JP5747989B2 - 自動車用サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用サイドエアバッグ装置に関し、特にサイドエアバッグが、乗員の胸部を拘束する胸部チャンバ、及び乗員の腰部を拘束する腰部チャンバを備えたサイドエアバッグ装置に関する。
下記特許文献1に示された車両の側突用エアバッグ装置では、エアバッグ本体が、左右両側のメイン基布と、これらのメイン基布の外周縁を連結する側面基布とから形成されている。この側面基布の前方中央には、エアバッグ本体内のガスを排出する排気穴(ベントホール部)が形成されている。
一方、下記特許文献2に示されたサイドエアバッグは、2枚のサイドパネルの周縁部が縫製されることにより形成されており、当該縫製が一部で中断されることにより通気穴(ベントホール部)が形成されている。
特開平8−225054号公報 特開2010−535121号公報
ところで、サイドエアバッグによる初期拘束性能を向上させるためには、インフレータ作動時におけるサイドエアバッグの内圧を増加させる必要がある。一方、乗員の胸部がサイドエアバッグから受ける負荷を低減するためには、サイドエアバッグにおいて乗員の胸部を拘束する部位の内圧を低下させる必要がある。これらの要求は背反するため、簡単な構成で両立することが困難であった。
本発明は上記事実を考慮し、サイドエアバッグによる初期拘束性能の向上と乗員胸部への負荷低減とを簡単な構成で両立することが可能な自動車用サイドエアバッグ装置を得ることを目的としている。
請求項1に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成され、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されたサイドエアバッグと、車両の側面衝突時に前記胸部チャンバ内及び前記腰部チャンバ内にガスを供給することにより、前記胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し且つ前記腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在するように前記サイドエアバッグを膨張展開させるインフレータと、前記縫製が一部で中断されることにより前記サイドエアバッグに設けられ、前記胸部チャンバ内と前記エアバッグ本体部外とを連通させたベントホール部と、前記ベントホール部を介して隣接した前記基布の縁部の両方からそれぞれ舌片状かつ一体に延出され、前記ベントホール部から前記胸部チャンバ内に挿入され、前記胸部チャンバ内で互いに対向した一対の舌片部と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、サイドエアバッグは、基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成されており、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されている。そして、車両の側面衝突時には、インフレータからのガスが胸部チャンバ内及び腰部チャンバ内に供給されることにより、サイドエアバッグが膨張展開する。これにより、胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し、乗員の胸部が胸部チャンバによって拘束される。また、腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在し、乗員の腰部が腰部チャンバによって拘束される。
ここで、上述のサイドエアバッグでは、基布の縫製が一部で中断されることによりベントホール部が設けられており、当該ベントホール部によって胸部チャンバ内とエアバッグ本体部外とが連通されている。また、当該ベントホール部を介して隣接した基布の縁部の両方からは、舌片状の舌片部が一体に延出されている。これら一対の舌片部は、ベントホール部から胸部チャンバ内に挿入されているため、サイドエアバッグが乗員と車体側部との間に膨張展開する際には、胸部チャンバの内圧を利用して、ベントホール部が舌片部により閉塞されるようにすることができる。これにより、胸部チャンバ及び腰部チャンバを早期に膨張展開させることができるので、サイドエアバッグによる初期拘束性能を向上させることができる。しかも、上記一対の舌片部は、胸部チャンバ内で互いに対向している。このため、インフレータが作動した際には、一対の舌片部が胸部チャンバの内圧によって重なり合う。これにより、ベントホール部を良好に閉塞することができる。
一方、乗員と車体側部との間に膨張展開したサイドエアバッグは、側面衝突の衝撃によって両者の間で車両幅方向に圧縮されることになる。この圧縮により胸部チャンバ及び腰部チャンバの内圧が急激に上昇するため、胸部チャンバの内圧上昇に伴って上記舌片部がエアバッグ本体部外へ押し出されるようにすることができる。その結果、舌片部によるベントホール部の閉塞が解除されてベントホール部が開放されるため、胸部チャンバ内のガスがベントホール部を介してエアバッグ本体部外に排出される。これにより、胸部チャンバの内圧を低下させることができるので、乗員の胸部が胸部チャンバから受ける負荷を低減することができる。しかも、本発明では、サイドエアバッグの縫製が一部で中断されることによりベントホール部が設けられると共に、基布の縁部から延出された舌片部によってベントホール部が閉塞・開放されるため、簡単な構成にすることができる。
