JP5992345B2 - 非水二次電池および非水二次電池用電解液 - Google Patents
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Description
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
正極はその活物質として遷移金属酸化物を有してなり、
非水電解液は、電解質と、下記式(I)または(II)で表される部分構造を有し、遷移元素または希土類元素を中心金属とする有機金属化合物0.1mol/L未満(ただし、この有機金属化合物がフェロセンである場合、0.005mol/L以下)とを有機溶媒中に含む非水二次電池。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。]
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式(II)中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3とR4は互いに連結されていてもよい。]
〔2〕正極の活物質がリチウム含有遷移金属酸化物である〔1〕に記載の非水二次電池。
〔3〕有機金属化合物の中心金属が第4〜第8族遷移元素またはランタノイドである〔1〕または〔2〕に記載の非水二次電池。
〔4〕式(I)が下記式(Icp−1)〜(Icp−3)のいずれかで表される〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔5〕式(Icp−1)〜(Icp−3)がそれぞれ下記式(Ia−1)〜(Ia−3)で表される〔4〕に記載の非水二次電池。
〔6〕式(Ia−1)において、mが0であって、nが2であるか、または式(Ia−2)において、mが1であって、nが1である〔5〕に記載の非水二次電池。
〔7〕有機金属化合物が遷移金属メタロセンである〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔8〕式(II)において、R3とR4が互いに連結しない〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔9〕式(II)で表される部分構造を有する化合物が下記式(IIa)で表される化合物である〔1〕〜〔3〕および〔8〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
M−(NR3R4)q・・・・・・・式(IIa)
[式中、M、R3およびR4は式(II)と同義である。qは1〜4の整数を表す。]
〔10〕電解液が、更に、芳香族性化合物、ニトリル化合物、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、及び重合性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔11〕正極の活物質が、有機金属化合物を酸化可能な充電領域を有する〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔12〕正極の活物質が、アルカリ金属イオンを挿入放出可能な遷移金属酸化物である〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔13〕正極の活物質をなす遷移金属からなる材料が、LigM3O2(M3はCo、Ni、Fe、及びMnから選択される1種以上の元素を表す。gは、0.02〜1.2の数を表す。)を含む材料、又はLihM42O(M4はMnを表す。hは、0.02〜2の数を表す。)で表されるスピネル構造を有する材料である〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔14〕正極の活物質が、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム、マンガンニッケル酸リチウム、またはリン酸鉄リチウムである〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の非水二次電池。
〔15〕正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液であって、
正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
非水電解液は、電解質と、0.1mol/L未満(ただし、この有機金属化合物がフェロセンである場合、0.005mol/L以下)の遷移元素または希土類元素を中心金属とする有機金属化合物とを有機溶媒中に含み、有機金属化合物が、下記式(I)または(II)で表される部分構造を有する非水二次電池用電解液。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。]
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式(II)中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3,R4は互いに連結されていてもよい。]
〔16〕有機金属化合物が上記式(I)で表される〔15〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔17〕有機金属化合物が上記式(II)で表される部分構造を有する〔15〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔18〕式(II)において、R3とR4が互いに連結しない〔15〕または〔17〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔19〕更に、芳香族性化合物、ニトリル化合物、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、及び重合性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む〔14〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔20〕正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液用の添加剤であって、
正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
