JP3780734B2 - 複合半透膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状混合物の成分を選択透過分離するための高性能な複合半透膜、その製造方法及びそれを用いた有害物質の除去法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
混合物の分離に関して、溶媒(たとえば水)に溶解した物質(たとえば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法が利用されてきている。膜分離法に使用されている膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜がある。さらに近年になって逆浸透膜と限外ろ過膜の中間に位置する膜(ルースRO膜あるいはNF膜:Nanofiltration membrane)も現れ使用されるようになってきた。この技術は、たとえば、海水、カン水、有害物を含んだ水から飲料水を得ることも可能であるし、また、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などにも用いられてきた。
【0003】
現在市販されている複合半透膜の大部分は多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものの2種類である。中でも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆してなる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い逆浸透膜として広く用いられている。
【0004】
しかしながら、実用的な逆浸透用半透膜に対する要求は、年々高まり、省エネルギーという観点から、高い溶質除去性を維持したまま、より低圧運転が可能な水透過性の高い半透膜の出現が望まれている。一方で、高回収率の運転も望まれているが、シリカの除去率の高い膜で高回収率運転を行うと濃縮水側のシリカの濃度が急激に上昇し膜面に析出する。このことにより膜性能の低下が起こり安定運転および水質の向上が望めないという問題もある。
【0005】
ところで、近年、河川水および湖沼水などを原水とする浄水場では泥炭地や山間部などから流入する溶解性有機物(トリハロメタン前駆物質)を浄水場で塩素殺菌処理することで発ガン性を有するハロゲン含有有機物(トリハロメタン類)の生成が深刻な問題になっている。トリハロメタン前駆物質でもっとも重要なものは分子量数千〜数万の溶解性有機物であるフミン酸である。現在、浄水場への導入が検討されているオゾン・活性炭処理方法では運転開始時の除去率は高いが長期運転を行うと活性炭の細孔内に吸着が起こり除去率が急激に低下し、ついには除去ができなくなる。このために頻繁に活性炭の交換が必要となりコストがかかるという問題がある。また、接触酸化法、生物膜法などの生物処理法では溶解性有機物が生物代謝の末に生成されてきたものであり十分な除去が行えないという問題がある。膜分離法では精密ろ過膜、限外ろ過膜は細孔径が大きく、フミン酸の十分な除去が行えない。また、逆浸透膜では細孔径が小さくフミン酸の除去率は高いがシリカ除去率も高くなる。このことにより、逆浸透膜を用いての高回収率の運転は難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するために、高い溶質除去性と高い水透過性を有し高回収率運転の可能な複合半透膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は下記の手段をとる。
(1)「多孔性支持膜上に、多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物との混合物と、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとの混合アミンとの反応による架橋ポリアミドの分離機能層を設けてなり、前記多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物とのモル比が80/20〜10/90の範囲内にあることを特徴とする複合半透膜。」
(2)「X線光電子分光法(ESCA)を用いて分析した前記分離機能層中の親水基濃度の総和が0.001以上0.1未満の範囲内にあり、かつ、前記分離機能層の膜厚が1〜500nmの範囲内にある、上記(1)に記載の複合半透膜。」
(3)「親水基が、アミノ基、水酸基、カルボニル基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基とカルボキシル基である、上記(1)または(2)に記載の複合半透膜。」
(4)「脂肪族多官能アミンが、下記式で表される化合物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合半透膜。」
【0008】
【化3】
【0009】
R1〜R8:H、OH、COOH、SO3H、NH2または炭化水素基
(5)「芳香族多官能アミンが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンおよびそれらのN−アルキル化物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合半透膜。」
(6)「脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとのモル比が、40/60〜95/5の範囲内にある、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合半透膜。」
(7)「多官能酸ハロゲン化物が多官能酸塩化物であり、かつ、多官能酸無水物ハロゲン化物が下記式で表される化合物である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の複合半透膜。」
【0010】
【化4】
【0011】
X1、X2:炭素数が1〜6の範囲の脂肪族基、H、OH、COOH,SO3H、COF、COCl、COBrもしくはCOIまたはそれらが結合した酸無水物基
X3:炭素数が1〜6の範囲の脂肪族基、H、OH、COOH、SO3H、COF、COCl、COBrまたはCOI
