JP2003191652A - 染料熱転写受容シート - Google Patents

染料熱転写受容シート

Info

Publication number
JP2003191652A
JP2003191652A JP2001399307A JP2001399307A JP2003191652A JP 2003191652 A JP2003191652 A JP 2003191652A JP 2001399307 A JP2001399307 A JP 2001399307A JP 2001399307 A JP2001399307 A JP 2001399307A JP 2003191652 A JP2003191652 A JP 2003191652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating layer
dye
resin
receiving sheet
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001399307A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3832343B2 (ja
Inventor
Hideaki Shinohara
英明 篠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP2001399307A priority Critical patent/JP3832343B2/ja
Publication of JP2003191652A publication Critical patent/JP2003191652A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3832343B2 publication Critical patent/JP3832343B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】帯電防止性に優れており、静電気による重送が
無く、また印画画像の見当ずれも無く、更に裏面の裏プ
リント適性、裏移り性、筆記適性、インクジェットプリ
ンター印画適性、葉書適性等の受容シートの裏面層に要
求される諸特性が良好な染料熱転写受容シートを得るこ
と。 【解決手段】シート状支持体と、前記支持体の片面に染
料を受容する染料受容層と、前記支持体の他面に裏面塗
工層とを有する染料熱転写受容シートにおいて、裏面塗
工層は、全固形分に対して5〜20質量%のアニオン型
導電性樹脂、20〜50質量%の高級脂肪酸塩、及び2
〜25質量%のナイロン樹脂粒子を含有し、裏面塗工層
側の表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□であ
る染料熱転写受容シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は染料熱転写受容シー
ト(以下、単に受容シートと略す)に関するものであ
る。さらに詳しく述べるならば、本発明は種々の環境に
おいて帯電防止性に優れており、静電気による重送(受
容シートが複数枚同時に給紙されること)が無く、また
印画画像の見当ずれも無く、更に裏面の裏プリント適
性、裏移り性、筆記適性、インクジェットプリンター印
画適性、葉書適性等の受容シートの裏面層に要求される
諸特性が良好な受容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】染料熱転写方式による高画質のカラーハ
ードコピープリントシステムは、プリンターと、熱転写
シート(インクリボン)と、受容シートとから構成され
る。受容シートにカラー画像を形成する一般的な方法と
しては、イエロー、マゼンタ、シアン、更に必要に応じ
てブラックの3色又は4色からなる色材層が面順次に設
けられた熱転写シート(以下、単にインクリボンと略
す)と、染料受容層が設けられた受容シートを、ある一
定の圧力で押圧された加熱デバイスとプラテンローラー
との間を通過させる。その時、画像情報に応じて加熱デ
バイスの発熱部分を選択的に発熱させ、インクリボンの
色材層に含まれる染料を、受容シートの染料受容層に移
行させて画像を形成する。インクリボンには3色又は4
色の色材層が面順次に設けられており、受容シートの同
一位置に1色ずつ3回又は4回に分けて異なる色が順次
転写され、色が重ねられてカラー画像が形成される。こ
のような染料熱転写方式のプリンターでは、受容シート
が枚葉の状態で供給されるのが一般的である。
【0003】最近、高速で高感度のプリントシステムが
求められており、サーマルヘッド等の加熱デバイスの発
熱量を、如何に効率よく画像形成に利用するかが重要な
技術課題となっている。そこで受容シートの基材には、
熱損失を少なくするために、断熱性の高い熱可塑性樹脂
を主成分とする、プラスチックフィルムが使用され、イ
ンクリボンの基材にも、通常熱可塑性樹脂フィルムが使
用され、更に画像を形成する染料受容層にも染料染着性
樹脂が使用される。このため、染料熱転写方式に使用さ
れる受容シートは、概して帯電性が高く、プリンター内
部での受容シートの給排紙運動により発生する静電気に
よって、受容シートの重送あるいは紙詰まりが発生し、
プリントに支障をきたしている。従って、静電気の防止
は染料熱転写プリントシステムで解決すべき重要課題で
ある。
【0004】このような熱転写プリンターでの印画時に
おける受容シートの搬送は、グリップローラ駆動方式、
プラテンローラ駆動方式、ドラム駆動方式等の駆動方式
が主に行われてきた。例えば受容シートの一端を、チャ
ックで挟んで往復運動させるプリンターは、独立したチ
ャックにより往復運動させているので、搬送精度には優
れている。しかしながら、比較的大きな、例えばA3版
以上の受容シートに対しては印画し易いが、機構的に複
雑で装置が大型化し、小さいサイズの受容シートには印
画し難く、装置価格も高価である。また、受容シートの
一端を、プラテンローラー表面に設けられたチャックに
固定して巻き付け、プラテンローラーの回転により往復
運動させるプリンターは、搬送精度以前の問題として、
受容シートを排出する際に紙詰まりが起こりやすい欠点
がある。
【0005】現在最も広く利用されている方法として
は、受容シートの滑りを防止するゴムローラーと、微細
な突起(以下、スパイクと称する)を受容シートに食い
込ませて精度良く搬送させる金属ローラーとで構成され
るグリップローラーに、受容シートを挟んでその回転に
より往復運動させる方式があり、構造が単純なので装置
の小型化が可能であり、装置価格も安価となる。しかし
ながら、この方式の欠点は搬送精度があまり良くなく、
受容シートを往復運動させて印画すると、印画画像の見
当ずれが起こり易かった。見当ずれの改善の為、グリッ
プローラー押圧力の上昇検討、スパイクの形状及び配置
の検討などのプリンターの機械条件面からの対策も行わ