請求項2に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成され、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されたサイドエアバッグと、車両の側面衝突時に前記胸部チャンバ内及び前記腰部チャンバ内にガスを供給することにより、前記胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し且つ前記腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在するように前記サイドエアバッグを膨張展開させるインフレータと、前記縫製が一部で中断されることにより前記サイドエアバッグに設けられ、前記胸部チャンバ内と前記エアバッグ本体部外とを連通させたベントホール部と、前記ベントホール部を介して隣接した前記基布の縁部の両方からそれぞれ舌片状かつ一体に延出され、前記ベントホール部から前記胸部チャンバ内に挿入され、前記胸部チャンバ内で互いに対向しており、前記インフレータから供給されるガスによる前記胸部チャンバの内圧によって前記ベントホール部を閉塞すると共に、膨張展開状態の前記サイドエアバッグが車両幅方向に圧縮されることによる前記胸部チャンバの内圧上昇に伴って前記エアバッグ本体部外へ押し出されて前記閉塞を解除する一対の舌片部と、を備えている。
請求項2に記載の発明では、サイドエアバッグは、基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成されており、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されている。そして、車両の側面衝突時には、インフレータからのガスが胸部チャンバ内及び腰部チャンバ内に供給されることにより、サイドエアバッグが膨張展開する。これにより、胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し、乗員の胸部が胸部チャンバによって拘束される。また、腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在し、乗員の腰部が腰部チャンバによって拘束される。
ここで、上述のサイドエアバッグでは、基布の縫製が一部で中断されることによりベントホール部が設けられており、当該ベントホール部によって胸部チャンバ内とエアバッグ本体部外とが連通されている。また、当該ベントホール部を介して隣接した基布の縁部の両方からは、舌片状の舌片部が一体に延出されている。これら一対の舌片部は、ベントホール部から胸部チャンバ内に挿入されており、インフレータから供給されるガスによる胸部チャンバの内圧によってベントホール部を閉塞する。これにより、胸部チャンバ及び腰部チャンバを早期に膨張展開させることができるので、サイドエアバッグによる初期拘束性能を向上させることができる。しかも、一対の舌片部は、胸部チャンバ内で互いに対向している。このため、インフレータが作動した際には、一対の舌片部が胸部チャンバの内圧によって重なり合う。これにより、ベントホール部を良好に閉塞することができる。
一方、サイドエアバッグが膨張展開した後においては、側面衝突の衝撃によって胸部チャンバ及び腰部チャンバが乗員と車体側部との間で車両幅方向に圧縮されることになる。この圧縮により胸部チャンバ及び腰部チャンバの内圧が急激に上昇するため、胸部チャンバの内圧上昇に伴って上記舌片部がエアバッグ本体部外へ押し出される。その結果、舌片部によるベントホール部の閉塞が解除されてベントホール部が開放されるため、胸部チャンバ内のガスがベントホール部を介してエアバッグ本体部外に排出される。これにより、胸部チャンバの内圧を低下させることができるので、乗員の胸部が胸部チャンバから受ける負荷を低減することができる。しかも、本発明では、サイドエアバッグの縫製が一部で中断されることによりベントホール部が設けられると共に、基布の縁部から延出された舌片部によってベントホール部が閉塞・開放されるため、簡単な構成にすることができる。
請求項3に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、請求項1又は請求項2に記載の自動車用サイドエアバッグ装置において、前記エアバッグ本体部は、前記サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向に対向する一対のメイン基布と、帯状に形成され、一方の長辺縁部が一方の前記メイン基布の周縁部と縫製されると共に他方の長辺縁部が他方の前記メイン基布の周縁部と縫製された側面基布と、によって構成されており、前記ベントホール部は、前記膨張展開状態で車両幅方向外側に配置される一方の前記メイン基布と前記側面基布との縫製が一部で中断されることにより形成されており、前記一方のメイン基布及び前記側面基布のそれぞれに前記舌片部が設けられている。
請求項3に記載の発明では、サイドエアバッグは、一対のメイン基布と側面基布とが縫製されることによりエアバッグ本体部が形成されており、所謂3Dサイドエアバッグとされている。また、サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向外側に配置される一方のメイン基布と側面基布との縫製が一部で中断されることにより、ベントホール部が形成されている。このベントホール部は、一方のメイン基布と同様に車両幅方向外側、すなわち乗員とは反対側に配置されるため、ベントホール部から排出される高温のガスによる乗員への影響を軽減することができる。
