JP5112284B2 - 釣り用スプール - Google Patents

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本発明は、魚釣用リールに装着され、釣り糸を巻回するスプールに関する。
一般に、魚釣用リールのスプールは、周部に釣り糸が巻回される胴部を両端部よりも大きく窪ませた小径の円筒状に形成し、多量の釣り糸を収容する。このようなスプールは、釣り糸を巻き取る際の大きな負荷、および、巻き取った後の釣り糸による締付力に耐え、更に、温度変化による伸縮作用で締付けられる場合にも、変形や破損することなく釣り糸を保持するため、金属で形成されるのが通常である。
また、金属で形成することに代え、カーボン繊維等の高強度・高弾性率繊維からなる編組を補強骨格とし、この編組を熱硬化性樹脂で結合成形した軽量構造のスピニングリール用スプールも開発されている(例えば特許文献1参照)。
実開昭56−5468号公報
しかし、スプールの軽量化を図るために、金属に代えて樹脂で形成した従来のスプールでは、高強度・高弾性率繊維の編組を、中間部位を大きく窪ませた糸巻部や複雑な曲面形状を持つ複雑な円筒状形状に形成することが困難である。特に、軽量化のために薄肉化し、胴部の両端部の隅部を大きく屈曲させようとすると、繊維が折れ曲がり、剥離、破断し易く、所要の強度を得ることが困難である。また、剥離、破断して外部に突出した繊維は、例えば魚釣用リールの保守を行う際に、その取り扱いに注意が必要となる。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、繊維強化プリプレグにより、所要の強度を維持しつつ耐久性、安全性に優れた軽量構造の釣り用スプールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によると、魚釣用リールに装着され、釣り糸を巻回する釣り用スプールであって、釣り糸を周部に巻回する筒状の胴部と、この胴部の軸方向の一端から径方向外方に立上がるフランジ部と、このフランジ部の外端から胴部の反対側に向けて延びる筒状のスリーブ部とを有するスプール本体を備え、このスプール本体は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻装して形成された本体層と、この本体層の内周側で、前記胴部の一端側からフランジ部に至る範囲に、強化繊維の織布を巻装して形成された織布層とを有するスプールが提供される。
前記織布層は、前記スリーブ部の内側で、前記フランジ部から離隔した側の端部まで延設されることが好ましい。
また、前記本体層は、胴部からスリーブ部まで軸方向に連続した3枚以上の繊維強化プリプレグを、周方向に沿って順に連ねて環状構造に形成されるものであってもよい。
前記織布層は、引張り弾性率が30ton/mm以下の強化繊維からなる織布で形成され、前記胴部とフランジ部との間の隅部を含む本体層の内側の軸方向に沿う10mm〜15mmの範囲内で、軸方向に対して60°から120°の範囲内で屈曲する軸方向断面形状を有することが好ましい。
また、前記スプール本体は、フランジ部の内周側と外周側とに形成される隅部の内面がそれぞれ曲面状に形成され、内周側の隅部の方が外周側の隅部よりも、大きな曲率半径で湾曲することが好ましい。
更に、前記スプール本体は、胴部からフランジ部を介してスリーブ部に至る最外層が、強化繊維の織布を巻装した織布層で形成されることが好ましい。
本発明のスプールによると、フランジ部の径方向寸法を調整することで、胴部上に収容可能な糸巻量を任意に調整し、繊維強化樹脂製本体層の内周側に延設された織布層で、胴部とフランジ部との間の隅部と他の部材との接触で本体層の強化繊維が剥離し、層間剥離するのを防止することができ、これにより、所要の強度を維持しつつ耐久性、安全性に優れた軽量構造の釣り用スプールを繊維強化プリプレグで形成することができる。
織布層が、スリーブ部の内側で、フランジ部から離隔した側の端部まで延設される場合には、このスリーブ部の端部からの強化繊維の剥離や欠落を防止することができる。
本体層が、胴部からスリーブ部まで軸方向に連続した3枚以上の繊維強化プリプレグを、周方向に沿って順に連ねて環状構造に形成される場合には、全周にわたって強化繊維を所用の方向に揃えることができ、軽量化と強度の安定化とを図ることができる。
