JP6304020B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、乗物のボディサイド部に対し側方から衝撃が加わった場合に、乗物用シートに着座している乗員とボディサイド部との間でエアバッグ本体を展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に関する。
側突等により車両に対し側方から衝撃が加わった場合に、車両用シートに着座している乗員を保護する装置として、エアバッグ及びインフレータを備えたサイドエアバッグ装置が有効である。このサイドエアバッグ装置の一形態として、エアバッグが、その外殻部分を構成するエアバッグ本体と、調圧弁等のガス流れ規制部を有する区画部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。区画部は、エアバッグ本体内を、同区画部よりも後側に位置して、インフレータから膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、区画部よりも前側に位置して、上流側膨張部及びガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画している。
上記サイドエアバッグ装置によれば、車両のボディサイド部、例えばサイドドア等に対し側方から衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスが上流側膨張部に供給されて、同上流側膨張部が、乗員の上半身と車内側へ進入してくるボディサイド部との間で展開及び膨張する。上流側膨張部内の膨張用ガスはガス流れ規制部を通って下流側膨張部へ流入し、上流側膨張部に遅れて下流側膨張部を展開及び膨張させる。そして、上記上流側膨張部及び下流側膨張部を通じて乗員の上半身に荷重が作用し、同上半身が拘束されるとともに、ボディサイド部を通じて乗員の上半身に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
特開2013−35535号公報
ところで、ボディサイド部において乗員の腹部と同程度の高さとなる箇所からは、一般にアームレストが車内側へ向けて突出している。従って、腹部とボディサイド部との間隔は、胸部とボディサイド部との間隔や、腰部とボディサイド部との間隔よりも狭い。
しかしながら、上記特許文献1を含め、従来のサイドエアバッグ装置では、上記のように上半身の部位とボディサイド部との間隔の相違が充分考慮されずに上流側膨張部の展開及び膨張が行なわれている。そのため、上流側膨張部から作用する荷重が上半身の部位によっては小さすぎたり、大きすぎたりする。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上流側膨張部が展開及び膨張したときに乗員の上半身の各部を適切な荷重で拘束することのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決する請求項1に記載のサイドエアバッグ装置は、側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも胸部から腰部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部又は下端部に近接する部位まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、前記上流側膨張部のうち前記胸部を保護する部位は、前記腰部を保護する部位よりも低い内圧で展開及び膨張させられるものであり、展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腰部を保護する部位、及び腹部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されている。
上記課題を解決する請求項2に記載のサイドエアバッグ装置は、側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも胸部から腰部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部又は下端部に近接する部位まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、前記上流側膨張部のうち前記胸部を保護する部位は、前記腰部を保護する部位よりも低い内圧で展開及び膨張させられるものであり、展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腰部を保護する部位、及び腹部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、前記上流側膨張部のうち前記腰部を保護する部位では、前記区画部が、前記エアバッグ本体の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されている。
上記の構成によれば、乗物のボディサイド部に側方から衝撃が加わり、膨張用ガスが上流側膨張部に供給されると、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも胸部から腰部にかけての領域とボディサイド部との間で、上流側膨張部が展開及び膨張する。
