JP5912814B2 - 二次電池用水系電極バインダー - Google Patents
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Description
電極組成物のうち、正極の形成に用いられる正極組成物は、主に正極活物質、導電助剤、バインダー及び溶媒からなっている。そのバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が一般に用いられている。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
また、本発明の水系電極バインダーは、本発明の水溶性高分子を1種含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、例えば、一般式(1);
CH2=CR−C(=O)−OR’ (1)
(式中のRは、水素原子又はメチル基を表す。R’は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す。)で表わされる化合物である。
これらの中でも、後述する乳化重合時の安定性等の面からは、疎水性の高いものが好ましく、すなわち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。上記一般式(1)におけるR’がアルキル基であると、得られる水溶性高分子のガラス転移温度(Tg)が低くなるため好ましい。R’として特に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基であり、最も好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基である。炭素数が1〜4のアルキル基であると、エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体との共重合物の水への溶解がし易くなる。これらエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のアルカリ金属塩等の炭素数3〜10のエチレン性不飽和モノカルボン酸塩単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等のアルカリ金属塩等の炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸塩単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等の炭素数3〜6の不飽和モノカルボン酸の塩が好ましい。
上記アルカリ金属塩を形成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、好ましくはリチウムである。
このように、エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体を、エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩にすることで、本発明の水溶性高分子が電解液に対して膨潤するのを抑制することができる。これらエチレン性不飽和カルボン酸塩単量体としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
その他の重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル、フタル酸ジアリル等の多官能アリル系単量体;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等の多官能アクリレート等が挙げられる。
また、末端がハロゲン化していてもよい炭素数5〜30のアルキル基等の疎水基を有する、ポリアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリルエステルやビニル化合物を用いることもできる。この場合、アルキレンオキサイド末端に疎水基を有することで、疎水基が会合することにより電極組成物の粘性を変えることができる。
上記アルキレンオキサイド末端の疎水基として好ましくは炭素数5〜30のアルキル基であり、より好ましくは炭素数15〜20のアルキル基である。
その他の重合可能な単量体としては、これらの中でも、スチレン系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、多官能アリル系単量体、多官能アクリレートであることが好ましい。これらのその他の重合可能な単量体としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
単量体成分の重合方法としては特に限定されず、例えば、乳化重合、逆相懸濁重合、懸濁重合、溶液重合、水溶液重合、塊状重合等の方法を挙げることができる。これらの重合方法の中でも、乳化重合法が好ましい。
このように、水溶性高分子が、乳化重合時に反応性界面活性剤を用いて得られることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記連鎖移動剤の使用量として好ましくは、重合反応に供する単量体成分の総量100重量部に対して、0〜1重量部である。
乳化重合する際に、得られる共重合体に悪影響を及ぼさない範囲で、親水性溶媒や添加剤等を加えることができる。
上記エマルションの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは10nm〜1μmであり、更に好ましくは30〜500nmである。エマルションの粒子径がこの範囲にあることで、粘度が高くなりすぎたり、分散安定性が保てず凝集する可能性を下げることができる。一方、エマルションの粒子径が10nm未満の場合、エマルションの粘度が高くなりすぎたり、分散安定性を保てず凝集するおそれがあり、また、1μmを超えると、重合体粒子の分散安定性を保つことが難しくなる。