織布層が、引張り弾性率が30ton/mm以下の強化繊維からなる織布で形成され、胴部とフランジ部との間の隅部を含む本体層の内側の軸方向に沿う10mm〜15mmの範囲内で、軸方向に対して60°から120°の範囲内で屈曲する軸方向断面形状を有する場合には、本体層の内側の隅部に、軸方向に連続した強化繊維を配置することができ、耐久性および安全性を更に向上することができる。
フランジ部の内周側と外周側とに形成される隅部の内面がそれぞれ曲面状に形成され、内周側の隅部の方が外周側の隅部よりも、大きな曲率半径で湾曲する場合には、スプール本体の内側に突出する内周側の隅部に、他の部材あるいは手が衝突したときの繊維の剥離を防止して強度を安定化させることができ、更に、フランジ部からスリーブ部に至るスプールの外観を、シャープな形状とすることができる。
スプール本体の最外層が織布層で形成される場合には、胴部からフランジ部を介してスリーブ部に至る外面形状を安定させ、優れた外観を形成することができる。
図1は、本発明の好ましい実施形態による釣り用スプール10を装着した魚釣用リール9の全体を示す。なお、図面中、同様な部位には同様な符号を付してある。
図1に示すように、本実施形態の釣り用スプール10は、魚釣用リール9としてスピニングリールに装着してある。この魚釣用リール9は、内部に種々の機構を収容するリール本体8を備え、このリール本体8から上方に延びる脚部8aの端部に形成された竿取付部8bを介して図示しない釣り竿に取付けられる。
スプール10は、このリール本体8の前方に装着され、図示しないハンドルでロータ7が回転されたときに、このロータ7の回転運動と同期して前後動される。スプール10が前後動する間に、ロータ7の一対の腕部7aに設けられたベール6で釣り糸が案内され、スプール10上に均等に巻回される。
釣り糸をスプール10上に案内するベール6を、図示の巻取り位置から反対側に倒し、釣り糸の放出を阻害しない位置に保持することにより、例えばキャスティングの際、スプール10から釣り糸を自由に放出することができる。また、ロータ7は、リール本体8の後方に配置した切換レバーLを操作することにより、例えば釣り糸巻取り方向への正転が可能で逆転不能の状態と、正逆転可能とする状態とに切換えることができる。
図1から図4に示すように、本実施形態のスプール10は、全体として前端側が小径に形成され、例えばアルミニューム合金等の金属製の前壁部材12を先端に装着したスプール本体20を備え、この前壁部材12を介してスプール軸5(図3)に装着され、リール本体8内の往復動機構により、スプール軸5と共に前後動することができる。
スプール軸5に装着される前壁部材12は、後方に突出するボス状の短軸部又は突起部として形成した中心部12aに、スプール軸5に装着するための非円形の装着孔14aを形成し、この中心部12aを囲む薄肉構造の周部に、多数の開口14bを形成し、スプール10の軽量化を図ると共に、スプール内の良好な通気性を確保した構造を有する。更に、この前壁部材12の外周部には、スプール本体20の後述する胴部上に釣り糸を保持する前部フランジ部16と、スプール本体20に固定するための連結部18(図3)とを形成してある。
前部フランジ部16は、前方に拡径しつつ僅かに傾斜した滑らかな環状面16aをスプール本体20側に有し、連結部18はこの環状面16aの内周側から僅かな段差を形成して後方に突出する筒状構造を有する。この連結部18の外周部にスプール本体20の前端を、例えば圧入又は接着剤を介して一体的に結合すると、前部フランジ部16の環状面16aはスプール本体20の外周面との間に段差を形成することなく、スプール本体20の外周面から直接立上がる状態の連続面を形成する。
この前壁部材12は、スプール本体20側の環状面16aが前方に傾斜することにより、前方に繰出される釣り糸が外周側縁部で大きく屈曲されることはない。このため、釣り糸は前壁部材12で傷つけられることなく、スプール10から放出される。この環状面16aはスプール軸5の軸線に対して例えば45度以下の角度で傾斜することが好ましい。この環状面16aをスプール軸5aの中心軸に対してほぼ直立する状態に形成する場合には、釣り糸に対する損傷を防止するために、少なくとも外周側の縁部を曲面状に形成することが好ましい。
