JP5832221B2 - 釣り竿 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維に合成樹脂を含浸させて形成したプリプレグ(以下、プリプレグと称する)を略台形に裁断しメインパターンとして芯金に巻回積層して筒状に作成される釣竿用の竿体やゴルフクラブに使用される管状体に関する。
管状体として釣り竿用の竿体について説明すると、複数プライ分の幅を備えたメインパターンを芯金に巻回していく場合に、特許文献1における図5(a)で示すように、先行して芯金に巻き付けられた巻始辺に重ねるように、メインパターンの残りの部分を重ねて巻き付けていく。
その場合に、巻始辺の存在によって、その部分に段差ができ、何層も重ねて巻いた場合に、段差部分(技術用語としてスパインと称する)は解消せずに残っている(特許文献1参照)。
特開2009−268425号公報(公報段落番号〔0024〕、図6)
上記した段差部分によって形成された重なり部分は、特許文献1の図5(a)で示すように、巻始辺が竿軸線に平行な直線状(円周方向において同一位相位置)に形成されていた。
そうすると、重なり部分を境にして剛性が大きく変化することとなり、その大きな剛性を変化させる部分が竿軸線に沿って直線状に形成されているので、中間竿等の釣竿用竿体において、曲げ方向によって剛性が異なることが起こっていた。
例えば、重なり部分を上下にする状態で釣りを行う場合と重なり部分を左右にした状態で釣りを行う場合とでは、竿の曲具合が異なり、竿の姿勢が一定しない面があった。また、釣竿を振りかぶって仕掛けを投入する場合に、前方に仕掛けを投げ出す積りであっても、竿体は勝手に横方向にも曲りを生じて、横前方に仕掛けを投げ出してしまうということも生じていた。
魚を釣り上げる場合にも、不意に竿体が横方向への振れを起こして、魚の取り込みに難儀することもあった。
また、ゴルフクラブ等を振り出す際に振れを生ずるといった問題もあった。
本発明の目的は、重なり部分の配置に工夫を凝らすことによって、上記した不具合を解消し、釣り竿やゴルフクラブ等を振り出した際のコントロールと、引き上げ振り上げる際の振れを抑制する管状体を提供する点にある。
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、前記メインパターンの巻始辺が、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置され、かつ、前記メインパターンの巻終辺が、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置され、管状体の内周面に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用〕
巻始辺を螺旋状に形成した。管状体の軸線に直交する断面を見ると、図4に示すように、強化繊維を有する層の段差部による重なり部分が形成されてはいる。
しかし、管状体における先側から元側に掛けての複数箇所での重なり部分は、図4(a)〜(d)に示すように、円周方向に分散した状態で形成されている。
従って、管状体として偏肉状態が解消され周方向位置での剛性の変化が抑制されることとなった。
〔効果〕
巻始辺を螺旋状に芯金に巻き付けていくという工夫だけで、剛性の偏りを排した使い易い管状体を提供することができた。
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記メインパターンは、複数層に分けて裁断されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
巻始辺を螺旋状に形成したことによって、外側に位置する層において巻始辺に重なる部分が円周方向の同一位相に偏ることがなく、複数層のものにおいても剛性の偏りを排することができる。
しかも、積層数の多い管状体においては、メインパターンを複数に分けて裁断する場合があり、剛性と強度の改善が可能になる。
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、化繊維を揃えたプリプレグのメインパターンを芯金に巻回積層して筒状に作成される管状体の製造方法であって、