Y:F、Cl、BrまたはI
(8)「多孔性支持膜がポリスルホンを含んでいる、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の複合半透膜。」
(9)「温度が25℃、pHが6.5、シリカ濃度が30ppm、フミン酸濃度が2ppmの水溶液を圧力0.3MPaで3時間透過させた時におけるシリカ透過率が55〜90%の範囲内にあり、フミン酸除去率が98%以上であり、かつ、透過水量が0.8〜3.0m3/m2・dの範囲内にある、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合半透膜。」
(10)「上記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合半透膜を用いて水中に含まれる有害物質およびその前駆物質の除去を行うことを特徴とする造水方法。」
(11)「有害物質が、トリハロメタンである、上記(10)に記載の造水方法。」
(12)「水の回収率を80%以上とする、上記(10)または(11)に記載の造水方法。」
(13)「原水を粗ろ過する粗ろ過手段と、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の複合半透膜を用いてろ過する膜ろ過手段とを備えていることを特徴とする造水装置。」
(14)「粗ろ過手段と膜ろ過手段との間に、限外ろ過膜を用いた限外ろ過手段を備えている、上記(13)に記載の造水装置。」
(15)「粗ろ過手段が、原水に殺菌剤および/または凝集剤を添加する手段を備えている、上記(13)または(14)に記載の造水装置。」
(16)「限外ろ過膜が、洗浄可能な中空糸膜である、上記(14)または(15)に記載の造水装置。」
(17)「中空糸膜が、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいる、上記(16)に記載の造水装置。」
(18)「膜ろ過手段が、その膜ろ過手段で処理される水に、還元剤、スケール防止剤およびpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する手段を備えている、上記(13)〜(17)のいずれかに記載の造水装置。」
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の複合半透膜は、多孔性支持膜上に、多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物との混合物と、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとの混合アミンとの反応による架橋ポリアミドの分離機能層を設けてなり、前記多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物とのモル比が80/20〜10/90の範囲内にある。上記の、多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物とのモル比は、高い水透過性や選択分離性という相反する性能を有する複合半透膜を得る上で重要であり、両者のモル比は80/20〜10/90、より好ましくは60/40〜30/70である。多官能酸ハロゲン化物が80モル%より多いと透過水量が低下しやすく、また10モル%より少ないと良好な選択分離性が得られなくなる傾向がある。
【0013】
また、X線光電子分光法(ESCA)を用いて分析した前記分離機能層中の親水基濃度の総和が0.001以上0.1未満の範囲内にあり、かつ、前記分離機能層の膜厚が1〜500nmの範囲内にあると好ましい。ここで、親水基濃度とは、分離機能層中の全炭素量(モル数)に対する親水基量(モル数)の割合のことであり下記式により算出される値をいう。親水基としては、アミノ基、水酸基、カルボニル基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基とカルボキシル基であると好ましい。
【0014】
【数1】
【0015】
親水基濃度は、Journal of Polymer Science Vol.26 559−572(1988)および日本接着学会誌 Vol.27No.4(1991)で例示されているX線光電子分光法(ESCA)を用いることにより求めることができる。
【0016】
アミノ基濃度、水酸基濃度およびカルボキシル基濃度については、ラベル化試薬による気相化学修飾法により求めることができる。ラベル化試薬としては、アミノ基ではペンタフルオロベンズアルデヒド、水酸基では無水トリフルオロ酢酸、カルボキシル基ではトリフルオロエタノールを用いる。ラベル化試薬を変更することで同様な測定方法で測定ができる。
【0017】
以下に一例として、カルボキシル基濃度の測定方法について説明する。試料をラベル化試薬により気相化学修飾を行い、同時に気相化学修飾を行ったポリアクリル酸標準試料のESCAスペクトルからラベル化試薬の反応率(r)および反応残留物の残留率(m)を求める。次に、試料とラベル化試薬が反応してできたF1sピーク(フッ素の1s軌道のピーク)の面積強度[F1s]を求める。また、元素分析によりC1sピーク(炭素の1s軌道のピーク)の面積強度[C1s]を求める。
【0018】
測定条件を以下に示す。
【0019】
励起X線:Mg K α1,2線(1253.6eV)
X線出力:8kV 30mV
光電子脱出角度:90°
データ処理は中性炭素(CHx)のC1sピーク位置を284.6eVに合わせる。
【0020】
上述のようにして求めた面積強度[F1s]、[C1s]をJournal of Polymer Science Vol.26 559−572(1988)に示される下記式に代入しカルボキシル基濃度を求めることができる。
【0021】
【数2】
【0022】
RCOOH:カルボキシル基濃度
[F1s]:フッ素の1s軌道のピークの面積強度
kF1s:フッ素の1s軌道のピークの感度補正値
r:ラベル化試薬の反応率
[C1s]:炭素の1s軌道のピークの面積強度
m:反応残留物の残留率
また、カルボニル基およびスルホ基濃度は、日本接着学会誌Vol.27 No.4(1991)で例示されているように、ワイドスキャン、ナロースキャンを行い、ナロースキャンの化学シフトから元素の化学状態を判断する。次いで、ナロースキャンスペクトルをピーク分割することにより求めることができる。