この前壁部材12は、金属で形成することに代え、ポリアセタール、ナイロン等の合成樹脂や繊維強化樹脂で形成してもよく、更に、スプール本体20と一体に形成することも可能である。この前壁部材12の最大外径すなわち環状面16aの外径は、釣り糸の滑らかな放出を可能とするために、スプール本体20の後述するスリーブ部よりも小径に形成することが好ましい。
本実施形態のスプール本体20は、テーパ状の外周面を有する胴部22と、この胴部22の後端側すなわち大径側の一端から径方向外方に立上がるフランジ部24と、このフランジ部の外端から胴部22の反対側の後方に向けて延びる薄肉筒状のスリーブ部26とを有し、フランジ部24の内周側には、胴部22との間に、スプール本体20の内側に突出する隅部23が形成され、外周側には、スリーブ部26との間に、スプール本体20の外側に突出する隅部25が形成される。このスプール本体20は、胴部22の先端部を、上述の前壁部材12の連結部18の外周部に嵌合される。前壁部材12が金属で形成される場合には、連結部18と胴部22との境界部に、非通電層すなわち絶縁層を配置すること好ましい。この場合には、スプール本体20を形成する繊維強化樹脂(後述する)が導電性の強化繊維を有する場合でも、このスプール本体の導電性材料との間における電食を防止することができる。
スプール本体20の胴部22は、前方側の外径D1を後端側の外径D2よりも小径としたテーパ状に形成してあり、後端側から立上がるフランジ部24および前部フランジ部16の環状面16aの径方向寸法すなわち胴部22の外面からの立上り高さとを調節することにより、外径および軸方向長さB1が等しいスプール10でも、この胴部22の外周部上に収容可能な糸巻量を必要に応じて調整することができる。胴部22の外周面がテーパ状に形成してあるため、釣り糸放出時に、釣り糸を滑らかに繰出すことができ、釣り糸に作用する応力を軽減することができる。
フランジ部24の外端から胴部22の反対側に向けて後方に延びるスリーブ部26は、胴部22の後端側の外径D2よりも大きな外径D3と、胴部22の軸方向長さB1よりも短い軸方向長さB2を有し、釣り糸がスプール10の内部に入り込むのを防止する。胴部22から後方にずれた釣り糸は、このスリーブ部26を胴部22上に載置される。このスリーブ部26は、円筒状に形成することに代え、胴部22側を僅かに小径にしたテーパ状であってもよい。
このスリーブ部26の後端に、滑らかに湾曲した外周面を有するリング部21(図1)を配置してもよい。このようなリング部21は、スリーブ部26と一体に形成してもよく、あるいは、別体に形成してもよい。このようなリング部21を設けることにより、後述するように、繊維強化樹脂で形成したスプール本体20の後端部を保護し、強化繊維が外部に露出するのを防止することができる。
図5の(A)に軸方向断面で示すように、本実施形態のスプール本体20は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻装して形成した繊維強化樹脂製の本体層28と、この本体層28の内周側で、胴部22の一端側である後端側からフランジ部24およびスリーブ部26に至る範囲に、強化繊維の織布を巻装して形成された織布層30とを有する。
この織布層30は、特に、胴部22とフランジ部24との間の隅部23含む範囲Gに配置することが好ましく、フランジ部24とスリーブ部26との間の隅部23を超えて、フランジ部24から離隔した側であるスリーブ部26の後端部まで延設してもよい。更に、図5の(B)に同様な軸方向断面で示すように、織布層30は、スプール本体20の胴部22からスリーブ部26に至る全長にわたる内面に形成してもよい。いずれの場合も、織布層30は、スプール本体20の最内層を形成するのが好ましい。
図5の(A)に示す織布層30は、胴部22の内側から隅部23を介してフランジ部24の内側に延び、胴部22の最内層を形成する緩傾斜部30aと、フランジ部24の最内層を形成する急傾斜部30bとを有する。図5の(B)に示すように、織布層30をスリーブ部26の内側で、フランジ部22から離隔した側の端部まで延設される場合にも、同様な緩傾斜部30aと急傾斜部30bとが形成され、更に、スリーブ部26の内側には円筒状部30cが形成される。