化繊維に対して前記巻始辺を平行に裁断した前記メインパターンを、前記巻始辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、かつ、前記巻終辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、前記芯金に巻き付けて、更に、管状体の内周面に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してあり、前記強化繊維が前記巻始辺に沿って軸線に対して螺旋状を呈するように、管状体を形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
巻始辺を螺旋状に巻き付けていく方法として、巻始辺を芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、更に、前記強化繊維が前記巻始辺に沿って軸線に対して螺旋状を呈するように、その芯金に巻き付けていくことによって達成しており、芯金にメインパターンを巻き付けていく従来の製造方法を踏襲しながら、新たな技術の向上を図ったものである(図3の(a)を参照)。
しかも、メインパターン裁断形状としては、巻始辺を強化繊維に対して平行に配置したものに維持しているので、従来とメインパターンの形状は同一のものであるので、竿の調子等が実害ない程度に維持されたものとなる。
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、化繊維に対して前記巻始辺を傾斜する状態に裁断した前記メインパターンを、前記巻始辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、かつ、前記巻終辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、前記芯金に巻き付けて、前記メインパターンの巻始辺と巻終辺とが、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置し、管状体の内周面に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してあり、更に、前記強化繊維が前記軸線に平行に配置されるように、管状体を形成する
点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
巻始辺を螺旋状に巻き付けていく方法として、巻始辺を略軸方向に配置した強化繊維に対して傾斜させると言うプリプレグの台形状の形状に変形を加える工夫を凝らすことによって、スパインの影響を抑制することができる。
しかも、強化繊維の引き揃え方向をより芯金の軸線に沿わすことができ、竿の調子強度を最適な状態とすることできる。(図7の(a)を参照)。
図1は、ヘラ竿を示す全体側面図である。 図2は、第1実施形態のメインパターンの形状と芯金とを示す簡略構成図である。 図3(a)は、略軸方向強化繊維に平行なメインパターンの巻始辺を角度αだけ傾斜させた状態で芯金に巻き付ける前の状態を示す構成図、図3(b)は、メインパターンの巻始辺の一部を芯金に巻き付けた状態を示す構成図、図3(c)は、メインパターンの竿先側辺を1プライ分だけ芯金に巻き付けた状態を示す構成図、図3(d)は、メインパターンを芯金に巻き付け終えた状態を示す構成図である。 図4(a)は、図3におけるI―I断面図、図4(b)は、図3におけるII―II断面図、図4(c)は、図3におけるIII―III断面図、図4(d)は、図3におけるIV―IV断面図である。 図5は、メインパターンの竿先側辺を1プライ分だけ芯金に巻き付けた状態を示す斜視図である。 図6は、巻始辺が螺旋状を呈することを示す斜視図である。 図7(a)は、巻始辺を軸方向強化繊維に対して角度αだけ傾斜させた状態で裁断したメインパターンについて、芯金に巻き付ける前の状態を示す構成図、図7(b)は、メインパターンの竿先側辺を1プライ分だけ芯金に巻き付けた状態を示す構成図である。 図8は、巻始辺を基準線に対して角度αだけ逆方向に傾斜させた別実施例を示す構成図である。
〔第1実施形態〕
