JP2008138266A - ハンダ粉末及び該粉末を用いたハンダ用ペースト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心核及び中心核を被包する被覆層で構成される構造を有する平均粒径5μm以下のハンダ粉末であって、中心核がAg、Cu、Bi、Ge、Ni又はInからなり、被覆層がSnからなり、Snの含有割合が90〜99.9質量%であるか、或いは、中心核がBi又はInからなり、被覆層がSnからなり、Snの含有割合が40〜60質量%である。
【選択図】なし
Description
請求項1に係るハンダ粉末では、中心核を錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属とし、中心核を被包する被覆層を錫としたので、平均粒径5μm以下といった微細な粉末を形成することで、印刷性に優れるという効果を有する。また、錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属とした中心核を構成する金属元素により、ハンダ合金の機械的強度が向上する。
請求項2に係る発明では、ハンダ粉末中に上記種類の元素が含まれるとき、その含有割合が上記範囲内であれば、ハンダ合金の機械的強度を向上させるのに好適である。
請求項4に係る発明では、中心核を錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属とし、中心核を被包する被覆層を錫としたので、平均粒径5μm以下といった微細な粉末を形成することで、印刷性に優れるという効果を有する。また、錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属とした中心核を構成する金属元素により、ハンダ合金の機械的強度が向上する。錫の含有割合が40〜60質量%としたハンダ粉末は、ビスマスやインジウムを多量に含むが錫単体による粉末の融点よりも低い融点を示す。
請求項5に係る発明では、ハンダ粉末中に上記種類の元素が含まれるとき、その含有割合が上記範囲内であれば、錫を主成分とするハンダ粉末よりも融点を低くすることができるため、好適である。
請求項7に係る発明では、本発明のハンダ粉末を用いて得られたハンダ用ペーストは、印刷性に優れるという効果を有する。
本発明の第1のハンダ粉末は、中心核、及びこの中心核を被包する被覆層で構成される構造を有し、平均粒径が5μm以下のハンダ粉末である。中心核には錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属が使用され、被覆層には錫が使用される。中心核を構成する錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属としては、銀、銅、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムが挙げられる。この第1のハンダ粉末中の錫の含有割合は90〜99.9質量%である。
本発明の第2のハンダ粉末は、中心核、及びこの中心核を被包する被覆層で構成される構造を有し、平均粒径が5μm以下のハンダ粉末である。中心核には錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属が使用され、被覆層には錫が使用される。中心核を構成する錫よりも貴な金属或いは水素過電圧が低い金属としては、ビスマス又はインジウムが挙げられる。この第2のハンダ粉末中の錫の含有割合は40〜60質量%である。
先ず、溶媒に中心核を構成する金属元素を含む化合物と被覆層を構成する金属元素を含む化合物及び分散剤をそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを調整する。溶解液中の中心核を構成する金属元素を含む化合物と被覆層を構成する金属元素を含む化合物は、得られるハンダ粉末に含まれる中心核と被覆層の含有割合となるように配合される。溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル等が挙げられる。中心核を構成する際に使用される銀化合物としては、塩化銀、硝酸銀等が挙げられる。銅化合物としては、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅等が挙げられる。ビスマス化合物としては、塩化ビスマス(III)、硫酸ビスマス(III)、硝酸ビスマス(III)等が挙げられる。ゲルマニウム化合物としては、塩化ゲルマニウム(II)、β−カルボキシエチルゲルマニウム等が挙げられる。ニッケル化合物としては、塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)六水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物等が挙げられる。インジウム化合物としては、塩化インジウム、硝酸インジウム、硫酸インジウム等が挙げられる。また、被覆層を構成する際に使用される錫化合物としては、塩化錫(II)、酢酸錫(II)、シュウ酸錫(II)等が挙げられる。分散剤としては、セルロース系、ビニル系、多価アルコールなど、また、その他にもゼラチン、カゼイン等を用いることができる。なお、溶媒に中心核を構成する金属元素を含む化合物と被覆層を構成する金属元素を含む化合物をそれぞれ添加して溶解させた後、錯化剤を加えて、金属元素を錯体化した後に、分散剤を添加しても良い。溶解液中に錯化剤を加えて金属元素を金属錯体の形態にしておくことで、後に続く工程で溶解液に還元剤を添加する際に、還元速度を制御でき、これにより得られるハンダ粉末の粒径をコントロールすることができる。錯化剤としては、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、フタル酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、又はその塩等が挙げられる。
<実施例1>
先ず、水1リットルに硝酸銀1.05×10-2mol、塩化錫(II)2.64×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、8.09×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、銀が3.5質量%及び錫が96.5質量%であった。
先ず、水1リットルに硝酸銀1.05×10-2molを溶解させた後、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを1.58×10-2mol加えて、銀イオンを錯体化し、更に、塩化錫(II)2.64×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、8.07×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、銀が3.4質量%及び錫が96.6質量%であった。
