JP5041578B2 - 振出竿の合わせ部構造 - Google Patents

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本発明は、小径竿体の竿元側端部の外周面を大径竿体の竿先側端部の内周面に圧接させることによって、小径竿体を大径竿体に対して伸長状態に保持する振出竿の合わせ部構造に関する。
大径竿体を構成するに、軸線方向に沿った又は周方向に沿った強化繊維を引き揃え配置したプリプレグシートを竿全長に亘る長さに形成したメインパターンと前記メインパターンより軸線方向に沿った長さの短い長さに形成した補強パターンとを重ね合わせて構成してあった(特許文献1参照)。
特開2005−245468号公報(段落番号〔0013〕〜〔0015〕、及び、図1)
上記構成においては、大径竿体の竿先側端部において複数層に亘って重ね合わされたメインパターンを補強パターンに重ね合わせる状態で、大径竿体側の合わせ部を構成している。その為に、この合わせ部が剛性の高いものとなり過ぎており、合わせ部が曲がり難く突っ張りを生じて、合わせ部以外の竿の曲がりと合わせ部での曲がりが円滑に繋がらない状態となり、針掛かりした魚の動きに対応した柔軟な竿捌きが出来にくいものであった。
本発明の目的は、メインパターンと補強パターンとの組み合わせに工夫を加えて、合わせ部での突っ張り感を解消し、柔軟な竿捌きを行うことのできる振出竿の合わせ部構造を提供する点にある。
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、竿の周方向に強化繊維を引き揃え配置したプリプレグシートを、竿の周方向に沿った幅を1プライ分の長さでかつ竿全長に亘る長さの第1メインパターンとして形成するとともに、強化繊維を交差させる状態で編み込んだプリプレグシートを、前記第1メインパターンより軸線方向に沿った長さの短い長さの補強パターンとして形成し、竿軸線方向に強化繊維を引き揃え配置したプリプレグシートを、前記第1メインパターンの竿軸線方向に沿った長さよりも短い長さの第2メインパターンとして形成し、
前記大径竿体を構成するに、内側層として前記第1メインパターンを配置し、外側層として、前記補強パターンを竿先側に配置するとともに、前記第2メインパターンを前記補強パターンより竿元側に配置して構成し、前記補強パターンの強化繊維の配設方向を竿軸線に対して交差する傾斜状態に設定し、
前記補強パターンの竿元側端部と前記第2メインパターンの竿先側端部とを重ね合わせて配置し、前記補強パターンの竿元側端部を、竿元側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる補強パターン延長部分に形成し、前記第2メインパターンの竿先側端部を、竿先側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる第2メインパターン延長部分に形成し、前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分とを重なるように配置してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用〕
つまり、内側層に1プライ分の第1メインパターンを配置してはあるが、2層目における合わせ部相当位置に補強パターンだけを配置してあるので、従来のように、補強パターンの上に複数プライ分のメインパターンを配置するものに比べて、メインパターンの巻回数を減らすことができる。
しかも、補強パターンは強化繊維の配設方向が竿軸線方向に対して交差する傾斜状態に設定してあるので、竿自体の剛性を低下させることに機能している。つまり、魚が針掛かりした場合に、釣り竿に曲げモーメントが作用し竿の断面に軸線方向に沿った引張力が作用するが、強化繊維を軸線方向に配置した場合に最もその引張力に対する対抗力が高くなる。
一方、本発明のように、軸線方向に対して傾斜する状態に配置した場合には、軸線方向の分力で対抗することになるので、対抗力が低く、それだけ、剛性が低下するものとなる。
〔効果〕
これによって、補強パターンを主な構成要素として、竿先側端部の強度構成を構築するので、メインパターンを複数層に重ね合わせる必要はない。また、その補強パターンの強化繊維の配設方向を竿軸線方向に対して傾斜する状態に設定することと相俟って、剛性を低下でき、合わせ部での突っ張り感を解消して、柔軟な竿捌きを行うことのできる振出竿の合わせ部構造を提供することができるようになった。
