JP4730821B2 - 竿体及びその製造方法 - Google Patents
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このように、3つのシートパターンを巻回する場合だけでなく、一枚のシートパターンによって、竿先部分が1層、中間部分が2層、竿尻部分が3層となるように巻回する場合にも、シートパターンは3角形状になるので、巻終端位置が筒状に形成された場合に竿体の外周面に対して螺旋状を呈することとなる。
そうすると、3層分を巻回している巻終端位置の円周方向での位相と、2層分又は1層分を巻回している巻終端位置の円周方向での位相は異なる位相となっているので、3層分を巻回している巻終端位置の円周方向での位相を基準(上向き)状態にした場合と、1、2層分を巻回している巻終端位置の円周方向での位相を基準(上向き)状態にした場合とでは、曲げ剛性が異なることとなる。
その為に、下向きに荷重が掛かった場合と横向きに荷重が掛かった場合とで竿の曲がり具合が異なるものとなるので、使い辛い面があった。
請求項1に係る発明の特徴構成は、単一のプリプレグシートを複数層に亘って巻回して形成してある竿体であって、前記竿体の内周面を、平面と曲面とからなるD型の断面形状を呈するものに構成するとともに、前記プリプレグシートの竿軸線方向全長に亘って巻始端位置と巻終端位置とを、前記平面が形成されている位相において重ね合わせて重ね合わせ部分を形成し、重ね合わせ部分の外径を前記曲面に巻回した円形部分の外径と同一又は略同一の外径に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
巻終端位置を平面が形成されている同一位相に設定して、従来のように螺旋状とならないので、螺旋状となることによる剛性の変化を抑制することができる。
一方、例えば、通常のテーパ状芯金にプリプレグシートを巻回する場合に、巻始端位置と巻終端位置とを竿の円周方向での同一位相で重ね合わせることとすると、その位相での竿の肉厚が増え剛性が高まるとともに合わせ部分が径方向に突出することとなる。そこで、肉厚の薄いプリプレグシートを何枚も重ね合わせて、径方向での突出を抑制する構成を採っていたが、プリプレグシートとして用意する枚数が多くなり、巻回する作業も負担となるので、作業能率が低下する面があった。
この問題点に対しては、竿体の内周面形状をD型断面形状として対処した。
つまり、内周面をD型断面として小径となる平面を設け、その平面位相において巻始端位置と巻終端位置とを重ね合わせたので、重ね合わせ部分の外径は曲面に巻回した円形部分の外径と同一又は略同一のものにでき、重ね合わせ部分が突出することは少ない。
したがって、プリプレグシートの巻終端位置を竿の軸線方向に沿った状態に設定するとともに、竿体の内周面形状をD型断面形状として対処することによって、巻始端位置と巻終端位置との重ね合わせ部分での径方向への突出を抑える構成を採ることによって、この重ね合わせ部分での剛性の高まりを抑え、塗装ムラが起こることを抑制でき、美観の低下を抑制できた。また、厚いプリプレグを使用することができ、使用プリプレグの枚数を減らすことができ、作業能率を高めることができた。
請求項1に係る発明と同様の作用効果を奏する。そして、この請求項2に係る発明において、複数枚のプリプレグシートを使用しているが、各プリプレグシートの厚みを厚いものにできるので、プリプレグシートとしては、従来に比べて少ない枚数でよい。
請求項3にかかる発明においては、請求項1,2に係る発明の竿体を具体的に製造する方法を提示したものであり、芯金の外周面をD型断面形状とすることによって、プリプレグシートを芯金に巻回して形成した竿体の内周面形状を平面と曲面とからなるD型断面形状とすることができた。
そして、その平面においてプリプレグシートの巻始端位置と巻終端位置とを重ね合わせることによって、巻終端位置を竿軸線方向に沿ったものにできるとともに合わせ部の径方向への突出を抑制できたのである。
ヘラ竿、鮎竿等で本願発明を説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1、二番竿2、三番竿3、元竿4とからなる。各竿を竿体と称し、各竿体1等はインロー継ぎによって連結分離可能になっている。各竿体1等の竿尻端に連結用の突起部1Aを設け、その突起部1Aを相手側の竿先開口2B等に嵌入させることによって、連結分離可能な構成を採っている。
ここに、二番竿2と三番竿3との接続構造で説明すると、図2に示すように、突起部2Aは、二番竿2とは別個に形成されて二番竿に接着固定されるものであり、相手側のD型内周面形状に合わせて、平面2aを有するD型断面に形成されている。
