JP3832343B2 - 染料熱転写受容シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は染料熱転写受容シート(以下、単に受容シートと略す)に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は種々の環境において帯電防止性に優れており、静電気による重送(受容シートが複数枚同時に給紙されること)が無く、また印画画像の見当ずれも無く、更に裏面の裏プリント適性、裏移り性、筆記適性、インクジェットプリンター印画適性、葉書適性等の受容シートの裏面層に要求される諸特性が良好な受容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
染料熱転写方式による高画質のカラーハードコピープリントシステムは、プリンターと、熱転写シート(インクリボン)と、受容シートとから構成される。受容シートにカラー画像を形成する一般的な方法としては、イエロー、マゼンタ、シアン、更に必要に応じてブラックの3色又は4色からなる色材層が面順次に設けられた熱転写シート(以下、単にインクリボンと略す)と、染料受容層が設けられた受容シートを、ある一定の圧力で押圧された加熱デバイスとプラテンローラーとの間を通過させる。
その時、画像情報に応じて加熱デバイスの発熱部分を選択的に発熱させ、インクリボンの色材層に含まれる染料を、受容シートの染料受容層に移行させて画像を形成する。インクリボンには3色又は4色の色材層が面順次に設けられており、受容シートの同一位置に1色ずつ3回又は4回に分けて異なる色が順次転写され、色が重ねられてカラー画像が形成される。このような染料熱転写方式のプリンターでは、受容シートが枚葉の状態で供給されるのが一般的である。
【0003】
最近、高速で高感度のプリントシステムが求められており、サーマルヘッド等の加熱デバイスの発熱量を、如何に効率よく画像形成に利用するかが重要な技術課題となっている。そこで受容シートの基材には、熱損失を少なくするために、断熱性の高い熱可塑性樹脂を主成分とする、プラスチックフィルムが使用され、インクリボンの基材にも、通常熱可塑性樹脂フィルムが使用され、更に画像を形成する染料受容層にも染料染着性樹脂が使用される。
このため、染料熱転写方式に使用される受容シートは、概して帯電性が高く、プリンター内部での受容シートの給排紙運動により発生する静電気によって、受容シートの重送あるいは紙詰まりが発生し、プリントに支障をきたしている。従って、静電気の防止は染料熱転写プリントシステムで解決すべき重要課題である。
【0004】
このような熱転写プリンターでの印画時における受容シートの搬送は、グリップローラ駆動方式、プラテンローラ駆動方式、ドラム駆動方式等の駆動方式が主に行われてきた。
例えば受容シートの一端を、チャックで挟んで往復運動させるプリンターは、独立したチャックにより往復運動させているので、搬送精度には優れている。しかしながら、比較的大きな、例えばA3版以上の受容シートに対しては印画し易いが、機構的に複雑で装置が大型化し、小さいサイズの受容シートには印画し難く、装置価格も高価である。
また、受容シートの一端を、プラテンローラー表面に設けられたチャックに固定して巻き付け、プラテンローラーの回転により往復運動させるプリンターは、搬送精度以前の問題として、受容シートを排出する際に紙詰まりが起こりやすい欠点がある。
【0005】
現在最も広く利用されている方法としては、受容シートの滑りを防止するゴムローラーと、微細な突起(以下、スパイクと称する)を受容シートに食い込ませて精度良く搬送させる金属ローラーとで構成されるグリップローラーに、受容シートを挟んでその回転により往復運動させる方式があり、構造が単純なので装置の小型化が可能であり、装置価格も安価となる。
しかしながら、この方式の欠点は搬送精度があまり良くなく、受容シートを往復運動させて印画すると、印画画像の見当ずれが起こり易かった。見当ずれの改善の為、グリップローラー押圧力の上昇検討、スパイクの形状及び配置の検討などのプリンターの機械条件面からの対策も行われているが、スパイク痕が問題となることがあり、受容シートの層構成、塗工層の材料面からの改善も要請されている。
なお、印画画像の見当ずれとは、面順次に複数の色画像を重ねて印画する際に、受容シートの搬送精度が出ていないと色画像がずれて、得られるカラー画像に不都合が発生することである。
【0006】
一般に受容シートは、シート状支持体の片面に、インクリボンから移行して染着する染料を受容する染料染着性樹脂を含む染料受容層を設けた構成である。更に受容シートの染料受容層を有する面とは反対側の面(裏面)には、受容シートの帯電防止、印画画像の見当ずれ改善、走行性、給排紙適性等を具備させるために、裏面塗工層が形成される。
また、受容シートの裏面に対しては、裏プリント適性、裏移り性、筆記適性、葉書適性、インクジェットプリンター印画適性、切手貼付性等の諸特性に対する要望がある。
【0007】
裏プリント適性とは、受容シートの表裏を間違えてプリンターに装着し印画した際に、インクリボンと裏面塗工層が融着せずに印画、排紙される性能のことである。
裏移り性とは、印画した受容シートを重ねて(即ち印画面と裏面塗工層面とが接触した状態)保存したときに、裏面塗工層面が印画面の染料により、汚染されることである。
筆記適性、葉書適性とは、水性及び油性の各種の筆記具に対する良好な筆記性、郵便切手貼付性のことである。
【0008】
