JP4225143B2 - 情報記録媒体、その製造方法、及び、該製造方法に用いる情報記録媒体製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置によって直接画像形成(記録)が可能な電子写真用ラミネートフィルム(以下、「ラミネートフィルム」と略す場合がある)を用いて作製される情報記録媒体、その製造方法、及び、該製造方法に用いる情報記録媒体製造装置に関し、より詳細には、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式または接触式個人情報画像情報入り情報記録媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに用いられる情報記録媒体、その製造方法、及び、該製造方法に用いる情報記録媒体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、このような印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信可能なカード(情報記録媒体)の作製にも多く用いられている。
【0003】
しかしながら、例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応するには不向きである。
上記問題点に対して、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。しかし、これらは個人の識別情報を容易に印字することはできるが、印刷速度を上げると解像度が低下し、解像度を上げると印刷速度が低下するという問題を依然抱えている。
【0004】
これに対して、電子写真方式による画像形成(印刷)は、潜像担持体表面を一様に帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記潜像像担持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法により行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することにより行われる。
【0005】
上述のように、電子写真方式では、潜像担持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成できるだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応でき画像形成することが可能である。また潜像担持体表面のトナー画像は、ほぼ完全に画像記録体表面に転移させることができ、潜像担持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去することができるため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0006】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、微粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記微粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待できる。
【0007】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色を再現できる。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とを比較的自由に配合できるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0008】
屋外での使用を想定した情報記録媒体の耐熱性、及び耐光性については、これまでほとんど検討されていないが、特に運転免許証等を車中の直射日光に当たる場所に置いておくと、色材として染料を用いている熱転写型の画像は退色してしまう。しかし、電子写真方式により形成されたカラー画像では、前記カラートナー中に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各々の色に対応した耐光性に優れた顔料が使用されており、電子写真方式における画像記録体の耐光性は十分優れているものと考えられる。同様に、耐熱性のトナーを選択すれば、情報記録媒体に形成された画像の耐熱性も、屋外で使用できる程度になるものと考えられる。
【0009】
一方、現在もっとも多く使用されている各種カードのコア基材は塩化ビニルシートであるが、その理由は印刷特性に優れ、エンボス加工適性(文字等の凹凸処理)にも優れているためである。しかしながら、上記塩化ビニルシートは、期限切れ等により廃棄処理するカードを加熱炉等を利用して消却する際にダイオキシンが発生するという問題を有しており、環境対応の観点から、現在脱塩化ビニルを目的として各種シートフィルムが使用され始めている。
【0010】
カードの作製に際しエンボス加工を行わないことを前提にした場合は、従来から有るような二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが使用できる。しかし、従来からのカードの機能を継続させるため、エンボス加工は欠かせない場合が多く、現在は比較的低温で軟化するABS樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム、PETGと呼ばれる変性PET樹脂フィルムや、変性PET樹脂フィルムとPETフィルム、アモルファスPET樹脂フィルムあるいはポリカーボネート樹脂フィルムとの一体成形フィルム等が用いられるようになってきた。
【0011】
一般的に、カードの層構成および印刷技術の組み合わせには、コア基材表面にオフセットとスクリーン印刷により多面付け印刷し、オーバーシート(ラミネートフィルム)を積層する方法と、カード表面に水なしオフセット印刷により小切れ印刷し、オーバープリントニス加工する方法とがある。オーバーシートを積層する方法では、エンボス加工の有無の条件等により、上述したコア基材と同種のオーバーシート用樹脂フィルムが選択されることが多い。
【0012】
一方、オーバーシートとして二軸延伸PETフィルムを用いてコア基材と重ね合わせて接合しカードを作製する場合には、接合は加熱しながらこれら2つの部材を重ねあわせた積層体を板材を介してプレスすることにより行なわれる。このような積層体の加熱プレスに際しては、一般的にオーバーシート表面が比較的硬いため、積層体に対して押し当てられる板材の積層体に対向し接触する面の表面形状にかかわらず、オーバーシートの表面形状が大きく変形することはなく、カードのオーバーシート側の表面は、元々のオーバーシート表面地のツヤ出し(光沢)仕上がりとなる。
【0013】
但し、オーバーシートとして比較的低温で軟化する樹脂を用いる場合には、加熱プレスに際して、加熱されたオーバーシートの表面が柔らかくなっているために、積層体に対して押し当てられる板材の表面形状が、オーバーシート表面に転写されることになる。
例えば、押し当てる板材の表面がサンドマット(微小凹凸)処理されていると、カードのオーバーシート側表面はツヤ消し(マット)仕上がりとなり、また、押し当てる板材の表面が鏡面処理されていると、カードのオーバーシート側表面はツヤ出し(光沢)仕上がりとなる。
【0014】
カードの外観は、以上に説明したように、積層体を加熱しながらプレスする際の、オーバーシートに用いられる樹脂材料や、プレスに利用する板材の表面形状等により左右される。なお、カードの外観を向上させる具体例としては以下のものが挙げられる。
例えば、カードの表裏の凹み(ヘコミ)や傷を目立たなくさせるため、非接触ICカードの表裏の印刷面にRmax0.3〜18μmの微小凹凸を設けて、反射率約65〜2%としたもの、及び熱プレス用板にRmax0.3〜18μmの微小凹凸を設けて非接触ICカードの表裏の印刷面を熱プレスする製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
ICカードの表面被覆層(オーバーシート)の例としては以下のものが挙げられる。
例えば、ABS樹脂系のICカード用フィルムにおいて、一方の表面の光沢度が50%以上(鏡面ロール密着法や熱プレス法により形成)であり、他方の表面が表面粗さ5〜30μmの粗表面(充填剤の含有やエンボス加工により形成)で、粗表面が他層と接触するように配置して積層されたICカードが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このICカードは、表面の意匠性が向上し、作製時の積層加工性を向上させることができる。
【0016】
【特許文献1】
特開平7−329468号公報
【特許文献2】
特開平11−272835号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、情報記録媒体を作製した場合、表面のツヤ出し(光沢)外観が不充分な場合があった。
例えば、鏡面処理された押し当て板材を用いて、オーバーシートとして比較的低温で軟化する樹脂を用い、また表面が鏡面処理された押し当て板材を用いて、情報記録媒体を作製した場合には、この情報記録媒体の表面に海島(クレーター)状のツヤ(光沢)むらができてしまい、カード全体のツヤ出し(光沢)外観が著しく損なわれてしまう場合があった。
【0018】
本発明は、上記問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、少なくとも片面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する情報記録媒体、その製造方法、及び、該製造方法に用いる情報記録媒体製造装置を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> コア基材と、該コア基材と重ね合わせて接合された少なくとも1枚の電子写真用ラミネートフィルムと、を含む情報記録媒体において、
(1)該情報記録媒体の少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であり、(2)前記最表面の平滑度が550秒以下であり、且つ、(3)前記最表面の光沢度が65%以上であることを特徴とする情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、少なくとも片面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する。
【0020】
<2> 前記コア基材の少なくとも片面の最表面層の少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、情報記録媒体の少なくともコア基材側の表面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する。
【0021】
<3> 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であることを特徴とする<1>または<2>に記載の情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、情報記録媒体の少なくとも電子写真用ラミネートフィルム側の表面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する。
【0022】
<4> 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片側表面が、エチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させたポリエステル樹脂(以下、「PETG樹脂」と略す場合がある)を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、情報記録媒体の少なくとも電子写真用ラミネートフィルム側の表面がPETG樹脂を含むため、非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する。
【0023】
<5> 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面の表面抵抗値が、108〜1013Ω/□の範囲内であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、電子写真用ラミネートフィルムの表面抵抗率が電子写真方式による画像形成及び情報記録媒体を作製する際のラミネート工程に適した値に制御される。これにより、ラミネートフィルムへのトナー画像の転写性が良好で、且つ、トナー画像転写後のラミネートフィルムの静電吸着力が小さいため、続いて実施されるラミネート工程でのコア基材との静電気的な吸着が小さく、コア基材と重ね合わせて積層体とする際の位置決めを効率良く確実に行なうことができ、また、積層体(コア基材/ラミネートフィルム)界面にほこり等のゴミの付着が起こらない。故に、上記の情報記録媒体は、形成されている画像の画質に優れ、作製に際しラミネートする時の位置決めが容易で、コア基材/ラミネートフィルム界面にほこり等のゴミの混入が無い。
【0024】
<6> 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面に情報に応じたトナー画像が形成され、前記電子写真用ラミネートフィルムの前記トナー画像が形成された面が、前記コア基材に重ね合わせて接合されたことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の情報記録媒体である。
従って、このような情報記録媒体は、電子写真用ラミネートフィルムとコア基材界面との間にトナー画像が形成されているため、このトナー画像を確実に保護することができる。
【0025】
<7> コア基材と、電子写真用ラミネートフィルムとを、重ね合わせて接合するラミネート工程を少なくとも経て<1>〜<6>のいずれか1つに記載の情報記録媒体を作製する情報記録媒体製造方法であって、
前記ラミネート工程が、1対の押し当て板材の間に、前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を配置した後に、前記積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスして前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを接合することにより行なわれることを特徴とする情報記録媒体製造方法である。
従って、このような情報記録媒体製造方法によれば、上記の<1>〜<6>に記載されたような情報記録媒体を低コストで大量生産することが容易である。
【0026】
<8> 前記1対の押し当て板材の前記積層体表面に対向する少なくとも一方の対向面の表面粗さRmaxが、10〜60μmの範囲内であり、且つ、前記対向面の平均波長が、前記表面粗さRmaxの3〜15倍の範囲内であることを特徴とする<7>に記載の情報記録媒体製造方法である。