上記エマルションの平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定することができる。
このように、水溶性高分子が、乳化重合によって合成した高分子をアルカリ金属塩で中和することにより得られるものであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
ここで、透明溶液とは、乳化重合した高分子をアルカリ金属塩で中和した不揮発分2質量%水溶液の全光線透過率が90〜100%であるものを意味する。すなわち、上記水溶性高分子は、不揮発分2質量%に調整した水溶液の全光線透過率が90〜100%であるものである。全光線透過率として好ましくは、95%以上であり、より好ましくは97%以上である。
また、上記水溶性高分子は、不揮発分2質量%に調整した水溶液のヘイズが3%以下であることが好ましく、より好ましくは、1%以下である。
上記全光線透過率及びヘイズは、ヘイズメーター(製品名「NDH5000」、日本電色工業社製)を用いて、測定することができる。
また、上記pHは、ガラス電極式水素イオン度計F−21(製品名、堀場製作所社製)を用いて、25℃での値を測定することにより行うことができる。
重量平均分子量は、後述する実施例において行われているゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)による測定により測定することができる。
上記粘度は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
導電助剤の平均粒子径は、動的光散乱の粒度分布計(導電助剤屈折率を2.0とする)により測定することができる。
LixAyDzPO4
(但し、Aは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群より選択される1種又は2種以上であり、Dは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y及び希土類元素の群から選ばれる1種又は2種以上である。x、y及びzは、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5を満たす数である。)で表される構造を有する化合物である。この化合物は、構造内の酸素原子がリンと結合することで(PO4)3−ポリアニオンを形成しており、酸素が結晶構造中に固定化されるために原理的に燃焼反応が起こらない。このため、この化合物を含む電極活物質は安全性に優れたものとなることから、特に中大型電源への用途に好適に用いることができるものとなる。上記A成分として好ましくは、Fe、Mn、Niであり、特に好ましくはFeである。上記D成分として好ましくは、Mg、Ca、Ti、Alである。
上記エマルションは、(メタ)アクリル変性したフッ素含有重合体を、エマルションの全量100質量%に対して、60〜100質量%含むことが好ましい。より好ましくは、80〜100質量%であり、更に好ましくは、90〜100質量%である。最も好ましくは、100質量%、すなわち、エマルションが、(メタ)アクリル変性したフッ素含有重合体からなることである。
また、上述した水溶性高分子を含有する本発明の二次電池用水系電極バインダー、及び、正極活物質を含む二次電池用正極、並びに、本発明の導電性付与剤を用いて形成される二次電池用正極もまた、本発明の1つである。そして、それら二次電池用正極を用いて構成される二次電池もまた、本発明に含まれる。
なおここで、「負極活物質が、炭素系負極材料を主成分として含む」とは、負極活物質の全量100質量%に対して、炭素系負極材料を50質量%以上含むことを表している。負極活物質中の炭素系負極材料の含有割合として好ましくは、70〜100質量%であり、より好ましくは、80〜100質量%である。特に好ましくは、負極活物質が炭素系負極材料からなる形態である。
攪拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフレスコに、イオン交換水(115部)、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩(1.5部)を投入した。内温68℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。
重量平均分子量は、以下の条件により、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:東ソー社製GPC(型番:HLC−8120)
分子量カラム:TSKgel GMHXL(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン
測定方法:中和前のポリマー固形物を溶離液に測定対象物の固形分が0.2質量%となるように溶解し、フィルターにてろ過したものを測定した。
重合体の単量体成分として、アクリル酸エチル(65部)とメタクリル酸(35部)の代わりにアクリル酸エチル(55部)とメタクリル酸(40部)とオクタデシルアルコールのエチレンオキサイド30モル付加物のメタアクリル酸エステル(5部)を用いる以外は、合成例1の方法と同様にして、エマルションを得た。
得られたエマルション(10部/固形分3部)に5%水酸化リチウム・一水和物水溶液(11.7部)とイオン交換水(132.3部)を加えて攪拌し、固形分2%の水溶性高分子を得た。得られた水溶性高分子(2)の重量平均分子量は720,000であった。
