波数変化量、Δwは質量変化量、Aは金属薄膜を堆積させた面積、kは定数である。
【0032】
例えば、初期周波数9MHzの水晶振動子を用いると、腐食により金属薄膜が0.5ng/cm2質量の増加を1Hzの感度で測定できる。
【0033】
本測定方法は、基本的に水晶振動子の周波数をモニタリングするものであるが、データ記録装置を併設することにより、容易に連続計測が可能となる。
【0034】
さらに、水晶基板に異なる種類の金属を堆積させた複数個の水晶振動子を用いることにより、その金属の種類毎の腐食量を連続計測することができる。
【0035】
金属の腐食感受性は、腐食性ガスに対してそれぞれ異なる特性を示す。例えば、AgやCuはH2Sガスでは両金属とも容易に腐食するが、HClガスの場合には、Cuに比べてAgは腐食しにくいと云う特性がある。
【0036】
また、Feは大気中の相対湿度の増加により腐食速度が増大するが、AgやAlは相対湿度が増加しても殆ど腐食速度に変化がない。
【0037】
本発明ではこうした特性を利用して、金属の腐食量と同時に大気中の腐食性ガスの種類、および、その濃度を測定する。即ち、複数の金属を堆積した振動子を大気中に曝露し、各金属の腐食量を前記式〔1〕に記載の方法で連続計測する。この各金属の腐食変化量の比を、予め求めた標準データと比較することにより、金属の腐食量と同時に大気中の腐食性ガス成分の種類と濃度とが決定できる。
【0038】
さらに本発明の方法では、予め標準データを収集しておくことにより、想定していなかった腐食性ガスの測定も可能となる。
【0039】
また、直接、腐食性物質とは反応しない導電性薄膜を圧電素子に形成し、大気中の湿分を吸収することにより腐食を加速させる塵埃等の付着物質量や、付着物質中に吸収した湿分量も計測できる。例えば、Auのように大気中で腐食しない金属を堆積させた水晶振動子を用い、その振動数の変化を計測することにより、金属に付着した付着物質量や付着物質中に吸収した湿分量が計測できる。
【0040】
付着物質量の計測方法としては、上記の他に一対の電極を絶縁基板上に形成したものを用いて計測することもできる。即ち、電極間に直流電圧または交流電圧を印加し、塵埃等が付着した場合に直流抵抗またはインピーダンス値が低下する現象を利用して、付着物量を計測することができる。
【0041】
さらにこの電極として、一方には測定対象となる金属を用いて電極を形成し、もう一方には測定対象となる金属よりも耐腐食性に優れた導電性の材料を用いて電極を形成し、両電極間に生じる電気化学的電位差により生じた電流値を計測することで、付着物質量を測定することもできる。
【0042】
上記の電極の組み合わせでは、測定対象となる金属Mの電極上では〔化1〕で示される金属が腐食反応に対応する電位(Ecorr)を示し、もう一方の電極上では〔化2〕で示される大気中の水分により酸素の還元反応に対応する電位(EO2)を示す。
【0043】
【化1】
【0044】
一般的に、EO2>Ecorrの関係にあるので、電極間に塵埃等が付着したときは、付着物質を介してこの電位差により電流が生じるので、この電流値を計測することにより付着物量を計測できる。
【0045】
さらに、上記の測定方法では、この電流値が測定対象となる金属の腐食電流に相当するために、ファラディの法則により金属の腐食速度も同時に計測できる。
【0046】
さらにまた、上記の方法で計測した金属の腐食量、腐食性ガスの成分、および、その濃度、塵埃等の付着物質量や付着物質中に吸収された湿分量を演算処理することで推定し、予め定めた機器の使用限界値データと比較する。それが所定値を超えたときに警報を発する警報装置を併設することにより、機器が腐食により誤作動や停止する前に、機器の修理や交換を行うことが可能となる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である腐食環境監視装置の構成図である。
【0048】