これまでに、受容シートの重送や紙詰まりの無い良好な走行性、帯電防止性を得るために、受容シートの裏面層に各種の導電性物質を含有させることは、一般的に知られている(特開昭61−197283号公報、特開平5−64977号公報、特開平10−217623号公報)。
導電性物質としては、帯電防止剤と呼ばれる有機化合物、電子伝導性の無機微粉末、あるいは炭素微粉末等があり、帯電防止剤としてはアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、両性イオン型界面活性剤等がある。
しかしながら、これらの界面活性剤を裏面塗工層に含有させると、界面活性剤は低分子量であるため、界面活性剤が裏面塗工層表面に移行し、更に裏面塗工層に接触する別の受容シートの染料受容層にまで移行するため、帯電防止効果を長期間に亘って持続することができない欠点がある。
【0009】
この問題を解決するため、高分子樹脂タイプの導電剤が検討されており、一般的にはカチオン型導電性樹脂、ノニオン型導電性樹脂などが提案されている。
カチオン型導電性樹脂(例えばポリビニルベンジル型カチオン樹脂、ポリアクリル酸型カチオン樹脂等)は、帯電防止効果を長時間にわたって持続できる利点はあるが、価格が高いこと、接着剤樹脂等の他の併用材料との相溶性が劣ること、熱分解時にアミン臭が発生する等の欠点がある。また、ノニオン型導電性樹脂にはポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール等があり、その極性基によって保水性を有し導電性となるが、概して導電性が低く、帯電防止効果が劣る欠点がある。
なお、アニオン型導電性樹脂は、カチオン型導電性樹脂と比較して安価であるが、導電性に劣る欠点があり、あまり使用されていなかった。
例えば、特開平5−58064号公報において、受容シートの裏面層にアニオン性高分子物質及び/又は導電性粒子を含有することが開示されている。しかしながら、導電性が劣るせいか、プリント走行性が必ずしも充分ではなく、また、裏移り性も劣るものであった。
【0010】
また、電子伝導性の無機微粉末としては、酸化アルミニウムをドーピングし、焼成した酸化亜鉛や、アンチモンをドーピングした酸化錫等のn型半導体が知られている。これらは電流の担体がイオンでなく電子であるため、導電性に対して湿度依存性が無い利点はあるが、価格の高いこと、導電剤が黒色等の濃色のものが多く、その結果得られる受容シートの外観が劣る欠点がある。
【0011】
更に特開平1−241491号公報において、裏面層に無機質や有機質の粒子と、高級脂肪酸塩を併用することにより、記録時の受像体の繰り出し性、加筆性の改善が行われているが、裏移り性、葉書適性、インクジェットプリンター適性などにおいては、不充分である。また、印画画像の見当ずれ改善としては、特開平11−80680号公報では特定の樹脂フィルムからなる裏面層を設け、グリップローラーの食い付きを改善することが述べられている。
しかしながら、樹脂フィルムのみからなる裏面層は、裏面層が硬いため、グリップローラーの食い付きが不十分であり、搬送精度の向上が不完全であるため、印画画像の見当ずれは満足すべきレベルに至っていない。
【0012】
特開平2001−199172号公報では、受容シートの裏面層にナイロン樹脂粒子、高級脂肪酸塩及び部分ケン化ポリビニルアルコールを使用することが開示されており、インクジェットプリンターにより、通常の記録は可能であるが、必ずしも鮮明な画質は得られない。
特開平2001−213057号公報においては、受容シートの裏面層にカチオン顔料と、高級脂肪酸塩及び接着剤の使用が開示されており、カチオン顔料の添加により、インクジェットプリンターによる記録画質は改善されるものの、塗料の安定性を考慮すると、使用可能なバインダーの種類が制限されることなどから、充分な塗膜耐水性が得られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、これまでに裏面塗工層を形成する材料として、導電性物質、接着剤樹脂、更に無機及び有機顔料、滑剤等が検討されてきた。しかしながら、現在、裏面塗工層に要求される帯電防止性、印画画像の見当ずれ性、走行性、給排紙適性、更に裏プリント適性、裏移り性、各種筆記具に対する筆記適性や切手貼付性等の葉書適性、インクジェットプリンターに対する印画適性等の特性の全てを同時に満足するものが無く、新たな裏面塗工層の開発が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、染料受容層と裏面塗工層との静電気帯電性、摩擦特性、受容シートの給排紙性、走行性、印画画像の見当ずれ、裏プリント適性、裏移り性、各種の筆記具に対する筆記適性、インクジェットプリンターでの印画適性及び切手貼付性等の葉書適性について総合的に検討した結果、本発明をなすに至った。
【0015】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)シート状支持体と、前記支持体の片面に染料を受容する染料受容層と、前記支持体の他面に裏面塗工層とを有する占領熱転写受容シートにおいて、裏面塗工層が、バインダーとしてポリビニルアセタール樹脂及びカルボキシル基を含むアニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂を含み、かつ裏面塗工層の全固形分に対して5〜20質量%のポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩からなるアニオン型導電性樹脂、20〜50質量%の高級脂肪酸塩、及び2〜25質量%のナイロン樹脂粒子を含有し、裏面塗工層側の表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□である染料熱転写受容シート。
