JP4577134B2 - 磁気情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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例えば、塩化ビニルからなる表裏2枚のオーバーシートのうち少なくとも1枚に磁気ストライプが設けられ、2枚ともに、シルクスクリーン印刷により隠蔽層が、オフセット印刷により絵柄層が形成され、塩化ビニルからなるセンターコアと熱プレス加工する磁気カードの製造方法(例えば、特許文献1参照)がある。
例えば、各種個人情報の他に、不可視バーコードを厚さ250μmの塩化ビニルシートや厚さ280μmのポリエステルシートにオフセット技法を用いた湿式の電子写真法で印字し、それぞれ印字面に厚さ25μmの塩化ビニルフィルムや厚さ10μmのポリエステルビニルフィルムからなるオーバーフィルムを重ね、熱プレス機でラミネートする方法(例えば、特許文献3参照)がある。
すなわち、本発明は、トナー画像の画質劣化がなくしかもコア基材にオーバーシートが確実に強固に接着された磁気情報記録媒体を提供すること、また、前記のごとき磁気情報記録媒体を容易に作製することが可能な磁気情報記録媒体の製造方法を提供することにある。
磁気層及び電子写真トナー画像を有するオーバーシートであって、前記オーバーシートが基材と該基材の片面に設けられた熱融着層とを有し、前記基材と前記熱融着層との界面が離型性を有し、少なくとも前記磁気層が前記熱融着層表面に形成されており、オーバーシートのラミネート面のビカット軟化温度が前記電子写真トナー画像を形成するトナー材料の溶融温度より低いオーバーシートを準備する工程、
そのラミネート面のビカット軟化温度がトナー材料の溶融温度より低いコア基材を準備する工程、
前記コア基材にオーバーシートを重ねたものを加熱圧着によりラミネートする工程、及び前記オーバーシートの基材を前記熱融着層との界面で剥離する工程
を有する磁気情報記録媒体の製造方法であって、
前記ラミネート工程においてオーバーシート及びコア基材のラミネート面の温度をトナーの溶融温度より低くかつビカット軟化温度以上の温度に加熱することを特徴とする磁気情報記録媒体の製造方法である。
前記熱融着層が、画像受像層の機能を有し、ラミネート前の前記熱融着層表面に前記磁気層および前記電子写真トナー画像が設けられていることを特徴とする<1>に記載の磁気情報記録媒体の製造方法である。
この磁気情報記録媒体の作製方法によれば、トナー画像が流動せずに軟化する比較的低温域で画質を保持したまま、前記接合の界面が確実に強固に接着させることができるため、高品位で高強度な磁気情報記録媒体を容易に作製することができる。
本発明の磁気情報記録媒体は、コア基材の少なくとも片面に、磁気層及び画像情報に応じた電子写真トナー画像(以下単に「トナー画像」という。)を有するオーバーシートが加熱圧着によりラミネートされる工程を少なくとも経て作製されるもので、前記コア基材及びオーバーシートのラミネート面のビカット軟化温度が、トナー材料の溶融温度より低いことを特徴とする。
前記オーバーシートは、磁気層とトナー画像を単一のフィルムに設けたものでも、磁気層とトナー画像をそれぞれ別のフィルムに形成し(以下において、磁気層を有するフィルムを「磁気記録用ラミネートフィルム」といい、トナー画像を有するフィルムを「電子写真用ラミネートフィルム」という。)これらを重ねたものでもよい。電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルムはあらかじめ積層してもよく、また、コア基材に両フィルムを同時に積層してもよい。両フィルムを積層するには熱融着を用いるのが好ましい。
このようなラミネートによって得られた積層体を剥離する工程を経て作製される磁気情報記録媒体(以下、「第2の態様の磁気情報記録媒体」と称す場合がある)は、具体的には、磁気情報記録媒体表面を構成する最外層と、この最外層のコア基材側に設けられる層との界面に少なくとも磁気層が配置された構成を有するものである。
なお、この最外層は、基材とこの基材の少なくとも片面に設けられた熱融着層とを有し、基材と熱融着層との界面が離型性を有するオーバーシートの熱融着層に相当するものである。すなわち、このオーバーシートをコア基材にラミネートした後に、基材と、熱融着層との界面が剥離されることによって第2の態様の磁気情報記録媒体が作製される。
また、最外層と、この最外層のコア基材側に設けられる層との界面には磁気層のみならず電子写真トナー画像が配置されていてもよい。この場合、最外層となる熱融着層は、画像受像層の機能も有するものである。
また、第1の態様および第2の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いられるコア基材のラミネート面にも熱融着層を設けることが好ましく、熱融着層を設ける代りにコア基材に用いる基体フィルムとして熱融着性のものを用いてもよい。
このことから、一般的に用いられているトナー材料を考慮すると、前記コア基材及びオーバーシートのラミネート面、好ましくは熱融着層(又は熱融着性基体フィルム)のビカット軟化温度を、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にすることが好ましい。
前記オーバーシートは、コア基材の上に、電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルムがこの順に重ねることが好ましく、以下ではこの態様のものを中心に説明するが、この態様に限定されるものではない。
磁気記録用ラミネートフィルムに形成する磁気層は、前記フィルムの電子写真用ラミネートフィルムに重ねる面(以下において「重ね面」又は「うら面」という。)に形成しても、重ね面とは反対側の面(以下において「おもて面」という。)に形成してもよいが、おもて面に形成することが好ましい。
図2(B)は、図1(A)の電子写真用ラミネートフィルム30を抜き出した概略断面図であり、トナー画像32が画像情報に応じてそのおもて面に実像で形成されている。
図2(C)は、図1(A)の電子写真用ラミネートフィルム30を抜き出した概略断面図であり、トナー画像32が画像情報に応じてそのうら面に鏡像で形成されている例を示すものである。