ここで、腹部とボディサイド部との間隔は、胸部や腰部とボディサイド部との間隔よりも狭い。これは、ボディサイド部から室内に向けて突出するアームレストが、一般に、乗員の腹部と同程度の高さとなる箇所に設けられているからである。
一方で、上記の構成によるように、上流側膨張部のうち、腹部を保護する部位の膨張厚みは、胸部や腰部を保護する部位の膨張厚みよりも小さい。そのため、腹部を保護する部位は、同腹部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で腹部を拘束する。
また、上流側膨張部のうち、胸部を保護する部位は、腹部とボディサイド部との間よりも広い、胸部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で胸部を拘束する。同様に、上流側膨張部のうち、腰部を保護する部位は、腹部とボディサイド部との間よりも広い、腰部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で腰部を拘束する。
なお、上流側膨張部に供給された膨張用ガスは、ガス流れ規制部を通って下流側膨張部へ流入する。膨張用ガスは、ガス流れ規制部を通過する際に流路面積を絞られ、下流側膨張部へ流入することを少なからず規制される。この膨張用ガスにより、上流側膨張部に加え下流側膨張部も展開及び膨張する。乗員は、上流側膨張部に加え下流側膨張部によっても拘束され、衝撃から保護される。
ここで、乗員の上半身に対し側方から衝撃が加わった場合の耐衝撃性は、胸部よりも腰部において勝っている。そのため、上流側膨張部のうち、胸部を保護する部位を、腰部を保護する部位よりも柔らかく、しかも乗物用シートの幅方向へ多くの量膨張させることが望ましい。
この点、上記の構成によれば、胸部を保護する部位は、腰部を保護する部位よりも低い内圧で、しかも大きな膨張厚みで膨張させられる。従って、胸部を保護する部位が、同胸部を保護するのに適した内圧及び膨張厚みで膨張させられる。また、腰部を保護する部位が、同腰部を保護するのに適した内圧及び膨張厚みで膨張させられる。このように、上流側膨張部のうち、胸部を保護する部位、及び腰部を保護する部位が、耐衝撃性の上記相違を考慮した内圧及び膨張厚みで展開及び膨張させられる。
請求項1に記載のサイドエアバッグ装置の構成によれば、上流側膨張部は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとし、膨張厚みを生ずる。この膨張厚みは、本体長が長くなるに従い増大する傾向にある。
一方、両縦結合部によりエアバッグ本体に結合された区画部は、上流側膨張部が展開及び膨張する際に乗物用シートの幅方向両側に引っ張られる。区画部は緊張状態となって、上流側膨張部の膨張厚みを規制する。規制の度合いは区画部長が大きくなるに従い小さくなる。従って、上流側膨張部の膨張厚みは、区画部長が大きくなるに従い大きくなる傾向にある。
このように、上流側膨張部の膨張厚みは、主として区画部長及び本体長によって決定される。そのため、区画部長及び本体長の組合わせを適切に設定することにより、乗員の腹部を保護する部位の膨張厚みを、胸部を保護する部位、及び腰部を保護する部位の各膨張厚みよりも小さくすることが可能である。
請求項2に記載のサイドエアバッグ装置の構成によるように、区画部が、腰部を保護する部位において、エアバッグ本体の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜することにより、傾斜しない場合に比べ、同部位の前後長が長くなる。上述したように、腰部は胸部よりも耐衝撃性が高い。また、腰部を保護する部位は、胸部を保護する部位よりも高い内圧で膨張させられる。従って、腰部の前後方向により広い領域が、上流側膨張部のうち、高い内圧を有し、かつ前後方向に寸法の大きな部位から荷重を受けて効率よく拘束される。
上記サイドエアバッグ装置によれば、上流側膨張部が展開及び膨張したときに乗員の上半身の各部を適切な荷重で拘束することができる。
車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態を示す図であり、同装置が設けられた車両用シートを乗員とともに示す側面図。 一実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す平断面図。 一実施形態において、車両用シート、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 一実施形態において、エアバッグモジュールが組み込まれたシートバックの側部の内部構造を示す部分平断面図。 一実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを車外側から見た側面図。 一実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを車内側から見た側面図。 一実施形態において、エアバッグの各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示す分解斜視図。 (a)は、図5のエアバッグモジュールの内部構造を乗員及び車両用シートとともに示す部分側断面図、(b)は図8(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 図4のエアバッグ本体がその一部をシートバック内に残して車両用シートから飛び出して展開及び膨張した状態を示す部分平断面図。 一実施形態における上流側膨張部の膨張に伴い区画部が緊張したときの調圧弁及びその周辺部分を示す部分斜視図。 (a)〜(c)は、一実施形態における連通部及び調圧弁の動作を模式的に示す部分側断面図。 一実施形態において展開させられた区画部を前方から見た状態を示す正面図。 (a)〜(c)は、展開及び膨張したエアバッグ本体の各部を模式的に示す平断面図。 ガス流れ規制部の変形例として、連通部及び調圧弁に代えて開口部が設けられた区画部を示す斜視図。 区画部に、ガス流れ規制部として、孔及び蓋シートが設けられた変形例を示す図であり、(a)は区画部及び蓋シートの斜視図、(b)は図15(a)の一部を拡大して示す部分斜視図。
以下、車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。また、車両用シートには、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が着座しているものとする。このダミーは、例えば国際統一側面衝突ダミー(WorldSID)のAM50(米国成人男性の50%をカバーするモデル)である。
図1〜図3に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
ボディサイド部11の内壁において乗員Pの腹部PBと同程度の高さとなる箇所には、アームレスト(肘掛け)ARが車内側へ向けて突設されている(図3参照)。
車両用シート12は、シートクッション13と、そのシートクッション13の後側から起立し、かつ傾斜角度を調整可能に構成されたシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
次に、シートバック14における車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図9についても同様である。
シートパッド16内において、サイドフレーム部15の車外側近傍には収納部18が設けられている。この収納部18には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールABMが組み込まれている。
収納部18の角部からは、斜め前かつ車外側に向けてスリット19が延びている。シートパッド16の前側の角部16cとスリット19とによって挟まれた箇所(図4において二点鎖線の枠で囲んだ箇所)は、後述するエアバッグ30によって破断される破断予定部21を構成している。
エアバッグモジュールABMは、ガス発生器25及びエアバッグ30を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<ガス発生器25>
図4及び図8(a)に示すように、ガス発生器25は、インフレータ26と、そのインフレータ26を覆うリテーナ27とを備えている。ここでは、インフレータ26として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ26は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ26は、その下端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ26の上端部には、同インフレータ26への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータ26としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ27は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ26をエアバッグ30と一緒にサイドフレーム部15に締結する機能を有する部材である。リテーナ27の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。リテーナ27の少なくとも下端は開放端となっている。
リテーナ27には、これをサイドフレーム部15に取付けるための係止部材として、複数本のボルト28が固定されている(図6参照)。なお、ガス発生器25は、インフレータ26とリテーナ27とが一体になったものであってもよい。
図1及び図2に示すように、エアバッグ30の外殻部分はエアバッグ本体31によって構成されている。
<エアバッグ本体31>
図5及び図6は、エアバッグ本体31が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールABMを示している。また、図8(a)は、エアバッグモジュールABMの内部構造を示すべく、図5のエアバッグ本体31が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールABMを乗員P及び車両用シート12とともに示している。図7は、エアバッグ本体31をはじめとする、エアバッグ30の各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示している。
