JP6244869B2 - SnAgCu系はんだ粉末及びこの粉末を用いたはんだ用ペーストの製造方法 - Google Patents

SnAgCu系はんだ粉末及びこの粉末を用いたはんだ用ペーストの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ファインピッチ用鉛フリーのはんだ粉末及びこの粉末を用いたはんだ用ペーストの製造方法に関する。更に詳しくは、平均粒径が5μm以下の微細なSnAgCu系はんだ粉末及びこの粉末を用いたはんだ用ペーストの製造方法に関するものである。
電子部品の接合に用いられるはんだは環境の面から鉛フリー化が進められ、現在では、錫を主成分としたはんだ粉末が採用されている。はんだ粉末のような微細な金属粉末を得る方法としては、ガスアトマイズ法や回転ディスク法等のアトマイズ法の他に、メルトスピニング法、回転電極法、機械的プロセス、化学的プロセス等が知られている。ガスアトマイズ法は、誘導炉やガス炉で金属を溶融した後、タンディッシュの底のノズルから溶融金属を流下させ、その周囲より高圧ガスを吹き付けて粉化する方法である。また回転ディスク法は、遠心力アトマイズ法とも呼ばれ、溶融した金属を高速で回転するディスク上に落下させて、接線方向に剪断力を加えて破断して微細粉を作る方法である。
一方、電子部品の微細化とともに接合部品のファインピッチ化も進んでおり、より微細な粒径のはんだ粉末が求められているため、こうしたファインピッチ化に向けた技術の改良も盛んに行われている。例えば、ガスアトマイズ法を改良した技術として、ガスを巻き込ませた状態の金属溶湯をノズルから噴出させ、このノズルの周囲から高圧ガスを吹き付ける金属微粉末の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の方法では、溶湯がノズルを通過する際にガスを巻き込ませることによって、ノズルから出湯した時点で溶湯がすでに分断され、より小さな粉末を製造することができる。
また、回転ディスク法を改良した技術として、回転体に金属微粉末サイズ調整手段としてのメッシュを配し、このメッシュを通して溶融金属を飛散させる金属微粉末の製法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載の方法では、従来の回転ディスク法に比べて微細な金属微粉末を効率良く生成できる。
更に、湿式還元法によって得られたはんだ粉末であって、平均粒径5μm以下の歩留まりが非常に高いはんだ粉末が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。このはんだ粉末は、はんだ用ペーストの濡れ性やはんだバンプに求められる強度を改善するため、中心核と、中心核を被包する被覆層と、被覆層を被包する最外層の金属粒子からなる3元系のはんだ粉末である。このはんだ粉末は、一粒子内に3種類の金属すべてが含まれる金属粒子からなるため、単一の異なる種類の金属粉末を単に混合したものに比べ、組成がより均一となる。また、各層を形成する金属元素のイオン化傾向に依存して、中心核、被覆層、最外層の順に被覆する構造になっているため、金属イオンを還元し、粉末を析出させる工程が煩雑でなく、量産性にも優れる。
特開2004−018956号公報(請求項1、段落[0014]) 特開平06−264116号公報(請求項1、段落[0013]、図3) 特開2008−149366号公報(請求項1、段落[0014]〜段落[0016])
しかしながら、上記従来の特許文献1、2に示された、いわゆるアトマイズ法により微細な粉末を得るためには、この方法によって得られた金属粉末を更に分級して、ファインピッチ化に対応する5μm以下の微細なものを採取する必要がある。このため、歩留まりが非常に悪くなる。一方、7μm程度の粉末であれば、この方法でも歩留まりは良くなるものの、この程度の粒径のものでは、近年のファインピッチ化には十分に対応できない。
また、上記特許文献3に示されたはんだ粉末では、粒径が5μm以下と非常に小さく、更に、最外層が酸化されやすい錫によって構成されているため、粉末表面の酸化が起こりやすい。酸化されると、はんだバンプを形成する際の溶融時に時間が掛かり、濡れ性が悪いという問題が生じる。
本発明の目的は、ファインピッチ化を実現するはんだ用ペーストに好適な微細なはんだ粉末であって、リフロー時の溶融性及び濡れ性に優れたSnAgCu系はんだ粉末及びこの粉末を用いたはんだ用ペーストの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、ペースト化したときにハンダ用フラックス中の活性剤と同等の活性効果を有するはんだ粉末を提供することにある。