従って、このような情報記録媒体製造方法によれば、ラミネート工程において、積層体表面と押し当て板材表面とがプレスにより接触した際に形成される界面に空気溜まりが発生すること無く、積層体の表面に押し当て板材の表面形状がそのまま転写されるため、少なくとも片方の面が非鏡面でありながら、ムラ無く優れたツヤ出し(光沢)外観を有する情報記録媒体を製造することができる。
【0027】
<9> 前記ラミネート工程が大気圧下で行なわれることを特徴とする<7>または<8>に記載の情報記録媒体製造方法である。
従って、このような情報記録媒体製造方法によれば、真空ラミネーターのような特別な装置を導入することなく、一般的な熱プレス装置等を利用して、安価で高品質な情報記録媒体を製造することができる。
【0028】
<10> 1対の押し当て板材の間に、コア基材と電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を配置した後に、前記積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスして前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを接合するラミネート工程を少なくとも経て<1>〜<6>のいずれか1つに記載の情報記録媒体を作製する製造方法に用いられる情報記録媒体製造装置であって、
該情報記録媒体製造装置が、前記1対の押し当て板材の少なくとも一方の押し当て板材であり、該押し当て板材の少なくとも片方の面の表面粗さRmaxが、10〜60μmの範囲内であり、且つ、前記表面粗さRmaxが10〜60μmの範囲内である面の平均波長が、前記表面粗さRmaxの3〜15倍の範囲内であることを特徴とする。
従って、コア基材と電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を押し当て板材を用いて加熱しながらプレスするラミネート工程を経て情報記録媒体を作製する際に、ラミネート工程においてこのような情報記録媒体製造装置を用いることにより、積層体表面と押し当て板材表面とがプレスにより接触した際に形成される界面に空気溜まりが発生すること無く、積層体の表面に押し当て板材の表面形状がそのまま転写されるため、少なくとも片方の面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する情報記録媒体を確実且つ歩留まり良く製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、情報記録媒体と、その製造方法およびこれに用いる製造装置に大きくわけて詳細に説明する。
(情報記録媒体)
本発明の情報記録媒体(以下、「カード」と略す場合がある)は、コア基材と、該コア基材と重ね合わせて接合された少なくとも1枚の電子写真用ラミネートフィルム(以下、「ラミネートフィルム」と略す場合がある)と、を含む情報記録媒体において、(1)該情報記録媒体の少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であり、(2)前記最表面の平滑度が550秒以下であり、且つ、(3)前記最表面の光沢度が65%以上であることを特徴とする。
【0030】
従って、本発明の情報記録媒体は、少なくとも片面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する。なお、上記(1)〜(3)項の条件は、必要に応じて情報記録媒体の両面において満たされていてもよい。この場合、本発明の情報記録媒体は、両面とも非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有することができる。
【0031】
また、このような情報記録媒体を得るためには、情報記録媒体の作製に際して用いられるコア基材およびラミネートフィルムの少なくとも一方の部材において、少なくとも片面が上記(1)項の条件を満たしていることが特に好ましい。この場合、このようなコア基材および/またはラミネートフィルムを用いて、上記(1)項の条件を満たす側の面を情報記録媒体の外側面となるように情報記録媒体を作製することにより、容易に、少なくとも片面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する情報記録媒体を得ることができる。
【0032】
なお、最表面層のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲内であることが必要であるが、80〜120℃の範囲内であることが好ましく、90〜110℃の範囲内であることがより好ましい。
一方、本発明の情報記録媒体の少なくとも片面に設けられる非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する面は、最表面層の表面を押圧部材を介して加熱しながらプレスするプロセス(ヒートプレス)を経て形成されるもので、通常、このヒートプレスは、後述するコア基材とラミネートフィルムとを重ね合わせて接合するラミネート工程において実施されるヒートプレスを利用できるがこれに限定されるものではない。
【0033】
例えば、一旦、従来と同様のコア基材およびラミネートフィルムからなる情報記録媒体を作製した後、この情報記録媒体の表面に、ビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内で、厚みが1μm以上のフィルムを重ね合わせてヒートプレスすることにより両者を接合すると共に、このフィルムが設けられた面を非鏡面でありながら優れたツヤ出し(光沢)外観となるように仕上げることもできる。
なお、上記(1)項に規定される値は、以上の説明からわかるように、厳密には、非鏡面でありながら優れたツヤ出し(光沢)外観となるように面を仕上げることを目的としたヒートプレス前の状態の情報記録媒体(あるいは、その半製品で、例えば後述する積層体等)における値を意味する。
【0034】
このようなヒートプレスにおいて、情報記録媒体の少なくとも片面の最表面層のビカット軟化温度が70℃よりも小さい場合には、加熱された際にこの最表面層が軟化し過ぎてしまい、押圧部材に貼り付いて剥がせなくなってしまう問題が発生する。
【0035】
また、ビカット軟化温度が130℃よりも大きい場合には、加熱されてもこの最表面層は硬いために、プレスにより押圧部材表面と最表面層表面とが接触しても押圧部材表面の形状がこの最表面層表面に形状転写されず、また、大気圧下でラミネートする場合にこの界面に空気が混入して空気溜りができても、この最表面層表面がほとんど変形しないため、接触ムラや空気溜りによる海島(クレーター)状のツヤ(光沢)むらが出来ることはなく、作製された情報記録媒体表面はラミネート前の最表面層表面の形状を保つことになる。そのため、上記の場合には押圧部材の効果を発現させることができなくなってしまう。
【0036】
このような問題は、最表面層の厚みが1μmよりも小さい場合にも同様に発生してしまう。これは、例えば、最表面層の厚みが1μm未満で、この最表面層よりも内側に、加熱されても容易に変形しない硬い部材が設けられているような場合には、加熱された際に適度な柔らかさを保ちつつ押圧部材表面に追従して変形できる最表面層の厚みが薄過ぎ、上記の硬い部材により押圧部材に対する追従性が左右されるためである。
従って、このような最表面層の厚みは、上記に説明したように1μm以上であることが必要であるが、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、外観仕上げの点からは最表面層の厚みは厚ければ厚い程好ましいが、厚過ぎる場合には情報記録媒体の耐熱性が不充分となる場合があるため、実用上は20μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、本発明において、情報記録媒体の表面に塗工層が設けられている場合には、ビカット軟化温度が70〜130℃である最表面層には、この塗工層が少なくとも含められる。
例えば、塗工層の厚みが1μm以上である場合には、最表面層とは少なくともこの塗工層を意味し、1μm未満である場合には、塗工層とこの塗工層の内側に設けられた部材(塗工層の表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の領域部分)とを意味する。なお、本発明において、後述するような測定方法により求められるビカット軟化温度は、塗工層の厚みが1μm以上である場合には、塗工層の主成分である樹脂のみからなるフィルムを用いて測定した値で代用される。また、塗工層の厚みが1μm未満である場合には、塗工層表面から厚み1μmの範囲内において、塗工層部分のビカット軟化温度(上記と同様にして求めた代用値)、および、塗工層の内側に設けられた部材のビカット軟化温度の両方が、70〜130℃の範囲内であることが必要である。
【0038】
また、最表面の平滑度は550秒以下であることが必要であり、100秒以下であることが好ましく、50秒以下であることがより好ましい。平滑度が550秒を超える場合には目視で容易で視認することができる程のクレーター状の光沢ムラが発生し、カードの外観が醜くなる。一方、平滑度の下限値は特に限定されないが、2秒以上であることが好ましい。平滑度が2秒よりも小さい場合には、カードの外観がざらついた粗い仕上がりとなってしまう場合がある。
さらに、最表面の光沢度は65%以上であることが必要であり、75%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。光沢度が65%以下である場合には、つや消し状態となりカードの外観が地味で、見栄えしなくなる。一方、光沢度の上限値は特に限定されないが、95%以下であることが好ましい。光沢度が95%よりも大きい場合には、つやが出過ぎてしまい、カードの外観がギラギラして、見た目に不快な仕上がりとなる場合がある。
【0039】
−情報記録媒体の構成−
次に、本発明の情報記録媒体の構成の具体例を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の情報記録媒体の一例を示す概略斜視図である。図1中、10は(第1の)電子写真用ラミネートフィルム(オーバーシート)、20はコア基材(コアシート)、30は第2の電子写真用ラミネートフィルム(オーバーシート)を表す。
図1(a)に示す情報記録媒体は、電子写真用ラミネートフィルム10と、被ラミネート体であるコア基材20(コアシート)とを重ね合わせて接合された構成を有するものである。また、図1(b)に示すように図1(a)に例示した構成にもう1枚の電子写真用ラミネートフィルムを重ね合わせて接合してもよく、具体的には、コア基材20の両面に、それぞれ第1の電子写真用ラミネートフィルム10と、第2の電子写真用ラミネートフィルム30とが重ね合わせて接合された構成を有するものであってもよい。また、さらに、必要に応じて上記以外のシート、層などを設けた構成としてもよい。
【0040】
なお、本発明の情報記録媒体を構成するラミネートフィルムの少なくともいずれか一方の面にはトナー画像が形成されているが、このトナー画像は、コア基材とラミネートフィルムとの界面に設けられていることが好ましい。
特に、トナー画像が、個人情報などの(何らかの有意の)情報に応じたトナー画像である場合には情報の保護や偽造防止等の観点からもコア基材とラミネートフィルムとの界面に設けられていることが特に好ましい。なお、(情報に応じた)トナー画像の形成方法等の詳細については後述する。
【0041】
−ラミネートフィルム−
次に、本発明に用いられるラミネートフィルムについて以下に詳細に説明する。本発明に用いられるラミネートフィルムは、少なくとも片面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□の範囲内であることが好ましく、109〜1011Ω/□の範囲内であることがより好ましい。
【0042】
上記表面抵抗値が108Ω/□に満たないと、画像形成後において、電子写真用ラミネートフィルム同士や、電子写真用ラミネートフィルムのコア基材への静電吸着力は小さくなるものの、高温高湿時に画像形成する際に画像記録体として利用される電子写真用ラミネートフィルムの表面抵抗値が低くなりすぎるため、例えば転写部材からのラミネートフィルム表面に転写されるトナー像が乱れる場合がある。
【0043】
また、表面抵抗値が1013Ω/□を超えると、前述した静電吸着力が大きくなりすぎて、ゴミが付着しやすくなったり、取り扱いが極めて困難になるだけでなく、画像記録体として使用される電子写真用ラミネートフィルムの表面抵抗値が高くなりすぎ、例えば、画像形成に際してラミネートフィルム表面に、転写部材からトナー像をラ転写性良く転写できなくなり、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0044】
なお、上記表面抵抗値は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。
また、前記電子写真用ラミネートフィルムにおいて、片面のみが上記範囲の表面抵抗値を有する場合には、この面を画像が形成される側の面(ラミネート面)とすることが好ましい。
【0045】
次に、上記に説明したような本発明の情報記録媒体に用いられるラミネートフィルムの具体例を図面を用いて説明する。
図1に例示したような本発明の情報記録媒体に用いられるラミネートフィルムは少なくとも基体を含むものであればその構成は特に限定されないが、具体的には図2に示すような構成を有していることが好ましい。
【0046】
図2は、本発明の情報記録媒体に用いられる電子写真用ラミネートフィルムの一例を示す概略斜視図である。図2中、101は基体、102は(第1の)帯電制御層、103は第2の帯電制御層を表す。
図2(a)に示すラミネートフィルムは、基体101表面に帯電制御層102が設けられた構成を有するものである。また、図2(b)に示すように図2(a)に例示した構成にもう1層の帯電制御層を設けた構成としてもよく、具体的には、基体101の両面に、それぞれ第1の帯電制御層101と、第2の帯電制御層102とが設けられた構成を有するものであってもよい。
また、さらに、必要に応じて上記以外のシート、層などを設けた構成としてもよい。
【0047】
なお、電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面の表面抵抗値を前記のような範囲とするには、図2に例示したように基体の表面に帯電制御層を設けてもよいが、基体に導電剤を添加することにより、基体そのものの表面抵抗値をコントロールしてもよい。
【0048】
また、基体表面に設けられる帯電制御層は、後述する機能性制御手段を兼ねていてもよいし、一定範囲の表面抵抗値、ビカット軟化温度を有する塗工層からなるものであってもよい。但し、塗工層からなる帯電制御層を有するラミネートフィルムを用いる場合には、この塗工層は少なくともトナー画像が形成されラミネートされる側の面(ラミネート面)に形成されることが好ましい。
【0049】
なお、図2に例示したようなラミネートフィルムは、ラミネートフィルムの少なくとも片面に、帯電制御層が設けられているため、トナー画像の転写性が良好で、かつ、画像形成後のラミネートフィルム同士や、コア基材との静電吸着力を抑制することができる。このため、ラミネートフィルム同士の捌き等の取り扱いや、ラミネート時にラミネートフィルムとコア基材とを重ね合わせて積層体とする際の積層位置決めを、容易且つ確実に行うことができる。
【0050】