【0016】
(2)アニオン型導電性樹脂がポリスチレンスルホン酸ナトリウムである(1)項に記載の受容シート。
【0017】
(3)高級脂肪酸塩がステアリン酸金属塩である(1)項又は(2)項に記載の受容シート。
【0018】
(4)ナイロン樹脂粒子が、ナイロン12からなる樹脂粒子であり、平均粒径が3〜20μmである(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の受容シート。
本発明は、更に以下の発明を包含する。
【0019】
(5)染料熱転写受容シートに印画された画像の見当ずれが200μm以下である(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の受容シート。
【0020】
(6)アニオン型導電性樹脂の分子量が5000〜50000である(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の受容シート。
【0021】
(7)裏面塗工層の接着剤樹脂として、重合度500〜3500、鹸化度70〜90モル%の部分鹸化ポリビニルアルコールを一部アセタール化した、アセタール化度が2〜30モル%のポリビニルアセタール樹脂を使用する(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の受容シート。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の受容シートは、染料を受容する染料受容層と、シート状支持体と、裏面塗工層が順次積層された受容シートであり、該裏面塗工層が、アニオン型導電性樹脂、高級脂肪酸塩及びナイロン樹脂粒子を含有してなるものである。
【0023】
(裏面塗工層)
本発明の裏面塗工層には、静電気の帯電による給排紙トラブルの防止、印画画像の見当ずれ改善のためにアニオン型導電性樹脂が含まれる。
アニオン型導電性樹脂としてはスルホン酸基を含有する高分子、例えばポリスチレンスルホン酸及びその変性体等が挙げられ、それぞれに対応する官能基の一部分あるいは全てがアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などになったものが挙げられる。
【0024】
これらの中でポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩が帯電防止機能、溶解性、裏面塗工層で併用する他の接着剤樹脂との相溶性に優れるので好ましい。なお、アニオン型導電性樹脂の分子量は大きすぎると導電性が悪くなり、小さすぎると造膜性が悪化する。分子量としては5000〜50000のものが好ましい。
【0025】
アニオン型導電性樹脂の配合量は、裏面塗工層の全固形分に対して5〜20質量%が好ましく、7〜18質量%が更に好ましい。因みに配合量が5質量%未満では、受容シート裏面側の表面電気抵抗が高くなり、十分な帯電防止性効果が得られず、プリンターの給排紙性、走行性が劣る欠点がある。また、配合量が20質量%を超えると、特に高温高湿時の裏面塗工層の塗膜強度が低下するおそれがある。
【0026】
本発明の裏面塗工層で使用される高級脂肪酸塩としては、炭素数12〜24、好ましくは16〜20の飽和、もしくは不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、オレイン酸等が挙げられ、かかる高級脂肪酸の塩として、好ましくはカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩等の金属塩が挙げられる。特に好ましくはステアリン酸金属塩であり、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム等が例示される。
【0027】
高級脂肪酸塩の配合量は、裏面塗工層の全固形分に対して20〜50質量%が好ましく、更に好ましくは25〜45質量%である。因みに配合量が20質量%未満では、裏面塗工層が堅いことに起因してグリップローラーの食い付きが悪く、印画画像の見当ずれが大きくなる傾向にある。また受容シートを表裏逆にして印画した時に、裏面塗工層とインクリボンが融着する傾向にあり、いわゆる裏プリント適性が悪化する。また、配合量が50質量%を越えると、裏面塗工層の滑り性が過大となるため、筆記性が悪化する傾向にあり、切手貼付性も悪くなり、好ましくない。
【0028】
本発明の裏面塗工層において使用されるナイロン樹脂粒子としては、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン6・6等の樹脂粒子が挙げられる。中でもナイロン12樹脂粒子がナイロン6、ナイロン6・6樹脂粒子に比べて耐水性に優れ、吸水による特性変化も少ないのでより好ましい。
ナイロン樹脂粒子の分子量としては、10万〜100万程度が好ましい。形状としては球形が好ましく、その粒径は裏面塗工層の固形分塗工量や、併用する接着剤樹脂の種類により一概には言えないが、平均粒径で3〜20μmの大きさのものが好ましい。
【0029】
