JP2010137192A - 複合ナノろ過膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】
スケール成分を選択的かつ十分に除去することができ、海水等の原水を蒸発法によって淡水化する際にスケールの発生を効果的に防止し、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる複合ナノろ過膜を供給する。
【解決手段】
ピペラジン以外の塩基を含有しない0.2〜2.0重量%ピペラジン水溶液と、水と非混和性の有機溶媒に溶解した0.10〜0.30重量%トリメシン酸クロリド溶液との重縮合反応によって形成されるポリアミド系スキン層と、これを支持する多孔性支持体からなる複合ナノろ過膜において、温度25℃、pH6.5、NaCl濃度500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のNaCl除去率と、温度25℃、pH6.5、MgSO濃度1500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のMgSO除去率との比、すなわち[MgSOの除去率(%)]/[NaClの除去率(%)]が、2以上の除去性能を示す複合ナノろ過膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、一価イオンと二価イオンの混合溶液から二価イオンを選択的に分離するための複合ナノろ過膜に関する。この膜により、カン水や海水からの塩分除去やミネラル調整、食品分野での塩分除去やミネラル調整などが可能となる。特に、海水を成分とする溶液から、スケール成分となる二価イオンを選択的に分離がすることが可能となる。
一価イオンと二価イオンの混合溶液からどちらかのイオンを選択的に除去することは多くの技術分野において必要もしくは有望である。一例を示すと、海水を淡水化する方法である多段蒸留法において、海水中に含まれるHCO 、SO 2−、Mg2+、Ca2+などのイオン(スケール成分)が加熱、濃縮によってCaCO、Mg(OH)、CaSOなどのスケールとなって析出し、熱交換器の伝熱管に付着して淡水化の運転効率が大きく低下するという問題を有していた。そのため、スケール対策および、運転効率向上方法として膜による前処理工程が必要とされている。この際に、一価イオンと二価イオンの混合溶液から二価イオンだけを選択的に分離することができれば、膜透過前後での浸透圧差が小さくなり、必要エネルギーを大幅に減少させることができる。
膜による海水中からのスケール成分の選択的な除去方法として、例えば特許文献1および2に、ピペラジンまたは、ピペラジンおよび4,4’−ビピペリジンとのジアミン成分に、多官能芳香族カルボン酸塩化物を反応させて得られるポリアミドからなる複合ナノろ過膜が開示されているが、単に上記化合物を反応させたに過ぎず、詳細な検討が不十分であるために、二価イオンの除去性能や、選択性が不十分である。
また、特許文献3では、イオン選択性膜とイオン交換樹脂を併用して、一価および二価イオンを含む溶液から選ばれた一価イオンを除去する方法が開示されている。しかしながら、二つの装置を併用する必要があり、必ずしも実用的な方法であるとは言えない。
さらには、特許文献4および5では、ピペラジンとトリメシン酸クロリドを反応させて得られる複合ナノろ過膜を用いた一価イオンと二価イオンの分離が開示されているが、製膜時の組成や濃度については詳細な検討がされておらず、二価イオンの除去性能や、選択性が不十分であった。
特開2005−262078号公報 特開2007−277298号公報 特公平5−80279号公報 特公平1−38522号公報 特開2002−113465号公報
本発明の目的は、スケール成分を選択的かつ十分に除去することができ、海水等の原水を蒸発法によって淡水化する際にスケールの発生を効果的に防止し、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる複合ナノろ過膜を供給することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、海水等の原水からスケール成分を選択的かつ十分に除去することができる下記の複合ナノろ過膜を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(5)の構成をとる。
(1)ピペラジン以外の塩基を含有しない0.2〜2.0重量%ピペラジン水溶液と、水と非混和性の有機溶媒に溶解した0.10〜0.30重量%トリメシン酸クロリド溶液との重縮合反応によって形成されるポリアミド系スキン層と、これを支持する多孔性支持体からなる複合ナノろ過膜において、温度25℃、pH6.5、NaCl濃度500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のNaCl除去率に対する、温度25℃、pH6.5、MgSO濃度1500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のMgSO除去率の比、すなわち[MgSO除去率(%)]/[NaCl除去率(%)]が、2以上の除去性能を示す複合ナノろ過膜。
(2)SO 2−の除去率が98.5%以上である上記(1)に記載の複合ナノろ過膜。
(3)蒸留法の前処理膜として用いる上記(1)または(2)に記載の複合ナノろ過膜。
(4)前記蒸留法が多段蒸留法である上記(3)に記載の複合ナノろ過膜。
本発明によって、スケール成分を選択的かつ十分に除去することができるため、海水等の原水を蒸発法によって淡水化する際にスケールの発生を効果的に防止し、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる複合ナノろ過膜を供給することができる。
