JP2013159304A - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグ40の膨張部46を区画部材50により上流側膨張部47及び下流側膨張部48に区画する。区画部材50に、内開口部71及び一対の弁体部73,74を有する調圧弁70を設ける。両弁体部73,74は、上流側膨張部47による乗員拘束前には、同膨張部47内の膨張用ガスGにより押圧されて互いに接触することで、内開口部71での膨張用ガスGの流通を規制し、上流側膨張部47による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、区画部材50を通じて撓んで互いに離間することで、内開口部71での膨張用ガスGの流通を許容する。上流側膨張部47は、肩部PSの後端PSRと中心PSCとを少なくとも含む領域の側方で展開膨張する肩保護膨張部64を有する。
【選択図】図7
Description
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、乗物用シートの側方からの衝撃に応じ、エアバッグの膨張部によって乗員を乗物の内側へ効率よく移動させて、乗員の保護性能向上を図ることのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
従って、エアバッグによる乗員の拘束初期には、乗員の上半身のうち胸部よりも耐衝撃性の高い肩部は、早期に内圧が高くなる上流側膨張部の肩保護膨張部によって強く押圧される。また、同拘束初期には、乗員の上半身のうち耐衝撃性の比較的低い胸部は、内圧が上流側膨張部(肩保護膨張部)ほど高くならない下流側膨張部によって押圧される。
ここで、乗員の上半身に対し側方から衝撃が加わった場合の耐衝撃性は、腰部においても肩部と同様に高い。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、以下の記載における上下方向は車両の上下方向を意味する。さらに、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近付く側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図3に示すように、シートバック14内の車外側(図3では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図3ではその表皮の図示が省略されている。後述する図6についても同様である。
次に、これらの構成部材の各々について説明する。ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールAM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、図1に示すように、車両用シート12のシートバック14を基準としている。シートバック14の起立する方向をエアバッグモジュールAM等の「上下方向」とし、シートバック14の厚み方向をエアバッグモジュールAM等の「前後方向」としている。上述したように、通常、シートバック14は後方へ多少傾斜した状態で使用されることから、エアバッグモジュールAM等の「上下方向」は厳密には車両10の上下方向(鉛直方向)と合致しておらず、多少傾斜している。同様に、エアバッグモジュールAM等の「前後方向」は、車両10の前後方向(水平方向)と合致しておらず、多少傾斜している。
図3及び図4に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生源としてのインフレータ31と、そのインフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスGを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31の長さ方向についての一方の端部(本実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
<エアバッグ40>
図1及び図2に示すように、エアバッグ40は、車両10の走行中等に側突等により衝撃が車両用シート12の側方から同車両10(ボディサイド部11)に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスGの供給を受ける。このエアバッグ40は、自身の一部(後部)をシートバック14内に残した状態で同シートバック14から略前方へ向けて飛び出す。エアバッグ40は、車両用シート12に着座した乗員Pに接近した箇所、ここでは同乗員Pの上半身とボディサイド部11との間で展開膨張することにより上記側突の衝撃から乗員Pの上半身の多くの部分を保護する。
図5は、図4のA−A線に沿った断面構造を示している。この図5では、各部材が厚みを省略して描かれるとともに、各内結合部63がジグザグ状に描かれている。図5及び図7に示すように、エアバッグ40が非膨張展開状態となっているときには、区画部材50は、上下方向に延びる折り線51に沿って折り返されることにより、相対向する対向端部52,53を接近させてなる二つ折り状態にされている。この二つ折り状態の区画部材50は、折り線51を両対向端部52,53よりも上流側(インフレータ31に近い側)に位置させた状態で膨張部46内に配設されている。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、上方又は下方(本実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部62に重ねられている。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、内結合部63に沿う方向(横方向:車幅方向)の両端部において、前述した外結合部54,55により、エアバッグ40の対応する布部43,44及び区画部材50の非重ね合わせ部62に結合(共縫い)されている(図5、図7(A),(B)参照)。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ75及び制御装置76を備えている。衝撃センサ75は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加わる衝撃を検出する。制御装置76は、衝撃センサ75からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
そして、上流側膨張部47の上記展開膨張により、同上流側膨張部47が折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消しようとする。上流側膨張部47が、折り状態を解消(展開)しながら膨張(展開膨張)していくと、シートバック14のシートパッド16が肩保護膨張部64によって押圧され、破断予定部21(図3参照)において破断される。図6に示すように、肩保護膨張部64は、その一部を収納部18に残した状態で、破断された箇所を通じてシートバック14から前方へ飛び出す。
また、上記肩部PSは、乗員Pの上半身のなかでも最も車両用シート12の幅方向外側(車外側:ボディサイド部11側)へ飛び出している部位であって、ボディサイド部11に最も接近している。車両10に衝撃が加わる前のボディサイド部11と乗員Pの上半身との間隔は、肩部PSにおいて最小である。