請求項に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、請求項1又は請求項2に記載の自動車用サイドエアバッグ装置において、前記エアバッグ本体部は、前記サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向に対向する一対の基布が周縁部を縫製されることにより構成されており、前記一対の基布のそれぞれに前記舌片部が設けられている。
請求項5に記載の発明では、サイドエアバッグは、サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向に対向する一対の基布が周縁部を縫製されることによりエアバッグ本体部が形成されており、所謂2Dサイドエアバッグとされている。そして、上記縫製が一部で中断されることによりベントホール部が形成されている。このように、本発明では、一対の基布によってエアバッグ本体部が形成されているため、エアバッグ本体部の構成を簡単なものにすることができる。
請求項に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、請求項1〜請求項の何れか1項に記載の自動車用サイドエアバッグ装置において、前記舌片部は、少なくとも先端側が半円形状に形成されている。
請求項に記載の発明では、ベントホール部から胸部チャンバ内に挿入された舌片部は、少なくとも先端側が半円状に形成されている。これにより、胸部チャンバの内圧上昇に伴って舌片部がエアバッグ本体部外へ押し出される際に、ベントホール部の縁部に舌片部が引っ掛からないようにすることができる。その結果、舌片部がエアバッグ本体部外にスムーズに押し出されるようにすることができる。
請求項に記載の発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置は、請求項に記載の自動車用サイドエアバッグ装置において、前記側面基布に設けられた前記舌片部は、前記一方のメイン基布に設けられた前記舌片部よりも短く形成されている。
請求項に記載の発明では、側面基布に設けられた舌片部(以下、内側舌片部という)が、サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向外側に配置される一方のメイン基布に設けられた舌片部(以下、外側舌片部という)よりも短く形成されている。ここで、内側舌片部は、胸部チャンバの内圧上昇によって側面基布が膨らむことによりサイドエアバッグの外側へ押し出されやすくなるので、当該内側舌片部が外側舌片部よりも短く形成されることにより、ベントホール部を良好に開放することができる。
以上説明したように、本発明に係る自動車用サイドエアバッグ装置では、サイドエアバッグによる初期拘束性能の向上と乗員胸部への負荷低減とを簡単な構成で両立することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る自動車用サイドエアバッグ装置が搭載された車両用シートの主要部の構成を示す側面図である。 同サイドエアバッグ装置の構成部材であるサイドエアバッグの斜視図である。 図2の3−3線に沿った切断面を示す拡大平断面図である。 図2に示される一方のメインパネルと側面パネルの構成を示す分解斜視図である。 図3に対応した平断面図であり、図5Aは拘束初期の状態を示し、図5Bは拘束中期の状態を示し、図5Cは拘束後期の状態を示している。 図2に対応した概略的な斜視図であり、図6Aは拘束初期の状態を示し、図6Bは拘束中期の状態を示し、図6Cは拘束後期の状態を示している。 本発明の第2実施形態に係る自動車用サイドエアバッグ装置の構成部材であるサイドエアバッグの斜視図である。 図7に示されるサイドエアバッグの平断面図であり、図8Aは拘束初期の状態を示し、図8Bは拘束中期の状態を示し、図8Cは拘束後期の状態を示している。 図7に対応した斜視図であり、図9Aは拘束初期の状態を示し、図9Bは拘束中期の状態を示し、図9Cは拘束後期の状態を示している。
<第1の実施形態>
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る自動車用サイドエアバッグ装置10(以下、単にサイドエアバッグ装置10という)について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印INは、車両幅方向内方を示している。
図1に示されるように、本第1実施形態に係るサイドエアバッグ装置10は、車両用シート12におけるシートバック16のドア側サイド部16A(図示しないサイドドア側の側部)に搭載されている。このシートバック16は、シートクッション18の後端部に傾倒可能に連結されており、上端部にはヘッドレスト20が連結されている。なお、本実施形態では、車両用シート12の前方向、上方向、及び幅方向は、車両の前方向、上方向、及び幅方向と一致している。
サイドエアバッグ装置10は、サイドエアバッグ20と、サイドエアバッグ20内でガスを発生させるガス供給手段としてのインフレータ22と、を備えており、サイドエアバッグ20が折り畳まれた状態でインフレータ22等と共にユニット化されたものが、ドア側サイド部16Aの内部に配設されている。なお、図1においては、インフレータ22が発生したガスの圧力でサイドエアバッグ20が膨張展開した状態(展開完了状態)が図示されている。また、図示は省略するが、サイドエアバッグ装置10の周囲には、シート表皮によって覆われたシートバッグパッド(ウレタンパッド)が配置されており、サイドエアバッグ20が膨張展開する際には、シート表皮の縫製部およびシートバッグパッドが開裂される構成になっている。