該監視装置は、圧電素子を用いた腐食量計測部、温度湿度計測部、塵埃等の付着物量計測部からなる計測系(1,2,4〜9)と、シグナルスキャナ3,信号変換器10,周波数カウンタ11,デジタルマルチメータ12で構成される信号処理系、パーソナルコンピュータ13とディスプレイ14で構成される計測データ処理・記録系を備えている。
【0049】
信号処理系とデータ処理系との間は、GP−IBの規格に基づいたデータ転送方法を用いて装置制御とデータ転送を行った。なお、ここで腐食量計測部以外の温湿度計測系、および/または、付着物量計測系を省略すると、簡易な腐食監視装置を構成することもできる。
【0050】
次に、上記各部のそれぞれの詳細について説明する。
【0051】
図2は、図1で用いた腐食量計測部のセンサの模式構成図である。直径8mmの水晶基板の両面に直径4.5mm×厚さ500nmの金属薄膜を蒸着し、この金属薄膜に銀分散電導性接着剤でリード線を取り付けた水晶振動子センサ1を用いた。金属薄膜は両面とも平面形状は同じものであり、側面端部に互いに反対側より両面の金属薄膜に接続した発振用または検出用のリード線が設けられる。
【0052】
ここでは、圧電素子基板として水晶基板にアルミニウム,銀,銅,鉄,ニッケルの5種類をスパッタリング法により蒸着したものを用いた。しかし、測定対象機器を構成する金属や、それが置かれている環境に応じ、圧電基板としてタンタル酸リチウムなどの弾性表面波デバイスを用いたり、圧電素子基板の数や基板上に蒸着する金属の種類を任意に選択することで、高精度の計測が可能になる。
【0053】
図1において、各水晶振動子センサ1を発振器2で発振させ、その信号をシグナルスキャナ3を介して周波数カウンタ11により周波数を連続測定した。
【0054】
一方、白金測温抵抗体温度センサ4を温度計測器5に、高分子フィルム湿度センサ6を湿度計測器7に、付着物量計測センサ8を付着物量計測器9にそれぞれ接続し、これらの信号をシグナルスキャナ3を内蔵した信号変換器10により各信号を電圧変化に変換して、デジタルマルチメータ12により連続的に測定した。
【0055】
この周波数カウンタ11とデジタルマルチメータ12のデータを、パーソナルコンピュータ13に転送,処理してアルミニウム,銀,銅,鉄,ニッケルの腐食速度,温度,湿度,付着物量,大気中の腐食性ガス成分の種類とその濃度に関する情報をディスプレイ14に表示させた。また、同時にそのデータをパーソナルコンピュータ13に接続されたハードディスク装置(図示省略)に記録した。
【0056】
図3は、図1で使用した付着物量計測センサ8と付着物量計測器9の一例を示す模式構成図である。
【0057】
絶縁基板16上に一対の電極15,15’が櫛歯状に形成されており、電極15,15’はリード線取り出しパッド17,17’により外部の電圧印加装置18と測定装置19に接続されている。
【0058】
電極15,15’間に電圧印加装置18から直流25Vを印加し、そのときの絶縁抵抗を測定装置19により計測し、その抵抗値の変化に基づいて基板上の付着物量を求めた。測定感度とセンサの寿命は、電極間への印加電圧により決定した。
【0059】
印加電圧を大きくすると測定感度は向上するがセンサの寿命は短くなるので、測定対象機器の構成金属や、それが置かれている環境に応じて印加電圧を調整して、測定装置の測定状態を最適化することが望ましい。
【0060】
上記では電極間に直流電圧を印加したが、電圧印加装置18から交流電圧を印加し、測定装置19としてインピーダンス測定装置を用い、電極間の抵抗、インダクタンス、および、静電容量を計測し、これらの値の変化に基づいて基板上の付着物量を求めることも可能である。さらに、電極に電圧を印加せずに計測することも可能である。
【0061】
図4は、図1で使用した付着物量計測センサ8と付着物量計測器9の他の例を示す模式構成図である。
【0062】
絶縁基板16上に一対の電極15,15’が櫛歯状に形成されており、電極15,15’はリード線取り出しパッド17,17’により無抵抗電流計20に接続されている。
【0063】