図5〜図7に示すように、エアバッグ本体31は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線32に沿って前方へ二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ本体31の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを本体布部33といい、車外側に位置するものを本体布部34というものとする。上記折り線32に沿った二つ折りにより、非膨張展開状態のエアバッグ本体31の後縁部は、上下方向に沿って直線状に延びている。
なお、本実施形態では、折り線32がエアバッグ本体31の後端部に位置するように布片が二つ折りされているが、折り線32が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ本体31は折り線32に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。さらに、エアバッグ本体31は3枚以上の布片からなるものであってもよい。
エアバッグ本体31においては、両本体布部33,34の外形形状が、折り線32を対称軸として互いに線対称の関係にある。図1及び図2に示すように、各本体布部33,34は、エアバッグ本体31が車両用シート12とボディサイド部11との間で展開及び膨張したときに、乗員Pの上半身の多くの部分(胸部PTから腰部PPにかけての部位)に対応する領域を占有し得る形状及び大きさに形成されている。この領域には、腹部PBに対応する領域が含まれる。
両本体布部33,34としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
両本体布部33,34の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部35においてなされている。本実施形態では、周縁結合部35の大部分は、両本体布部33,34の周縁部のうち、後端部(折り線32の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する結合部44,84、縦結合部45,71及び横結合部63についても同様である。
上記縫製に関し、図5〜図8(a)、図10及び図12では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。変形例の説明に用いられる図15についても同様である。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している(図5における周縁結合部35等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図5における横結合部63等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る断面に沿った縫糸の断面を示している(図8(a)における周縁結合部35等参照)。
なお、周縁結合部35は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する結合部44,84、縦結合部45,71及び横結合部63についても同様である。
図8(a)に示すように、両本体布部33,34間であって、周縁結合部35及び折り線32によって囲まれた空間は、膨張用ガスによって展開及び膨張する膨張部36となっている。
図6及び図7に示すように、車内側の本体布部33の後端部であって上下方向の中間部分には、ガス発生器25の挿入口37が形成されている。また、上記本体布部33において挿入口37の下方となる複数箇所(2箇所)には、ガス発生器25のボルト28を挿通させるためのボルト孔38があけられている。
膨張部36は、区画部40により2つに区画されている。区画部40は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。
<区画部40>
図7中の区画部40は、エアバッグ本体31に組付けられる前の状態である、展開させられた状態で示されている。区画部40は、本体部41と、本体部41の下端部に一体に形成された一対の傾斜部42とによって構成されている。本体部41の下部は、同本体部41の上下方向の中間部分よりも幅狭に形成されている。また、両傾斜部42は、下側ほど互いの間隔が拡がるように、エアバッグ本体31の後縁部に対し傾斜している。
図5、図6及び図8(a)に示すように、区画部40は、エアバッグ本体31が非膨張展開状態にされているときには、車幅方向の中央部において上下方向に沿って延びる折り線43に沿って前方へ二つ折りされている。この状態の区画部40の本体部41は、エアバッグ本体31の後縁部に沿って略上下方向へ延びている。両傾斜部42は、エアバッグ本体31の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜している。本体部41の上端部は、上記周縁結合部35によって両本体布部33,34の上端部に対し、共縫いにより結合されている。また、各傾斜部42の下端部は、周縁結合部35によって両本体布部33,34の前下端部に対し、共縫いにより結合されている。さらに、両傾斜部42は、それらの下縁部に沿って設けられた結合部44によって結合されている。
