JP2012143750A - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い透水性能と高い塩除去性能を持ち、かつ高い耐酸・アルカリ性を持つ複合半透膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によってポリアミド分離機能層を形成する工程A、続いて前記ポリアミド分離機能層にpH1以下の溶液を接触させる工程B、次に前記ポリアミド分離機能層に40℃以上65℃以下の水を接触させる工程Cを行うことを特徴とする複合半透膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い透水性と高い塩除去性能を持ち、かつ高い耐酸・アルカリ性を持つ複合半透膜に関するものである。本発明によって得られる複合半透膜は、例えば海水やかん水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものとの2種類がある。なかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い分離膜として広く用いられている。
逆浸透膜を用いる造水プラントではランニングコストの一層の低減を図るため、より高い透水性能が求められている。このような要求に対し、分離活性層として架橋ポリアミド重合体を設けた複合半透膜について、酸を接触させる方法(特許文献1、2)や亜硝酸を含む水溶液に接触処理させる方法が知られている(特許文献3)。
特開2000−237559号公報 特開平2−68102号公報 特開2007−90192号公報
特許文献1、特許文献2では透水性能を高めることができるが、NaClなど1価の塩に対する除去性能が低くなる課題があった。また、特許文献3では透水性能および塩除去性能を向上させることができるが、耐酸・アルカリ性が低下してしまう課題があった。
本発明の目的は、高い透水性能と高い塩除去性能を持ち、かつ高い耐酸・アルカリ性を持つ複合半透膜の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の複合半透膜の製造方法は、多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によってポリアミド分離機能層を形成する工程Aと、前記ポリアミド分離機能層にpH1以下の溶液を接触させる工程Bと、前記工程Bの後に前記ポリアミド分離機能層に40℃以上65℃以下の水を接触させる工程Cと、を備える。
本発明は、高い透水性能と高い塩除去性能を持ち、かつ高い耐酸・アルカリ性を持つ複合半透膜の製造方法を提供することができる。よってこの複合半透膜によれば、品質の高い透過水を省エネルギーで得ることができるようになる。また、酸洗浄やアルカリ洗浄などに強い膜を得ることができる。
1.複合半透膜
本発明の複合半透膜は、基材および多孔性支持層を備える多孔性支持膜と、多孔性支持膜上に形成されたポリアミド分離機能層とを備える。
1−1.多孔性支持膜
多孔性支持膜は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層に強度を与えるためのものであり、基材と多孔性支持層からなる。孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような支持膜が好ましい。
多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されない。多孔性支持膜は、例えば基材に高分子重合体を流延することで形成された多孔性支持層を有することができる。
基材としては、ポリエステルまたは芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とする布帛が例示される。機械的、熱的に安定性の高いポリエステルを使用するのが特に好ましい。
基材に用いられる布帛には、長繊維不織布や短繊維不織布を好ましく用いることができるが、基材には高分子重合体の溶液を流延した際にそれが過浸透により裏抜けしたり、多孔性支持層が剥離したり、さらには基材の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求されることから、中でも長繊維不織布をより好ましく用いることができる。
基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜の連続製膜においては、製膜方向に対し張力がかけられることからも、基材にはより寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましく、特に、多孔性支持層と反対側に配置される繊維が、製膜方向に対して縦配向であることにより、強度を保ち、膜破れ等を防ぐことができる。
基材の多孔性支持層と反対側に配置される繊維の繊維配向度としては0°〜25°の範囲にあることが好ましい。
ここで繊維配向度とは、多孔性支持膜を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち不織布基材の幅方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
複合半透膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持膜または複合半透膜が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。
不織布基材において多孔性支持層と反対側に配置される繊維と多孔性支持層側に配置される繊維との配向度差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することができ好ましい。
基材に流延する樹脂の種類としては、例えばポリスルホンや酢酸セルロースやポリ塩化ビニル、あるいはそれらを混合したものが好ましく使用され、化学的、機械的、熱的に安定性の高いポリスルホンを使用するのが特に好ましい。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 2012143750
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した多孔性支持膜を得ることができる。