ここで電極15には測定対象となる金属を用いて電極を形成し、電極15’として測定対象となる金属よりも耐腐食性に優れた導電性材料を用い、電極間に生ずる微小電流を無抵抗電流計20により計測し、その電流値の変化から上記の付着物量と測定対象金属の腐食速度を求めた。
【0064】
計測対象を配線材料に銅を用いたプリント基板の場合は、電極15を銅で形成し、電極15’を炭素で形成することで、基板上に付着した物質量と、銅の腐食速度を同時に計測することができる。また、電極材料を測定対象物に合わせて選択することにより、さらに高精度の計測が可能になる。
【0065】
図5は、ニッケルセンサを用いた場合の単位時間当たりの周波数変化と大気中のガス濃度との関係を示すグラフである。
【0066】
この校正線図をセンサとして用いる金属の数だけ予め準備することにより、センサの周波数変化からガス濃度に換算することが可能となる。但し、図5から分かるように同一の周波数変化でも、ガスの種類によってその濃度は異なるので、単独のセンサの周波数変化のみからはガスの種類とその濃度は特定できない。これを解決するために、センサとして用いた金属の各ガスに対する感受性を解析し、真のガス濃度を求める解析方法について説明する。
【0067】
図6は、図1に示した大気腐食環境監視装置におけるデータ解析方法を示すフロー図である。
【0068】
ステップ1:水晶振動子センサの発振周波数(f),温度(T),湿度(RH),付着物量(M)をサンプリングし、これを測定開始時の初期値として以降の演算処理に用いる。
【0069】
ステップ2:一定の時間(t)が経過した後に、時間t1経過後の水晶振動子センサの発振周波数,温度,湿度,付着物量をサンプリングする。
【0070】
ステップ3:時間t1における値と初期値とを比較して水晶振動子の周波数変化と付着物量測定値の変化量を求め、この変化量の関数として水晶振動子基板上の金属の腐食速度と付着物の堆積速度とを求める式を定める。
【0071】
ステップ4:腐食速度と付着物の堆積速度を腐食性ガスや付着物中に含まれる腐食性物質の関数として数式化する。
【0072】
ステップ5:予め求めておいた各種金属の腐食速度,ガス濃度,付着物中に含まれる腐食性物質濃度の校正曲線に基づき、ステップ4における数式から、腐食性ガスや付着物中に含まれる腐食性物質の濃度を求めるための演算処理を実行する。
【0073】
ステップ6:腐食性ガスや付着物中に含まれる腐食性物質の濃度を、水晶振動子基板上の金属の腐食速度や付着物の堆積速度の関数として示す。
【0074】
ステップ7:演算結果を表示し、任意に設定した時間経過後、上記ステップ2に戻り、再び、測定データをサンプリングし計測を継続する。
【0075】
上記の測定結果に基づき、腐食量や大気中に存在する腐食性物質量等が、所定の値以上になった時に警報を発生させるためには、予め、腐食量や腐食性物質量等の限界値を入力し、演算結果の値と比較する演算処理をステップ7からステップ2へのループの間に挿入し、所定の値を超えた場合に、併設した警報発生手段により腐食量や腐食性物質量等が限界値を超えたことを告知するようにすれば、当該腐食監視装置として機能が向上する。
【0076】
図7は、センサとして、金,銀,銅の薄膜を蒸着した水晶振動子を用いたときの周波数の経時変化を示す。
【0077】
ここでは、センサ間のばらつきを評価するために、同じ金属のセンサをそれぞれ二個ずつ用いた。試験環境においては、銀の周波数変化が最も大きく、次いで銅が、そして、金の周波数変化は僅かであった。
【0078】
図8は上記測定結果のクローズアップと、周波数変化から求めた相対湿度の変化、および、硫化水素,窒素酸化物,オゾンの各ガス濃度の変化を示すグラフである。
【0079】
ここでは示していないが、各金属の周波数変化に基づき前記式〔1〕を用いて、銀と銅の腐食量を求めることができる。また、センサ間のばらつきも小さく、ガス濃度の測定精度にも問題がなかった。
【0080】
