JP5867367B2 - 画像転写シート - Google Patents
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Description
尚、特許文献1乃至6には、この熱転写方式において中間転写体を用いて画像記録体へ印字する方法が述べられている。
即ち、請求項1に係る発明は、
画像受像層と、
基材と、
脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する背面最表層と、をこの順に有する画像転写シートである。
前記背面最表層は、平均粒子径が0.1μm以上3μm以下の架橋型アクリル系粒子を含有する請求項1に記載の画像転写シートである。
前記背面最表層は、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する請求項1または請求項2に記載の画像転写シートである。
<画像転写シート>
本実施形態に係る画像転写シート(以下単に「転写シート」と称す場合がある)は、画像受像層と、基材と、背面最表層と、をこの順に有する。尚、前記背面最表層は、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有してなる。
ただ、昨今の世界的な異常気象もあり、日本でも夏季においては35℃を超える猛暑日が合計20日以上になる地点が数十ヶ所にも上る。さらに日々の平均湿度も70%以上となることがある。また震災などの影響により夏季における電力不足が懸念され、一般オフィスや工場などでも電力の制限を課しているところが多い。これら状況において、複写機やプリンターで使用される画像転写シートに対しても、高温多湿条件下に耐え得る性能が求められている。
尚、これら重送や搬送遅れは温度が高いほど、また湿度が高いほど顕著となる傾向にある。
これは、必ずしも明確ではないものの、以下のメカニズムによるものと考えられる。
これまでは、転写シートの画像受像層に含まれる樹脂が軟化したり、画像受像層に添加した物質が移動しブリードアウト等を引き起こしたりすることで、積層された複数枚の転写シートにおいて相対している画像受像層と背面最表層との密着性に変化が生じていた。その結果、積層された転写シート同士の摩擦係数が高くなり、上記重送や搬送遅れが発生していたものと思われる。
しかし、本実施形態に係る転写シートは、背面最表層に脂肪族カルボン酸の金属塩を含有することで潤滑性が保持され、常温(例えば22℃、50%RH)の際と比べて相対する画像受像層との密着力の変化が抑制され、結果として重送や搬送遅れが抑制されるものと考えられる。
また、別の転写シートの層構成としては、画像受像層と離型層と基材と背面最表層とをこの順に有する態様が挙げられ、画像受像層が離型層から良好に剥離し得るものであれば、特に限定されない。
図1は、本実施形態の画像転写シートの一例を示す概略断面図である。図1に示す本実施形態の画像転写シートは、背面最表層150と、基材110と、粘着層120と、透明支持体130と、画像受像層140と、がこの順に積層されて構成される。
特に、図1に示すごとく透明支持体130と基材110とで挟まれる領域に粘着層120を有することが望ましく、この態様においては、透明支持体130と粘着層120との間での剥離強度が画像受像層140と透明支持体130との間および粘着層120と基材110との間での剥離強度よりも小さいことが望ましい。つまり、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合には、画像受像層140および透明支持体130と、粘着層120、基材110および背面最表層150とが別々に分かれて剥離されることが望ましい。
更には、剥離される界面においては、一方の表面ともう一方の表面とを形成する層がいずれも部分的な移行を生じずに剥離されることが望ましい。
特に、図2に示すごとく画像受像層140と基材110とで挟まれる領域に離型層160を有することが望ましく、この態様においては、画像受像層140と離型層160との間での剥離強度が離型層160と基材110との間での剥離強度よりも小さいことが望ましい。つまり、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合には、画像受像層140と、離型層160、基材110および背面最表層150とが別々に分かれて剥離されることが望ましい。
更には、剥離される界面においては、一方の表面ともう一方の表面とを形成する層がいずれも部分的な移行を生じずに剥離されることが望ましい。
まず、転写シートを25mm幅に裁断したサンプルを準備し、該サンプルにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ引っ張って剥がす。この際、剥離強度が一番小さい界面で剥れが生じる。
上記方法にて剥離強度が一番小さい界面を6mm剥がし、剥がしたそれぞれの端部を引張り試験機のチャックまたはクランプで挟み、引張り速度を300mm/minで操作し、剥離角度180度の剥離強度(N/cm)を測定する。
測定は、JIS−X6305に準拠するものとする。
この分けられたサンプルの片方について、更に一方の表面側の層ともう一方の表面側の層(例えば画像受像層140および透明支持体130を有するサンプルであれば、画像受像層140と透明支持体130)とのそれぞれの端部をつまみ引っ張って剥がすことを試みる。この際、剥離が生じる界面があれば、その界面を6mm剥がし、剥がしたそれぞれの端部を引張り試験機のチャックまたはクランプで挟み、引張り速度を300mm/minで操作し、剥離角度180度の剥離強度(N/cm)を測定する。
また、分けられたサンプルのもう片方についても、同じ方法にて剥離を試み、剥離が生じる界面があれば該界面の剥離強度を測定する。