図2に示されるように、サイドエアバッグ20は、所謂2チャンバ3Dサイドエアバッグであり、一対のメインパネル24、26(メイン基布)と、側面パネル28(側面基布)とが縫製されることにより袋状に形成されたエアバッグ本体部30を備えている。一対のメインパネル24、26は、何れも長尺な略矩形状(五角形状)に形成されており、互いに対向する状態で配置されている。側面パネル28は、帯状(細長矩形状)に形成されており、一方の長辺縁部28Bが縫製部S1において一方のメインパネル24の周縁部と縫製されると共に、他方の長辺縁部28Cが縫製部S2において他方のメインパネル26の周縁部と縫製されている。また、側面パネル28は、長手方向両端縁部が縫製部S3において縫製されている。これにより、一対のメインパネル24、26と側面パネル28とによって扁平な箱形袋状のエアバッグ本体部30(エアバッグ袋体)が形成されている。
このエアバッグ本体部30が膨張展開した状態(図2図示状態)では、一対のメインパネル24、26が車両幅方向に対向し、一対のメインパネル24、26の長手方向がシートバック16の上下方向に沿う状態になる。また、上記膨張展開状態では、一方のメインパネル24が、車体側部であるサイドドアのドアトリム39((図5A〜図5C参照)と対向し、他方のメインパネル26が乗員P(図1参照)と対向するように構成されている。なお、以下の説明で記載するサイドエアバッグ20についての前後方向、上下方向、及び幅方向は、図1及び図2に示される膨張展開状態での方向であり、車両における前後方向、上下方向、及び幅方向と略一致している。
エアバッグ本体部30の内部には、テザー32(隔壁布/仕切り壁布)が設けられている。テザー32は、細長矩形状に形成されており、長手方向がエアバッグ本体部30の前後方向に沿い且つ厚さ方向がエアバッグ本体部30の上下方向に沿う状態で、エアバッグ本体部30の内部における上下方向中央部よりも若干下方側に配置されている。このテザー32は、一方の長辺縁部32Aが縫製部S4において一方のメインパネル24と縫製されると共に、他方の長辺縁部32Bが縫製部S4において他方のメインパネル26と縫製されている。さらに、テザー32の一方の短辺縁部32Cは、縫製部S4において側面パネル28における前面部28D(エアバッグ本体部30の前面を構成する部位)と縫製されている。これにより、エアバッグ本体部30の内部が、テザー32によって胸部チャンバ34(上方チャンバ)と腰部チャンバ36(下方チャンバ)とに区画されている。
上述のテザー32と、側面パネル28における後面部28E(エアバッグ本体部30の後面を構成する部位)との間には、胸部チャンバ34と腰部チャンバ36とを連通させた連通部37(隙間)が形成されている。この連通部37には、図1に示されるように、インフレータ22が配置されている。
インフレータ22は、円柱状に形成されており、軸線方向がシートバック16の上下方向に沿う状態で配置されている。このインフレータ22は、筒状に形成されたリテーナ38の内側に挿入されており、カシメ等の手段によってリテーナ38に固定されている。リテーナ38の外周部からは、車両後方側へ向けて上下一対のスタッドボルト40が突出している。これらのスタッドボルト40は、側面パネル28の後面部28Eを貫通すると共に、シートバックフレームのサイドフレーム17を貫通しており、先端側にナットが螺合している。これにより、リテーナ38がサイドフレーム17に固定されており、当該リテーナ38によってサイドエアバッグ20がサイドフレーム17に固定されている。
上述のインフレータ22には、車両に搭載されたエアバッグECU及びエアバッグセンサ(何れも図示省略)が電気的に接続されている。このエアバッグECUは、自動車が側面衝突や横転等をした際に、エアバッグセンサからの検知信号に基づいてサイドエアバッグ装置12を作動させるか否かを判定する。この判定が肯定されると所定電流がインフレータ22に通電される。これにより、インフレータ22が作動して、インフレータ22の下端側に設けられた図示しないガス噴出口からガスが噴出される。
インフレータ22から噴出されるガスは、リテーナ38の上端開口部を介して胸部チャンバ34内へ流入すると共に、リテーナ38の下端開口部を介して腰部チャンバ36内へ流入する。つまり、リテーナ38は、インフレータ22から噴出されるガスを胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36へ分配するディフューザーとして機能する。これにより、図1に示されるように、エアバッグ本体部30(サイドエアバッグ20)がシートバック16の前方及び上下方向へ膨張展開し、乗員Pの側部とサイドドアのドアトリム39との間に介在する。
具体的には、乗員Pの胸部とドアトリム39との間に胸部チャンバ34が膨張展開し、当該胸部チャンバ34によって乗員Pの胸部が拘束される。また、乗員Pの腰部とドアトリム39との間に腰部チャンバ36が膨張展開し、当該腰部チャンバ36によって乗員Pの腰部が拘束される。この場合、インフレータ22のガス噴出口が下方に向けて配置されていることにより、腰部チャンバ36が胸部チャンバ34よりも先行して展開完了すると共に、腰部チャンバ36の内圧が胸部チャンバ34の内圧よりも相対的に高くなるように構成されている。
(第1実施形態の要部)
