JP2007209259A - 釣り竿 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 小径側竿体1の竿尻端部外周面1Aと大径側竿体2の竿先端部内周面2Aとを互いに圧接する状態で嵌合させて、小径側竿体1を伸長状態に保持すべく構成し、竿尻端部における最外層と竿先端部の最内層との各々に、竿体の全長より短くかつ円周方向での幅を半周長より短い一対の部分補強パターン4,5Cを、竿軸芯を挟んで相対向する状態で配置し、一対の部分補強パターン4,5Cの夫々を、竿軸線に対して所定傾斜角に沿って引き揃え配置された強化繊維c群を有するプリプレグと、プリプレグの強化繊維c群と竿軸線に対して対称となる状態に引き揃え配置された強化繊維群を有するプリプレグとを重ね合わせて構成してある。
【選択図】 図1
Description
そして、小径側竿体の竿尻端部を大径側竿体の竿先側端部内に圧接させて小径側竿体の抜け止め機能を有する合わせ部を形成するものであるが、小径側竿体の竿尻端部等に荷重が集中することになるので、この部分にプリプレグを短く裁断した補強パターンを巻きつけて強度を向上する構成を採っていた。
この補強パターンは、竿の軸線方向に強化繊維を引き揃えたもの、或るいは、竿の軸線方向に直交する円周方向に強化繊維を引き揃えたものに熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグで構成して設けたものが一般的である。
しかし、このような補強パターンを施した合わせ部であっても、釣り操作を行う状態で合わせ部に掛かる荷重は単純に下向き方向に作用するだけではないので、この合わせ部において変形が起こるところから、竿の剛性が低下して塑性変形や強化繊維の剥離が起こり易く、魚の引きに耐えて溜めを作る機能や釣り上げる際の竿の腰の強さ等が低下して、釣り操作の円滑さを欠いていた。
一方、釣り操作において竿の調子を適したものにすることは、糸切れを防止したり、魚の引きに対抗して竿に溜めを作る上で重要ではあるが、竿の調子は釣り竿固有のものであり、釣り上げる魚の種類や釣り場の状況等によって竿調子を異なるものに取り換えたい場合には、釣り竿自体を取り換える必要があった。
このような課題に対応するものとして、従来、補強パターンとして、竿の軸線方向に対して強化繊維を交差させたプリプレグを補強パターンとして使用するものがあり、小径側竿体の竿尻端部に対してのみ、前記補強パターンの竿の周方向での幅を半円周長に満たない状態に裁断した一対の部分補強パターンを、竿軸芯を中心に左右対称に配置構成するものがある(特許文献1参照)。
しかし、釣り上げる魚の種類や釣り場の状況等によって竿調子の異なる竿に取り換えたい場合があるが、上記のように、小径側竿体の竿尻端部に対してのみ、一対の部分補強パターンが施されているだけでは、曲げ剛性の変動に寄与できるものではあっても、竿調子を切換えるだけの十分なものではなかった。
請求項1に係る発明の特徴構成は、前記竿尻端部における最外層と前記竿先端部の最内層との各々に、前記竿体の全長より短くかつ円周方向での幅を半周長より短い一対の部分補強パターンを、竿軸芯を挟んで相対向する状態で配置し、前記一対の部分補強パターンの夫々を、竿軸線に対して所定傾斜角に沿って引き揃え配置された強化繊維群を有するプリプレグと、前記プリプレグの強化繊維群と前記竿軸線に対して対称となる状態に引き揃え配置された強化繊維群を有するプリプレグとを重ね合わせて構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、前記小径側竿体の竿尻端部における最外層と前記大径側竿体の竿先端部の最内層との各々に、前記竿体の全長より短くかつ円周方向での幅を半周長より短い一対の部分補強パターンを、竿軸芯を挟んで相対向する状態で配置してある。
そうすると、小径側竿体の竿尻端部外周面と大径側竿体の竿先端部内周面とを互いに圧接する状態で嵌合させた場合に、小径側竿体の一対の部分補強パターンと大径側竿体の一対の部分補強パターンとが取り得る位置関係としては、複数個の場合を設定できる。
つまり、小径側竿体の一対の部分補強パターンと大径側竿体の一対の部分補強パターンとが、円周方向において同一位相に位置している場合には、重なり合うこととなる。
