JPWO2006038376A1 - はんだ組成物及びこれを用いたはんだ層形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記はんだ粉末は、はんだ粉末の粒子が合一するのを抑制する合一抑制皮膜を有し、前記媒体は、その沸点がはんだ付温度以上の溶媒であることを特徴とするものである。また、前記合一抑制被膜は、有機皮膜からなることが望ましいものである。なお、前記媒体は、液状,或いはペースト状のいずれであってもよい。
F2=(V2/V1)×F1 ・・・ (1)
Fmax=F2/S2 ・・・ (2)
S2=A×S0 ・・・ (3)
式(3)を式(2)に代入することにより、次式を得る。
Fmax=F2/(A×S0)
∴F2=Fmax×A×S0 ・・・(4)
続いて、式(4)を式(1)に代入することにより、次式を得る。
Fmax×A×S0=(V2/V1)×F1 ・・・ (5)
∴F1=(V1/V2)×Fmax×A×S0 ・・・ (6)
ここで、所望のはんだ層の高さに対応してV2が決まり、V1、Fmax、A、S0も既に決まっていれば、式(6)からF1が求められる。
また、はんだ粒子の大きさ(すなわちV1)が決まっていなければ、式(5)から得られる次式の、
F1/V1=(1/V2)×Fmax×A×S0・・・(7)
の関係を満たすF1、V1が求められる。
図1は、本発明の一実施形態に係るはんだ組成物を示す概略断面図である。
11,11a,11b,11c,11d はんだ粒子の有機皮膜
12,12a,12b,12c,12d はんだ粒子
13 媒体
20 基板
21 電極
31 はんだ層の有機皮膜
32 はんだ層
層を形成するために用いるはんだ組成物において、はんだ粉末と媒体との混合物からなり
、
前記はんだ粉末は、はんだ粉末の粒子が合一するのを制御する合一制御皮膜を有し、前
記媒体は、その沸点がはんだ付温度以上の溶媒であり、前記はんだ粉末が有する合一制御
膜は、はんだ融点以上の温度で互いに合一する性質を有することを特徴とするものである
。また、前記合一制御皮膜は、有機皮膜からなることが望ましいものである。なお、前記
媒体は、液状,或いはペースト状のいずれであってもよい。
[0014] 前記はんだ粉末の粒子(以下、はんだ粒子という)は、ほぼ球状であり、
直径もほぼ均一である。ここで、はんだ組成物をはんだ付温度(はんだ粉末の融点を含む
)以上に加熱すると、n個のはんだ粒子が合一して、その合一したはんだ粒子の体積及び
有機皮膜量がn倍、その表面積がn2/3倍となる。そのため、n個のはんだ粒子が合一
した新たなはんだ粒子は、その単位表面積当たりの有機皮膜量がn1/3倍となる。すな
わち、はんだ粒子の合一が進むほど、合一したはんだ粒子の単位表面積当たりの有機皮膜
量が増加する。例えば、8個のはんだ粒子が合一すると、その合一したはんだ粒子の体積
及び有機皮膜量が8倍、その表面積が4倍、その単位表面積当たりの有機皮膜量が2倍と
なる。また、前記単位表面積当たりの有機皮膜量が増えるほど、有機皮膜で被覆されるは
んだ粒子同士の接触が難しくなるので、はんだ粒子の合一が制御される。
[0015] 一方、電極上のはんだ層は、はんだ粒子がはんだ層に合一することによっ
て成長する。そのため、電極上ではんだ粒子の合一が進むにつれて、はんだ層の単位表面
積当たりの有機皮膜量が一定に達すると、はんだ層の成長が停止する。つまり、はんだ層
の最終的なはんだ量は、電極の大きさに加えて、最初のはんだ粒子の大きさ及び有機皮膜
量によって決まる。なお、単位表面積当たりの有機皮膜量が一定に達したはんだ粒子も、
はんだ層に合一することはない。
[0016] これにより、はんだ粒子が電極上で必要以上に合一することを制御できる
ので、はんだ層のはんだ量を均一化できるとともに、電極のショート不良を防止できる。
例えば、最初のはんだ粒子の有機皮膜量は、はんだ層へのはんだ粒子の合一を、はんだ層
が一定のはんだ量になるまでは許容し、一定のはんだ量を越えると抑制するように設定さ
れている。
3/1
[0017] 本発明に係るはんだ組成物は、前記はんだ粉末の粒子が合一するのを促進
する合一促進剤と、前記はんだ粉末の粒子が合一するのを抑制する合一抑制剤とのうち、
少なくとも一方を前記混合物に添加してもよいものである。前記合一促進剤は、酸成分を
含むことが望ましく、前記酸成分は、カルボン酸,ロジンのうちの少なくとも1つを含む