ここで、本実施形態では、図2及び図3に示されるように、サイドエアバッグ20には、縫製部S1が一部で中断されることにより、ベントホール部40が設けられている。詳細には、胸部チャンバ34の前端部における上下方向中央部付近で縫製部S1が中断されることにより、縫製中断部42(非縫製部)が設けられている。この縫製中断部42においては、一方のメインパネル24と側面パネル28とが縫製されておらず、これにより、胸部チャンバ34内とエアバッグ本体部30外(サイドエアバッグ20の外部)とを連通させたスリット状のベントホール部40が形成されている。このベントホール部40は、サイドエアバッグ20の膨張展開状態では、当該サイドエアバッグ20の車両幅方向外側端部において略上下方向に延在する。
また、本実施形態では、ベントホール部40を介して隣接したメインパネル24及び側面パネル28の周縁部からは、それぞれ舌片部としてのフラップ24A、28Aが一体に延出されている。メインパネル24に設けられたフラップ24Aは、メインパネル24の材料である布製部材がレーザー加工等によりカットされる際に、当該メインパネル24の周縁部の一部が舌片状にカットされることにより形成されたものである(図4参照)。また、側面パネル28に設けられたフラップ28Aは、側面パネル28の材料である布製部材がレーザー加工等によりカットされる際に、側面パネル28の周縁部の一部が舌片状にカットされることにより形成されたものである(図4参照)。これらのフラップ24A、28Aは、本実施形態では、半円形状に形成されており、メインパネル24及び側面パネル28の周縁部からの延出長さが同じ長さ寸法に設定されている。また、これらのフラップ24A、28Aの幅寸法は、ベントホール部40の長さ寸法と同等又は若干短めに形成されている。これらのフラップ24A、28Aは、ベントホール部40から胸部チャンバ34内に挿入されており、胸部チャンバ34内で互いに対向している(図3参照)。
上述のフラップ24A、28Aは、少なくともサイドエアバッグ20が乗員Pとドアトリム39との間に膨張展開するまでは胸部チャンバ34の内圧によってベントホール部40を閉塞するように構成されている。つまり、各フラップ24A、28Aは、インフレータ22から供給されるガスによる胸部チャンバ34の内圧上昇によっては、ベントホール部40を介してエアバッグ本体部30の外側へ押し出されないように長さ寸法が設定されている。これにより、乗員Pがサイドエアバッグ20によって拘束された当初(拘束初期:バッグ展開初期)には、図5A及び図6Aに示されるように、各フラップ24A、28Aが胸部チャンバ34内に位置するように構成されている。この状態では、胸部チャンバ34の内圧によってフラップ24A、28Aが重なり合う(互いに相手方に押し付けられる)ことにより、ベントホール部40がフラップ24A、28Aによって閉塞される。これにより、ベントホール部40からのガス漏れが防止又は効果的に抑制されるようになっている。
一方、拘束初期の状態から所定時間経過した拘束中期の状態においては、側面衝突の衝撃によって車体幅方向外側へ慣性移動しようする乗員Pと、車体幅方向内側へ侵入してくるドアトリム39との間でサイドエアバッグ20が車両幅方向に圧縮される(図5B及び図6B参照)。この圧縮により胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36の内圧が急激に上昇するため、拘束後期においては、胸部チャンバ34の内圧上昇に伴ってフラップ24A、28Aがエアバッグ本体部30の外側へ押し出される(図5C及び図6C参照)。つまり、フラップ24A、28Aに作用する摩擦力によりも、胸部チャンバ34の内圧によってフラップ24A、28Aに加わる押圧力の方が大きくなることにより、フラップ24A、28Aが胸部チャンバ34から押し出される。その結果、フラップ24A、28Aによるベントホール部40の閉塞が解除されてベントホール部40が開放される。これにより、胸部チャンバ34内のガスがベントホール部40を介してエアバッグ本体部30外に排出される構成になっている((図5Cの矢印G参照)。なおこの場合、ベントホール部40が胸部チャンバ34の前端側に設けられていることにより、ベントホール部40から排出されるガスは、車両前方側(乗員Pから遠ざかる側)へ向けて排出される。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成のサイドエアバッグ装置10では、上述したように、少なくともサイドエアバッグ20が乗員Pとドアトリム39との間に膨張展開するまでは胸部チャンバ34の内圧によってフラップ24A、28Aがベントホール部40を閉塞する。これにより、エアバッグ本体部30内のガスがベントホール部40を介してエアバッグ本体部30外に排出されることを防止又は抑制できるので、胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36の内圧を早期に上昇させることができる。その結果、胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36を早期に膨張展開させることができるので、サイドエアバッグ20による初期拘束性能を向上させることができる。
一方、サイドエアバッグ20が乗員Pとドアトリム39との間に膨張展開した後においては、側面衝突の衝撃によって胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36が乗員Pとドアトリム39との間で圧縮される。この圧縮により胸部チャンバ34の内圧が上昇すると、フラップ24A、28Aがエアバッグ本体部30外へ押し出される。その結果、フラップ24A、28Aによるベントホール部40の閉塞が解除されてベントホール部40が開放されるため、胸部チャンバ34内のガスがベントホール部40を介してエアバッグ本体部30外に排出される。これにより、胸部チャンバ34の内圧が低下するので、乗員Pの胸部が胸部チャンバ34から受ける負荷を低減することができる。