本発明の複合ナノろ過膜は、ピペラジン以外の塩基を含有しない0.2〜2.0重量%のピペラジン水溶液と、水と非混和性の有機溶媒に溶解した0.10〜0.30重量%のトリメシン酸クロリドとの縮合反応によって形成されるポリアミド系スキン層と、これを支持する多孔性支持体からなる。
本発明におけるナノろ過膜とは、逆浸透膜と限外ろ過膜との間に位置づけられる分画特性を有する領域の膜を意味する。具体的には、原水中の一価イオンの除去性能に比べ、二価イオンの除去性能が特に高いものである。逆浸透膜として一般に知られた膜は、実際に全部のイオンを排斥する傾向にあり、そのために、イオン種を有効に分離することができない。他方において、限外ろ過膜は、通常、大部分のイオン種を排斥せず、但し、分子量を基準にしてより高分子量の分子を排斥することが見いだされている。特定のナノろ過膜は、選択イオンと非選択イオンの間で非常に良好なレベルの選択性を奏するということが見いだされている。
本発明においては、ポリアミド系スキン層を構成する原料として、ピペラジンとトリメシン酸クロリドとを用いることが必要であり、これら以外の化合物を用いると、スケール成分の除去率が低下したり、二価イオンの選択性が低下したりする傾向にある。
本発明において用いられるピペラジン水溶液において、ピペラジン濃度は0.2〜2.0重量%であることが必要であり、好ましくは0.25〜1.0重量%である。濃度を0.2重量%未満にすると二価イオンの除去率が低下してしまう。また、2.0重量%より濃くすると一価イオンの除去率が高くなり、二価イオン選択性が低下してしまう。
本発明において用いられるトリメシン酸クロリド溶液において、トリメシン酸クロリド濃度は0.10〜0.30重量%であることが必要であり、好ましくは0.15〜0.20重量%である。濃度を0.10重量%未満にすると二価イオンの除去率が低下してしまう。また、0.30重量%より濃くすると一価イオンの除去率が高くなり、二価イオン選択性が低下してしまう。
トリメシン酸クロリドを溶解する有機溶媒は、水と非混和性である必要があるが、多孔性支持膜を破壊しないものが好ましく、ポリアミドスキン層の生成反応を阻害しないものであれば、いずれであっても良い。代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
次に、複合ナノろ過膜の好ましい製造方法について説明する。複合ナノろ過膜中の実質的に分離性能を有する分離機能層、すなわちポリアミドスキン層は、ピペラジンを含有する水溶液と、トリメシン酸クロリドを含有する、水とは非混和性の有機溶媒溶液を用い、後述の多孔性支持膜上で反応させることにより形成される。
ピペラジンを含有する水溶液やトリメシン酸クロリドを含有する有機溶媒溶液には、両成分間の反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、公知のアシル化触媒や極性溶媒、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよいが、重縮合反応にて生成する塩化水素を除去しうる塩基(酸捕捉剤)としてはピペラジンのみの使用に限られる。
本発明において、多孔性支持膜は、架橋ポリアミドなどの分離機能層を支持するために使用される。多孔性支持膜の構成は特に限定されないが、好ましい多孔性支持膜としては布帛により強化されたポリスルホン支持膜などを例示することができる。多孔性支持膜の孔径や孔数は特に限定されないが、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔を有していて、その微細孔の大きさは、その片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。
本発明に使用する多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商
品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材
料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ
・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
多孔性支持膜に使用する素材は特に限定されず、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたもの等が使用できるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。具体的に例示すると、ポリスルホンのジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に略一定の厚さに塗布し、ドデシル硫酸ソーダ0.5重量%DMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した好適な多孔性支持膜を得ることができる。
多孔性支持膜表面へのピペラジンを含有する水溶液の被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。次いで、過剰に塗布された該水溶液を液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。その後、ピペラジンを含有する水溶液で被覆した多孔性支持膜に、トリメシン酸クロリドを含有する有機溶媒溶液を塗布し、反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。