【0023】
親水基濃度が高いと、透水性は増加するが有害物質の除去性能が低下しやすい。逆に親水基濃度が低いと、膜が疎水性になり透水性が低下しやすい。このため親水基濃度の総和は0.001以上0.1未満、好ましくは0.001以上0.08以下、とりわけ0.001以上0.04以下が好ましい。それと同時にカルボキシル基濃度は0.001以上0.03未満、好ましくは0.001以上0.025以下が好ましい。カルボキシル基濃度が0.03を超えると、膜のカルボキシル基末端が増加し透水性が向上するものの、架橋密度が減少して、有害物質の除去性能が低下しやすくなる。また、カルボキシル基濃度が0.001を下回ると、未反応末端が減少し架橋密度が増加するため、透水性が低下しやすくなる。
【0024】
また、複合半透膜中の分離機能層の膜厚は、1〜500nmの範囲内にあると好ましく、より好ましくは1〜100nm、とりわけ1〜60nmが好ましい。膜厚が1nmを下回ると、製膜時の欠点発生が多くなったり、取扱い時に傷つきやすくなったりし、また圧力をかけた際にも欠点が発生するなどして排除率の低下を招きやすくなる。また、膜厚が500nmを超えると、透過水量が低下して十分な透過量を得ることができにくくなる。
【0025】
本発明に用いる脂肪族多官能アミンとしては、下記式で表される化合物であると好ましい。中でも、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジンなどが好ましく、特にピペラジン及び2,5−ジメチルピペラジンが好ましい。
【0026】
【化5】
【0027】
R1〜R8:H、OH、COOH、SO3H、NH2または炭化水素基
芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミンをいい、たとえば、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましく、そのN−アルキル化物であるN,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミンなども好ましい。中でも、メタフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが特に好ましい。
【0028】
上記の脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとのモル比は、40/60〜95/5の範囲内にあると好ましく、より好ましくは70/30〜90/10である。脂肪族多官能アミンが40モル%より少ないと透過水量が低下しやすく、また95モル%より多いと良好な選択分離性が得られない傾向がある。
【0029】
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいい、上記アミンとの反応によりポリアミドを与える化合物を用いることができる。具体的には、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物を用いると好ましい。。特に、経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸塩化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。また、上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
【0030】
また、多官能酸無水物ハロゲン化物とは、一分子中に1個以上の酸無水物部分と1個以上のハロゲン化カルボニル基を有するものであって、たとえば無水安息香酸、無水フタル酸のカルボニルハロゲン化物などを挙げることができるが、高い水透過性や溶解性有機物を除去する適度な細孔径などから、特に、下記式で表される化合物が好ましい。
【0031】
【化6】
【0032】
X1、X2:炭素数が1〜6の範囲の脂肪族基、H、OH、COOH,SO3H、COF、COCl、COBrもしくはCOIまたはそれらが結合した酸無水物基
X3:炭素数が1〜6の範囲の脂肪族基、H、OH、COOH、SO3H、COF、COCl、COBrまたはCOI
Y:F、Cl、BrまたはI
多孔性支持膜としては、たとえば、布帛により強化されたポリスルホン支持膜を用いることができる。多孔性支持膜は、実質的には分離性能を有さない層で、実質的に分離性能を有する分離機能層に機械的強度を与えるために用いられるものであり、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもっていて、その微細孔の大きさはその片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。上記の多孔性支持膜は、ミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポートNo.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その素材にはポリスルホンや酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。たとえば、上記ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した多孔性支持膜を得ることができる。
【0033】
次に、本複合半透膜の製造方法について説明する。
【0034】
複合半透膜中の実質的に分離性能を有する分離機能層は、前述のアミンを含有する水溶液と、前述の多官能酸無水物ハロゲン化物を共存させた多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液を用い、前述の多孔性支持膜上で反応させることにより形成することができる。
【0035】
本発明に用いる脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとのモル比は、前述のように40/60〜95/5の範囲内にあると好ましく、より好ましくは70/30〜90/10である。また、この混合アミン水溶液におけるアミン化合物の濃度は0.1〜20重量%の範囲内にあると好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%である。また、該水溶液および有機溶媒溶液にはアミン化合物と多官能酸無水物ハロゲン化物を共存させた多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤などの化合物を含有させることもできる。