れているが、スパイク痕が問題となることがあり、受容
シートの層構成、塗工層の材料面からの改善も要請され
ている。なお、印画画像の見当ずれとは、面順次に複数
の色画像を重ねて印画する際に、受容シートの搬送精度
が出ていないと色画像がずれて、得られるカラー画像に
不都合が発生することである。
【0006】一般に受容シートは、シート状支持体の片
面に、インクリボンから移行して染着する染料を受容す
る染料染着性樹脂を含む染料受容層を設けた構成であ
る。更に受容シートの染料受容層を有する面とは反対側
の面(裏面)には、受容シートの帯電防止、印画画像の
見当ずれ改善、走行性、給排紙適性等を具備させるため
に、裏面塗工層が形成される。また、受容シートの裏面
に対しては、裏プリント適性、裏移り性、筆記適性、葉
書適性、インクジェットプリンター印画適性、切手貼付
性等の諸特性に対する要望がある。
【0007】裏プリント適性とは、受容シートの表裏を
間違えてプリンターに装着し印画した際に、インクリボ
ンと裏面塗工層が融着せずに印画、排紙される性能のこ
とである。裏移り性とは、印画した受容シートを重ねて
(即ち印画面と裏面塗工層面とが接触した状態)保存し
たときに、裏面塗工層面が印画面の染料により、汚染さ
れることである。筆記適性、葉書適性とは、水性及び油
性の各種の筆記具に対する良好な筆記性、郵便切手貼付
性のことである。
【0008】これまでに、受容シートの重送や紙詰まり
の無い良好な走行性、帯電防止性を得るために、受容シ
ートの裏面層に各種の導電性物質を含有させることは、
一般的に知られている(特開昭61−197283号公
報、特開平5−64977号公報、特開平10−217
623号公報)。導電性物質としては、帯電防止剤と呼
ばれる有機化合物、電子伝導性の無機微粉末、あるいは
炭素微粉末等があり、帯電防止剤としてはアニオン型界
面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性
剤、両性イオン型界面活性剤等がある。しかしながら、
これらの界面活性剤を裏面塗工層に含有させると、界面
活性剤は低分子量であるため、界面活性剤が裏面塗工層
表面に移行し、更に裏面塗工層に接触する別の受容シー
トの染料受容層にまで移行するため、帯電防止効果を長
期間に亘って持続することができない欠点がある。
【0009】この問題を解決するため、高分子樹脂タイ
プの導電剤が検討されており、一般的にはカチオン型導
電性樹脂、ノニオン型導電性樹脂などが提案されてい
る。カチオン型導電性樹脂(例えばポリビニルベンジル
型カチオン樹脂、ポリアクリル酸型カチオン樹脂等)
は、帯電防止効果を長時間にわたって持続できる利点は
あるが、価格が高いこと、接着剤樹脂等の他の併用材料
との相溶性が劣ること、熱分解時にアミン臭が発生する
等の欠点がある。また、ノニオン型導電性樹脂にはポリ
ビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレン
グリコール等があり、その極性基によって保水性を有し
導電性となるが、概して導電性が低く、帯電防止効果が
劣る欠点がある。なお、アニオン型導電性樹脂は、カチ
オン型導電性樹脂と比較して安価であるが、導電性に劣
る欠点があり、あまり使用されていなかった。例えば、
特開平5−58064号公報において、受容シートの裏
面層にアニオン性高分子物質及び/又は導電性粒子を含
有することが開示されている。しかしながら、導電性が
劣るせいか、プリント走行性が必ずしも充分ではなく、
また、裏移り性も劣るものであった。
【0010】また、電子伝導性の無機微粉末としては、
酸化アルミニウムをドーピングし、焼成した酸化亜鉛
や、アンチモンをドーピングした酸化錫等のn型半導体
が知られている。これらは電流の担体がイオンでなく電
子であるため、導電性に対して湿度依存性が無い利点は
あるが、価格の高いこと、導電剤が黒色等の濃色のもの
が多く、その結果得られる受容シートの外観が劣る欠点
がある。
【0011】更に特開平1−241491号公報におい
て、裏面層に無機質や有機質の粒子と、高級脂肪酸塩を
併用することにより、記録時の受像体の繰り出し性、加
筆性の改善が行われているが、裏移り性、葉書適性、イ
ンクジェットプリンター適性などにおいては、不充分で
ある。また、印画画像の見当ずれ改善としては、特開平
11−80680号公報では特定の樹脂フィルムからな
る裏面層を設け、グリップローラーの食い付きを改善す
ることが述べられている。しかしながら、樹脂フィルム
のみからなる裏面層は、裏面層が硬いため、グリップロ
ーラーの食い付きが不十分であり、搬送精度の向上が不
完全であるため、印画画像の見当ずれは満足すべきレベ
ルに至っていない。
【0012】特開平2001−199172号公報で
は、受容シートの裏面層にナイロン樹脂粒子、高級脂肪
酸塩及び部分ケン化ポリビニルアルコールを使用するこ
とが開示されており、インクジェットプリンターによ
り、通常の記録は可能であるが、必ずしも鮮明な画質は
得られない。特開平2001−213057号公報にお
いては、受容シートの裏面層にカチオン顔料と、高級脂
肪酸塩及び接着剤の使用が開示されており、カチオン顔
料の添加により、インクジェットプリンターによる記録
画質は改善されるものの、塗料の安定性を考慮すると、
使用可能なバインダーの種類が制限されることなどか
ら、充分な塗膜耐水性が得られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、これ
までに裏面塗工層を形成する材料として、導電性物質、
接着剤樹脂、更に無機及び有機顔料、滑剤等が検討され
てきた。しかしながら、現在、裏面塗工層に要求される
帯電防止性、印画画像の見当ずれ性、走行性、給排紙適
性、更に裏プリント適性、裏移り性、各種筆記具に対す
る筆記適性や切手貼付性等の葉書適性、インクジェット
プリンターに対する印画適性等の特性の全てを同時に満
足するものが無く、新たな裏面塗工層の開発が望まれて
いた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、染料受容層と裏面塗工層との静電気帯電
性、摩擦特性、受容シートの給排紙性、走行性、印画画
像の見当ずれ、裏プリント適性、裏移り性、各種の筆記
具に対する筆記適性、インクジェットプリンターでの印
画適性及び切手貼付性等の葉書適性について総合的に検
討した結果、本発明をなすに至った。
【0015】本発明は、以下の発明を包含する。 (1)シート状支持体と、前記支持体の片面に染料を受
容する染料受容層と、前記支持体の他面に裏面塗工層と
を有する染料熱転写受容シートにおいて、裏面塗工層
は、全固形分に対して5〜20質量%のアニオン型導電
性樹脂、20〜50質量%の高級脂肪酸塩、及び2〜2
5質量%のナイロン樹脂粒子を含有し、裏面塗工層側の
表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□である受
容シート。