本発明における複合ナノろ過膜は、原水をそのまま膜分離処理してもよく、原水中の懸濁物質をろ過した後に複合ナノろ過膜で膜分離処理してもよい。複合ナノろ過膜を用いた膜分離処理の操作条件は特に制限されないが、運転圧力0.196〜1.96MPa(2〜20kgf/cm)、処理温度10〜30℃、及び通水流量2〜30L/minの範囲内で操作することが好ましい。
本発明における複合ナノろ過膜の選択性の指標である[MgSO除去率(%)]/[NaCl除去率(%)]の値は、2以上であることが必要であり、好ましくは3以上である。この値が大きくなるほど、一価イオンと二価イオンの混合溶液から二価イオンだけを選択的に分離することができ、膜透過前後での浸透圧差が小さくなる。それに従って、必要エネルギーを大幅に減少させることができる。
本発明における複合ナノろ過膜のSO 2−の除去率は、98.5%以上であることが好ましく、さらに好ましくは99%以上である。スケール成分を含有する海水等の原水を本発明の複合ナノろ過膜で膜分離処理して得られる透過水は、スケール成分が除去されている。特に、SO 2−が十分に除去されており、スケール(特に、析出後の処理に困難を要するCaSO)の発生を効果的に抑制することができる。
本発明において、例えばMgSOのみで調整した塩水の評価をする場合には「MgSO除去率」として除去率を算出しており、海水の評価をする場合には、海水中に様々なイオンが含まれていて「MgSO除去率」としての除去率を出すことができないため、「SO 2−の除去率」として除去率を算出している。
本発明の複合ナノろ過膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状、あるいはスパイラルエレメント状など考えられるあらゆる膜形状にすることができる。
本発明の複合ナノろ過膜は、例えばスケール成分を含有する原水(例えば、海水、地表水など)を膜分離処理し、前記スケール成分を実用上問題とならない程度に十分に除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得る目的で使用することができる。
本発明の複合ナノろ過膜を用いた膜分離処理の操作条件は特に制限されないが、運転圧力0.196〜1.96MPa(2〜20kgf/cm)、処理温度10〜35℃、及び通水流量2〜30L/minの範囲内で操作することが好ましい。
本発明の複合ナノろ過膜で膜分離処理して得られる透過水は、その後の蒸留工程で問題とならない程度にスケール成分が十分に除去されている。そのため、蒸留工程においてCaCO 、Mg(OH)、CaSO などのスケールの析出を効果的に抑制することができる。
本発明における蒸留法としては、多段蒸留法、多重効用法、蒸発圧縮法等が挙げられるが、特に多段蒸留法が好ましい。多段蒸留法は、1段で全量を蒸発させる方式と比較して、同一量の淡水を得るのに必要な熱エネルギーを大幅に減少させることができるため好ましい方法である。かかる多段蒸発法の条件等の詳細は、「造水技術ハンドブック」、2004年11月25日、造水技術ハンドブック編集企画委員会編、財団法人造水促進センター発行、122〜124頁等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものはない。
<特性評価1>
実施例1〜6および比較例1〜3における膜の特性は、複合ナノろ過膜に、温度25℃、pH6.5、NaCl濃度500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行ない、透過水、供給水の水質を測定することにより、次の式から求めた。
(NaCl除去率)
NaCl除去率(%)={1−(透過液中のNaCl濃度)/(供給液中のNaCl濃度)}×100
(膜透過流束)
供給水(塩水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立
方メートル)でもって膜透過流束(m /m/d)を表した。
上記と同様に、複合ナノろ過膜に、温度25℃、pH6.5、MgSO濃度1500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行ない、透過水、供給水の水質を測定することにより、次の式から求めた。
(MgSO除去率)
MgSO除去率(%)={1−(透過液中のMgSO濃度)/(供給液中のMgSO濃度)}×100
(実施例1)
多孔性支持膜である布帛補強ポリスルホン支持膜(限外ろ過膜)は、次の手法により製造した。すなわち、単糸繊度0.5デシテックスのポリエステル繊維と1.5デシテックスのポリエステル繊維との混繊糸からなる、通気度0.7cm/cm/sec、平均孔径7μm以下の湿式不織布であって、縦30cm、横20cmの大きさの物を、ガラス板上に固定し、その上に、DMF溶媒のポリスルホン濃度15重量%の溶液(2.5ポアズ:20℃)を、総厚み210〜215μmになるようにキャストし、直ちに水に浸漬してポリスルホンの多孔性支持膜を製造した。得られた多孔性支持膜をPS支持膜と記す。
このようにして得られたPS支持膜を、ピペラジン0.25重量%を含む水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.17重量%を含むn−デカン溶液を、160cm/mの割合で支持膜表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に膜から余分な溶液を除去するために、膜を1分間垂直に把持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄して複合ナノろ過膜を得た。このようにして得られた複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(実施例2)