オーバーシートをコア基材に加熱圧着させるために、オーバーシートとコア基材のラミネート面に熱融着層を設けたり、基体フィルム自体が熱融着性を有するものを用いることが好ましい。また、オーバーシート及びコア基材のラミネート面のビカット軟化温度が、トナーの溶融温度より低くなるように設定される。
図3は、第1の態様の磁気情報記録媒体の他の例を示す概略斜視図である。図3(A)はコア基材の片側だけにオーバーシートを設けた例を示し、本発明の磁気情報記録媒体100は、オーバーシート50がコア基材20にラミネートされた構造を有している。また、図3(B)はコア基材20の両側にオーバーシート50a、50bを設けた例を示す。さらに、必要に応じて、前記以外のシート、フィルム、層などを設けてもよい。
図5は、第2の態様の磁気情報記録媒体の作製過程の例を示す概略図であり、図5中、101はオーバーシート、102は基体、104は画像受像層(画像受像層の機能を有する熱融着層)、106はトナー画像、108は磁気層、110はコア基材、120は積層体、130は磁気情報記録媒体を表す。
次に、オーバーシート101の画像受像層104が設けられた面(ラミネート面)と、コア基材110の片面(ラミネート面)に重ね合わせて、図5(B)に示すような積層体120を形成した後、不図示の加熱圧着手段によって積層体120の両面から加圧しながら加熱して、オーバーシート101とコア基材110とを加熱圧着する。
続いて、加熱圧着された積層体120の基体102と画像受像層104との界面を剥離することによって、コア基材110の少なくとも片面に画像受像層104が設けられ、コア基材110および画像受像層104の界面に磁気層108およびトナー画像106を有する磁気情報記録媒体130を得ることができる。
(なお、第2の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いられるオーバーシートが磁気記録用ラミネートフィルムと電子写真用ラミネートフィルムの2つのフィルムからなる場合、磁気記録用ラミネートフィルムは、基体と該基体の少なくとも片面に設けられた熱融着層とを含み、基体と熱融着層との界面が離型性を有すること以外の構成や特性などは、第1の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いられる磁気記録用ラミネートフィルムと同様である。
一方、オーバーシートが単一のフィルムからなる第1の態様の磁気情報記録媒体の場合、該オーバーシートのラミネート面が電子写真用ラミネートフィルムのラミネート面(うら面)に相当し、電子写真用ラミネートフィルムのラミネート面に関する事項、表面抵抗率に関する事項、熱融着層、画像受像層、帯電制御層、機能性制御手段、トナー画像の形成、ラミネート方法等はすべて共通に適用可能である。また、オーバーシートに用いる基体フィルムも以下の電子写真用ラミネートフィルムに用いる基体フィルムが同様に用いられ、好ましい基体フィルムも同様である。
また、第2の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いられるオーバーシートが、単一のフィルムからなる場合、ラミネート面には画像受像層の機能も有する熱融着層が設けられること、および、この画像受像層の機能を有する熱融着層と基体との界面が離型性を有すること以外は、第1の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いられる単一のフィルムからなるオーバーシートと同様である。)
電子写真用ラミネートフィルムには、その基体フィルムのラミネート面(うら面)に熱融着層を設けることが好ましく、更に磁気記録用ラミネートフィルムを重ねるおもて面にも熱融着層を設けることが好ましい。また熱融着層を設ける代りに電子写真用ラミネートフィルムに用いる基体フィルムとして熱融着性のものを用いてもよい。
また、トナー画像をおもて面及びうら面のいずれに設ける場合でも、電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルム及びコア基材とをラミネートする際、ラミネート面及び重ね面の温度をトナーの溶融温度より低い温度に加熱しても、確実に両フィルム及びコア基材が熱融着するように、熱融着層(又は熱融着性基体フィルム)のビカット軟化温度が、トナーの溶融温度より低くなるように設定されている。このことから、熱融着層等のビカット軟化温度が、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にあることが好ましい。
また、電子写真用ラミネートフィルムのトナー画像形成面には画像受像層を設けることが好ましく、更に画像受像層が熱融着性を有していることが好ましく、特に画像受像層のビカット軟化温度が、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にあることが好ましい。
更に、電子写真用ラミネートフィルムのトナー画像形成側には、熱融着層及びその上に画像受像層を設けることが好ましい。
ここで、透明性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、本発明においては、少なくとも、電子写真用ラミネートフィルムに形成されたトナー画像が、電子写真用ラミネートフィルムを通して目視できる程度に透明であればよい。本発明における透明性の意味は以下同様である。
また、不透明性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、遮断する性質をいい、本発明においては、少なくとも、形成されたトナー画像が、画像が形成された面と反対側の面からラミネートフィルムを通して目視できない程度に不透明であればよい。本発明における不透明性の意味は以下同様である。
一般に電子写真用に用いられるフィルムは、少なくとも片面の表面抵抗率が108〜1013Ωの範囲であることが必要である。また、表面抵抗率は109〜1011Ωの範囲であることが好ましい。本発明に用いられる電子写真用ラミネートフィルムにおいても、表面抵抗率が前記範囲となるように、後述する方法により調節した。
電子写真用ラミネートフィルムの少なくともトナー画像形成面が前記のごとき表面抵抗率を有することが好ましく、更に両面とも同様な表面抵抗率に制御することが好ましい。