下記式(I)で表される有機金属化合物からなる非水電解液用添加剤。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。]
〔21〕正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液用の添加剤であって、
正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
下記式(II)で表される部分構造を有する有機金属化合物からなる非水電解液用添加剤。
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3とR4は互いに連結されていてもよい。]
〔22〕式(II)において、R3とR4が互いに連結しない〔21〕に記載の非水電解液用添加剤。
また、本発明によれば、有機溶媒に可溶な特定の有機金属化合物を利用し、これを電解液に溶解させることで所望の効果を得ることができる。そのため、これに不溶な金属酸化物等による正極被膜の形成などの煩雑な加工工程を必要とせず、効率的な二次電池の製造が可能である。さらに、高価な有機金属化合物の添加量が少量で済むことから、サイクル特性の向上とコストセーブとの両立を実現することができる。
本明細書において適用される特定有機金属化合物は、遷移元素または希土類元素を中心金属とする。ここで、「有機金属化合物」とは、金属を含む有機化合物の総称を意味し、金属−炭素間の結合を有するもののほか、金属−窒素原子、金属−酸素原子、金属−硫黄原子間の結合等を有するものを含む意味である。典型的には後述するメタロセン類、金属アミド類が該当する。一方、狭義に定義する場合には、イオン結合性の結合で結合した有機−金属複合体(例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート錯体などの金属−酸素結合で形成される化合物群)は含まないものしてみることができる。ただし、有機金属化合物の分子内に、前記のイオン結合性の結合で結合した有機部位が一部含まれていてもよい。
前記特定有機金属化合物の中心金属は遷移元素または希土類元素であり、第4〜第8族の遷移元素またはランタノイドであることが好ましい。中心金属として具体的には、後記金属Mの例が挙げられ、好ましい範囲も同義である。前記有機金属化合物は、遷移金属メタロセンであることが好ましく、さらに下記式(I)で表されるものが好ましい。
なお、本発明で使用する特定有機金属化合物は、下記式(I)で表される化合物または後述の式(II)で表される化合物である。
R1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルシリル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルチオ基(チオアルコキシ基とも称す)(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜6、より好ましくは炭素数1〜4)、アミド基(カルバモイル基)(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基(Ra−CO−)(好ましくは炭素数2〜7、より好ましくは炭素数2〜4)、スルホニル基含有基(Ra−SO2−)、ホスフィノ基[PR2−:Rは水素原子またはアルキル基](好ましくは炭素数0〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、またはハロゲン原子を表す。複数のR1 が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
前記R1の好ましいものとしては、前記例示置換基の範囲で、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、ホスフィノ基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4)が好ましい。なお、上記Raは水素原子または置換基を表し、置換基の好ましいものとして、後記置換基Tの例が挙げられる。Raについては、以下も同様である。複数のR1は互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
aは0〜5の整数を表す。なかでも、0〜4が好ましく、最も好ましくは0あるいは1である。aが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
X,Yはそれぞれ独立に水素、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6)、シリルアミノ基(好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは炭素数2〜6)、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基(Ra−(S)n−)(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3、nは1〜8の整数を表す。)、ホスフィニル基(RaO(Ra)PO−)(好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは炭素数0〜6)、カルボニル基含有基(Ra−CO−)(好ましくは、炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、ハロゲン、アリール(好ましくは、炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜10)、またはヘテロアリール基(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4)を表す。X,Yはそれぞれあるいは互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。例えば、複数のスルファニル基が結合し環状のポリスルフィドとして配位していてもよい。なかでも、メチル基、n−ブチル基、ジアルキルアミノ基、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基、イソチアシアネート(NCS)基、X,Yが縮環した環状アルケニル基(ブタジエン配位型メタラサイクル)が好ましい。前記X,Yは、さらに置換基を有していてもよく、その好ましいものとしては、後記置換基Tの例が挙げられる。