【0036】
多孔性支持膜表面への該アミン水溶液の被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、たとえば、該水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法などを用いることができる。
【0037】
次いで、過剰に塗布された該アミン水溶液を液切り工程により除去する。液切りの方法としては、たとえば、膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去することもできる。
【0038】
次いで、前述の多官能酸無水物ハロゲン化物を共存させた多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を塗布し、反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。多官能酸ハロゲン化物の濃度は特に限定されるものではないが、少なすぎると活性層である分離機能層の形成が不十分となり欠点になる可能性があり、多いとコスト面から不利になるため、0.01〜1.0重量%程度が好ましい。多官能酸無水物ハロゲン化物を共存させた多官能酸ハロゲン化物の該アミン水溶液相への接触の方法は、該アミン水溶液の多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。また、反応後の該有機溶媒の除去は、たとえば、特開平5−76740号公報記載の方法で行うことができる。
【0039】
該有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能酸ハロゲン化物を溶解し多孔性支持膜を破壊しないことが必要であり、反応により架橋ポリマを形成し得るものであればいずれであっても良い。代表例としては液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮するとオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0040】
膜形態としては、中空糸でも、平膜でもよい。エレメント形態は、モジュール型、スパイラル型、チューブラー型、フレームアンドプレート型などを用いることができる。
【0041】
本発明の複合半透膜を用いて操作圧力0.1〜3.0MPaで原水中に含まれる有害物質及びその前駆物質の除去を行うことができる。操作圧力を低くすると使用するポンプの容量が少なくなり電力費が低下する反面、膜が目詰まりしやすくなり透過水量が少なくなる。逆に操作圧力を高くすると前記の理由で電力費が増加し、透過水量が多くなる。したがって、操作圧力の範囲としては、0.1〜3.0MPa、好ましくは0.1〜2.0MPa、とりわけ0.1〜1.0MPaが好ましい。透過水量は高いと膜面のファウリングによる目詰まりをきたし、低いとコスト高となるので透過水量の範囲は0.5〜5.0m3/m2・d、好ましくは0.6〜3.0m3/m2・d、とりわけ0.8〜2.0m3/m2・dが水量を安定に維持する上で好ましい。また、造水コストを下げ効率的に供給水を回収するために原水供給量に対する透過水量の割合、すなわち回収率を80%以上、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上が良い。
【0042】
なお、ここでいう回収率とは下記式1〜4を連立して解くことにより得られる値をいう。
【0043】
1.F=B+P
2.F×Cf=B×Cb+P×Cp
3.除去率=(1−Cp/Cf)×100
4.回収率=P/F×100
ここで、F:供給液流量、B:濃縮液流量、P:透過液流量、Cf:供給液中の溶質濃度、Cb:濃縮液中の溶質濃度(120ppm:シリカのpH=6.5、25℃での飽和溶液濃度)、Cp:透過液中の溶質濃度である。
【0044】
また、上記でいう有害物質として、トリハロメタン前駆物質を挙げることができる。トリハロメタン前駆物質は浄水場での塩素殺菌において発癌性を有するトリハロメタンを生成する。トリハロメタン前駆物質としてはフミン酸、フルボ酸などが挙げられるが、特にトリハロメタンの生成量が多いのはフミン酸であり、できる限り取り除くことが望ましい。また、シリカ透過率が低い膜では、高回収率運転するとシリカが膜面に析出して膜面を閉塞し、高い透過水量が得られなくなるという問題も生じる。
【0045】
そこで、本発明においては、温度が25℃、pHが6.5、シリカ濃度が30ppm、フミン酸濃度が2ppmの水溶液を圧力0.3MPaで3時間透過させた時におけるシリカ透過率が55〜90%の範囲内にあり、フミン酸除去率が98%以上であり、かつ、透過水量が0.8〜3.0m3/m2・dの範囲内にある複合半透膜が好ましい。上記の特性を持つ複合半透膜を用いることにより、トリハロメタン前駆体などを効果的に除去することができ、かつ、シリカを30ppm(全国平均値)含むような原水であっても、シリカを透過し、シリカの析出を減少させることができる。
【0046】
ここで、シリカ透過率とは、上記条件において、(透過液中のシリカ濃度/供給液中のシリカ濃度)×100を計算することにより得られる値をいい、フミン酸除去率とは、上記条件において、(1−(透過液中のフミン酸濃度/供給液中のフミン酸濃度))×100を計算することにより得られる値をいう。また、透過水量とは、単位時間(日)に単位面積(m2)当たりの膜を透過する透過水量(m3/m2・d)をいう。
【0047】
以上のような手段を用いることにより従来の精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜などでは成し得ない高いフミン酸除去性と高い水透過性を有し、高いシリカ透過性による高回収率運転が可能な複合半透膜を実現できる。特に上水の浄水場の原水中に含まれる汚染物質や微量有害物質およびそれらの前駆物質などを選択的に分離除去し、シリカを透過し高回収率運転下で飲料水などの上水の製造に用いることができる。
【0048】