電子写真用ラミネートフィルムの一面に熱融着層や画像受像層が設けられ、反対側の面に帯電制御層が設けられる場合には、熱融着層や画像受像層の表面抵抗率は必ずしも前記範囲内でなくてもよい。前述のように、熱融着層は電子写真用ラミネートフィルムの両面に好ましく形成されるが、この場合、片面の熱融着層の表面抵抗率が前記範囲内にあればよく、両面の熱融着層の表面抵抗率が前記範囲内にあることが好ましい。
特に、電子写真用ラミネートフィルムの両面の表面抵抗率を制御した場合には、画像形成後の該ラミネートフィルムどうしの捌き等の取り扱いや、該コア基材との積層位置決めを、さらに容易により確実に行うことができる。さらに、電子写真用ラミネートフィルムにおいて、前記画像受像層が両面に設けられている場合には、画像を形成させる面を指定する必要がなくなるため、ミスプリントしてフィルムを無駄にすることがなくなり、電子写真用ラミネートフィルムの取り扱いが容易となる。
前記熱融着層のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。少なくともラミネート面に設ける熱融着層は前記のビカット軟化温度を有することが好ましい。
前記ビカット軟化温度が130℃を超えると、後述するラミネート工程において、コア基材に電子写真用ラミネートフィルムを十分密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、前記密着・接着は十分であってもトナー(画像形成材料)又はポリエステル系樹脂を含む層が軟化しすぎてしまい、画像に欠陥(画像流れ)が発生したりしてしまう場合がある。
本発明においては、厚さ2.5mmの試験片を用い、その表面に断面積が1mm2の針状圧子をセットし、この圧子に1kgの荷重を載せ、試験片を加熱する油槽の温度を徐々に上昇させていき、前記圧子が、試験片中に1mm進入したときの油温をビカット軟化温度とした。
なお、熱融着層は後述する機能性制御手段であってもよい。
また、前記ポリエステルの数平均分子量としては、12000〜45000の範囲であることが好ましく、20000〜30000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が12000未満であると、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとのモル比が所望の範囲であっても、樹脂の軟化点が低すぎ常温でも粘性が発現したりする場合がある。数平均分子量が45000を超えると、軟化温度が高くなりすぎ、画像(トナー)の定着性が悪化する。
前記電子写真用ラミネートフィルムには、画像が良好に形成されるように、画像形成面に少なくとも1層以上の画像受像層を設けてもよい。画像受像層用樹脂としては、種々の樹脂が使用可能であるが、画像受像層用樹脂として前記の熱融着層に用いられるポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が同様に用いられ、好ましい樹脂も同様である。そしてこの場合には、画像受像層が熱融着層を兼ねる。画像受像層のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にあることが好ましい。
前記熱融着層及び画像受像層とは別の層として帯電制御層を形成する場合、層形成用樹脂は、熱融着層に用いるポリエステル樹脂を同様に用いることが好ましい。表面抵抗率を制御するための添加剤は、前述のような界面活性剤や導電剤が同様に用いられる。
また、帯電制御層のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にあることが好ましい。
また、フッ素樹脂の例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を挙げることができる。
さらに、前記マット剤の含有量は、前記層形成樹脂に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
また、無機系の材料としては、ゼオライト系、シリカゲル系、ガラス系、リン酸カルシウム系、リン酸ジルコニウム系、ケイ酸塩系、酸化チタン、酸化亜鉛、等が挙げられる。
前記塗工層は、少なくとも層形成用樹脂と各層に応じて添加する添加剤とを有機溶媒、もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライターやサンドミルなどの装置により均一に分散させて塗工液を作製し、該塗工液をそのままの状態で、該ラミネートフィルムの表面へ塗布あるいは含浸させることによって形成することができる。
塗工層を両面に有する場合には、どちらを先に塗工してもよいし、同時に塗工してもよい。
しかしながら、第2の態様の磁気情報記録媒体の作製に用いる単一のフィルム(電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム)や、後述する磁気記録用ラミネートフィルムの塗工層(熱融着層、あるいは、画像受像層の機能を有する熱融着層)の形成に用いる塗工液は、塗工層と、基体との離型性を確保するために良溶媒を用いないことが好ましい。
本発明の磁気情報記録媒体を構成する磁気記録用ラミネートフィルムに用いる基体フィルムは特に透明性を有する必要はないが、画像の状況が把握しやすいので透明性を有するものが好ましく、具体的には電子写真用ラミネートフィルムの説明において挙げた基体フィルムが同様に用いられ、また好ましい樹脂も同様である。
また、磁気記録用ラミネートフィルムの電子写真用ラミネートフィルムとの重ね面は熱融着性を有していることが好ましく、例えば、PETG単体のフィルムを用いることができる。更に、磁気記録用ラミネートフィルムにも電子写真用ラミネートフィルムと同様な熱融着層を設けることもできる。熱融着層(又は熱融着性基体フィルム)のビカット軟化温度は、トナーの溶融温度より低いことが好ましく、このことから、熱融着層等のビカット軟化温度が、70〜130℃の範囲(好ましくは80〜120℃)にあることが好ましい。
磁気記録用ラミネートフィルムの膜厚は50〜300μmが好ましく、75〜125μmがより好ましい。