反対に、小径側竿体の一対の部分補強パターンと大径側竿体の一対の部分補強パターンとが、円周方向において異なる位相に位置している場合には、重なり合うことはなく、両部分補強パターンが円周方向に連設することが可能になる。
また、中間状態として、部分補強パターン同士が完全には重なり合う状態ではないが、一部だけが重なり合う状態を作り出すことができる。
そうすると、各場合において、それぞれの使用方法が可能になり、小径側竿体の竿尻端部に一対の部分補強パターンを配置する場合に比べて多様な使用が可能になる釣り竿を提供できるに至った。
つまり、小径側竿体を大径側竿体より引き出した状態で、一対の部分外側補強パターンと、一対の部分内側補強パターンとが、重なり合うこととなるので、部分補強パターンの存在する部分と、部分補強パターンとが存在しない部分とが円周方向において現出する。このことによって、円周方向における剛性が異なることとなる。
一般に、竿が曲がりを生ずる場合に、竿軸線を含む中立面に対して直交する両側面に剪断力が大きく働く。
そこで、その両側面部分に前記した部分補強パターンを配置することによって、その両側面部分の剛性を高めて、竿全体の張り(硬質の竿調子)を強いものにできる。
反対に、竿が曲がりを生ずる場合に、前記中立面に平行な両側面に部分補強パターンを配置した場合には、中立面に直交する両側面に部分補強パターンを配置した場合に比べて剛性が低下し、部分補強パターンを配置した前記中立面に平行な両側面においては、剛性が高まり、竿全体の張りが低下(軟質の竿調子)することとなる。
したがって、釣り操作において釣り竿を水平に構える場合に、部分補強パターンを左右横側面に位置させる姿勢に設定すると、竿の調子をやや硬い調子にでき、部分補強パターンを上下位置に設定すると、竿の調子を軟調にすることができる。
これによって、単一の釣り竿であっても、竿の向きを変更することによって竿調子を変更でき、調子の異なる複数の竿を用意する必要がない。
また、一対の部分外側補強パターンと、一対の部分内側補強パターンとを、重なり合う状態にして、前記した竿調子の切換えを行うようにしてあるので、小径側竿体等の一方に部分補強パターンを設ける従来構成に比べて竿調子の変化度合いを大きくできるものである。
そして、このような竿調子の切換えが可能な竿を得るのに、小径側竿体の竿尻端部と大径側竿体の竿先端部とに部分補強パターンを配置することによって達成したものであり、この部分補強パターンによって塑性変形や割れの発生等を阻止できる。
つまり、一対の部分外側補強パターンと一対の部分内側補強パターンとが円周方向に重なり合うことなく配置されているので、二組の部分内外補強パターンによって全周に亘って施される補強パターンと同様の機能を発揮させることができる。
これによって、各竿体毎に全周に亘る補強パターンを施す必要がなく、竿の軽量化等に寄与できる。
部分外側補強パターンと部分内側補強パターンとが隙間なく隣接して、円周方向に連なっているために、全周に亘って補強パターンを巻いている場合に近い機能を発揮させることができる。つまり、竿の合わせ部に発生する塑性変形や割れの発生等を阻止できるものでありながら、全周に亘って補強パターンを施す場合に比べて補強パターン量を少なくでき、竿の軽量化等に寄与できる。
単一の竿体における竿先端部の内周面に一対の部分内側補強パターンを、竿尻端部の外周面に一対の部分外側補強パターンを設ける場合に、円周方向において同一位相位置に設けることによって、穂先竿から元竿までの各竿体を繋いでいく場合に、部分内外補強パターンの円周方向における位置を同一位相に揃えることができる。
これによって、竿調子の設定を行うのが容易になる。
穂先竿から元竿までの各竿体を繋いでいく場合に、各合わせ部での部分内外補強パターンの位置を、円周方向で異なる位相位置に設定することが容易になり、各合わせ部での部分内外補強パターンの円周方向での位相を合わせた状態で得られる硬軟竿調子に比べて、その硬軟中間の竿調子に設定することが容易になる。
8本組み等複数本の竿体を備えた振出式鮎竿Aに使用されている構成について説明する。