また、図2(b)に例示したように帯電制御層が、基体の両面に設けられている場合には、画像形成後のラミネートフィルム同士の捌き等の取り扱いや、積層体を形成する際の積層位置決めを、さらに容易且つ確実に行うことができる。
加えて、ラミネートフィルムの両面に帯電制御層として機能する塗工層が設けられている場合には、画像を形成させる面を指定する必要がなくなるため、ミスプリントしてラミネートフィルムを無駄にすることがなくなり、ラミネートフィルムの取り扱いが容易となる。
【0051】
なおラミネートフィルムを構成する基体としては、透明性を有することが望ましい。ここで、透明性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、本発明においては、少なくとも、形成された画像が、画像が形成された面と反対側の面からラミネートフィルムを通して目視できる程度に透明であればよい。
【0052】
上記基体としては、プラスチックフィルムが代表的に使用される。この中でも、OHPフィルムとして使用できるような光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを好ましく用いることができる。
【0053】
また、上記各種プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルム、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を、1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等をより好ましく用いることができる。
【0054】
前記ポリエステル等の材料は、従来カード用のコア基材(コアシート)材料として用いられてきたポリ塩化ビニルが、可燃物廃棄時の燃焼によるダイオキシン発生をさせるものとして環境に良いものではないことが認識され、使用されなくなってきたことにも対応できるものである。本発明においては、上記塩素を含まないコア基材の使用を考慮し、さらなる材料として、前記ポリスチレン系樹脂フィルム、ABS樹脂フィルム、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂フィルム、またPETフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているフィルム等も好ましく用いることができる。
【0055】
本発明の情報記録媒体に用いられるラミネートフィルムを構成する基体のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記ビカット軟化温度が130℃を超えると、ラミネート工程において、コア基材にラミネートフィルムを十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、上記密着・接着は十分であっても、ラミネート工程前にラミネートフィルム表面に形成された画像(画像形成材料)や、ラミネートフィルムが基体表面に後述するような画像受像層として機能する塗工層を有する場合にはこの塗工層が軟化しすぎてしまい、画像に欠陥(画像流れ)が発生したりしてしまう場合がある。
【0056】
なお、本発明において、ビカット軟化温度とは、熱可塑性樹脂の軟化温度評価の一方法から測定されたものであって、その測定方法は、成形されたプラスチック材料の耐熱性を試験する方法として、熱可塑性樹脂に対しては、JIS K7206やASTM D1525、ISO306にその方法が規定されている。
本発明においては、厚さ2.5mmの試験片を用い、その表面に断面積が1mm2の針状圧子をセットし、この圧子に1kgの荷重を載せ、試験片を加熱する油槽の温度を徐々に上昇させていき、上記圧子が、試験片中に1mm進入したときの油温をビカット軟化温度とした。
【0057】
既述したように電子写真用ラミネートフィルムの表面抵抗値を108〜1013Ω/□の範囲内に制御するにあたっては、基体となるフィルムの製造時に直接界面活性剤、高分子導電剤や導電性微粒子などを樹脂中に添加したり、基体の表面に帯電制御層を設ける場合には、基体表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することができる。
【0058】
用いることのできる界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、昨今の電子写真用の負帯電型トナーと相互作用の大きいカチオン系界面活性剤が、転写性の向上に有効となる。
【0059】
上記カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が好ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が好ましい。
【0060】
【化1】
【0061】
式中、R1は炭素数6〜22までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、R2は炭素数1〜6までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。R3、R4、R5は同一でも異なってもよく、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基をいう。上記芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は、水酸基のような置換基を有してもよい。Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニル基を表すが、これはなくてもよい。X-は、ハロゲン元素、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有してもよい。
【0062】
また、基体としては、既述のプラスチックフィルム以外に、透明性を有する他の樹脂や、透明性を有するセラミックが使用でき、また、これらに顔料や染料などが添加され着色されていてもよい。また、基体は、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、または、基体として要求される必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。
【0063】
前記基体の厚さは、50〜500μmの範囲が好ましく、75〜150μmの範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと、画像形成時に搬送不良となる場合があり、500μmを超えると、転写不良による画像劣化となる場合がある。
【0064】
基体の表面には、以下に述べるような機能性制御手段が設けられてもよい。この機能性制御手段は、基体の画像が形成されラミネートされるラミネート面と反対側の面に設けられることが好ましい。
上記機能性制御手段は、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、及び帯電性を制御する機能から選択される少なくとも1つ以上の機能を有するものであることが好ましく、具体的には、基体の表面に対し、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、導電性、さらに好ましくは耐湿性、耐熱性、撥水性、耐磨耗性及び耐傷性などの様々な機能を付加及び/または向上させるために設けられる。これにより、本発明の情報記録媒体に用いられる電子写真用ラミネートフィルムは、様々な使用条件に対して耐性を有することができる。
【0065】
以下、特に、光沢性の制御に対しての機能性制御手段を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
光沢性の制御は、基体の表面に形成された画像の「ギラツキ」を抑制し、どの角度から見ても視認性が向上するように行われる。光沢性を制御する機能性制御手段としては、例えば、基体の表面に設けられた光沢制御層から構成されてもよいし、基体の表面に、直接光沢性を制御する機械的処理を施すことで基体が光沢制御機能を有するように設けられてもよい。
【0066】
上記基体の表面に、直接光沢性を制御する機械的処理を施す方法としては、機械的手段を用いて、基体の表面に凹凸を形成する方法がある。基体の表面に深さ3〜30μm程度の凹凸が形成されると、その基体の表面に光散乱が生じることになり、凹凸のサイズ、粗さ、深さ等を変化させることで、所望の光沢性処理を行うことができる。前記機械的手段としては、サンドブラスト法、エンボス法、プラズマエッチング法や、その他の公知の機械的表面処理方法を使用することができる。
【0067】
サンドブラスト法は、有機樹脂、セラミック及び金属などの不定形、または定形粒子を砥粒として、材料表面に連続して叩き付けることにより、表面を粗面化する方法である。エンボス法は、予め、凹凸を形成した型を作製し、これと材料とを接触させることにより、型の凹凸を材料表面に転写する方法である。プラズマエッチング法は、プラズマ放電による分子解離の結果、発生する励起分子、ラジカル、イオンなどを利用してエッチングする方法である。エッチングは、生成する励起種と材料との反応によって生成される揮発性化合物の蒸発によって進行する。
【0068】
光沢性を制御する機能制御手段が光沢制御層として構成される場合、この光沢制御層は、ポリマーの相分離を利用することで形成することができる。これは、光沢制御層を形成する樹脂の中に、これと相溶性のない樹脂を添加し、層形成後、乾燥中に相分離を発生させ、それによって表面に凹凸を発生させる方法である。相溶性のない樹脂の種類、添加量、乾燥条件などを制御することにより、相分離の状態を変化させることができ、これにより表面の凹凸が制御され、結果として、表面の光沢性を制御することができる。
【0069】
また、光沢性を制御する機能制御手段が光沢制御層として構成される場合、この光沢制御層は、少なくとも、結着剤とフィラーとから構成されてもよい。光沢制御層に含有する結着剤としては樹脂を使用することができる。この樹脂としては、基体との親和性、材料選択の多様性、安定性、コスト、作製工程の容易さなどから画像形成材料(トナー)で用いられている熱溶融性樹脂で構成されていることが好ましい。光沢制御層の膜厚は、皮膜形成の安定性のために0.01〜20μmの範囲であることが好ましく、フィラーを安定的に内包し、基体101との接着性を確保するために、0.1〜5μmの範囲であることがより好ましい。
【0070】
本発明の情報記録媒体を構成する電子写真用ラミネートフィルムは、画像が良好に形成されるように、基体の表面に画像受像層として少なくとも1層以上の塗工層を有する構造をしていてもよい。この塗工層用樹脂としては、種々の樹脂が使用可能であるが、熱溶融性のポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0071】
一般的に上記ポリエステルは、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造することができる。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類があるが、本発明に用いられるポリエステルとしては、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを用いることが特に好ましい。
【0072】
また、前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、その他の2価カルボン酸などがあるが、本発明では、イソフタル酸とテレフタル酸とが製造上、また材料入手性、コストなどで特に好ましく利用できる。なお、通常フタル酸は、イソフタル酸とテレフタル酸という構造異性体をもち、そのため、ポリエステルを製造するにあたり、上記両者がほぼ半分の割合で必然的に混入する。
【0073】
本発明で特に好ましい配合は、多価ヒドロキシ化合物におけるエチレングリコールとネオペンチルグリコールとの比率(エチレングリコール:ネオペンチルグリコール)がモル比で3:7〜1:9の範囲であることが望ましい。
また、上記ポリエステルの数平均分子量としては、12000〜45000の範囲であることが好ましく、20000〜30000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が12000未満であると、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとのモル比が所望の範囲であっても、樹脂の軟化点が低すぎ常温でも粘性が発現したりする場合がある。数平均分子量が45000を超えると、軟化温度が高くなりすぎ、画像(トナー)の定着性が悪化する場合がある。
【0074】
また最近、トナーが定着部材に巻付くのを防止するため、従来から利用されていたシリコーンオイル塗布に代えて、トナー中にワックスを添加したもの(オイルレストナー)が利用され始めているが、このようなオイルレストナーを用いる場合に、定着においてワックスの浮き出しを防止するため、前記ポリエステル樹脂にポリビニルアセタール樹脂を含有させることが好ましい。
【0075】
なお、塗工層用樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いるのは、基体であるプラスチックフィルムとの接着性、及び画像形成材料(オイルレストナー)との接着性(相溶性)がよいからである。
【0076】
前記塗工層にポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とが含有される場合、本発明においては、前記塗工層中のポリエステル樹脂の質量Aとポリビニルアセタール樹脂の質量Bとの質量比(A/B)が、90/10〜20/80の範囲であることが好ましく、80/20〜30/70の範囲であることがより好ましい。
【0077】
前記質量比(A/B)におけるAが90/10を超える量となると、ポリビニルアセタール樹脂の含有量が少なすぎ、画像受像層としてトナー中のワックスと相溶することができない場合がある。また、Bが20/80を超える量となると、画像受像層の透明性が低下する場合がある。
【0078】
前記塗工層は、画像の定着時、定着部材への付着、巻き付きを防止するためには、定着部材への低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型性材料を含有することが好ましい。
【0079】
具体的には、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスや低分子量ポリエチレンワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サゾールワックスなどの合成ワックスなどが挙げられ、これらは単独使用に限らず混合して複数使用することができる。
【0080】
また、離型性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはシリコーン樹脂と各種樹脂との変性体である変性シリコーン樹脂、たとえばポリエステル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂を添加することができる。
【0081】