ナイロン樹脂粒子の平均粒径が3μm未満の場合には、ナイロン樹脂粒子が裏面塗工層中に埋没して摩擦係数低減効果が出にくく、帯電防止効果が不十分であるために、給排紙性、走行性が劣る欠点がある。一方、ナイロン樹脂粒子の平均粒径が20μmを越えると、ナイロン樹脂粒子の裏面塗工層表面からの突出が大きくなり、裏面塗工層と染料受容層が強く接触した時に染料受容層に形が付いたり、印画画像に白抜けが発生する欠点がある。また、受容シートが擦られた際に、ナイロン樹脂粒子が欠落する欠点がある。
これらのナイロン樹脂粒子は単独で使用しても、また、2種類以上を併用しても良い。
【0030】
ナイロン樹脂粒子の配合量は、裏面塗工層の全固形分に対して2〜25質量%が好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。因みに、配合量が2質量%未満では、受容シート間の摩擦係数低減効果が得られ難く、帯電防止効果が不十分であるため、重送が起こり易い欠点がある。
一方、配合量が25質量%を越えると、裏面塗工層塗料をコーターで塗工する際に、ナイロン樹脂粒子の沈降に起因する筋などが発生しやすく、塗工面が悪化する等の問題が生じる。また、摩擦係数低減、静電気防止効果も飽和し、それ以上の性能を期待できないばかりか、コストを上昇させ実用的でない。
【0031】
また、本発明の裏面塗工層では必要に応じて高級脂肪酸塩、ナイロン樹脂粒子以外の無機系粒子や有機系粒子も併用する事が可能である。無機系粒子としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の無機塩、カオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、珪藻土等の鉱物、スチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の有機系粒子も任意に併用できる。
【0032】
本発明の裏面塗工層では、バインダーとして有効な接着剤樹脂が使用される。これらの樹脂は、裏面塗工層の支持体への接着強度向上のためにも有効である。
このような樹脂としては、従来から広く使用されている樹脂を任意に使用することができるが、例えば、ポリビニルアセタール樹脂が特に好適に使用することができる。
【0033】
ポリビニルアセタール樹脂は重合度500〜3500、鹸化度70〜90モル%の部分鹸化ポリビニルアルコールを一部アセタール化したものが好ましい。なおアセタール化度は2〜30モル%が好ましい。因みに重合度が3500を越えると、接着剤樹脂の粘度が急激に増大して加工適性が悪化する場合がある。一方重合度が500未満の場合には、得られる裏面塗工層の塗膜耐水性が大きく低下することがある。
鹸化度は、90モル%を越えると、インクジェットプリンター印字において水性インク吸収性が悪くなる場合があり、70モル%未満では、裏面塗工層の塗膜耐水性が低下することがある。
【0034】
ポリビニルアセタール樹脂を接着剤樹脂として単独で使用すると、水性インクの吸収性は良好であるが、水性インクを吸収した時の塗膜の強度が不十分である。この欠点を補うためには、カルボキシル基などを含むアニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂のような水性インクの吸収性は劣るが、塗膜耐水性のある樹脂とを併用して使用するのが好ましい。
【0035】
裏面塗工層中の接着剤樹脂の配合量は、裏面塗工層の全固形分に対して30質量%以上、中でも30〜50質量%が好ましい。因みに配合量が30質量%未満では、裏面塗工層の耐水性が不十分である為、インクジェットプリンターでの印画において、画像のにじみが大きくなり、また水性ペン、油性ペンでの筆記性が劣る傾向にある。
【0036】
さらに、裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて各種の添加剤、例えば消泡剤、分散剤、樹脂の架橋剤、有色染料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用しても良い。
【0037】
裏面塗工層の固形分塗工量は1〜10g/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは1.5〜7g/m2である。因みに、固形分塗工量が1g/m2未満では、裏面塗工層がシート状支持体表面を完全に覆う事ができず、塗膜欠陥が発生したり、表面電気抵抗が上昇する場合があり、好ましくない。また、固形分塗工量が10g/m2を越えると、裏面塗工層の塗膜強度が不足したり、コストを上昇させ、経済的にも不利となる。
【0038】
なお、裏面塗工層の表面電気抵抗は、20℃、65%RH環境下の測定で1×108〜5×1012Ω/□程度、中でも1×108〜1×1012Ω/□が好ましい。(IP抵抗計HI−RESTA、三菱化学社製で測定)、受容シート同士の紙間摩擦係数は、20℃、65%RH環境下の測定で0.1〜0.3程度(表面性試験機HEIDON−14D型、新東科学社製で測定)となるように調節することが好ましい。
裏面塗工層の表面電気抵抗が5×1012Ω/□を超えると、表面電気抵抗が高すぎることに起因して、帯電防止効果が十分に得られず、走行性が劣り好ましくない。
裏面塗工層の表面電気抵抗の調節は、裏面塗工層中の導電性樹脂の配合比率を変えたり、裏面塗工層の塗工量を変えることによって行うことができる。
【0039】
インクリボンを使用した、3色ないし4色の色重ね印画における印画画像の見当ずれについては、見当ずれの値が200μm以下であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましい。見当ずれの値が200μmを超えると、色調が変化したり、滲んだりして、画像にぼけが発生するため印画画像の外観が悪くなり、商品価値が低下する場合がある。
