JP6109492B2 - Nf平膜とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水道水、天然水中の硬度成分を除去するためのNF平膜とその製造方法、NF平膜を用いた膜モジュール、前記膜モジュールを備えた水処理装置に関する。
水道水等の原水から、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の硬度成分を除去する方法としては、イオン交換樹脂を用いる軟水化方法、水酸化カルシウム等の凝結剤を用いる方法、逆浸透膜やナノ濾過膜を用いる方法が知られている。
イオン交換樹脂を用いる軟水化方法では、イオン交換樹脂に硬度成分が吸着して飽和すると、食塩を用いてイオン交換樹脂を再生する必要がある。このため、硬度成分の濃度が高くなると、再生頻度が高くなり、手間と費用がかかることになる。
水酸化カルシウム等の凝結剤を用いる方法では、硬度成分の除去率を上げるためには凝結剤の添加量が増加することから、前記除去率を高めることが困難である。
逆浸透膜やナノ濾過膜(NF膜)を用いる方法では、従来の逆浸透膜やナノ濾過膜は原水側に高い圧力を作用させて硬度成分を除去しなければならず、処理水量当たりの運転動力が大きくなり、エネルギー効率が悪かった。また、低圧で硬度分の除去率の高い膜も得られているが(特許文献1、2)、その場合においても、透水量が低く、処理効率に問題が残っていた。
さらに代表的なポリアミド系、あるいはポリイミド系の逆浸透膜やナノ濾過膜は耐熱性が低く加熱処理による熱水殺菌等を行いにくい問題があった。
特許文献3は、液体分離膜に関する発明である。請求項6、段落0024には、支持体上に多官能アミン水溶液を塗布した後、さらに多官能ハロゲン化合物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、支持体上で多官能アミンと多官能ハロゲン化合物を重縮合反応させて液体分離膜を製造することが記載されている。
段落0021には、液体分離膜の表面のゼータ電位(pH6−8)は負であることが好ましいと記載されている。
特開平9−10566号公報 特開2001−968号公報 特開2005−46659号公報
本発明は、硬度成分、特に2価イオン(カルシウム、マグネシウム)の除去率と透水量が高く、かつ耐熱性の高く軟水化用として好適なNF平膜とその製造方法を提供することを課題とする。
さらに本発明は、前記NF平膜を有する膜モジュール、前記NF平膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、
基材とその上に形成されたスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物からなる層を有する平膜基材にカチオン性ポリマーが結合されたものである、NF平膜を提供する。
本発明は、他の課題の解決手段として、
上記のNF平膜の製造方法であって、
基材上にスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物からかなる層を形成して平膜基材を得る工程と、
前記工程で得られた平膜基材とカチオン性ポリマーの水溶液を接触させる工程を有している、NF平膜の製造方法を提供する。
さらに本発明は、別の課題の解決手段として、前中NF平膜を有する膜モジュール、前記NF平膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置を提供する。
本発明のNF平膜は、2価イオンの除去率が高められるため、高い脱塩率を有すると共に、高い透水量と高い耐熱性を有するものとなる。
<平膜型NF膜>
本発明の平膜型NF膜(NF平膜)は、基材とその上に形成されたスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物からなる層を有する平膜基材にカチオン性ポリマーが結合されたものである。
ここで「結合された」とは、前記平膜(平膜基材)に対してカチオン性ポリマーが単に付着されているものではなく、膜製造段階での水洗でも脱落せず、さらに長期運転でも濾過性能の減少が殆どない程度にまで強く結合された状態であることを意味する。
結合状態の詳細は不明であるが、スルホン化ポリエーテルスルホンのスルホ基とカチオン性ポリマーの間でイオン結合されている状態や、平膜(平膜基材)の細孔内にカチオン性ポリマーが浸透して保持されている状態が含まれると考えられる。
本発明のNF平膜は、平膜基材にカチオン性ポリマーが結合されたものであるため、pH6〜7における表面のゼータ電位が+になる。
基材は、スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物からなる層を支持するためのものである。
基材は、耐水性のほか、可撓性があるものが好ましく、不織布、織布、プラスチックシート等からなるものを使用することができる。基材の厚みは、80〜300μmが好ましく、100〜200μmがより好ましい。