m,nは0≦m+n≦3を満たす整数である。n+mは1以上であることが好ましい。m,nが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
T1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。なかでも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜6)、または式(CP)で表される基であることが好ましい。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*は金属原子Mと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。bが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。R1、R2は互いに連結されていてもよい。
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
M−(NR3R4)q ・・・ 式(IIa)
まず、フェロセンを例に従来のレドックスシャトルとしての作用について説明する。そこでは、フェロセンが電解液中で酸化・還元され、可逆的に酸化体へと変化する。この酸化・還元反応を通じて、電池の過充電時にリチウムイオン(Li+)のキャリアとして機能し、過充電による不具合の発生を抑制する。これに対し、本発明の好ましい実施形態においては、フェロセンの酸化還元による可逆反応ではなく、正極表面での化学吸着および分解反応が関与していると推定される(とりわけ、高電位の正極においてその作用は顕著になると考えられる。)。つまり、正極活物質を構成するLMO(リチウムマンガンスピネル酸化物)表面等において、通常の放充電時に負(δ−)に帯電したサイトに、特定有機金属化合物が吸着すると考えられる。そこでの酸化により何らかの反応が進行し、正極表面に特定有機金属化合物を基質とした保護膜(SEI)が形成され、これにより、サイクル特性の向上が実現されたものと推定される。
上記のような反応メカニズムを考慮したときに、有機金属化合物はむしろ微量であることが好ましく、それによりレドックスシャトルとして機能させるのではなく、効果的に電池の放充電サイクルを維持して良好な保護膜を正極表面に形成しうるものと考えられる。
ただし、前記特定の有機金属化合物がフェロセンである場合、0.005mol/L以下である。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
本発明に用いられる有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。当該有機溶媒は、エーテル基、カルボニル基、エステル基、またはカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。当該化合物は置換基を有していてもよく、その例として前記置換基Tが挙げられる。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒は、上記例示によって限定されるものではない。
本発明の電解液には、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。この添加剤により発現させる機能としては、例えば、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善が挙げられる。以下に、本発明の電解質に適用することが好ましい機能性添加剤の例を示す。
芳香族性化合物としては、ビフェニル化合物、アルキル置換ベンゼン化合物が挙げられる。ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が単結合で結合している部分構造を有しており
ベンゼン環は置換基を有してもよく、好ましい置換基は、炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)である。
ビフェニル化合物としては、具体的に、ビフェニル、o−テルフェニル、m−テルフェニル、p−テルフェニル、4−メチルビフェニル、4−エチルビフェニル、及び4−tert−ブチルビフェニルを挙げることができる。
アルキル置換ベンゼン化合物は、炭素数1〜10のアルキル基で置換されたベンゼン化合物が好ましく、具体的には、シクロヘキシルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ブチルベンゼンを挙げることができる。
ハロゲン含有化合物が有するハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、または、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。ハロゲン原子の数としては1〜6個が好ましく、1〜3個が更に好ましい。含ハロゲン化合物としてはフッ素原子で置換されたカーボネート化合物、フッ素原子を有するポリエーテル化合物、フッ素置換芳香族化合物が好ましい。
ハロゲン含有化合物はハロゲン置換カーボネート化合物であることが好ましく、これは鎖状、または、環状いずれでもよいが、イオン伝導性の観点から、電解質塩(例えばリチウムイオン)の配位性が高い環状カーボネート化合物が好ましく、5員環環状カーボネート化合物が特に好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物の好ましい具体例を以下に示す。この中でもBex1〜Bex4の化合物が特に好ましく、Bex1が特に好ましい。
重合性化合物としては炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどの二重結合を有するカーボネート化合物、アクリレート基、メタクリレート基、シアノアクリレート基、αCF3アクリレート基から選ばれる基を有する化合物、スチリル基を有する化合物が好ましく、二重結合を有するカーボネート化合物、あるいは重合性基を分子内に2つ以上有する化合物が更に好ましい。
リン含有化合物としては、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物が好ましい。リン酸エステル化合物の好ましい例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリベンジルなどが挙げられる。リン含有化合物としては、下記式(D2)または(D3)で表される化合物も好ましい。