ヘラ竿を参照して説明する。図1に示すように、釣り糸を括り付けるリリアン1Aを備えた穂先竿1、二番竿2、三番竿3等の中間竿、紡錘型の握り部4Aを備えている手元側竿4を備えて、ヘラ竿Hを構成している。穂先竿1、中間竿、手元側竿4等の釣り竿用竿体を、管状体の一例として示している。
各竿1〜4については、次のように構成される。図2に示すように、プリプレグからなるメインパターン5を後記する芯金6に巻回して筒状の竿素材を形成し、この竿素材に仕上げ加工等を施して各竿1〜4を構成する。竿1〜4の竿先側と竿元側とに、補強パターン7で補強効果を図ってもよい。
メインパターン5は、竿の軸線方向に沿って引き揃えた強化繊維fにマトリックス樹脂を含浸させて、板状に形成したものである。
プリプレグを構成する強化繊維fとしては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
ここでは、中間竿について説明する。メインパターン5は、図2に示すように、台形状のものであり、芯金6に最初に巻き付けられる巻始辺5Aと、最後に巻き付けられる巻終辺5Bとを芯金6に沿った長手方向に延出し、巻始辺5Aに直交する先側辺としての竿先側辺5Cと元側辺としての竿元側辺5Dとを備えて構成されている。巻終辺5Bは巻始辺5Aに対して角度βの傾斜角を持って斜辺に形成されている。また、巻始辺5Aは、略軸方向に引き揃えられた強化繊維fと平行に裁断されている。
ここで使用するメインパターン5は、巻始辺5Aに対して竿先側辺5Cと竿元側辺5Dとが直交する状態に裁断され、かつ、巻終辺5Bは巻始辺5Aに対して角度βの傾斜角を持って斜辺に形成されている、従来と同様のシートである。角度βとしては、竿元側辺5Dが竿先側辺5Cに対して1プライ分長くなるように設定されている。なお、1プライ以上とすることもある。
竿先側辺5Cから竿元側辺5Bまでの長さL1は中間竿を作成するに十分な長さである略0.7m〜1.2mが採用される。これに対して、竿先側辺5Cの長さL2は芯金6の所定位置に3回巻き付けられる長さに裁断されている。つまり、3プライ分の長さがある。一方、竿元側辺5Dの長さL3は、竿先側辺5Cより長く、芯金6の元側部分に4回以上だけ巻き付けられる長さに裁断されている。つまり、4プライ分以上の長さがある。このように、竿元側辺5Dの方が、プライ数が多いのは、元側の方が手元側に近く曲げ応力等が大きく作用し、次の大径側竿との接続部位となるからである。
そして、このように裁断されたメインパターン5を、図3に示すように、内側層の巻始辺5Aが芯金6の軸線Xに対して傾斜角αで傾斜する状態に回転させた状態で芯金6に巻き付ける。図2及び図3に示すように、巻始辺5Aと竿元側辺5Dとの交点位置eは、竿軸線(芯金軸線でもある)Xに平行な基準線Yより巻始辺5Aの傾斜分だけ離間しており、その離間長さL4は、芯金6に巻き付ける際の1プライ分の長さに相当するものである。
以上のところから、図3に示すように、巻始辺5Aと基準線Yとの傾斜角αは、tanα=L4/L1で表わされる。このαは、ヘラ竿の場合には、0.8°〜1.3°の間の数値が採用される。
以上のような構成により、芯金6に巻回して筒状に形成された中間竿における巻始辺5Aは、図5、図6に示すように、中間竿の内周面に沿って螺旋線となっている。なお、外径の大きな竿の場合は、傾斜角αは径の大きさに応じて大きくなる。
次に、図2、3に示すように、芯金6を準備する。芯金6は、耐熱、耐腐食性のニッケル・モリブデン合金や表面焼入れ鋼(S45C)等に金属メッキ等を施して形成された棒状体である。先端から元部に向かって管状体に対応する長さL1よりも若干長い長さを有し元部端に至るまで略一定の極小テーパ率を有する外径Dを呈し、元部端は大径部に形成してある。
元部端大径部の外径Dは略一定に形成されており、ヘラ竿等では、先端から元端に向けて略1.0/1000〜3/1000mmのテーパ率が採用される。
上記した芯金6にメインパターン5を巻回して、中間竿を成形する。
図3(a)に示すように、芯金6にメインパターン5を巻き付ける際に、芯金6の軸線Xに対して巻始辺5Aを傾斜角αだけ傾斜させて、竿元側が芯金6より離れる状態で巻き付ける。