しかも、本実施形態では、サイドエアバッグ20の縫製部S1における縫製が一部で中断されることによりベントホール部40が設けられているため、ベントホール部40の構成を簡素で安価なものにすることができる。またしかも、一方のメインパネル24及び側面パネル28の周縁部から延出されたフラップ24A、28Aによってベントホール部40が閉塞・開放されるため、簡単な構成でベントホール部40の開閉制御をすることができる。したがって、これによっても低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、上述の如くサイドエアバッグ20が膨張展開するまでは、フラップ24A、28Aが胸部チャンバ34内に挿入(収容)されているため、側面衝突の衝撃によってドアパネル39等が破損した場合でも、フラップ24A、28Aを保護することができる。つまり、フラップ24A、28Aが胸部チャンバ34内に挿入されない構成の場合でも、フラップ24A、28Aを脆弱な糸によって縫製すること等によりベントホール部40を閉塞することができるが、この場合、破損したドアパネル39等がフラップ24A、28Aと干渉する(例えば、割れたドアパネル39にフラップ24A、28Aが挟まれる)ことにより、ベントホール部40の開放が妨げられる可能性がある。この点、本実施形態ではフラップ24A、28Aを保護することができるので、ベントホール部40を良好に開放することができる。
また、本実施形態では、サイドエアバッグ20が所謂2チャンバ3Dサイドエアバッグとされているため、膨張展開状態における車両幅方向に沿ったサイドエアバッグ20の厚さ寸法(バッグ厚)を、側面パネル28の分だけ厚くすることができる。これにより、サイドエアバッグ20の衝撃吸収ストロークを大きくすることができるので、乗員保護性能を向上させることができる。
しかも、本実施形態では、サイドエアバッグ20の膨張展開状態で車両幅方向外側に配置される縫製部S1が一部で中断されることによりベントホール部40が設けられている。これにより、サイドエアバッグ20の膨張展開状態ではベントホール部40が乗員とは反対側に配置されるため、ベントホール部40から排出される高温のガスによる乗員Pへの影響を軽減することができる。
また、本実施形態では、ベントホール部40がスリット状に形成されており、サイドエアバッグ20の膨張展開状態では、当該サイドエアバッグ20の車両幅方向外側端部において略上下方向に延在する。このため、車両幅方向内側に侵入してくるドアトリム39と乗員Pとの隙間が狭くなった場合でも、当該狭い隙間においてベントホール部40を良好に開放することができる。つまり、ベントホール部が所謂チューブベント等である場合には、上述の如き狭い隙間においてベントホール部を開放することが困難になるが、本実施形態では狭い隙間においてもベントホール部40を良好に開放することができる。したがって、特にサイドエアバッグ装置に対して有効である。
さらに、本実施形態では、一方のメインパネル24と側面パネル28との両方にそれぞれフラップ24A、28Aが設けられている。これら一対のフラップ24A、28Aは、ベントホール部40から胸部チャンバ34内に挿入され、胸部チャンバ34内で互いに対向する構成になっている。このため、インフレータ22が作動した際には、一対のフラップ24A、28Aが胸部チャンバ34の内圧によって重なり合うことにより、ベントホール部40を良好に閉塞することができる。
また、本実施形態では、フラップ24A、28Aが半円形状に形成されている。これにより、胸部チャンバ34の内圧上昇に伴ってフラップ24A、28Aがエアバッグ本体部30外に押し出される際に、ベントホール部40の縁部にフラップ24A、28Aが引っ掛からないようにすることができる。その結果、フラップ24A、28Aがエアバッグ本体部30外にスムーズに押し出されるようにすることができるので、ベントホール部40を安定的に開放することができる。
(第1実施形態の補足説明)
上記第1実施形態では、フラップ24A、28Aが同じ長さ寸法に形成された構成にしたが、これに限らず、フラップ28Aがフラップ24Aよりも短く形成された構成にしてもよい。つまり、フラップ28Aは、胸部チャンバ34が膨張して側面パネル28が車両前方側へ膨らむことにより、エアバッグ本体部30外へ押し出されやすくなるので、当該フラップ28Aがフラップ24Aよりも短く形成されることにより、ベントホール部40を良好に開放することができる。
また、上記第1実施形態では、エアバッグ本体部30の内部が胸部チャンバ34及び腰部チャンバ36に区画された構成にしたが、請求項1〜請求項8に係る発明はこれに限らず、エアバッグ本体部の内部が3つ以上のチャンバに区画された構成にしてもよい。例えば、胸部チャンバの上方に別のチャンバ(肩部チャンバ)が設けられる構成にしてもよい。この点は、以下に説明する本発明の第2の実施形態においても同様である。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
図7には、本発明の第2の実施形態に係る自動車用サイドエアバッグ装置の構成部材であるサイドエアバッグ50の斜視図が示されている。この実施形態は、前記第1実施形態と基本的に同様の構成とされている。但し、この実施形態では、サイドエアバッグ50が、所謂2チャンバ2Dサイドエアバッグとされている。このサイドエアバッグ50は、一対のパネル52、54(基布)が縫製されることにより形成されたエアバッグ本体部56を備えている。一対のパネル52、54は、何れも長円形状に形成されており、重ね合わされた状態で周縁部を縫製部S5において縫製されている。これにより、袋状のエアバッグ本体部56が形成されている。