フランジ部24の内側に配置される急傾斜部30bは、スプール10の軸方向断面で見たときに、隅部23を含む範囲G内で、中心軸線と平行な基準線Rに対して60°〜120°で、好ましくは70°〜110°の角度θを形成する。この軸方向範囲Gは、隅部23の前後にわたって軸方向に沿う、例えば10mm〜15mmの範囲である。
このように狭く限られた軸方向範囲G内で急角度の屈曲部を形成する隅部23は、織布層30の遷移部30dで覆われている。この隅部23は、スプール10内に最も突出するため、例えば保守作業を行う際に、工具等の硬い異物に衝突して傷つきやすく、本体層28の強化繊維が剥離して露出した場合には、損傷の程度あるいは範囲が拡大するだけでなく、これを放置すると、誤って触れた手を負傷させる虞あるが、本実施形態のように、織布層30の遷移部30dが、特に、スプール10の内方に突出して鋭い縁部を形成する隅部23の内側の本体層28を覆い、滑らかな湾曲状又は面取り状の内面を形成して保護することにより、他の部材との接触で本体層28の強化繊維が剥離し、層間剥離するのを防止することができる。
このような織布層30は、スプール本体20を繊維強化樹脂で形成した薄肉かつ軽量構造のスプール10であっても、スプール本体20の所要の強度を維持しつつ耐久性、安全性に優れたスプールとして形成することができ、スプール10の安全性が大きく向上する。なお、図5の(B)に符号30eで示すように、フランジ部24の外周側の隅部25の内面側には、急傾斜部30bと円筒状部30cとの間を滑らかな湾曲状に接続する遷移部30eが形成されている。この遷移部30eよりも内周側の遷移部30dの方がより大きな半径で湾曲し、隅部23を保護している。
図5の(A)に示すように、胴部22およびフランジ部24の一部を覆う織布層30は、緩傾斜部30aおよび急傾斜部30bがそれぞれ胴部22およびフランジ部24で、本体層28との間に段差を形成することなく面一状に連続する円錐状又は円筒状の内面を形成するのが好ましい。これにより、スプール本体20における本体層28と織布層30との一体性が増大する。
また、図5の(B)に示すように、織布層30をスリーブ部26の内側で、フランジ部22から離隔した側の端部まで延設する場合には、連続した内面が形成されることにより、より確実に本体層28の強化繊維の剥離や層間剥離を防止することができる。
このような織布層30は、多数本の強化繊維からなる繊維束を縦方向および横方向に配置して互いに織成して形成した2軸織物、又は、互いに等角度で交差する3つの方向に配置した繊維束を互いに織成して形成した3軸織物等の織布で強化材とし、この強化材に合成樹脂を含浸したプリプレグを巻回することで形成することが好ましい。
織布層30を形成する織布の強化繊維は、引張り弾性率が例えば30ton/mm以下で、本体層28を形成する繊維強化樹脂の強化繊維よりも弾性率を低くし、特に、隅部23における破断を防止できるものであることが好ましい。また、急角度で屈曲する隅部23での破断を避けるために、本体層28を形成する繊維強化樹脂の軸長方向繊維よりも、破断伸度の高い高伸度であることがより好ましい。いずれの場合も、胴部22の緩傾斜部30aと遷移部30dと急傾斜部30bとにわたって繊維が連続することが好ましい。このような連続した繊維で織布層30を形成することにより、連続した強化繊維が隅部23を挟んで緩傾斜部30aと急傾斜部30bとがクランク状に連続して延び。スプール本体20の耐久性および安全性を、更に向上することができる。
図5の(B)に示すように、スリーブ部26の内面まで延設される場合も、同様にクランク状に連続して延びることが好ましいが、少なくとも内方に突出する隅部23の前後の緩傾斜部30aと急傾斜部30bとで連続したクランク状に延びることが好ましい。
織布層30の強化繊維は、胴部22からフランジ部24、更にスリーブ部26まで連続すると共に、主たる繊維方向を胴部22の軸方向に対して傾斜方向に配置することが好ましく、軸方向に沿って配置してもよい。ここに、主たる繊維方向とは、例えば胴部22を展開したときに、軸方向に最も近接する方向に配向される繊維の方向をいい、強化材が例えば2軸織物の場合には一方の繊維束の方向であり、3軸織物の場合には1つ繊維束の方向である。2軸織物の主たる繊維方向が軸方向に配置される場合には、これに交差する他方の繊維束は周方向に配置されることになる。また、3軸織物の場合には、軸方向に対称的に配向される場合もあり、この場合には、いずれか一方の繊維束の配向方向が主たる方向となる。