次に、本発明の複合半透膜を用いた造水装置について述べる。
【0049】
図1の造水装置50において、原水は、原水路1を通じて、添加剤添加手段20を備えた砂ろ過装置(粗ろ過手段)2によりろ過された後、原水タンク3に蓄えられる。次に、加圧ポンプ4により限外ろ過手段5に供給されろ過された後、さらに加圧ポンプ41によって添加剤添加手段30を備えた膜ろ過装置(膜ろ過手段)6に供される。この膜ろ過手段6による濃縮水は、さらに加圧ポンプ42により濃縮水路7を通じて逆浸透ろ過手段9に供されろ過が行われる。そして、この逆浸透ろ過手段9による濃縮水は濃縮水路8を通じて排出され、一方、透過水は、膜ろ過手段6による透過水と同様にして、それぞれ透過路10、11から取り出される。
【0050】
本発明の造水装置において、粗ろ過手段は、河川水や井戸水、地下水、湖沼水、かん水、海水などの原水から、木片や木の葉などの大きな異物を除去する機能を有し、たとえばストレーナや、ろ材として砂とアンスラサイトを用いる砂ろ過装置を用いることができる。また、必要に応じて、粗ろ過手段が、殺菌剤および/または凝集剤を添加する手段を備えていると好ましい。殺菌剤としては、たとえば酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムを用いることができる。また、凝集剤として、ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄を用いて、原水中に含まれる濁質やコロイド状物質などを凝集フロック化し、粗ろ過手段にてろ過することもできる。
【0051】
次に、必要に応じて、粗ろ過手段により得られた粗ろ過水を、さらに限外ろ過膜を用いた限外ろ過手段によりろ過すると、後述する膜ろ過手段の性能を長期にわたり維持することができ好ましい。限外ろ過手段には、たとえば、複数本の中空糸膜を束ねた中空糸膜モジュールを用いることができる。この中空糸膜は、ろ過水の逆方向流水洗浄や、空気によるエアーフラッシングやスクラビング洗浄を行うことができると、さらに好ましい。中空糸膜の孔径は、10μm以下であると好ましく、さらに好ましくは1μm以下である。さらに微小な固体を除去する場合は、孔径0.1μmのものを用いると好ましい。また、中空糸膜は、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいると好ましく、特に、アクリロニトリルとビニル化合物を共重合したアクリロニトリル系共重合体を用いると好ましい。
【0052】
次に、上記のろ過手段により得られたろ過水を、上述した複合半透膜を用いた膜ろ過手段によりろ過を行う。本発明の複合半透膜は、分子量が百数十から数千程度以上の中〜高分子量分子や、重金属イオンなどの多価イオンの排除性能は高いが、一価イオンやシリカなどの低分子量分子は透過しやすいので、トリハロメタン前駆物質などを効率的に除去し、有害物質の発生を低く抑えることができる。
【0053】
この膜ろ過手段には、必要に応じて、還元剤、スケール防止剤およびpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する手段を備えていると好ましい。
【0054】
還元剤としては、たとえば、亜硫酸水素ナトリウムを用いることができ、殺菌剤として用いられた次亜塩素酸ナトリウムなどを中和させ、膜の劣化を防ぐことができる。
【0055】
スケール防止剤としては、多価金属イオンなどのスケール成分と錯体を形成してスケール発生を防止するものであればよく、イオン性のポリマーなどを用いることができる。具体的には、ポリアクリル酸やポリアクリルアミドを用いると好適であり、また無機系のものとしてポリ燐酸塩などを用いると好ましい。スケール防止剤の添加濃度としては、コストや添加に要する時間などを考慮して、0.01〜1,000ppmの範囲内にあると好ましく、0.1〜100ppmの範囲内にあるとさらに好ましい。添加濃度が0.01を下回ると、スケールが発生しやすくなり、1,000ppmを超えると、スケール防止剤自体が膜面に吸着して造水量が低下しやすくなる。
【0056】
また、pH調整剤としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリや、塩酸や硫酸、シュウ酸、クエン酸などの酸を用いることができる。
【0057】
次に、一価イオンや低分子量分子の排除が十分でない場合は、上記の膜ろ過手段によるろ過水を、さらに逆浸透膜を用いてろ過する逆浸透ろ過手段によりろ過すると好ましい。逆浸透膜としては、ポリアミドやポリエステル、ポリイミド、酢酸セルロース系ポリマを用いた中空糸膜や平膜を用いることができる。中でも、ポリアミドを用いた複合膜が好ましい。また、透過水量が0.8〜3.0m3/m2・d の範囲内にあり、かつ、塩化ナトリウム排除率が95%以上である逆浸透膜を用いると特に好ましい。ここで、上記の逆浸透膜の透過水量とは、温度が25℃、pHが6.5、塩化ナトリウム濃度が1,500ppmの水溶液を圧力1.5MPaで透過させたときの透過水量をいい、塩化ナトリウム排除率とは、((供給液の塩化ナトリウム濃度−透過液の塩化ナトリウム濃度)/(供給液の塩化ナトリウム濃度))×100にて算出される値をいう。この塩化ナトリウム濃度は、たとえば電気伝導度を測定することにより求めることができる。
【0058】
【実施例】
実施例および比較例において使用した繊維補強ポリスルホン支持膜(多孔性支持膜)は、以下の手法により製造した。
【0059】
縦30cm、横20cmの大きさのポリエステル繊維からなるタフタ(縦糸、横糸とも150デニールのマルチフィラメント糸、織密度縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(ユニオン・カーバイト社製のUdel−P3500)の15重量%ジメチ
ルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜(以下FR−PS支持膜という)を得た。
【0060】
このようにして得られたFR−PS支持膜(厚さ210〜215μm)の造水量は、圧力0.1MPa、温度25℃で測定して1.7m3/m2・dであった。また、pH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、上記と同様の条件下でテストした結果、フミン酸の除去率は60%であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下でテストした結果、シリカの透過率は、99.9%であった。