ことが望ましいものである。また、前記合一抑制剤は、有機酸金属塩を含むことが望まし
く、前記有機酸金属塩は、前記酸成分と、前記はんだ粉末の粒子を構成する金属からなる
ことが望ましい。なお、前記合一促進剤は酸成分を含み、前記合一抑制剤は有機酸金属塩
を含むのであるから、酸成分,有機酸金属塩を主成分としてもよく、さらには、酸成分,
有機酸金属塩を新たな合一促進剤,合一抑制剤を含めてもよい。
[0018] 酸成分ははんだ粒子の合一を促進し、有機酸金属塩ははんだ粒子の合一を
抑制するので、有機皮膜の作用を調整することができる。酸成分としてのカルボン酸は、
例えば、蟻酸,オレイン酸,ステアリン酸,蓚酸などである。酸成分としてのロジンは、
例えば、L−アビエチン酸,ロジン,水添ロジン等のロジン誘導体などである。
[0019] また、前記はんだ粉末の粒子は、錫,インジウム又はこれらの合金のいず
れかであることが望ましい。さらに、前記はんだ粉末の粒子は、前記単体金属又は前記合
金に、銅,銀,金,ニッケル,鉛,ビスマス,アンチモン,亜鉛,ゲルマニウム又はアル
ミニウムのうち少なくとも1つを含む合金であってもよい。また、前記媒体は、炭化水素
類,エステル類,アルコール類若しくはグリコール類のうちの少なくとも1つを含むもの
であってもよい。
[0020] 本発明に係るはんだ層形成方法は、はんだ粉末と溶媒の混合物を基板上に
塗布する工程と、前記はんだ粉末を溶融させ、かつ前記はんだ粉末の粒子の合一を合一制
御膜で制御して前記基板上の電極に前記はんだ粉末によるはんだ層を形成する工程を含む
ことを特徴とするものである。
[0021] 次に、所望のはんだ層の高さを得るための、はんだ粒子及びその有機皮膜
量の設計方法について説明する。
[0022] はんだ粒子の体積をV1、有機皮膜量をF1とする。はんだ粒子の形状は
球形である。はんだ層を形成するために合一した全体のはんだ粒子の体積をV2、有機皮
膜
4
現象に着目してなされたものであり、はんだ粒子の合一を制御することにより、所望のは
んだ量のはんだ層を電極に形成できるものである。
[0026] はんだペースト中には、はんだ粉末の表面が酸化しているため、活性剤が
添加されている。微細パターンに対応するには、はんだ粒子も微細にしなければならない
。これに伴い、はんだ粉末の粒子による総表面積が増加することにより、その表面を酸化
するために必要なはんだペースト中の活性剤も増える傾向にある。また、はんだ粒子表面
の酸化皮膜は、はんだ粒子同士の凝集防止の効果があるので、はんだペーストを作製する
上で重要な要素になっている。しかし、微細化及びはんだ濡れ性の観点から、はんだ粉末
の酸化量の増大は好ましくない。そこで、本発明では、凝集防止の手段として有機皮膜に
着目し、はんだ粒子表面に有機皮膜を形成することにより、はんだ粒子の合一を制御する
ことにした。
[0027] すなわち、本発明は、表面にはんだ融点以上でも分解しない有機皮膜を有
するはんだ粉末と、はんだ粉末を分散させる溶媒(媒体)とからなるはんだ組成物である
。例えば、特許文献2に記載の油中アトマイズ法によってはんだを造粒することにより、
はんだ粒子表面に有機皮膜を形成できる。また、溶媒(媒体)の沸点は、はんだの融点を
含むはんだ付温度以上である。更に、有機皮膜の作用を調整するための酸成分又は有機酸
金属塩を付与してもよい。
[0028] そして、当該はんだ組成物を基板上の電極に塗布して、はんだ付以上に加
熱すると、はんだ粉末が融解される。このとき、電極上に接触していたはんだ粉末の粒子
が電極上に濡れることにより、はんだ層が形成される。電極上のはんだ層は、はんだ粉末
の粒子と合一を繰り返す毎に、表面の有機皮膜が密となる。そして、有機皮膜は、一定量
を超えると、はんだ粉末の粒子との合一を阻止するように働く。この作用によって、必要
なはんだ量のはんだ層を形成する一方で、余分なはんだ粒子との合一を防止することによ
りショート不良を防ぐ。なお、添加した酸成分は合一の促進剤として働き、同じく有機酸
金属塩は合一の抑制剤として働き、ともに有機皮膜の作用を調整する。
【発明の効果】
[0029] 以上説明したように本発明によれば、はんだ付温度以上の沸点を有する溶
媒と有
6
、新たなはんだ粒子12cになったとする。はんだ粒子12cは、はんだ粒子12a,1
2bに比べて、体積が2倍になり、有機皮膜11cの量も2倍になるが、表面積は約1.