【0016】(2)アニオン型導電性樹脂がポリスチレ
ンスルホン酸ナトリウムである(1)項に記載の受容シ
ート。
【0017】(3)高級脂肪酸塩がステアリン酸金属塩
である(1)項又は(2)項に記載の受容シート。
【0018】(4)ナイロン樹脂粒子が、ナイロン12
からなる樹脂粒子であり、平均粒径が3〜20μmであ
る(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の受容シー
ト。本発明は、更に以下の発明を包含する。
【0019】(5)染料熱転写受容シートに印画された
画像の見当ずれが200μm以下である(1)項〜
(4)項のいずれか1項に記載の受容シート。
【0020】(6)アニオン型導電性樹脂の分子量が5
000〜50000である(1)項〜(5)項のいずれ
か1項に記載の受容シート。
【0021】(7)裏面塗工層の接着剤樹脂として、重
合度500〜3500、鹸化度70〜90モル%の部分
鹸化ポリビニルアルコールを一部アセタール化した、ア
セタール化度が2〜30モル%のポリビニルアセタール
樹脂を使用する(1)項〜(6)項のいずれか1項に記
載の受容シート。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の受容シートは、染料を受
容する染料受容層と、シート状支持体と、裏面塗工層が
順次積層された受容シートであり、該裏面塗工層が、ア
ニオン型導電性樹脂、高級脂肪酸塩及びナイロン樹脂粒
子を含有してなるものである。
【0023】(裏面塗工層)本発明の裏面塗工層には、
静電気の帯電による給排紙トラブル、走行性トラブルの
防止、印画画像の見当ずれ改善のためにアニオン型導電
性樹脂が含まれる。アニオン型導電性樹脂としてはカル
ボキシル基、スルホン酸基等を含有する高分子、例えば
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、塩化ビニル−マレ
イン酸モノ(2−エチルヘキシル)共重合体、ポリスチ
レンスルホン酸、及びそれらの変性体等が挙げられ、そ
れぞれに対応する官能基の一部分あるいは全てがアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などになっ
たものが挙げられる。
【0024】これらの中でポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ又はアルカ
リ土類金属塩が好ましく、特にポリスチレンスルホン酸
のナトリウム塩が帯電防止機能、溶解性、裏面塗工層で
併用する他の接着剤樹脂との相溶性に優れるので好まし
い。なお、アニオン型導電性樹脂の分子量は大きすぎる
と導電性が悪くなり、小さすぎると造膜性が悪化する。
分子量としては5000〜50000のものが好まし
い。
【0025】アニオン型導電性樹脂の配合量は、裏面塗
工層の全固形分に対して5〜20質量%が好ましく、7
〜18質量%が更に好ましい。因みに配合量が5質量%
未満では、受容シート裏面側の表面電気抵抗が高くな
り、十分な帯電防止性効果が得られず、プリンターの給
排紙性、走行性が劣る欠点がある。また、配合量が20
質量%を超えると、特に高温高湿時の裏面塗工層の塗膜
強度が低下するおそれがある。
【0026】本発明の裏面塗工層で使用される高級脂肪
酸塩としては、炭素数12〜24、好ましくは16〜2
0の飽和、もしくは不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的
にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ベヘン酸、リノール酸、オレイン酸等が挙げら
れ、かかる高級脂肪酸の塩として、好ましくはカルシウ
ム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリ
ウム塩等の金属塩が挙げられる。特に好ましくはステア
リン酸金属塩であり、例えばステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム等が例示され
る。
【0027】高級脂肪酸塩の配合量は、裏面塗工層の全
固形分に対して20〜50質量%が好ましく、更に好ま
しくは25〜45質量%である。因みに配合量が20質
量%未満では、裏面塗工層が堅いことに起因してグリッ
プローラーの食い付きが悪く、印画画像の見当ずれが大
きくなる傾向にある。また受容シートを表裏逆にして印
画した時に、裏面塗工層とインクリボンが融着する傾向
にあり、いわゆる裏プリント適性が悪化する。また、配
合量が50質量%を越えると、裏面塗工層の滑り性が過
大となるため、筆記性が悪化する傾向にあり、切手貼付
性も悪くなり、好ましくない。
【0028】本発明の裏面塗工層において使用されるナ
イロン樹脂粒子としては、ナイロン12、ナイロン6、
ナイロン6・6等の樹脂粒子が挙げられる。中でもナイ
ロン12樹脂粒子がナイロン6、ナイロン6・6樹脂粒
子に比べて耐水性に優れ、吸水による特性変化も少ない
のでより好ましい。ナイロン樹脂粒子の分子量として
は、10万〜100万程度が好ましい。形状としては球
形が好ましく、その粒径は裏面塗工層の固形分塗工量
や、併用する接着剤樹脂の種類により一概には言えない
が、平均粒径で3〜20μmの大きさのものが好まし
い。
【0029】ナイロン樹脂粒子の平均粒径が3μm未満
の場合には、ナイロン樹脂粒子が裏面塗工層中に埋没し
て摩擦係数低減効果が出にくく、帯電防止効果が不十分
であるために、給排紙性、走行性が劣る欠点がある。一
方、ナイロン樹脂粒子の平均粒径が20μmを越える
と、ナイロン樹脂粒子の裏面塗工層表面からの突出が大
きくなり、裏面塗工層と染料受容層が強く接触した時に
染料受容層に形が付いたり、印画画像に白抜けが発生す
る欠点がある。また、受容シートが擦られた際に、ナイ
ロン樹脂粒子が欠落する欠点がある。これらのナイロン
樹脂粒子は単独で使用しても、また、2種類以上を併用
しても良い。
【0030】ナイロン樹脂粒子の配合量は、裏面塗工層
の全固形分に対して2〜25質量%が好ましく、5〜2
0質量%が更に好ましい。因みに、配合量が2質量%未
満では、受容シート間の摩擦係数低減効果が得られ難
く、帯電防止効果が不十分であるため、重送が起こり易
い欠点がある。一方、配合量が25質量%を越えると、
裏面塗工層塗料をコーターで塗工する際に、ナイロン樹
脂粒子の沈降に起因する筋などが発生しやすく、塗工面
が悪化する等の問題が生じる。また、摩擦係数低減、静
電気防止効果も飽和し、それ以上の性能を期待できない
ばかりか、コストを上昇させ実用的でない。
【0031】また、本発明の裏面塗工層では必要に応じ
て高級脂肪酸塩、ナイロン樹脂粒子以外の無機系粒子や
有機系粒子も併用する事が可能である。無機系粒子とし
ては、アルミニウム、鉄、銅等の金属、シリカ、酸化チ
タン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の無機塩、カオ