本実施形態に係る転写シートは、背面最表層に脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩(以下単に「脂肪族カルボン酸塩」とも称す)を含有する。
本実施形態に係る脂肪族カルボン酸塩は、一般に「石鹸」と呼ばれるものを好適に用い得る。製法は、脂肪族カルボン酸(以下「脂肪酸」と略す場合がある)を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使って、ケン化法や中和法によって反応させ、脂肪酸のナトリウム塩、脂肪酸のカリウム塩とする。ナトリウム塩は比較的水に溶解しやすいが、カリウム塩はさらに水に溶解しやすくなる特徴を有する。ナトリウムやカリウム等の1価の陽イオンに対しカルシウムやマグネシウム、亜鉛等の2価の陽イオンと反応させ、2つの脂肪酸をもった場合は水に不溶な、いわゆる「金属石鹸」となるが、これらも本実施形態における脂肪族カルボン酸塩として使用し得る。目的とする使用条件や製法を鑑み、使い分ければよい。
具体的には、飽和脂肪酸として、炭素数8のカプリル酸、炭素数10のカプリン酸、炭素数12のラウリン酸、炭素数13のトリデシル酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数15のペンタデシル酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数17のヘプタデシル酸、炭素数18のステアリン酸、炭素数22のベヘニン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸として炭素数16のパルミトレイン酸、炭素数18のオレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレン酸が挙げられる。
これら脂肪酸の中でも、特にラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
15質量%以上であることにより重送の発生がより効果的に抑制され、一方60質量%以下であることにより求められる表面抵抗率が得られやすく、また滑剤としての性能が高くなり過ぎることが抑制され搬送遅れの発生がより効果的に抑制される。
本実施形態の背面最表層には更に粒子を用いることが望ましい。
上記に述べたごとく、本実施形態では背面最表層に脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩(脂肪族カルボン酸塩)を含有する。この背面最表層に更に粒子を含有することで、画像形成装置内にセットされた画像転写シートを1枚づつ捌いて持ち上げる取り出しロールにおいて、該粒子が接触して摩擦力を保持させるため、脂肪族カルボン酸塩による摩擦係数の低下が抑制され、搬送遅れが更に効果的に抑制される。
架橋型アクリル系粒子であると、本実施形態における前記背面最表層が後述する4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する場合においてなじみが良く、粒子の分散性に優れるとの利点がある。
また粒子が、無機粒子を混合してもよく、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
0.5質量%以上であることにより、搬送遅れの発生がより効果的に抑制される。一方20質量%以下であることにより、必要な量を超えて添加され不必要なコストアップとなることが抑制され、また積層される転写シート間において相対する背面最表層と画像受像層との摩擦係数が高くなり過ぎることが抑制されることで重送の発生がより効果的に抑制される。更に、表面抵抗率が高くなり過ぎることが抑制される。
本実施形態における背面最表層の樹脂としては、前記の成分等をムラなく保持し得るものであれば、特に制限なく利用され、例えば以下の熱可塑性樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
導電性材料としては界面活性剤が多用される。用いられる界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、電子写真方式において負帯電型トナーと組み合わせて用いる場合には、相互作用の大きいカチオン系界面活性剤を用いることが望ましい。
界面活性剤については、アクリル系共重合体に比べ低分子であり、前記樹脂との組み合わせにおいて前記樹脂表面に移行してしみ出てくるブリードアウトという現象を引き起こす場合があるが、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体を用いることで、背面最表層の表面抵抗率を好適な範囲に調整しつつ且つ前記ブリードアウトを効果的に抑制し得る。
4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体の数平均分子量としては20000以上100000以下の共重合体が好ましい。
・熱可塑性樹脂
転写シートの表面に設けられた画像受像層は、例えば熱可塑性樹脂を含むことが望ましい。熱可塑性樹脂としては特に制限なく利用され、例えば、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマー類;等のうちの1種または2種以上を重合させて得られる単独重合体や共重合体が例示される。
尚、上記ポリエステル系樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などを用いてもよい。また、これらのポリエステル樹脂は単独もしくは2種以上混合して用いてもよい。
これらの2価のヒドロキシ化合物およびカルボン酸に加えて、得られる熱可塑性樹脂をテトラヒドロキシフラン不溶物が生じない程度に非線形化するため、3価以上の多価ヒドロキシル化合物や3価以上の多塩基性カルボン酸を加えてもよい。