上記の多孔性支持膜の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。多孔性支持膜の厚みは、十分な機械的強度および充填密度を得るためには、50μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100μm以上250μm以下の範囲内である。また、多孔性支持膜を強化する基材の厚みは、10μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上120μm以下の範囲内である。
多孔性支持膜の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)によって観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真から多孔性支持層の膜厚や表面孔径を決定することができる。
なお、本発明における厚みおよび孔径は平均値を意味するものである。厚みは、1つの多孔性支持膜において任意の5箇所における断面観察の電子顕微鏡写真から厚みを測定し、測定結果から算出される1箇所当たりの平均値を算出することで求められる。孔径は、1つの多孔性支持膜において任意の3箇所における表面観察の電子顕微鏡写真を撮り、一枚の電子顕微鏡写真中にある孔の孔径と数を測定して平均値を算出し、3箇所の測定結果から1箇所あたりの平均値を算出することで、求められる。
本発明に使用する多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することもできる。
多孔性支持層の厚みは、20μm以上40μm以下の範囲内にあることが好ましい。多孔性支持層の厚みが20μm以上であることで、良好な耐圧性が得られると共に、欠点のない均一な多孔性支持膜を得ることができるので、このような多孔性支持層を備える複合半透膜は、良好な除去率を示すことができる。多孔性支持層の厚みが40μmを超えると、未反応物質の残存量が増加し、それによる閉塞が起きて透水性が低下するとともに、未反応物質が溶出するため耐薬品性が低下する。
なお、基材の厚みおよび複合半透膜の厚みは、走査型電子顕微鏡で測定する以外にも、デジタルシックネスゲージによって測定することができる。また、分離機能層の厚みは多孔性支持膜と比較して非常に薄いので、複合半透膜の厚みを多孔性支持膜の厚みとみなすことができる。従って、多孔性支持層の厚みを、複合半透膜の厚みをデジタルシックネスゲージで測定し、複合半透膜の厚みから基材の厚みを引くことで簡易的に算出することができる。デジタルシックネスゲージは尾崎製作所株式会社のPEACOCKなどが使用できる。なお、電子顕微鏡による厚み測定と同様に、デジタルシックネスゲージによる厚み測定についても平均値を厚みとして扱うことができる。特に、デジタルシックネスゲージを用いる場合は、20箇所について厚みを測定して平均値を算出することができる。
上述した方法の少なくとも1つにより得られた多孔性支持層の厚みが、上記範囲内にあればよい。
1−2.分離機能層
分離機能層は、具体的には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなる架橋ポリアミドからなる。
すなわち、複合半透膜は、実質的に分離性能を有する分離機能層と、分離機能層に被覆され、かつ実質的に分離性能を有さない多孔性支持膜と、を備えることができる。
ここで多官能アミンは芳香族多官能アミンと脂肪族多官能アミンの少なくとも1つの成分からなる。
芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどがあり、そのN−アルキル化物としてN,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミンなどが例示され、性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。
また、脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミンおよびその誘導体である。例えば、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジン、エチレンジアミンなどが例示され、性能発現の安定性から、特に、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジンが好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多孔性支持膜を破壊しないものであり、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しないものであればいずれであっても良い。代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
2.製造方法
次に、本発明の複合半透膜の製造方法について説明する。複合半透膜中の実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層は、例えば、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する、水とは非混和性の有機溶媒溶液を用い、前述の多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることにより形成される(工程A)。
多官能アミンを含有する水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液には、両成分間の反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
ここで、多官能アミンを含有する水溶液の濃度は、0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上15重量%以下である。
多孔性支持膜表面への多官能アミンを含有する水溶液の被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。次いで、過剰に塗布された該水溶液を液切り工程により除去することが好ましい。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。その後、多官能アミンを含有する水溶液で被覆した多孔性支持膜に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。
多官能酸ハロゲン化物の濃度は特に限定されないが、低すぎると活性層である分離機能層の形成が不十分となり欠点になる可能性があり、高すぎるとコスト面から不利になるため、有機溶媒溶液中で0.01重量%以上1.0重量%以下程度が好ましい。反応後の有機溶媒の除去は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1分以上5分以下の間にあることが好ましく、1分以上3分以下の間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