【0040】
(シート状支持体)
本発明に用いられるシート状支持体としては、コート紙、アート紙、上質紙等の紙基材、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を紙基材に塗工した樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を紙基材に押し出しラミネートしたラミネート紙、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物)等の熱可塑性樹脂フィルム、あるいはポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂とボイド形成剤(無機顔料或いは有機微粒子)とを主成分とする1軸又は2軸延伸した、空隙を有する多孔質の単層もしくは多層構造のフィルム等が例示される。
【0041】
更にシート状支持体としては、前記の材料を単体で使用するだけでなく、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、溶融ラミネート法等の公知の方法により、前記材料の2種以上を貼り合わせて多層構造にしたものも使用でき、その組み合わせは限定されない。
また、例えば染料受容層が形成される第1の基材、粘着剤層、剥離剤層、第2の基材を順次積層し、いわゆるステッカー、シールタイプ等の用途に使用される積層支持体としたものも、使用可能である。
【0042】
シート状支持体の厚さは100〜300μmが好ましい。因みに、厚さが100μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度、及び変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できないことがある。また、厚さが300μmを越えると、得られる受容シートの厚みが過大になるため、プリンターにおける受容シート収容枚数の低下をまねいたり、あるいは逆にプリンターの容積増大を招き、プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生じる場合がある。
【0043】
(中間層)
本発明の受容シートには、シート状支持体と染料受容層との間の接着性及び受容シートの帯電防止性改善のため、シート状支持体と染料熱転写受容層との間に中間層を設けても良い。この中間層形成のために使用される樹脂としては各種の親水性樹脂、疎水性樹脂が使用可能であり、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー及びその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリル酸エステル等のアクリル基を含有するポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル等のメタクリル基を含有するポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、澱粉、変成澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の樹脂を使用することができる。また公知の帯電防止剤、架橋剤を単独もしくは上記の樹脂と併用して使用することもできる。
【0044】
前記中間層の固形分塗工量は0.2〜5g/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5〜3g/m2の範囲である。因みに固形分塗工量が0.2g/m2未満であると中間層としての接着性改善効果が少なく、5g/m2を越えるとブロッキングや操業性が悪化することがある。
【0045】
(染料受容層)
本発明の受容シートにおいて、シート状支持体の一表面上に設けられる染料受容層は、インクリボンから移行する染料を染着することが可能な染料染着性樹脂を主成分として形成される。このような染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
【0046】
染料受容層の固形分塗工量は1〜12g/m2、好ましくは3〜10g/m2の範囲で調節される。因みに、固形分塗工量が1g/m2未満では、染料受容層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下をまねいたり、サーマルヘッドの加熱により、染料受容層とインクリボンが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、固形分塗工量が12g/m2を超えると、効果が飽和し不経済であるばかりでなく、染料受容層の強度が不足したり、染料受容層の厚みが増し、シート状支持体の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度が低下することがある。
【0047】
染料受容層には、サーマルヘッドの加熱印画時における染料受容層とインクリボンとの融着を防ぐために、染料染着性樹脂の架橋剤、滑剤、剥離剤等を添加することが好ましい。また必要に応じ他の添加剤、例えば有色顔料、有色染料、蛍光顔料、蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、白色顔料、紫外線吸収剤等を添加しても良い。これらの添加剤は、染料受容層の主成分と混合し塗工されても良いし、別の塗工層として染料受容層の上及び/又は下に塗工されても良い。