乳化剤として用いたポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩の代わりに、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩を用いる以外は、合成例1と同様にして、エマルションを得た。得られたエマルション(10部/固形分3部)に5%水酸化リチウム・一水和物水溶液(10.2部)とイオン交換水(133.2部)を加えて攪拌し、固形分2%の水溶性高分子(3)を得た。得られた水溶性高分子(3)の重量平均分子量は910,000であった。
水溶性高分子(1)〜(3)の水溶液、PVDF(アーケマ社製Kyner(登録商標) HSV−900)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液にアセチレンブラックを混合し、アセチレンブラック:バインダー(固形分)=100:40(重量比)で混合し、スラリーを得た。その後アルミニウム箔に塗布し100℃で乾燥し、更に真空乾燥を行い、厚さ50μmの膜を作製し、φ12mmで打ち抜いた膜を作用電極とした。対極及び参照極にLi箔を用い、電解液として1mol/L LiPF6のEC/EMC=1/1溶液を用いて、25℃で測定を行った。4.6V(リチウム基準)での電流値(μA/cm2)を測定した。その他の測定条件は下記の通りである。評価結果を表1に示す。
測定器:サイクリックボルタンメトリーHSV−100(北斗電工社製)
開始電位:3.2V(リチウム基準)
スイープ速度:5mV/sec
テフロン板(テフロンは登録商標)の上に厚さ3mmの型枠を作製し、水溶性高分子(1)〜(3)を型枠内に流し込み、60℃、80℃、110℃と時間をかけて乾燥し、20mm角の試験片を作製した。得られた試験片を電解液(EC/EMC=1/2)に1日浸漬して、膜の縦及び横の長さを測定し、膨潤性を評価した。
その結果、全てのサンプルにおいて、殆ど変化がなく測定誤差範囲内(1mm以内(5%以内)の変動)であり、体積換算しても15%以内の膨潤率であった。
この結果から、水溶性高分子(1)〜(3)は、電解液に対し、殆ど膨潤しないことが確認された。
なお、上記ECとは、エチレンカーボネートを表し、EMCとは、エチルメチルカーボネートを表している。
実施例1
水(12.9部)、水溶性高分子(1)(15.0部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(2.40部)を加えて混合分散した。次に、リン酸鉄リチウム(中国品)(25.5部)を加えて混合分散し、更にフッ化ビニリデン系ポリマーのアクリル変性エマルション(VDF系−アクリル変性エマルション(アルケマ社製;フッ化ビニリデン系ポリマー:アクリルポリマー=70:30)(3.75部)を加えて混合分散し、正極組成物(1)を得た。
水(9.40部)、スチレン−マレイン酸系コポリマー分散剤(1.11部)、水溶性高分子(1)(15.0部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(2.40部)を加えて混合分散した。次に、リン酸鉄リチウム(中国品)(25.5部)を加えて混合分散し、更にVDF系−アクリル変性エマルション(3.13部)を加えて混合分散し、正極組成物(2)を得た。
水溶性高分子(1)を水溶性高分子(2)に変更した以外は、実施例2と同様に行い、正極組成物(3)を得た。
水溶性高分子(1)を水溶性高分子(3)に変更した以外は、実施例2と同様に行い、正極組成物(4)を得た。
水(21.8部)、スチレン−マレイン酸系コポリマー分散剤(0.22部)、水溶性高分子(1)(12.0部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(1.80部)、リン酸鉄リチウム(中国品)(27.0部)を加えて混合分散し、更にVDF系−アクリル変性エマルション(1.87部)を加えて混合分散し、正極組成物(8)を得た。
水(6.9部)、スチレン−マレイン酸系コポリマー分散剤(0.55部)、水溶性高分子(1)(30.0部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(1.80部)、リン酸鉄リチウム(中国品)(27.45部)を加えて混合分散し、正極組成物(9)を得た。
水(13.8部)、スチレン−マレイン酸系コポリマー分散剤(0.22部)、水溶性高分子(1)(12.0部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(2.40部)、セルシードC−10(日本化学工業社製)(36.4部)を加えて混合分散し、更にVDF系−アクリル変性エマルション(1.87部)を加えて混合分散し、正極組成物(10)を得た。
1%カルボキシルメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製 CMC1380)(30.0部)、スチレン−マレイン酸系コポリマー分散剤(1.11部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(2.40部)を加えて混合分散した。次にリン酸鉄リチウム(中国品)(25.5部)を加えて混合分散し、更にVDF系−アクリル変性エマルション(3.13部)を加えて混合分散して、比較正極組成物(1)を得た。
35%ポリアクリル酸(分子量:100,000)(アルドリッチ社製)を、水酸化リチウムを用いて90%中和し、30%ポリアクリル酸リチウム水溶液を調整した。水(41.0部)、ポリアクリル酸リチウム水溶液(1.00部)を混合し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製)(2.40部)を加えて混合分散した。以下、実施例1と同様に行い、比較正極組成物(2)を得た。