このエアバッグ本体部56は、図7に示される膨張展開状態では、一対のパネル52、54が車両幅方向に対向し、一対のパネル52、54の長手方向がシートバック16の上下方向に沿う状態になる。また、この膨張展開状態では、一方のパネル52がドアトリム39と対向し、他方のパネル54が乗員Pと対向するように構成されている。なお、以下の説明で記載するサイドエアバッグ50についての前後方向、上下方向及び幅方向は、上記膨張展開状態での方向であり、車両における前後方向、上下方向及び幅方向と略一致している。
エアバッグ本体部56の内部には、テザー58(隔壁布/仕切り壁布)が設けられている。このテザー58は、長円形状に形成されており、長手方向がエアバッグ本体部56の前後方向に沿い且つ厚さ方向がエアバッグ本体部56の上下方向に沿う状態で、エアバッグ本体部56の内部における上下方向中央部よりも若干下方側に配置されている。このテザー58は、周縁部が縫製部S6において一対のパネル52、54に縫製されている。これにより、エアバッグ本体部56の内部が、テザー58によって胸部チャンバ60(上方チャンバ)と腰部チャンバ62(下方チャンバ)とに区画されている。
上述のテザー58と、エアバッグ本体部56の後端部との間には、胸部チャンバ60と腰部チャンバ62とを連通させた連通部64(隙間)が形成されている。この連通部64には、インフレータ22及びリテーナ38(何れも図7では図示省略)が配置される。インフレータ22及びリテーナ38は、前記第1実施形態に係るインフレータ22及びリテーナ38と同様の構成とされており、エアバッグ本体部56の後端側及びサイドフレーム17を貫通したスタッドボルト40がナットに螺合することにより、リテーナ38及びサイドエアバッグ50がサイドフレーム17に固定される構成になっている。
インフレータ22から噴出されるガスは、リテーナ38の上端開口部を介して胸部チャンバ60内へ流入すると共に、リテーナ38の下端開口部を介して腰部チャンバ62内へ流入する。これにより、乗員Pの胸部とドアトリム39との間に胸部チャンバ60が介在すると共に、乗員Pの腰部とドアトリム39との間に腰部チャンバ62が介在するように、サイドエアバッグ50が乗員Pの側部とドアトリム39との間に膨張展開するようになっている。なお、この実施形態においても、腰部チャンバ62が胸部チャンバ60よりも先行して展開完了すると共に、腰部チャンバ62の内圧が胸部チャンバ60の内圧よりも高くなるように構成されている。
(本第2実施形態の要部)
本実施形態では、上記胸部チャンバ60の前端部における上下方向中央部付近で縫製部S5が中断されることにより、縫製中断部68(非縫製部)が設けられている。この縫製中断部68においては、一対のパネル52、54が縫製されておらず、これにより、胸部チャンバ60内とエアバッグ本体部56外とを連通させたベントホール部70が形成されている。
また、本実施形態では、一対のパネル52、54(ベントホール部70を介して隣接した一対の基布)の周縁部からは、それぞれ舌片部としてのフラップ52A、54Aが一体に延出されている。これらのフラップ52A、54Aは、前記第1実施形態に係るフラップ24A、28Aと基本的に同様の構成とされており、ベントホール部70を介して胸部チャンバ60内に挿入されている。これらのフラップ52A、54Aは、胸部チャンバ60内で互いに対向している。
これらのフラップ52A、54Aは、少なくともサイドエアバッグ50が乗員Pとドアトリムとの間に膨張展開するまでは胸部チャンバ60の内圧によってベントホール部70を閉塞するように構成されている。これにより、乗員Pがサイドエアバッグ50によって拘束された当初(拘束初期)には、図8A及び図9Aに示されるように、各フラップ52A、54Aが胸部チャンバ60内に位置するように構成されている。この状態では、胸部チャンバ60の内圧によってフラップ52A、54Aが重なり合うことにより、ベントホール部70がフラップ52A、54Aによって閉塞される。これにより、ベントホール部70からのガス漏れが防止又は効果的に抑制されるようになっている。
一方、拘束中期においては、サイドエアバッグ50が乗員Pとドアトリムとの間で圧縮される(図8B及び図9B参照)ことにより、胸部チャンバ60及び腰部チャンバ62の内圧が急激に上昇する。これにより、拘束後期においては、フラップ52A、54Aが胸部チャンバの内圧上昇に伴ってサイドエアバッグの外側へ押し出される(図8C及び図9C参照)。その結果、フラップ52A、54Aによるベントホール部70の閉塞が解除されてベントホール部が開放されるようになっている。
この実施形態においても、前記第1実施形態と基本的に同様の作用効果を奏する。しかも、この実施形態では、一対のパネル52、54によってエアバッグ本体部56が形成されているため、エアバッグ本体部56の構成を簡単なものにすることができる。
<各実施形態の補足説明>
上記各実施形態では、フラップ24A、28A、52A、54A(舌片部)が半円形状に形成された構成にしたが、請求項1〜請求項6に係る発明はこれに限らず、舌片部の形状は適宜変更することができる。但し、舌片部が胸部チャンバからスムーズに押し出されるようにするためには、舌片部における少なくとも先端側が半円形状に形成されることが好ましい。