上記機能性制御手段は、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、及び帯電性を制御する機能から選択される少なくとも1つ以上の機能を有するものであることが好ましく、具体的には、前記各フィルム又はオーバーシートの表面に対し、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、導電性、さらに好ましくは耐湿性、耐熱性、撥水性、耐磨耗性及び耐傷性などの様々な機能を付加及び/又は向上させるために設けられる。これにより、本発明における電子写真用ラミネートフィルム、磁気記録用ラミネートフィルム及びオーバーシートは、様々な使用条件に対して耐性を有することができる。
光沢性の制御は、電子写真用ラミネートフィルム及び磁気記録用ラミネートフィルムの表面に形成された画像の「ギラツキ」を抑制し、どの角度から見ても視認性が向上するように行われる。光沢性を制御する機能性制御手段としては、例えば、前記各フィルムの表面に設けられた光沢制御層から構成されてもよいし、前記各フィルムの表面に、直接光沢性を制御する機械的処理を施すことで前記各フィルムが光沢制御機能を有するように設けられてもよい。
この界面に離型性を付与するためには、基体の少なくとも熱融着層側表面、および/または、熱融着層の少なくとも基体側表面に、上述したような離型性樹脂が含まれていてもよいし、基体表面を反応性シラン化合物で表面処理してもよい。また、基体と、熱融着層との界面に、上述したような離型性を有する材料を用いた離型層を設けてもよい。なお、この離型層は、基体と熱融着層との界面の剥離において、基体側に確実に残留するように、基体表面に対しては接着性を有することが好ましい。
本発明に用いられるコア基材の基体フィルムとしては、厚さ50〜5000μmの範囲のプラスチックからなるPETGフィルムや、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムを用いることが好ましく、厚さ100〜1000μmの範囲のPETGフィルムや、PVCフィルムを用いることがより好ましい。
前記ビカット軟化温度が130℃を超えると、ラミネート工程において、電子写真用ラミネートフィルムにコア基材を十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、前記密着・接着は十分であってもコア基材が軟化しすぎてしまい、情報記録媒体とした場合に、カール・波打ち・軟化樹脂の流れによる変形や、画像歪みが発生してしまう場合がある。
さらに、磁気情報記録媒体として使用上問題がなければ、半導体回路をコア基材の内部ではなく、表面に露出した状態で配置することも可能である。
次に、以上の方法で形成した本発明に用いられる電子写真用ラミネートフィルム(未印刷)に、電子写真方式によって画像を形成する方法を以下に述べる。
電子写真方式による未印刷ラミネートフィルムへの画像形成(画像形成工程)では、まず電子写真用感光体(潜像担持体)の表面に均一に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次に、前記感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される:現像工程)。さらに、形成されたトナー画像を、未印刷ラミネートフィルム表面の画像受像層が形成された面に転写し(転写工程)、最後に熱や圧力などによりトナーが画像受像層表面に定着されて(定着工程)、画像記録体ができあがる。ここでいう画像記録体とは、本発明における電子写真用ラミネートフィルム(印刷済)である。
また、前記トナーの溶融温度は、80〜150℃の範囲が好ましく、90〜125℃の範囲がより好ましい。
本発明における溶融温度は、フローテスターCFT−500F型(島津製作所製)を用いて、温度−見かけ粘度曲線を求め、該粘度曲線上で、溶融粘度が1×104 Pa・sのときの温度を溶融温度とした。溶融粘度の測定条件は以下の通りである。
溶融粘度の測定条件:昇温速度 3.0 ℃/分、開始温度 80.0 ℃、到達温度 150.0 ℃、測定間隔 3.0 秒、予熱時間 300.0 秒、シリンダ圧力 10.0 kgf/cm2(0.98MPa)、ダイ穴径 1.0 mm、ダイ長さ 1.0 mm
そこで、既述の如く、本発明では、少なくとも前記のごときポリエステル系樹脂を含む画像受像層を該ラミネートフィルムのうら面又はおもて面に形成することが好ましく、また、ポリエステル系樹脂以外に熱溶融性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などが好ましく含まれ、添加剤として離型剤などを好ましくは含有させることにより、定着工程における定着部材への付着防止を図ることができ、加えて、帯電制御剤の添加により電子写真方式における転写性能維持はもとより、排紙トレイ収容性及び堆積フィルムの捌き性能、さらには次工程でのコア基材との積層位置決め精度を向上させることができる。
−第1の態様の磁気情報記録媒体の作製方法−
次に、前記トナー画像が設けられた電子写真用ラミネートフィルムと、コア基材と、磁気記録用ラミネートフィルムとを重ね合わせ加熱圧着して、第1の態様の磁気情報記録媒体を作製する方法について説明する。
前記オーバーシートが電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルムの2枚のフィルムからなる場合には、コア基材にトナー画像が設けられた電子写真用ラミネートフィルムのラミネート面を重ね合わせ、更に電子写真用ラミネートフィルムの重ね面に磁気記録用ラミネートフィルムの重ね面を重ね合わせ、全体を熱圧着して、コア基材、電子写真用ラミネートフィルム、磁気記録用ラミネートフィルムどうしを熱融着で接合することにより作製され、その際、電子写真用ラミネートフィルムのうら面及びおもて面のいずれの温度も、トナー材料の溶融温度より低い温度とする。
電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルムはあらかじめ熱融着等により積層しておいてもよいが、工程の簡素化の点から、コア基材、電子写真用ラミネートフィルム及び磁気記録用ラミネートフィルムを同時にラミネートする方法が好ましい。