スルホン化ポリエーテルスルホンは、例えば特開平02―208322号公報、或いは米国特許4508852明細書に製造方法に記載の方法を適用して製造することができる。
スルホン化ポリエーテルスルホンのスルホン化度(置換度)は、0.04〜0.22が好ましく、0.06〜0.20がより好ましく、0.10〜0.18がさらに好ましい。スルホン化度が前記範囲内であると、内圧式の中空糸型NF膜にしたときの硬度成分の除去率と純水透過係数の両方を高めることができる。
スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンの合計量中の含有割合は、スルホン化ポリエーテルスルホンは20〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましく、ポリエーテルスルホン系ポリマーは80〜50質量%が好ましく、80〜60質量%がより好ましい。
両成分の割合が前記範囲内であると、NF平膜の硬度成分の除去率と純水透過係数の両方を高めることができる。
スルホン化ポリエーテルスルホンのスルホ基は塩型及び酸型のものを使用できるが、溶媒に対する溶解性を高めることができるため酸型が好ましい。
また、酸型のものを用いることにより、ドープ溶液中の異物ゲル量が減り、得られる中空糸膜の膜リークが少なくなる効果も得られる。
さらに、酸型のものの場合、平膜の膜強度が高まるため、長期使用においてもより安定性が向上した分離膜を得ることができる。
スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物は、そのほかにも、ポリエチレングリコール、塩化リチウム等を少量含有することができる。
カチオン性ポリマーとしては、ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩、ジアリルジアルキルアンモニウム塩由来の構成単位を含む共重合体、ポリジアリルアミン無機酸塩(好ましくは塩酸塩)、ポリエチレンイミン、ヒドロキシポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアミジンから選ばれるものを挙げることができ、これらの中でもポリジアリルジアルキルアンモニウム塩が好ましい。
ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩は、対イオンとしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を有しているものであり、その他、硫酸、硝酸、リン酸及び炭酸等のアニオンを有しているものでもよい。
ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩としては、ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリドが好ましい。
ポリジアリルジメチルアンモニウム塩の分子量は、5,000〜300,000の範囲が好ましい。
ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩(ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド)は、日東紡社製の品番PAS-H-1L(分子量8,500)、品番PAS-H-5L(分子量40,000)、品番PAS-H-10L(分子量200,000)等の市販品を使用することもできる。
本発明のNF平膜の厚みは特に制限されるものはないが、好ましくは150〜550μm、より好ましくは180〜350μmである。このうち、基材厚みを除いた膜分離機能層となるスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含む混合物からなる層の厚み(但し、基材内部に浸透した部分は含まない)は、好ましくは50〜250μm、より好ましくは、80〜150μmである。
本発明のNF平膜は、下記式から求められる硬度成分除去率が30%以上のものが好ましく、40%以上のものがより好ましい。
=〔1−(透過液中の硬度成分量)/{(供給液中の硬度成分量+濃縮液中の硬度成分量)/2}〕
本発明のNF平膜は、純水透過係数(PWP)が1L/m2h・0.1MPa以上のものが好ましく、より好ましくは3L/m2h・0.1MPa以上、さらに好ましくは5L/m2h・0.1MPa以上である。
本発明のNF平膜における硬度成分除去率と純水透過係数の関係は、硬度成分除去率が高くなると純水透過係数が低下し、純水透過係数が高くなると硬度成分除去率が低くなる傾向がある。
このため、硬度成分除去率と純水透過係数をバランス良く高いレベルで維持させる観点から、硬度成分除去率を40%以上に維持し、純水透過係数を5L/m2h・0.1MPa以上に維持することが好ましい。