ここでは、主として、四番竿から元上までの中竿に使用される合わせ部構造について説明する。引き出される側を小径側竿体1とし、小径側竿体1を保持する側を大径側竿体2として説明する。図1(イ)に示すように、小径側竿体1を大径側竿体2内に出退自在に保持するとともに、図1(ロ)で示すように、小径側竿体1を引き出した状態で、前記小径側竿体1の竿尻端部外周面1Aと大径側竿体2の竿先端部内周面2Aとを互いに圧接する状態で嵌合させて、小径側竿体1の伸長状態を保持すべく構成してある。ここに、互いに圧接する竿先端部内周面2Aと竿尻端部外周面1Aとで合わせ部Bを構成してある。
一対の部分口巻き補強パターン4,4は、竿体の竿先端部の最内層に位置するもので、竿軸芯を挟んで相対向する位置に向き合う状態で配置構成されることとなる。その相対向する状態で配置された個々の部分口巻き補強パターン4は、次ぎのように構成されている。
図2に示すように、竿尻側の補強パターン5は、中間層に位置する第1中間補強パターン5A及び第1中間補強パターン5Aより外側に位置する第2中間補強パターン5B、さらに、最外層に位置する部分外側補強パターン5Cとからなる。
上記した第2補強パターン5Bを第3メインパターン3Cの竿尻端部に一体的に取り付けて、マンドレル6に既に巻回されている第2メインパターン3Bの上から巻回する。第2補強パターン5Bは、1プライ分巻き付けるだけの幅に裁断してある。
一対の部分外側補強パターン5C,5Cは、竿体の竿尻端部の最外層に位置するもので、竿軸芯を挟んで相対向する位置に向き合う状態で配置構成されることとなる。その相対向する状態で配置された個々の部分外側補強パターン5C、5Cは、次ぎのように構成されている。
そして、スリットテープ7を巻回した上から竿尻端部に一対の部分外側補強パターン5C、5Cを取り付ける。
以上、補強パターン3〜5における竿軸線Xと交差する状態に配置された強化繊維cの傾斜角θ1〜θ4は30°〜75°の間の角度を採ることとしてある。
この後は、焼成した後にマンドレル6を脱芯し、成形テープ9を剥離し、所定長さに竿材を裁断して所望の竿体を形成し、この後竿体表面に研磨処理を施して釣り竿用の竿体が出来上がる。
したがって、部分口巻き補強パターン4と部分外側補強パターン5Cとは、円周方向において同一位相に配置構成されていることとなる。
したがって、部分口巻き補強パターン4と部分外側補強パターン5Cとは、円周方向において90°異なる位相に配置構成されていることとなる。
使用した釣り竿は鮎竿であり、本出願人製作になる製品名(SP競H2.5−90NT)を使用し、この鮎竿の三番竿から8番竿までの合わせ部に本願発明に係る部分内側補強パターン4と部分外側補強パターン5Cとを組み込み竿調子が変動する状態を測定した。
<1> 第1状態:部分内外補強パターン4,5Cが竿軸芯を挟んで左右対称に配置されている場合は、剛性が高く間隔Hは490mmであった。
<2> 第2状態:部分内外補強パターン4,5Cが竿軸芯を挟んで上下対称に配置されている場合は、剛性が低下し間隔Hは430mmであった。
<3> 第1状態と第2状態とを比較すると、間隔差として60mmの違いがあり、このことは、第1状態に部分内外補強パターン4、5Cを設定する方が硬い竿調子にできることを意味する。
<4> 三番竿から八番竿までの5つの合わせ部において、部分内外補強パターン4,5Cの配置関係を、左右対称にするか、上下対称にするかを選択することによって、竿調子としては、理論的には、25=32通りの組み合わせが可能であると言える。
第1、第2中間補強パターン5A、5Bの異なる構成について説明する。第1、第2中間補強パターン5A、5Bについては、第1実施形態においては、一プライ巻き付けるだけの幅に裁断されていたが、ここでは、口巻き補強パターン4や外側補強パターン5Cのように、部分補強パターンの構成を採ってもよい。つまり、図示はしていないが、一対の第1中間補強パターン5A、5Aは、竿体の竿先端部の最内層に位置するもので、竿軸芯を挟んで相対向する位置に向き合う状態で配置構成されることとなる。その相対向する状態で配置された個々の第1中間補強パターン5Aは、次ぎのように構成されている。
このように、第1、第2中間補強パターン5A、5B、及び、外側補強パターン5Cをいずれも一対の補強パターン5A〜5Cに構成することとなる。