そうすると、図3(b)(c)に示すように、巻始辺5Aが芯金6に対して斜めに向かう姿勢で、メインパターン5が巻き付けられるので、図3(d)及び、図5に示すように、内側層の巻始辺5Aが斜めの点線で示される。このことは、つまり、図6においても示すように、巻始辺5Aが螺旋を描く状態で巻き付けられたことを示している。
巻始辺5Aが螺旋状を描く点を考察してみると、前記したように、メインパターン5が、傾斜角αだけ傾斜する状態、つまり、巻始辺5Aと竿元側辺5Dとの交点位置eが、竿軸線(芯金軸線でもある)Xに平行な基準線Yより巻始辺5Aの傾斜分だけ離間しており、その離間長さL4は、芯金6に巻き付ける際の1プライ分の長さに相当するだけ離間している点については先にも説明した。このことは、図3(d)および図4に示すように、竿軸線Xの軸線方向における4箇所において管状体の断面を検証してみると、図3(d)及び図4(b)で示すII―II断面において切断すると、図3(d)及び図4(a)で示すI―I断面の巻始点aから、円周方向に120°離れた図3(d)及び図4(b)で示すII―II断面の巻始点bにおける位置で巻始辺5Aの位置を確認できる。
同様の手順で、図3(d)及び図4(c)で示すIII―III断面において切断すると、図3(d)及び図4(b)で示す内側層のII―II断面の巻始点bから円周方向に120°離れた図3(d)及び図4(c)で示す巻始点cにおける位置で巻始辺5Aの位置を確認できる。
同様の手順で、図3(d)及び図4(d)で示すように、IV―IV断面において切断すると、図3(d)及び図4(c)で示す内側層のIII―III断面の巻始点cから円周方向に120°離れた図3(d)及び図4(d)で示す巻始点dにおける位置で巻始辺5Aの位置を確認できる。丁度、元の巻始点aと同じ位置まで戻ったことになり、1プライだけ巻き付けられたことが分かる。
一方、外側層における巻終辺5Bについて考察してみると、管状体の元部端の巻終辺5Bは巻始辺5Aに対して1プライ分以上だけ傾斜する状態に形成されており、更に、前記した傾斜角αで芯金6にメインパターン5が巻回されるので、巻終辺5Bと竿元側辺5Dとの交点位置gは、基準線Yより2プライ分以上離間することとなる。
実際に図3(d)においては、巻終辺5Bと竿元側辺5Dとの交点位置gは、基準線Yより略3プライ分離間するように描かれている。
したがって、管状体に形成された状態では、外側層における巻終辺5Bは図3(d)で示すように3本の傾斜線が表出する螺旋状を呈するものとなる。なお、メインパターン5が傾斜角αで巻き付けられているので、竿元側辺5Dの内側層のみならず中間層の部分も表出することとなる。
このように、巻終辺5Bについても巻始辺5Aと同様に、螺旋状を呈しているので、前記したスパインによる効果を抑制することに機能している。なお、傾斜角βにより傾斜の数は変化することは言うまでもない。
以上のように、巻始辺5Aを螺旋状に巻き付けたものについて、傾斜角αの角度の違いについて、CAEで検証テストを行ってみた。
テストの前提として、次のような条件で行っている。
(1)芯金直径5mm 芯金のテーパ1/1000
テスト竿の長さ1000mm
(2)テスト方法
竿元端を固定し、竿先自由端に所定の重さMgの負荷を掛けて、竿先自由端の撓みを測定する。
釣り竿の円周方向における基準位置にマークを付与し、そのマークが上を向く状態を0°とし、そのマークが上を向く0°の状態から45°だけ回転させた位置、更に、45°ずつ回転させた位置での、竿先端の下向きの撓み量を測定する。
(3)テスト竿の諸元
テスト竿1:メインパターン厚:smm 巻き数:hプライ(竿先側)−jプライ(竿元側)(h<i)
テスト竿2:メインパターン厚:smm 巻き数:hプライ(竿先側)−jプライ(竿元側)(h<i)
(4)テスト竿1は、内側層の巻始辺5Aが芯金6の軸線Xに平行で離間長さL4が零の従来構造のものである。
(5)テスト竿2は、内側層の巻始辺5Aが芯金6の軸線Xに傾斜し、離間長さL4が1プライ分に相当する本願発明のものである。
上記したテスト結果について記載する。
Figure 0005832221
以上のテスト結果より、芯金の全周分(1プライ分)の離間長さL4、つまり、tanα=L4/L1で表わされる傾斜角αを持って、メインパターン5を巻き付けたテスト竿1においては、0°、45°、90°、135°の位置での最大最小撓み量の差が3.0%の範囲に達しているのに対して、テスト竿2においては、最大最小撓み量の差0.6%の範囲に抑制されている。