リン、焼成カオリン、クレー、タルク、珪藻土等の鉱
物、スチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂等の有機系粒子も任意に併用でき
る。
【0032】本発明の裏面塗工層では、バインダーとし
て有効な接着剤樹脂が使用される。これらの樹脂は、裏
面塗工層の支持体への接着強度向上のためにも有効であ
る。このような樹脂としては、従来から広く使用されて
いる樹脂を任意に使用することができ、例えば、アクリ
ル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ウレタン
樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フェノ
キシ樹脂、セルロース誘導体樹脂のような有機溶剤溶解
性樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、デ
ンプン等のような水溶性樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、アクリル樹脂のような水と有機溶剤から成る混合溶
剤溶解性の樹脂が挙げられ、これらの樹脂を単独あるい
は2種以上を適宜選択して使用することができる。ま
た、これらの樹脂の反応硬化物も用いることができる。
【0033】中でも好ましい接着剤樹脂としては、ポリ
ビニルアセタール樹脂が挙げられる。ポリビニルアセタ
ール樹脂は重合度500〜3500、鹸化度70〜90
モル%の部分鹸化ポリビニルアルコールを一部アセター
ル化したものが好ましい。なおアセタール化度は2〜3
0モル%が好ましい。因みに重合度が3500を越える
と、接着剤樹脂の粘度が急激に増大して加工適性が悪化
する場合がある。一方重合度が500未満の場合には、
得られる裏面塗工層の塗膜耐水性が大きく低下すること
がある。鹸化度は、90モル%を越えると、インクジェ
ットプリンター印字において水性インク吸収性が悪くな
る場合があり、70モル%未満では、裏面塗工層の塗膜
耐水性が低下することがある。
【0034】ポリビニルアセタール樹脂を接着剤樹脂と
して単独で使用すると、水性インクの吸収性は良好であ
るが、水性インクを吸収した時の塗膜の強度が不十分で
ある。この欠点を補うためには、カルボキシル基などを
含むアニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂のような水
性インクの吸収性は劣るが、塗膜耐水性のある樹脂とを
併用して使用するのが好ましい。
【0035】裏面塗工層中の接着剤樹脂の配合量は、裏
面塗工層の全固形分に対して30質量%以上、中でも3
0〜50質量%が好ましい。因みに配合量が30質量%
未満では、裏面塗工層の耐水性が不十分である為、イン
クジェットプリンターでの印画において、画像のにじみ
が大きくなり、また水性ペン、油性ペンでの筆記性が劣
る傾向にある。
【0036】さらに、裏面塗工層を形成する塗工液に
は、必要に応じて各種の添加剤、例えば消泡剤、分散
剤、樹脂の架橋剤、有色染料、蛍光染料、蛍光顔料、紫
外線吸収剤等を適宜選択して使用しても良い。
【0037】裏面塗工層の固形分塗工量は1〜10g/
2の範囲が好ましく、更に好ましくは1.5〜7g/
2である。因みに、固形分塗工量が1g/m2未満で
は、裏面塗工層がシート状支持体表面を完全に覆う事が
できず、塗膜欠陥が発生したり、表面電気抵抗が上昇す
る場合があり、好ましくない。また、固形分塗工量が1
0g/m2を越えると、裏面塗工層の塗膜強度が不足し
たり、コストを上昇させ、経済的にも不利となる。
【0038】なお、裏面塗工層の表面電気抵抗は、20
℃、65%RH環境下の測定で1×108〜5×1012
Ω/□程度、中でも1×108〜1×1012Ω/□が好
ましい。(IP抵抗計HI−RESTA、三菱化学社製
で測定)、受容シート同士の紙間摩擦係数は、20℃、
65%RH環境下の測定で0.1〜0.3程度(表面性
試験機HEIDON−14D型、新東科学社製で測定)
となるように調節することが好ましい。裏面塗工層の表
面電気抵抗が5×1012Ω/□を超えると、表面電気抵
抗が高すぎることに起因して、帯電防止効果が十分に得
られず、走行性が劣り好ましくない。裏面塗工層の表面
電気抵抗の調節は、裏面塗工層中の導電性樹脂の配合比
率を変えたり、裏面塗工層の塗工量を変えることによっ
て行うことができる。
【0039】インクリボンを使用した、3色ないし4色
の色重ね印画における印画画像の見当ずれについては、
見当ずれの値が200μm以下であることが好ましく、
100μm未満であることがより好ましい。見当ずれの
値が200μmを超えると、色調が変化したり、滲んだ
りして、画像にぼけが発生するため印画画像の外観が悪
くなり、商品価値が低下する場合がある。
【0040】(シート状支持体)本発明に用いられるシ
ート状支持体としては、コート紙、アート紙、上質紙等
の紙基材、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を紙基材に塗
工した樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
熱可塑性樹脂を紙基材に押し出しラミネートしたラミネ
ート紙、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ
オレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リエチレンとポリプロピレンとの混合物)等の熱可塑性
樹脂フィルム、あるいはポリオレフィン樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂とボイド形成
剤(無機顔料或いは有機微粒子)とを主成分とする1軸
又は2軸延伸した、空隙を有する多孔質の単層もしくは
多層構造のフィルム等が例示される。
【0041】更にシート状支持体としては、前記の材料
を単体で使用するだけでなく、ドライラミネート法、ウ
ェットラミネート法、溶融ラミネート法等の公知の方法
により、前記材料の2種以上を貼り合わせて多層構造に
したものも使用でき、その組み合わせは限定されない。
また、例えば染料受容層が形成される第1の基材、粘着
剤層、剥離剤層、第2の基材を順次積層し、いわゆるス
テッカー、シールタイプ等の用途に使用される積層支持
体としたものも、使用可能である。
【0042】シート状支持体の厚さは100〜300μ
mが好ましい。因みに、厚さが100μm未満である
と、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得ら
れる受容シートの剛度、及び変形に対する反発力が不十
分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分
に防止できないことがある。また、厚さが300μmを
越えると、得られる受容シートの厚みが過大になるた