区画部40は、車幅方向両側における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部45によって、対応する本体布部33,34に結合されている。各縦結合部45は、上下方向の部位によって異なる形状をなしている。各縦結合部45のうち、本体部41におけるものを上から下に順に、縦結合部45a、縦結合部45b、縦結合部45cとし、傾斜部42におけるものを縦結合部45dとする。各縦結合部45aは、斜め前方へ緩やかに膨らむ湾曲状をなしている。各縦結合部45bは、エアバッグ本体31の後縁部に沿って略上下方向に延びる直線状をなしている。各縦結合部45cは、後方へ凹む湾曲状をなしている。各縦結合部45dは、下側ほど前方に位置するように傾斜している。
各縦結合部45a〜45dは、上記のように蛇行した状態で区画部40の側縁部を対応する本体布部33,34に結合している。この結合と結合部44による結合とにより、区画部40は、両本体布部33,34間であって、膨張部36の前後方向における略中央部分に架設されている。
区画部40は、エアバッグ本体31の膨張に伴い、車幅方向の両側に引っ張られて展開された状態では、本体部41が上下方向に沿って延びた状態となり、両傾斜部42が下側ほど前方に位置する傾斜状態となる。このときの区画部40は、全体として、上下方向の寸法が車幅方向の寸法よりも長くなる縦長の形状となる。
膨張部36の区画部40よりも後側の部分は、同膨張部36のうちガス発生器25から最初に膨張用ガスが供給される上流側膨張部46を構成している。膨張部36の区画部40よりも前側の部分は、上流側膨張部46及び後述するガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部47を構成している。
区画部40は、上記両本体布部33,34と同様の素材からなり、かつ上下方向に並べられた2つの布片48,49によって構成されている。より詳しくは、区画部40のうちの本体部41の上半部が上側の布片48によって構成され、本体部41の下半部と、両傾斜部42とが下側の布片49によって構成されている。
図8(a),(b)及び図10に示すように、布片48の下側の端部51と、布片49の上側の端部52とは、乗員Pの胸部PTの側方となる箇所で重ね合わされている。両布片48,49は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部61と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部62」という)との境界部分において、車幅方向に沿って延びる横結合部63によって結合されている。
なお、布片48,49の少なくとも一方は、折り線43に沿って2枚に分割されたものによって構成されてもよい。
区画部40には、上流側膨張部46から下流側膨張部47への膨張用ガスの流通を規制するガス流れ規制部として、連通部64及び調圧弁65が設けられている。
<連通部64及び調圧弁65>
これらは、上流側膨張部46による乗員拘束に伴い外力が加わることを条件とし、その条件が満たされるまでは閉じた状態又はそれに近い状態となり、同条件が満たされることにより開くものである。連通部64及び調圧弁65は、上流側膨張部46の膨張に伴い緊張させられた区画部40において、上下方向については乗員Pの胸部PTの側方であって、車幅方向については略中央部分に設けられている。詳しくは、区画部40において、乗員Pの胸部PTの側方に設けられた横結合部63は、車幅方向の略中央部分において結合を解除されている。このように、横結合部63による結合を解除された箇所は、車幅方向に延びて、上流側膨張部46と下流側膨張部47とを連通させるスリット状の連通部64を構成している。
調圧弁65は、連通部64での膨張用ガスの流通を制御することで、上流側膨張部46及び下流側膨張部47の各内圧を調整する弁である。そして、布片48の端部51のうち、車幅方向において連通部64に対応する箇所によって調圧弁65の弁体部66が構成され、布片49の端部52のうち車幅方向において連通部64に対応する箇所によって調圧弁65の弁体部67が構成されている。
両弁体部66,67が、それらの少なくとも一部、例えば先端部66t,67tにおいて互いに接触することで、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通が規制される(図11(a),(b)参照)。このときの調圧弁65の動作態様を「閉弁」という。また、連通部64が開かれ、かつ弁体部66の略全体が弁体部67の略全体から離間することで、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通が可能となる(図11(c)参照)。このときの調圧弁65の動作態様を「開弁」という。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、下方へ折り曲げられて、下側の非重ね合わせ部62に重ねられている。なお、上記とは逆に、両重ね合わせ部61が上方へ折り曲げられて上側の非重ね合わせ部62に重ね合わされてもよい。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、車幅方向の両端部において、前述した両縦結合部45により、エアバッグ本体31の対応する本体布部33,34及び非重ね合わせ部62に対し、共縫いにより結合されている。