このことによって、巻始辺5Aの螺旋が偏肉状態を有効に解消する機能が高いことが分かる。
テスト結果として、記載してはいないが、樹脂量の多いものについては、スパインの抑制効果が高いと考えられる。
〔第2実施形態〕
ここでは、メインパターンが異なる形状のもので中間竿を作成するものについて説明する。
メインパターン5は、図7に示すように、略台形状のものであり、芯金6に最初に巻き付けられる辺を巻始辺5Aと、最後に巻き付けられる辺を巻終辺5Bとして、巻始辺5Aと巻終辺5Bとに略直交する状態の辺を竿先側と竿元側に配置して、竿先側辺5Cと竿元側辺5Dとを備えて構成されている。
竿先側辺5Cと竿元側辺5Dとは、芯金6の軸線Xに平行な線を基準線Yとして考えると、基準線Yに対して直交する姿勢に裁断されている。一方、巻始辺5Aは、図7に示すように、基準線Yに対して平行ではなく、竿元側辺5Bに近くなる程基準線Yより離れるように、傾斜する状態に裁断されている。つまり、巻始辺5Aは、略軸方向に沿って配置されている強化繊維fに対して角度αを持って裁断されており、巻始辺5Aと竿先側辺5Cとを、それらが挟む挟み角γを90度より小さな値になるように構成してある。また、このように、メインパターン5の形状としては、角度αの部分を廃棄する必要があるが、強化繊維fの引き揃え方向を軸方向に設定してあるので、強度低下を抑制できている。
竿先側辺5Cから竿元側辺5Dまでの長さL1は中間竿を作成するに十分な長さとして、略0.7m〜1.2mと考えてよい。これに対して、竿先側辺5Cの長さL2は芯金6の所定位置に3回巻き付けられる長さに裁断されている。つまり、3プライ分の長さがある。一方、竿元側辺5Dの長さL3は、竿先側辺5Cより長く、芯金6の元側部分に4回以上巻き付けられる長さに裁断されている。つまり、4プライ分以上の長さがある。このように、竿元側辺5Dの方がプライ数が多いのは、元側の方が手元側に近く曲げ応力等が大きく作用し、次の大径側竿との接続部位となるからである。
そして、図7(a)に示すように、巻始辺5Aと竿元側辺5Dとの交点位置eは、基準線Yより巻始辺5Aの傾斜分だけ離間しており、その離間長さL4は、芯金6に巻き付ける際の1プライ分の長さに相当するものである。
以上のところから、図7に示すように、巻始辺5Aと基準線Yとの傾斜角αは、tanα=L4/L1で表わされる。このαはヘラ竿の場合は、0.8°〜1.3°の間の数値が採用される。
以上のような構成により、芯金6に巻回して筒状に形成された中間竿における巻始辺5Aは、図6に示すように、管状体の内周面に沿って螺旋線となっている。なお、外径の大きな竿の場合は、傾斜角αは径の大きさに応じて大きくなる。
一方、巻終辺5Bも巻始辺を5Aと同様に基準線Yに対して傾斜角度βで傾斜する状態に設定してあり、巻終辺5Bも芯金6に巻き付けられた際に、螺旋状を呈することとなる。
なお、巻始辺5Aの傾斜角度αと巻終辺5Bの傾斜角βとは、必ずしも一致する必要はないが、螺旋を描く状態としては、竿先側端から所定の長さだけ竿元側端に位置する各竿部分において断面して見た場合に、円周方向において、互いに180°反対側に位置するように、二つの螺旋を形成すると、より剛性の変化を抑制できる。
〔別実施形態〕
(1)メインパターン5に先行して、例えば、幅の狭いプリプレグテープを螺旋状に巻回して最内側層を形成してもよく、また、メインパターン5の外側に更に、別個のプリプレグを巻回して外側層を形成してもよい。
つまり、第1、第2実施形態で示したメインパターン5を巻回して形成した複数層を中間層とした竿体を形成することもできる。
(2)ここでは、巻始辺5Aを芯金6に巻き付ける際に、異なる巻き付け方をするものについて説明する。図8に示すように、メインパターン5としては、第1実施形態及び第2実施形態で記載したものを使用する。図8においては、第1実施形態で使用したものが描かれている。第1実施形態においては、芯金6の軸線Xに対して巻始辺5Aを傾斜角αだけ、竿元側が芯金6より離れる状態で巻き付けた。
