JP5867367B2 - 画像転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、画像転写シートに関する。
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷およびスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同等品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、この印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、またはこれらが組み合わさったカードなど、予め決められた情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信し得る情報記録媒体の作製にも多く用いられている。
また、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)等の個々に対応する必要がある印刷を行う場合、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。
尚、特許文献1乃至6には、この熱転写方式において中間転写体を用いて画像記録体へ印字する方法が述べられている。
これに対して、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像保持体表面を帯電させ、画像信号に応じて該像保持体表面を露光して露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電の電位と反対の(または同じ)極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記像保持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法で行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、または画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像を得る方法で行われる。
尚、特許文献7には、各種個人情報や不可視バーコードを厚さ250μmの塩化ビニルシートや厚さ280μmのポリエステルシートに電子写真方式で印字し、それぞれ印字面にオーバーフィルムを重ね、熱プレス機でラミネートする方法が述べられている。
また、特許文献8には、光透過性シートに個人識別情報を印字し、さらに、上記印字は鏡像で行う方法が述べられ、該光透過性のラミネートシートに関しては、少なくとも一部が2軸延伸ポリエステルフィルム、ABS、またはポリエステルからなるフィルム/2軸延伸ポリエステルフィルムであることが望ましいが、塩化ビニルでもよい旨が記載されている。
また、特許文献9には、画像受像層と、透明支持体と、基材と、をこの順に有し、前記透明支持体と前記基材とが剥離し得る画像転写シートを用い、該画像転写シートの画像受像層が設けられた側の面に電子写真方式によって画像を形成し画像記録体を製造する方法が述べられている。
特開平5−96871号公報 特開平7−68812号公報 特開平8−142365号公報 特開平8−156302号公報 特開平9−314875号公報 特開平11−291646号公報 特開2001−92255号公報 特開平11−334265号公報 特開2010−128061号公報
本発明の課題は、画像形成装置内における重送の発生が抑制される画像転写シートを提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
画像受像層と、
基材と、
脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する背面最表層と、をこの順に有する画像転写シートである。
請求項2に係る発明は、
前記背面最表層は、平均粒子径が0.1μm以上3μm以下の架橋型アクリル系粒子を含有する請求項1に記載の画像転写シートである。
請求項3に係る発明は、
前記背面最表層は、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する請求項1または請求項2に記載の画像転写シートである。
請求項1に係る発明によれば、背面最表層に脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有しない場合に比べ、画像形成装置内における重送の発生が抑制される画像転写シートが提供される。
請求項2に係る発明によれば、背面最表層に平均粒子径が0.1μm以上3μm以下の架橋型アクリル系粒子を含有しない場合に比べ、画像形成装置内における搬送遅れの発生が抑制される画像転写シートが提供される。
請求項3に係る発明によれば、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有せず且つ低分子量の4級アンモニウム塩を含有する場合に比べ、画質欠陥が発生しにくい画像転写シートが提供される。
本実施形態に係る画像転写シートの一例を示す断面図である。 本実施形態に係る画像転写シートの他の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る加熱圧着前の積層体の状態を示す断面図である。 本実施形態に係る加熱圧着後の画像記録体の状態を示す断面図である。 本実施形態に係る画像記録体の作製装置の構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像転写シート>
本実施形態に係る画像転写シート(以下単に「転写シート」と称す場合がある)は、画像受像層と、基材と、背面最表層と、をこの順に有する。尚、前記背面最表層は、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有してなる。
従来から、例えばICカード等の画像記録体を、転写シートを用いて作製する場合には、画像受像層を有する転写シートを用い、該転写シートの画像受像層表面に電子写真方式等によって画像を形成した後、該転写シートを画像支持体に重ね合わせ加熱圧着し基材を剥して、形成された画像と前記画像受像層または形成された画像と前記画像受像層と透明支持体を前記画像支持体に転写し画像記録体を作製していた。
ただ、昨今の世界的な異常気象もあり、日本でも夏季においては35℃を超える猛暑日が合計20日以上になる地点が数十ヶ所にも上る。さらに日々の平均湿度も70%以上となることがある。また震災などの影響により夏季における電力不足が懸念され、一般オフィスや工場などでも電力の制限を課しているところが多い。これら状況において、複写機やプリンターで使用される画像転写シートに対しても、高温多湿条件下に耐え得る性能が求められている。
しかし、従来の画像転写シートを用いた場合には、画像形成装置に装填された転写シートの受像層と背面最表層とが密着し、その結果両者の摩擦係数を上昇させ、2枚以上の転写シートが重なったまま搬送されて画像が出力される「重送」が発生することがあった。また、上記の摩擦係数の上昇により、転写シートが予定時間内に画像形成装置内の定められた箇所を通過しない「搬送遅れ」が発生することもあった。
尚、これら重送や搬送遅れは温度が高いほど、また湿度が高いほど顕著となる傾向にある。
これに対し、本実施形態に係る転写シートであれば、画像形成装置内における重送の発生が効果的に抑制される。また、搬送遅れの発生も効果的に抑制される。
これは、必ずしも明確ではないものの、以下のメカニズムによるものと考えられる。
これまでは、転写シートの画像受像層に含まれる樹脂が軟化したり、画像受像層に添加した物質が移動しブリードアウト等を引き起こしたりすることで、積層された複数枚の転写シートにおいて相対している画像受像層と背面最表層との密着性に変化が生じていた。その結果、積層された転写シート同士の摩擦係数が高くなり、上記重送や搬送遅れが発生していたものと思われる。
しかし、本実施形態に係る転写シートは、背面最表層に脂肪族カルボン酸の金属塩を含有することで潤滑性が保持され、常温(例えば22℃、50%RH)の際と比べて相対する画像受像層との密着力の変化が抑制され、結果として重送や搬送遅れが抑制されるものと考えられる。
次いで、本実施形態に係る転写シートを構成する各層について詳細に説明する。
本実施形態に係る転写シートの層構成としては、画像受像層と、基材と、背面最表層と、を有するものであれば特に限定されない。例えば画像受像層と透明支持体と粘着層と基材と背面最表層とをこの順に有する態様が挙げられる。転写シートにおける画像受像層と透明支持体とを画像支持体(転写シートを用いて画像記録体を作製する際に、転写シートから画像受像層等が転写された後に支持体となるもの)に転写する際に、基材を良好に剥離する観点から、透明支持体と基材とが粘着層を介して形成されていることが望ましい。尚、前記画像受像層と前記透明支持体とが接着層を介して形成されていてもよい。
また、別の転写シートの層構成としては、画像受像層と離型層と基材と背面最表層とをこの順に有する態様が挙げられ、画像受像層が離型層から良好に剥離し得るものであれば、特に限定されない。
以下に、本実施形態の転写シートの構成例を、図面により詳細に説明する。但し、本実施形態の画像転写シートの構成は以下に図示する構成に限定されるものではない。
図1は、本実施形態の画像転写シートの一例を示す概略断面図である。図1に示す本実施形態の画像転写シートは、背面最表層150と、基材110と、粘着層120と、透明支持体130と、画像受像層140と、がこの順に積層されて構成される。
尚、図1に示す態様の転写シートでは、透明支持体130と基材110との間での剥離強度が画像受像層140と透明支持体130との間での剥離強度、および基材110と背面最表層150との間での剥離強度よりも小さく設定されていることが好ましい。上記の構成を有することで、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面(つまり背面)側の層のそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合に、透明支持体130と基材110とが別々に分かれて剥離される。
特に、図1に示すごとく透明支持体130と基材110とで挟まれる領域に粘着層120を有することが望ましく、この態様においては、透明支持体130と粘着層120との間での剥離強度が画像受像層140と透明支持体130との間および粘着層120と基材110との間での剥離強度よりも小さいことが望ましい。つまり、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合には、画像受像層140および透明支持体130と、粘着層120、基材110および背面最表層150とが別々に分かれて剥離されることが望ましい。