カイナーHSV900(アルケマ社製)(1.20部)をNMP(41.4部)に溶解し均一溶液とし、アセチレンブラックHS−100(デンカ社製1.80部)、リン酸鉄リチウム(中国品)(27.0部)を混合分散し、比較正極組成物(5)を得た。
実施例1〜4、8〜10で得られた正極組成物(1)〜(4)、(8)〜(10)及び、比較例1、2、5で得られた比較正極組成物(1)、(2)、(5)について各種評価を行った。評価方法は以下の通りである。評価結果を表2に示す。表2において、各成分の配合組成の欄は、「加えた部数/固形分量(部)」という表記となっている。例えば、実施例1における水溶性高分子(1)の量、「15.0/0.30」は2質量%水溶性高分子溶液を15.0部加え、その中に水溶性高分子(固形分)が0.3部含まれていることを意味する。また、比較例5のpHの欄の「−」は、未測定であることを表している。
B型粘度計(東京計器社製)を用いて25±1℃、30rpmの粘度を測定した。
2.チクソ値
B型粘度計(東京計器社製)を用いて25±1℃、6rpmと60rpmの粘度を測定し、6rpmの粘度を60rpmの粘度で除した値を求めた。
3.pH
ガラス電極式水素イオン度計F−21(堀場製作所社製)を用いて、25℃の値を測定した。
可変式アプリケーターを用いて、所定の膜厚になるように調整して正極組成物を塗工し、100℃×10分で乾燥した。作製した正極を、φ10mmで曲げ試験を行い、評価した。評価基準は下記の通りである。
○・・・問題なし。
△・・・製膜時の体積収縮クラックはないが、電極を曲げるとクラックが生じた。
×・・・製膜時に体積収縮クラックが起こった。
アプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、100℃×10分、150℃×60分乾燥し、プレスを室温×10分を行った。充放電測定装置ACD−001(アスカ電子社製)を用いて、コインセル(CR2032)を作製して電池評価を行った。その他の測定条件は下記の通りである。
正極:正極組成物
負極:Li箔
電解液:1mol/L LiPF6 EC/EMC=1/1(キシダ化学社製)
充電条件:0.2C−CC Cut−off 4.0V
放電条件:0.2C−CC Cut−off 2.5V
ただし、実施例10(セルシードC−10(コバルト酸リチウム)の場合)は
充電条件:0.2C−CC Cut−off 4.3V
放電条件:0.2C−CC Cut−off 2.8V
実施例5
水を17.47g、固形分2質量%の水溶性高分子(1)を15.0gに、黒鉛であるCGB−10(日本黒鉛社製)を29.4g加えて混合分散した。更にSBRエマルション(JSR社製)を0.63g加えて負極組成物(A)を得た。表3において、各成分の配合組成の欄は、「加えたg数/固形分量(g)」という表記となっている。例えば、実施例5における水溶性高分子(1)の量、「15.0/0.30」は2質量%水溶性高分子溶液を15.0g加え、その中に水溶性高分子(固形分)が0.3g含まれていることを意味する。
水溶性高分子(1)を水溶性高分子(2)に変更した以外は表3の組成に従って実施例5と同様に行い、負極組成物(B)を得た。
水溶性高分子(1)を水溶性高分子(3)に変更した以外は表3の組成に従って実施例5と同様に行い、負極組成物(C)を得た。
水6.28g、水溶性高分子(1)を1%カルボキシメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製 CMC1380)30.0gに変更した以外は表3の組成に従って実施例5と同様に行い、比較負極組成物(A)を得た。
35%ポリアクリル酸(分子量:100,000)(アルドリッチ社製)を水酸化リチウム・一水和物水溶液を用いて90%中和し、30%ポリアクリル酸リチウム水溶液を調整した。水を38.70g、30%ポリアクリル酸リチウム水溶液を1.00gに変更した以外は表3の組成に従って実施例5と同様に行い、比較負極組成物(B)を得た。
実施例5〜7で得られた負極組成物(A)〜(C)、及び、比較例3、4で得られた比較負極組成物(A)、(B)について、負極膜物性及び電気特性の評価を行った。評価方法は以下の通りである。評価結果を表3に示す。
銅箔上にアプリケーターを用いて負極組成物を塗工した。100℃×10分乾燥し、100℃で真空乾燥を行い、更にプレスを行い、70μmの負極膜を作製した。
2.剥離強度
銅箔上に負極組成物(A)〜(C)及び比較負極組成物(A)、(B)をそれぞれ塗工し、各負極膜を得た。膜を1cm幅に切断し、負極組成物側に両面テープを貼り付けた。動的粘弾性装置RSAIII(ティ・エイ・インスツルメント社製)を用いて、銅箔及び両面テープ側(剥離基材つき)を保持して、引張モード(5cm/min)で剥離強度を測定した。
アプリケーターを用いて、負極組成物を塗工し、100℃×10分、150℃×60分乾燥し、プレスを室温×10分を行った。充放電測定装置ACD−001(アスカ電子社製)を使用し、コインセル(CR2032)を用いて電池評価を行った。その他の測定条件は下記の通りである。
正極:Li箔
負極:負極組成物
電解液:1mol/L LiPF6 EC/EMC=1/1(キシダ化学社製)
充電条件:0.2C−CC Cut−off 0.02V
放電条件:0.2C−CC Cut−off 2.0V
Claims (16)
- 水溶性高分子を含有するリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーであって、
該水溶性高分子は、水溶性高分子の有する構造単位の全量100質量%に対して、