本発明のNF平膜は、水道水、河川水、湖沼水、海水等から硬度成分等を除去して軟水を製造するための膜として好適である。
本発明のNF平膜は、軟水製造器、海水淡水化の前処理装置、人工透析用等の医療用精製水製造の前処理装置、浄水器等に適用することができる。
<NF平膜の製造方法>
製膜溶液は、スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを溶媒に溶解させて調製する。
溶媒にスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを一緒に添加して溶解させてもよいが、溶媒に先にスルホン化ポリエーテルスルホンを添加溶解させた後、ポリエーテルスルホンを添加溶解させることが望ましい。
溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N、N・ジメチルホルムアミド等を使用することができる。
製膜溶液中のスルホン化ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン及び溶媒の割合は、
スルホン化ポリエーテルスルホンは5〜20質量%が好ましく、8〜15質量%がより好ましく、
ポリエーテルスルホンは10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましく、
溶媒は合計で100質量%とする調整量である。
さらには、膜強度を高めるため、製膜溶液中の総ポリマー成分濃度(スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンの合計濃度)が20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。
その後、得られた製膜溶液を脱泡後、平膜基材を得る。
平膜基材は、基材(不織布等)に製膜溶液を塗布する方法、基材(不織布等)を製膜溶液中に浸漬する方法等を適用することができる。
塗布法を適用する場合、好ましくは脱泡した製膜溶液(必要に応じて加温する)を基材面積100cm2に対して1〜20ml程度塗布することができる。
浸漬法を適用する場合、好ましくは脱泡した製膜溶液(必要に応じて加温する)中に平膜基材が完全に浸かった状態で1〜30分間保持することができる。
塗布法、あるいは浸漬法によって得られた平膜基材は、直ちに加温した水中に浸漬することにより相分離法で膜分離機能層が形成され、その後、室温の純水に浸漬して、湿潤状態で次工程に備えることが好ましい。
次の工程において、上記の方法で製造した平膜基材とカチオン性ポリマーの水溶液を接触させる。
カチオン性ポリマー水溶液中のカチオン性ポリマー濃度は、5〜50質量%の範囲にすることができる。
接触工程は、平膜基材とカチオン性ポリマー水溶液が十分に接触できる方法であれば特に制限されるものではないが、本発明では、
(I)平膜基材をカチオン性ポリマー水溶液中に浸漬する方法、
(II)カチオン性ポリマー水溶液を平膜基材で濾過する方法、
のいずれかの接触方法を適用することが好ましい。
(I)の接触方法は、平膜基材の体積に対して2〜20倍量程度のカチオン性ポリマー水溶液中に、10〜120℃で0.5〜24時間、平膜基材を浸漬する方法を適用することができる。
前記水溶液中のカチオン性ポリマー濃度が高い場合と低い場合では、濃度が高いほど接触時間を短くすることができる。
前記温度が高い場合と低い場合では、温度が高いほど接触時間を短くすることができる。よって、室温(10〜30℃)よりも高い温度で接触させることが好ましい。
接触させる場合には、平膜基材の内部に含まれる空気を除くための減圧による脱泡処理をすることもできる。
(II)の接触方法は、平膜基材を含む膜モジュールとした状態で、通常の濾過運転条件にてカチオン性ポリマー水溶液を通液しモジュール内に充填する濾過する方法を適用することができる。
接触工程の後で水洗することが好ましい。
水洗工程は、加熱工程後の平膜又は膜モジュール内の平膜を水洗して、未反応のカチオン性ポリマーを除去する工程である。
水洗方法は特に制限されるものではなく、流水洗浄、洗浄水を循環させる流水循環洗浄、浸漬洗浄、浸漬撹拌洗浄等を適用することができる。
浸漬洗浄を適用するときには、平膜の体積に対して30〜300倍量程度の水(水道水、イオン交換水等)中に、前記平膜を1〜20時間浸漬する方法を適用することができる。
得られたNF平膜は、脱塩率が70%以上のものが好ましく、75%以上のものがより好ましく、80%以上のものがさらに好ましい。
<膜モジュール>
本発明の膜モジュールは、上記したNF平膜を有するものであり、シート型、スパイラル型、回転平膜型等にすることができる。
具体的には、特開2004−8958号公報に記載されたスパイラル型のナノ濾過膜モジュール(図3)を挙げることができる。
<水処理装置>