上記変性シリコーン樹脂は、画像形成材料としてのトナー樹脂や本発明の熱溶融性樹脂からなる樹脂粒子との親和性が高く、適度に混和、相溶し、溶融混和するため、トナー中に含まれる顔料の発色性に優れ、また同時に、シリコーン樹脂による離型性のため定着部材と電子写真用ラミネートフィルムとが熱溶融時に付着するのを防止することができるものと考えられる。
【0082】
さらに、本発明においては、塗工層表面の付着性を低くするために、この塗工層を形成する塗工液に反応性シラン化合物と変性シリコーンオイルとを混入させてもよい。反応性シラン化合物は、塗工層に含まれる樹脂と反応すると同時に変性シリコーンオイルと反応することにより、これらがシリコーンオイルの持つ液体潤滑剤以上の離型剤として働くことができる。しかも反応性シラン化合物が硬化反応することにより離型剤として塗工層中に強固に固定化され、機械的摩耗や溶媒抽出などによっても離型剤の塗工層からの脱落を防止することができる。
【0083】
これらのワックスや離型性樹脂は、前記熱溶融性樹脂からなる樹脂粒子と同様に、粒子状態などで共存させてもよいが、好ましくは熱溶融性樹脂中に添加し、樹脂中に分散、相溶した状態で、熱溶融性樹脂中に取り込んだ状態で利用することが好ましい。
【0084】
本発明の情報記録媒体を構成するラミネートフィルム表面に設けられる塗工層は、ビカット軟化温度が70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記塗工層が設けられる場合には、塗工層がラミネート面となるため、既述した基体の場合と同様、ビカット軟化温度が130℃を超えると、ラミネート工程において、コア基材にラミネートフィルムを十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、上記密着・接着は十分でっても画像(画像形成材料)または塗工層が軟化しすぎてしまい、画像に欠陥(画像流れ)が発生してしまう場合がある。
したがって、前記塗工層を形成する樹脂等の材料の選択にあたっては、ビカット軟化温度が上記範囲内となるように行うことが望ましい。
【0085】
また、表面に塗工層を有する電子写真用ラミネートフィルムにおいても、既述した場合と同様に勿論、少なくとも片面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□の範囲であることが好ましい。故に、ラミネートフィルムが塗工層を有する場合には、この塗工層の表面抵抗値が108〜1013Ω/□の範囲内であることが好ましく、109〜1011Ω/□の範囲内であることがより好ましい。表面抵抗値が上記範囲内から外れると、既述した基材のみから構成される電子写真用ラミネートフィルムと同様の不具合が発生する場合がある。
【0086】
但し、基体の塗工層が形成される側と反対側の面に帯電制御層が設けられる場合には、塗工層の表面抵抗値は必ずしも上記範囲内でなくてもよい。また、前述のように、塗工層は基体の両面に形成されることが好ましいが、この場合には、少なくとも片面の塗工層の表面抵抗値が上記範囲内にあることが好ましく、両面の塗工層の表面抵抗値が上記範囲内にあることがより好ましい。
【0087】
上記塗工層の表面抵抗値は、帯電制御剤として高分子導電剤や界面活性剤、さらに導電性金属酸化物粒子等を塗工層中に添加することにより、上記範囲内とすることができる。また、搬送性を向上させるためマット剤が添加されることが好ましい。
【0088】
上記界面活性剤としては、前記基体の表面抵抗値制御のために添加される4級アンモニウム塩類などの界面活性剤と同様のものを用いることができる。
【0089】
また、上記導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、TiO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO、SiO2、MgO、BaO及びMoO3等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、これらの複合してを使用してもよい。また、金属酸化物としては、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中で、SbをドーピングしたSnO2が、経時的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので特に好ましい。
【0090】
前記マット剤に使用される潤滑性を有する樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(R))等のフッ素樹脂;を挙げることができる。具体的には、低分子量ポリオレフィン系ワックス(例えばポリエチレン系ワックス、分子量1000〜5000)、高密度ポリエチレン系ワックス、パラフィン系またはマイクロクリスタリン系のワックスを挙げることができる。
また、フッ素樹脂の例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を挙げることができる。
【0091】
上記樹脂のマット剤の体積平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、1〜5μmの範囲であることがより好ましい。上記体積平均粒子径は大きい方が好ましいが、大き過ぎるとマット剤が塗工層から脱離して粉落ち現象が発生し、表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大する場合がある。
さらに、上記マット剤の含有量は、前記塗工層形成樹脂に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
【0092】
上記マット剤は扁平状であることが好ましく、予め扁平状のマット剤を用いてもよいし、軟化温度の比較的低いマット剤を用いて塗工層の塗布、乾燥時の加熱下に扁平状にしてもよい。さらに加熱下に押圧しながら扁平状にしてもよい。但し、塗工層の表面からマット剤が凸状に突き出ていることが好ましい。
【0093】
マット剤としては、上記以外に無機微粒子(例えば、SiO2、Al2O3、タルクまたはカオリン)及びビーズ状プラスチックパウダー(例えば、架橋型PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン)を併用してもよい。
【0094】
上記したように、ラミネートフィルムの搬送性を良好とするため、マット剤等によりラミネートフィルム表面の摩擦を低減することが好ましいが、実際の使用上、ラミネートフィルム表面の静止摩擦係数は、2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。またラミネートフィルム表面の動摩擦係数は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.3〜0.65の範囲であることがより好ましい。
【0095】
また、表面に塗工層を有する電子写真用ラミネートフィルムにおいては、少なくとも最表面の塗工層に、目的に応じて抗菌性を有する物質を含むことが望ましい。添加する材料は、組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。例えば、有機系の材料では、チオシアナト化合物、ロードプロパギル誘導体、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル等の材料が挙げられる。
また、無機系の材料としては、ゼオライト系、シリカゲル系、ガラス系、リン酸カルシウム系、リン酸ジルコニウム系、ケイ酸塩系、酸化チタン、酸化亜鉛、等が挙げられる。
【0096】
上記無機系の抗菌剤としての体積平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、0.3〜5μmの範囲であることが好ましい。抗菌剤は基本的に前記塗工層表面に露出していることが望ましい。よって前記塗工層の膜厚に応じて上記体積平均粒子径を選出する。体積平均粒径が大き過ぎると抗菌剤が塗工層から脱離して粉落ち現象が発生し、フィルム表面が損傷し易くなったり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大することとなる。
【0097】
さらに、上記抗菌剤の塗工層中の含有量は、前記塗工層形成樹脂に対して0.05〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることがより好ましい。
【0098】
なお、画像受像層として機能する塗工層には、必要に応じて、熱安定剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑剤、架橋剤、耐衝撃性向上剤、抗菌性、難燃剤、難燃助剤、及び帯電防止剤などの各種プラスチック添加剤を併用することができる。
【0099】
少なくとも樹脂を含み、必要に応じてフィラー等が添加されてなる帯電制御層や、塗工層は、以下の方法によって基体の表面に形成される。
上記各層は、少なくとも樹脂とフィラー等とを有機溶媒、もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライターやサンドミルなどの装置により均一に分散させ塗工液を作製し、この塗工液をそのまま、基体の表面へ塗布あるいは含浸させることによって形成することができる。
【0100】
塗布あるいは含浸させる方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法等の通常使用される方法が採用される。
上記塗工は、例えば帯電制御層と塗工層とを両方有する場合、あるいは塗工層を両面に有する場合には、どちらを先に塗工してもよいし、同時に塗工してもよい。
【0101】
但し、前記塗工液の作製においては、溶媒として基体の表面を溶解させる良溶媒を使用することが好ましい。このような良溶媒を使用すると、基体と塗工層との結びつきが非常に高くなる。
なお、基体表面を溶解させることができない貧溶媒を塗工液の溶媒として使用した場合、形成されたラミネートフィルムの塗工層と基体との間には明確な界面が存在することになり、ラミネート後、電子写真用ラミネートフィルムとコア基材との接着性が不十分となってしまう。これに対し、塗工液の溶媒として使用した場合は、形成されたラミネートフィルムの塗工層と基体との間に明確な界面が存在せず、基体の表面と塗工層との界面が融合するため、ラミネート後の電子写真用ラミネートフィルムとコア基材との接着性が十分に高くなる。
【0102】
なお、基体表面に対して良溶媒であるとは、溶媒が基体の表面に接触した場合、基体に何らかの作用を及ぼし、基体の表面が少し侵される(溶媒除去後、わずかに表面に曇り等が観察される)程度以上の溶解性を有することをいう。
【0103】
基体の表面に塗工層を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥できる。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、あるいは加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法が採用される。また、前述した帯電制御層1も同様の方法によって形成することができる。
【0104】
このようにして基体の表面に形成される帯電制御層などの機能性制御手段として機能する層の膜厚は、0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、1.0〜10μmの範囲であることがより好ましい。
また、塗工層の膜厚も、同様に0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、1.0〜10μmの範囲であることがより好ましい。
【0105】
次に、以上の方法で形成した帯電制御層及び画像受像層としての塗工層を有する未印刷ラミネートフィルムに、電子写真方式によって画像を形成する方法を以下に述べる。
電子写真方式による未印刷ラミネートフィルムへの画像形成は、電子写真用感光体(潜像担持体)の表面に均一に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報(情報)を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次に、前記感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される:現像工程)。さらに、形成されたトナー画像を、未印刷ラミネートフィルム表面の画像受像層(塗工層)が形成された面(ラミネート面)に転写し(転写工程)、最後に熱や圧力などによりトナーが画像受像層表面に定着されて(定着工程)、画像記録体ができあがる。ここでいう画像記録体とは、本発明の情報記録媒体を構成する電子写真用ラミネートフィルムである。
【0106】
本発明においては、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像は、上記潜像形成工程、現像工程、及び転写工程を少なくとも経て形成されるものであるが、必要に応じて、転写工程の後に更に定着工程を行なうことにより形成してもよい。
なお定着工程を省く場合には、転写工程を経た後の未定着のトナー画像がその表面に形成された電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とを用い、両者を重ね合わせて接合するラミネート工程において、ラミネートと未定着のトナー画像の定着とを同時に行うことができる。この場合には工程の簡略化、省エネルギー化を図ることができる。
【0107】
前記のように、ラミネートフィルムのラミネート面に転写されるトナー画像は、電子写真用感光体に露光される情報に応じて形成されるものである。そしてこの情報は個人情報等の何らかの有意のものであってもよい。またトナー画像は、通常の画像、文字、記号等やこれらの組み合わせであってもよい。
なお、情報記録媒体に保持される情報が後述するICチップによってのみ保持される場合には、ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像は、何らかの有意の情報に応じたものでなくともよい。
【0108】
また、上記情報は可変情報であってもよい。すなわち、画像形成において、未印刷ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像は、例えば、複数枚の画像形成においてすべて同一ではなく、1枚ごとに可変情報である情報に応じて異なるトナー画像であってもよい。
【0109】
さらに、前記情報は個人情報であってもよい。本発明の情報記録媒体は、既述の如く、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用可能なものであり、このような用途に使用される場合、前記情報としては、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等の個人情報が主体となる。
【0110】
本発明における電子写真用ラミネートフィルムは、画像形成面をラミネート面とするものであるため、未印刷ラミネートフィルムの表面の画像形成面に形成される画像は反転画像(鏡像画像)とする必要があり、前記感光体表面に静電潜像を形成する際には、感光体表面に露光される画像情報としては鏡像の情報が提供されることが好ましい。