上記実施例に示すように、3種類のセンサを用いて、銀と銅の腐食量、および、相対湿度と3種類のガス濃度、合計6種類の金属の大気腐食に関する情報を同時、かつ、連続的に監視できる監視装置を得ることができる。
【0081】
次に、図6のフローチャートに基づき、ガス濃度を予測した結果を示す。ここでは、センサとして、銀,銅,コバルト薄膜をスパッタ蒸着した水晶振動子と湿度センサを用い、酸化硫黄(SO2),酸化窒素(NO2),硫化水素(H2S)の各ガス濃度と相対湿度(RH)を任意に制御できる大気腐食模擬試験槽中で実験した結果に基づき解析した。
【0082】
実験としては、各ガス成分の濃度と相対湿度とを変化させ、その時の水晶振動子の周波数変化と相対湿度変化とを連続的にモニタリングした。銅,銀,コバルトを蒸着した水晶振動子の周波数変化から腐食速度を算出し、この腐食速度をSO2,NO2,H2Sの相対湿度の関数と見なして数式化、多変量解析によりSO2,NO2,H2Sの各濃度を、銅,銀,コバルトの腐食速度と相対湿度の関数として示すための演算処理を実行した。
【0083】
この結果、SO2濃度はコバルトの腐食速度(CRCo)と相対湿度(RH)の関数として、NO2濃度は銀の腐食速度(CRAg),銅の腐食速度(CRCu),コバルトの腐食速度(CRCo)の関数として、H2S濃度は銅とコバルトの腐食速度の関数として示すことができた。
【0084】
図28〜30に実験中に測定したガス濃度と、一連の解析により予測したガス濃度の関係を示す。
【0085】
NO2濃度の予測値が実測値より若干低い値を示したのものの、この解析法によりガス濃度が推定できた。
【0086】
上記実施例に示すように、三種類の水晶振動子センサと湿度センサを用いて、銀,銅,コバルトの腐食速度とSO2、NO2、H2Sの各ガス濃度と相対湿度、計7種の金属の大気腐食に関する情報を同時、かつ、連続的に監視できる監視装置を得ることができる。
【0087】
次に、図9は、本発明の他の実施例である大気腐食環境監視装置の構成図である。
【0088】
該監視装置は、水晶振動子センサ1,発振器2,周波数カウンタ11からなる腐食量計測部、温度センサ4,温度計測器5,信号変換器10からなる温度計測部、湿度センサ6,湿度計測器7,信号変換器10からなる湿度計測部、付着物量計測センサ8,付着物量計測器9,信号変換器10からなる付着物量計測部と、シグナルスキャナ3,3’、パーソナルコンピュータ13、ディスプレイ14で構成される。
【0089】
このように水晶振動子センサ1のそれぞれに発振器2と周波数カウンタ11を接続すると、一台の周波数カウンタで複数の信号を処理する場合に比べて、シグナルスキャナによる計測信号の歪みが防止でき安定化を図ることができる。温度計測系、湿度計測系、付着物量計測系においても同様の効果が期待できる。
【0090】
さらに、周波数カウンタ11の出力信号と、信号変換器10の出力信号の転送規格を同一にすることにより、一台のシグナルスキャナのみで信号の選択ができるようになる。
【0091】
水晶振動子センサ1としては、直径1インチの水晶基板の片面に金属を直径0.5インチ×厚さ1μm蒸着したものを腐食量センサとして用いた。
【0092】
ここでは、金属としては金,銀,銅,鉄,ニッケルの5種類を電子ビーム真空蒸着法により蒸着し、それぞれの水晶振動子センサ1を発振器2で発振させ、その信号を周波数カウンタ11により周波数を連続的に測定した。
【0093】
本実施例で、金を蒸着した振動子を用いることにより、大気中からの付着塵埃等の付着物量を、特に、付着物計測装置を用いずとも計測できる。即ち、金は通常腐食しないため周波数変化が起こらない筈であるが、振動子上に塵埃等が付着すると、付着物量に応じて周波数が変化するので、この周波数変化を計測することで付着物量を計測することができる。
【0094】
一方、温度は温度センサ4を温度計測器5に、湿度並びに付着物量はそれぞれのセンサ6,8と対応する計測器7,9を用いて連続的に測定した。
【0095】