本発明の第1の観点は、平均粒径5μm以下の錫、銀、銅を含有するはんだ粉末であって、前記はんだ粉末表面に添加剤としてニコチン酸の溶液の乾燥物が添加剤として付着してなり、前記添加剤の付着量が前記はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.01〜1.0質量部であるSnAgCu系はんだ粉末である。なお、本明細書で「付着」とは、単に添加剤粉末とはんだ粉末とを混合して得られる状態ではなく、添加剤の粉末を水などと混合し撹拌した添加剤溶液を金属成分の化合物であるはんだ粉末に添加混合して攪拌した後、固液分離せずに乾燥することにより得られる状態をいう。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に銀の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜10質量%であり、銅の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜2.0質量%であり、残部が錫からなることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムの少なくとも1種をはんだ粉末全体量を100質量%としたときに1.0質量%以下の割合で含むことを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のSnAgCu系はんだ粉末とはんだ用フラックスを混合してペースト化するはんだ用ペーストの製造方法である。
本発明の第1の観点のSnAgCu系はんだ粉末は、粉末表面に添加剤としてニコチン酸が付着してなるため、粒径が5μm以下と非常に微細であるにも拘わらず、活性化作用により、リフロー時の溶融性及び濡れ性に優れる。また、ペーストを調製する際に、別途抗酸化剤を添加して得られたはんだペーストに比べ、有効に活性化効果が機能するため、添加する抗酸化剤が少量であっても、リフロー時の濡れ性や溶融拡散性に優れたペーストを調製することができる。また、このはんだ粉末を用いれば、上記添加剤が活性剤と同等の活性効果(具体的にははんだ粉末表面の酸化皮膜を除去する効果)を発現するため、リフロー時の濡れ性や溶融拡散性に優れたペーストを調製することができる。また、このはんだ粉末は平均粒径5μm以下と微細な粉末であるため、このはんだ粉末を原料としたはんだ用ペーストを基板等に印刷する際に、ファインピッチパターンで印刷できる。
また本発明の第1の観点のSnAgCu系はんだ粉末は、前記添加剤の付着量がはんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.01〜1.0質量部である。このように、本発明のはんだ粉末では、所定の付着量ではんだ粉末表面に上記添加剤が付着しているため、はんだ粉末表面の酸化皮膜を除去する効果が非常に高い。
本発明の第2の観点のSnAgCu系はんだ粉末は、銅の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜2.0質量%であり、残部が錫からなる。このように、本発明のはんだ粉末では、錫、銀、銅の含有割合がそれぞれ上記範囲であるので、共晶点から組成がずれるのを防止してはんだ粉末の融点を低くするとともに、形成したはんだバンプにおけるはんだ合金の電気抵抗の増加を抑え、機械的強度を向上させる。
本発明の第3の観点のはんだ粉末は、上記錫、銀、銅以外に、更にビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムの少なくとも1種をはんだ粉末全体量を100質量%としたときに1.0質量%以下の割合で含んでもよい。上記元素の添加により、はんだ粉末の低融点化、強度の向上などの効果が得られる。
本発明の第4の観点の方法で製造されたはんだ用ペーストは、上記本発明のはんだ粉末を用いて得られる。そのため、このはんだ用ペーストは、リフロー時の溶融が速く、濡れ性が非常に良いため、はんだバンプ形成時に溶融したペーストが微細な球状になって飛散する、いわゆるソルダボールの発生を大幅に抑制することができる。
本発明の第の観点の方法で製造されたはんだ用ペーストは、また、基板等にファインピッチパターンで印刷できることから、電子部品の実装に好適に用いることができる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。本発明のSnAgCu系はんだ粉末は、平均粒径が5μm以下、好ましくは1〜5μmのはんだ粉末である。このはんだ粉末を中心核とこの中心核を被覆する被覆層及びこの被覆層を被覆する最外層で構成してもよい。はんだ粉末の平均粒径を5μm以下に限定したのは、5μmを越えるとはんだ用ペーストを基板等にファインピッチパターンで印刷できず、微細な電子部品をはんだ用ペーストにより実装できないからである。なお、本明細書において、はんだ粉末の平均粒径とは、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)にて測定した体積累積中位径(Median径、D50)をいう。また、平均粒径5μm以下と微細な粉末であるため、この粉末を原料としたはんだ用ペーストを基板等に印刷する際に、ファインピッチパターンで印刷できる。