実施例1において、ピペラジン1.0重量%を含有する水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(実施例3)
実施例1において、ピペラジン0.2重量%を含有する水溶液、トリメシン酸クロリド0.1重量%を含むn−デカン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(実施例4)
実施例1において、ピペラジン0.2重量%を含有する水溶液、トリメシン酸クロリド0.3重量%を含むn−デカン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(実施例5)
実施例1において、ピペラジン2.0重量%を含有する水溶液、トリメシン酸クロリド0.1重量%を含むn−デカン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(実施例6)
実施例1において、ピペラジン2.0重量%を含有する水溶液、トリメシン酸クロリド0.3重量%を含むn−デカン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(比較例1)
実施例1において、ピペラジン4.0重量%を含有する水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
(比較例2)
実施例1において、トリメシン酸クロリド0.33重量%を含有するn−デカン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合ナノろ過膜を評価したところ、膜透過流束および、NaClとMgSOの除去率はそれぞれ表1に示す値であった。
Figure 2010137192
表1の結果から明らかなように、本発明の複合ナノろ膜を用いることによって、一価イオンと二価イオンの混合溶液から二価イオンを選択的に分離することができる。
<特性評価2>
実施例7〜10および比較例4、5における膜の特性は、複合ナノろ過膜に、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS(Total Dissolved Solids)濃度約3.5%)を操作圧力1.0MPaで供給して膜ろ過処理を行ない、透過水、供給水の水質を測定することにより、次の式から求めた。
(イオン除去率)
イオン除去率(%)=100×{1−(透過水中の各イオン濃度/供給水中の各イオン濃度)}
原水および透過水中の溶質濃度のうち、陽イオンはICP発光分析装置、また、陰イオン濃度の測定はイオンクロマトグラフ法で行った。
(TDS除去率)
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(膜透過流束)
供給水(海水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m/m/d)を表した。
(実施例7)
<特性評価1>の実施例3で得られた膜を<特性評価2>に示す条件で評価したところ、膜透過流束、イオン除去率、塩除去率はそれぞれ表2に示す値であった。
(実施例8)
<特性評価1>の実施例4で得られた膜を<特性評価2>に示す条件で評価したところ、膜透過流束、イオン除去率、塩除去率はそれぞれ表2に示す値であった。
(実施例9)
<特性評価1>の実施例5で得られた膜を<特性評価2>に示す条件で評価したところ、膜透過流束、イオン除去率、塩除去率はそれぞれ表2に示す値であった。
(実施例10)
<特性評価1>の実施例6で得られた膜を<特性評価2>に示す条件で評価したところ、膜透過流束、イオン除去率、塩除去率はそれぞれ表2に示す値であった。
(比較例3)
<特性評価1>の比較例2で得られた膜を<特性評価2>に示す条件で評価したところ、膜透過流束、イオン除去率、塩除去率はそれぞれ表2に示す値であった。
Figure 2010137192
表2の結果から明らかなように、本発明の複合ナノろ過膜を用いることによってスケール成分であるSO 2−を選択的にかつ高度に除去することができる。そして、スケール成分を十分に除去した透過水を蒸留法により処理することで、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる。その結果、淡水の造水コストを低減することができる。

Claims (4)

  1. ピペラジン以外の塩基を含有しない0.2〜2.0重量%ピペラジン水溶液と、水と非混和性の有機溶媒に溶解した0.10〜0.30重量%トリメシン酸クロリド溶液との重縮合反応によって形成されるポリアミド系スキン層と、これを支持する多孔性支持体からなる複合ナノろ過膜において、温度25℃、pH6.5、NaCl濃度500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のNaCl除去率に対する、温度25℃、pH6.5、MgSO濃度1500mg/Lに調整した塩水を操作圧力0.35MPaで供給して膜ろ過処理を行なった時のMgSO除去率の比、すなわち[MgSO除去率(%)]/[NaCl除去率(%)]が、2以上の除去性能を示す複合ナノろ過膜。
  2. SO 2−の除去率が98.5%以上である請求項1に記載の複合ナノろ過膜。
  3. 蒸留法の前処理膜として用いる請求項1または2に記載の複合ナノろ過膜。
  4. 前記蒸留法が多段蒸留法である請求項3に記載の複合ナノろ過膜。
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