JP4863766B2 - 振出式の釣り竿及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これによって、メインパターン4の外周面に重ねられた補強パターン3の竿尻端とメインパターン4の外周面との間に、補強パターン3の厚み分だけの段差が形成されることとなる。しかも、補強パターン3は強化繊維としてのガラス繊維を編んだものであるので、必然的に厚さも厚いものとなっており、段差が無視できないものとなっていた。また、強化繊維を編み込んだものであるので、切断された端面において、強化繊維の配置状態が不揃いになり易く、補強パターン3の端面が明確になりにくい面があった。
竿体を製作する過程において、メインパターンをマンドレルに巻回した後に、焼成する前に、メインパターンを巻回した竿素材の保形性を維持するために、成形テープを竿素材の表面に螺旋状に巻き付けていくこととなっている。
これに対して、補強パターンの竿尻端は、竿の周方向に沿った状態で切断されている。
したがって、成形テープが補強パターンの竿尻端に至った場合には、姿勢を揃えた状態で巻き付けることができず、螺旋のピッチが乱れたり、隣接する成形テープ同士の折り重なり量が不揃いなることがある。これによって、位置決めされるべき補強パターンの竿尻端位置が不揃いになる等の不具合が発生しやすくなっていた。
そこで、それを解決する手段として、補強パターンの竿尻端の形状に工夫を加え、成形テープの螺旋状巻付け状態に沿うように、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が徐々に短くなる細幅形状の延長部分(図3の3Aを参照)を形成していた。
しかし、この場合であっても、延長部分が表出することは補強パターンの竿尻端として美的感覚を損なうこととなるので、この部分を樹脂塗料等で隠す必要があるが、樹脂塗料を施す工程が必要となり、作業負担が増大することとなる。
補強パターン自体は強化繊維が交差する状態に構成されているので、強化繊維が交差することによって囲まれた部分においては樹脂塗料が吸収されて、この囲まれた部分を十分塗料で覆うことができず、穴が形成されることとなり易いために、この面でも改善の余地があった。
請求項1に係る発明の特徴構成は、小径竿体の竿尻側端部の外周面を、大径竿体の竿先側端部の内周面に圧接することによって、前記小径竿体の引き出し状態を維持する振出式の釣り竿であって、
前記大径竿体の竿先側端部における最外層を、ガラス繊維を交差する状態に編み込んだクロスプリプレグからなる補強パターンと、前記補強パターンより竿軸線方向長さが長く、かつ、強化繊維を一方向に引き揃え配置してある引き揃えプリプレグからなるメインパターンとを、前記補強パターンが玉口部位に位置し前記メインパターンが前記補強パターンの竿尻側に位置する状態に配置して構成するとともに、前記補強パターンの竿尻側端部を、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる延長部分に形成し、前記メインパターンの竿先側端部を前記補強パターンの前記延長部分の外周面に重ね配置し、
前記補強パターンの前記延長部分における幅が狭くなるように他辺に近接する斜辺を、メインパターンの上から焼成する前に螺旋状に巻回され焼成後に剥離される成形テープの螺旋方向に沿うように形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
補強パターンの竿尻端の仕舞いを良好に行う為に、補強パターンの竿尻側端部の形状を、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が短くなる延長部分に形成する。この延長部分の外周面にメインパターンの竿先側端部を重ね合わせることによって、補強パターンの竿尻端をメインパターンで覆うことができる。
一方、メインパターンの竿先側端部が表出し、メインパターンの厚みに相当する段差が形成されることとなるが、メインパターン自体は、強化繊維が引き揃えられたものであるので、プリプレグ厚みが強化繊維をクロスさせた補強パターンに比べて薄くできる。それによって、メインパターンの竿先端での段差を従来構成に比べて小さくできる。
また、強化繊維を引き揃えてあるので、切断された端面の強化繊維も不揃いになりにくく、端面を明確に位置決めすることが補強パターンに比べて容易に行うことができる。しかも、段差が小さくできることによって、成形テープを巻回してもピッチの乱れや皺寄り等も従来に比べると少なくなり、メインパターンの竿先端の形状を整えることが容易になる。
一方、メインパターンの内側に配置した補強パターンの竿尻端によって形成される段差については、従来構成の項でも説明したように、延長部分を形成してあるので、成形テープを巻回した状態での皺寄り等の不都合が起こることは少なくなる。しかも、その延長部分をメインパターンによって覆っているので、従来必要であった樹脂塗料で覆う等の処理については必要ではなく、製作負担が軽減する。
以上のように、補強パターンとメインパターンとの重ね合わせに変更を加えることによって、表面にあるメインパターンの端部を決めることが容易に行え、かつ、段差もでき難いものにできて、竿の製作を容易に行えるようになった。
