JP4997154B2 - ゴルフクラブシャフトとその製造方法 - Google Patents
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Description
このようにシャフト3の中間部に急テーパ部13を設けることによって、前記目的を達成できることは勿論、シャフト3全体のバランス調整がし易くなる利点を有している。そして、前記急テーパ部13のテーパは20/1000〜120/1000mmに設定されている。
また、斯様に巻回数が1.0未満で途切れた前記部分を、ストレート層を形成する内側または外側の繊維強化プリプレグシートの前記切り込みのない位置で積層して急テーパ部を形成した結果、シャフトの急テーパ部に必要最小限のプリプレグシートを効果的に積層できるため、より一層の軽量化,強度の向上,安定化が図れる利点を有する。
そして、図2に示すようにシャフト35は、グリップ39側からヘッド37側に向って縮径する比較的緩いテーパを有する小径部43がヘッド37側に形成され、グリップ39側からヘッド37側に向って縮径する比較的緩いテーパを有する大径部45がグリップ39側に形成されて、前記小径部43と大径部45との中間部に前記テーパよりテーパの変化が大きい急テーパ部47が設けられている。
そして、本実施形態に於て、前記小径部43のテーパは約4/1000mm,急テーパ部47のテーパは約45/1000mm,大径部45のテーパは約5/1000mmに設定されている。
この場合、図示するように芯金49の大径部75にストレート部79を形成しておいてもよく、図中、符号81の先端部は、先端補強用の補助プリプレグシート51,71が巻回される領域である。そして、当該先端部81が前記ヘッド37を固定する固定部A〜Bに対応し、当該先端部81にも緩やかなテーパ部83が形成されている。
[第1工程]
まず、芯金49の先端部81に補助プリプレグシート51を巻回して、シャフト35の小径部43の先端に補強層を形成する。
[第2工程]
次に、シャフト35のねじりトルクを向上させるため、一例として芯金49の軸方向に対し強化繊維85の繊維方向を±45°の2方向に傾斜させた2枚のプリプレグシート55a,55bを重ねたプリプレグシート55を芯金49に巻回して、シャフト35のバイアス層を形成する。シャフト35の軸長方向全体を構成するシャフト本体層は、前記バイアス層と後述するストレート層及び周方向層で構成される。尚、強化繊維85の傾斜角は±35°以上±55°以下の範囲で設定する。
[第3工程]
この後、強化繊維85を軸方向に引き揃えた樹脂含有率18〜28重量%で、厚さが夫々0.08〜0.15mmの範囲で、例えば0.10mm,0.10mm,0.08mmの肉厚からなる3枚のプリプレグシート61,63,65と、強化繊維85を軸方向に引き揃えた樹脂含有率18〜28重量%,厚さ0.08〜0.15mmの範囲で、厚肉が例えば0.12mmのプリプレグシート69を芯金49に巻回する。
プリプレグシート61,63,65,69は、シャフト35のストレート層を形成するもので、これらは先端側で1.0〜1.1プライ、後端側で1.0〜1.1プライとなるように裁断されている。
幅広部61a,63a,65a,69aは、斜め後方へと傾斜してプリプレグシート61,63,65,69を幅広に形成した後、平面視三角形状の切り込み91を長手方向に入れて長手方向に突出する平面視三角形状としたもので、これらの幅広部61a,63a,65a,69aはテーパ部77の長さよりも短く、テーパ部77での巻回数が1.0未満とされている。そして、芯金49への巻回時に、幅広部61a,63a,65a,69aは、ストレート層を形成する内側または外側のプリプレグシート61,63,65,69の前記切り込み91のない位置で積層される。
このように強化繊維85の引き揃え方向が同じプリプレグシート61,63,65,69を重ねて(同じ位置の層近くに)巻回することで、十分な層間強度が得られる。
[第4工程]
そして、プリプレグ69の上から、芯金49の先端部81に強化繊維85を軸方向に引き揃えた平面視三角形状の補助プリプレグシート71を巻回する。
この補助プリプレグシート71は、ヘッド37を装着するシャフト35の先端に補強層を形成するもので、樹脂含有率28〜36重量%,厚さ0.08〜0.16mmに設定され、先端側で4.30プライ,後端側で0.00プライとなるように裁断されている。
更に、プリプレグ69の上から、芯金49のテーパ部77に、シャフトのストレート層より薄肉な補助プリプレグシート89を巻回して補強層を形成する。
図示するように補助プリプレグシート89は、強化繊維85を芯金49の軸方向と周方向に交叉させて引き揃えたもので、樹脂含有率35〜65重量%,厚さ0.02〜0.04mmに設定され、先端側で1〜2プライ,後端側で1〜4プライとなるように裁断されている。