また、はんだ粉末を中心核とこの中心核を被覆する被覆層及びこの被覆層を被覆する最外層で構成した場合、被覆層が中心核を完全に被覆した状態のみならず、被覆層が中心核の一部を被覆するように介在した構造も含まれる。はんだ粉末における銀の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜10質量%であり、銅の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜2.0質量%であり、残部が錫からなるのが好ましい。ここで、各金属の含有割合を上記範囲とするのが好ましい理由は、共晶点から組成がずれるのを防止してはんだ粉末の融点を低くするとともに、形成したはんだバンプにおけるはんだ合金の電気抵抗の増加を抑え、機械的強度を向上させるためである。
また、銀や銅の割合が極端に少なすぎる、或いは極端に多すぎると、ペーストのリフロー時における濡れ性が悪くなる傾向がみられるからである。これは、銀や銅の割合が極端に少なすぎると、はんだ粉末が、酸化しやすい錫単体の組成に近づくためと考えられ、一方、銀や銅の割合が極端に多すぎると、固液共存領域が広く、融液の流動性が低くなるためと考えられる。また、銀や銅の割合が極端に多すぎると、錫の割合が少なくなり、はんだ粉末として必要とされる低融点を示さないからである。また、銀や銅の割合が極端に少なすぎると、錫の割合が多くなり、濡れ性が低下する他、形成したはんだバンプの機械的強度が低下するからである。このうち、銀の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに1.0〜5.0質量%であり、銅の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.3〜0.7質量%であり、残部が錫からなるのが特に好ましい。
そして、本発明のSnAgCu系はんだ粉末は、はんだ粉末表面に添加剤としてニコチン酸が付着してなる。このように、本発明のはんだ粉末では、はんだ粉末表面にこの添加剤が付着しているため、最外層が錫で構成され酸化が起こりやすいにも拘わらず、はんだ粉末表面の酸化表面の酸化皮膜を除去する効果を発現する。そのため、リフロー時の溶融性及び濡れ性に優れる。
また、本発明のSnAgCu系はんだ粉末では、はんだ粉末表面にこの添加剤が付着した構造になっている。ペーストを調製する際に、別途添加剤をペースト中に添加する方法も考えられるが、はんだ粉末が、はんだ粉末表面に添加剤が付着した構造になっていると、はんだ粉末と添加剤の接触が多くなるため、より少量であっても活性化効果が得られる。そのため、本発明のはんだ粉末を用いれば、別途添加剤を添加して得られたペーストに比べ、濡れ性、溶融拡散性に優れたはんだペーストを調製することができる。
添加剤の付着量は、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.01〜1.0質量部である。添加剤の付着量が下限値未満では、活性化効果が十分に得られず、一方、上限値を越えると、溶融性の低下を生じる場合がある。このうち、添加剤の付着量がはんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.05〜0.5質量部であるのが好ましい。
また、はんだ粉末には、上記錫、銀、銅以外の金属以外に、更にビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムの少なくとも1種をはんだ粉末全体量を100質量%としたときに1.0質量%以下の割合で含んでもよい。上記元素の添加により、はんだ粉末の低融点化、強度の向上などの効果が得られる。
続いて、上記本発明のSnAgCu系はんだ粉末を製造する方法について説明する。先ず、溶媒に、銀を含む化合物と、銅を含む化合物と、錫を含む化合物及び分散剤とをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製する。溶解液中における銀を含む化合物、銅を含む化合物、錫を含む化合物の含有割合は、はんだ粉末製造後に、各金属元素の含有割合が上記範囲になるように調整する。また、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムを含ませる場合には、これらを含む化合物を溶解液に添加する。
また、上記溶解液には、上記銀を含む化合物の代わりに銀粉末を用い、この銀粉末と分散剤を溶媒に添加混合して銀粉末の分散液を調製し、これに上記銅を含む化合物と錫を含む化合物を直接添加混合し溶解させるか、或いは銅を含む化合物、錫を含む化合物をそれぞれ溶媒に溶解させて2つの金属溶液を予め調製し、これらを上記銀粉末の分散液に添加混合して得られる、銀粉末が分散する溶解液を使用することもできる。この場合に使用される銀粉末、銅を含む化合物、錫を含む化合物の割合は、はんだ粉末製造後に、各金属元素の含有割合が上記範囲になるように調整する。