次に、第2の態様の磁気情報記録媒体を作製する方法について説明する。
第2の態様の磁気情報記録媒体は、第1の態様の磁気情報記録媒体と同様の層構成を有する積層体を作製した後、剥離工程を経て得られるものである。具体的には、積層体の作製に際して、コア基材のラミネート面に、最後にラミネートされるオーバーシートとして、基材とこの基材の少なくとも片面に設けられた熱融着層とを有し、基材と熱融着層との界面が離型性を有し、少なくとも磁気層が熱融着層表面に形成されたものを用いる。そして、このコア基材に最後にラミネートされるオーバーシートを重ねたものを加熱圧着によりラミネートする。続いて、積層体を構成する基材と熱融着層との界面を剥離する。
なお、「コア基材のラミネート面に、最後にラミネートされる」とは、コア基材の一方の面における場合を意味し、もう一方の面については、必要に応じて任意のタイミングでオーバーシートをラミネートすることができる。また、電子写真用ラミネートフィルムと磁気記録用ラミネートフィルムとを予め積層したものをコア基材に対して一括してラミネートする場合は、コア基材に対して最も外側に位置するオーバーシートを意味する。
ここで、最後にラミネートされるオーバーシートを構成する熱融着層は、画像受像層の機能を有し、ラミネート前の熱融着層表面に磁気層および電子写真トナー画像が設けられていてもよい。
また、剥離工程は、特に限定されず、例えば、手作業で剥離してもよく、剥離爪などを用いて機械的に実施してもよい。なお、剥離工程を経て得られた媒体中に個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定サイズの複数の磁気情報記録媒体を得る。
しかしながら、第2の態様の磁気情報記録媒体は、熱融着層と基体との界面を剥離して作製されるため、積層体の表面を構成する部材である基体の表面に窪み跡が発生していたとしても、得られた磁気情報記録媒体の熱融着層(あるいは、画像受像層として機能する熱融着層)側の面には、このような窪み跡が残ることがない。
なお、このような観点からは熱融着層(あるいは、画像受像層として機能する熱融着層)の厚みは10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましいが、磁気層を保護するという観点からは、7μm以上であることがより好ましい。
−第1の態様の磁気情報記録媒体−
(参考例A1)
本発明における電子写真用ラミネートフィルム(ラミネートフィルム1)を製造した。以下、その製造方法を工程ごとに説明する。
<磁気記録用ラミネートフィルムの作製>
PETG単体構造のA4サイズの透明シート(三菱樹脂社製:ディアフィクスPG−BGオーバーフィルム、厚み:100μm、PETG樹脂層のビカット軟化温度:85℃)に、黒磁気テープ(ダイニック製:TSP407NR)を熱転写し、磁気テープが貼付された磁気記録用ラミネートフィルム1を作製した。
(熱融着層兼画像受像層用塗工液の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン−200、固形分30質量%、ビカット軟化温度:67℃)10部、マット剤として架橋型メタクリル酸エステル共重合物微粒子(綜研化学社製:MP−1000、体積平均粒子径:10μm)0.05部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学社製:Sumisob200)0.5部、酸化防止剤として(堺化学工業(株)社製:Chelex−500)0.1部、更に界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)0.2部、更に難燃剤としてパークロロペンタシクロデカンを0.6部とを、トルエン10部とメチルエチルケトン30部との混合溶媒中に添加して十分撹拌し、線状飽和ポリエステル樹脂からなる、熱融着層塗工液を調製した。
表裏がPETG層でコアがPETである透明フィルム(DuPont社製:メリネックス342、表面PETGのビカット軟化温度:85℃、厚さ:100μm)を基体フィルム1とした。基体フィルム1に、前記熱融着層塗工液を、その表裏にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させ、膜厚2.0μmの熱融着層兼画像受像層を形成した。熱融着層兼画像受像層を形成したフィルムの表面抵抗率は1.0×1010Ωであった。これをA4サイズにカットして使用した。
前記の熱融着層兼画像受像層を形成したフィルムの表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機DocuColor1250改造機(定着時の前記フィルムの表面温度が、95〜100℃の範囲になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像を印字し、該鏡像画像が形成された電子写真用ラミネートフィルム1を作製した。ここで用いたトナー(M、C、Y、K)の溶融温度はいずれも130℃であった。
両面がPETG樹脂層で内部がA−PETである3層構造のA4サイズの白色シート(三菱樹脂社製:ディアクレールW2012、総厚み:500μm、PETG樹脂層のビカット軟化温度:85℃)をコア基材1とし、このコア基材1の表裏に、前記電子写真用ラミネートフィルム1を各フィルムの四隅の位置が合うようにして画像形成面(ラミネート面)で重ね合わせ、更に、前記磁気記録用ラミネートフィルム1と、磁気テープを貼付しなかった磁気記録用ラミネートフィルム1の四隅の位置が合うようにして磁気テープのない面(ラミネート面)で重ね合わせた。
前記カード1作製のラミネート工程において、電子写真用ラミネートフィルム1と、磁気記録用ラミネートフィルム1と、コア基材1とのラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)を、各々下記基準にて評価し、カード(磁気情報記録媒体)としての性能を確認した。その結果を表1に示す。
ラミネート性に関しては、前記ラミネート後のカード1について、基材1と電子写真用ラミネートフィルム1と、磁気記録用ラミネートフィルム1とのそれぞれの界面をカッターナイフで引き剥がし、その部分を持って手でひき剥したときの状況により、以下の基準により評価した。