非膨張展開状態のエアバッグ本体31内の後部には整流布70が配置されている。
<整流布70>
図7及び図8に示すように、整流布70は、インフレータ26下部のガス噴出部から噴出された膨張用ガスを、上方よりも下方へ多く供給されるように分配するためのものである。
整流布70は、上記両本体布部33,34と同様の素材によって矩形状に形成された1枚の布片を、エアバッグ本体31に結合することにより形成されている。整流布70のエアバッグ本体31に対する結合は、展開させられた状態の整流布70の車幅方向の両側部において上下方向に沿って延びる一対の縦結合部71によってなされている。両縦結合部71の一方は、整流布70を車内側の本体布部33に結合し、他方は、同整流布70を車外側の本体布部34に結合している。なお、整流布70は、複数の布片によって構成されてもよい。また、整流布70は、二つに折り重ねられた状態で本体布部33,34に結合されてもよい。
そして、上下方向に沿って延びる姿勢にされたガス発生器25の多くの部分は、上流側膨張部46内の後端部に収容されている。ガス発生器25の上部は挿入口37を通り、エアバッグ本体31の外部に露出している。ガス発生器25の下部は、整流布70において両縦結合部71によって挟まれた箇所と、エアバッグ本体31の後部との間に挿入されている。
リテーナ27のボルト28が本体布部33のボルト孔38に挿通されることにより、ガス発生器25が、エアバッグ本体31(本体布部33)に対し位置決めされた状態で係止されている(図6参照)。
さらに、エアバッグ本体31(本体布部33)の前部には、展開及び膨張した下流側膨張部47内の膨張用ガスを前方へ排出するための排気孔(ベントホールとも呼ばれる)75が設けられている。
ここで、図12及び図13(a)〜(c)に示すように、展開及び膨張した上流側膨張部46の車幅方向の寸法を膨張厚みとする。上流側膨張部46において、胸部PTを保護する部位での膨張厚みをTTとし、腹部PBを保護する部位での膨張厚みをTBとし、腰部PPを保護する部位での膨張厚みをTPとする。本実施形態では、膨張厚みが、膨張厚みTT、膨張厚みTP、及び膨張厚みTBの順に小さくなるように設定されている。ただし、膨張厚みTTと膨張厚みTPとは近似しており、両者の偏差は、膨張厚みTPと膨張厚みTBとの偏差に比べると小さい。
膨張厚みに関する上記設定のために、上流側膨張部46の平断面における周長のうち、区画部40によるものを区画部長とし、エアバッグ本体31によるものを本体長とする。
また、胸部PTを保護する部位での区画部長をC1Tとし、腹部PBを保護する部位での区画部長をC1Bとし、腰部PPを保護する部位での区画部長をC1Pとする。
また、胸部PTを保護する部位での本体長をC2Tとし、腹部PBを保護する部位での本体長をC2Bとし、腰部PPを保護する部位での本体長をC2Pとする。
そして、区画部長C1T,C1B,C1P、及び本体長C2T,C2B,C2Pの組合わせが、上流側膨張部46の上記3つの部位間で異なるように設定されることにより、膨張厚みについての上記大小関係(TT>TP>TB)が設定されている。
これは、次のような知見に基づくものである。上流側膨張部46は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとする。この膨張により、上流側膨張部46に膨張厚みTT,TB,TPが生ずる。これらの膨張厚み膨張厚みTT,TB,TPは、本体長C2T,C2B,C2Pが長くなるに従い増大する傾向にある。
一方、両縦結合部45によりエアバッグ本体31に結合された区画部40は、上流側膨張部46が展開及び膨張する際に、両本体布部33,34によって車幅方向両側へ引っ張られる。区画部40は緊張状態となって、膨張厚みTT,TB,TPを規制する。規制の度合いは、区画部長C1T,C1B,C1Pが大きくなるに従い小さくなる。従って、膨張厚みTT,TB,TPは、区画部長C1T,C1B,C1Pが大きくなるに従い大きくなる傾向にある。
このように、膨張厚みTT,TB,TPは、主として区画部長C1T,C1B,C1P及び本体長C2T,C2B,C2Pによって決定される。そこで、区画部長C1T,C1B,C1P及び本体長C2T,C2B,C2Pの組合わせが適切に設定されることにより、膨張厚みが、上記のように膨張厚みTT、膨張厚みTP及び膨張厚みTBの順に小さくされている。
より具体的には、胸部PTを保護する部位での区画部長C1Tが最も長く、次いで、腰部PPを保護する部位での区画部長C1P、及び腹部PBを保護する部位での区画部長C1Bの順に短くなるように設定されている。
区画部長C1T,C1B,C1Pが上記の条件を満たすように設定されることで、区画部40が緊張状態となって膨張厚みを規制する度合いは、胸部PTを保護する部位、腰部PPを保護する部位、及び腹部PBを保護する部位の順に大きくなる。