59倍にしかならない。そのため、はんだ粒子12a,12bが合一したはんだ粒子12
cは、単位表面積当たりの有機皮膜11cの量が約1.26倍となる。すなわち、はんだ
粒子12cの合一が進むほど、単位表面積当たりの有機皮膜11cの量が増加する。また
、単位表面積当たりの有機皮膜11a,11bの量が増えるほど、有機皮膜11a,11
b下のはんだ粒子12a,12b同士の接触が難しくなるので、はんだ粒子12a,12
bの合一が制御される。
[0036] 一方、図2[2]に示すように、電極21上のはんだ層32は、半球状を
呈し、はんだ粒子12dがはんだ層32に合一することによって成長する。そのため、は
んだ粒子12dの合一が進むことにより、はんだ層32の単位表面積当たりの有機皮膜3
1の量が一定に達すると、はんだ層32の成長が停止する。つまり、はんだ層31の最終
的なはんだ量は、電極21の面積並びに最初のはんだ粒子12a,12bの大きさ及び有
機皮膜11a,11bの量によって決まる。また、はんだ粒子12dは、単位表面積当た
りの有機皮膜11dの量が一定に達していれば、はんだ層23に合一することはない。す
なわち、はんだ層32の単位表面積当たりの有機皮膜31の量、又は、はんだ粒子12d
の単位表面積当たりの有機皮膜11dの量について、どちらか一方が一定値に達していれ
ば、合一は成立しない。
[0037] これにより、はんだ粒子12dが電極21上で必要以上に合一することを
制御できるので、電極21のショート不良を防止できる。例えば、最初のはんだ粒子12
a,12bの有機皮膜11a,11bの量は、はんだ層32へのはんだ粒子12dの合一
を、はんだ層32が一定のはんだ量になるまでは許容し一定のはんだ量を越えると制御す
るように、設定されている。
【実施例1】
[0038] まず、容器に入った精製ひまし油900g中に、錫銀銅はんだを90g、
マレイン酸変性ロジンを18g加えた。錫銀銅はんだは、組成がSn 3.0mass%
Ag 0.5mass%Cuの鉛フリーはんだであり、融点が220℃である。そして、
この精製ひまし油を230℃に加熱して撹拌機を10,000rpmで回転させることに
より、精製ひまし油中ではんだ合金を
8
破砕した。これにより、はんだ粒子表面にマレイン酸変性ロジンの有機皮膜が付いたはん
だ粉末を得た。なお、撹拌中は容器内を窒素雰囲気に置換した。また、はんだ粉末は、容
器の上澄みを除いた後に酢酸エチルによって洗浄し、これを真空乾燥した。
[0039] 次いで、得られたはんだ粉末1.5gをポリオールエステル(トリメチロ
ールプロパン脂肪酸縮合エステル)50ml中に分散させることにより、はんだ組成物を
調整した。続いて、このはんだ組成物を、電極径φ40μmかつ電極ピッチ80μmでパ
ターン形成されたシリコンチップ上に塗布し、ピーク温度260℃の条件で加熱溶融させ
た。この電極は、Ni/Auメッキからなる。これによりはんだ層を形成した後、シリコ
ンチップに対して酢酸エチル中で超音波洗浄を行い、乾燥後にレーザ顕微鏡を用いて外観
検査及びはんだ層の高さ測定を行った。
[0040] その結果、10mm角シリコンチップ上の14639個の電極間でショー
ト不良は零であり、平均高さ約20μm(約σ=2)のはんだ層が形成されたことを確認
した。
【実施例2】
[0041] 実施例1と同様な方法で得られた表面に有機皮膜を有するはんだ粉末1.