この織布層30を形成する強化繊維として、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等を用いることが好ましい。
強化繊維の織布に含浸する合成樹脂は、本体層28を形成する繊維強化プリプレグよりも樹脂比率を高くし、例えば5%以上で、10〜30%程度多い樹脂含浸量とすることが好ましい。このような、樹脂比率の高い繊維強化プリプレグを用いて織布層30を形成することにより、本体層28および織布層30をより一体化させることができる。
また、織布層30は、緩傾斜部30a、急傾斜部30bおよび遷移部30cのいずれにおいても本体層28の肉厚よりも薄く形成することが好ましい。これにより、織布層30を形成する強化繊維の方向が、例えば隅部23で急激に変化しても、強化繊維が破断し難くすることができる。
上述のように、本体層28の内側に織布層30を配置すると共に、更に、図5の(B)に示すように、本体層28の外面にも、織布層30と同様な織布層32を配置してもよい。なお、符号t1,t2,t3は、それぞれ胴部22、フランジ部24、スリーブ部26の全体の厚さを示す。
図6の(A)に示すように、このような織布層30で内側を保護され、又は、同(B)に示すように、織布層30,32で内側と外側で保護される本体層28は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻装することにより適宜の積層形態に形成することができる。本実施形態の本体層28は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを6層に重ねて巻装して形成してある。
図7は、本実施形態のスプール本体20を形成するプリプレグの配置例を示しており、織布シート30Pとの外側に、内側積層シート34Pと外側積層シート36Pとが順に積層される。織布シート30Pはスプール本体20の織布層30を形成し、内側積層シート34Pは本体層28の第1〜第3層34a,34b,34cを形成し、外側積層シート36Pは本体層28の第4〜第6層36a,36b,36cを形成する。なお、図7では、織布シート30Pを、本体層28を形成する内側および外側積層シート34P,36Pと等しい軸方向長さに形成してあるが、図5の(A)に示すように、隅部23にのみ配置する場合には、その配置範囲に必要な長さに形成される。また、外側織布層32を形成する場合には、織布シート30Pと同様な織布シート(図示しない)を準備しておく。
図示の織布シート30Pは、多数の強化繊維からなる縦方向繊維束31aと横方向繊維束31bとを織成した2軸織物の強化材に合成樹脂を含浸して形成した上述のプリプレグシートで形成してある。また、内側積層シート34Pは、ガラス繊維のスクリムシート34aの上に、強化繊維をシートの長手方向に対してほぼ+45度の方向に引き揃えたプリプレグシート34bと、強化繊維をシートの長手方向に対して対称なほぼ−45度の方向に引き揃えたプリプレグシート34cとを重ねたものであり、これらのプリプレグシート34b,34cの強化繊維は例えば炭素繊維でもよく、含浸する樹脂は例えばエポキシ樹脂であってもよい。なお、ほぼ+45度およびほぼ−45度における「ほぼ」は、繊維の引き揃え方向は、±45度に限るものではなく、+30度〜+60度の範囲および−30度〜−60度の範囲内であればよいことを意味するものである。
外側積層シート36Pも同様なスクリムシート36aを有し、プリプレグシート36b,36cのそれぞれ繊維方向をそれぞれほぼ+45度の方向およびほぼ−45度の方向に引き揃えた状態で積層して形成してある。これらのプリプレグシート36b,36cは、内側積層シート34Pのプリプレグシート34b、34cと異なる方向に引き揃えてもよい。また、内側および外側積層シート34P,36Pのプリプレグシートは、図示のような斜向方向に強化繊維を引き揃えることに代え、軸長方向および周方向に引き揃えたものであってもよい。
本体層28を形成するプリプレグシートは、一枚ずつ巻装することも可能であるが、予め重ねた積層シート34P,36Pとして巻装することにより、軸方向長さの短いスプール本体20でも正確かつ迅速に形成することができる。