区画部長C1Bが区画部長C1Tよりも短い上記の設定は、上流側膨張部46のうち腹部PBを保護する部位において、胸部PTを保護する部位におけるよりも区画部40(本体部41)が幅狭に形成されていることによりなされている(図12参照)。
また、本体長は、本体長C2P、本体長C2T及び本体長C2Bの順に短くなるように設定されている。
本体長C2T,C2B,C2Pが上記の条件を満たすように設定されることで、区画部40がないと仮定した場合には、膨張厚みは、腰部PPを保護する部位での膨張厚みTP、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、及び腹部PBを保護する部位での膨張厚みTBの順に小さくなる。
本体長C2Pが他の本体長C2T,C2Bよりも長い上記の設定は、腰部PPを保護する部位において、区画部40の両傾斜部42が、エアバッグ本体31の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されることによりなされている(図8(a)参照)。表現を変えると、上記設定は、両傾斜部42が下側ほど前方に位置するように傾斜させられることによりなされている。両傾斜部42の上記配置により、本体長が下側ほど長くなる。
また、本体長C2Bが本体長C2Tよりも短い上記の設定は、腹部PBを保護する部位において、胸部PTを保護する部位におけるよりも縦結合部45(縦結合部45c)を後方へ凹むように湾曲させることによりなされている(図8(a)参照)。縦結合部45cの上記形状により、エアバッグ本体31の後縁部と縦結合部45cとの間隔が、同エアバッグ本体31の後縁部と縦結合部45bとの間隔よりも小さくなる。これに伴い、本体長C2Bが本体長C2Tよりも短くなる。
そして、上記区画部40による厚み規制が、本体長によって決まる膨張厚みTT,TB,TPに影響を及ぼすことで、上流側膨張部46の膨張厚みが、膨張厚みTT、膨張厚みTP、及び膨張厚みTBの順に小さくされている。
ところで、エアバッグモジュールABMは、非膨張展開状態のエアバッグ本体31(図8(a)参照)が折り畳まれることにより、図4に示すようにコンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールABMを、シートバック14における限られた大きさの収納部18に対し、収納に適したものとするためである。
上記エアバッグモジュールABMでは、ガス発生器25から延びて本体布部33のボルト孔38に挿通されたボルト28がサイドフレーム部15に挿通され、その挿通状態のボルト28にナット29が締付けられている。この締付けにより、ガス発生器25がエアバッグ本体31と一緒にサイドフレーム部15に取付けられている。
なお、ガス発生器25は、上述したボルト28及びナット29とは異なる部材によってサイドフレーム部15に取付けられてもよい。
サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールABMのほかに、図1に示す衝撃センサ77及び制御装置78を備えている。衝撃センサ77は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置78は、衝撃センサ77の検出信号に基づきインフレータ26の作動を制御する。
さらに、車室内には、車両用シート12に着座している乗員Pをその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1〜図3等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
上記のようにして、本実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、このサイドエアバッグ装置の作用として、代表的な動作の態様(モード)について説明する。
図11(a)〜(c)は、調圧弁65及び区画部40の形態が、膨張用ガスの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略及び簡略化されている。
このサイドエアバッグ装置では、ボディサイド部11に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ77によって検出されないときには、制御装置78からインフレータ26に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ本体31は、収納用形態で収納部18に収納され続ける(図4参照)。
これに対し、車両10の走行中等に、側突等によりボディサイド部11に対し側方から所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ77によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置78からインフレータ26に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ26のガス噴出部から膨張用ガスが噴出される。