【0111】
さらに、ラミネートフィルム表面の単位面積当りのトナー質量TMAは、文字情報に応じた黒画像の場合は0〜0.7mg/cm2の範囲であることが好ましく、フルカラー画像の場合には0〜2.1mg/cm2の範囲であることが好ましい。
【0112】
ラミネートフィルムへのトナー画像の形成に際して用いられるトナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
【0113】
トナーは結着樹脂、着色剤、離型剤等を含み、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含むものでもよい。トナーの体積平均粒径は2〜12μmの範囲が好ましく、3〜9μmの範囲がより好ましい。また、トナーの平均形状指数(ML2/A:MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す)が115〜140の範囲のものを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
また、上記トナーの軟化点は、60〜150℃の範囲が好ましく、90〜120℃の範囲がより好ましい。
【0114】
定着時にトナーは、熱や圧力が同時に印加されるためラミネートフィルムの画像形成面に定着される訳であるが、同時にトナーは定着部材と接触するため、トナーが低粘性であったり、定着部材との親和性が高い場合などでは、定着部材に一部移行し、オフセットとして定着部材に残留するため、定着部材の劣化を招き、結果として定着器の寿命を短縮させてしまうことになる。したがって、電子写真用ラミネートフィルムが画像記録体として使用される場合には、電子写真用ラミネートフィルムはトナー画像を充分に定着できる定着性と、定着部材に対する良好な剥離性とを有していることが好ましい。
【0115】
また、本発明においては、トナーとの接着性がよく、トナーが溶融し、粘性が生じる温度以下で十分にラミネートフィルム表面に定着できるように、ラミネートフィルム表面に設けられる画像受像層(塗工層)表面や基体表面を構成する材料や物性が選択されることが好ましい。
【0116】
一方、定着に際してトナーの溶融温度を超えて必要以上に定着温度を上げると、基体のビカット軟化温度を大きく超える領域になり、基体が収縮してシワになったり、変形が大きくなって使用不可能になったり、また、ラミネートフィルムが定着部材に巻付いて結果として定着器の寿命を短縮してしまう場合がある。
【0117】
このため、本発明においては、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像の定着を、この電子写真用ラミネートフィルム表面の温度が、トナーの溶融温度以下となるようにして行うことが好ましい。通常のトナーの溶融温度を考慮すると、電子写真用ラミネートフィルムの表面温度が130℃以下となるようにして行うことが好ましく、110℃以下となるようにして行うことがより好ましい。
【0118】
上記のようにラミネートフィルム表面の温度を130℃以下としてトナーの定着を行う場合であっても、上記のような理由から、定着時のラミネートフィルム表面の温度は、このラミネートフィルムを構成する基体のビカット軟化温度以下であることが好ましく、さらには、定着時のラミネートフィルム表面の温度は、トナーの軟化温度と同等程度とすることも可能である。
【0119】
ここで、既述したように定着工程を省いてラミネート工程で定着を行なう場合や、定着工程も行なう場合において定着時のラミネートフィルム表面の温度がトナーの軟化温度より低い場合、定着時にラミネートフィルムの表面にトナー画像が定着できなくなることがある。この場合、ラミネート工程において、ラミネートフィルム同士や、ラミネートフィルムとコア基材が擦れたりしたり、あるいは、手でトナー画像を触ってしまった際に、トナー画像がずれたり欠落してしまう場合がある。
従って、転写工程後の定着工程を省いてラミネート工程で定着を行なうよりも、転写工程後に定着工程を行なうことが好ましく、また、定着時のラミネートフィルム表面の温度は、トナーの軟化温度と同等程度以上であることが好ましい。
【0120】
また、上記条件で定着を行う場合であっても、定着温度が、基体の熱変形を起こす温度領域になってしまう場合がある。その場合、特にラミネートフィルムのコシが弱くなり、定着装置の加熱ロールに巻付きやすくなってくる。このような場合は、紙などと重ね合わせて搬送し、定着装置でのラミネートフィルムのコシを補ったり、フィルムエッジ部分にガイドが当たるように定着装置内を改造/調整することが望ましい。
【0121】
一方、本発明の電子写真用ラミネートフィルムでは、定着時に非画像部でも定着部材と接触することになるため、トナーと同様の離型性などの性能を有していることが好ましい。
そこで、既述の如く、本発明では、少なくとも熱溶融性ポリエステル樹脂を含む画像受像層(塗工層)を基体の片面に形成することが好ましい。また、この画像受像層に熱溶融性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂が含まれることが好ましく、添加剤として離型剤などを好ましくは含有させることにより、定着工程において、ラミネートフィルムの定着部材への付着防止を図ることができる。更に、画像受像層に帯電制御剤を添加することにより電子写真方式によりトナー画像を転写する際の転写性能維持はもとより、排紙トレイ収容性及び堆積フィルムの捌き性能を向上させたり、さらにはラミネートに際してコア基材とラミネートフィルムとを積層する際の積層位置決め精度を向上させることができる。
【0122】
−コア基材−
次に、本発明の情報記録媒体を構成するコア基材について以下に説明する。
本発明の情報記録媒体を構成するコア基材としては、情報記録媒体としたときのラミネートフィルムに形成された画像が見えやすいよう不透明であることが好ましく、白色化したプラスチックフィルムが代表的に使用される。
【0123】
コア基材を構成する樹脂としては、ラミネートフィルムを構成する基体に用いたものと同様なものを用いることができ、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを好ましく用いることができる。
【0124】
上記の中でも、ポリエステルフィルム、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等をより好ましく用いることができる。
【0125】
本発明においては、前述のように塩素を含まない基材の使用を考慮し、さらなる材料として、前記ポリスチレン系樹脂フィルム、ABS樹脂フィルム、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂フィルム、またPETフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているフィルム等も好ましく用いることができる。
【0126】
プラスチックを白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物微粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をフィルム中に混入させる方法が使用できる。また、プラスチックフィルム表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、プラスチックフィルムの表面を凹凸にし、その凹凸による光の散乱によりプラスチックフィルムを白色化することもできる。
【0127】
本発明の情報記録媒体を構成するコア基材のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記ビカット軟化温度が130℃を超えると、ラミネート工程において、電子写真用ラミネートフィルムにコア基材を十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、上記密着・接着は十分であってもコア基材が軟化しすぎてしまい、情報記録媒体とした場合に、カール・波打ち・軟化樹脂の流れによる変形や、画像歪みが発生してしまう場合がある。
【0128】
本発明に用いられるコア基材としては、厚さ50〜5000μmの範囲のプラスチックからなるフィルムを用いることが好ましく、厚さ100〜1000μmの範囲のPETG樹脂フィルムを用いることがより好ましい。
【0129】
本発明においては、最終的な情報記録媒体がICカード等として用いられる場合には、コア基材として、その内部または表面(情報記録媒体とした際のラミネート面)に半導体回路を有するものを用いることができる。
コア基材中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、コア基材を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、同様に熱融着一体化させる方法も可能である。
【0130】
その他、上記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、コア基材を構成するシートどうしを貼り合わせ、同様に、半導体回路を内蔵させることも可能であるが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれもコア基材の製造方法として適用することができる。
さらに、情報記録媒体として使用上問題がなければ、半導体回路をコア基材の内部ではなく、表面(情報記録媒体とした際の外側の面)に露出した状態で配置することも可能である。
【0131】
なお、本発明の情報記録媒体がICカードだけでなく、磁気カード等として用いられる場合には、必要に応じてコアシートにアンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれる。また、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる場合がある。
【0132】
(情報記録媒体製造方法およびこれに用いる情報記録媒体製造装置)
次に、本発明の情報記録媒体の製造に好適な情報記録媒体製造方法やこれに用いる情報記録媒体製造装置について説明する。
本発明の情報記録媒体は、(定着された、あるいは、未定着の)トナー画像がその表面(少なくともラミネート面)に設けられた電子写真用ラミネートフィルムと、不透明なコア基材とを重ね合わせて接合するラミネート工程を少なくとも経て作製される。また、外観をツヤ出し仕上げとするために、既述したように情報記録媒体(当該情報記録媒体とは、積層体のようなラミネート面接合前の半製品状態や、ラミネート後のものも含む)の表面がヒートプレスされるが、このヒートプレスは実用上はラミネート工程時に同時に行なわれることが好ましい。
【0133】
なお、ラミネート工程は、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。しかしながら、本発明の情報記録媒体の作製においては、ラミネートフィルムとコア基材とを重ね合わせた積層体を、例えば、1対のロール間を加熱しながら挿通させるようなヒートプレス法(以下、「ロールプレス」と略す場合がある)を利用することができる。
しかしながら、特に本発明の情報記録媒体の製造方法においては、1対の押し当て板材の間に、前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を配置した後に、前記積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスするヒートプレス法(以下、「板材プレス」と略す場合がある)を利用することが好ましい。
【0134】
次に、このような押し当て板材を用いた情報記録媒体の製造方法について、図1(a)に示す構成を有する情報記録媒体の作製を具体例として図面を用いて以下に説明する。まず、コア基材とラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体と、この両面に設けられる押し当て板材の配置について説明する。
図3は、ラミネート工程に用いられる積層体および押し当て板材の配置関係の一例について示す概略斜視図である。図3において、40および50は押し当て板材、41は押し当て板材40の積層体と対向する面(対向面)、51は押し当て板材50の積層体と対向する面(対向面)を表し、その他の符号は、図1に示したものと同様の部材を表す。
【0135】
図3において、コア基材20の両面にはラミネートフィルム10、30が重ね合わされて積層体を構成している。なお、図3に示されているラミネートフィルム10、30は、少なくとも一方が、そのラミネート面にトナー画像が既に形成されたものである。積層体のラミネートフィルム10が設けられた側の面、およ、積層体のラミネートフィルム30が設けられた側の面の少なくとも一方の最表面層は▲1▼ビカット軟化温度が70〜130度の範囲内であり、▲2▼その最表面層の厚みが1μm以上であることが必要であるが、両面の最表面層が上記▲1▼および▲2▼項の条件を同時に満たしていることが好ましい。また、図1(b)に示す情報記録媒体と、図3に示す積層体は、見かけ上、その層構成は全く同じであるが、図3に示す積層体はコア基材20と、ラミネートフィルム10、30との界面は接合されていない。
【0136】
この積層体の両面には、押し当て板材40、50が重ね合わせて配置される。なお、説明の都合上、図3においては、積層体と、押し当て板材40、50との間は離して図示されているが、ラミネートに際しては、積層体と重ね合わせて接触し、揃えた状態で用いられる。なお、押し当て板材の縦横のサイズは、図4に示したように積層体と揃え易いように同じサイズであることが好ましい。
【0137】
積層体およびこの両面に重ね合わせて配置される押し当て板材40、50の重ね合わせは、押し当て板材50、ラミネートフィルム30、コア基材20、ラミネートフィルム10、押し当て板材40をこの順に積層し手で保持して揃えることにより行ってもよいし、ラミネートフィルム10および/または30への画像形成後に、丁合いトレイなどに押し当て板材50、ラミネートフィルム30、コア基材20、ラミネートフィルム10、押し当て板材40を順次排出し、自動的に揃えることにより行ってもよい。
【0138】
なお、積層体への押し当て板材40、50の重ね合わせに際して、積層体のラミネートフィルム10(30)が設けられた側の面が、上記▲1▼および▲2▼項を満たす場合には、この面を非鏡面でありながら、ツヤ出し(光沢)外観を持つように仕上げるために、押し当て板材40(50)の対向面41(51)全面は、比較的平坦で微小な凹凸が形成されていることが好ましい。
【0139】
この場合、後述する積層体の押し当て板材40および50を介した加熱プレスに際して、押し当て板材40(50)とラミネートフィルム10(20)との界面に抱き込まれる空気が、押し当て板材40(50)の対向面41(51)に設けられた微小凹凸やわずかなうねりの隙間から逃げ出すことが非常に容易となる。このため、対向面41(51)の微小凹凸面全体が、空気を抱き込んで部分的な空気溜まりを形成することなく、ラミネートフィルム10(20)表面に綺麗に転写され、この転写面を非鏡面でありながら、ムラ無く優れたツヤ出し(光沢)外観を持つように仕上げることができる。