ここでは、金を蒸着した水晶振動子センサ1と付着物量計測器9とを同時に用いると、付着物量の計測精度を向上できる。また、付着物量計測器9を省略しても金を蒸着した水晶振動子センサを用いることで付着物量も計測できる。
【0096】
次に、計測されたデータをパーソナルコンピュータ13に転送,処理し、銀,銅,鉄,ニッケルの腐食速度,温湿,付着物量,大気中の腐食性ガス成分の種類とその濃度に関する情報をディスプレイ14に表示させる。同時にそのデータをパーソナルコンピュータに接続されたハードディスクに記録した。
【0097】
これにより、圧電基板を用いて大気中に存在する腐食性物質の種類とその濃度、および腐食量を同時、かつ、連続的に監視することができる。
【0098】
次に、本発明の図10〜図13は監視装置の構成を、また、図14はその内部構成を示す構成図である。
【0099】
図10は環境センサを独立させ、センサ自身は被測定部に設置し、ケーブル等により監視装置に接続して、センサのアナログ出力をA/D変換しコンピュータなどの処理装置にデータを出力する形態の構成である。具体的には測定現場にセンサを設置する場合や可搬型のデータ取り込み装置として使用できる。
【0100】
図11は、図10の装置を他の装置内部に組み込む場合の構成で、該処理装置自身を組み込んだ装置内で独立させて使用する場合と、監視装置としての機能を実現するために、他の処理装置と部分的に回路を共有する場合とがある。具体的には、プリント基板上に監視装置を組み込み、このプリント基板をコンピュータのI/Oスロットルに装着して使用できる。この時、計測したデータを接続したコンピュータ側で処理することにより、データ処理部を共有することもできる。
【0101】
図12は、図10の監視装置において、センサを監視装置内に設置した場合の構成である。この場合は、装置の設置されている雰囲気が測定対象となる。
【0102】
図13は、図11の監視装置において、センサを監視装置内に設置した場合の構成である。この監視装置がコンピュータ内に組み込まれた場合は、組み込んだコンピュータ内が測定対象となる。
【0103】
図14は、図10〜図13に示す監視装置の内部構成であり、計数回路部、データ処理部、および、外部送信制御部から構成されている。
【0104】
計数回路部では、受信回路によりセンサの出力を取り込み、信号選択セレクタにより複数のセンサ出力から所望のものを選択し、A/D変換器によりアナログ信号をディジタル信号に変換する。なおこれらの動作は、周期的に行なわれるものと、データ処理部からの指示によって実行されるものとが有る。
【0105】
データ処理部は、計数回路部のデータを一時的に蓄えておくメモリと、監視装置内部の制御やデータ送受信を行なう制御部とから構成され、外部からの指令情報を解読してデータを送受信したり、計数回路部を制御する機能を有する。
【0106】
外部送信制御部は、受信回路部、送信回路部、および、通信制御部から構成され、コンピュータなどの処理装置とのデータ送受信を制御する。
【0107】
図15は、センサ部、信号変換装置、データ収集装置から構成される監視装置と、環境監視システムを実行するためのコンピュータなどの処理装置(ホスト)との間の接続方法を示した図である。
【0108】
1.専用回線方式では、監視装置とホストの間を1:1の専用回線で接続するもので、専用配線のほかに電話回線や公衆回線などを利用しての接続方法がある。
【0109】
2.LAN方式では、監視装置とホストとの間をLANをはじめとするコピューター通信手段を利用して接続する方式である。
【0110】
3.無線方式では、監視装置とホストの間を無線通信手段にて接続する方式で、無線電話回線等の公衆回線を利用しての接続も含まれる。
【0111】
4.BUS方式では、監視装置とホストの間を内部BUS、内部回路配線などで接続する方式である。ここでは、ホストの回路中に監視装置回路を組み込み、内部配線で接続することにより、ホストの機能の一つとして監視装置を組み込む場合も含まれる。
【0112】