◎:まったく剥れない。
○:剥れるがすぐに電子写真用ラミネートフィルム1、磁気記録用ライネートフィルム1がちぎれてしまう。
△:電子写真用ラミネートフィルム1は剥れるが剥れた面の画像が乱れ、偽造が困難だと思われる。
×:前記以外で明らかに電子写真用ラミネートフィルム1、磁気記録用ラミネートフィルム1が容易に剥がれる。
ラミネート画質に関しては、前記ラミネート後のカード1について、電子写真用ラミネートフィルム2の画質と、カード1の画質とを比較して、目視により以下の基準で評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
○:電子写真用ラミネートフィルム1の画質と、カード1の画質がほぼ同等で、トナーが流動することなく画質の劣化が見られない。
×:電子写真用ラミネートフィルム1の画質に比べて、カード1の画質はトナーが流動していて画質が著しく劣っている。
ラミネート品質に関しては、前記ラミネート後のカード1について、目視により気泡混入の有無を確認し、以下の基準で評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:気泡の混入がまったくない。
○:気泡の混入がほとんど目立たない。
×:気泡の混入が目視で容易に分かり、ラミネート品質が著しく悪い。
参考例A1の鏡像画像を、反転しない通常の画像とし、非画像面をラミネート面とした以外は参考例A1と同様にして、図1(B)の構造を有するカード(磁気情報記録媒体)2を得た。
このカード(磁気情報記録媒体)2について参考例A1と同様にしてラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)について評価した。
参考例A1と同様にして電子写真用ラミネートフィルム1を作製し、その後のラミネートで前記真空引きをしないでプレス時間300sec、圧力20kgf/cm2(1.96MPa)の条件にしたこと以外は参考例A1と同様にして、図1(B)に相当する構造のカード(磁気情報記録媒体)3を得た。
このカード(磁気情報記録媒体)3について参考例A1と同様にしてラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)について評価した。
参考例A1と同様にして電子写真用ラミネートフィルム1を作製し、その後のラミネートで前記真空引きをしないでプレス時間300sec、圧力20kgf/cm2(1.96MPa)の条件にしたこと以外は参考例A2と同様にして、図1(B)に相当する構造のカード(磁気情報記録媒体)4を得た。
このカード(磁気情報記録媒体)4について参考例A1と同様にしてラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)について評価した。
以下のようにして、図3(A)で示す構造のカード(磁気情報記録媒体)を作製した。
<オーバーシートの作製>
表裏がPETG層でコアがPETである透明フィルム(DuPont社製:メリネックス342、表面PETGのビカット軟化温度:85℃、厚さ:100μm)を基体フィルムとした。基体フィルムに、参考例A1で作製した熱融着層塗工液を、その表裏にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させ、膜厚2.0μmの熱融着層兼画像受像層を形成した。熱融着層兼画像受像層を形成したフィルムの表面抵抗率は1.0×1010であった。これをA4サイズにカットして使用した。
さらに、一方の面に黒磁気テープ(ダイニック製:TSP407NR)を熱転写し、磁気テープが貼付されたオーバーシートを作製した。
このオーバーシートの前記磁気テープの無い面側に、参考例A1と同様にして鏡像画像のトナー像を形成し電子写真用ラミネートフィルム2とした。
<コア基材の準備と、カード(磁気情報記録媒体)の作製>
両面がPETG樹脂層で内部がPCである3層構造のA4サイズの白色シート(三菱樹脂社製:ディアフレックスPG−WHI、総厚み:550μm、PETG樹脂層のビカット軟化温度:85℃)をコア基材2とし、このコア基材の表に、前記電子写真用ラミネートフィルム2の四隅の位置が合うようにしてトナー画像形成面(ラミネート面)で重ね合わせた。そして参考例A1と同じ条件でラミネートし、図3(A)で示す構造のカード(磁気情報記録媒体)を得た。
このカード(磁気情報記録媒体)5について参考例A1と同様にしてラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)について評価した。
<オーバーシートの作製>
表裏がPETG層でコアがPETである透明フィルム(DuPont社製:メリネックス342、表裏面PETGのビカット軟化温度:85℃、厚さ:100μm)を基体フィルムとした。基体フィルムの表面抵抗率は1.0×1016Ωであった。これをA4サイズにカットして使用した。
さらに、一方の面に黒磁気テープ(ダイニック製:TSP407NR)を熱転写し、磁気テープが貼付されたオーバーシートを作製した。
このオーバーシートの前記磁気テープの無い面側に、参考例A1と同様にして鏡像画像のトナー像を形成し電子写真用ラミネートフィルム3とした。
<コア基材の準備と、カード(磁気情報記録媒体)の作製>
A4サイズの白色塩化ビニルシート(太平化学製品社製:エビロンHS727、総厚み:500μm、ビカット軟化温度150℃)をカード用コア基材シート3とし、前記電子写真用ラミネートフィルムの四隅の位置が合うようにしてトナー画像形成面(ラミネート面)で重ね合わせた。
そして前記ヒートプレス機を大気圧下で用いて、上下のプレス板の温度をそれぞれ上/下=160/160℃(プレス温度)とし、プレス時間45sec、圧力10kgf/cm2(0.98MPa)の条件でラミネートし、図3(A)で示す構造のカード(磁気情報記録媒体)6を得た。このカード(磁気情報記録媒体)6について参考例A1と同様にしてラミネート性(剥離強度)、ラミネート画質(トナー流動)、ラミネート品質(気泡混入)について評価した。
参考例A1〜参考例A5、比較例A1の評価結果を表1にまとめて記載した。
(実施例B1)
電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルムを以下のように製造した。以下、これを用いた磁気情報記録媒体の製造方法を工程ごとに説明する。