【0140】
なお、上述のような効果を得るためには図3に示す例に限らず押し当て板材の対向面は、具体的には対向面の表面粗さRmax(JISB0601に準じて規定される最大高さ)が、10〜60μmの範囲内であり、この対向面の平均波長が、対向面の表面粗さRmaxの3〜15倍の範囲内であることが好ましい。
表面粗さRmaxが10μmよりも小さい場合には、加熱プレスした際に対向面と積層体との間に抱き込まれた空気が逃げられなくなり、作製された情報記録媒体表面にツヤむらが発生する場合がある。一方、表面粗さRmaxが60μmよりも大きい場合には、情報記録媒体表面をツヤ出し仕上げすることができなくなる場合がある。
【0141】
また、対向面の平均波長が、対向面の表面粗さRmaxの3倍よりも小さい場合には、情報記録媒体表面をツヤ出し仕上げにすることができなくなる場合がある。一方、対向面の平均波長が、対向面の表面粗さRmaxの15倍よりも大きい場合には、加熱プレスした際に対向面と積層体との間に抱き込まれた空気が逃げられなくなり、作製された情報記録媒体表面にツヤむらが発生する場合がある。
【0142】
次に、図3に示した積層体とその両面に押し当て板材40、50を重ね合わせて揃えたものを加熱プレス(ヒートプレス)する方法について、図面を用いて具体的に説明する。
図4は、図3に示す積層体を押し当て板材を介してヒートプレスする方法の一例を示す概略斜視図である。図4中、60、70はヒートプレス(加熱された板)を表し、他の符号は、図3に示した符号と同様の部材を表す。
図4に示されるように、積層体とその両面に重ね合わせて設けられた押し当て板材40、50とからなる積層物を、その両面(押し当て板材40(50)の対向面41(51)と反対側の面)を挟みこむようにしてヒートプレス60,70が配置されている。ヒートプレス60、70は予め不図示の熱源により加熱された状態で図4に示すように積層物を挟みこむように配置されていてもよいし、積層物を挟みこんだ後に不図示の熱源により加熱されてもよい。
【0143】
次に、ヒートプレス60、70に挟みこまれた積層物を、ヒートプレス60、70を介して加熱しながら圧力を加えて所定時間保持することにより、積層体の界面を熱溶融させて接合(熱融着)し、本発明の情報記録媒体を得ることができる。
この際、積層体のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内で、その厚みが1μm以上の最表面層を有する側の面は、対向面の表面形状に応じて非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を持つように仕上げることができる。特に、対向面が、上記したような▲1▼および▲2▼項を満たす表面形状を有する場合には、非鏡面でありながら、ムラなく優れたツヤ出し(光沢)外観に仕上げることができる。また、積層体のラミネートフィルム10(および/または30)のラミネート面側に形成されたトナー画像が未定着である場合には、上記の加熱プレスに際して同時に定着される。
【0144】
次に、このようにして積層体をラミネートすることにより作製した情報記録媒体から押し当て板材40、50を取り外す。なお、この情報記録媒体の接合面に個別の情報に応じたトナー画像が複数形成されている場合、この各トナー画像毎に裁断し、所定サイズの複数の情報記録媒体とすることができる。
なお、以上に説明したような板材プレスは、大気圧下で行なうことが好ましい。このような場合、真空ラミネーターのような特別な装置を導入することなく、一般的な熱プレス装置等を利用して、既述したような本発明の情報記録媒体を安価で高品質に製造することができる。
【0145】
なお、本発明の情報記録媒体を作製する上では、表面をツヤ出し仕上げとするために、以上に説明したようにロールプレス、板材プレスのいずれも利用できるが、情報記録媒体は、一般的に、定期券等のように大量に使用される場合が多いため、このようなケースに対応するには量産性に優れ、低コストに作製できることが好ましい。この点で、板材プレスはロールプレスよりも優れている。
一方、従来の板材プレスでは、特に大気圧下で本発明の情報記録媒体を作製する際に、ヒートプレス時に押し当て板材と積層体表面との間に空気が抱き込まれてツヤむらが発生しやすいという問題があった。しかし、本発明の情報記録媒体製造方法では、上記に説明したように押し当て板材の表面形状を最適化することによりこのような問題を解決することができる上に、さらに従来の板材プレスと同様の量産性、低コスト生産も勿論可能である。
【0146】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における「部」は「質量部」を意味する。
【0147】
(実施例1)
実施例1において、本発明の情報記録媒体(情報記録媒体1)を以下のように作製した。以下、その製造方法を工程ごとに説明する。
<電子写真用ラミネートフィルムと画像の作製>
透明高分子導電剤10部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:イルガスタットP−22)とPETG樹脂(Eastman Chemicals社製:Eastar PETG6763、ビカット軟化温度:85℃)90部とを混合し、この混合物をベント付2軸押し出し機を用いて、240℃の温度にて溶融混錬した。続いて、ダイより下方に溶融フィルム状態にて押し出し、ダイの同一直線に配置された冷却マンドレルの外周面に接触せしめて80℃にて冷却し、膜厚100μmの透明なフィルム(基体1)を得た。この基体1の表面抵抗値は2.8×1010Ω/□であり、ビカット軟化温度は78℃であった。これをA4サイズ(210mm×297mm)にカットしてラミネートフィルム1を作製した。
【0148】
次に、上記ラミネートフィルム1(画像未形成)の表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機DocuColor1250改造機(定着時のラミネートフィルムの表面温度が、95〜100℃の範囲になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像を形成した。
【0149】
<コア基材の作製>
両面がPETG樹脂層で内部がA−PETである3層構造のA4サイズの白色シート(三菱樹脂社製:ディアクレールW2012、総厚み:500μm、PETG樹脂層のビカット軟化温度:85℃)をコア基材1とした。
【0150】
<押し当て層塗工液B−1の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MR−60G、平均粒子径:60μm)0.15部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−1を調製した。
【0151】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−1をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmで、その表面形状が、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで50μm、平均波長150μm、平均波長/Rmax比が3倍の、押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材1を作製した。
なお、押し当て板材の押し当て面の表面粗さRmax、平均波長は、表面粗さ形状測定機(SURFCOM1500D−3DF、東京精密社製)を用いて測定した。なお、測定条件は、検出器S1500用標準/測定力0.7mN、測定子DT43801/先端形状2μmR60°円錐ダイヤモンド、測定面積3×3mm、測定ピッチX0.02mm/Y0.02mm、測定速度0.6mm/sとした。
【0152】
<情報記録媒体の作製>
コア基材1の表裏に、前記ラミネートフィルム1を、各フィルムの四隅の位置が合うようにして画像面(ラミネート面)で重ね合わせ、さらにその両側を、前記1組の押し当て板材1の押し当て層(押し当て面)で、各フィルムの四隅の位置が合うようにして重ね合わせた。
上記位置決め、重ね合わせを行った積層物(押し当て板材1/ラミネートフィルム1/コア基材1/ラミネートフィルム1/押し当て板材1)を、上下120℃、5kgf/cm2、30秒の条件で熱プレスでラミネートし、押し当て板材1を取り外して情報記録媒体1を得た。
【0153】
<電子写真用ラミネートフィルムの性能評価>
前記電子写真用ラミネートフィルムへの画像作製工程において、ラミネートフィルム1の機内搬送・画像印字後の排紙トレイ収容性、画質、捌き作業性、コア基材1との積層位置決め作業性を、各々下記基準にて評価し、電子写真用ラミネートフィルムとしての性能を確認した。
【0154】
−排紙トレイ収容性評価−
ラミネートフィルム1のカラー複写機における排紙トレイ収容性は、前記ラミネートフィルム1の鏡像画像形成を、前記カラー複写機DocuColor1250改造機の手差しトレイにラミネートフィルム1を30枚セットし、連続で30枚印字させることにより行い、排紙トレイにラミネートフィルム1が30枚積層収容される状態を評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:通常通り1枚も引っかかりなくほとんどずれずに積層される。
○:通常通り1枚も引っかかりはないが少しずれて積層される。
△:ラミネートフィルム1の後端がカラー複写機の出口(Exit)に1枚以上引っかかったまま積層される。
×:引っかかりがありジャム(フィルムつまり)となる。
【0155】
−画質(転写性)評価−
画質(転写性)は、ラミネートフィルム1を用いて高温高湿条件(28℃、85%RH:A条件)、室温条件(22℃、55%RH:B条件)、低温低湿(10℃、15%RH:C条件)で画像を出力したときの、ラミネートフィルム1表面の文字の正確な印字性(印字再現性)を評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
○:どの条件でも問題ない。
×:いずれかの条件で問題があった(例:A×、C×など)。
【0156】
−捌き作業性評価−
前記カラー複写機における排紙トレイ収容後のラミネートフィルム1の捌き作業性は、積層されたラミネートフィルム1にガムテープでフックを貼り付け、フックにバネばかりを掛けて、上から1枚ずつ約100mm/secの速度でラミネートフィルム面と水平方向に手でずらした時の、ラミネートフィルム1間の最大静電吸着力(密着力)を5回測定し、その平均値(N)で評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:ラミネートフィルム1間の静電吸着力が0.49N以下で抵抗なく捌ける。:静電吸着力が0.49Nを超えて1.47N以下で容易に捌ける。
△:記静電吸着力が1.47Nを超えて4.9N以下で捌き難くなる。
×:静電吸着力が4.9Nを超えて容易には捌けない。
【0157】
−積層位置決め作業性評価−
積層位置決め作業性は、ラミネート工程前のコア基材1とラミネートフィルム1との重ね合わせにおいて、ラミネートフィルム1を画像面で重ね合わせようとした時の難易度により判断した。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:前記3枚のフィルムの両脇を手で軽く保持して底部を1、2回揃える操作により、四隅の位置合せがまったく抵抗なくできる。
○:上記と同様にして4、5回揃える操作により、四隅の位置合せが容易にできる。
△:左右の角を片方ずつ手で合わせてから、全体のしわをのばすような操作をしないと四隅の位置合せができない。
×:上記以外のケースで、フィルムどうしをずらすこと自体困難で、四隅の位置合せが容易にできない。
【0158】
<情報記録媒体の性能評価>
前記情報記録媒体1のラミネート品質(耐埃混入)、及びラミネート性(剥離強度)、ツヤ出し(光沢)外観を、各々下記基準にて評価し、情報記録媒体としての性能を確認した。
【0159】
−ラミネート品質(耐埃ゴミ混入)評価−
ラミネート品質に関しては、前記ラミネート後の情報記録媒体1について、ラミネートフィルム1とコア基材1との間の埃ゴミの混入を、目視により以下の基準で評価した。
○:埃ゴミの混入が確認できない。
△:わずかに埃ゴミが確認できる。
×:埃ゴミが多数確認できる。
【0160】
−ラミネート性(剥離強度)評価−
ラミネート性に関しては、前記ラミネート後の情報記録媒体1について、基材1とラミネートフィルム1との界面をカッターナイフで引き剥がし、その部分を持って手でひき剥したときの状況により、以下の基準により評価した。
◎:まったく剥れない。
○:剥れるがすぐにラミネートフィルム1がちぎれてしまう。
△:ラミネートフィルム1は剥れるが剥れた面の画像が乱れ、偽造が困難だと思われる。
×:上記以外で明らかにラミネートフィルム1が容易に剥がれる。
【0161】
−つや出し(光沢)外観評価−
情報記録媒体の外観に関しては、前記1組の押し当て板材1の押し当て面をラミネートフィルム1に接触させてラミネートした後の情報記録媒体1について、表面の光沢度、平滑度、及びツヤ均一性を評価した。
なお、光沢度は、グロスメーター(村上色彩技術研究所社製:MODEL GM−26D FOR 75°)を用いて75°鏡面反射率を求め、平滑度は、デジタル型王研式透気度平滑度試験機(旭精工社製:TYPE EY−55)を用いて王研式平滑度を求めた。また、ツヤ均一性は、目視により情報記録媒体1の表面を観察して評価した。これら3つの項目を組み合わせて、情報記録媒体1表面のつや出し(光沢)外観を以下基準で評価した。
○:光沢度65%以上且つ平滑度550秒以下を満足すると共に、また、目視によりツヤ(光沢)むらが確認されない。
△:光沢度65%以上だが、平滑度が550秒を超え、目視により海島(クレーター)状のツヤ(光沢)むらが確認される。
×:平滑度550秒以下だが、光沢度が65%を下回り、目視によりツヤ消し(マット)状態が確認される。
なお、情報記録媒体1の平滑度は50秒、光沢度は90%であった。以上の結果を、表1および表2に分けて記載した。
【0162】
(実施例2)
透明高分子導電剤18部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:イルガスタットP−18)とPETG樹脂(Eastman Chemicals社製:Eastar PETG6763、ビカット軟化温度:85℃)82部とを混合し、この混合物をベント付2軸押し出し機を用いて、240℃の温度にて溶融混錬した。続いて、ダイより下方に溶融フィルム状態にて押し出し、ダイの同一直線に配置された冷却マンドレルの外周面に接触せしめて80℃にて冷却し、膜厚100μmの透明なフィルムである基体2を得た。この基体2の表面抵抗値は8.5×1012Ω/□であり、ビカット軟化温度は75℃であった。これをA4サイズにカットしてラミネートフィルム2を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体2を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様してラミネートフィルム2及び情報記録媒体2の評価を行った。