め、プリンターにおける受容シート収容枚数の低下をま
ねいたり、あるいは逆にプリンターの容積増大を招き、
プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生じ
る場合がある。
【0043】(中間層)本発明の受容シートには、シー
ト状支持体と染料受容層との間の接着性及び受容シート
の帯電防止性改善のため、シート状支持体と染料熱転写
受容層との間に中間層を設けても良い。この中間層形成
のために使用される樹脂としては各種の親水性樹脂、疎
水性樹脂が使用可能であり、例えばポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー及びその
誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルア
ミド、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリル酸エス
テル等のアクリル基を含有するポリマー、ポリメタクリ
ル酸、ポリメタクリル酸エステル等のメタクリル基を含
有するポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、澱粉、変成澱粉、カルボキシメチルセルロース等
のセルロース誘導体等の樹脂を使用することができる。
また公知の帯電防止剤、架橋剤を単独もしくは上記の樹
脂と併用して使用することもできる。
【0044】前記中間層の固形分塗工量は0.2〜5g
/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5〜3g
/m2の範囲である。因みに固形分塗工量が0.2g/
2未満であると中間層としての接着性改善効果が少な
く、5g/m2を越えるとブロッキングや操業性が悪化
することがある。
【0045】(染料受容層)本発明の受容シートにおい
て、シート状支持体の一表面上に設けられる染料受容層
は、インクリボンから移行する染料を染着することが可
能な染料染着性樹脂を主成分として形成される。このよ
うな染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース
誘導体樹脂等が挙げられる。
【0046】染料受容層の固形分塗工量は1〜12g/
2、好ましくは3〜10g/m2の範囲で調節される。
因みに、固形分塗工量が1g/m2未満では、染料受容
層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下
をまねいたり、サーマルヘッドの加熱により、染料受容
層とインクリボンが接着してしまう融着トラブルが発生
することがある。一方、固形分塗工量が12g/m2
超えると、効果が飽和し不経済であるばかりでなく、染
料受容層の強度が不足したり、染料受容層の厚みが増
し、シート状支持体の断熱効果が十分に発揮されず、画
像濃度が低下することがある。
【0047】染料受容層には、サーマルヘッドの加熱印
画時における染料受容層とインクリボンとの融着を防ぐ
ために、染料染着性樹脂の架橋剤、滑剤、剥離剤等を添
加することが好ましい。また必要に応じ他の添加剤、例
えば有色顔料、有色染料、蛍光顔料、蛍光染料、可塑
剤、酸化防止剤、白色顔料、紫外線吸収剤等を添加して
も良い。これらの添加剤は、染料受容層の主成分と混合
し塗工されても良いし、別の塗工層として染料受容層の
上及び/又は下に塗工されても良い。
【0048】本発明の受容シートの中間層、染料受容
層、裏面塗工層、及びその他の塗工層は、バーコータ
ー、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコー
ター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、
カーテンコーター、ダイコーター等の公知のコーターで
塗工、乾燥して形成することができる。
【0049】
【実施例】以下、下記実施例、比較例により本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるも
のではない。なお実施例、比較例において、特に断らな
い限り「%」及び「部」は全て「質量%」、及び「質量
部」を示す。
【0050】実施例1 厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムの表裏両面に、無機顔料を含みポリオレフィン
を主成分とする2軸延伸された厚さ60μmの多層構造
フィルム(商品名:ユポFPG60、ユポ・コーポレー
ション社製)を、ポリエステル系接着剤を用いてドライ
ラミネート法で貼り合わせ、シート状支持体を得た。上
記支持体の一方の面上に、下記の染料受容層用塗工液―
1を、固形分塗工量が8g/m2となるようにグラビア
コーターで塗工、乾燥し染料受容層を形成した。
【0051】 染料受容層用塗工液―1 ポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡社製) 100質量部 シリコーン樹脂(商標:KF101、信越化学社製) 3質量部 イソシアネート系架橋剤(商標:コロネートL、日本ポリウレタン工業社製) 5質量部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)希釈液 300質量部
【0052】次に、染料受容層が設けられたシート状支
持体の反対面に、下記の裏面塗工層用塗工液―2を、固
形分塗工量が3g/m2となるようにバーコーターで塗
工、乾燥し裏面塗工層を形成した。
【0053】 裏面塗工層用塗工液―2 ポリビニルアセタール樹脂(商標:エスレックKX−1、積水化学工業社製) 14質量部 アニオン性ポリアクリル酸エステル樹脂(商標:ジュリマーAT613、日本純 薬社製) 26質量部 ナイロン樹脂粒子(商標:MW330、ナイロン12樹脂、平均粒径:7μm、 シントーファイン社製) 13質量部 ステアリン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製) 30質量部 アニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、主成分:ポリスチレンス ルホン酸ナトリウム 、三洋化成社製) 12質量部 エポキシ架橋剤(商標:SAR615B、中央理化工業社製) 5質量部 水 200質量部 イソプロピルアルコール 300質量部
【0054】実施例2 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン
型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成
社製)の配合量を7質量部にした以外は実施例1と同様
にして受容シートを得た。
【0055】実施例3 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン
型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成
社製)の配合量を19質量部にした以外は実施例1と同
様にして受容シートを得た。
【0056】実施例4 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ステアリ
ン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製)
の配合量を25質量部にした以外は実施例1と同様にし
て受容シートを得た。
【0057】実施例5 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ステアリ
ン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製)
の配合量を50質量部にした以外は実施例1と同様にし
て受容シートを得た。
【0058】実施例6 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン
樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)
の配合量を5質量部にした以外は実施例1と同様にして
受容シートを得た。
【0059】実施例7 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン
樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)
の配合量を21質量部にした以外は実施例1と同様にし
て受容シートを得た。
【0060】実施例8 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ステアリ
ン酸亜鉛分散物の代わりにステアリン酸カルシウム分散
物(商標:C−104HS、サンノプコ社製)を使用す
る以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0061】実施例9 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ポリビニ
ルアセタール樹脂エスレックKX−1をポリビニルアセ
タール樹脂(商標:エスレックKX−5、積水化学工業
社製)に置き換え、更にナイロン樹脂粒子MW330を
ナイロン樹脂粒子(商標:オルガゾール2001UD、
ナイロン12樹脂粒子、平均粒径5μm、エルフアトケ
ム社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして受容
シートを得た。
【0062】実施例10 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ポリビニ
ルアセタール樹脂エスレックKX−1をポリビニルアセ
タール樹脂(商標:エスレックKX−5、積水化学工業
社製)に置き換え、更にナイロン樹脂粒子MW330を
ナイロン樹脂粒子(商標:オルガゾール2002D、ナ
イロン12樹脂粒子、平均粒径20μm、エルフアトケ
ム社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にして受容
シートを得た。
【0063】比較例1 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン
型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成
社製)の代りにカチオン型導電性樹脂(商標:ケミスタ
ット9800、三洋化成社製)を使用した以外は実施例
1と同様にして受容シートを得た。
【0064】比較例2実施例1の裏面塗工層用塗工液―
2からアニオン型導電性樹脂(商標:ケミスタット61
20、三洋化成社製)を除いた以外は実施例1と同様に
して受容シートを得た。
【0065】比較例3 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、アニオン
型導電性樹脂(商標:ケミスタット6120、三洋化成
社製)の配合量を2質量部にした以外は実施例1と同様
にして受容シートを得た。
【0066】比較例4 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2から、ステアリン酸
亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製)を除
いた以外は実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0067】比較例5 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ステアリ
ン酸亜鉛分散物(商標:Z−7−30、中京油脂社製)
の配合量を5質量部にした以外は実施例1と同様にして
受容シートを得た。
【0068】比較例6 実施例1の裏面塗工層用塗工液―2において、ナイロン
樹脂粒子(商標:MW330、シントーファイン社製)
を除いた以外は実施例1と同様にして受容シートを得
た。
【0069】(品質評価)上記の実施例1〜10及び比
較例1〜6で得られた裏面塗工層用塗工液及び受容シー
トについて、下記項目の品質評価を行い、評価結果を表
1に示した。
【0070】〔裏面塗工層用塗工液の安定性〕(裏面塗
料安定性) 裏面塗工層用塗工液を35℃、65%RH環境下で24
時間密封放置し、24時間経過後の塗工液の安定性を以
下の基準で評価した。実際の製造工程において、塗工開
始までの時間や、連続操業などを考えると、塗工液の安
定性は非常に重要である。 ○:塗料の粘度変化も無く、塗工性問題なし。 ×:塗料の粘度が増加し塗工性悪化、あるいは塗料がゲ
ル化し、塗工できない。
【0071】〔裏面塗工層側の表面電気抵抗〕(裏面電
気抵抗) 受容シートの裏面塗工層側の表面電気抵抗を、20℃、
65%RH環境下において、IP抵抗計HI−REST
A(三菱化学社製)を用いて測定評価した。
【0072】〔印画画像の見当ずれ〕(見当ずれ) 受容シートを昇華熱転写ビデオプリンター(商標:NV
−AP1、松下電器産業社製)に10枚セットし、20
℃、65%RHの環境下で、中間調の3色重ね合わせ画
像の4隅各々の個所に、見当ずれ測定用のトンボマーク
を配置した画像を印画した。4カ所のトンボマークの縦
方向及び横方向のずれをルーペで測定し、4カ所の縦方
向及び横方向のずれ合計8カ所のずれの絶対値の和を求
め、この平均値の値を見当ずれの値として算出した。受
容シートの見当ずれ性を以下の基準で評価した。 ◎:見当ずれが100μm未満で優秀である。 ○:見当ずれが100μm以上200μm以下で、許容
レベルである。 ×:見当ずれが200μmを超え、実用上問題あり。
【0073】〔プリンター走行性〕受容シートを昇華熱
転写ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器