更には、剥離される界面においては、一方の表面ともう一方の表面とを形成する層がいずれも部分的な移行を生じずに剥離されることが望ましい。
また、図2は、本実施形態の画像転写シートの別の一例を示す概略断面図である。図2に示す本実施形態の画像転写シートは、背面最表層150と、基材110と、離型層160と、画像受像層140と、がこの順に積層されて構成される。
尚、図2に示す態様の転写シートでは、画像受像層140と基材110との間での剥離強度が基材110と背面最表層150との間での剥離強度よりも小さく設定されていることが好ましい。上記の構成を有することで、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面(つまり背面)側の層のそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合に、画像受像層140と基材110とが別々に分かれて剥離される。
特に、図2に示すごとく画像受像層140と基材110とで挟まれる領域に離型層160を有することが望ましく、この態様においては、画像受像層140と離型層160との間での剥離強度が離型層160と基材110との間での剥離強度よりも小さいことが望ましい。つまり、転写シートにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ、引っ張って剥がそうとした場合には、画像受像層140と、離型層160、基材110および背面最表層150とが別々に分かれて剥離されることが望ましい。
更には、剥離される界面においては、一方の表面ともう一方の表面とを形成する層がいずれも部分的な移行を生じずに剥離されることが望ましい。
ここで、転写シートを構成する各層の各界面での剥離強度(N/cm)は、以下の方法により測定される。
まず、転写シートを25mm幅に裁断したサンプルを準備し、該サンプルにおける一方の表面側の層ともう一方の表面側の層とのそれぞれの端部をつまみ引っ張って剥がす。この際、剥離強度が一番小さい界面で剥れが生じる。
上記方法にて剥離強度が一番小さい界面を6mm剥がし、剥がしたそれぞれの端部を引張り試験機のチャックまたはクランプで挟み、引張り速度を300mm/minで操作し、剥離角度180度の剥離強度(N/cm)を測定する。
測定は、JIS−X6305に準拠するものとする。
上記の方法で剥離強度が一番小さい界面で剥離しきると、サンプルが2つに分かれる。例えば、図1に示される転写シートにおいて透明支持体130と粘着層120との界面で剥離された場合であれば、背面最表層150、基材110および粘着層120を有するサンプルと、画像受像層140および透明支持体130を有するサンプルに分かれる。
この分けられたサンプルの片方について、更に一方の表面側の層ともう一方の表面側の層(例えば画像受像層140および透明支持体130を有するサンプルであれば、画像受像層140と透明支持体130)とのそれぞれの端部をつまみ引っ張って剥がすことを試みる。この際、剥離が生じる界面があれば、その界面を6mm剥がし、剥がしたそれぞれの端部を引張り試験機のチャックまたはクランプで挟み、引張り速度を300mm/minで操作し、剥離角度180度の剥離強度(N/cm)を測定する。
また、分けられたサンプルのもう片方についても、同じ方法にて剥離を試み、剥離が生じる界面があれば該界面の剥離強度を測定する。
但し、図1に示される転写シートであれば、背面最表層150と基材110との界面や、基材110と粘着層120との界面、透明支持体130と画像受像層140との界面は、容易に剥れが生じない程度に接着されていることが好ましい。そのため、剥がれなかった界面の剥離強度に関しては、上記方法により測定が行えた界面での数値よりも剥離強度が大きいものとみなす。
以下、本実施形態に係る転写シートの各層の構成について、特に図1に示される態様を例にして詳細に説明する。
(背面最表層)
本実施形態に係る転写シートは、背面最表層に脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩(以下単に「脂肪族カルボン酸塩」とも称す)を含有する。
・脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩
本実施形態に係る脂肪族カルボン酸塩は、一般に「石鹸」と呼ばれるものを好適に用い得る。製法は、脂肪族カルボン酸(以下「脂肪酸」と略す場合がある)を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使って、ケン化法や中和法によって反応させ、脂肪酸のナトリウム塩、脂肪酸のカリウム塩とする。ナトリウム塩は比較的水に溶解しやすいが、カリウム塩はさらに水に溶解しやすくなる特徴を有する。ナトリウムやカリウム等の1価の陽イオンに対しカルシウムやマグネシウム、亜鉛等の2価の陽イオンと反応させ、2つの脂肪酸をもった場合は水に不溶な、いわゆる「金属石鹸」となるが、これらも本実施形態における脂肪族カルボン酸塩として使用し得る。目的とする使用条件や製法を鑑み、使い分ければよい。
本実施形態における前記脂肪族カルボン酸(脂肪酸)としての炭素数は8乃至22が好ましく、更には12乃至18がより好ましい。
具体的には、飽和脂肪酸として、炭素数8のカプリル酸、炭素数10のカプリン酸、炭素数12のラウリン酸、炭素数13のトリデシル酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数15のペンタデシル酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数17のヘプタデシル酸、炭素数18のステアリン酸、炭素数22のベヘニン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸として炭素数16のパルミトレイン酸、炭素数18のオレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレン酸が挙げられる。
これら脂肪酸の中でも、特にラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
本実施形態における脂肪族カルボン酸塩としては、上記に挙げた脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩が好ましく、さらにはナトリウム塩の方が工業的な入手の容易性の面において好ましい。
背面最表層における脂肪族カルボン酸塩の含有量は、15質量%以上60質量%以下であることが好ましく、更には20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以下が更に好ましい。
15質量%以上であることにより重送の発生がより効果的に抑制され、一方60質量%以下であることにより求められる表面抵抗率が得られやすく、また滑剤としての性能が高くなり過ぎることが抑制され搬送遅れの発生がより効果的に抑制される。
・粒子(フィラー)
本実施形態の背面最表層には更に粒子を用いることが望ましい。
上記に述べたごとく、本実施形態では背面最表層に脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩(脂肪族カルボン酸塩)を含有する。この背面最表層に更に粒子を含有することで、画像形成装置内にセットされた画像転写シートを1枚づつ捌いて持ち上げる取り出しロールにおいて、該粒子が接触して摩擦力を保持させるため、脂肪族カルボン酸塩による摩擦係数の低下が抑制され、搬送遅れが更に効果的に抑制される。
係る目的から、粒子の平均粒子径は0.1μm以上3μm以下であることが望ましく、また背面最表層の膜厚の1.2倍以上が望ましい。
背面最表層に用いられる粒子としては、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のアクリル系の架橋型粒子が好ましい。
架橋型アクリル系粒子であると、本実施形態における前記背面最表層が後述する4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する場合においてなじみが良く、粒子の分散性に優れるとの利点がある。
その他に、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体や共重合体等も用いられる。
また粒子が、無機粒子を混合してもよく、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
前記粒子(フィラー)の形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。
背面最表層おける前記粒子の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、更には1質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
0.5質量%以上であることにより、搬送遅れの発生がより効果的に抑制される。一方20質量%以下であることにより、必要な量を超えて添加され不必要なコストアップとなることが抑制され、また積層される転写シート間において相対する背面最表層と画像受像層との摩擦係数が高くなり過ぎることが抑制されることで重送の発生がより効果的に抑制される。更に、表面抵抗率が高くなり過ぎることが抑制される。
・樹脂
本実施形態における背面最表層の樹脂としては、前記の成分等をムラなく保持し得るものであれば、特に制限なく利用され、例えば以下の熱可塑性樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
但し、これら樹脂は基本的に絶縁体であり、本実施形態においては基材についても絶縁体のものが好適に用いられる。電子写真方法における画像形成においては、静電気力を利用して装置内にある感光体や一次転写ベルト等から画像形成材料を画像転写シート上に移行させるため、原理上基材表面は半導電性であることが好ましい。その表面抵抗率は常温(22℃)において1×10Ω/□以上1×1013Ω/□以下が好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上1×1012Ω/□以下である。そのため、表面の抵抗率を調整する観点で、背面最表層には種々の導電性材料を添加してもよい。
導電性材料としては界面活性剤が多用される。用いられる界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、電子写真方式において負帯電型トナーと組み合わせて用いる場合には、相互作用の大きいカチオン系界面活性剤を用いることが望ましい。