5gを、ステアリン酸0.165g及びステアリン酸錫0.35gを添加したポリオール
エステル50ml中に分散させることにより、はんだ組成物を調整した。
[0042] このはんだ組成物を高さ50μmの突起電極(電極径100μm)が20
0μmピッチで形成されている樹脂基板上に塗布し、ピーク温度260℃の条件で加熱溶
融させることにより、はんだ層を形成した。はんだ層形成後、樹脂基板に対して酢酸エチ
ル中で超音波洗浄を行い、乾燥後にレーザ顕微鏡を用いて外観検査及びはんだ層の高さ測
定を行った。その結果、基板上の1600個の電極間でショート不良は零であり、平均高
さ(突起電極高さを含む)約70μm(約σ=3.4)のはんだ層が形成されたことを確
認した。
【実施例3】
[0043] 実施例1と同様な方法で得られた表面に有機皮膜を有するはんだ粉末2.
0gを、オレイン酸1mlを分散させたポリアルキレングリコール50ml中に分散させ
ることにより、はんだ組成物を調整した。
9
[0044] このはんだ組成物を電極径φ40μmかつ電極ピッチ80μmでパターン
形成されたシリコンチップ上に塗布し、ピーク温度260℃の条件で加熱溶融させた。こ
れによりはんだ層を形成した後、シリコンチップに対し酢酸エチル中で超音波洗浄を行い
、乾燥後にレーザ顕微鏡を用いて外観検査及びはんだ層の高さ測定を行った。
[0045] その結果、10mm角シリコンチップ上の14639個の電極間でショー
ト不良は零であり、平均高さ約25μm(約σ=2)のはんだ層が形成されていることを
確認した。
【産業上の利用可能性】
[0046] 以上説明したように本発明は、電極の微細化及びはんだの鉛フリー化に伴
う諸問題を解決し得るはんだ組成物、及びこれを用いたはんだ層形成方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
[0047][図1]本発明に係るはんだ組成物の一実施形態を示す概略断面図である。
[図2]図1のはんだ組成物の作用を示す概略断面図である。
【符号の説明】
[0048] 10はんだ組成物
11,11a,11b,11c,11d はんだ粒子の有機皮膜
12,12a,12b,12c,12d はんだ粒子
13 媒体
20 基板
21 電極
31 はんだ層の有機皮膜
32 はんだ層
10
Claims (11)
- 基板上の電極にはんだ層を形成するために用いるはんだ組成物において、
はんだ粉末と媒体との混合物からなり、
前記はんだ粉末は、はんだ粉末の粒子が合一するのを抑制する合一抑制皮膜を有し、
前記媒体は、その沸点がはんだ付温度以上の溶媒であることを特徴とするはんだ組成物。 - 前記合一抑制被膜は、有機皮膜からなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ組成物。
- 前記はんだ粉末の粒子が合一するのを促進する合一促進剤と、前記はんだ粉末の粒子が合一するのを抑制する合一抑制剤とのうち、少なくとも一方が前記混合物に添加されていることを特徴とする請求項1に記載のはんだ組成物。
- 前記合一促進剤は、酸成分を含むものであることを特徴とする請求項3に記載のはんだ組成物。
- 前記酸成分は、カルボン酸,ロジンのうちの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項4に記載のはんだ組成物。
- 前記合一抑制剤は、有機酸金属塩を含むものであることを特徴とする請求項3に記載のはんだ組成物。
- 前記有機酸金属塩は、前記酸成分と、前記はんだ粉末の粒子を構成する金属からなることを特徴とする請求項6に記載のはんだ組成物。
- 前記はんだ粉末の粒子は、錫,インジウム又はこれらの合金のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のはんだ組成物。
- 前記はんだ粉末の粒子は、前記単体金属又は前記合金に、銅,銀,金,ニッケル,鉛,ビスマス,アンチモン,亜鉛,ゲルマニウム又はアルミニウムのうち少なくとも1つを含む合金であることを特徴とする請求項8に記載のはんだ組成物。
- 前記媒体は、炭化水素類,エステル類,アルコール類若しくはグリコール類のうちの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のはんだ組成物。
- はんだ粉末と溶媒の混合物を基板上に塗布する工程と、
前記はんだ粉末を溶融させ、かつ前記はんだ粉末の粒子の合一を制御して前記基板上の電極に前記はんだ粉末によるはんだ層を形成する工程を含むことを特徴とするはんだ層形成方法。
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