(非ラミネート層塗工液A−1の調製)
ポリエステル樹脂(綜研化学社製、フォレット4M、固形分30質量%)20部と架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX300、体積平均粒径R8:3μm)0.6部と帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し非ラミネート層塗工液A−1を調製した。
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌し離型層塗工液1を調製した。
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200、ビカット軟化温度:67℃)20部と架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX−1500、体積平均粒径15μm)1部と帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.6部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し画像受像層塗工液B−1を調製した。
基体としてPETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:100μm)を用い、この基体の片面に前記非ラミネート層塗工液A−1をワイヤーバーを用いて塗布し、110℃で30秒乾燥させ、膜厚0.15μmの基体裏面側に非ラミネート層を形成した。表面抵抗率は8.2×109Ωであった。この基体のもう一方の面(未処理面)に、前記離型層塗工液1をワイヤーバーを用いて同様に塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚0.5μmの離型層を形成した。この離型層上に、さらに画像受像層塗工液B−1をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で60秒乾燥させ、膜厚10μmの画像受像層(画像受像層の機能を有する熱融着層)を形成し、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1を作製した。この面の表面抵抗率は1.7×1010Ωであった。
−磁気層の形成−
得られた電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1の画像受像層側の表面の所定の位置に、210×7.3mmサイズの黒磁気テープ(ダイニック製:TSP407NR)を熱転写し、その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットした。
続いて、黒磁気テープが熱転写された画像受像層の表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機DocuColor1256改造機(定着時の前記フィルムの表面温度が、95〜100℃の範囲になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像を、黒磁気テープが形成された部分と重複しないように印字し、該鏡像画像が形成した作製した。ここで用いたトナー(M、C、Y、K)の溶融温度はいずれも130℃であった。
出力された電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム上の画質を、目視にて以下のように評価した。
○:問題ない場合
△:画質欠陥が僅かに認められるが問題とならない場合。
×:画質欠陥が認められ問題となる場合
両面がPETG樹脂層で内部がA−PETである3層構造のA4サイズの白色シート(三菱樹脂社製:ディアクレールW2012、総厚み:500μm、PETG樹脂層のビカット軟化温度:85℃)をコア基材1とし、このコア基材1の片面に、磁気層およびトナー画像が形成された電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1を四隅の位置が合うようにして画像形成面で重ね合わせた。
前記カード1作製のラミネート工程において、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1と、コア基材1との画像定着強度(剥離強度)、画像品質(トナー流動、気泡混入)を、各々下記基準にて評価し、カード(磁気情報記録媒体)としての性能を確認した。その結果を表2に示す。
画像定着(剥離強度)に関しては、カード1の表面に転写された画像部に、市販の18mm幅セロハン粘着テープ(ニチバン社製、セロハンテープ)を700g/cmの線圧で貼り付け、10mm/secの速度で剥離した時の、画像の剥がれを以下の基準により評価した。
◎:まったく剥れない。
×:少しでも剥がれが認識された場合。
ラミネート画質に関しては、前記ラミネートおよび剥離処理によって得られたカード1について、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1の画質と、カード1の画質とを比較して、目視により以下の基準で評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
○:電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1の画質と、カード1の画質がほぼ同等で、トナーが流動することなく画質の劣化が見られない。
×:電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム1の画質に比べて、カード1の画質はトナーが流動していて画質が著しく劣っている。
ラミネート品質に関しては、前記ラミネートおよび剥離処理によって得られたカード1について、目視により気泡混入の有無を確認し、以下の基準で評価した。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:気泡の混入がまったくない。
○:気泡の混入がほとんど目立たない。
×:気泡の混入が目視で容易に分かり、ラミネート品質が著しく悪い。