溶解液の調製に用いられる銀化合物としては、硫酸銀(I)、塩化銀(I)又は硝酸銀(I)等が挙げられる。一方、銀化合物の代わりに用いられる銀粉末としては、平均粒径が0.1〜2.0μmであり、還元反応による化学的手法で得られた銀粉末の他、アトマイズ法のような物理的手法によって得られた銀粉末も使用可能である。また、溶解液の調製に用いられる銅化合物としては、塩化銅(II)、硫酸銅(II)又は酢酸銅等が挙げられ、錫化合物としては、塩化錫(II)、硫酸錫(II)、酢酸錫(II)、シュウ酸錫(II)等が挙げられる。このうち、銀を含む化合物、銅を含む化合物、錫を含む化合物が溶解する溶解液を用いる場合は、銀化合物、銅化合物、錫化合物として、いずれも硫酸塩の硫酸銀(II)、硫酸銅(II)、硫酸錫(II)を使用するのが特に好ましい。それは、銀化合物を使用する場合に銅及び錫の塩化物を使用すると、塩化銀の粗大粒子が発生し、これを中心核として得られたはんだ粉末が目的とする平均粒径より大きくなる場合があるからである。
一方、銀粉末が分散する溶解液を用いる場合は、銅化合物、錫化合物として、いずれも硫酸塩の硫酸銅(II)、硫酸錫(II)を使用するか、或いはいずれも塩酸塩の塩化銅(II)、塩化錫(II)を用いるのが特に好ましい。銀粉末が分散する溶解液を用いる方法では、溶解液の調製に硫酸塩のみならず、塩酸塩も好適に用いられるのは、銀粉末の表面のみが塩化物となり、銀粉末の平均粒子径はあまり変わらず、これを中心核として得られるはんだ粉末は目的とする平均粒子径になりやすいからである。
溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル等が挙げられる。また、分散剤としては、セルロース系、ビニル系、多価アルコール等が挙げられ、その他にゼラチン、カゼイン等を用いることができる。調製した溶解液はpH調整する。pHは、生成したはんだ粉末の再溶解等を考慮して、0〜2.0の範囲に調整するのが好ましい。なお、溶媒に上記金属化合物をそれぞれ添加して溶解させた後、錯化剤を加えて、各金属元素を錯体化した後に、分散剤を添加しても良い。錯化剤を加えることでpHがアルカリ側でも金属イオンが沈殿せず、広い範囲での合成が可能となる。錯化剤としては、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、フタル酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸又はその塩等が挙げられる。
次に、還元剤を溶解した水溶液を調製し、この水溶液のpHを、上記調製した溶解液と同程度に調整する。還元剤としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン等のホウ素水素化物、ヒドラジン等の窒素化合物、三価のチタンイオンや二価のクロムイオン等の金属イオン等が挙げられる。
次に、上記溶解液に還元剤水溶液を添加して混合することにより、溶解液中の各金属イオンが還元され、液中に金属粉末が分散した分散液が得られる。この還元反応では、上記銀を含む化合物、銅を含む化合物、錫を含む化合物が溶解する溶解液を用いた場合は、先ず、錫及び銅よりも貴な銀が還元され、次いで錫よりも貴な銅が還元され、最後に錫が還元される。一方、銀粉末が分散する溶解液を用いた場合は、先ず、錫よりも貴な銅が還元されて銀粒子の表面に銅が析出し、次いで錫が還元される。これにより、銀からなる中心核と、この中心核を被覆する銅からなる被覆層と、この被覆層を被覆する錫からなる最外層で構成された、平均粒径5μm以下の金属粉末が形成される。溶解液と還元剤水溶液を混合する方法としては、容器内の溶解液に所定の添加速度で還元剤水溶液を滴下し、スターラ等で攪拌する方法や、所定の径を有する反応チューブを用い、この反応チューブ内に両液を所定の流量で注ぎ込み、混合させる方法等が挙げられる。
次いで、この分散液を、デカンテーション等によって固液分離し、回収した固形分を水又はpHを0.5〜2に調整した塩酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液、或いはメタノール、エタノール、アセトン等で洗浄する。洗浄後は、再度固液分離して固形分を回収する。洗浄から固液分離までの工程を、好ましくは2〜5回繰り返す。
次に、添加剤としてニコチン酸を、好ましくは水、エタノール又はアセトン等の溶媒に溶解させた添加剤溶液を調製する。このとき、添加剤の使用量は、はんだ粉末表面に付着する添加剤の付着量が上述の範囲になるように調整する。また、添加剤溶液の濃度は、添加剤の溶解度及び乾燥効率の理由から、1〜20質量%程度の濃度に調製するのが好ましい。
そして、添加剤溶液を、上記洗浄後、乾燥する前の固液分離した固形分に添加し、好ましくは、回転速度100〜500rpmの条件で、5〜60分間撹拌する。このとき、上記回転速度及び時間が下限値未満では、十分に分散攪拌しない不具合が生じる場合があり、上限値を越えても分散攪拌程度が変わらない。
これを、固液分離せずに真空乾燥させることにより、本発明のはんだ粉末を得ることができる。