さらに画像受像層を構成する樹脂として、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂を含んだ構成とされていてもよい。
本実施形態で用いられるフィラーは限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体または共重合体が例示される。
また、フィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが望ましく、画像受像層膜厚の1.2倍以上が望ましい。
次に、本実施形態に用いられる透明支持体について説明する。
上記透明支持体としては、プラスチックフィルムが代表的に用いられる。この中でも、OHPフィルムとして使用される光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが挙げられ、その中でも特に、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく用いられる。
この透明支持体の基材側の面や後述する基材における透明支持体側の面は、離型性処理を施していることがさらに望ましい。
これら離型性処理としては、一般的に離型性の材料を表面処理することが行われる。離型性材料としては特に制限されないが、シリコン系材料が望ましい。これらシリコン系材料は少なくともシラン系組成物を含む縮合物樹脂、または、これらとコロイダルシリカ分散液との混合組成物からなるものである。また、さらに有機樹脂を含んでいることが望ましい。
次に、本実施形態に用いられる基材について説明する。
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムが代表的に用いられる。例えば、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが望ましく用いられ、さらに白色など不透明であってもよい。
本実施形態に係る転写シートは、前記透明支持体と前記基材とが粘着層を介して形成されていてもよい。
「粘着層」とは、転写シート上に画像が形成され、その画像を画像支持体上に転写する行程の前行程まで物理的に透明支持体と基材とをつなぎ合わせる接着剤としての機能と、画像をラミネートし冷却したあと画像転写する工程で透明支持体から剥れる離型機能とを有する層を指す。
尚、粘着層としては、常温常圧(22℃50%)の環境で半固体(即ち粘性を有する)の材料からなり、接合形成後もその状態は変わらず、粘着層自体を固化させずとも他の層同士を接合し得るものを用いても、また常温常圧(22℃50%)の環境で固体(即ち粘性を有しない)の材料を用いてもよい。
また、本実施形態に係る転写シートは、図2に示すごとく、前記画像受像層と前記基材とが離型層を介して形成されていてもよい。
「離型層」とは、転写シート上に画像が形成され、その画像を画像支持体上に転写する行程の前行程まで物理的に画像受像層と基材とをつなぎ合わせる接着剤としての機能と、画像をラミネートし冷却したあと画像転写する工程で画像受像層から剥れる離型機能とを有する層を指す。
上記離型層の材料としては、前記粘着層の材料として挙げたものが用いられる。
また、図示しないものの、前記画像受像層と透明支持体との接着性を強固にし、転写シートを用いて作製された画像支持体からの透明支持体の剥がれの発生を抑制する目的で、前記画像受像層と透明支持体とを接着層を介して設けてもよい。
接着層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、0.1μm以上10μm以下の範囲であることが望ましく、1μm以上5μm以下の範囲であることがより望ましい。
また、本実施形態の転写シートは、基材上に設けられた背面最表層側の表面および画像受像層側の表面の表面抵抗率が、1.0×108Ω以上3.2×1013Ω以下の範囲であることが望ましく、上記表面抵抗率は更に1.0×109Ω以上1.0×1012Ω以下の範囲であることがより望ましい。
また、マット剤が画像受像層や背面最表層、基材表面に設けられる画像受像層以外の塗工層に添加されることが望ましい。
ここで、画像転写シートの製造方法について、図1に示される本実施形態の一例に係る画像転写シートを例に挙げて説明する。図1に示す本実施形態の画像転写シートは、背面最表層150と、基材110と、粘着層120と、透明支持体130と、画像受像層140と、から構成される。
また、基材110表面に粘着層120となる粘着剤を塗布し且つ基材110のもう一方の表面に背面最表層150となる塗工層を塗布し硬化させる。一方で透明支持体130を形成する前述のフィルム等の表面に画像受像層140となる塗工層を塗布した後、透明支持体130の画像受像層140とは反対側の面と基材110の粘着層120側の面とを貼付けることによっても形成し得る。
上記塗布は、基材110のどちらの面を先に塗工してもよいし、同時に両面塗工してもよい。
基材110の表面に塗工層を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥される。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、または加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法が採用される。
また、背面最表層の膜厚としては、前記表面抵抗率の範中にあることが望ましく、0.01以上0.3μm以下が望ましい。
ICチップ等の情報チップが入ったカードの厚みは基準として840μmまでと規定(例えばJISX6301:2005等)されており、それを超えると規格外となる。しかし、ICチップ等の情報チップが入ったカードのコアとなる部分は既に760μmの厚みがあり、このカードのコアの表面に、ラミネートフィルムを用いて画像を転写するには、片面への転写であれば転写される層の厚みが80μm以下、両面への転写であれば転写される層の厚みが40μm以下とする必要がある。しかし、ラミネートフィルム(転写シート)は電子写真式画像形成装置等の画像形成装置に通紙しなくてはならないため、コシの強さを保持する観点から最低75μmの厚みを有することが望ましい。