また、上記カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が望ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が望ましい。

式中、Rは炭素数6以上22以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基の一価の基から水素原子を一個取り除いた二価の基を表す。R、R、Rは同一でも異なってもよく、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基をいう。芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は水酸基等の置換基を有してもよい。Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニル基から水素原子を一個取り除いた二価の基、または単結合を表す。Xは、ハロゲン元素、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有してもよい。
尚、本実施形態における背面最表層では、上記界面活性剤の使用に替えて、前記一般式(I)で示される4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体を使用することがさらに好ましい。
界面活性剤については、アクリル系共重合体に比べ低分子であり、前記樹脂との組み合わせにおいて前記樹脂表面に移行してしみ出てくるブリードアウトという現象を引き起こす場合があるが、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体を用いることで、背面最表層の表面抵抗率を好適な範囲に調整しつつ且つ前記ブリードアウトを効果的に抑制し得る。
4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体の一例をあげると、下記一般式(II)または一般式(III)で示される構造単位と、ポリオレフィン構造単位や(メタ)アクリレート構造単位等と、が線状に配列した共重合体が挙げられる。

(式中のRおよびR16は水素原子またはメチル基を、RおよびR17は炭素数1以上4以下のアルキレン基を、示す。R、R、R10、R18およびR19は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を、Xはハロゲン原子、CHOSOまたはCOSOを、示す。)
一般式(II)または(III)であらわされる構成単位は、全共重合体成分において10質量%以上60質量%以下の割合のものが好ましい。
4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系共重合体の数平均分子量としては20000以上100000以下の共重合体が好ましい。
(画像受像層)
・熱可塑性樹脂
転写シートの表面に設けられた画像受像層は、例えば熱可塑性樹脂を含むことが望ましい。熱可塑性樹脂としては特に制限なく利用され、例えば、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマー類;等のうちの1種または2種以上を重合させて得られる単独重合体や共重合体が例示される。
これらの中では、特にスチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が望ましく用いられる。
さらに、本実施形態で使用し得る熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂が、画像形成材料用として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像受像層に含ませることにより、転写体シート表面への画像形成材料の定着性を適性に制御し得る点で望ましい。
尚、上記ポリエステル系樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などを用いてもよい。また、これらのポリエステル樹脂は単独もしくは2種以上混合して用いてもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造される。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類;水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物;その他の2価アルコール、ビスフェノールA等の2価フェノール等が挙げられる。
また、前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸(イソフタル酸、テレフタル酸)、その他の2価カルボン酸、またはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性酸誘導体等が挙げられる。
これらの2価のヒドロキシ化合物およびカルボン酸に加えて、得られる熱可塑性樹脂をテトラヒドロキシフラン不溶物が生じない程度に非線形化するため、3価以上の多価ヒドロキシル化合物や3価以上の多塩基性カルボン酸を加えてもよい。
画像受像層中における熱可塑性樹脂の含有量(固形分比)は、60質量%以上100質量%以下が望ましく、75質量%以上95質量%以下がより望ましい。
・その他の組成
さらに画像受像層を構成する樹脂として、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂を含んだ構成とされていてもよい。
また、画像受像層は、天然ワックスや合成ワックス、または離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型剤を含有していてもよい。
具体的には、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスや低分子量ポリエチレンワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サゾールワックスなどの合成ワックスなどが挙げられ、これらは単独使用に限らず混合して複数使用される。
また、前記離型性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシリコーン樹脂と各種樹脂との変性体である変性シリコーン樹脂、たとえばポリエステル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂を添加し得る。
さらに、本実施形態においては、離型剤として反応性シラン化合物と変性シリコーンオイルとを混入させてもよい。
これらのワックスや離型性樹脂は、粒子状態などで共存させてもよいが、望ましくは熱可塑性樹脂中に添加し、樹脂中に分散、相溶した状態で、熱可塑性樹脂中に取り込んだ状態で利用することが望ましい。
また、本実施形態において、画像受像層にはさらにフィラーを用いることが望ましい。
本実施形態で用いられるフィラーは限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体または共重合体が例示される。
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が望ましく、これら熱可塑性樹脂をフィラーとして使用する場合は、これら樹脂を溶解しない溶媒で塗工することが望ましい。より望ましくは、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、先に記載した熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを微粒子化したものがより望ましく用いられる。
またフィラーが、無機粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
前記フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。
また、フィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが望ましく、画像受像層膜厚の1.2倍以上が望ましい。
画像転写シートの画像受像層中におけるフィラーと結着剤(樹脂成分)との質量比(フィラー:結着剤)は、0.01:100乃至15:100の範囲であることが望ましく、0.5:100乃至5:100の範囲であることがより望ましい。
フィラーとしては、上記以外の無機粒子(例えば、SiO、Al、タルクまたはカオリン)およびビーズ状プラスチックパウダー(例えば、架橋型PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン)を併用してもよい。
(透明支持体)
次に、本実施形態に用いられる透明支持体について説明する。
上記透明支持体としては、プラスチックフィルムが代表的に用いられる。この中でも、OHPフィルムとして使用される光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが挙げられ、その中でも特に、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく用いられる。
本実施形態に用いられる透明支持体の製造方法は任意であるが、共押出し法、貼り合わせ法等、公知の方法を利用して作製される。
なお、一般的に作製する際には、共押出しされた後、縦延伸工程に入り、周速が異なる2本または多数本ロール間で延伸し、目的のフィルム厚みに調整して巻き取られる。2軸延伸の場合は、上記工程を通ったフィルムをそのままテンターに導入し、幅方向に2.5倍以上5倍以下に延伸する。このときの望ましい延伸温度は100℃以上200℃以下の範囲である。
こうして得られた2軸延伸フィルムは、必要に応じて熱処理が施される。熱処理はテンター内で行うのが望ましく、特に縦横方向に緩和しながら熱処理すると、熱収縮率の低いフィルムが得られる。透明支持体としては2軸延伸フィルムが特に望ましい。
・離型性処理
この透明支持体の基材側の面や後述する基材における透明支持体側の面は、離型性処理を施していることがさらに望ましい。
これら離型性処理としては、一般的に離型性の材料を表面処理することが行われる。離型性材料としては特に制限されないが、シリコン系材料が望ましい。これらシリコン系材料は少なくともシラン系組成物を含む縮合物樹脂、または、これらとコロイダルシリカ分散液との混合組成物からなるものである。また、さらに有機樹脂を含んでいることが望ましい。
上記シラン系組成物としては、具体的には有機珪素化合物であり、シラン化合物、フッ素含有シラン化合物およびイソシアネートシラン化合物などがあり、これらが縮合反応し、樹脂組成物になる。
