JP5754582B2 - プリコート用ハンダペースト - Google Patents
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Description
ただし、ここで定義するプリコート用ハンダペーストとは、インナーバンプ及びアウターバンプのパッド部の表面を予めコートするハンダ材料であり、それがペースト状であるものとする。
すなわち、特許文献1および2に記載のプリコート用ハンダペーストでは、鉛(Pb)を含有するハンダ粉末を用いており、環境の面から好ましくない。現在、電子部品の接合に用いるハンダは、鉛フリー化が進められており、バンプとなるハンダボールについても、錫を主成分とするハンダ粉末が多く採用され、プリコート用ハンダペーストについても鉛フリー化が要望されている。また、特許文献3では、鉛フリーで近年のファインピッチ化にも十分に対応したハンダ粉末が提案されているが、銀等の単一金属がそのまま添加されているため、リフロー時の溶融性および濡れ性の面でさらなる改良が望まれている。特に、プリコート用として、Cuの下地膜との濡れ性や平滑性に優れたハンダ膜が得られるハンダペーストが要望されている。
なお、錫よりも融点が高い単一金属を中心核とする場合には、上述の効果に加え、融点の高い中心核を融点の低い錫にて被覆することにより、金属粉末の溶融性向上に寄与することができる。
これに対して、本発明で用いる粉末合成方法は、金属粉末を中心核としてSnイオンを析出させることにより粉末を得る手法であり、粉末粒子形状は球形ではなく多面体となる。また、粉末粒子の粒度分布は狭い分布となるため、分級を行なうことなく、高い歩留りにて所望の粒度の粉末を得ることが出来る。
なお、本明細書において、粉末の平均粒径とは、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)にて測定した体積累積中位径(Median径:D50)、すなわち体積累積頻度が50%に達する粒径をいう。
このプリコート用ハンダペーストでは、ハンダ粉末が、30〜80質量%含有されているので、リフロー時の十分な厚さのハンダ膜と印刷時の良好な平滑性とを得ることができる。すなわち、ハンダ粉末が30質量%未満であると、ハンダ粉末がハンダ用フラックスに対して少なすぎてリフロー時に必要な厚さのハンダ膜が得られず、80質量%を超えると、ハンダ粉末がハンダ用フラックスに比べて多すぎて印刷時に良好な平滑性を得ることができない。
すなわち、プリコート用ハンダペーストでは、中心核の金属種が異なる金属粉末の各含有割合がハンダ粉末の全体量100質量%に対し、10質量%未満であると、一箇所のプリコートハンダに対して、混合した一粉末粒子が組成に大きく影響し、これにより、形成後のプリコートハンダにおいて、組成の均一性に問題が生じるからである。
すなわち、このプリコート用ハンダペーストでは、ハンダ粉末が多面体であるので、粒子同士が面で接触する為、粒子同士が点接触の球形粒子と比較して印刷後及びリフロー中において印刷直後の形状を維持することができる。したがって、本発明のプリコート用ハンダペーストを用いることにより、印刷直後の形状を維持することが可能であることから、リフロー後のプリコート用ハンダは薄く均一で平滑性、下地金属への表面被覆性に優れ、次の工程のハンダボールの搭載等によるバンプ形成に好適である。更に、インナーバンプ用としても用いることができ、従来のめっき法やスパッタ法といった複雑な工程を経ることなく、下地膜へのハンダ濡れ性の良い膜の形成が可能となる。
すなわち、銀を含むとき銀の含有割合は0.1〜10質量%であり、銅を含むとき銅の含有割合は0.1〜2.0質量%であり、亜鉛を含むとき亜鉛の含有量は0.1〜20質量%であり、ビスマスを含むときビスマスの含有割合は0.1〜10質量%であり、ゲルマニウムを含むときゲルマニウムの含有割合は0.01〜0.5質量%であり、ニッケルを含むときニッケルの含有割合は0.01〜0.5質量%であり、インジウムを含むときインジウムの含有割合は0.1〜10質量%であり、コバルトを含むときコバルトの含有割合は0.1〜10質量%であり、金を含むとき金の含有割合は1〜90質量%であることが好ましい。