産業社製)に25枚セットし、10℃、30%RHの環
境下で黒ベタ画像を連続印画した。これを4セット、合
計100枚実施し、受容シートのプリンター走行性を以
下の基準で評価した。 ◎:給排紙トラブルは全く見られない。 ○:プリンターのヘッド温度が上昇した時のみ、受容シ
ートとインクリボンが部分的に軽く融着するが、排紙は
問題なく実用レベルである。 ×:受容シートとインクリボンの融着が多発し、リボン
切れトラブルが発生し、実用上問題ある。
【0074】〔裏プリント性〕受容シートを昇華熱転写
ビデオプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業
社製)に、通常とは表裏逆向きに10枚セットし、20
℃、65%RHの環境下で黒ベタ画像を印画し、受容シ
ートの裏プリント適性を以下の基準で評価した。 ◎:裏面塗工層とインクリボンの融着が無く、正常に排
紙される。 ○:裏面塗工層とインクリボンが僅かに融着するが、問
題なく排紙され、実用レベルである。 ×:プリンター内部で裏面塗工層とインクリボンが融着
し、プリンター内部でジャミング及びリボン切れのトラ
ブルが発生し、実用上問題がある。
【0075】〔裏移り性〕受容シートを昇華熱転写ビデ
オプリンター(商標:NV−AP1、松下電器産業社
製)に10枚セットし、20℃、65%RHの環境下で
黒ベタ画像を印画した。印画された受容シートを重ね合
わせる事により、印画された染料受容層面と裏面塗工層
面を接触させ、200g/cm2の圧力をかけた状態
で、60℃、24時間加熱した。加熱後、印画された染
料受容層面と接触していた裏面塗工層面の(黒)の光学
濃度をマクベス濃度計(商標:RD−914)を用いて
測定し、以下の基準で裏移り性を評価した。なお、裏移
り試験前の裏面塗工層面の(黒)の光学濃度は0.05
であった。 ◎:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.10未満であ
り、裏移りが発生しない。 ○:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.10〜0.1
4であり、裏移り性は実用レベルである。 ×:裏面塗工層面の(黒)の光学濃度0.15以上であ
り、裏移り性は実用上問題がある。
【0076】〔筆記適性〕(筆記性総合評価) 一般的に使用される筆記具として鉛筆(硬度HB)、ボ
ールペン、水性ペン、油性ペンを用意し、各々の筆記具
で受容シートの裏面塗工層面に文字を書き、以下の基準
で筆記適性を総合評価した。 ◎:全ての筆記具で文字の滲みもなく、文字も書き易く
筆記適性良好である。○:一部の筆記具では文字が若干
にじむ、あるいは文字が若干書きにくいが、筆記適性は
実用レベルである。 ×:一部の筆記具では文字の滲みが激しく読み難い、又
は文字が書きにくく、実用上問題がある。
【0077】〔インクジェットプリンター印画性〕受容
シートをインクジェットプリンター(商標:BJC61
0JW、キャノン社製)にセットし、720dpi×7
20dpiのモードで受容シートの裏面塗工層面に文字
画像の印画を行い、インクジェットプリンター印画性を
以下の基準で評価した。 ◎:文字の滲みも無く、印画面を指で擦っても取れな
い。 ○:文字が少し滲むが、印画面を指で擦っても取れず、
実用レベルである。 ×:文字の滲みが大で読みにくい、あるいは印画面を指
で擦ると画像が剥がれ、実用上問題がある。
【0078】〔切手貼付性〕日本郵便50円切手の接着
面全面に水道水を指で塗り、受容シートの裏面塗工層面
に貼り付け、24時間放置した後、切手貼付性を以下の
基準で評価した。 ○:24時間経過後接着している。 ×:24時間経過後接着しておらず、手で剥がせる。
【0079】
【表1】
【0080】表から明かなように、本発明の実施例1〜
10の受容シートは、裏面塗工層側の表面電気抵抗が1
×108〜5×1012Ω/□の範囲となり、印画画像の
見当ずれが200μm以下で良好な結果となり、裏面塗
工層に要求されるプリンター走行性、見当ずれ、裏プリ
ント適性、裏移り性、各種筆記具に対する筆記適性や切
手貼付性等の葉書適性、更にはインクジェットプリンタ
ーに対する印画適性等の特性のすべてを同時に満足す
る。一方、比較例1〜6の受容シートは、裏面塗工層の
特性が本発明の範囲から逸脱しており、裏面塗工層に要
求される上記特性の全てを同時には満足しなかった。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、プリンター給排紙性、
走行性に優れ、印画画像の見当ずれ、裏移りの少ない受
容シートを得ることができる。また、裏プリント適性、
各種の筆記具に対する筆記適性の良い受容シートを得る
ことができる。更に、本発明の受容シートは、インクジ
ェットプリンターでの印画適性にも優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、前記支持体の片面に
    染料を受容する染料受容層と、前記支持体の他面に裏面
    塗工層とを有する染料熱転写受容シートにおいて、裏面
    塗工層は、全固形分に対して5〜20質量%のアニオン
    型導電性樹脂、20〜50質量%の高級脂肪酸塩、及び
    2〜25質量%のナイロン樹脂粒子を含有し、裏面塗工
    層側の表面電気抵抗が1×108〜5×1012Ω/□で
    ある染料熱転写受容シート。
  2. 【請求項2】 アニオン型導電性樹脂がポリスチレンス
    ルホン酸ナトリウムである請求項1記載の染料熱転写受
    容シート。
  3. 【請求項3】 高級脂肪酸塩がステアリン酸金属塩であ
    る請求項1又は2に記載の染料熱転写受容シート。
  4. 【請求項4】 ナイロン樹脂粒子が、ナイロン12から
    なる樹脂粒子であり、平均粒径が3〜20μmである請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の染料熱転写受容シー
    ト。
JP2001399307A 2001-12-28 2001-12-28 染料熱転写受容シート Expired - Lifetime JP3832343B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001399307A JP3832343B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 染料熱転写受容シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001399307A JP3832343B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 染料熱転写受容シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003191652A true JP2003191652A (ja) 2003-07-09