シラン化合物としては、Si(OCH、CHSi(OCH、HSi(OCH、(CHSi(OCH、CHSiH(OCH、CSi(OCH、Si(OC、CHSi(OC、(CHSi(OC、HSi(OC、CSi(OC、(CHCHCHSi(OCH、CH(CH11Si(OC、CH(CH15Si(OC、CH(CH17Si(OC等のアルコキシシラン類;(CHSiNHSi(CH等のシラザン類;((CH)SiNH)CO、tert−C(CHSiCl等の特殊シリル化剤類;シランカップリング剤;およびHSCSi(OCH等のシラン化合物;並びにこれらの加水分解物および部分縮合物等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;等が例示される。
前記フッ素含有シラン化合物類としては、例えば、CF(CHSi(OCH、C13Si(OCH、C15CONH(CHSi(OC、C17Si(OCH、C17SiCH(OCH、C17Si(ON=C(CH)(C))、C19Si(OCH、C19Si(NCO)、(NCO)SiC12Si(NCO)、C19Si(C)(OCH、(CHO)SiC16Si(OCH、(CHO)(CH)SiC18Si(CH)(OCH等のフッ素含有シラン化合物、およびこれらの加水分解物またはその部分縮合物等のシラン化合物が例示される。
前記イソシアネートシラン化合物類としては、(CHSiNCO、(CHSi(NCO)、CHSi(NCO)、ビニルシリルトリイソシアネート、CSi(NCO)、Si(NCO)、COSi(NCO)、C17Si(NCO)、C1837Si(NCO)、(NCO)SiC(NCO)等が例示される。
本実施形態におけるシラン系組成物の縮合物樹脂としては、例えば、熱硬化性(縮合型、付加型)および光硬化性のシリコーン樹脂等の硬化性シリコーン樹脂が挙げられるが、具体例を挙げると、以下のものがある。
前記熱硬化性シリコーン樹脂のうち、縮合型の硬化性シリコーン樹脂としては、末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン等のポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ触媒等の有機酸金属塩やアミン類等の存在下で加熱縮合して合成した硬化性シリコーン樹脂や、水酸基、アルコキシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹脂、さらに、3官能性以上のクロロシランまたはこれらと1,2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解したシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
なお、前記縮合型は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類され、そのいずれも好適に使用される。
前記熱硬化性シリコーン樹脂のうち、付加型の硬化性シリコーン樹脂としては、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンの様なポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
なお、前記付加型は、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、および無溶剤型に分類され、そのいずれも好適に使用される。
前記縮合型、付加型の硬化で得られる熱硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、純シリコーン樹脂、シリコーンアルキド樹脂、シリコーンエポキシ樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、シリコーンフェノール樹脂、シリコーンウレタン樹脂、シリコーンメラミン樹脂等が好適に挙げられる。
前記光硬化性のシリコーン樹脂としては、光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。また、ケイ素原子と結合した水酸基またはアルコキシ基等を有する低分子量ポリシロキサンと、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタンまたはメラミン樹脂等とを光硬化反応させて得られる変性シリコーン樹脂が望ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(基材)
次に、本実施形態に用いられる基材について説明する。
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムが代表的に用いられる。例えば、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが望ましく用いられ、さらに白色など不透明であってもよい。
さらに紙や金属、プラスチック、セラミックなどシート状のものも好適に用いられる。
(粘着層)
本実施形態に係る転写シートは、前記透明支持体と前記基材とが粘着層を介して形成されていてもよい。
「粘着層」とは、転写シート上に画像が形成され、その画像を画像支持体上に転写する行程の前行程まで物理的に透明支持体と基材とをつなぎ合わせる接着剤としての機能と、画像をラミネートし冷却したあと画像転写する工程で透明支持体から剥れる離型機能とを有する層を指す。
尚、粘着層としては、常温常圧(22℃50%)の環境で半固体(即ち粘性を有する)の材料からなり、接合形成後もその状態は変わらず、粘着層自体を固化させずとも他の層同士を接合し得るものを用いても、また常温常圧(22℃50%)の環境で固体(即ち粘性を有しない)の材料を用いてもよい。
上記粘着層の材料としては、ゴム系として天然ゴム、SBR(スチレン−ブタジエン−ラバー)、ブチルゴムなどがある。合成樹脂系として、アクリル系、シリコン系、ホットメルト系があるが、ここでは剥離強度を添加剤などによって調整し得る合成樹脂系が望ましく、さらにその中でもシリコン系が経時安定性や耐熱性等により望ましい。但し、透明支持体との相性などとの関連もありこれに限らない。
(離型層)
また、本実施形態に係る転写シートは、図2に示すごとく、前記画像受像層と前記基材とが離型層を介して形成されていてもよい。
「離型層」とは、転写シート上に画像が形成され、その画像を画像支持体上に転写する行程の前行程まで物理的に画像受像層と基材とをつなぎ合わせる接着剤としての機能と、画像をラミネートし冷却したあと画像転写する工程で画像受像層から剥れる離型機能とを有する層を指す。
上記離型層の材料としては、前記粘着層の材料として挙げたものが用いられる。
(接着層)
また、図示しないものの、前記画像受像層と透明支持体との接着性を強固にし、転写シートを用いて作製された画像支持体からの透明支持体の剥がれの発生を抑制する目的で、前記画像受像層と透明支持体とを接着層を介して設けてもよい。
接着層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、0.1μm以上10μm以下の範囲であることが望ましく、1μm以上5μm以下の範囲であることがより望ましい。
(画像転写シートの物性)
また、本実施形態の転写シートは、基材上に設けられた背面最表層側の表面および画像受像層側の表面の表面抵抗率が、1.0×10Ω以上3.2×1013Ω以下の範囲であることが望ましく、上記表面抵抗率は更に1.0×10Ω以上1.0×1012Ω以下の範囲であることがより望ましい。
本実施形態における転写シートの23℃、55%RHにおける表裏面の表面抵抗率差は、4桁以内であることが望ましく、3桁以内であることがより望ましい。
なお、上記表面抵抗率は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定される。
画像受像層の表面抵抗率を1.0×10Ω以上3.2×1013Ω以下の範囲内に制御するにあたっては、画像受像層中に帯電制御剤を含有させることが望ましい。該帯電制御剤としては、高分子導電剤、界面活性剤や、導電性金属酸化物粒子等が用いられる。
また、マット剤が画像受像層や背面最表層、基材表面に設けられる画像受像層以外の塗工層に添加されることが望ましい。
上記導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、TiO、TiO、SnO、Al、In、SiO、SiO、MgO、BaOおよびMoO等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、これらを複合して使用してもよい。また、金属酸化物としては、異種元素をさらに含有するものが望ましく、例えば、ZnOに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが望ましい。これらの中で、SbをドーピングしたSnOが、経時的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので特に望ましい。
上記マット剤に使用される潤滑性を有する樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂;が挙げられる。
(画像転写シートの製造方法)
ここで、画像転写シートの製造方法について、図1に示される本実施形態の一例に係る画像転写シートを例に挙げて説明する。図1に示す本実施形態の画像転写シートは、背面最表層150と、基材110と、粘着層120と、透明支持体130と、画像受像層140と、から構成される。
本実施形態の画像転写シートには、例えば、透明性を有する基材110の表面に、画像を画像支持体に転写したときに、画像支持体上の画像が正転画像(通常イメージ)となるよう、反転画像(鏡像)の定着画像を形成する。
本実施形態に係る転写シートが粘着層120を有する場合は、基材110表面に、粘着層120となる粘着剤を塗布した後、透明支持体130を形成する前述のフィルム等を貼付ける。一方で、基材110の前記透明支持体130が設けられた面とは反対側の表面に、背面最表層150となる塗工層を塗布し硬化させる。さらに前記透明支持体130の表面に画像受像層140となる塗工層を塗布し硬化させることによって、転写シートが形成される。
また、基材110表面に粘着層120となる粘着剤を塗布し且つ基材110のもう一方の表面に背面最表層150となる塗工層を塗布し硬化させる。一方で透明支持体130を形成する前述のフィルム等の表面に画像受像層140となる塗工層を塗布した後、透明支持体130の画像受像層140とは反対側の面と基材110の粘着層120側の面とを貼付けることによっても形成し得る。
上記画像受像層140の塗工層は、ワックスや樹脂、粒子等の各成分を有機溶媒もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライターやサンドミルなどの装置により分散させ塗工液を作製し、該塗工液をそのままの状態で、透明支持体130の表面へ塗布させて形成する。