(1) つまり、各補強パターン5A〜5Cの円周方向に沿った幅を円周長の6分の1に設定する。そして、3組の補強パターン5A〜5Cを重なりなく円周方向に配置する。そうすると、竿体の向きによる補強パターン5A〜5Cの機能に偏りがなく、各補強パターン個々の補強機能が発揮されることとなる。
竿自体に強度が左程必要とされない場合には、第1、第2中間補強パターン5A、5Bのうち少なくとも一方を使用しない竿体を構成することができる。このように補強パターンを使用しない構成においては、第3メインパターン3Cを使用しない構成を採ってもよい。
このような構成によって、釣り竿Aとしての繋ぎ本数がすくなく、軽量の魚を狙う釣り竿Aとして、軽量化された状態で提供できる。
(1) 本発明の構成は、振出竿式の渓流竿、鮎竿等だけでなく、並継式、又は、インロー継ぎ式釣り竿にも適用可能である。
(2) 第1実施形態においては、プリプレグテープ7を巻回する工程を示したが、このプリプレグテープ7に代えてプリプレグシートを巻回するように構成してもよい。
前記プリプレグについて詳述すると、図8(イ)に示すように、このプリプレグでは柔軟性の高い繊維をクロス網して、繊維を亀の子状に配置して形状を呈している。図8(ロ)に示すように、繊維に含浸させた樹脂は研磨加工を施して削り取っているので、繊維だけが表面に表出した状態となっており、亀の子状の凹部が形成されている。
1A 竿尻端部外周面
2 大径側竿体
2A 竿先端部内周面
4 部分内側補助パターン
5C 部分外側補強パターン
c 強化繊維
X 竿軸線
Claims (6)
- 小径側竿体の竿尻端部外周面と大径側竿体の竿先端部内周面とを互いに圧接する状態で嵌合させて、小径側竿体を伸長状態に保持すべく構成してある釣り竿であって、
前記竿尻端部における最外層と前記竿先端部の最内層との各々に、前記竿体の全長より短くかつ円周方向での幅を半周長より短い一対の部分補強パターンを、竿軸芯を挟んで相対向する状態で配置し、前記一対の部分補強パターンの夫々を、竿軸線に対して所定傾斜角に沿って引き揃え配置された強化繊維群を有するプリプレグと、前記プリプレグの強化繊維群と前記竿軸線に対して対称となる状態に引き揃え配置された強化繊維群を有するプリプレグとを重ね合わせて構成してある釣り竿。 - 前記小径側竿体の竿尻端部外周面と前記大径側竿体の竿先端部内周面とを互いに圧接する状態に嵌合させた状態で、前記小径側竿体の竿尻端部の最外層に形成された一対の部分外側補強パターンと、前記大径側竿体の竿先端部の最内層に形成された一対の部分内側補強パターンとが、円周方向における同一位相に位置して重なり合う状態に形成してある請求項1記載の釣り竿。
- 前記小径側竿体の竿尻端部外周面と前記大径側竿体の竿先端部内周面とを互いに圧接する状態に嵌合させた状態で、前記小径側竿体の竿尻端部の最外層に形成された一対の部分外側補強パターンと、前記大径側竿体の竿先端部の最内層に形成された一対の部分内側補強パターンとが、円周方向において異なる位相に位置して重なり合うことのない状態に形成してある請求項1記載の釣り竿。
- 前記部分外側補強パターンと前記部分内側補強パターンとを、それらの端部同士が円周方向において同一位相に位置して、円周方向に連なるように配置構成する請求項3記載の釣り竿。
- 小径側竿体または大径側竿体の少なくともいずれか一方の竿体における竿先端部の最内層に前記一対の部分内側補強パターンを配置するとともに、前記竿体における竿尻端部の最外層に前記一対の部分外側補強パターンを配置し、前記部分内側補強パターンと前記部分外側補強パターンとが円周方向において同一位相に位置する状態に配置構成してある請求項1記載の釣り竿。
- 小径側竿体または大径側竿体の少なくともいずれか一方の竿体における竿先端部の最内層に前記一対の部分内側補強パターンを配置するとともに、前記竿体における竿尻端部の最外層に前記一対の部分外側補強パターンを配置し、前記部分内側補強パターンと前記部分外側補強パターンとが円周方向において異なる位相に位置する状態に配置構成してある請求項1記載の釣り竿。
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