補強パターンの竿元側端部と前記第2メインパターンの竿先側端部とを重ね合わせることによって、補強パターンと第2メインパターンとを隣接状態で配置する場合に比べて、補強パターンを構成する強化繊維と第2メインパターンを構成する強化繊維とが焼成時に混在することとなり繋がりができるところから、補強パターンと第2メインパターンとの連結状態を強固にできる。
そして、補強パターンと第2メインパターンとを重ね合わせる部分は、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる延長部分であるので、竿の周方向に沿った幅が一定のものを重ね合わせる場合に比べて、重なりによる剛性の増加を抑えることができる。
上記した作用効果に加えて、延長部分は、竿尻側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる状態に形成してあるので、成形用テープを螺旋状に巻回して行く際に、その成形用テープを延長部分の斜辺に沿った状態で螺旋状に巻回できる。これによって、延長部分の第2メインパターンに隣接する側辺を竿の周方向に平行な辺に形成し、その周方向に平行な辺に対して成形用テープを螺旋状に巻回していく場合に起こり易い、成形テープの螺旋ピッチの乱れ、及び、皺寄りの発生等を抑制することができる。
請求項2に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分を略三角形状のものに形成し、前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分の夫々の斜辺を、竿軸線に対して傾斜する状態でかつ互いに相手側斜辺に沿った状態になるように、前記補強パターンと前記第2メインパターンとを配置してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項2に係る発明において、第1メインパターンをマンドレルに巻回するとともに、その上から第2メインパターンと補強パターンとを巻回して竿素材を構成し、この竿素材に成形用テープを螺旋状に巻回して焼成し、焼成後成形用テープを剥離し、研磨処理を施して前記大径竿体を形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
第2メインパターンと補強パターンとを巻回する際に、周方向に強化繊維を引き揃えた第1メインパターンを内側に配置してあるので、補強パターンを直接マンドレルに巻回しその上からメインパターンを巻回する場合に比べて、補強パターンと第2メインパターンとの接合状態を安定したものにできる。
〔第1実施形態〕
振出竿の合わせ部構造について説明する。図1に示すように、小径竿体1の竿元側端部1Aの外周面を大径竿体2の竿先側端部2Aの内周面に圧接させることによって、小径竿体1を大径竿体2に対して伸長状態に保持する振出竿の合わせ部構造を構成してある。
大径竿体2の製造工程について説明する。図2に示すように、マンドレル3に第1メインパターン4Aを巻回する。第1メインパターン4Aは次ぎのように構成されている。
第1メインパターン4Aは、炭素繊維等の強化繊維cを一方向に引き揃えた繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグシートを、所定形状に裁断して形成されたものである。
第1メインパターン4Aは、図2に示すように、強化繊維cを竿の周方向に引き揃えたもので、竿の周方向に沿った幅W1を1プライ分の幅に裁断してあり、軸線に沿った方向での長さL1は、大径竿体2の全長に裁断代を加えた長さである。
以上のような形状を呈する第1メインパターン4Aを巻回して最内層とする。
次に、第2メインパターン4Bを巻回する。図2に示すように、第2メインパターン4Bは、第1メインパターン4Aと同様に、炭素繊維等の強化繊維cを一方向に引き揃えた繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグシートを形成し、そのプリプレグシートを所定形状に裁断して形成されたものである。
第2メインパターン4Bは、図2に示すように、強化繊維cを竿の軸線方向に引き揃えたもので、竿の周方向に沿った幅W1を1プライ分の幅に裁断してあり、軸線に沿った方向での長さL2は、大径竿体2の全長より短い長さに裁断されている。第2メインパターン4Bの厚さは、第1メインパターン4Aの厚さの2倍以上あるものとする。
以上のような形状を呈する第2メインパターン4Bを、その第2メインパターン4Bの竿元端を第1メインパターン4Aの竿元端に一致させた状態で巻回して第2層とする。