塗布または含浸させる方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、ロール塗布法等の通常使用される方法が採用される。
上記塗布は、基材110のどちらの面を先に塗工してもよいし、同時に両面塗工してもよい。
基材110の表面に塗工層を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥される。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、または加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法が採用される。
実際の使用上、転写シート表面の静止摩擦係数は、2以下であることが望ましく、1以下であることがより望ましい。また転写シート表面の動摩擦係数は、0.05以上1以下の範囲であることが望ましく、0.1以上0.65以下の範囲であることがより望ましい。
例えば、本実施形態においては、画像転写シート表面に画像としてトナー画像が形成される。トナー画像を形成する場合、この形成されたトナー画像の定着を、該画像転写シート表面(画像形成面)の温度が、トナーの溶融温度以下となるよう行うことが望ましい。通常のトナーの溶融温度を考慮すると、前記画像転写シートの表面温度が130℃以下となるよう行うことが望ましく、110℃以下となるよう行うことがより望ましい。
また、本実施形態においては、画像転写シートの表面に形成する画像として、電子写真方式の画像形成装置によって形成されるトナー画像について説明したが、これに限られるものではない。例えば、インクなどを用いて画像形成してもよい。
こうして形成される画像受像層140の膜厚は、5μm以上25μm以下の範囲であることが望ましく、7μm以上20μm以下の範囲であることがより望ましい。
また、背面最表層の膜厚としては、前記表面抵抗率の範中にあることが望ましく、0.01以上0.3μm以下が望ましい。
(画像転写シートの膜厚)
ICチップ等の情報チップが入ったカードの厚みは基準として840μmまでと規定(例えばJISX6301:2005等)されており、それを超えると規格外となる。しかし、ICチップ等の情報チップが入ったカードのコアとなる部分は既に760μmの厚みがあり、このカードのコアの表面に、ラミネートフィルムを用いて画像を転写するには、片面への転写であれば転写される層の厚みが80μm以下、両面への転写であれば転写される層の厚みが40μm以下とする必要がある。しかし、ラミネートフィルム(転写シート)は電子写真式画像形成装置等の画像形成装置に通紙しなくてはならないため、コシの強さを保持する観点から最低75μmの厚みを有することが望ましい。
上記観点より、本実施形態に係る転写シートは、画像受像層および透明支持体の総厚みが12μm以上80μm以下であり、且つ全体の総厚みが75μm以上135μm以下であることが望ましい。
画像受像層および透明支持体の総厚みが80μm以下に規定された転写シートにおいて、全体の総厚みが75μm以上であることにより、画像形成装置に通紙する際のコシの強さが保持され、一方135μm以下であることにより、トナー等の画像形成材料の転写性が良好に保持され、画質に優れた画像が形成される。尚、画像受像層および透明支持体の総厚みが12μm以上であることにより、透明支持体上への画像受像層のムラの無い形成がし易くなり、大面積での保持がし易くなる傾向がある。
ここで、本明細書に記載の各層の膜厚数値は、(株)ミツトヨ製 デジマチックインジケータ ID−H0530にて測定されたものである。
<画像記録体>
次に、上記に説明した本実施形態に係る画像転写シートを用いて作製される画像記録体について説明する。
尚、本実施形態に係る転写シートの画像受像層表面に画像を形成する方法としては、電子写真方式の画像形成方法によってトナー像を形成する方法の他、インクを用いてインク画像を形成する方法等公知の画像形成方法が採用される。
本実施形態に係る画像記録体は、本実施形態に係る画像転写シートの画像受像層が設けられた側の面に鏡像で画像形成材料からなる画像を形成し、前記画像が形成された面を画像支持体の片面に対面するよう重ね合わせた後、少なくとも前記画像転写シートにおける前記基材を前記画像支持体から剥離することで、前記画像転写シートにおける画像受像層および透明支持体と前記画像形成材料からなる画像とを前記画像支持体に転写して作製され、少なくとも前記画像支持体と、前記画像受像層と、前記透明支持体と、をこの順に有し、且つ該画像支持体と画像受像層とで挟まれる領域に前記画像を有する。
尚、上記画像記録体の作製は、例えば、前述の画像転写シートの画像受像層が設けられた側の面に、鏡像で画像形成材料からなる画像を形成する画像形成工程と、前記画像転写シートの前記画像が形成された面と画像支持体の片面とを対面するよう重ね合わせて位置決めした積層体とする位置決め工程と、前記位置決めされた積層体を加熱圧着する加熱圧着工程と、前記画像形成材料が冷却固化した後、少なくとも前記画像転写シートにおける基材を前記画像支持体から剥離し、少なくとも前記画像転写シートにおける画像受像層および透明支持体と前記画像形成材料とを前記画像支持体に転写して画像を記録する剥離工程と、を少なくとも含む方法により行われる。
この画像記録体としては、例えば、(1)表面に情報に応じたトナー画像が形成された本実施形態の画像転写シートから、加熱圧着により画像が画像支持体に転写された画像シート、画像パネルなどの構成や、(2)前記画像支持体の少なくともいずれか1箇所に配置された、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより少なくとも情報を読み出しし得る情報チップと、を少なくとも含む、ICカード、磁気カード、光カード、またはこれらが組み合わさったカードなど、予め定められた情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信し得る情報記録媒体等の構成が挙げられる。
上記(1)項に示す画像記録体では、トナー画像は、その一部または全体が何らかの識別機能を有する情報を兼ねるもので、画像情報、文字情報等、識別し得る情報として機能するトナー画像を含むものであれば特に限定されない。また情報としてのトナー画像の識別は、視覚的に識別し得るものであるか否かは特に限定されず、機械的に識別し得るものであってもよい。
また、上記(2)項に示す画像記録体(情報記録媒体)では、情報チップが何らかの識別機能を有する情報を有しており、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより読み出しし得るものであれば特に限定されない。この情報チップは、情報の読み出し専用であってもよいが、必要に応じて情報の読み出しと書き込み(「書き換え」も含む)との両方が行い得るものを用いてもよい。また、この情報チップの具体例としては、例えばICチップ(半導体回路)が挙げられる。
なお、画像記録体の情報源として、上記の情報チップを用いる場合に形成されるトナー画像は、その一部または全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
一方、トナー画像や情報チップが有する情報は、識別し得るものであれば特に限定されないが可変情報を含むものであってもよい。該可変情報とは、同一の規格や基準で作製される複数の画像記録体において、個々の画像記録体の有する情報が異なることを意味する。
例えば、トナー画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分のトナー画像は、画像記録体毎に異なるトナー画像としてもよい。
さらに、上記の可変情報は個人情報を含むものであってもよい。この場合、本実施形態の画像記録体(情報記録媒体)は、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用され、この用途に使用される場合、個人情報としては、例えば、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等やこれらの組合せが挙げられる。
前記電子写真方式による転写シートへの画像形成は、まず、電子写真用感光体(像保持体)の表面に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、前記感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、転写シートの画像受像層が形成された面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナー画像が画像受像層表面に定着されて、転写シートが電子写真装置から排出される。
本実施形態の転写シートは、画像形成面(画像受像層が設けられた側の面)をICチップなどが含まれた画像支持体と重ね、画像を転写するものであるため、転写シートの画像受像層に形成される画像は反転画像(鏡像画像)とする必要があり、前記感光体表面に静電潜像を形成する際には、上記感光体表面に露光される画像情報としては画像受像層に転写された像が鏡像となる情報が提供されることが望ましい。
本実施形態で用いられる画像支持体は、金属、プラスチック、セラミックなどであり、さらにこれらはシート状のものが望ましい。
本実施形態に用いられる画像支持体としては、プラスチックシートが望ましく、特に、画像記録体としたときに形成された画像が見えやすいよう不透明であることが望ましく、白色化したプラスチックシートが代表的に使用される。
上記プラスチックシート用樹脂としては、前記画像転写シートの基材に用いたものが用いられ、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレナフタレート、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルム、塩化ビニルシート、アクリルシートなどが望ましく用いられる。
上記の中でも、ポリエステルフィルム、特に、ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記ポリエチレンテレフタレートにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないポリエチレンテレフタレートで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等がより望ましく用いられる。
本実施形態においては、画像支持体の少なくとも画像が転写される側の面が、PETGを含むことが望ましい。