画像受像層および透明支持体の総厚みが80μm以下に規定された転写シートにおいて、全体の総厚みが75μm以上であることにより、画像形成装置に通紙する際のコシの強さが保持され、一方135μm以下であることにより、トナー等の画像形成材料の転写性が良好に保持され、画質に優れた画像が形成される。尚、画像受像層および透明支持体の総厚みが12μm以上であることにより、透明支持体上への画像受像層のムラの無い形成がし易くなり、大面積での保持がし易くなる傾向がある。
次に、上記に説明した本実施形態に係る画像転写シートを用いて作製される画像記録体について説明する。
例えば、トナー画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分のトナー画像は、画像記録体毎に異なるトナー画像としてもよい。
本実施形態に用いられる画像支持体としては、プラスチックシートが望ましく、特に、画像記録体としたときに形成された画像が見えやすいよう不透明であることが望ましく、白色化したプラスチックシートが代表的に使用される。
画像支持体中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、画像支持体を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に望ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、熱融着一体化させてもよい。
さらに、画像記録体として使用上許される範囲であれば、半導体回路を画像支持体の内部ではなく、表面に露出した状態で配置してもよい。
次に、本実施形態の画像記録体の作製方法について説明する。図4は、本実施形態の画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。
図4に示す画像記録体の作製装置10は、画像形成装置12と、丁合い装置14(位置決め部)と、ラミネート装置16(加熱圧着部)と、剥離装置17(剥離部)と、から構成されている。
搬送路40、42としては、板状部材と、その表面を転写シート22またはプラスチックシート38を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして転写シート22が画像形成装置12から排出されるタイミング、またはプラスチックシート38が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、転写シート22またはプラスチックシート38を丁合い部36に搬送する。
ラミネート装置16における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置がいずれも好適に採用される。例えば、前記積層体を熱ロール対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置、または熱プレス技法、ならびに熱プレス装置を用いて、圧着される。
まず、画像形成装置12において、転写シート22のうち、プラスチックシート38の裏面(図面中下側)に積層される第1の転写シート22aが、転写シート収納部18から搬送路24を経由して画像形成部20へと供給され、第1の転写シート22aの上面(図面中上側)に電子写真方式によりトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。このとき、第1の転写シート22aの上面に定着画像が形成されているので、第1の転写シート22aは、そのまま搬送路26を経て排出口28へ搬送され、丁合い装置14へと送られる。
積層体先端部がエア噴出しノズル19にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。第1の転写シート22aの基材と第2の転写シート22bの基材の端部が画像受像層および透明支持体が圧着されたプラスチックシート38より浮き上がり、ガイド21a、21bの先端が第1の転写シート22aの基材と透明支持体とで挟まれる領域および第2の転写シート22bの基材と透明支持体とで挟まれる領域に入る。さらに、積層体が搬送されるにつれ、2つの転写シートの基材はガイド21a、21bに沿ってプラスチックシート38と分離する方向に搬送され、プラスチックシート38から剥がされる。
電子写真用画像転写シート(転写シートa1)を以下のごとく作製した。以下、その作製方法を工程ごとに説明する。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(綜研化学社製:フォレットFF−4M、固型分濃度30%)20部と、カチオン系界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)0.5部と、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてオレイン酸ナトリウム(関東化学社製)3.5部と、メチルエチルケトン200部と、を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−1を調製した。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3600、Tg:75℃)10部と、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3223、Tg:1℃)11.5部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸ブチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:BM30X−12、平均粒子径:12μm)6部と、をメチルエチルケトン55部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−1を調製した