【0048】
本発明の受容シートの中間層、染料受容層、裏面塗工層、及びその他の塗工層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の公知のコーターで塗工、乾燥して形成することができる。
【0049】
【実施例】
以下、下記実施例、比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお実施例、比較例において、特に断らない限り「%」及び「部」は全て「質量%」、及び「質量部」を示す。
【0050】
実施例1
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表裏両面に、無機顔料を含みポリオレフィンを主成分とする2軸延伸された厚さ60μmの多層構造フィルム(商品名:ユポFPG60、ユポ・コーポレーション社製)を、ポリエステル系接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、シート状支持体を得た。
上記支持体の一方の面上に、下記の染料受容層用塗工液―1を、固形分塗工量が8g/m2となるようにグラビアコーターで塗工、乾燥し染料受容層を形成した。
【0051】
【0052】
次に、染料受容層が設けられたシート状支持体の反対面に、下記の裏面塗工層用塗工液―2を、固形分塗工量が3g/m2となるようにバーコーターで塗工、乾燥し裏面塗工層を形成した。
【0053】
裏面塗工層用塗工液−2
ポリビニルアセタール樹脂(商標:エスレックKX−1、積水化学工業社製)
14質量部
アニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂(商標:ジュリマーAT613、日本純薬社製)
26質量部
ナイロン樹脂粒子(商標:MW330、ナイロン12樹脂粒子、平均粒径:7μm、シントーファイン社製) 13質量部
ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製、固形分量)
30質量部
アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、主成分:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、三洋化成社製) 12質量部
エポキシ架橋剤(商標:SAR615B、中央理化工業社製) 5質量部
水 200質量部
イソプロピルアルコール 300質量部
【0054】
実施例2
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成社製)の配合量を7質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0055】
実施例3
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成社製)の配合量を19質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0056】
実施例4
実施例1の裏面塗工層用塗工液−2において、ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製、固形分量)の配合量を25質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0057】
実施例5
実施例1の裏面塗工層用塗工液−2において、ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製、固形分量)の配合量を50質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0058】
実施例6
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)の配合量を5質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0059】
実施例7
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)の配合量を21質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0060】
実施例8
実施例1の裏面塗工層用塗工液−2において、ステアリン酸亜鉛分散物の代わりにステアリン酸カルシウム分散物(商標:C−104HS、サンノプコ社製、固形分量)を使用する以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0061】
実施例9
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ポリビニルアセタール樹脂エスレックKX−1をポリビニルアセタール樹脂(商標:エスレックKX−5、積水化学工業社製)に置き換え、更にナイロン樹脂粒子MW330をナイロン樹脂粒子(商標:オルガゾール2001UD、ナイロン12樹脂粒子、平均粒径5μm、エルフアトケム社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0062】
実施例10