以上の工程により、本発明のSnAgCu系はんだ粉末を得ることができる。このはんだ粉末は、はんだ用フラックスと混合してペースト化して得られるはんだ用ペーストの材料として好適に用いられる。はんだ用ペーストの調製は、例えばはんだ用フラックスを、好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%混合してペースト化することにより行われる。はんだ用フラックスの混合量を10〜30質量%とするのは、10質量%未満ではフラックス不足でペースト化できず、30質量%を越えるとペースト中のフラックスの含有割合が多すぎて金属の含有割合が少なくなってしまい、はんだ溶融時に所望のサイズのはんだバンプを得ることができないからである。
このはんだ用ペーストは、上記本発明のはんだ粉末を材料としているため、溶融性及び濡れ性が非常に良く、ソルダボールが生じにくい点で優れる。またこのはんだ用ペーストは5μm以下の微細なはんだ粉末によって調製されるため、このはんだ用ペーストを用いれば、基板等にファインピッチパターンで印刷でき、高さのバラツキが少ないはんだバンプを形成することができる。そのため、このはんだ用ペーストは、より微細な電子部品の実装に好適に用いることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、水50mLに硫酸銅(II)を1.59×10-4mol、硫酸銀(I)を4.10×10-4mol、硫化錫(II)を2.62×10-2mol加え、スターラを用いて回転速度300rpmにて5分間攪拌し、溶解液を調製した。この溶解液を硫酸にてpHを0.5に調整した後、分散剤としてポリビニルアルコール500(平均分子量が500のポリビニルアルコール)を0.5g加え、更に回転速度300rpmにて10分間攪拌した。
次いで、この溶解液にpHを0.5に調整した1.58mol/Lの二価クロムイオン水溶液50mLを、添加速度50mL/secにて加え、回転速度500rpmにて10分間攪拌して各金属イオンを還元し、液中に金属粉末が分散する分散液を得た。この分散液を60分間静置して生成した金属粉末を沈降させた後、上澄み液を捨て、ここに水100mLを加えて回転速度300rpmにて10分間攪拌する操作を3回繰返し、洗浄を行った。
次に、添加剤としてニコチン酸20mgを水20mLに加えて添加剤溶液を調製した。この添加剤溶液を、洗浄後、乾燥する前の上記金属粉末4.0gに添加し、回転速度300rpmの条件で30分間攪拌した。
その後、これを真空乾燥機にて乾燥することにより、はんだ粉末表面にはんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.45質量部のニコチン酸が付着しているSnAgCu系のはんだ粉末を得た。得られはんだ粉末を元素分析したところ、Snが96.5質量%、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%であった。なお、表1には、錫、銀、銅の成分全体量である乾燥前の金属粉末を100質量部としたときの添加剤の使用量(質量部)を示す。
<実施例2>
添加剤としてニコチン酸0.80mgを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。このはんだ粉末表面には、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.019質量部のニコチン酸が付着していた。
<実施例3>
添加剤としてニコチン酸40mgを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。このはんだ粉末表面には、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.98質量部のニコチン酸が付着していた。
<比較例1>
添加剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。
<比較例2>
添加剤としてニコチン酸80mgを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。このはんだ粉末表面には、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して2.0質量部のニコチン酸が付着していた。
<比較例3>
添加剤としてニコチン酸0.4mgを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。このはんだ粉末表面には、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.001質量部のニコチン酸が付着していた。
<比較例4>
