JP5823761B2 - Nf膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
段落0021には、液体分離膜の表面のゼータ電位(pH6−8)は負であることが好ましいと記載されている。
さらに本発明は、前記NF膜を有する膜モジュール、前記NF膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置を提供することを課題とする。
塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が70%以上である、NF膜を提供する。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕×100
上記のNF膜の製造方法であって、
請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜の製造方法であって、
塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜を製造する工程と、
前記工程で得られた膜と多価アミノ基含有化合物の水溶液を接触させる工程と、その後、加熱する工程を有している、NF膜の製造方法を提供する。
本発明のNF膜は、塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなるものである。
多価アミノ基含有化合物としては、ポリエチレンイミン、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミンから選ばれるものを挙げることができる。ポリエチレンイミンとしては、(株)日本触媒のエポミン(登録商標)の品番SP−003(分子量300)、SP−006(分子量600)、SP−012(分子量1200)、SP−018(分子量1800)、SP−200(分子量10、000)、P-1000(分子量70、000)等を使用することができる。
このようにNF膜表面の電位がプラスに制御されていることから、特にカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の2価イオンの除去率が高められる。
詳しい除去メカニズムは不明であるが、膜表面のゼータ電位がプラスであることにより、水中のカチオンが荷電反撥により膜透過性が減少し、特にカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの2価カチオンの除去率が高められるものと考えられる。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕×100
また、本発明のNF膜は、塩化ナトリウム(ナトリウムイオン及び塩素イオン)は、10〜50%程度除去できる。
本発明のNF膜が平膜型の場合には、5L/m2h・0.1MPa以上であり、好ましくは10L/m2h・0.1MPa以上、より好ましくは20L/m2・0.1MPa以上である。
本発明のNF膜は、軟水製造器、海水淡水化の前処理装置、人工透析用等の医療用精製水製造の前処理装置、浄水器等に適用することができる。
本発明のNF膜の製造方法は、塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜(以下、単に「塩素含有ポリマー膜」という)の製造工程(製膜工程)、接触工程及び加熱工程を有しており、さらに水洗工程や乾燥工程を付加することができる。
製膜溶液は、塩素含有ポリマーと溶媒を含むものであり、塩素含有ポリマーの含有割合は10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N、N・ジメチルホルムアミド等を使用することができる。
多価アミノ基含有化合物の水溶液中の多価アミノ基含有化合物濃度は、5〜50質量%の範囲にすることができる。
(I)塩素含有ポリマー膜をアミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬する方法、
(II)アミノ基含有化合物の水溶液を塩素含有ポリマー膜で濾過する方法、
のいずれかの接触方法を適用することが好ましい。
前記水溶液中のアミノ基含有化合物濃度が高い場合と低い場合では、濃度が高いほど接触時間を短くすることができる。
浸漬中は静置すればよいが、塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物の接触状態を高めるため、浸漬中において継続して撹拌するようにしてもよいし、浸漬開始から浸漬時間全体の10〜20%程度の時間だけ撹拌して、その後は静置するようにしてもよい。
また膜内部に含まれる空気を除くための減圧による脱泡処理をすることもできる。
加熱工程は、浸漬した塩素含有ポリマー膜を取り出した後に加熱する方法と、浸漬した状態のまま加熱する方法のいずれの方法でも適用できるが、浸漬した状態のまま加熱する方法の方が好ましい。(II)の接触方法を採った場合でもモジュール内に多価アミノ基含有化合物の水溶液を充填した状態のまま、加熱する方法が好ましい。
この加熱工程により縮合反応(付加脱離反応)が進行して塩化水素が脱離し、塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物が化学的に結合される。
なお、室温雰囲気(例えば5〜35℃)で接触させた後、そのままの状態で加熱工程(60〜120℃)に移行するときは、所定の加熱温度になるまでの時間は、実質的に接触工程となる。
加熱工程における加熱温度と加熱時間は、目的とするゼータ電位及び脱塩率(いずれも実施例に記載の方法により測定する)を考慮して調整する。
同じ塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物を使用するときには、
加熱温度を上げ、加熱時間を長くすることで、ゼータ電位が高くなり、脱塩率が上がる傾向がある。
このため、加熱温度と加熱時間を変えた組み合わせを複数実施してデータを蓄積することで、好適な範囲の加熱温度と加熱時間を容易に求めることができる。アルカリ触媒を使用する場合も同様である。
多価アミノ基含有化合物の分子量が小さい場合には分子量が大きい場合と比べて、加熱温度を高く、加熱時間を長くする。
多価アミノ基含有化合物の分子量が大きい場合には分子量が小さい場合と比べて、加熱温度を低く、加熱時間を短くする。
例えば、多価アミノ基含有化合物として分子量が1万のポリエチレンイミンを使用したとき、80〜100℃で20〜30時間程度加熱することで、ゼータ電位を+にして、かつ脱塩率を70%以上にすることができる。
水洗方法は特に制限されるものではなく、流水洗浄、洗浄水を循環させる流水循環洗浄、浸漬洗浄、浸漬撹拌洗浄等を適用することができる。
浸漬洗浄を適用するときには、塩素含有ポリマーからなる膜の体積に対して30〜300倍量程度の水(水道水、イオン交換水等)中に、前記塩素含有ポリマーからなる膜を3〜24時間浸漬する方法を適用することができる。