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ポリビニルアセタール樹脂エスレックKX−1をポリビニルアセタール樹脂(商標:エスレックKX−5、積水化学工業社製)に置き換え、更にナイロン樹脂粒子MW330をナイロン樹脂粒子(商標:オルガゾール2002D、ナイロン12樹脂粒子、平均粒径20μm、エルフアトケム社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0063】
比較例1
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成社製)の代りにカチオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット9800、三洋化成社製)を使用した以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0064】
比較例2
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2からアニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成社製)を除いた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0065】
比較例3
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成社製)の配合量を2質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0066】
比較例4
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2から、ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製)を除いた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0067】
比較例5
実施例1の裏面塗工層用塗工液−2において、ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製、固形分量)の配合量を5質量部にした以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0068】
比較例6
実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)を除いた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0069】
(品質評価)
上記の実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた裏面塗工層用塗工液及び受容シートについて、下記項目の品質評価を行い、評価結果を表1に示した。
【0070】
〔裏面塗工層用塗工液の安定性〕(裏面塗料安定性)
裏面塗工層用塗工液を35℃、65%RH環境下で24時間密封放置し、24時間経過後の塗工液の安定性を以下の基準で評価した。
実際の製造工程において、塗工開始までの時間や、連続操業などを考えると、塗工液の安定性は非常に重要である。
○:塗料の粘度変化も無く、塗工性問題なし。
×:塗料の粘度が増加し塗工性悪化、あるいは塗料がゲル化し、塗工できない。
【0071】
〔裏面塗工層側の表面電気抵抗〕(裏面電気抵抗)
受容シートの裏面塗工層側の表面電気抵抗を、20℃、65%RH環境下において、IP抵抗計HI−RESTA(三菱化学社製)を用いて測定評価した。
【0072】
〔印画画像の見当ずれ〕(見当ずれ)
受容シートを昇華熱転写ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業社製)に10枚セットし、20℃、65%RHの環境下で、中間調の3色重ね合わせ画像の4隅各々の個所に、見当ずれ測定用のトンボマークを配置した画像を印画した。4カ所のトンボマークの縦方向及び横方向のずれをルーペで測定し、4カ所の縦方向及び横方向のずれ合計8カ所のずれの絶対値の和を求め、この平均値の値を見当ずれの値として算出した。受容シートの見当ずれ性を以下の基準で評価した。
◎:見当ずれが100μm未満で優秀である。
○:見当ずれが100μm以上200μm以下で、許容レベルである。
×:見当ずれが200μmを超え、実用上問題あり。
【0073】
〔プリンター走行性〕
受容シートを昇華熱転写ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業社製)に25枚セットし、10℃、30%RHの環境下で黒ベタ画像を連続印画した。これを4セット、合計100枚実施し、受容シートのプリンター走行性を以下の基準で評価した。
◎:給排紙トラブルは全く見られない。
○:プリンターのヘッド温度が上昇した時のみ、受容シートとインクリボンが部分的に軽く融着するが、排紙は問題なく実用レベルである。
×:受容シートとインクリボンの融着が多発し、リボン切れトラブルが発生し、実用上問題ある。
【0074】
〔裏プリント性〕
受容シートを昇華熱転写ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業社製)に、通常とは表裏逆向きに10枚セットし、20℃、65%RHの環境下で黒ベタ画像を印画し、受容シートの裏プリント適性を以下の基準で評価した。
◎:裏面塗工層とインクリボンの融着が無く、正常に排紙される。