本発明の水処理装置は、本発明のNF平膜を有する膜モジュールを備えた装置であり、前記膜モジュールと共に、他の膜装置(RO膜装置、UF膜装置等)、活性炭処理装置、プレフィルター、UV装置、凝集装置等の公知の水処理用の各種装置と組み合わせることができる。
例えば、特開2010−58101号公報に記載の低濃度海水の製造方法の発明を実施するための図1に示された装置、特開2002−292248号公報に記載のミネラル液の製造方法を実施するための図1〜図4に示された装置、特開2009−39696の医療用精製水の製造方法を実施するための図1に示された装置、特表平11−504564号公報に記載の水性溶液のナノ濾過方法を実施するための図1に示された装置のNF膜モジュールとして本願発明のNF平膜モジュールを使用することができる。
(1)スルホン化度(置換度)
精製、乾燥後のスルホン化ポリエーテルスルホンを重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、600MHz H-NMR(BRUKER AVANCE 600)より測定した。1H- NMRスペクトルで得られた芳香環水素のピーク積分値及び下式(1)より、スルホン化度(置換度)(%)を算出した。
スルホン化度(置換度)(%)
={[8.2〜8.5ppmの積分値(図1中の(1))/{([6.8〜8.2ppmの積分値(図1中の(2)〜(5))-[8.2〜8.5ppmの積分値]×2]/4+[8.2〜8.5ppmの積分値])×10
Figure 0006109492
(2)純水透過係数(PWP)
純水透過係数(PWP)は攪拌式セル(ミリポア社製)を用いて測定した。セルの原水側から水道水を0.2MPaで供給し、約240分間運転して安定状態になった後、平膜から一定時間に透過する水道水の質量を測定した。この質量を採取時間(h)、平膜内表面の膜面積(m2)、圧力(0.2MPa)で除して、純水透過係数〔L/m2・h・0.1MPa〕を求めた。
(3)硬度成分の除去率(脱塩率)
硬度成分の除去率(脱塩率)は、攪拌式セル(メルクミリポア社製、Amicon8200型)を用いて測定した。セル容量は180ml、有効膜面積28.7cm2であり、このセルに20L原水タンクを接続して、連続通液運転した。
セルの原水タンクから水道水を0.2MPaで供給し、平膜から一定時間に透過する水道水の質量を測定した。
安定状態の下(前記の濾過条件で約240分間運転した後)、供給液、透過液及を採取し、全硬度分の測定により硬度を測定した。
全硬度分は、ドロップテスト(共立理化学研究所社製、WAD−TH)を用いて測定を行った。試料液それぞれの硬度測定値を用いて、下記式から硬度成分除去率(%)を求めた。
硬度成分除去率
=〔1−(透過液中の硬度成分量)/(供給液中の硬度成分量)〕
(4)Z電位(mV)
膜のゼータ電位は、ゼータ電位測定システムELSZ(大塚電子株式会社製)を用いて、電気泳動光散乱法により測定した。
具体的には,平板試料用セルユニット(大塚電子株式会社製)に膜を設置し、モニター粒子(大塚電子製)を分散させたpH=6〜7、10mMNaCI水溶液でセルを満たし電気泳動測定を行い,ゼータ電位を算出した。
実施例1
(製膜溶液の調製工程)
ジメチルスルホキシド(DMSO)68質量%量にスルホン化度(置換度)0.18の酸型スルホン化ポリエーテルスルホン(SPES)9質量%量を加え、90℃で約1時間加熱して溶解させた。
次に、前記溶液にポリエーテルスルホン(PES)(住友化学(株)製,住化エクセル5003)23質量%量を加え、90℃で約6時間加熱溶解して、製膜溶液を得た。
その後、製膜溶液を90℃で15時間かけて脱泡した。
(平膜基材の作製)
脱泡した製膜溶液10mlを60℃にして、基材となる不織布(日本バイリーン社製、MF90,厚さ150μm)300cm2にバーコーターにて室温で塗布した。製膜溶液を塗布した不織布を60℃の揖保川河川水の凝集沈殿後砂ろ過水に浸漬させて相分離法にて平膜基材を作製した。その後、室温の純水に浸して15時間静置した。平膜基材における分離膜機能層の厚みは、100μmであった。
(NF平膜の作製)
平膜基材をポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)(日東紡社製、PAS−H−5L)2.8質量%量の水溶液(80℃)中で3時間、平膜基材が前記水溶液に完全に浸かった状態で浸漬させた。
その後、流水(水道水)に30分浸して余剰のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを落として、さらにイオン交換水に15時間浸漬させた。
実施例2
平膜基材を2.8質量%量の水溶液に40℃3時間に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして、NF平膜を作製した。
実施例3
分子量200,000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)(日東紡社製、PAS−H−10L)を使用した以外は実施例1と同様にして、NF平膜を作製した。