次に、監視装置の具体的な適用方法を示す。図16は、被監視対象装置内に装置を配置した場合の実施例である。
【0113】
基本形では、被監視対象装置筐体内にデータ収集装置として環境監視装置一式を包含し、データを装置内のメモリに蓄え、装置自身でデータ処理を実行して環境に起因する劣化の予知アラームを発生させて、被監視装置の異常を知らせることができる。さらに、このアラームによって装置自身の運転をコントロールすることにより、装置の誤動作を未然に防ぐことも可能となる。
【0114】
スタンドアロン形では、被監視対象装置筐体内に環境監視装置一式を包含し、データを環境監視装置内のメモリに蓄え、必要なときに外部に情報端末を接続してこのデータを収集することにより、腐食環境を監視する。
【0115】
列盤形では、被監視対象装置筐体内に環境監視装置一式を包含し、データをオンラインで情報処理装置に伝送して監視する。さらに、複数の監視装置間をオンラインで結び、複数の被監視対象データを一つの情報処理装置で処理することも可能である。
【0116】
なお、スタンドアロン形や列盤形において、各筐体に実装するのは環境監視装置一式ではなく、図14に於ける▲1▼センサ部分のみ、▲2▼センサ部分と計数回路部、▲3▼センサ,計数回路およびデータ処理部、▲4▼センサ,計数回路,データ処理部および外部送信制御部のいずれかを設置し、他の部分は外づけ、或いは一括で情報処理装置に含むことによっても監視可能である。
【0117】
図17は、被監視対象装置内に組み込んだ場合の実施例である。ここでは、環境監視装置はそれ自身で独立しておらず、被監視装置を構成する装置の一部分(装置ユニット)として存在している。センサからの情報は、被監視対象装置内のMPU,MM,記録装置でデータを処理し蓄積する。さらに、環境による劣化のアラーム発生処理も被監視対象装置の一部分の機能として実行する。
【0118】
図18は、環境監視装置を被監視対象装置とは独立した形で使用する実施例で、測定器としての使用が考えられる。図14に示す機能を一体化、或いは、幾つかのブロックに分けたユニットとしてこれらを接続し、測定装置として使用する。
【0119】
単独の測定装置として使用する場合は、測定データに基づき直接劣化アラームを発したり、他の装置を制御したりすることはない。しかし、図18の監視装置をコンピュータの外部接続ユニット、或いは、拡張ボードとしてデータを直接外部信号線や内部BUSを経由し、ホストに伝える装置として構成した場合は、データを受けたホストが直接劣化のアラームを発したり、装置を制御したりすることは可能である。
【0120】
図19は被監視装置を設置した室内の環境監視を行なうシステムの構成図である。
【0121】
センサ部を制御盤設置室内の各制御盤(D11〜Dnm)に分散配置することにより、各筐体毎の腐食環境状態と、室内全体の腐食環境を監視することができる。この時、予め収集した環境劣化の実験データと、環境監視システムで得られた実測データを比較補正することにより、監視室内のn時間後の劣化状況を予測することができる。
【0122】
図20は、被監視装置を設置した工場敷地内のような特定区域内の環境監視を行なうシステムの構成図である。
【0123】
センサ部は、各機器の設置場所に分散配置することにより各機器毎の環境に対する劣化と、監視区域内に設置されたシステム全体の劣化状況を同時に把握することができる。この結果、設置されたシステム全体の保全を計画的に行なうための環境劣化情報がデータとして収集できる。
【0124】
図21は、複数の監視エリアを集中監視するためのシステムを示す構成図である。
【0125】
被監視エリアは、図19或いは図20に示したブロックを単位とし、複数の被監視ブロックのデータをLANやBUSなどの通信手段を経由して集中監視装置に伝え、システム全体の環境劣化状況を監視して異常検出を行なう。さらに、得られた情報に基づき、システムの異常発生を予測し、システムの誤動作を未然に防ぐことも可能となる。
【0126】