○:裏面塗工層とインクリボンが僅かに融着するが、問題なく排紙され、実用レベルである。
×:プリンター内部で裏面塗工層とインクリボンが融着し、プリンター内部でジャミング及びリボン切れのトラブルが発生し、実用上問題がある。
【0075】
〔裏移り性〕
受容シートを昇華熱転写ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業社製)に10枚セットし、20℃、65%RHの環境下で黒ベタ画像を印画した。印画された受容シートを重ね合わせる事により、印画された染料受容層面と裏面塗工層面を接触させ、200g/cm2の圧力をかけた状態で、60℃、24時間加熱した。
加熱後、印画された染料受容層面と接触していた裏面塗工層面の(黒)の光学濃度をマクベス濃度計(商標:RD−914)を用いて測定し、以下の基準で裏移り性を評価した。なお、裏移り試験前の裏面塗工層面の(黒)の光学濃度は0.05であった。
◎:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.10未満であり、裏移りが発生しない。
○:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.10〜0.14であり、裏移り性は実用レベルである。
×:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.15以上であり、裏移り性は実用上問題がある。
【0076】
〔筆記適性〕(筆記性総合評価)
一般的に使用される筆記具として鉛筆(硬度HB)、ボールペン、水性ペン、油性ペンを用意し、各々の筆記具で受容シートの裏面塗工層面に文字を書き、以下の基準で筆記適性を総合評価した。
◎:全ての筆記具で文字の滲みもなく、文字も書き易く筆記適性良好である。
○:一部の筆記具では文字が若干にじむ、あるいは文字が若干書きにくいが、筆記適性は実用レベルである。
×:一部の筆記具では文字の滲みが激しく読み難い、又は文字が書きにくく、実用上問題がある。
【0077】
〔インクジェットプリンター印画性〕
受容シートをインクジェットプリンター(商標:BJC610JW、キャノン社製)にセットし、720dpi×720dpiのモードで受容シートの裏面塗工層面に文字画像の印画を行い、インクジェットプリンター印画性を以下の基準で評価した。
◎:文字の滲みも無く、印画面を指で擦っても取れない。
○:文字が少し滲むが、印画面を指で擦っても取れず、実用レベルである。
×:文字の滲みが大で読みにくい、あるいは印画面を指で擦ると画像が剥がれ、実用上問題がある。
【0078】
〔切手貼付性〕
日本郵便50円切手の接着面全面に水道水を指で塗り、受容シートの裏面塗工層面に貼り付け、24時間放置した後、切手貼付性を以下の基準で評価した。
○:24時間経過後接着している。
×:24時間経過後接着しておらず、手で剥がせる。
【0079】
【表1】
【0080】
表から明かなように、本発明の実施例1〜10の受容シートは、裏面塗工層側の表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□の範囲となり、印画画像の見当ずれが200μm以下で良好な結果となり、裏面塗工層に要求されるプリンター走行性、見当ずれ、裏プリント適性、裏移り性、各種筆記具に対する筆記適性や切手貼付性等の葉書適性、更にはインクジェットプリンターに対する印画適性等の特性のすべてを同時に満足する。
一方、比較例1〜6の受容シートは、裏面塗工層の特性が本発明の範囲から逸脱しており、裏面塗工層に要求される上記特性の全てを同時には満足しなかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、プリンター給排紙性、走行性に優れ、印画画像の見当ずれ、裏移りの少ない受容シートを得ることができる。また、裏プリント適性、各種の筆記具に対する筆記適性の良い受容シートを得ることができる。
更に、本発明の受容シートは、インクジェットプリンターでの印画適性にも優れている。
Claims (4)
- シート状支持体と、前記支持体の片面に染料を受容する染料受容層と、前記支持体の他面に裏面塗工層とを有する染料熱転写受容シートにおいて、裏面塗工層が、バインダーとしてポリビニルアセタール樹脂及びカルボキシル基を含むアニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂を含み、かつ裏面塗工層の全固形分に対して5〜20質量%のポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩からなるアニオン型導電性樹脂、20〜50質量%の高級脂肪酸塩、及び2〜25質量%のナイロン樹脂粒子を含有し、裏面塗工層側の表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□である染料熱転写受容シート。
- 前記アニオン型導電性樹脂がポリスチレンスルホン酸ナトリウムである請求項1記載の染料熱転写受容シート。
- 高級脂肪酸塩がステアリン酸金属塩である請求項1又は2に記載の染料熱転写受容シート。
- ナイロン樹脂粒子が、ナイロン12からなる樹脂粒子であり、平均粒径が3〜20μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料熱転写受容シート。
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