また、上記第2実施形態では、一対のパネル52、54が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部56が形成された構成にしたが、請求項1及び請求項2に係る発明はこれに限らず、1枚の基布が二つ折りにされると共に当該基布が二つ折りの折れ線側を除く周縁部を縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成される構成にしてもよい。
また、上記第2実施形態では、サイドエアバッグ50がテザー58を備えた構成にしたが、請求項5及び請求項6に係る発明はこれに限らず、エアバッグ本体部の上下方向中間部において一対の基布が縫製される(シームが設定される)ことによりエアバッグ本体部の内部が胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画された構成にしてもよい。
また、上記各実施形態では、ベントホール部40、70が胸部チャンバ34、60の前端側に設けられた構成にしたが、請求項1〜請求項8に係る発明はこれに限らず、ベントホール部が胸部チャンバの後端側に設けられた構成にしてもよい。この場合、ベントホール部40、70から排出されるガスは、車両後方側(シートバッグ内)へ向けて排出される構成になるため、高温のガスによる乗員への影響を一層低減することができる。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことはいうまでもない。

Claims (6)

  1. 基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成され、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されたサイドエアバッグと、
    車両の側面衝突時に前記胸部チャンバ内及び前記腰部チャンバ内にガスを供給することにより、前記胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し且つ前記腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在するように前記サイドエアバッグを膨張展開させるインフレータと、
    前記縫製が一部で中断されることにより前記サイドエアバッグに設けられ、前記胸部チャンバ内と前記エアバッグ本体部外とを連通させたベントホール部と、
    前記ベントホール部を介して隣接した前記基布の縁部の両方からそれぞれ舌片状かつ一体に延出され、前記ベントホール部から前記胸部チャンバ内に挿入され、前記胸部チャンバ内で互いに対向した一対の舌片部と、
    を備えた自動車用サイドエアバッグ装置。
  2. 基布が縫製されることにより袋状のエアバッグ本体部が形成され、当該エアバッグ本体部の内部が少なくとも胸部チャンバ及び腰部チャンバに区画されたサイドエアバッグと、
    車両の側面衝突時に前記胸部チャンバ内及び前記腰部チャンバ内にガスを供給することにより、前記胸部チャンバが乗員の胸部と車体側部との間に介在し且つ前記腰部チャンバが乗員の腰部と車体側部との間に介在するように前記サイドエアバッグを膨張展開させるインフレータと、
    前記縫製が一部で中断されることにより前記サイドエアバッグに設けられ、前記胸部チャンバ内と前記エアバッグ本体部外とを連通させたベントホール部と、
    前記ベントホール部を介して隣接した前記基布の縁部の両方からそれぞれ舌片状かつ一体に延出され、前記ベントホール部から前記胸部チャンバ内に挿入され、前記胸部チャンバ内で互いに対向しており、前記インフレータから供給されるガスによる前記胸部チャンバの内圧によって前記ベントホール部を閉塞すると共に、膨張展開状態の前記サイドエアバッグが車両幅方向に圧縮されることによる前記胸部チャンバの内圧上昇に伴って前記エアバッグ本体部外へ押し出されて前記閉塞を解除する一対の舌片部と、
    を備えた自動車用サイドエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグ本体部は、
    前記サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向に対向する一対のメイン基布と、
    帯状に形成され、一方の長辺縁部が一方の前記メイン基布の周縁部と縫製されると共に他方の長辺縁部が他方の前記メイン基布の周縁部と縫製された側面基布と、
    によって構成されており、
    前記ベントホール部は、前記膨張展開状態で車両幅方向外側に配置される一方の前記メイン基布と前記側面基布との縫製が一部で中断されることにより形成されており、前記一方のメイン基布及び前記側面基布のそれぞれに前記舌片部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の自動車用サイドエアバッグ装置。
  4. 前記エアバッグ本体部は、前記サイドエアバッグの膨張展開状態で車両幅方向に対向する一対の基布が周縁部を縫製されることにより構成されており、前記一対の基布のそれぞれに前記舌片部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の自動車用サイドエアバッグ装置。
  5. 前記舌片部は、少なくとも先端側が半円形状に形成されている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動車用サイドエアバッグ装置。
  6. 前記側面基布に設けられた前記舌片部は、前記一方のメイン基布に設けられた前記舌片部よりも短く形成されている請求項3に記載の自動車用サイドエアバッグ装置。
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