尚、第2メインパターン4Bの竿先端側の形状は、略三角形状の第2メインパターン延長部分4aとなっている。つまり、第2メインパターン延長部分4aは、第2メインパターン4Bにおける巻始辺4bの竿先側端aより巻終辺4cの竿先側端bを竿先側に張出す状態で斜辺4dを形成して、三角形状を呈している。
次に、補強パターン5について説明する。図2に示すように、補強パターン5は、ガラス繊維等の強化繊維cを交差させる状態で編み込んだ強化繊維群に対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグシートを裁断して形成される。
補強パターン5の竿周方向に沿った幅W1は1プライ分の長さに裁断してあり、補強パターン5の竿元端側の形状は、略三角形状の補強パターン延長部分5aとなっている。つまり、補強パターン延長部分5aは、補強パターン5における巻始辺5bの竿元側端dより巻終辺5cの竿元側端eを竿先側に位置する状態で斜辺5dを形成して、三角形状を呈している。
以上のような形状になる補強パターン5を、その補強パターン5の竿先側端辺5eが第1メインパターン4Aの竿先側端辺4eに一致する状態で巻回する。
これによって、補強パターン5の補強パターン延長部分5aが第2メインパターン4Bの第2メインパターン延長部分4aに重ね合わせる状態に巻回されている。
尚、図1及び図2に示すものは、補強パターン5の補強パターン延長部分5aが第2メインパターン4Bの第2メインパターン延長部分4aに重ね合わせる状態に巻回された状態を示すものではなく、第1メインパターン4A、第2メインパターン4B、及び、補強パターン5の形状及び構成を説明する為に記載したものである。
したがって、今回補正によって、請求項1に記載された「前記補強パターン延長部分5aと前記第2メインパターン延長部分4aとを重なるように配置してある」との記載を示す図ではなく、参考図として記載するものである
ここで、第2メインパターン4Bのシート厚さは0.13mm〜0.15mmであり、補強パターン3のシート厚みは、0.2mm〜0.3mmであり、望ましくは、0.25mmに設定される。
このように、第2メインパターン4Bと補強パターン3との厚みが異なるのは、ひとつには、第2メインパターン4Bでは強化繊維cが引き揃え状態にあるが、補強パターン5では強化繊維cが交差する状態で編み込まれていることによる。
ここに、補強パターンとして、強化繊維cを交差する状態で編み込み、かつ、強化繊維cの配設方向を竿の軸線Xに対して傾斜する状態に配置してあるので、竿自体の剛性を低下させることに機能している。ここでの傾斜角度θは、15°〜75°の間が適当である。
釣り竿に対して軸線Xに直交する方向から荷重が作用する場合には、竿の周方向に強化繊維cを配置すると、その荷重に対する対抗力が高い。これに対して、本発明のように、軸線X方向に対して傾斜する状態に配置した場合には、軸線X方向に直交する方向での分力で対抗することになるので、対抗力が低く、それだけ、剛性が低下するものとなる。
しかも、補強パターン5の強化繊維cとしてガラス繊維を使用しているので、ガラス繊維自体は柔軟性に富むものである為に、剛性を低下させるものである。
勿論、炭素繊維であっても、弾性率の低いものであればよい。例えば、10TON/mm位の低弾性率の炭素繊維であればよい。
〔第2実施形態〕
ここでは、図4に示すように、補強パターン6を巻回した状態で、第2メインパターン4Bに重ね合わせた部分に段差ができないものを提示する。図3に示すように、補強パターン6として、第1実施形態の補強パターン5と同様に延長部分6aを有する相似形状のものを使用するが、竿の周方向に沿った幅W2は、2プライ分の幅とする。この第2実施形態では、補強パターン6の厚みは第2メインパターン4Bの厚みと同じものとする。
第1実施形態の場合と同様に、第1メインパターン4Aを1プライ分巻回した後に、第2メインパターン4Bを1プライ分巻回する。次に、第2メインパターン4Bの竿先側で隣接する状態に補強パターン6を2プライ分巻回する。補強パターン6を1プライ分巻回すると、補強パターン6の斜辺6Aが先に巻回されている第2メインパターン4Bの竿先端に接触する状態で巻回される。
補強パターン6を1プライ分巻回した後、更に、もう1プライ分巻回すると、補強パターン6の竿先側部分は先に巻回されている1プライ目の部分に重ねて巻回されるとともに、竿元側に位置する延長部分6aは第2メインパターン4Bの竿先側端部の外周面に重ねられる。これによって、図4に示すように、補強パターン6の外周面は段差の無い状態になる。