JP3832343B2 JP3832343B2 (ja) 2006-10-11

Family

ID=27604402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001399307A Expired - Lifetime JP3832343B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 染料熱転写受容シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3832343B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080410A1 (ja) * 2005-01-28 2006-08-03 Oji Paper Co., Ltd. 熱転写受容シート
JP2009012455A (ja) * 2007-06-07 2009-01-22 Oji Paper Co Ltd 熱転写受容シート
JP2010082929A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート、及び、印字方法
JP2010167639A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Three M Innovative Properties Co グラフィックス受容性物品及びグラフィックス構造体
JP2012158124A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート
JP2014094510A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Fuji Xerox Co Ltd 画像転写シート
JP2020062773A (ja) * 2018-10-16 2020-04-23 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080410A1 (ja) * 2005-01-28 2006-08-03 Oji Paper Co., Ltd. 熱転写受容シート
US8283288B2 (en) 2005-01-28 2012-10-09 Oji Paper Co., Ltd. Thermal transfer receiving sheet
JP2009012455A (ja) * 2007-06-07 2009-01-22 Oji Paper Co Ltd 熱転写受容シート
JP2010082929A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート、及び、印字方法
JP2010167639A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Three M Innovative Properties Co グラフィックス受容性物品及びグラフィックス構造体
JP2012158124A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート
JP2014094510A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Fuji Xerox Co Ltd 画像転写シート
JP2020062773A (ja) * 2018-10-16 2020-04-23 凸版印刷株式会社 熱転写受像シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP3832343B2 (ja) 2006-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4826581B2 (ja) 熱転写受容シート
JP2003191652A (ja) 染料熱転写受容シート
AU3215195A (en) Ink jet printing sheet
JPH11277895A (ja) インクジェット用受容層転写シートと記録シート及び記録シートの製造方法
JP2001199162A (ja) 保護層転写シート
JP4978410B2 (ja) 熱転写受像シート
JP3651062B2 (ja) 熱転写受容シート
JP2001199172A (ja) 染料熱転写受容シート
JP2007237522A (ja) 熱転写受容シート
JP3507180B2 (ja) 熱転写受像シート
JP2000335120A (ja) 染料熱転写受容シート
JPH06247036A (ja) インクジェット記録用紙
JP3738513B2 (ja) 染料熱転写受容シート
JP3744090B2 (ja) 染料熱転写受容シート
EP1223045B1 (en) Thermal transfer image-receiving sheet
JP2001213057A (ja) 染料熱転写受容シート
JP2002337463A (ja) 熱転写受像シート
JP3617167B2 (ja) 染料熱転写受容シート
JP2007196450A (ja) 熱転写受容シート
JPH07223384A (ja) 熱転写受像紙
JP3371545B2 (ja) インクジェット記録用紙
JPH11165469A (ja) 熱転写受像シート
JP2019001056A (ja) 保護層転写シート
JP2004001374A (ja) インクジェット記録シート
JPH07137464A (ja) 熱転写用受像シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040401

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3832343

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090728

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100728

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100728

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120728

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130728

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130728

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140728

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term