上記のように、調圧弁70の開弁(進入量(ストローク)S2)後には、上流側膨張部47の内圧が低下するとともに下流側膨張部48の内圧が上昇する。また、乗員Pの上流側膨張部47側の受圧面積、及び下流側膨張部48側の受圧面積が時間差をもって増加する。このため、進入量(ストローク)S2以降、乗員Pが膨張部46の全体から受ける荷重、すなわち、上流側膨張部47から受ける荷重と下流側膨張部48から受ける荷重との合計は、膨張部46が区画されていない場合(図11の比較例)の最大値よりも低く、しかも略一定の値(所定値β)となる。
(1)エアバッグ40の膨張部46を、面状の区画部材50により、膨張用ガスGが供給される上流側膨張部47と、上流側膨張部47の前側に隣接し、かつ上流側膨張部47を経由した膨張用ガスGが供給される下流側膨張部48とに区画する。この区画部材50には、内開口部71及び一対の弁体部73,74を有する調圧弁70を設ける。さらに、上流側膨張部47に、乗員Pの肩部PSの後端PSRと中心PSCとを少なくとも含む領域の側方で展開膨張する肩保護膨張部64を設けている(図7)。
そのため、エアバッグ40による乗員Pの拘束初期には、乗員Pの上半身のうち耐衝撃性が肩部PSよりも低い胸部PTを、内圧が上流側膨張部47(肩保護膨張部64)ほど高くならない下流側膨張部48によって押圧することができる。その結果、乗員Pの各部の耐衝撃性に応じた硬さで肩保護膨張部64及び下流側膨張部48を乗員Pに押付けることができ、肩部PS及び胸部PTを衝撃から有効に保護することができる。
そのため、乗員Pの上半身に対し側方から衝撃が加わった場合には、肩部PSと同様、耐衝撃性の高い腰部PPを、早期に内圧が高くなる上流側膨張部47の腰保護膨張部65によって強く押圧することができる。その結果、乗員Pをより一層、車内側へ移動させ、ボディサイド部11と乗員Pとの間隔を拡げ、下流側膨張部48の展開膨張のための空間を確保することができ、乗員保護性能をさらに向上させることができる。
そのため、サイドサポート部23を腰保護膨張部65によって押圧して前方や車内側へ膨らませ、車両用シート12に着座している乗員Pを押して、車内側へ移動させることができる。
<区画部材50について>
・区画部材50における上側の部材56及び下側の部材57の少なくとも一方は、折り線51に沿って2枚に分割されてもよい。
また、対向端部52,53の一方が上流側膨張部47内で結合され、他方が下流側膨張部48内で結合されてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部73,74として機能するのは、内開口部71に対応する部分(内開口部71の近傍部分、より正確には、内開口部71と端縁58E,59Eとの間の部分)である。そのため、上流側膨張部47の展開膨張時に、両弁体部73,74の少なくとも先端部73T,74Tが接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、内開口部71に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において内開口部71に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において内開口部71に対応する部分だけ両弁体部73,74として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えば、ばたつく現象を抑制することができる。
・区画部材50と両弁体部73,74とは、互いに異なる部材によって構成されてもよい。
・両内結合部63間の結合を解除される箇所は、必ずしも折り線51を跨ぐ部分に設けられなくてもよく、折り線51から、同折り線51に直交する方向へ外れた箇所に設けられてもよい。
・両弁体部73,74を含む一対の重ね合わせ部61は、膨張部46の展開膨張前に上流側膨張部47に代えて、下流側膨張部48に配置されてもよい。
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスGが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・腰保護膨張部65は、シートバック14のシートパッド16を破断して前方へ飛び出すものであってもよい。
・インフレータアセンブリ30はエアバッグ40の外部に設けられてもよい。この場合には、インフレータ31と上流側膨張部47とが管によって繋がれ、この管を介してインフレータ31からの膨張用ガスGが上流側膨張部47に供給されてもよい。
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・本発明は、上流側膨張部47が、肩部PSの後端PSRと中心PSCとを少なくとも含む部位を側突等の衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に適用可能である。従って、上述した腰部PPから胸部PT及び肩部PSにかけての部位に限らず、胸部PT(肩部PS)から頭部PHにかけての部位、腰部PPから頭部PHにかけての部位等、種々の部位を側突等の衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・本発明は、車両に限らず、航空機、船舶等のほかの乗物における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
Claims (4)
- 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートの側方で前方へ向けて展開膨張する膨張部を有するエアバッグを備え、前記膨張部を、面状の区画部材により、膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接し、かつ前記上流側膨張部を経由した膨張用ガスが供給される下流側膨張部とを少なくとも含む複数の部位に区画し、前記乗物用シートに着座した乗員を前記膨張部で拘束するサイドエアバッグ装置であって、
前記区画部材には、開口部及び一対の弁体部を有する調圧弁が設けられ、
前記両弁体部は、前記上流側膨張部による乗員拘束前には、前記上流側膨張部内の膨張用ガスにより押圧されて互いに接触することで、前記開口部での膨張用ガスの流通を規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、前記区画部材を通じて撓んで互いに離間することで、前記開口部での膨張用ガスの流通を許容するものであり、
前記上流側膨張部は、前記乗員の肩部の後端と中心とを少なくとも含む領域の側方で展開膨張する肩保護膨張部を有することを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記下流側膨張部は、前記肩保護膨張部の前側に隣接して設けられており、前記乗員の胸部の側方で展開膨張するものである請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記上流側膨張部は、前記乗員の腰部の側方で展開膨張する腰保護膨張部をさらに有する請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグは、前記乗物用シートの内部に収納されており、
前記腰保護膨張部は、前記乗物用シートの内部で展開膨張するものである請求項3に記載のサイドエアバッグ装置。
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