この情報記録媒体2の平滑度は50秒、光沢度は90%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0163】
(実施例3)
実施例1において、基体材料として、透明高分子導電剤7部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:イルガスタットP−18)と、界面活性剤3部(日本油脂社製:エレガン264WAX)と、PETGとポリカーボネートとのアロイ樹脂(Eastman Chemicals社製:Eastalloy DA003、ビカット軟化温度118℃)90部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚みが125μmの基体3を得た。この基体3の表面抵抗値は5.8×109Ω/□であり、ビカット軟化温度は107℃であった。これをA4サイズにカットしてラミネートフィルム3を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム3を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体3を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様してラミネートフィルム3及び情報記録媒体3の評価を行った。
この情報記録媒体3の平滑度は60秒、光沢度は90%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0164】
(比較例1)
<押し当て板材の作製>
厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)を押し当て板材として、そのまま使用した、なお押し当て面(表裏なし)は、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで5μmであり、平均波長は300μm、平均波長/Rmax比は60倍であった。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材2を作製した。
【0165】
実施例1において、基体材料として、透明高分子導電剤12.5部(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:イルガスタットP−18)とPETG樹脂(Eastman Chemicals社製:Eastar PETG6763、ビカット軟化温度85℃)87.5部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み100μmの基体4を得た。この基体4の表面抵抗値は1.0×1014Ω/□であり、ビカット軟化温度は80℃であった。これをA4サイズにカットしてラミネートフィルム4を作製した。
【0166】
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム4を用い、押し当て板材1の代わりに板材2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体4を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様してラミネートフィルム4及び情報記録媒体4の評価を行った。
ラミネートフィルム4は画質(転写性)が悪く、画像濃度が低下し、低温低湿条件で文字抜けなど発生し画質が悪かった。また、静電吸着力が非常に大きいため排紙トレイ収容性、捌き、積層作業性ともに悪く、埃ゴミが多く吸着してラミネート面内に混入して積層されてしまいラミネート品質が悪かった。
この情報記録媒体4の平滑度は600秒、光沢度は95%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0167】
(比較例2)
<画像受像層塗工液A−1の調製>
ポリエステル樹脂(綜研化学社製:サーモラックF−1、メチルエチルケトン溶液中の固形分30質量%)10部、導電性のITO微粉体(三井金属社製:パストランITO)12部、トルエン7部、及びブタノール3部を混合して、ペイントシェーカーで十分撹拌し、画像受像層塗工液A−1を調製した。なお、画像受像層塗工液A−1に含まれるポリエステル樹脂からなるフィルムのビカット軟化温度は70℃である。
【0168】
<電子写真用ラミネートフィルムの作製>
この画像受像層塗工液A−1を、表裏面がPETG樹脂層でコアがPETフィルムからなる3層構成のフィルム(DuPont社製:メリネックス342、表裏面のPETG樹脂層(厚み10μm)のビカット軟化温度85℃、厚さ:100μm)を基体5として、その表裏にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させ、膜厚0.5μmの帯電防止層を形成したラミネートフィルム5を得た。このラミネートフィルム5の表面抵抗値は1.0×107Ω/□であった。これをA4サイズにカットして使用した。
【0169】
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム5を用い、押し当て板材1の代わりに板材2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体5を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム5及び情報記録媒体5の評価を行った。
ラミネートフィルム5は、高温高湿下で文字のにじみが発生し、画質(転写性)が悪かった。一方、静電吸着力が非常に小さいため排紙トレイ収容性、捌き、積層作業性ともに極めて良く、埃ゴミもほとんど吸着せずラミネートされ、ラミネート品質は良かった。
この情報記録媒体5の平滑度は600秒、光沢度は95%であった。また、実施例1と同様に評価した結果をまとめて表1および表2に記載した。
【0170】
(比較例3)
比較例2において、画像受像層塗工液A−1を、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(旭化成社製:サンテックEVA:EF1530、ビカット軟化温度:66℃、厚さ:100μm)である基体6の両面に塗工した以外は比較例2と同様にして、ラミネートフィルム6を作製した。このラミネートフィルム6の表面抵抗値は3.0×107Ω/□であった。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム6を用い、押し当て板材1の代わりに板材2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体6の作製を試みたが、ラミネートフィルム6は、フィルムの軟化温度が低いため、全てのサンプルがカラー複写機の定着装置で巻付き、画像を定着したラミネートフィルムが得られなかった。そのため、以後の評価ができなかった。
評価結果を表1および表2に記載した。
【0171】
(実施例4)
<画像受像層塗工液A−2の調製>
ポリエステル樹脂(綜研化学社製:フォレットFF−4、固形分30質量%)10部、マット剤として架橋型メタクリル酸エステル共重合物微粒子(綜研化学社製:MP−1000、体積平均粒子径:10μm)0.05部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学社製:Sumisob200)0.5部、酸化防止剤として(堺化学工業(株)社製:Chelex−500)0.1部、さらに界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)0.2部、さらに難燃剤としてパークロロペンタシクロデカンを0.6部とを、トルエン10部とメチルエチルケトン30部との混合溶媒中に添加して十分撹拌し、画像受像層塗工液A−2を調製した。なお、画像受像層塗工液A−2に含まれるポリエステル樹脂からなるフィルムのビカット軟化温度は70℃である。
【0172】
<電子写真用ラミネートフィルムの作製>
表裏がPETG樹脂層でコアがPET樹脂層からなる3層構成のフィルム(DuPont社製:メリネックス342、表裏面のPETG樹脂層(厚み10μm)のビカット軟化温度:85℃、総厚み:100μm)を基体7とし、画像受像層塗工液A−2を、その表裏にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させ、膜厚2.0μmの画像受像層を形成したラミネートフィルム7を作製した。このラミネートフィルム7の表面抵抗値は5.8×109Ω/□であった。これをA4サイズにカットして使用した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム7を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体7を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム7及び情報記録媒体7の評価を行った。
この情報記録媒体7の平滑度は30秒、光沢度は85%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0173】
(実施例5)
表裏がPETG樹脂層でコアがポリカーボネート樹脂層からなる3層構成のフィルム(三菱樹脂社製:ディアフィックス、PETG樹脂層(厚み15μm)のビカット軟化温度:86℃、総厚み100μm)を基体8とし、実施例4で用いた画像受像層塗工液A−2を、その表裏にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させ、膜厚2.0μmの画像受像層を形成したラミネートフィルム8を作製した。このラミネートフィルム8の表面抵抗値は6.0×109Ω/□であった。これをA4サイズにカットして使用した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム8を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体8を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム8及び情報記録媒体8の評価を行った。
この情報記録媒体8の平滑度は30秒、光沢度は85%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0174】
(実施例6)
実施例4において、基体7の片面に画像受像層塗工液A−2をワイヤーバーを用いて塗工した以外は実施例4と同様にして、片面に膜厚2.0μmの画像受像層を形成したラミネートフィルム9を作製した。このラミネートフィルム9の画像受像層の表面抵抗値は5.8×109Ω/□であり、裏面の表面抵抗値は2.3×1015Ω/□であった。これをA4サイズにカットして使用した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム9を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体9を作製した(但し、画像受像層形成面をラミネート面とした)。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム9及び情報記録媒体9の評価を行った。
この情報記録媒体9の平滑度は30秒、光沢度は85%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0175】
(比較例4)
実施例4において、画像受像層塗工液A−2を用いた塗工を行わず、基体7そのものをラミネートフィルム10とした。このラミネートフィルム10の表裏の表面抵抗値は1.0×1017Ω/□、3.0×1017Ω/□であった。これをA4サイズにカットして使用した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム10を用い、押し当て板材1の代わりに押し当て板材2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体10を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム10及び情報記録媒体10の評価を行った。
この情報記録媒体10の平滑度は700秒、光沢度は95%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0176】
(比較例5)
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー100T60、ビカット軟化温度は240℃)を基体11とした。この基体11の表面抵抗値は1×1016Ω/□であった。これをA4サイズにカットしてラミネートフィルム11を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりにラミネートフィルム11を用い、押し当て板材1の代わりに板材2を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体11を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にしてラミネートフィルム11及び情報記録媒体11の評価を行った。ラミネートフィルム11は、ビカット軟化温度が高いため、ラミネート(接着)させることができなかった。
この情報記録媒体11の平滑度は1300秒、光沢度は100%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0177】
(実施例7)
<押し当て層塗工液B−2の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MR−60G、平均粒子径:60μm)0.075部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−2を調製した。
【0178】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−2をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで50μm、平均波長が750μm、平均波長/Rmax比が15倍である、押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材3を作製した。
次いで、実施例1において、1組の押し当て板材1の代わりに押し当て板材3を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体12を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体12の評価を行った。
この情報記録媒体12の平滑度は100秒、光沢度は90%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0179】
(実施例8)
<押し当て層塗工液B−3の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MR−60G、平均粒子径:60μm)0.45部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−3を調製した。