〔別実施形態〕
(1) 補強パターン5,6として、強化繊維cを交差させる状態で編み込んだプリプレグシートを裁断して使用する形態を示したが、バイアス方式の補強パターン7を使用してもよい。つまり、図5に示すように、竿軸線Xに対して傾斜角θで傾斜する方向に引き揃えた強化繊維c群に対して熱硬化性樹脂を含浸させて形成した第1プリプレグシート7Aと、竿軸線Xを挟んで前記傾斜角θと反対方向に傾斜させた強化繊維c群に対して熱硬化性樹脂を含浸させて形成した第2プリプレグシート7Bとを重ね合わせて使用する補強パターン7を採用してもよい。
(2) 前記実施形態においては、図2に示すように、補強パターン5の竿元側端部に形成した補強パターン延長部分5aを第2メインフレーム4Bの竿先側端部に形成した第2メインフレーム延長部分4aに重ね合わせる構成を採っているが、反対に、第2メインフレーム4Bの竿先側端部に形成した第2メインフレーム延長部分4aを補強パターン5の竿元側端部に形成した補強パターン延長部分5aに重ね合わせる構成としてもよい。
大径竿体と小径竿体との合わせ部構造を示す縦断側面図 図1における大径竿体を形成するパターンを示し、第1メインパターン、補強パターン、第2メインパターンをマンドレルに巻回する前の状態を示す平面図 図2における補強パターンとは異なる補強パターン使用する図4における大径竿体を形成するパターンを示し、第1メインパターン、補強パターン、第2メインパターンをマンドレルに巻回する前の状態を示す平面図 大径竿体と小径竿体との合わせ部の別実施構造を示す縦断側面図 バイアス方式の補強パターンを示す平面図
1 小径竿体
1A 竿元側端部
2 大径竿体
2A 竿先側端部
3 マンドレル
4A 第1メインパターン
4B 第2メインパターン
5,6,7 補強パターン
c 強化繊維
W1、W2 幅
X 竿軸
θ 傾斜角

Claims (3)

  1. 小径竿体の竿元側端部の外周面を大径竿体の竿先側端部の内周面に圧接させることによって、小径竿体を大径竿体に対して伸長状態に保持する振出竿の合わせ部構造であって、
    竿の周方向に強化繊維を引き揃え配置したプリプレグシートを、竿の周方向に沿った幅を1プライ分の長さでかつ竿全長に亘る長さの第1メインパターンとして形成するとともに、強化繊維を交差させる状態で編み込んだプリプレグシートを、前記第1メインパターンより軸線方向に沿った長さの短い長さの補強パターンとして形成し、竿軸線方向に強化繊維を引き揃え配置したプリプレグシートを、前記第1メインパターンの竿軸線方向に沿った長さよりも短い長さの第2メインパターンとして形成し、
    前記大径竿体を構成するに、内側層として前記第1メインパターンを配置し、外側層として、前記補強パターンを竿先側に配置するとともに、前記第2メインパターンを前記補強パターンより竿元側に配置して構成し、前記補強パターンの強化繊維の配設方向を竿軸線に対して交差する傾斜状態に設定し、
    前記補強パターンの竿元側端部と前記第2メインパターンの竿先側端部とを重ね合わせて配置し、前記補強パターンの竿元側端部を、竿元側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる補強パターン延長部分に形成し、前記第2メインパターンの竿先側端部を、竿先側程、竿の周方向に沿った幅が狭くなる第2メインパターン延長部分に形成し、前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分とを重なるように配置してある振出竿の合わせ部構造。
  2. 前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分を略三角形状のものに形成し、前記補強パターン延長部分と前記第2メインパターン延長部分の夫々の斜辺を、竿軸線に対して傾斜する状態でかつ互いに相手側斜辺に沿った状態になるように、前記補強パターンと前記第2メインパターンとを配置してある請求項1記載の振出竿の合わせ部構造。
  3. 第1メインパターンをマンドレルに巻回するとともに、その上から第2メインパターンと補強パターンとを巻回して竿素材を構成し、この竿素材に成形用テープを螺旋状に巻回して焼成し、焼成後成形用テープを剥離し、研磨処理を施して前記大径竿体を形成する請求項2記載の合わせ部構造を備えた振出竿の製造方法
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