含硫黄化合物としては−SO2−、−SO3−、−OS(=O)O−結合を有する化合物が好ましく、プロパンサルトン、プロペンサルトン、エチレンサルファイトなどの環状含硫黄化合物、スルホン酸エステル類が好ましい。
ケイ素含有化合物としては、下記式(F1)または(F2)で表される化合物が好ましい。
RF2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアルコキシ基を表す。
なお、1つの式に複数あるRF1及びRF2はそれぞれ異なっていても同じであってもよい。
ニトリル化合物としては、下記式(G)で表される化合物が好ましい。
本発明の電解液に用いることができる電解質としては金属イオンもしくはその塩が挙げられ、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩が好ましい。電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上30質量%以下である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
本発明の非水二次電池用電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明の電解液は複数の液体ないし粉末等から構成されたキットとされていてもよい。例えば、第1剤(第1液)を電解質と有機溶媒とで構成し、第2剤(第2液)を前記特定有機金属化合物と有機溶媒とで構成し、使用前に2液を混合して調液する形態などであってもよい。このとき、本発明のキットにおいては、その他の添加剤等を前記第1剤、第2剤、及び/又はその他の剤(第3剤)に含有させておいてもよい。このようにすることで、上述した前記重合性モノマーと前記重合開始剤との相互作用を効果的に得ることができる。なお、上記各成分の含有量は、混合後に前記の範囲となることが好ましい。
本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。ただし、同図およびこれに基づく説明により本発明が限定して解釈されるものではない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6の運転あるいは蓄電を行うことができる。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、図に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合材C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布しシート状に成形したものである。リチウム電池においては、通常、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用される。次に、電極合材を構成する分散物(合剤、電極用組成物)中の各成分等について説明する。
・正極活物質
本発明において、正極活物質には遷移金属酸化物を用いる。これは前記有機金属化合物を酸化可能な充電領域を有する材料またはアルカリ金属イオンを挿入放出可能な遷移金属酸化物材料であることが好ましい。具体的に、対リチウムで3.5V以上にリチウム挿入放出電位ピークを有する含リチウム遷移金属酸化物が好ましく、より好ましくは、挿入放出電位が3.8V以上であり、最も好ましくは4.0V以上である。このときの充放電電位ピークは、ゾルゲル法またはスパッタリング法により正極活物質の薄膜電極を作成し、電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー)を行うことにより特定可能である。
LiCoO2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、
LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
また、NCA(ニッケルコバルトアルミニウム)が好ましい。
充電時の正極電位は
(正極電位)=(負極電位)+(電池電圧)である。負極としてチタン酸リチウムを用いた場合、負極電位は1.55Vとする。負極として黒鉛を用いた場合は負極電位は0.1Vとする。充電時に電池電圧を観測し、正極電位を算出する。
(i)LiNixMnyCozO2(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(LiNi0.33Mn0.33Co0.33O2とも記載)
LiNi1/2Mn1/2O2(LiNi0.5Mn0.5O2とも記載)
(ii)LiNixCoyAlzO2(x>0.7,y>0.1,0.1>z>0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2
前記特定の充電領域を有する正極活物質として下記のものを用いることもできる。
(a) LiCoMnO4
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
従前用いられていたTiS2を正極活物質に用いた場合、これは、遷移金属酸化物正極に比べ、その充放電電位が低い。そのため、前記特定の有機金属化合物を酸化するのに十分な電極電位に達しないことがあり得る。そうすると、効率よく正極保護被膜を形成することができないため、正極に対する本発明の保護効果は限定的となる。
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、電極合剤をなす分散物(合剤)中、固形成分100質%において、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、分散物中、0.5〜15質量%が特に好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、電極合剤をなす分散物(合剤)中、固形成分100質%において、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、本発明の非水二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
本発明に用いることができるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