本実施形態では、織布シート30Pと内側積層シート34Pと外側積層シート36Pとは、それぞれ全周にわたって1回分巻回する周方向長さに形成するのではなく、周方向長さが全周分に満たないテープ状の複数のシートを周方向に沿って順に重ねことにより、環状構造に形成される。
図8は、8枚の内側積層シート34Pで本体層28の第1〜第3層34a,34b,34cを環状構造に形成する状態を示す。
本体層28を形成する場合には、図7に示すようにスプール本体20の胴部22、フランジ部24およびスリーブ部26にわたる長さ(図7の左右方向)で、スプール本体20を周方向に8分割した長さに重ね代を考慮した幅寸法(図7の上下方向)の8枚の内側積層シート34Pに形成する。
このように形成した内側積層シート34Pは、例えばスプール本体20の胴部22、フランジ部24およびスリーブ部26の内面に対応する外面形状を有する芯金(図示しない)上に、第1の積層シート34P1を載置し、先に載置した積層シート材34Pの未だ他の積層シート材と重ねられていない自由縁部に、順に重ねようとする次の積層シート材34Pの元側縁部を重ね、第2の積層シート34P2から第7の積層シート34P7を周方向に沿って順に同じ間隔で連ねて載置する。そして、最後に第8の積層シート34P8を、第1の積層シート34P1と第7の積層シート34P7との間に載置する。第8の積層シート34P8の縁部は、それぞれ第7の積層シート34P7の先縁部と、第1の積層シート34P1の後側縁部とに重ねて載置される。
このように積層シート34Pを芯金上に巻装することにより、本体層28の第1〜第3層34a,34b,34cが閉じた環状構造体に形成される。隣接する積層シート34P間の重なり部35は、軸方向に延び、肉厚構造部を形成する。織布シート30Pおよび積層シート36Pも、この積層シート34Pと同様に巻装することができる。最外層に織布層32を形成する場合も同様である。
積層シート36Pを巻装した後、必要な場合には、更に、外側織布層32を巻装した後、最外層に配置したシートの上から緊締テープで芯金上に締付け、加熱焼成することにより、スプール本体20が形成される。
未硬化の状態の繊維強化樹脂からなるスプール本体20を、緊締テープで締付けることにより、加熱成形時に繊維の引き揃え状態を維持し、加えられる押圧力により繊維が捩れるのを防止することができる。例えば隅部23,25といった未硬化のスプール本体20のより重要な部分の外周に緊締テープを巻回することにより、より重要な部分を主体に加圧して成形することができる。また、このような重要な部分のみに選択的に強い圧力を加えて成形することができる。
なお、フランジ部24の外周側の隅部25の外面を小さな曲率半径の湾曲面で形成することにより、フランジ部24からスリーブ部26に至るスプール10の外観を、シャープすなわちシンプルでスピード感のある機能を示す輪郭形状とすることができる。
図9は、織布シート30Pの重なり部33と、積層シート34の重なり部35と、積層シート36の重なり部36とを半径方向に順に重ねて形成した例を、スプール本体20の後方から見た状態で示す。それぞれのシートの重なり部が順に半径方向に沿って重複して形成されることにより、これらの重なり部は梁状の構造を形成し、胴布22に大きな締付力が作用した場合でも、変形を防止することができる。
本体層28が、胴部22からスリーブ部26まで軸方向に連続した3複数枚の繊維強化プリプレグを、複数枚、周方向に沿って順に連ねて環状構造に形成されることにより、フランジ部24で傾斜が大きく変化する複雑な外形形状を有するスプール本体20でも、全周にわたって強化繊維を所用の方向に揃えることができ、軽量化と強度の安定化とを図ることができる。
このように、形成されたスプール本体20は、フランジ部24の径方向寸法を調整することで、胴部22上に収容可能な糸巻量を任意に調整することができ、更に、繊維強化樹脂で形成した本体層28の内周側に配設された織布層30で、胴部22とフランジ部24との間の隅部23と他の部材との接触で本体層28の強化繊維が剥離し、本体層28の内部や本体層28と織布層30との層間剥離するのを防止することができ、これにより、所要の強度を維持しつつ耐久性、安全性に優れた軽量構造の釣り用スプール10を繊維強化プリプレグで形成することができる。