このプリコート用ハンダペーストにおいて、上記各金属元素の含有割合を上記各範囲とした理由は、共晶点から組成が大きくずれることによるハンダ粉末の溶融温度の上昇を防止するためである。
すなわち、本発明に係るプリコート用ハンダペーストによれば、中心核が、銀、銅、亜鉛、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル、インジウム、コバルトまたは金の単一の金属からなり、被覆層が、錫からなるので、下地膜に対して高い濡れ性により良好な表面被覆性(カバレッジ性)が得られると共に薄く均一で平滑性に優れ、次工程のハンダボールの搭載等によるバンプ形成に好適である。更に、インナーバンプ用としても用いることができ、従来のめっき法やスパッタ法といった複雑な工程を経ることなく、下地膜へのハンダ濡れ性の良い膜の形成が可能となる。
したがって、本発明のプリコート用ハンダペーストを用いてプリコートハンダを形成すれば、ファインピッチ化されても良好にハンダバンプを形成することができると共に、良好なハンダ接合を得ることができる。
このプリコート用ハンダペーストの調製は、ハンダ用ペーストを20〜70質量%混合してペースト化することで行われる。すなわち、上記ハンダ粉末が、30〜80質量%含有されるように調製される。
また、中心核の金属種が異なる金属粉末の各含有割合がハンダ粉末の全体量100質量%に対し、それぞれ10質量%以上に設定される。
すなわち、銀を含むとき銀の含有割合は0.1〜10質量%であり、銅を含むとき銅の含有割合は0.1〜2.0質量%であり、亜鉛を含むとき亜鉛の含有量は0.1〜20質量%であり、ビスマスを含むときビスマスの含有割合は0.1〜10質量%であり、ゲルマニウムを含むときゲルマニウムの含有割合は0.01〜0.5質量%であり、ニッケルを含むときニッケルの含有割合は0.01〜0.5質量%であり、インジウムを含むときインジウムの含有割合は0.1〜10質量%であり、コバルトを含むときコバルトの含有割合は0.1〜10質量%であり、金を含むとき金の含有割合は1〜90質量%であることが好ましい。
このように各金属元素の含有割合を上記各範囲に限定した理由は、共晶点から組成が大きくずれることによるハンダ粉末の溶融温度の上昇を防止するためである。
この後、図3の(b)に示すように、インナー側の面4bでは、メタルマスク(図示省略)で覆い、スキージを用いてハンダペーストPを印刷する。続いて、図3の(c)に示すように、リフローを行うことでバンプ15を形成する。次に、図4の(a)に示すように、半導体チップICが配置され、各バンプ15に半導体チップICのバンプ13が接触した状態でリフローが行われて、図4の(b)に示すように、ハンダ接合部14が形成される。
そして、アウター側の面4aのプリコートハンダ10には、図4の(a)に示すように、例えばSn−Ag−Cuで形成されたハンダボール11をプリコートハンダ10表面にマウントして接触させた状態で、リフローを行うことで、図4の(b)に示すように、ハンダボール11とプリコートハンダ10とが互いに溶融してバンプ12が下地膜6上に形成される。
ベルト式リフロー炉を使用し、窒素雰囲気とすると共に酸素濃度を50〜100ppmとする。また、温度プロファイルは、ハンダ溶融温度:T℃に対して、プレヒート部は温度:T−50℃〜T−30℃、保持時間:30〜60secに、また、本ヒート部は温度:T+30℃〜T+50℃、保持時間:30〜60secとなるように設定する。
さらに、中心核の金属種が異なる金属粉末の各含有割合がハンダ粉末の全体量100質量%に対し、それぞれ10質量%以上とすることで、プリコートハンダ10において良好な組成均一性を得ることができる。
まず、本発明の実施例の製造方法について説明する。
本実施例は、まず、水1000mLに塩化錫(II)1.2molを溶解させ塩酸にてpHを0.2に調整し、セルロース系分散剤4.5gを加えSnイオン溶液とする。平均粒径0.3μmの銀粉末0.084molを水1000mLに超音波ホモジナイザにて分散した後、この溶液にセルロース系分散剤4.5gを加え、Ag微粉末分散液とする。