本実施形態においては、塩素を含まない画像支持体の使用を考慮し、さらなる材料として、前記ポリスチレン系樹脂シート、ABS樹脂シート、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂シート、またポリエチレンテレフタレートシートや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂シートに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているシート等も望ましく用いられる。
プラスチックを白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をフィルム中に混入させる方法が使用される。また、プラスチックシート表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、プラスチックシートの表面を凹凸にし、その凹凸による光の散乱によりプラスチックシートを白色化してもよい。
本実施形態に用いられる画像支持体としては、厚さ75μm以上1000μm以下の範囲のプラスチックからなるシートを用いることが望ましく、厚さ100μm以上750μm以下の範囲のPETGシートを用いることがより望ましい。
本実施形態においては、最終的な画像記録体がICカード等として用いられる場合には、画像支持体として、その内部または表面に半導体回路を有するものが用いられる。
画像支持体中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、画像支持体を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に望ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、熱融着一体化させてもよい。
その他、上記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、前記画像支持体を構成するシートどうしを貼り合わせ、半導体回路を内蔵させてもよいが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれも前記画像支持体の製造方法として適用される。
さらに、画像記録体として使用上許される範囲であれば、半導体回路を画像支持体の内部ではなく、表面に露出した状態で配置してもよい。
なお、本実施形態の画像記録体がICカードだけでなく、磁気カード等として用いられる場合には、画像支持体にアンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれてもよい。また、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる場合がある。
前記転写シートと画像支持体との重ね合わせは、転写シートと画像支持体とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、転写シート上に画像形成後に、丁合い部などに転写シートおよび画像支持体を順次排出し、揃えることにより行ってもよい。
前記加熱圧着工程における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置がいずれも好適に採用される。これらの中でも、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが望ましく、例えば、転写シートおよび画像支持体の積層体を加熱し得る1対の熱ロールの圧接部(ニップ部)に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、圧着させてもよい。
加熱圧着された前記積層体は、画像形成材料が冷却固化した後、前記電子写真用転写シートの基材を画像支持体から剥し、画像形成材料が画像支持体に転写されることで画像が記録され、本実施形態の画像記録体となる。
前記冷却固化する温度は、具体的にはトナーが十分固まる軟化点以下の温度であり、例えば画像形成材料のガラス転移温度以下であり、望ましくは常温(22℃)以上50℃以下であることが望ましい。また、転写シートを画像支持体から剥がす条件としては、特に限定されないが、転写シートの端面を掴んで画像支持体から徐々に剥していくことが望ましい。
次に、以上に説明した画像記録体の具体例について図面を用いて説明する。図3(A)および図3(B)は、本実施形態の画像記録体の作製における加熱圧着前の状態と、加熱圧着、剥離後の画像記録体の一例を示す断面図である。図3(A)および図3(B)中、100は転写シート、200は画像支持体、300は画像記録体を表す。
図3(A)は、転写シート100と、被転写体である画像支持体200(例えばPETGシート)とを重ね合わせて積層体を構成した時の状態を示すものである。加熱圧着前は、画像形成材料(トナー)190は転写シートの画像受像層180側、または画像受像層180と画像支持体200との界面に存在する。
一方、図3(B)に示すごとく、加熱圧着、剥離後は、画像形成材料190は画像支持体200の表面と画像受像層180に完全に埋め込まれた状態となっている。したがって、画像支持体200の表面と画像形成材料190の存在する部分とでは、段差がほとんどなく、作製された画像記録体300はそのまま印刷された画像記録体と同等の感触を有し、画像形成材料190も簡単に剥がれたりすることがない。
また、剥離後において画像支持体200側に残る透明支持体170が、画像記録体300においてはオーバーコート層の役割を果たす。
剥離された画像記録体300は、そのまま本実施形態の画像記録体となり得るが、電子写真用転写シートに個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、定められたサイズの複数の画像記録体が得られる。
尚、本実施形態に係る画像記録体の態様としては、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式または接触式個人情報画像情報入り情報記録媒体、RFIDタグさらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどの画像記録体が挙げられる。
(画像記録体の作製)
次に、本実施形態の画像記録体の作製方法について説明する。図4は、本実施形態の画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。
図4に示す画像記録体の作製装置10は、画像形成装置12と、丁合い装置14(位置決め部)と、ラミネート装置16(加熱圧着部)と、剥離装置17(剥離部)と、から構成されている。
画像形成装置12は、例えば、転写シート収納部18と、画像形成部20と、転写シート収納部18から画像形成部20へ転写シート22を搬送する搬送路24と、画像形成部20から排出口28へ転写シート22を搬送する搬送路26とから構成されている。その他の構成は省略する。
転写シート収納部18には、転写シート22が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられている取り出しロールや給紙ロールが備えられ、定められたタイミングで給紙ロール等が回転し、画像形成部20へ転写シート22を搬送する。
画像形成部20は、図示しないが、潜像保持体と、潜像保持体を帯電する帯電器と、帯電した潜像保持体に潜像を形成する潜像形成装置と、該潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像しトナー画像を得る現像器と、現像されたトナー画像を転写シート22に転写する転写器と、転写シート22に転写されたトナー画像を加熱・加圧して定着する定着器と、を含む公知の電子写真方式の装置で構成されている。
搬送路24、26は、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示せず)から構成されており、さらに搬送路26には、転写シート22の搬送方向を180°反転させる反転路26aが設けられる。搬送路26と反転路26aとの分岐部分には、転写シート22の案内方向を変更するカム32が設けられている。この反転路26aで転写シート22を往復させ、再び搬送路26に戻すと、転写シート22の搬送方向が180°反転されると共に、転写シート22の表裏が反転して搬送される。
丁合い装置14は、プラスチックシート(画像支持体)収納部34と、丁合い部36(位置決め部)と、プラスチックシート収納部34から丁合い部36へプラスチックシート38(画像支持体)を供給する搬送路40と、画像形成装置12の排出口28から排出された転写シート22を、丁合い部36へ供給する搬送路42と、から構成されている。
プラスチックシート38を丁合い部36へ供給する搬送路40排出部と、転写シート22を丁合い部36へ供給する搬送路42排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
搬送路40、42としては、板状部材と、その表面を転写シート22またはプラスチックシート38を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして転写シート22が画像形成装置12から排出されるタイミング、またはプラスチックシート38が排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、転写シート22またはプラスチックシート38を丁合い部36に搬送する。
プラスチックシート収納部34(画像支持体収納部)には、プラスチックシート38が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられている取り出しロールや給紙ロールが備えられ、丁合い部36がプラスチックシート収納部34の排出口の位置に移動した後給紙ロール等が回転し、丁合い部36にプラスチックシート38を搬送する。
丁合い部36は、搬送路40排出部と搬送路42排出部からプラスチックシート38および転写シート22がそれぞれ供給されるよう、例えば、その端部の一部が上下(図中上下)に支持されたベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。この昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させてもよい。また、積層されたプラスチックシート38および転写シート22の端部を揃える位置決め手段(図示しない)が設けられている。
丁合い部36には、プラスチックシート38を介して2つの転写シート22を積層した積層体を仮止めする仮止め装置44が設けられている。この仮止め装置は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により積層体の端部を挟むことで、積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