添加剤として没食子酸20mgを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、はんだ粉末を得た。このはんだ粉末表面には、はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.49質量部の没食子酸が付着していた。
<比較例5>
比較例1にて得られたはんだ粉末とニコチン酸粉末20mgを混合して、はんだ粉末を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜3及び比較例1〜5で得られたはんだ粉末について、次に述べる方法により、粉末の平均粒径、組成の分析又は測定を行い、また未凝集粉の割合及び濡れ性を評価した。これらの結果を以下の表1に示す。
(i) 平均粒径:レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)にて粒径分布を測定し、その体積累積中位径(Median径、D50)をはんだ粉末の平均粒径とした。
(ii) 組成:ICP発光分析装置(島津製作所社製 ICP発光分析装置:ICPS−7510)を用いた誘導結合プラズマ発光分光分析(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy:ICP-AES)により金属元素含有量を測定した。また、高速液体クロマトグラフィー/紫外線吸光度検出器(High performance liquid chromatography/Ultra-Violet Absorbance Detector:HPLC/UV)により各添加剤の含有量を測定した。
(iii) 未凝集粉:溶融後のはんだバンプの表面をSEMにて2000倍の倍率で50μm×50μmの視野にて観察し、一視野中の未凝集粉の多寡を目視にて評価した。
(iv) 濡れ性:JISZ3284に記されている「ぬれ効力及びディウエッティング試験」に準じて行った。評価についても同様に濡れ広がり度合いを1〜4に区分した。なお、表1において、「1」が濡れ広がり度合いが最も濡れ性に優れることを示し、「4」が最も濡れ性が悪いことを示す。
Figure 0006244869
先ず、実施例1〜3と比較例1を比べると、表1から明らかなように、添加剤が付着していないはんだ粉末の比較例1では、実施例1〜3の「1」よりも、濡れ性が「3」と劣り、未凝集分の個数が10倍以上となる結果になった。
次いで、実施例1〜3と比較例2、3を比べると、実施例は、濡れ性が「1」と優れ、未凝集分の個数も10個以内であるのに対し、比較例では、濡れ性が「2〜4」であり、未凝集分の個数も100個前後の結果となった。このことから、少なくとも錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.019〜0.98質量部の範囲で添加剤が付着した場合に濡れ広がり度合い及び、未凝集分の個数において効力を発揮していることが確認できた。
次に、添加剤として、没食子酸を用いた比較例4では、実施例1〜3の「1」よりも、濡れ性が「4」と劣り、未凝集分の個数が10倍以上多い結果となった。
更に、はんだ粉末の乾燥前にニコチン酸を添加した実施例と比較して、はんだ粉末の乾燥後にニコチン酸を添加した比較例5では濡れ性が「2」と劣り、未凝集分の個数も100個前後と個数が多い結果となった。このことからはんだ粉末の乾燥前にニコチン酸を添加することではんだ粉末表面にニコチン酸が付着し、より一層活性化効果が得られることが確認された。
実施例1〜3では、いずれの評価においても比較例1〜5に比べ、優れた結果が得られた。
本発明のはんだ粉末は、ファインピッチ用鉛フリーのはんだ粉末として利用でき、このはんだ粉末を原料として得られるはんだ用ペーストは、微細な電子部品の実装に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 平均粒径5μm以下の錫、銀、銅を含有するはんだ粉末であって、前記はんだ粉末表面に添加剤としてニコチン酸の溶液の乾燥物が添加剤として付着してなり、前記添加剤の付着量が前記はんだ粉末に含有する錫、銀、銅の成分全体量の100質量部に対して0.01〜1.0質量部であるSnAgCu系はんだ粉末。
  2. の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜10質量%であり、
    銅の含有割合が錫、銀、銅の成分全体量を100質量%としたときに0.1〜2.0質量%であり、
    残部が錫からなる請求項1に記載のSnAgCu系はんだ粉末。
  3. ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムの少なくとも1種をはんだ粉末全体量を100質量%としたときに1.0質量%以下の割合で含む請求項1又は2記載のSnAgCu系はんだ粉末。
  4. 請求項1ないし3いずれか1項に記載のSnAgCu系はんだ粉末とはんだ用フラックスを混合してペースト化するはんだ用ペーストの製造方法
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