実施例4
平膜基材を分子量200,000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)1質量%量の水溶液に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして、NF平膜を作製した。
実施例5
平膜基材をポリジアリルアミン塩酸塩(DAA−HCl)(日東紡社製、PAS−21CL)に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして、NF平膜を作製した。
比較例1
実施例1で得た平膜基材を比較例1の平膜とした。
Figure 0006109492
本発明のNF平膜は、PWPと硬度成分除去率をバランスよく具備している。
なお、実施例1において、流水で30分間洗浄し、さらにイオン交換水中に15時間浸漬して余剰のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)を洗浄したことからも確認できるとおり、平膜基材とカチオン性ポリマーは強く結合されているものである。
実施例1〜4(カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを使用)と、実施例5(カチオン性ポリマーとしてポリジアリルアミン塩酸塩(DAA−HCl)を使用)では、実施例1〜4の方がPWPと脱塩率のバランスが良かった。
実施例6、7、比較例2(長期運転試験)
実施例3、5、比較例1のNF平膜を使用して、「(3)硬度成分の除去率(脱塩率)」で用いた平膜セルを用いて長期運転試験を行った。
長期運転試験で用いた原水は、兵庫県姫路市網干地区の水道水(硬度50)である。
Figure 0006109492
表2に示す運転時間は、安定状態になるまで240分間運転した後からの運転時間である。
実施例3のNF平膜を備えた膜モジュールを使用した長期濾過運転においても、安定した硬度成分除去率を示した。
実施例3(カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを使用)と、実施例5(カチオン性ポリマーとしてポリジアリルアミン塩酸塩を使用)では、実施例3の方が時間経過によるPWPと脱塩率の変化が小さかった。
この事実から、本発明のNF平膜では、平膜基材とポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドが強く結合されていることと、平膜基材とポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドの結合力の方が、平膜基材とポリジアリルアミン塩酸塩との結合力よりも高いことが確認できる。
実施例8(熱水浸漬試験)
製膜溶液を次の方法で調製したほかは、実施例1と同様にして、NF平膜を作製した。 ジメチルスルホキシド(DMSO)65質量%量にスルホン化度(置換度)0.18の酸型スルホン化ポリエーテルスルホン(SPES)10質量%量を加えて加熱溶解させた。
次に、前記溶液にポリエーテルスルホン(PES)(住友化学(株)製,住化エクセル5003)25質量%量にして加熱溶解して製膜溶液を得た。
90℃の熱水中に、1時間、3時間、9時間浸漬した前記のNF平膜を使用して、脱塩率とPWPを測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006109492
表3に示すように、性能の変化は見られず耐熱性の高い平膜であることが分かった。

Claims (2)

  1. 基材とその上に形成されたスルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンを含み、ポリビニルピロリドンを含まない混合物からなる層を有する平膜基材にカチオン性ポリマーが結合されたものである、NF平膜であって、
    スルホン化ポリエーテルスルホンとポリエーテルスルホンの合計量中の含有割合が、スルホン化ポリエーテルスルホン20〜50質量%、ポリエーテルスルホン80〜50質量%であり、
    スルホン化ポリエーテルスルホンのスルホン化度が0.10〜0.18であり、
    カチオン性ポリマーが、ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩、ポリジアリルアミン無機酸塩から選ばれるものである、NF平膜。
  2. 回収率10%の運転条件において、下記式から求められる硬度成分除去率が75%以上である、請求項記載の内圧式のNF平膜。
    硬度成分除去率
    =〔1−(透過液中の硬度成分量)/{(供給液中の硬度成分量+濃縮液中の硬度成分量)/2}〕
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