(実施例1)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=15/85モル比となるようにピペラジンを加え、この中にFR−PS支持膜を1分間浸漬した。該支持膜を垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から余分な水溶液を取除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=50/50モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために膜表面での風速が8m/s、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。この膜を炭酸ナトリウムの1重量%水溶液に5分間浸漬した後、十分に水洗して複合半透膜を作製した。
【0061】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.3MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は1.45m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は91.5%であった。このとき、回収率を計算すると97.2%であった。
【0062】
また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.019、親水基濃度の総和を求めると0.027であった。
(実施例2)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=10/90モル比となるようにピペラジンを加え、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=45/55モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。
【0063】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.3MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は1.65m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は84.2%であった。
【0064】
このとき、回収率を計算すると95.0%であった。
【0065】
また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.019であった。
(実施例3)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=20/80モル比となるようにピペラジンを加え、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=40/60モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。
【0066】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.3MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は1.52m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は73.9%であった。
【0067】
このとき、回収率を計算すると92.0%であった。また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.017であった。
(実施例4)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=20/80モル比となるようにピペラジンを加え、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=70/30モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。
【0068】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.5MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は0.85m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は67.1%であった。
【0069】
このとき、回収率を計算すると90.1%であった。
【0070】
また、X線光電子分光法(ESCA)により親水基濃度の総和を求めると0.022であった。
(実施例5)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=15/85モル比となるようにピペラジンを加え、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=15/85モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。
【0071】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.5MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は1.70m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は88.9%であった。
【0072】
このとき、回収率を計算すると96.4%であった。
また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.021であった。
(実施例6)