具体的には、大規模な生産設備や処理施設で制御装置が各所に分散し、なおかつ全体として一つのシステムを形成する様な場合に有効である。
【0127】
図22は、複数の監視エリアを無線を用いて集中監視するためのシステムを示す構成図である。
【0128】
図20において、システム間を有線で接続することが困難、或いは、不経済である監視エリアを無線で接続し、システム全体を監視することが有効である場合に採用するシステムである。
【0129】
具体的には上下水、利水、電力系統など遠隔地にある制御装置を含む大規模システムで有効に機能する。ここで無線接続として、無線による電話回線も利用できる。さらに、データの送信は常時行なわず、必要時のみ接続することにより、無線リソースの占有を回避する方法も可能である。
【0130】
図23は、データベースを用いた環境監視・劣化予測システムの構成図である。図21、22において、データの蓄積や解析、データの参照を行なうことにより、環境劣化の予測を行なうシステムである。データベースには、環境条件と環境に起因する劣化データ、故障データ、故障が引き起こすシステム障害、故障への対応方法など予防保全に係わる情報を蓄積し、各システムから時事刻々得られるデータを解析して、システムの寿命を予測し、予防保全に必要な警告を発する。さらに、自動的に予防保全処置を実施する制御モードに遷移する機能を有し、システムの誤動作を未然に防ぐことも可能となる。
【0131】
図24は本発明に係わる腐食環境診断装置の構成図である。21は制御・データ保存用のパーソナルコンピュータで、図7,8を表示させるディスプレイである。
【0132】
22はセンサヘッドで図1,9の複数の圧電素子と温度センサおよび湿度センサが設けられている。23はマルチプレクサ、24はキーボード,25は周波数カウンタである。
【0133】
水晶振動子/発振器をQCMセンサヘッドとして一体化して、安定化した信号をマルチプレクサに送る方式とした。
【0134】
さらに、オペアンプなどの回路素子が、温度変化などにより信号ドリフトするのを補正するために、図示していないが、発振器の各チャンネルに電源電圧の調製用の半固定抵抗器を設けてある。
【0135】
周波数カウンタは10MHzの信号を1Hz単位で安定に測定しなければならないので、周波数カウンタを組み込んだ。
【0136】
また、装置制御系とデータ処理系は市販のノートパソコンを用いた。制御装置にはGP−IBと汎用デジタル信号インターフェースを用い、Visuarl Basic原語を用いたプログラムにより装置制御・データ処理プログラムを作成した。
【0137】
図25は、腐食劣化自己診断システム装置の外観を示す模式図であり、各種制御装置、電話交換機、コンピュータなどの図に示す装置内に、センサヘッドが組み込まれ、図24と同様の装置によって、装置内の配線や半導体素子などの腐食による故障を自ら監視して、その状況をディスプレイ26に各種情報を表示することができる。
【0138】
図26は、図24に示す腐食環境診断装置を工場27、研究所29に設け、本部30、他の工場28をLANで接続し、本部の監視用ワークステーションを通して監視する腐食環境管理システムを示すものである。各工場および研究所にはモニタ装置が設けられる。
【0139】
図27は、同じく図26に示すモニタ装置を上下水道処理場、発電プラント、化学プラントおよび鉄鋼プラントの腐食環境に設置し、本部30に設けられた監視用ワークステーションによって判断され、電話、PHS等により各プラントに対して腐食の状況を監視して報告するようにしたものである。
【0140】
【発明の効果】
本発明によれば、圧電素子を用いて大気中に存在する腐食性物質の種類とその濃度、および、腐食環境中の金属の腐食量を同時、かつ、連続的に監視できるので、腐食環境における各種機器の、特に、大気腐食環境に対する監視装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である大気腐食環境監視装置の構成図である。
【図2】図1で使用した腐食量計測部のセンサの模式構成図である。