このようにテーパ部77の最外周に補助プリプレグシート89を巻回して補強層を形成することでシャフト35の強度アップが図れ、また、後述するように当該補強層の一部を研磨除去することでシャフト35の軽量化が図れる。
[第6工程]
そして、これらの外周を緊締テープで緊縛して熱硬化処理を行った後、芯金49を引き抜き緊締テープを剥離してその外周を研磨することで、成形重量が50グラム以下のシャフト35が製造される。
しかし、幅広部61a,63a,65a,69aをプリプレグシート61,63,65,69に一体化した構成にしてしまうと、急テーパ部47は外形変化が大きいため、図4及び図5で既述した従来例と同様、プリプレグシート61,63,65,69の巻回時に、テーパ部77の領域でプリプレグシート61,63,65,69が周方向に引っ張られて強化繊維85に捩れや蛇行が生じてしまう。
そして、本実施形態は、補助プリプレグシート89で形成した補強層の一部を残し一部を研磨除去したので、形状が変化する部分の強度を向上,安定化できると共に、急テーパ部が補強層でカバーされるため、シャフト35に衝撃的な負荷が作用しても強化繊維85の端部からの剥離や層間剥離を防止することができ、耐久性,信頼性に優れたシャフトとすることができる。
更に、プリプレグシート61,63,65,69を巻回するに当たり、プリプレグシート61,63,65,69の周方向の端部位置を夫々円周方向にずらし、且つ相対的に厚さの厚いプリプレグシートを周方向の対向する位置に配置して巻回,積層したため、偏肉や強度,曲げ剛性のバラツキがなくなって方向性の少ないシャフト35を提供することが可能となった。
37 ヘッド
39 グリップ
41 ゴルフクラブ
43,73 小径部
45,75 大径部
47 急テーパ部
49 芯金
51,71,89 補助プリプレグシート
55,61,63,65,67,69 プリプレグシート
61a,63a,65a,69a 幅広部
77 テーパ部
85 強化繊維
91 切り込み
Claims (4)
- 先細テーパ状の芯金に強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグシートを巻回して形成され、
ヘッド側の小径部とグリップ側の大径部との間にテーパの変化が大きい急テーパ部が設けられたゴルフクラブシャフトであって、
芯金の先端から後端に亘って当該芯金の軸方向に対し±35°以上±55°以下の角度で強化繊維を傾斜させた繊維強化プリプレグシートを巻回,積層したバイアス層と、
芯金の先端から後端に亘って強化繊維を芯金の軸方向に引き揃えた複数枚の繊維強化プリプレグシートを巻回,積層したストレート層とでシャフト本体層が形成され、
前記ストレート層を形成する前記繊維強化プリプレグシートは、夫々、1枚毎の巻回数が2層未満の幅に形成され、且つ前記急テーパ部領域に対応して繊維強化プリプレグシートの幅を幅広にした部分に長手方向の切り込みが入れられて、1枚の繊維強化プリプレグシートの巻回数が前記急テーパ部領域で1.0未満で途切れた部分を有し、
巻回数が1.0未満で途切れた前記部分は、ストレート層を形成する内側または外側の繊維強化プリプレグシートの前記切り込みのない位置で積層されて、前記急テーパ部を形成していることを特徴とするゴルフクラブシャフト。 - 前記急テーパ部の外側に、ストレート層より薄肉な繊維強化プリプレグシートを巻回した補強層が形成され、当該補強層の一部が研磨除去されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブシャフト。
- 先細テーパ状の芯金の先端から後端に亘って当該芯金の軸方向に対し±35°以上±55°以下の角度で強化繊維を傾斜させた繊維強化プリプレグシートと、
芯金の先端から後端に亘って強化繊維を芯金の軸方向に引き揃えた複数枚の繊維強化プリプレグシートを巻回,積層して、
ヘッド側の小径部とグリップ側の大径部との間にテーパの変化が大きい急テーパ部を有するシャフト本体層を形成するゴルフクラブシャフトの製造方法であって、
強化繊維を軸方向に引き揃えた複数枚の前記繊維強化プリプレグシートを、夫々、1枚毎の巻回数が2層未満の幅に設定し、且つ前記急テーパ部領域に対応して繊維強化プリプレグシートを夫々幅広に形成すると共に、幅広に形成した当該部分に長手方向の切り込みを入れて巻回数が前記急テーパ部領域で1.0未満で途切れた部分を形成し、
巻回数が1.0未満で途切れた前記部分を、内側または外側の繊維強化プリプレグシートの前記切り込みのない位置に巻回,積層させて、前記急テーパ部を有するシャフト本体層のストレート層を形成することを特徴とするゴルフクラブシャフトの製造方法。 - 前記急テーパ部の外側に、前記ストレート層より薄肉な繊維強化プリプレグシートを巻回して補強層を形成した後、当該補強層の一部を研磨除去することを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブシャフトの製造方法。
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