シリコーン粘着剤(GE東芝シリコーン社製:XR37−B9204、固形分濃度60%)20部と、その架橋剤(GE東芝シリコーン社製:XC93−B6144)0.2部と、をトルエン20部で希釈して攪拌し、粘着層塗工液Ca−1を調製した。
基材としての二軸延伸PET(東レ社製ルミラーS10、厚み75μm)の片面側に、前記粘着層塗工液Ca−1をワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で2分間乾燥させ膜厚7μmの粘着層を形成した。
−装置内搬送性評価−
室温35℃湿度70%の条件下で、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機 DocuColor1450GA)の用紙トレイに上記転写シートa1(画像未形成)を30枚セットし、24時間放置した後に前記転写シートa1を連続で30枚印字作業を行った。この際、画像形成装置内での転写シートに起因する搬送停止(ジャム)の発生や、転写シートが重なって搬送してしまう重送の発生が起こるか否かを確認した。評価基準は以下の通りである。結果を下記表1に示す。
A:ジャムや重送が発生しない
B:ジャムや重送が発生した
(尚、表1において「重送」および「ジャム」の評価結果に示す数値は、重送またはジャムが発生した枚数を表す。)
<背面最表層塗工液Aa−2の調製>
メタアクリレート構造単位と対アニオンがメチル硫酸イオンである4級アンモニウム塩を含有したメタアクリル酸エステル構造単位とのアクリル系高分子溶解液(綜研化学社製:エレコンドQO−101、固形分濃度50%)10部に、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてパルミチン酸ナトリウム(関東化学社製)1.7部、イソプロピルアルコールと水を7対3に混合した溶液200部を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−2を調製した。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン802、Tg:60℃)9部と、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン500、Tg:4℃)11部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:SSX−115、平均粒子径:15μm)3部と、をメチルエチルケトン50部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−2を調製した。
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−2を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−2を用いて、膜厚0.3μmの背面最表層(表面抵抗率:2.2×1010Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率:1.7×1010Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa2を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
<背面最表層塗工液Aa−3の調製>
実施例2における背面最表層塗工液Aa−2において、パルミチン酸ナトリウム(関東化学社製)1.7部の替わりに、ステアリン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)5部を加え、且つ架橋型アクリル球状粒子(積水化成品工業社製、テクポリマーSSX−101、平均粒子径1μm)を1部加えた以外は、実施例2に記載の方法により背面最表層塗工液Aa−3を調製した。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(日本合成化学社製:ポリエスターTP235、Tg:65℃)8.5部と、ポリエステル樹脂(日本合成化学社製:ポリエスターLP050、Tg:10℃)11.5部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1.2部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:SSX−120、平均粒子径:20μm)4部と、をメチルエチルケトン50部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−3を調製した。
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−3を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−3を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率9.5×109Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率3.5×109Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa3を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
<背面最表層塗工液Aa−4の調製>