磁気出力(情報読み取り)の評価は、磁気記録したカード1を磁気記録リーダー装置(NECトーキン社製、MCT−6500/MCZ−300)を用い、読み取りセンサーを、カード1の磁気層が形成された面(画像受像層側の面で、磁気層が設けられた部分)上に接触させて記録の出力状況を確認することにより行った。評価基準は以下の通りである。
◎:繰り返し何度行っても、まったく問題なく信号情報を読み取れた。
○:95%以上信号の読み取りができた。
△:80%以上の信号の読み取りができた。
×:上記以外。
(画像受像層塗工液B−2の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン885、ビカット軟化温度:79℃)20部と架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX−500、体積平均粒径5μm)1部と帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.4部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し画像受像層塗工液B−2を調製した。
画像受像層塗工液B−2を用いて、膜厚2μmの画像受像層(画像受像層の機能を有する熱融着層)を形成した以外は、実施例B1と同様にして電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム2を作製した。画像受像層が形成された面の表面抵抗率は4.0×1011Ωであった。
また、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム2を用いた以外は実施例B1と同じにして、カード(磁気情報記録媒体)2を作製した。
このカード(磁気情報記録媒体)2について実施例B1と同様にして画像定着性(剥離強度)、画質(トナー流動、気泡混入)、磁気出力評価について評価した。結果を表2に記した。
(画像受像層塗工液B−3の調製)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン290、ビカット軟化温度:72℃)20部と架橋型アクリル微粒子(綜研化学社製、MX−1000、体積平均粒径10μm)1部と帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.3部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分撹拌し画像受像層塗工液B−3を調製した。
画像受像層塗工液B−3を用いて、膜厚5μmの画像受像層(画像受像層の機能を有する熱融着層)を形成した以外は、実施例B1と同様にして電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム3を作製した。画像受像層が形成された面の表面抵抗率は1.0×1013Ωであった。
また、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルム3を用いた以外は実施例B1と同じにして、カード(磁気情報記録媒体)3を作製した。
このカード(磁気情報記録媒体)3について実施例B1と同様にして画像定着性(剥離強度)、画質(トナー流動、気泡混入)、磁気出力評価について評価した。結果を表2に記した。
実施例B1で用いた画像受像層塗工液B−1液において、帯電制御剤を添加せずに画像受像層を作製した以外は同様にして、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルムを作製した。このフィルム表面の表面抵抗率は7.8×1016Ωであった。
続いて、この電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルムを用いた以外は実施例B1と同じにしてカード(磁気情報記録媒体)4を作製したが、フィルム上に作製した画像の品質が悪く、カードの画質が(流動、気泡では無く)悪かった。
実施例B1において、画像受像層の厚みを13μmとして作製した以外は同様にして、電子写真用兼磁気記録用ラミネートフィルムを作製した。このフィルム表面の表面抵抗率は3.8×1011Ωであった。
続いて、この電子写真用ラミネートフィルムを用いた以外は実施例B1と同じにしてカード(磁気情報記録媒体)5を作製したが、磁気記録の情報読み出しが50%ほどエラーとなり、NGとなった。
30、30a、30b 電子写真用ラミネートフィルム
32 トナー画像
40、40a、40b 磁気記録用ラミネートフィルム
42 磁気層
50、50a、50b オーバーシート
100 磁気情報記録媒体
101 オーバーシート
102 基体
104 画像受像層
106 トナー画像
108 磁気層
110 コア基材
120 積層体
130 磁気情報記録媒体
Claims (2)
- 磁気層及び電子写真トナー画像を有するオーバーシートであって、前記オーバーシートが基材と該基材の片面に設けられた熱融着層とを有し、前記基材と前記熱融着層との界面が離型性を有し、少なくとも前記磁気層が前記熱融着層表面に形成されており、オーバーシートのラミネート面のビカット軟化温度が前記電子写真トナー画像を形成するトナー材料の溶融温度より低いオーバーシートを準備する工程、
そのラミネート面のビカット軟化温度がトナー材料の溶融温度より低いコア基材を準備する工程、
前記コア基材にオーバーシートを重ねたものを加熱圧着によりラミネートする工程、及び前記オーバーシートの基材を前記熱融着層との界面で剥離する工程
を有する磁気情報記録媒体の製造方法であって、
前記ラミネート工程においてオーバーシート及びコア基材のラミネート面の温度をトナーの溶融温度より低くかつビカット軟化温度以上の温度に加熱することを特徴とする磁気情報記録媒体の製造方法。 - 前記熱融着層が、画像受像層の機能を有し、ラミネート前の前記熱融着層表面に前記磁気層および前記電子写真トナー画像が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気情報記録媒体の製造方法。
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