リチウム二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質を含む(分散物)合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明の非水二次電池は、サイクル性良好であるため、種々の用途に適用される。
適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
・電解液の調製
1M LiPF6の炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対1電解液に、表1に示した有機金属化合物を、表中に記載の量で加え試験用電解液を調製した。
ここで、No.101およびNo.115は参考例である。
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%で作製し、負極は活物質:LTO(チタン酸リチウム) 86質量%、導電助剤:カーボンブラック 6質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて、60℃の恒温槽中、4.0mAで電池電圧が4.4Vになるまで1C定電流充電を行った。この4.4V定電圧の充電を電流値が0.12mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を2時間とした)。次に4.0mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを300サイクルに達するまで繰り返し、300サイクル目の放電容量(mAh)を測定した。
放電容量維持率(%)=
(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
上記の方法でサイクル試験を行った電池について、4.0mAで電池電圧が2.85Vになるまで1C定電流充電した後、2.85V定電圧において電流値が0.02mAになるまで充電を行い、満充電状態を形成し充電電気量を測定した。次に16.0mAで電池電圧が1.2Vになるまで4C定電流放電を行い、高レート放電時の放電電気量(mAh)を測定した。
高レート放電効率(%)=(4C放電電気量)/(満充電時の充電電気量)×100
正極・負極の活物質を変えた以外、実施例1と同様にして、2032形コイン電池を作成した。ここで、No.201は参考例である。
正極活物質:コバルト酸リチウム(LiCoO2)
負極活物質:黒鉛
以下に、結果を示す。
電解液およびセパレータを変えた以外、実施例1と同様にして、2032形コイン電池を作成した。ここで、No.314は参考例である。
・電解液
1M LiBF4の炭酸エチレン/γ―ブチロラクトンの体積比3対7電解液に、表3に示した有機金属化合物を、表中に記載の量で加え試験用電解液を調製した。
・セパレータ
セルロース不織布 40〜50μm厚
以下に、結果を示す。
電解液および正極・負極の活物質を変えた以外、実施例1と同様にして、2032形コイン電池を作成した。ここで、No.413は参考例である。
・電解液
1M LiPF6の炭酸エチレン/炭酸エチルメチルの体積比1対2電解液に、表4に示した有機金属化合物を、表中に記載の量で加え試験用電解液を調製した。
・負極活物質:黒鉛
以下に、結果を示す。
正極に印加する電圧を4.5Vとした以外、実施例1と同様にして、サイクル特性試験を行った。その結果を下表5に示す。なお、本実施例においては、下記の有機添加剤J−1〜J−7を用い、その添加に係る効果を確認した。
また比較例の有機添加剤はこの高電圧条件下では電池保護性能を発現できないが、本発明に係る特定有機金属化合物と組み合わせることで良好な性能を発現し、更なるサイクル特性の改良が可能であることが分かる。これは前記特定有機金属化合物が形成するSEIがこのような高電圧環境下における有機溶媒/電解質の酸化分解を抑制するとともに、有機添加剤の過剰な酸化分解を抑制するために発現した効果であると考えられる。
<正極熱安定性の評価>
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%で作製し、負極はリチウムを用い、HSセル電池を作製した。セパレータはセルガード2400、電解液はEC/EMC=1/2 LiPF6 1Mを使用した。
作成したHSセル電池について、下記充電処理を実施後にDSC測定を行い、正極の熱安定性を評価した。
上記の方法で作製したHSセル電池を用いて、45℃の恒温槽中、0.8mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.2C定電流充電を行った。この4.2V定電圧の充電を電流値が0.03mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を14時間とした)。次に2.8mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行った。そして、この作業を3回繰り返した。
次に、再度45℃の恒温槽中、0.8mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.2C定電流充電を行った。この4.2V定電圧の充電を電流値が0.03mAになるまで継続し、充電処理を完了させた(充電時間の上限を14時間とした)
処理終了後、HSセル電池を分解し、3Φの打ち抜き機で打ち抜きサンプル瓶に保存した。
取り出した正極(約1mg)及び電解液(1μl)をSUS密閉PANにN2雰囲気下投入し、かしめを行った。作成したサンプルについて、下記条件にてDSCを測定した。結果を図3に示した。
開始温度:25℃、昇温速度:10℃/min、終了温度:500℃
添加剤I−19を0.001M添加したEC/EMC=1/2 LiPF6 1M電解液を使用した。比較例としては、EC/EMC=1/2 LiPF6 1M を使用した。
1 正極導電材(集電体)
2 正極活物質層
A 正極(正極合材)
3 負極導電材(集電体)
4 負極活物質層
5 非水電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (22)
- 正極と負極と非水電解液とを有する非水二次電池であって、
前記正極はその活物質として遷移金属酸化物を有してなり、
前記非水電解液は、電解質と、下記式(I)または(II)で表される部分構造を有し、遷移元素または希土類元素を中心金属とする有機金属化合物0.1mol/L未満(ただし、該有機金属化合物がフェロセンである場合、0.005mol/L以下)とを有機溶媒中に含む非水二次電池。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。]