仮止めの方法としては、熱溶着を用いるのであれば一対の突片による方法に限らず、既存のその他の方式、すなわち加熱した針状の部材をシートの垂直方向に貫通させたり、超音波振動子を搭載した部材でシートを挟み、超音波振動により発生した熱により溶着してもよい。また、熱を用いずに機械的に互いの動きを拘束する手段、すなわち、ステープラの針等を用いて固定したり、または搬送経路に沿ってシートとともに移動し得るグリッパーを設けてもよい。
仮止め装置44が丁合い部36からラミネート装置16への積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置44は、仮止め時のみ丁合い部36の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避し得る構造をとる必要がある。
ラミネート装置16は、例えば、一対のベルト46から構成されるベルトニップ方式を採用してもよい。それぞれのベルト46は、加熱・加圧ロール48と、支持ロール50により支持され、更に加圧ロール52および54を有する。
ラミネート装置16における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置がいずれも好適に採用される。例えば、前記積層体を熱ロール対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置、または熱プレス技法、ならびに熱プレス装置を用いて、圧着される。
剥離装置17は、例えば、エア噴出しノズル19とガイド21a、21bからなっており、プラスチックシートの搬送経路下流側に、排出受け56が設けられている。
次いで、上記画像記録体の作製装置10の動作について説明する。
まず、画像形成装置12において、転写シート22のうち、プラスチックシート38の裏面(図面中下側)に積層される第1の転写シート22aが、転写シート収納部18から搬送路24を経由して画像形成部20へと供給され、第1の転写シート22aの上面(図面中上側)に電子写真方式によりトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。このとき、第1の転写シート22aの上面に定着画像が形成されているので、第1の転写シート22aは、そのまま搬送路26を経て排出口28へ搬送され、丁合い装置14へと送られる。
そして、丁合い装置14において、第1の転写シート22aは、丁合い装置14の搬送路42を経て、丁合い部36へと供給される。ここで、搬送路42排出部を出た第1の転写シート22aは画像面が上面を向くよう、その自重により丁合い部36への供給される。
次に、丁合い部36を、搬送路40排出部まで昇降させ、プラスチックシート38が、プラスチックシート収納部34から搬送路40を経て、丁合い部36へと供給される。ここで、搬送路40排出部を出たプラスチックシート38は、その自重により丁合い部36へと供給され、第1の転写シート22aと重ねられる。
次に、画像形成装置12において、プラスチックシート38の表面(図面中上側)に積層される第2の転写シート22bが、転写シート収納部18から搬送路24を経由して画像形成部20へと供給され、第2の転写シート22bの上面(図面中上側)に電子写真方式によりトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。第2の転写シート22bの上面に定着画像が形成されているので、第2の転写シート22bは、搬送路26を通り、一端、反転路26aを経由して、再び搬送路26に戻り排出口28へ搬送され、丁合い装置14へと送られる。
このとき、搬送路26と反転路26aの分岐部において、カム32はその先端が搬送路26に重なるよう駆動され、カム32の先端位置に到達した第2の転写シート22bは搬送方向が変更され、反転路26aへと案内搬送される。そして、第2の転写シート22bが反転路26aに到達した後、図示しない駆動ロールを反転させ、第2の転写シート22bを反転路26aで往復移動させて、再び搬送路26に戻す。このため、搬送路26に戻った第2の転写シート22bは、搬送方向が180°反転される共に、その表裏も反転し、画像面が下側(図面中下側)を向いて搬送されることとなる。
そして、丁合い装置14において、第2の転写シート22bは、丁合い装置14の搬送路42を経て、丁合い部36へと供給される。ここで、搬送路42排出部を出た第2の転写シート22bは、画像面が下面を向くよう、その自重により丁合い部36へ供給され、プラスチックシート38と重ねられる。
こうして、丁合い部36には、画像面が上向きの第1の転写シート22a、プラスチックシート38、および画像面が下向きの第2の転写シート22bの順番で供給されると共に重ねられる(位置決め工程)。この積層体は、プラスチックシート38を介して、第1の転写シート22aおよび第2の転写シート22bがその画像面を対面させて積層されている。
次に、丁合い部36上の第1の転写シート22a、プラスチックシート38、および第2の転写シート22bの端部を、図示しない位置決め手段により揃え、続いて、仮止め装置44により、積層体の端部に仮止めを施した後、ラミネート装置16へ搬送される。なお、転写シート22、プラスチックシート38のサイズを同等にしており、積層体の端部を揃えることで、位置決めが行なわれる。
次いで、ラミネート装置16において、第1の転写シート22a、プラスチックシート38、および第2の転写シート22bの積層体を、一対のベルト46ニップ間に通過させて加熱圧着処理をし、プラスチックシート38を第1の転写シート22aおよび第2の転写シート22bで加熱圧着する(加熱圧着工程)。
加熱圧着された積層体は、次に剥離装置17へ搬送される。
積層体先端部がエア噴出しノズル19にさしかかると、ノズルから圧縮空気が噴射される。第1の転写シート22aの基材と第2の転写シート22bの基材の端部が画像受像層および透明支持体が圧着されたプラスチックシート38より浮き上がり、ガイド21a、21bの先端が第1の転写シート22aの基材と透明支持体とで挟まれる領域および第2の転写シート22bの基材と透明支持体とで挟まれる領域に入る。さらに、積層体が搬送されるにつれ、2つの転写シートの基材はガイド21a、21bに沿ってプラスチックシート38と分離する方向に搬送され、プラスチックシート38から剥がされる。
画像受像層および透明支持体が圧着されたプラスチックシート38は排出受け56に排出され、記録済みプラスチックシートが得られる。ここで、プラスチックシートに個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、定められたサイズのプラスチックシートを得る。
第1の転写シート22aの背面最表層を含む基材および第2の転写シート22bの背面最表層を含む基材は、その後図示しない経路を通って転写シート排出受け57に排出される。
以上のごとく、本実施形態の画像記録体の作製装置では、2つ転写シート22の片面に電子写真方式により画像を形成し、プラスチックシート38を介して、この2つの転写シート22をその画像面を対面させて加熱圧着し、転写シートの基材を剥離することで、画像記録体が得られる。
また、画像形成装置12における画像形成部20から排出口28と転写シート22を搬送する搬送路26の途中に反転路26aを設けて、転写シート22のうち、丁合い部36上の下側に供給される第1の転写シート22aは反転路26aを経由させず、上側に供給される第2の転写シート22bは反転路26aを経由させその表裏を反転させて搬送するといった具合に、選択的に転写シート22の表裏を反転させることで、連続した位置決めが行なわれ、より効率良くプラスチックシートに印刷が行われる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例および比較例における「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
電子写真用画像転写シート(転写シートa1)を以下のごとく作製した。以下、その作製方法を工程ごとに説明する。
<背面最表層塗工液Aa−1の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(綜研化学社製:フォレットFF−4M、固型分濃度30%)20部と、カチオン系界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)0.5部と、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてオレイン酸ナトリウム(関東化学社製)3.5部と、メチルエチルケトン200部と、を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−1を調製した。
<受像層塗工液Ba−1の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3600、Tg:75℃)10部と、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3223、Tg:1℃)11.5部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸ブチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:BM30X−12、平均粒子径:12μm)6部と、をメチルエチルケトン55部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−1を調製した
<粘着層塗工液Ca−1の調製>
シリコーン粘着剤(GE東芝シリコーン社製:XR37−B9204、固形分濃度60%)20部と、その架橋剤(GE東芝シリコーン社製:XC93−B6144)0.2部と、をトルエン20部で希釈して攪拌し、粘着層塗工液Ca−1を調製した。
<転写シートa1の作製>
基材としての二軸延伸PET(東レ社製ルミラーS10、厚み75μm)の片面側に、前記粘着層塗工液Ca−1をワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で2分間乾燥させ膜厚7μmの粘着層を形成した。
透明支持体として二軸延伸PET(東レ社製ルミラーF53、厚み6μm)の片側面に、前記粘着層を形成した基材の粘着層面を、常温(22℃)下、貼り合わせ速度0.2m/分、シリンダー圧力588KPaで貼り合わせた。
この貼り合わせたシートの前記基体の未処理面に、前記背面最表層液Aa−1をワイヤーバーを用いて塗工し、100℃で1分間乾燥させ膜厚0.1μmの背面最表層を形成した。背面最表層側の表面抵抗率は2.5×1010Ω/□であった。
次に、貼り合わせたシートの前記透明支持体の未処理面に前記受像層塗工液Ba−1をワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥させて膜厚10μmの受像層を形成し、その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットして転写シートa1を作製した。受像層側の表面抵抗率は3.3×10Ω/□であった。