【0180】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−3をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで50μm、平均波長150μm、平均波長/Rmax比が3倍の押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材4を作製した。
次いで、実施例1において、1組の押し当て板材1の代わりに板材4を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体13を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体13の評価を行った。
この情報記録媒体13の平滑度は10秒、光沢度は80%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0181】
(実施例9)
<押し当て層塗工液B−4の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−3000、平均粒子径:30μm)0.15部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−4を調製した。
【0182】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−4をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで20μm、平均波長100μm、平均波長/Rmax比が5倍の押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材5を作製した。
次いで、実施例1において、1組の押し当て板材1の代わりに板材5を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体14を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体14の評価を行った。
この情報記録媒体14の平滑度は550秒、光沢度は85%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0183】
(実施例10)
<押し当て層塗工液B−5の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−1500、平均粒子径:15μm)0.45部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−5を調製した。
【0184】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−5をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚5μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで10μm、平均波長30μm、平均波長/Rmax比が3倍の押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材6を作製した。
次いで、実施例1において、1組の押し当て板材1の代わりに板材6を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体15を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体15の評価を行った。
この情報記録媒体15の平滑度は400秒、光沢度は75%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0185】
(比較例6)
<押し当て層塗工液B−6の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−3000、平均粒子径:30μm)0.075部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−6を調製した。
【0186】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−6をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで20μm、平均波長350μm、平均波長/Rmax比が17.5倍の押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材7を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりに比較例4のラミネートフィルム10を用い、押し当て板材1の代わりに押し当て板材7を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体16を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体16の評価を行った。
この情報記録媒体16の平滑度は700秒、光沢度は95%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0187】
(比較例7)
<押し当て層塗工液B−7の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−3000、平均粒子径:30μm)0.6部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−7を調製した。
【0188】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−7をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚10μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで20μm、平均波長30μm、平均波長/Rmax比が1.5倍である押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材8を作製した
次いで、ラミネートフィルム1の代わりに比較例4のラミネートフィルム10を用い、押し当て板材1の代わりに板材8を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体17を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体17の評価を行った。
この情報記録媒体17の平滑度は50秒、光沢度は30%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0189】
(比較例8)
<押し当て層塗工液B−8の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−1500、平均粒子径:15μm)0.15部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−8を調製した。
【0190】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−8をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚5μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで10μm、平均波長10μm、平均波長/Rmax比が1倍である押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材9を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりに比較例4のラミネートフィルム10を用い、押し当て板材1の代わりに押し当て板材9を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体18を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体18の評価を行った。
この情報記録媒体18の平滑度は600秒、光沢度は60%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0191】
(比較例9)
<押し当て層塗工液B−10の調製>
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC−900、固形分30質量%)10部、フィラーとして架橋型PMMA粒子(綜研化学社製:MX−1500、平均粒子径:15μm)0.075部を、シクロヘキサノン/メチルエチルケトンを10/90質量比で混合した液30部に添加して十分撹拌し、押し当て層塗工液B−10を調製した。
【0192】
<押し当て板材の作製>
基体として厚さ125μmの二軸延伸PETフィルム(東レ社製:ルミラー125T60)の片面側に、前記押し当て層塗工液B−10をワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で3分間乾燥させ膜厚5μmの、JISB0601に準ずる表面粗さの最大高さRmaxで10μm、平均波長200μm、平均波長/Rmax比が20倍である押し当て層(押し当て面)を形成した。これをA4サイズに2枚カットして1組の押し当て板材11を作製した。
次いで、ラミネートフィルム1の代わりに比較例4のラミネートフィルム10を用い、押し当て板材1の代わりに押し当て板材11を用いた以外は実施例1と同様にして情報記録媒体20を作製した。そしてこれらの各工程に関し、実施例1と同様にして情報記録媒体20の評価を行った。
この情報記録媒体20の平滑度は800秒、光沢度は85%であった。また、実施例1と同様に評価した結果を表1および表2に分けて記載した。
【0193】
【表1】
【0194】
【表2】
【0195】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明は、少なくとも片面が非鏡面でありながら、優れたツヤ出し(光沢)外観を有する情報記録媒体、その製造方法、及び、該製造方法に用いる情報記録媒体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の情報記録媒体の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図2】 本発明の情報記録媒体に用いられる電子写真用ラミネートフィルムの構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】 本発明の情報記録媒体を作製する際のラミネート工程に用いられる積層体および押し当て板材の配置関係の一例について示す概略斜視図である。
【図4】 図3に示す積層体を押し当て板材を介してヒートプレスする方法の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 (第1の)電子写真用ラミネートフィルム
20 コア基材
30 第2の電子写真用ラミネートフィルム
101 基体
102、103 帯電制御層
40 押し当て板材
41 対向面
50 押し当て板材
51 対向面
60、70 ヒートプレスのヒーター
101 基体
102、103 帯電制御層
Claims (8)
- コア基材と、該コア基材と重ね合わせて接合された少なくとも1枚の電子写真用ラミネートフィルムと、を含む情報記録媒体において、
(1)該情報記録媒体の少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であり、(2)前記最表面の平滑度が550秒以下であり、且つ、(3)前記最表面の光沢度が65%以上であることを特徴とする情報記録媒体。 - 前記コア基材の少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
- 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面の最表面から少なくとも厚み1μmの範囲内の最表面層のビカット軟化温度が70〜130℃の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
- 前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも片面に情報に応じたトナー画像が形成され、前記電子写真用ラミネートフィルムの前記トナー画像が形成された面が、前記コア基材に重ね合わせて接合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報記録媒体。
- コア基材と、電子写真用ラミネートフィルムとを、重ね合わせて接合するラミネート工程を少なくとも経て請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報記録媒体を作製する情報記録媒体製造方法であって、
前記ラミネート工程が、1対の押し当て板材の間に、前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を配置した後に、前記積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスして前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを接合することにより行なわれることを特徴とする情報記録媒体製造方法。 - 前記1対の押し当て板材の前記積層体表面に対向する少なくとも一方の対向面の表面粗さRmaxが、10〜60μmの範囲内であり、且つ、前記対向面の平均波長が、前記表面粗さRmaxの3〜15倍の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の情報記録媒体製造方法。
- 前記ラミネート工程が大気圧下で行なわれることを特徴とする請求項5または6に記載の情報記録媒体製造方法。
- 1対の押し当て板材の間に、コア基材と電子写真用ラミネートフィルムとを重ね合わせた積層体を配置した後に、前記積層体を前記1対の押し当て板材を介して加熱しながらプレスして前記コア基材と前記電子写真用ラミネートフィルムとを接合するラミネート工程を少なくとも経て請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報記録媒体を作製する製造方法に用いられる情報記録媒体製造装置であって、
該情報記録媒体製造装置が、前記1対の押し当て板材の少なくとも一方の押し当て板材であり、該押し当て板材の少なくとも片方の面の表面粗さRmaxが、10〜60μmの範囲内であり、且つ、前記表面粗さRmaxが10〜60μmの範囲内である面の平均波長が、前記表面粗さRmaxの3〜15倍の範囲内であることを特徴とする情報記録媒体製造装置。
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