しかし、図8においては、芯金6の軸線Xに対して巻始辺5Aを傾斜角αだけ、竿先側が芯金6より離れる状態で巻き付ける。このことによって、巻始辺5Aは、螺旋状を呈する。したがって、前記した段差部による重なり部分が螺旋状を呈することによって、偏肉状態が解消し、前記した欠点は改善される。
ただし、竿元側程、巻始辺5Aが竿軸線Xに沿った状態になるので、第1実施形態及び第2実施形態の場合に比べると偏肉状態の解消効果は少し劣る。
(3)釣竿用竿体としては、ヘラ竿だけでなく全ての竿に適用することが可能であるが、特に、肉厚の薄い、中間竿において顕著な効果を確認できる。
(4)メインパターン5を芯金6に巻き付ける際に傾斜角αで巻き付けたが、この場合に、上記した1プライ分だけ傾斜させるのではなく、それより小さなプライ数、つまり、0.5や0.7プライ分で巻き付けてもよい。また、1プライ分以上傾斜させてもよい。
(5)メインパターン5としては、竿先側辺5Cが3プライ分の幅を備えた1枚もので構成したが、1プライ分ずつに分割した複数枚のメインパターン5を重ね巻きしたものでもよい。
また、プリプレグとして軸方向繊維を使用するものについて説明したが、周方向繊維プリプレグ若しくは傾斜繊維を有するプリプレグを使用した管状体であってもよく、更にクロス状の繊維を有するプリプレグを使用した管状体であってもよい。
本願発明は、本発明に係る管状体は、釣竿用の竿体だけでなく、ゴルフクラブ、及び、自転車の車体フレーム等に使用可能である。
5 メインパターン
5A 巻始辺
5B 巻終辺
5C 竿先側辺
5D 竿元側辺
6 芯金

Claims (4)

  1. 強化繊維揃えられたプリプレグのメインパターン芯金に巻回積層されて筒状に作成されている管状体であって、
    前記メインパターンの巻始辺が、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置され、かつ、前記メインパターンの巻終辺が、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置され、管状体の内周面側に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面側に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してある管状体。
  2. 前記メインパターンは、複数層に分けて裁断されている請求項1記載の管状体。
  3. 化繊維を揃えたプリプレグのメインパターンを芯金に巻回積層して筒状に作成される管状体の製造方法であって、
    化繊維に対して前記巻始辺を平行に裁断した前記メインパターンを、前記巻始辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、かつ、前記巻終辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、前記芯金に巻き付けて、更に、管状体の内周面側に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面側に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してあり、前記強化繊維が前記巻始辺に沿って軸線に対して螺旋状を呈するように、管状体を形成する管状体の製造方法。
  4. 化繊維を揃えたプリプレグのメインパターンを芯金に巻回積層して筒状に作成される管状体の製造方法であって、
    化繊維に対して前記巻始辺を傾斜する状態に裁断した前記メインパターンを、前記巻始辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、かつ、前記巻終辺が芯金の軸線に対して元側程離れる傾斜状態になるように、前記芯金に巻き付けて、前記メインパターンの巻始辺と巻終辺とが、先側から元側に掛けて管状体の軸線に対して螺旋状を呈する状態に配置し、管状体の内周面側に形成される前記巻始辺と、管状体の外周面側に形成される前記巻終辺とが、管状体の軸線に直交する側面視において、互いに複数箇所において交差すべく構成してあり、更に、前記強化繊維が前記軸線に平行に配置されるように、管状体を形成する管状体の製造方法。
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