続いて、上記方法により得られたポリアミド分離機能層にpH1以下の溶液に接触させる(工程B)。接触させる方法は特に限定されないが、例えば複合半透膜表面に該溶液をコーティングする方法や複合半透膜を該溶液に浸漬させる方法等がある。
溶液の成分としては、pHを1以下にできるものならば特に限定されず、例えば塩酸、硫酸、硝酸といった無機酸やシュウ酸といった有機酸等が挙げられる。本発明において、溶液のpHが1以下であるのは、1よりも高いpHであると透水性能を高める効果が十分に得られないためである。
接触させる際の溶液温度と接触時間は、目的の透水性能を得るために適宜調節することができる。溶液の温度は、20℃以上95℃以下の範囲内が好ましい。温度が95℃より高いと加水分解によって複合半透膜が劣化する恐れがあり、温度が20℃より低いと透水性能向上効果が得られるまでに時間がかかる。接触時間は、1分以上24時間以下の範囲内が好ましい。短時間で処理したい場合は溶液温度を高くすると良く、50℃以上90℃以下の範囲が好ましい。工程Bにより、ポリアミドの末端官能基に荷電を持たせることで静電反発が起き、ポリアミド同士の絡み合いが解けるため、透水性能と耐薬品性が向上すると考えられる。
さらに工程Bの後に、ポリアミド分離機能層に40℃以上65℃以下の水を接触させる(工程C)。温度が40℃より低いと塩除去性能が向上せず、65℃より高いと透水性能が大きく低下してしまう。水を接触させる方法は特に限定されないが、例えば複合半透膜表面にシャワーリングによって塗布する方法や複合半透膜を浸漬させる方法等がある。工程Cにより、解かれたポリアミドが熱によって運動し、より安定な構造へと変化するため、塩除去性能が向上すると考えられる。
3.複合半透膜の利用
複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
参考例、比較例、実施例における膜の特性は、複合半透膜に、温度25℃、pH7、塩化ナトリウム濃度2000ppmに調整した評価水を操作圧力1.55MPaで供給して膜ろ過処理を行ない、透過水、供給水の水質を測定することにより求めた。
(NaCl除去率)
NaCl除去率(%)=100×{1−(透過水中のNaCl濃度/供給水中のNaCl濃度)}
(膜透過流束)
供給水(NaCl水溶液)の膜透過水量を、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m/m/日)を求めた。
(耐薬品性試験)
複合半透膜を硫酸でpHを1に調整した水溶液に1時間浸漬し、続いて水酸化ナトリウムでpHを13に調整した水溶液に1時間浸漬させ、最後に純水で洗浄して性能評価を行った。
<参考例>
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1cc/cm/sec)上にポリスルホンの15.0重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を厚み180μm、室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に5分間浸漬することによって多孔性支持膜を作製した。
次に、この多孔性支持膜をメタフェニレンジアミンの4.5重量%水溶液に浸漬した後、n−デカンにトリメシン酸クロライドを0.18重量%となるように溶解した溶液を表面が完全に濡れるように塗布した(工程A)。次に膜から余分な溶液を除去するために、膜を垂直にして液切りを行って、送風機を使い20℃の空気を吹き付けて乾燥させた。その後、室温の水に浸漬し複合半透膜を得た。
この複合半透膜の膜性能評価を行ったところ、NaCl除去率が99.50%、膜透過流束は0.89m/m/日であった。
<実施例1>
参考例の複合半透膜を、硫酸によりpHを1に調整した90℃の水溶液に2分間浸漬し(工程B)、続いて40℃の水に2分間浸漬した(工程C)。このようにして得られた複合半透膜を評価したところ、NaCl除去率、膜透過流束(初期性能および耐久性試験後)は表1に示す値であった。
<実施例2〜4および比較例1〜4>
工程Cで用いる水の温度を変更した以外は、実施例1と同様に膜を作製した。水の温度および得られた膜の性能を表1に示す。
<比較例5>
参考例の複合半透膜を、硫酸によりpHを3に調整した2000mg/Lの亜硝酸ナトリウム水溶液に30℃で1分浸漬し、続いて50℃の水に2分間浸漬した後、1000mg/Lの亜硫酸水素ナトリウム水溶液に浸漬した。このようにして得られた複合半透膜の性能を表1に示す。
<比較例6、7>
参考例の複合半透膜を、硫酸によりpHを2(比較例6)または3(比較例7)に調整した90℃の水溶液に2分間浸漬し、続いて50℃の水に2分間浸漬した。このようにして得られた複合半透膜の性能を表1に示す。
Figure 2012143750
特許文献1、2にも塩酸等のpH1以下の溶液と接触させた後に水と接触させる旨の記載が見受けられるが、その際の水の温度については明記されていないことから、塩酸等のpH1以下の溶液と接触させた後に常温(25℃付近)の水に接触させていると推測される。
実施例1および比較例1、2の結果から、工程Cにおける水の温度が35℃以下のときはNaCl除去率が低いことがわかる。また、実施例4および比較例3、4の結果から、70℃以上だとNaCl除去率は向上するものの膜透過流束が大きく低下することがわかる。耐久性試験後の膜透過流束を初期性能の膜透過流束で割った流束比で見ると、比較例3〜5は1.2以上となっており耐酸・アルカリ性が低いが、実施例1〜4は1.1以下であり耐酸・アルカリ性が高いことがわかる。
実施例2および比較例6、7の結果から、工程AにおけるpHが2以上では膜透過流速が低いことがわかる。
以上のように、本発明により得られる複合半透膜は、高い透水性能と高い塩除去性能を持ち、かつ高い耐酸・アルカリ性を有している。
本発明の複合半透膜は、特に、かん水の脱塩に好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によってポリアミド分離機能層を形成する工程A、
    前記ポリアミド分離機能層にpH1以下の溶液を接触させる工程B、および
    前記工程Bの後に前記ポリアミド分離機能層に40℃以上65℃以下の水を接触させる工程C
    を備える複合半透膜の製造方法。
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