【図3】図1で使用した付着物量計測センサと付着物量計測器の模式構成図である。
【図4】図1で使用した他の付着物量計測センサと付着物量計測器の模式構成図である。
【図5】ニッケルセンサの場合の単位時間当りの周波数変化と大気中のガス濃度との関係を示すグラフである。
【図6】図1の大気腐食環境監視装置におけるデータ解析方法を示すフロー図である。
【図7】センサとして、金,銀,銅の薄膜を蒸着した水晶振動子を用いたときの周波数の経時変化を示すグラフである。
【図8】センサとして、金,銀,銅の薄膜を蒸着した水晶振動子を用いたときの測定結果と、周波数変化から求めた相対湿度の変化、および、硫化水素,窒素酸化物,オゾンの各ガス濃度の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施例である大気腐食環境監視装置の構成図である。
【図10】センサ部の構成を示す構成図である。
【図11】センサ部の構成を示す他の構成図である。
【図12】センサ部の構成を示す他の構成図である。
【図13】センサ部の構成を示す他の構成図である。
【図14】センサ部の内部構成を示す構成図である。
【図15】センサ部と情報処理装置との接続方法を示す構成図である。
【図16】環境監視システムの基本構成を示す構成図である。
【図17】環境監視システムの基本構成を示す他の構成図である。
【図18】環境監視システムの基本構成を示す他の構成図である。
【図19】室内の環境を監視するシステムを示す構成図である。
【図20】域内の環境を監視するシステムを示す構成図である。
【図21】複数の監視エリアを集中監視するためのシステムを示す構成図である。
【図22】複数の監視エリアを無線を用いて集中監視するためのシステムを示す構成図である。
【図23】データベースを用いた環境監視・劣化予測システムの構成図である。
【図24】本発明の腐食環境診断装置の構成図である。
【図25】本発明の腐食劣化自己診断装置の外観を示す図である。
【図26】腐食環境管理システムの構成図である。
【図27】複数のプラントの腐食環境管理システムの構成図である。
【図28】測定したSO2濃度と解析により予測したSO2濃度との関係を示すグラフである。
【図29】測定したNO2濃度と解析により予測したNO2濃度との関係を示すグラフである。
【図30】測定したH2S濃度と解析により予測したH2S濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…水晶振動子センサ、2…発振器、3…シグナルスキャナ、4…温度センサ、5…温度計測器、6…湿度センサ、7…湿度計測器、8…付着物量計測センサ、9…付着物量計測器、10…信号変換器、11…周波数カウンタ、12…デジタルマルチメータ、13…パーソナルコンピュータ、14…ディスプレイ、15…電極、16…絶縁基板、17…リード線取り出しパッド、18…電圧印加装置、19…測定装置、20…無抵抗電流計、21…制御・データ保存用パーソマルコンピュータ、22…センサヘッド、23…マルチプレクサ、24…キーボード、25…周波数カウンタ、26…ディスプレイ、27,28…工場、29…研究所、30…本部。
Claims (2)
- 圧電素子毎に異なる金属薄膜を有する複数の圧電素子と、
該複数の圧電素子を発振させる発振回路と、
該発振回路の発振周波数の時間的な変化を検出する手段と、
環境中の腐食性物質の種類及び濃度と圧電素子の金属薄膜の発振周波数との関係を含む情報を記録する手段と、
上記情報と検出された発振周波数とを比較する手段と、
測定環境の温度及び湿度に基づいて求めた該環境の相対湿度と腐食速度との関係から腐食物質の種類と濃度を求める手段と、
を有することを特徴とする腐食環境監視装置。 - 上記圧電素子に温度及び湿度の計測手段が併設されていることを特徴とする請求項1記載の腐食環境監視装置。
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