つまり、竿素材に成形テープを巻回した状態で焼成し、焼成後成形テープを剥離し、所定長に裁断し、研磨処理を施して、竿体を構成する。
この成形テープを施して行く場合に、外側メインパターンの厚さが補強パターン程厚くはないので、外側メインパターンの竿先端の厚み分の段差が形成されてはいるが、外側メインパターンは強化繊維を引き揃えたものであるので、補強パターンに比べて段差が小さくなっているので、巻回ピッチ等の乱れが少なく、外側メインパターンの竿先端での皺寄り等の発生を抑えることができる。
補強パターンと外側メインパターンとで最外層を構成するに、補強パターンを予め内側メインパターンの玉口部分に施した後、外側メインパターンの竿先側端部を前記補強パターンにおける前記細幅形状の竿尻側端部の外周面に重ねる状態で巻回する第1方法か、または、予め補強パターンに外側メインパターンを重ね合わせた後に、その一体化したものを内側メインパターンに巻回する第2方法が採用できる。これによって、補強パターンと外側メインパターンとを皺寄りなく巻回したい場合には、第1方法を採用することができ、補強パターンと外側メインパターンとの相対位置関係を設定通りに位置決めしたい場合には、第2方法を採用できる。
したがって、二通りの製作方法を選択でき、製作上の自由度を確保することができる。
補強パターン3の厚みは、0.2mm〜0.3mmのサイズを採用でき、望ましくは、0.25mmに設定される。
強化繊維としては、炭素繊維c以外にボロン繊維等が使用可能であり、熱硬化性樹脂としては、フェノール等が使用可能であり、場合によっては熱可塑性樹脂を使用できる。メインパターン4の厚みは、0.13mm〜0.15mmの厚みを採用できる。
この一層目から三層目までのメインパターン4A、4B、4Cを纏めて内側メインパターンと称する。
このように、補強パターン3と第4メインパターン4Dとを順番に巻回する方法を採ってもよいが、予め、第4メインパターン4Dの竿先側端部4dを補強パターン3の細幅形状の竿尻側端部の延長部分3Aの上に重ね合わせる状態にして、その重ね合わせたものを同時に巻回する方法を採ってもよい。
しかも、第4メインパターン4Dは、炭素繊維cを引き揃えたものであるので、竿先端の端面は補強パターン程の乱れを生ずることは少ない。
この成形テープ7を施して行く場合に、第4メインパターン4Dの厚さが補強パターン程厚くはないので、成形テープ7の巻回ピッチ等の乱れが少なく、第4メインパターン4Dの竿先端での皺寄り等の発生を抑えることができる。また、補強パターン3の延長部分3Aが竿の周方向での幅を徐々に狭くする状態に形成されているので、補強パターン3の竿尻側端部3Aが第4メインパターン4Dとの重なり部分では、成形テープ7を巻き付ける際に皺の発生等が少ない良好なものとなる。
(1) 補強パターン3の延長部分3Aの形状としては、一辺aとしての斜辺を直線状に形成したものを示したが、一辺aとしては、円弧状を呈するものでもよく、前記した直線状のものに限定されない。
(2) メインパターン4の構成としては、竿体Aとして軽量化を望むならば、第1メインパターン4Aと第4メインパターン4Dとで構成してもよい。マンドレル6に巻き付ける回数としても、1プライのものだけでなく、複数プライ巻付けるものであってもよい。
3A 延長部分
4 メインパターン
4d 竿先側端部
Claims (2)
- 小径竿体の竿尻側端部の外周面を、大径竿体の竿先側端部の内周面に圧接することによって、前記小径竿体の引き出し状態を維持する振出式の釣り竿であって、
前記大径竿体の竿先側端部における最外層を、ガラス繊維を交差する状態に編み込んだクロスプリプレグからなる補強パターンと、前記補強パターンより竿軸線方向長さが長く、かつ、強化繊維を一方向に引き揃え配置してある引き揃えプリプレグからなるメインパターンとを、前記補強パターンが玉口部位に位置し前記メインパターンが前記補強パターンの竿尻側に位置する状態に配置して構成するとともに、前記補強パターンの竿尻側端部を、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる延長部分に形成し、前記メインパターンの竿先側端部を前記補強パターンの前記延長部分の外周面に重ね配置し、
前記補強パターンの前記延長部分における幅が狭くなるように他辺に近接する斜辺を、メインパターンの上から螺旋状に巻回される成形テープの螺旋方向に沿うように形成している振出式の釣り竿。 - 強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグよりなる内側メインパターンをマンドレルに巻回して構成した竿素材の外周面における玉口部位に、前記補強パターンを巻回するとともに、前記補強パターンの竿尻側に、前記補強パターンより竿軸線方向長さが長く、かつ、竿軸線方向に沿って強化繊維を引き揃えた引き揃えプリプレグからなる外側メインパターンを巻回して最外層を構成し、前記外側メインパターンの竿先側端部を前記補強パターンの前記延長部分の外周面に重ねる状態で巻回し、最外層の上から成形テープを巻回して焼成し、焼成後その成形テープを剥離した後に、所定長さに裁断後研磨処理を施すことを特徴とする請求項1記載の振出式の釣り竿の製造方法。
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