次に、Ag微粉末をCu微粉末に変更し、平均粒径0.25μmの銅粉末0.023molを用いたこと以外はAg微粉末と同様の方法により、平均粒径1.8μm、Cu1.0wt%の第2の粉末を得た。
これら実施例のプリコート用ハンダペーストをパターン形成されたメタルマスク(開口径:400μm、厚み:20μm)を用いて、基板のCu上に印刷した。その後、ベルト炉を使用し、窒素雰囲気中、最大温度240℃の条件のリフロー処理を行った。さらに、形成された1000個のパターンについて、溶融性、Cuへの濡れ広がり(表面被覆性)、形状および厚み(凹凸度)を測定した。
実施例2〜35、比較例1〜6については、表1の粉末合成条件及び表2のペースト組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして粉末合成、ペースト作製及び評価を行った。評価結果については、表2のペースト組成及び評価結果一覧(1)に纏めた。
パターンが形成されたメタルマスク(開口径:100μm、厚み:20μm)を用いて、基板のCu上に印刷したこと以外は、実施例1と同様にして粉末合成、ペースト作製し、評価を行った。
本実施例は実施例1に比べてマスクの開口径が1/4としており、インナーバンプ用へのプリコートを意図したものある。
実施例37〜44、比較例7〜8については、表1の粉末合成条件及び表3のペースト組成にしたこと以外は、実施例36と同様にして、粉末合成、ペースト作製し、評価を行った。評価結果については、表3のペースト組成及び評価結果一覧(2)に纏めた。
ガスアトマイズ法により粒径が5.0μmのSnAgCu合金粉末(Sn−3.0wt%Ag−0.5wt%Cu)を作製した。
次に、市販のRAまたはRMAタイプのフラックスと上記ハンダ粉末とを、ハンダ粉末:フラックス=70質量%:30質量%の混合比で混練することにより、いずれも粘度:約90Pa・sを有するプリコート用ハンダペーストを作製した。
これら実施例のプリコート用ハンダペーストをパターン形成されたメタルマスク(開口径:400μm、厚み:20μm)を用いて、基板のCu上に印刷した。その後、ベルト炉を使用し、窒素雰囲気中、最大温度240℃の条件のリフロー処理を行った。さらに、形成された1000個のパターンについて、溶融性、Cuへの濡れ広がり(表面被覆性)、形状および厚み(凹凸度)を測定した。
ガスアトマイズ法により粒径が2.0μmのSnAgCu合金粉末(Sn−3.0wt%Ag−0.5wt%Cu)を作製したこと以外は、比較例19と同様にペースト作製及び評価を行った。
ペースト組成及び評価結果一覧(3)を表4に纏めた。
また、表面被覆性については下地金属表面に占める溶融後のハンダの占有面積比とし、占有面積比が0%以上70%未満の場合をBad、70%以上90%未満の場合をFair、90%以上100%以下の場合をGoodとした。
さらに、凹凸度については、0μm以上6μm未満の場合をGood、6μm以上11μm未満の場合をFair、11μm以上の場合をBadとした。
Claims (3)
- ハンダ粉末とフラックスとを混合したプリコート用ハンダペーストであって、
前記ハンダ粉末は、2種類以上の金属粉末を含有し、
前記金属粉末は、それぞれ金属種が異なる中心核と、前記中心核を被覆する被覆層とを有し、平均粒径が0.1μm以上5μm以下であって、
前記中心核が、銀、銅、亜鉛、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル、インジウム、コバルトまたは金の単一の金属からなり、
前記被覆層が、錫からなり、
前記ハンダ粉末が、多面体であることを特徴とするプリコート用ハンダペースト。 - 請求項1に記載のプリコート用ハンダペーストにおいて、
前記ハンダ粉末が、30〜80質量%含有されていることを特徴とするプリコート用ハンダペースト。 - 請求項1または2に記載のプリコート用ハンダペーストにおいて、
前記中心核の金属種が異なる金属粉末の各含有割合が前記ハンダ粉末の全体量100質量%に対し、10質量%以上であることを特徴とするプリコート用ハンダペースト。
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