先ず、水1リットルに塩化銅(II)3.47×10-3mol、塩化錫(II)2.64×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、8.01×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、銅が0.7質量%及び錫が99.3質量%であった。
先ず、水1リットルに硫酸ビスマス(III)5.17×10-2mol、塩化錫(II)1.32×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、8.61×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、ビスマスが58質量%及び錫が42質量%であった。
先ず、水1リットルにβ−カルボキシエチルゲルマニウム2.16×10-4mol、塩化錫(II)2.64×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、7.91×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、ゲルマニウムが0.1質量%及び錫が99.9質量%であった。
先ず、水1リットルに塩化ニッケル(II)5.34×10-4mol、塩化錫(II)2.64×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、7.93×10-1mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、ニッケルが0.1質量%及び錫が99.9質量%であった。
先ず、水1リットルに塩化インジウム(III)1.48×10-1mol、塩化錫(II)1.32×10-1mol及び分散剤としてメチルセルロース14gをそれぞれ添加して混合することにより、溶解液を調製した後、この溶解液のpHを1.0に調整した。また、還元剤として2価クロムイオンを用い、1.06mol/Lの2価クロムイオン水溶液1リットルを調製した後、この水溶液のpHを1.0に調整した。次に、先に調製した溶解液に2価クロムイオン水溶液を添加して混合することにより、各金属イオンを還元させて、液中に金属粉末が分散した分散液を得た。その後、洗浄濾過を行い、乾燥させることでハンダ粉末を得た。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、インジウムが52質量%及び錫が48質量%であった。
吹き込みガスとしてアルゴンガスを用いたガスアトマイズ法と回転ディスク法の双方を組み合わせた方法により、錫及び銀の合金粉末を作製した。この合金粉末をハンダ粉末とした。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、錫が96.5質量%及び銀が3.5質量%であった。
<比較例2>
吹き込みガスとしてアルゴンガスを用いたガスアトマイズ法と回転ディスク法の双方を組み合わせた方法により、錫及び銅の合金粉末を作製した。この合金粉末をハンダ粉末とした。得られたハンダ粉末を元素分析したところ、錫が99.3質量%及び銅が0.7質量%であった。
実施例1〜7及び比較例1,2で得られたハンダ粉末について、以下の物性試験を行った。先ず、得られたハンダ粉末をレーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(LEED & NORTHRUP社製:MICROTRAC FRA)にて粒径分布を測定し、その平均粒径を求めた。次に、集束イオンビーム加工(Focused Ion Beam milling)観察装置にてハンダ粉末の中心部分を通るように薄く加工し、粉末の断面構造を走査電子顕微鏡及び透過電子顕微鏡にて観察した。更に、得られたハンダ粉末を粒径5μm以下のものに分級し、得られたハンダ粉末における粒径5μm以下のハンダ粉末の歩留り率を求めた。
実施例1〜7及び比較例1,2で得られたハンダ粉末の平均粒径、粉末の断面構造及び粒径5μm以下のハンダ粉末の歩留まり率の結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
Claims (8)
- 中心核及び前記中心核を被包する被覆層で構成される構造を有する平均粒径5μm以下のハンダ粉末であって、
前記中心核が銀、銅、ビスマス、ゲルマニウム、ニッケル又はインジウムからなり、
前記被覆層が錫からなり、
錫の含有割合が90〜99.9質量%であることを特徴とするハンダ粉末。 - 銀を含むとき銀の含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜5.0質量%であり、銅を含むとき銅の含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜1.0質量%であり、ビスマスを含むときビスマスの含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜10質量%であり、ゲルマニウムを含むときゲルマニウムの含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜1.0質量%であり、ニッケルを含むときニッケルの含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜1.0質量%であり、インジウムを含むときインジウムの含有割合が粉末全体量100質量%に対して0.1〜10質量%である請求項1記載のハンダ粉末。
- 被覆層が無電解めっきにて作製される請求項1記載のハンダ粉末。
- 中心核及び前記中心核を被包する被覆層で構成される構造を有する平均粒径5μm以下のハンダ粉末であって、
前記中心核がビスマス又はインジウムからなり、
前記被覆層が錫からなり、
錫の含有割合が40〜60質量%であることを特徴とするハンダ粉末。 - ビスマスを含むときビスマスの含有割合が粉末全体量100質量%に対して40〜60質量%であり、インジウムを含むときインジウムの含有割合が粉末全体量100質量%に対して40〜60質量%である請求項4記載のハンダ粉末。
- 被覆層が無電解めっきにて作製される請求項4記載のハンダ粉末。
- 請求項1ないし6いずれか1項に記載のハンダ粉末とハンダ用フラックスを混合しペースト化することにより得られたハンダ用ペースト。
- 電子部品の実装に用いられる請求項7記載のハンダ用ペースト。
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