プリプレグは、炭素繊維等の強化繊維cをクロスさせる状態に配置し、このクロス繊維c群に対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、構成されるものであり、必要なパターン5形状に裁断されて使用される。パターン5の幅L、L’は、芯金6に3プライ分巻き付けるに十分な寸法に裁断される。
このような巻き付け方法を採ることによって、図4(ハ)に示すように、芯金6の平面6aに対応する位相では4層構造になっているが、曲面6bに対応する位相では3層構造になっており、巻き付け後の外径は平面6aに対応する部分と曲面6bに対応する部分とが差の少ない略円形にできる。
これによって、各位相間での剛性を一定のものに近づけることができ、塗装ムラを抑えることが出来たのである。
〔第2実施形態〕
3枚のメインパターン5のうちの内側のメインパターン5Aは、炭素繊維等の強化繊維cを円周方向に引き揃え、この円周方向に引き揃えた強化繊維c群に対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて構成されたプリプレグを、必要なパターン形状に裁断されたものである。メインパターン5Aの幅P、P’は、芯金6に1プライ分巻き付けるに十分な寸法に裁断される。
3枚のメインパターン5のうちの外側のメインパターン5Cは、炭素繊維等の強化繊維cを円周方向に引き揃え、この円周方向に引き揃えた強化繊維c群に対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて構成されたプリプレグを、必要なパターン形状に裁断されたものである。外側メインパターン5Cの幅は、メインパターン5A,5Bと同様である。
このような巻き付け方法を採ることによって、芯金の平面6aに対応する位相では6層構造になっているが、曲面6bに対応する位相では3層構造になっており、巻き付け後の外径は平面6aに対応する部分と曲面6bに対応する部分とが差の少ない略円形にできる。
そして、外側メインパターン5Cの外側には、第1実施形態において説明した前後補強パターン7A、7Bを巻回する構成を採っている。
(1) 釣り竿Aとしては、インロー継の竿として説明したが、並継式の竿でもよく、または、振出式の竿として構成してもよい。
(2) 前記した実施形態においては、一番竿1から元竿4の全ての竿体にD型断面形状を適用することとしたが、一番竿1については通常の円形断面のものか、又は、中実棒状のものでもよい。一番竿1は細い径のものであるので、円形断面としても、剛性の違いが大きくはない。
(3) D型断面形状を芯金6の全長に亘って設けるようにしてもよい。これによって、プリプレグを芯金6の全長に巻付けて竿体を形成できる。
5a 巻始端位置
5b 巻終端位置
6 芯金
6a 平面
Claims (3)
- 単一のプリプレグシートを複数層に亘って巻回して形成してある竿体であって、前記竿体の内周面を、平面と曲面とからなるD型の断面形状を呈するものに構成するとともに、前記プリプレグシートの竿軸線方向全長に亘って巻始端位置と巻終端位置とを、前記平面が形成されている位相において重ね合わせて重ね合わせ部分を形成し、重ね合わせ部分の外径を前記曲面に巻回した円形部分の外径と同一又は略同一の外径に形成してある竿体。
- 複数枚のプリプレグシートを巻回して複数の層を形成してある竿体であって、前記竿体の内周面を、平面と曲面とからなるD型の断面形状を呈するものに構成するとともに、前記各プリプレグシートの竿軸線方向全長に亘って巻始端位置と巻終端位置とを、前記平面が形成されている位相において重ね合わせて重ね合わせ部分を形成し、重ね合わせ部分の外径を前記曲面に巻回した円形部分の外径と同一又は略同一の外径に形成してある竿体。
- 強化繊維群と樹脂とからなるプリプレグシートを芯金に巻回して竿体を製造する竿体の製造方法であって、前記芯金の外周面における円周方向の一箇所に平面を形成して、前記芯金の断面形状を前記平面と曲面とからなるD型断面形状に形成するとともに、前記プリプレグシートを、そのプリプレグシートの竿軸線方向全長に亘って巻始端位置が前記芯金の前記平面に一致させて巻き始め、前記芯金の曲面に巻回して、そのプリプレグシートの竿軸線方向全長に亘って巻終端位置が前記平面に一致した位相で巻き終えて前記巻始端位置に重ね合わせて重ね合わせ部分を形成し、重ね合わせ部分の外径を前記曲面に巻回した円形部分の外径と同一又は略同一の外径に形成して竿体を構成する竿体の製造方法。
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