窒素に1つの酢酸が付加した4級アンモニウム塩を含有するメタアクリル酸エステル構造単位のアクリル系高分子溶解液(三菱化学社製:サフトマーST−3200、固形分濃度0.5%水溶液)70部と、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてオレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.35部と、架橋型アクリル粒子(積水化学工業社製、アドバンセルK001、固型分濃度20%水溶液、平均粒子径0.15μm)5部と、イソプロピルアルコールおよび水を7対3に混合した溶液100部と、を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−4を調製した。
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン885、Tg:79℃)10部と、ウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロンUR−3210、Tg:−3℃、固形分濃度30%)33部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型アクリル球状粒子(積水化成品工業社製:テクポリマーSSX−115HXE、平均粒子径:15μm)3.5部と、をメチルエチルケトン30部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−4を調製した。
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−4を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−4を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率2.5×109Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率5.5×109Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa4を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
<背面最表層塗工液Aa−5の調製>
実施例4における背面最表層塗工液Aa−4において、オレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.35部の替わりに、オレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.2部およびラウリン酸ナトリウム(関東化学社製)0.15部を加え、且つ架橋型アクリル粒子を未添加にした以外は、実施例4に記載の方法により背面最表層塗工液Aa−5を調製した。
実施例4において、前記背面最表層塗工液Aa−4の替わりに背面最表層塗工液Aa−5を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率9.0×108Ω/□)を形成させた以外は、実施例4に記載の方法により転写シートa5を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
<転写シートa6の作製>
基材として片面に離型層が形成された二軸延伸PET(パナック社製:パナピールSG−2、厚み100μm)の前記離型層形成面に、コート層樹脂としてUV硬化型ウレタンアクリル樹脂(DIC社製:ユニデックRC29−124、固型分濃度60%)をワイヤーバーで塗布し、70℃で5分乾燥後、紫外線(UV)照射(高圧水銀ランプ:500mJ/cm2)し、コート層を形成した。更に、このコート層の上に実施例4で用いた受像層塗工液Aa−4を用い、且つこの面とは反対の面に実施例4で用いた背面最表層塗工液Ba−4を用い、実施例4に記載の方法により受像層および背面最表層を形成し、転写シートa6を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
実施例1〜6に使用した背面最表層塗工液Aa−1乃至Aa−5において、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を除いた背面最表層塗工液を調製し、それ以外は実施例1〜6に記載の方法により転写シートa1’〜a6’を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
12 画像形成装置
14 丁合い装置(位置決め部)
16 ラミネート装置(加熱圧着部)
17 剥離装置(剥離部)
18 転写シート収納部
20 画像形成部
22、100 転写シート
24、26、40、42 搬送路
26a 反転路
28 排出口
32 カム
34 プラスチックシート収納部(画像支持体収納部)
36 丁合い部
38、200 プラスチックシート(画像支持体)
46 ベルト
56 排出受け
57 転写シート排出受け
110 基材
120 粘着層
130、170 透明支持体
140、180 画像受像層
150 背面最表層
160 離型層
190 画像形成材料
200 画像支持体
300 画像記録体
Claims (3)
- 画像受像層と、
基材と、
脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する背面最表層と、をこの順に有する画像転写シート。 - 前記背面最表層は、平均粒子径が0.1μm以上3μm以下の架橋型アクリル系粒子を含有する請求項1に記載の画像転写シート。
- 前記背面最表層は、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する請求項1または請求項2に記載の画像転写シート。
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