実施例1で用いた複合半透膜(膜面積7m2)を膜ろ過手段に使用して、図1に示すような造水装置を作製した。粗ろ過手段には砂ろ過装置を用い、限外ろ過手段として中空糸膜を用いたろ過モジュールを用いた。この中空糸膜ろ過モジュールは、外径680μm、内径400μm、平均細孔径0.01μmのポリアクリロニトリル多孔質中空糸膜7,400本からなる、長さ1,000mmの中空糸膜束を、硬質塩化ビニールパイプのハウジング内に挿入してその両端部を接着固定し、端部を切断して中空糸膜内部を両端部で開口させた形状を有している。
【0073】
この装置を用いて、1,500ppmの塩化ナトリウムと2ppmのフミン酸を含む原水を処理した。まず、砂ろ過装置において、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを5mg/lとなるように原水に添加して、FI値(ファウリングインデックス:水中に含まれる懸濁物質による目詰まり度)を4以下になるように、微細な異物やコロイド状物質などを凝集フロックとして捕捉しろ過を行った。
【0074】
次に、この処理水にpHが6.5となるように水酸化ナトリウムを加え、上記の中空糸膜モジュール(限外ろ過手段)にて、温度25℃、圧力0.1MPaの条件下でろ過し、その処理水を膜ろ過手段へ供給した。
【0075】
膜ろ過手段においては、圧力0.3MPaで運転し透過水を得るとともに、濃縮水を1.5MPaに昇圧して、逆浸透膜を用いた逆浸透ろ過手段に供給し、透過水を得た。
【0076】
得られた透過水の塩化ナトリウム濃度は195ppmで、塩化ナトリウム排除率は87%、フミン酸の排除率は99.7%であった。また、造水量は6.8m3/d(0.97m3/m2・d)であり、30日経過後も造水量の低下は見られなかった。
(実施例7)
逆浸透ろ過手段を用いなかったほかは、実施例6と同様にして原水をろ過した。
【0077】
膜ろ過手段により得られた透過水の塩化ナトリウム濃度は225ppmで、塩化ナトリウム排除率は85%、フミン酸の排除率は99.5%であった。また、造水量は6.9m3/d(0.99m3/m2・d)であり、35日経過後も造水量の低下は見られなかった。
(実施例8)
限外ろ過手段と逆浸透ろ過手段を用いなかったほかは、実施例6と同様の造水装置を用い、500ppmの塩化ナトリウムと2ppmのフミン酸を含む原水を処理した。また、砂ろ過装置において、凝集剤として塩化第二鉄を3.5mg/lとなるように原水に添加して、FI値を4以下となるようにしたほかは、実施例5と同様にして処理を行った。
【0078】
得られた透過水の塩化ナトリウム濃度は80ppmであり、塩化ナトリウムの排除率は84%、フミン酸の排除率は99.7%であった。また、造水量は6.8m3/d(0.97m3/m2・d)であり、30日経過後も造水量の低下は見られなかった。
(比較例1)
FR−PS支持膜をm−フェニレンジアミン3重量%を含む水溶液中に1分間浸漬した。該支持膜を垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から余分な水溶液を取除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために膜表面での風速が8m/s、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。この膜を炭酸ナトリウムの1重量%水溶液に5分間浸漬した後、十分に水洗して複合半透膜を作製した。
【0079】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.3MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は0.33m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は0.5%であった。このとき、回収率を計算すると75.1%であった。
【0080】
また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.016であった。
(比較例2)
m−フェニレンジアミンを含む水溶液中にアミン全体で3重量%でm−フェニレンジアミン/ピペラジン=15/85モル比となるようにピペラジンを加え、この中にFR−PS支持膜を1分間浸漬した。該支持膜を垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から余分な水溶液を取除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=85/15モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために膜表面での風速が8m/s、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。この膜を炭酸ナトリウムの1重量%水溶液に5分間浸漬した後、十分に水洗して複合半透膜を作製した。
【0081】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、3.3MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は15.3m3/m2・d、フミン酸の除去率は99.5%以上であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は15.4%であった。
【0082】
このとき、回収率を計算すると78.0%であった。
【0083】
また、X線光電子分光法(ESCA)によりカルボキシル基濃度を求めると0.017であった。
(比較例3)
トリメシン酸クロライド0.06重量%を含んだデカン溶液にトリメシン酸クロライド/トリメリット酸無水物クロライド=5/95モル比となるようにトリメリット酸無水物クロライドを加えた以外は比較例2と同様にして複合半透膜を作製した。
【0084】
このようにして得られた複合半透膜をpH6.5に調整した2ppmのフミン酸を原水とし、0.08MPa、25℃の条件下で逆浸透テストした結果、造水量は0.45m3/m2・d、フミン酸の除去率は90.5%であった。さらに、Na2SiO3・9H2OをSiO2として30ppm相当になるように溶解した水溶液を原水とし、フミン酸と同様の条件下で逆浸透テストした結果、シリカの透過率は60.5%であった。このとき、回収率を計算すると88.4%であった。