(転写シートの性能評価)
−装置内搬送性評価−
室温35℃湿度70%の条件下で、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機 DocuColor1450GA)の用紙トレイに上記転写シートa1(画像未形成)を30枚セットし、24時間放置した後に前記転写シートa1を連続で30枚印字作業を行った。この際、画像形成装置内での転写シートに起因する搬送停止(ジャム)の発生や、転写シートが重なって搬送してしまう重送の発生が起こるか否かを確認した。評価基準は以下の通りである。結果を下記表1に示す。
A:ジャムや重送が発生しない
B:ジャムや重送が発生した
(尚、表1において「重送」および「ジャム」の評価結果に示す数値は、重送またはジャムが発生した枚数を表す。)
〔実施例2〕
<背面最表層塗工液Aa−2の調製>
メタアクリレート構造単位と対アニオンがメチル硫酸イオンである4級アンモニウム塩を含有したメタアクリル酸エステル構造単位とのアクリル系高分子溶解液(綜研化学社製:エレコンドQO−101、固形分濃度50%)10部に、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてパルミチン酸ナトリウム(関東化学社製)1.7部、イソプロピルアルコールと水を7対3に混合した溶液200部を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−2を調製した。
<受像層塗工液Ba−2の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン802、Tg:60℃)9部と、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン500、Tg:4℃)11部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:SSX−115、平均粒子径:15μm)3部と、をメチルエチルケトン50部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−2を調製した。
<転写シートa2の作製>
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−2を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−2を用いて、膜厚0.3μmの背面最表層(表面抵抗率:2.2×1010Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率:1.7×1010Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa2を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
〔実施例3〕
<背面最表層塗工液Aa−3の調製>
実施例2における背面最表層塗工液Aa−2において、パルミチン酸ナトリウム(関東化学社製)1.7部の替わりに、ステアリン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)5部を加え、且つ架橋型アクリル球状粒子(積水化成品工業社製、テクポリマーSSX−101、平均粒子径1μm)を1部加えた以外は、実施例2に記載の方法により背面最表層塗工液Aa−3を調製した。
<受像層塗工液Ba−3の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(日本合成化学社製:ポリエスターTP235、Tg:65℃)8.5部と、ポリエステル樹脂(日本合成化学社製:ポリエスターLP050、Tg:10℃)11.5部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1.2部と、フィラーとして架橋型ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成品工業社製:SSX−120、平均粒子径:20μm)4部と、をメチルエチルケトン50部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−3を調製した。
<転写シートa3の作製>
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−3を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−3を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率9.5×10Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率3.5×10Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa3を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
〔実施例4〕
<背面最表層塗工液Aa−4の調製>
窒素に1つの酢酸が付加した4級アンモニウム塩を含有するメタアクリル酸エステル構造単位のアクリル系高分子溶解液(三菱化学社製:サフトマーST−3200、固形分濃度0.5%水溶液)70部と、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としてオレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.35部と、架橋型アクリル粒子(積水化学工業社製、アドバンセルK001、固型分濃度20%水溶液、平均粒子径0.15μm)5部と、イソプロピルアルコールおよび水を7対3に混合した溶液100部と、を混合して攪拌し、背面最表層塗工液Aa−4を調製した。
<受像層塗工液Ba−4の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン885、Tg:79℃)10部と、ウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロンUR−3210、Tg:−3℃、固形分濃度30%)33部と、界面活性剤(日油社製:エレガン264WAX)1部と、フィラーとして架橋型アクリル球状粒子(積水化成品工業社製:テクポリマーSSX−115HXE、平均粒子径:15μm)3.5部と、をメチルエチルケトン30部の溶媒中に添加して攪拌し、受像層塗工液Ba−4を調製した。
<転写シートa4の作製>
実施例1において、前記背面最表層塗工液Aa−1の替わりに背面最表層塗工液Aa−4を、受像層塗工液Ba−1の替わりに受像層塗工液Ba−4を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率2.5×10Ω/□)、および膜厚15μmの受像層(表面抵抗率5.5×10Ω/□)を形成させた以外は、実施例1に記載の方法により転写シートa4を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
〔実施例5〕
<背面最表層塗工液Aa−5の調製>
実施例4における背面最表層塗工液Aa−4において、オレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.35部の替わりに、オレイン酸ナトリウム(関東化学社製)0.2部およびラウリン酸ナトリウム(関東化学社製)0.15部を加え、且つ架橋型アクリル粒子を未添加にした以外は、実施例4に記載の方法により背面最表層塗工液Aa−5を調製した。
<転写シートa5の作製>
実施例4において、前記背面最表層塗工液Aa−4の替わりに背面最表層塗工液Aa−5を用いて、膜厚0.05μmの背面最表層(表面抵抗率9.0×10Ω/□)を形成させた以外は、実施例4に記載の方法により転写シートa5を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
〔実施例6〕
<転写シートa6の作製>
基材として片面に離型層が形成された二軸延伸PET(パナック社製:パナピールSG−2、厚み100μm)の前記離型層形成面に、コート層樹脂としてUV硬化型ウレタンアクリル樹脂(DIC社製:ユニデックRC29−124、固型分濃度60%)をワイヤーバーで塗布し、70℃で5分乾燥後、紫外線(UV)照射(高圧水銀ランプ:500mJ/cm)し、コート層を形成した。更に、このコート層の上に実施例4で用いた受像層塗工液Aa−4を用い、且つこの面とは反対の面に実施例4で用いた背面最表層塗工液Ba−4を用い、実施例4に記載の方法により受像層および背面最表層を形成し、転写シートa6を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
〔比較例1〜6〕
実施例1〜6に使用した背面最表層塗工液Aa−1乃至Aa−5において、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を除いた背面最表層塗工液を調製し、それ以外は実施例1〜6に記載の方法により転写シートa1’〜a6’を作製し、実施例1に記載の評価を行った。
結果をまとめて表1に示す。
10 画像記録体の作製装置
12 画像形成装置
14 丁合い装置(位置決め部)
16 ラミネート装置(加熱圧着部)
17 剥離装置(剥離部)
18 転写シート収納部
20 画像形成部
22、100 転写シート
24、26、40、42 搬送路
26a 反転路
28 排出口
32 カム
34 プラスチックシート収納部(画像支持体収納部)
36 丁合い部
38、200 プラスチックシート(画像支持体)
46 ベルト
56 排出受け
57 転写シート排出受け
110 基材
120 粘着層
130、170 透明支持体
140、180 画像受像層
150 背面最表層
160 離型層
190 画像形成材料
200 画像支持体
300 画像記録体

Claims (3)

  1. 画像受像層と、
    基材と、
    脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する背面最表層と、をこの順に有する画像転写シート。
  2. 前記背面最表層は、平均粒子径が0.1μm以上3μm以下の架橋型アクリル系粒子を含有する請求項1に記載の画像転写シート。
  3. 前記背面最表層は、4級アンモニウム塩を側鎖に含むアクリル系高分子樹脂を含有する請求項1または請求項2に記載の画像転写シート。
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