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式(II)中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3とR4は互いに連結されていてもよい。] - 前記正極の活物質がリチウム含有遷移金属酸化物である請求項1に記載の非水二次電池。
- 前記有機金属化合物の中心金属が第4〜第8族遷移元素またはランタノイドである請求項1または2に記載の非水二次電池。
- 前記式(Ia−1)において、mが0であって、nが2であるか、または前記式(Ia−2)において、mが1であって、nが1である請求項5に記載の非水二次電池。
- 前記有機金属化合物が遷移金属メタロセンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記式(II)において、前記R3と前記R4が互いに連結しない請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記式(II)で表される部分構造を有する化合物が下記式(IIa)で表される化合物である請求項1〜3および8のいずれか1項に記載の非水二次電池。
M−(NR3R4)q・・・・・・・式(IIa)
[式中、M、R3およびR4は前記式(II)と同義である。qは1〜4の整数を表す。] - 前記電解液が、更に、芳香族性化合物、ニトリル化合物、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、及び重合性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、前記有機金属化合物を酸化可能な充電領域を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、アルカリ金属イオンを挿入放出可能な遷移金属酸化物である請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記正極の活物質をなす遷移金属からなる材料が、LigM3O2(M3はCo、Ni、Fe、及びMnから選択される1種以上の元素を表す。gは、0.02〜1.2の数を表す。)を含む材料、又はLihM42O(M4はMnを表す。hは、0.02〜2の数を表す。)で表されるスピネル構造を有する材料である請求項1〜12のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム、マンガンニッケル酸リチウム、またはリン酸鉄リチウムである請求項1〜13のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液であって、
前記正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
前記非水電解液は、電解質と、0.1mol/L未満(ただし、該有機金属化合物がフェロセンである場合、0.005mol/L以下)の遷移元素または希土類元素を中心金属とする有機金属化合物とを有機溶媒中に含み、該有機金属化合物が、下記式(I)または(II)で表される部分構造を有する非水二次電池用電解液。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。]
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式(II)中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3,R4は互いに連結されていてもよい。] - 前記有機金属化合物が前記式(I)で表される請求項15に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記有機金属化合物が前記式(II)で表される部分構造を有する請求項15に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記式(II)において、前記R3と前記R4が互いに連結しない請求項15または17に記載の非水二次電池用電解液。
- 更に、芳香族性化合物、ニトリル化合物、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、及び重合性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液用の添加剤であって、
前記正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
下記式(I)で表される有機金属化合物からなる非水電解液用添加剤。
R1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基、またはハロゲン原子を表す。複数のR1が互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。さらに、XとYは互いに連結されていてもよい。
mおよびnは0≦m+n≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または式(CP)で表される基である。式(CP)中、R2はR1と同義の基を表す。*はMと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。R1とR2は互いに連結されていてもよい。] - 正極と負極とを有する非水二次電池に用いる非水電解液用の添加剤であって、
前記正極の活物質は遷移金属酸化物からなる材料を有してなり、
下記式(II)で表される部分構造を有する有機金属化合物からなる非水電解液用添加剤。
M−NR3R4 ・・・ 式(II)
[式中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。R3およびR4は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、またはハロゲン原子を表す。R3とR4は互いに連結されていてもよい。] - 前記式(II)において、前記R3と前記R4が互いに連結しない請求項21に記載の非水電解液用添加剤。
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