(a)エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体由来の構造単位を50〜95質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体由来の構造単位を5〜50質量%
含み、該水溶性高分子は、重量平均分子量が50万以上であって、電解液に対する膨潤率が15%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー。 - 水溶性高分子を含有するリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法であって、
該製造方法は、乳化重合によって合成した高分子をアルカリ金属塩で中和することにより水溶性高分子を得る工程を含み、
該水溶性高分子は、水溶性高分子の有する構造単位の全量100質量%に対して、
(a)エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体由来の構造単位を50〜95質量%、
(b)エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体由来の構造単位を5〜50質量%
含み、該水溶性高分子は、重量平均分子量が50万以上であって、電解液に対する膨潤率が15%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法。 - 前記エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体は、一般式(1);
CH2=CR−C(=O)−OR’ (1)
(式中のRは、水素原子又はメチル基を表す。R’は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー。 - 前記水溶性高分子は、乳化重合時に反応性界面活性剤を用いて得られることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法。
- 請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、導電助剤、及び、水を必須成分として含むことを特徴とする導電性付与剤。
- 請求項2又は4に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、導電助剤、及び、水を混合する工程を含むことを特徴とする導電性付与剤の製造方法。
- 請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、導電助剤、正極活物質、及び、水を必須成分として含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極水系組成物。
- 請求項2又は4に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、導電助剤、正極活物質、及び、水を混合する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極水系組成物の製造方法。
- 請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、及び、正極活物質を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
- 請求項2又は4に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、及び、正極活物質を混合する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
- 請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、負極活物質、及び、水を必須成分として含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極水系組成物。
- 請求項2又は4に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、負極活物質、及び、水を混合する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極水系組成物の製造方法。
- 請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、及び、負極活物質を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項2又は4に記載のリチウムイオン二次電池用水系電極バインダーの製造方法により得られたリチウムイオン二次電池用水系電極バインダー、及び、負極活物質を混合する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。
- 請求項9に記載のリチウムイオン二次電池用正極及び/又は請求項13に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いて構成されることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法で得られたリチウムイオン二次電池用正極及び/又は請求項14に記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法で得られたリチウムイオン二次電池用負極を用いてリチウムイオン二次電池を構成する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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