本発明の膜モジュールは、上記したNF膜を有するものである。
NF膜を中空糸膜型にしたときは、例えば、液出入り口を備えたケースハウジング内に多数本の中空糸膜型NF膜を充填したものにすることができる。具体的には、特開平11−333261号公報の図1に示されたもの、特開2004−330081号公報の図1に示されたものにすることができる。
NF膜を平膜型にしたときには、例えば、支持枠や支持板に平膜型のNF膜を固定したものにすることができる。具体的には、特開平10−109020号公報の図1〜4に示されたもの、特開2006−281125号公報の図1に示されたものにすることができる。
本発明の水処理装置は、本発明のNF膜を有する膜モジュールを備えた装置であり、前記膜モジュールと共に、他の膜装置(RO膜装置、UF膜装置等)、活性炭処理装置、プレフィルター、UV装置、凝集装置等の公知の水処理用の各種装置と組み合わせることができる。
例えば、特開2010−58101号公報に記載の低濃度海水の製造方法の発明を実施するための図1に示された装置、特開2002−292248号公報に記載のミネラル液の製造方法を実施するための図1〜図4に示された装置、特開2009−39696の医療用精製水の製造方法を実施するための図1に示された装置、特表平11−504564号公報に記載の水性溶液のナノ濾過方法を実施するための図1に示された装置のNF膜モジュールとして本願発明のNF膜モジュールを使用することができる。
膜のゼータ電位は、ゼータ電位測定システムELSZ(大塚電子株式会社製)を用いて、電気泳動光散乱法により測定した。
具体的には,平板試料用セルユニット(大塚電子株式会社製)に膜を設置し、モニター粒子(大塚電子製)を分散させたpH=6〜7、10mMNaCI水溶液でセルを満たし電気泳動測定を行い,ゼータ電位を算出した。
実施例及び比較例で得た中空糸膜の両端を開口させたもの5本を用い、両端側をエポキシ樹脂で封止したものをケースハウジングに収容して、試験用中空糸膜モジュールを作製した。
この試験用中空糸膜モジュールの一端側から、中空糸膜の内側に100mg/Lの塩化カルシウム水溶液を0.5MPaの圧力を加えて供給しながら、他端側から濃縮水を排出する内圧クロスフロー濾過を行った。中空糸内の塩化カルシウム水溶液の線速は0.5m/sであった。
安定状態の下、供給液、透過液及び濃縮液を採取し、ドロップテスト(共立理化学研究所社製のWAD−TH)を用いて、それぞれの硬度を測定し、下記式からCa除去率(%)を求めた。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕×100
上記の試験用中空糸膜モジュールの一端側を閉じた状態で、他端側から純水を0.5MPaで供給し、中空糸膜から一定時間に透過する純水の質量を測定した。この質量を採取時間(h)、中空糸膜内表面の膜面積(m2)、圧力(0.5MPa)で除して、純水透過係数〔L/m2h・0.1MPa〕を求めた。
〔製膜工程〕
N−メチル−2−ピロリドン83質量%量にPVC(ポリ塩化ビニル)17質量%量を加え、80℃で5時間加熱溶解して、製膜溶液を得た。その後、製膜溶液を60℃で15時間かけて脱泡した。
脱泡した製膜溶液を用い、二重紡糸ノズルにより40℃で紡糸した。内部凝固液として20℃の水を用いた。
二重紡糸ノズルから吐出させた後、距離100mmの乾燥空間(40℃)を通して乾燥させた後、40℃の水が入った凝固槽を通過させた。
その後、さらに40℃の水が入った水洗槽を通過させてPVC中空糸膜を巻き取った。
PVC中空糸膜(内径0.5mm、外径0.8mm、長さ1000mmのもの)を表1に示すPEIの水溶液(25℃)中に3分間浸漬した状態で、減圧脱泡を行った。
PVC中空糸膜をPEI水溶液に接触させた状態のまま、乾燥機内で表1に示す条件で加熱処理した。
PEI:(株)日本触媒のエポミン(登録商標)SP−006(分子量600)、SP−200(分子量10、000)
PVC中空糸膜に代えて、表2に示す塩素化PVC(塩素化ポリ塩化ビニル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてNF膜を得た。但し、加熱条件は表2に示す条件で行った。
PEI:(株)日本触媒のエポミン(登録商標)SP−006(分子量600)、SP−200(分子量10、000)
Claims (4)
- pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が80%以上であるNF膜の製造方法であって、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルから選ばれる塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜を製造する工程と、
前記工程で得られた膜を塩基による処理をすることなくポリエチレンイミン、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミンから選ばれる多価アミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬する工程と、
その後、前記膜を多価アミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬したままで加熱する工程を有している、NF膜の製造方法。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕×100 - pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が80%以上であるNF膜の製造方法であって、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルから選ばれる塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜を製造する工程と、
前記工程で得られた膜を塩基による処理をすることなくポリエチレンイミン、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミンから選ばれる多価アミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬する工程と、
その後、前記膜を多価アミノ基含有化合物の水溶液から取り出した後で、60〜120℃で0.5〜60時間加熱する工程を有している、NF膜の製造方法。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕×100 - 加熱工程が60〜120℃で0.5〜60時間加熱する工程である、請求項1記載のNF膜の製造方法。
- NF膜が中空糸型又は平膜型である、請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜の製造方法。
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