【0085】
また、X線光電子分光法(ESCA)により親水基濃度の総和を求めると0.026であった。
(比較例4)
膜ろ過手段に代えて逆浸透ろ過手段を用いたほかは、実施例8と同様の造水装置を用い、1,500ppmの塩化ナトリウムと30ppmのシリカを含むpH6.5の原水を処理した。逆浸透ろ過手段においては、温度25℃、圧力1.5MPaで運転した。
【0086】
得られた透過水の塩化ナトリウム濃度は7.5ppmであり、塩化ナトリウムの排除率は99.5%、シリカの排除率は98.5%であった。また、造水量は6.8m3/d(0.97m3/m2・d)であったが、30日経過後には5.8m3/d(0.83m3/m2・d)となり、低下率は15%に達した。
(比較例5)
膜ろ過手段に代えて逆浸透ろ過手段を用いたほかは、実施例7と同様の造水装置を用い、1,500ppmの塩化ナトリウムと30ppmのシリカを含むpH6.5の原水を処理した。逆浸透ろ過手段においては、温度25℃、圧力1.5MPaで運転した。
【0087】
得られた透過水の塩化ナトリウム濃度は6.0ppmであり、塩化ナトリウムの排除率は99.6%、シリカの排除率は99.1%であった。また、造水量は7.0m3/d(1.0m3/m2・d)であったが、30日経過後には6.2m3/d(0.89m3/m2・d)となり、低下率は11%に達した。
【0088】
【表1】
【0089】
なお、表1中の略記号は次のとおりである。
m−PDA:メタフェニレンジアミン
PIP:ピペラジン
TMC:トリメシン酸クロライド
TMAC:トリメリット酸無水物クロライド
このように、各実施例で示されるように多官能酸ハロゲン化物と酸無水物ハロゲン化物のモル比を特定することにより、フミン酸に代表される有毒物質を高く除去でき、また回収率も高くなることがわかる。
【0090】
【発明の効果】
本発明により、高い水透過性を有する複合半透膜を得ることができ、これを用いることで、原水中に含まれる汚染物質や微量有害物質を選択的に分離除去し高回収率運転が可能となるものである。特に飲料水など上水の前処理用途に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る造水装置の概略フロー図である。
【符号の説明】
1:原水路
2:砂ろ過装置(粗ろ過手段)
3:原水タンク
4:加圧ポンプ
5:限外ろ過手段
6:膜ろ過手段
7:濃縮水路
8:濃縮水路
9:逆浸透ろ過手段
10:透過水路
11:透過水路
20:添加剤添加手段
30:添加剤添加手段
41:加圧ポンプ
42:加圧ポンプ
50:造水装置
Claims (18)
- 多孔性支持膜上に、多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物との混合物と、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとの混合アミンとの反応による架橋ポリアミドの分離機能層を設けてなり、前記多官能酸ハロゲン化物と多官能酸無水物ハロゲン化物とのモル比が80/20〜10/90の範囲内にあることを特徴とする複合半透膜。
- X線光電子分光法(ESCA)を用いて分析した前記分離機能層中の親水基濃度の総和が0.001以上0.1未満の範囲内にあり、かつ、前記分離機能層の膜厚が1〜500nmの範囲内にある、請求項1に記載の複合半透膜。
- 親水基が、アミノ基、水酸基、カルボニル基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基とカルボキシル基である、請求項1または2に記載の複合半透膜。
- 芳香族多官能アミンが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンおよびそれらのN−アルキル化物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の複合半透膜。
- 脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとのモル比が、40/60〜95/5の範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに記載の複合半透膜。
- 多孔性支持膜がポリスルホンを含んでいる、請求項1〜7のいずれかに記載の複合半透膜。
- 温度が25℃、pHが6.5、シリカ濃度が30ppm、フミン酸濃度が2ppmの水溶液を圧力0.3MPaで3時間透過させた時におけるシリカ透過率が55〜90%の範囲内にあり、フミン酸除去率が98%以上であり、かつ、透過水量が0.8〜3.0m3/m2・dの範囲内にある、請求項1〜8のいずれかに記載の複合半透膜。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の複合半透膜を用いて水中に含まれる有害物質およびその前駆物質の除去を行うことを特徴とする造水方法。
- 有害物質が、トリハロメタンである、請求項10に記載の造水方法。
- 水の回収率を80%以上とする、請求項10または11に記載の造水方法。
- 原水を粗ろ過する粗ろ過手段と、請求項1〜9のいずれかに記載の複合半透膜を用いてろ過する膜ろ過手段とを備えていることを特徴とする造水装置。
- 粗ろ過手段と膜ろ過手段との間に、限外ろ過膜を用いた限外ろ過手段を備えている、請求項13に記載の造水装置。
- 粗ろ過手段が、原水に殺菌剤および/または凝集剤を添加する手段を備えている、請求項13または14に記載の造水装置。
- 限外ろ過膜が、洗浄可能な中空糸膜である、請求項14または15に記載の造水装置。
- 中空糸膜が、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホンおよびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいる、請求項16に記載の造水装置。
- 膜ろ過手段が、その膜ろ過手段で処理される水に、還元剤、スケール防止剤およびpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する手段を備えている、請求項13〜17のいずれかに記載の造水装置。
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