織布層30が、図5の(B)に示すように、スリーブ部26の内側で、フランジ部24から離隔した側の端部まで延設される場合には、このスリーブ部26の端部からの強化繊維の剥離や欠落を確実に防止することができる。更に、スプール本体20の最外層が織布層32で形成される場合には、胴部22からフランジ部24を介してスリーブ部26に至る強化繊維の剥離を防止することができる。
なお、上述の実施形態では、スプール本体20を周方向に8分割し、それぞれ8枚の織布シート320P、内側および外側積層シート34P,36Pを巻装して形成したが、これに限らず、例えば3分割、4分割、6分割等適宜の数に分割することが可能であり、8分割よりも多くの数に分割する場合には、より大径のスプール本体20を形成することができる。また、これらのプリプレグの巻装方法も適宜に変更することが可能であり、各シートの縁部を重ねる態様も、例えば最初に載置したシートの後縁部の下側に、最後に載置したシートの先縁部を配置することができる。更に、周方向に沿って等間隔をおいて複数枚のシートを載置した後、隣接するシートの縁部に、両側の縁部を重ねた状態で巻装することも可能である。
また、スプール10は、上述のスピニングリール用として形成するだけでなく、胴体部が釣竿の左右方向に配置され、胴体部の一端側が細くなることなく、実質的に一定の外径を有し、胴体部の左右両端にフランジ部とスリーブ部とが設けられる両軸リール用リールにも形成することができる。
本発明の好ましい実施形態によるスプールを装着した魚釣用リールの側面図。 図1のスプールの側面図。 図1のスプールの縦断面図。 図2のスプールを前方から見た図。 図3の一部の拡大図。 図5の拡大図。 スプールの本体層を形成するプリプレグの配置例の説明図。 スプールの本体層を形成する段階の説明図。 スプール本体を後方から見た図。
符号の説明
9…魚釣用リール、10…スプール、22…胴部、24…フラン部、26…スリーブ部、20…スプール本体、28…本体層、30…織布層。

Claims (6)

  1. 魚釣用リールに装着され、釣り糸を巻回する釣り用スプールであって、
    釣り糸を周部に巻回する筒状の胴部と、この胴部の軸方向の一端から径方向外方に立上がるフランジ部と、このフランジ部の外端から胴部の反対側に向けて延びる筒状のスリーブ部とを有するスプール本体を備え、
    このスプール本体は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻装して形成された本体層と、この本体層の内周側で、前記胴部の一端側からフランジ部に至る範囲に、強化繊維の織布を巻装して形成された織布層とを有することを特徴とするスプール。
  2. 前記織布層は、前記スリーブ部の内側で、前記フランジ部から離隔した側の端部まで延設されることを特徴とする請求項1に記載のスプール。
  3. 前記本体層は、胴部からスリーブ部まで軸方向に連続した3枚以上の繊維強化プリプレグを、周方向に沿って順に連ねて環状構造に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプール。
  4. 前記織布層は、引張り弾性率が30ton/mm以下の強化繊維からなる織布で形成され、前記胴部とフランジ部との間の隅部を含む本体層の内側の軸方向に沿う10mm〜15mmの範囲内で、軸方向に対して60°から120°の範囲内で屈曲する軸方向断面形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のスプール。
  5. 前記スプール本体は、フランジ部の内周側と外周側とに形成される隅部の内面がそれぞれ曲面状に形成され、内周側の隅部の方が外周側の隅部よりも、大きな曲率半径で湾曲することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のスプール。
  6. 前記スプール本体は、胴部からフランジ部を介してスリーブ部に至る最外層が、強化繊維の織布を巻装した織布層で形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のスプール。
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