噴出された膨張用ガスは、整流布70(図8(a)等参照)により、上方へ向かうものと下方へ向かうものとに分配される。分配されて下方へ向かう膨張用ガスは、上方へ向かう膨張用ガスよりも多い。この膨張用ガスにより、上流側膨張部46の内圧が上昇する。ただし、上流側膨張部46の下部には上部よりも多くの膨張用ガスが供給されることから、同下部の内圧が上部の内圧よりも速く高くなる。上流側膨張部46は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとする。この膨張により、上流側膨張部46に膨張厚みが生ずる。
一方、縦結合部45によりエアバッグ本体31(本体布部33,34)に結合された区画部40は、上流側膨張部46が展開及び膨張する際に車幅方向の両側に引っ張られる。区画部40は緊張状態となって、本体長によって決定される上流側膨張部46の膨張厚みを規制しようとする。
図11(a)に示すように、調圧弁65の両弁体部66,67に対しては、その重なり方向(厚み方向)から内圧PIが加わる。この内圧PIは、上流側膨張部46による乗員Pの拘束時の内圧ほど高くない。両弁体部66,67は、この内圧PIにより面全体で互いに密着し、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通を規制する自己シール状態となる。さらに、折り曲げられて下側の非重ね合わせ部62に重ねられた重ね合わせ部61が、内圧によりその非重ね合わせ部62に押付けられ(図10参照)、両弁体部66,67が一層閉じられやすくなる。
ここで、区画部40が、車幅方向よりも上下方向に長く形成されている(図8参照)ことから、区画部40では、車幅方向に対し、上下方向に対するよりも強いテンションがかかりやすい。連通部64は、この強いテンションのかかりやすい車幅方向に延びているため、閉じられやすい。
さらに、上流側膨張部46が展開及び膨張したときには、区画部40の非重ね合わせ部62に対するだけでなく、重ね合わせ部61に対しても車幅方向に強いテンションがかかる。これは、重ね合わせ部61の車幅方向の両端部が本体布部33,34に結合されているからである。
両弁体部66,67が、それらの少なくとも一部において互いに接触すると、調圧弁65が実質的に閉弁した状態となる。上流側膨張部46内の膨張用ガスは、両弁体部66,67間及び連通部64を通って下流側膨張部47へ流出することを規制される。この規制により、上流側膨張部46に膨張用ガスが溜まり、専ら上流側膨張部46の内圧が上昇する。
上記内圧の上昇により、上流側膨張部46が折り状態を解消(展開)しながら膨張していく。シートバック14のシートパッド16が主として上流側膨張部46によって押圧され、破断予定部21(図4参照)において破断される。上流側膨張部46は、一部を収納部18に残した状態で、下流側膨張部47を伴って、破断された箇所を通じてシートバック14から前方へ飛び出す(図9参照)。
その後も膨張用ガスの供給される上流側膨張部46は、乗員Pの上半身の後半部であって、胸部PTから腰部PPにかけての領域とボディサイド部11との間で展開及び膨張する。このときには、下流側膨張部47は未だ膨張してないか、膨張していたとしても僅かであり、その内圧は低い。
ここで、図3に示すように、乗員Pの腹部PBとボディサイド部11との間隔GBは、胸部PTとボディサイド部11との間隔GTや、腰部PPとボディサイド部11との間隔GPよりも狭い。これは、ボディサイド部11の内壁において乗員Pの腹部PBと同程度の高さとなる箇所からは、アームレストARが車両用シート(乗員)側へ突出しているからである。これに対し、上記間隔GT及び間隔GPは、互いに同程度で、間隔GBよりも大きい。
一方で、図13(a)〜(c)に示すように、上流側膨張部46のうち、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTBは、胸部PTや腰部PPを保護する部位での膨張厚みTT,TPよりも小さい。そのため、腹部PBを保護する部位は、同腹部PBとボディサイド部11(アームレストAR)との間で展開及び膨張し、両者の間隔GBに適した荷重で腹部PBを車内側へ押圧し、拘束する。
また、上流側膨張部46のうち、胸部PTを保護する部位は、上記腹部PBとボディサイド部11との間よりも広い、胸部PTとボディサイド部11との間で展開及び膨張し、両者の間隔GTに適した荷重で胸部PTを拘束する。同様に、上流側膨張部46のうち、腰部PPを保護する部位は、上記腹部PBとボディサイド部11との間よりも広い、腰部PPとボディサイド部11との間で展開及び膨張し、両者の間隔GPに適した荷重で腰部PPを拘束する。
さらに、一般に、乗員Pの上半身に対し側方から衝撃が加わった場合の耐衝撃性は、胸部PTよりも腰部PPにおいて勝っている。そのため、上流側膨張部46のうち、胸部PTを保護する部位を、腰部PPを保護する部位よりも柔らかく、しかも車幅方向へ多くの量膨張させることが望ましい。
この点、本実施形態では、胸部PTを保護する部位は、腰部PPを保護する部位よりも低い内圧で、しかも大きな膨張厚みTT(>TP)で膨張させられる。従って、胸部PTを保護する部位が、同胸部PTを保護するのに適した内圧及び膨張厚みTTで膨張させられる。また、腰部PPを保護する部位が、同腰部PPを保護するのに適した内圧及び膨張厚みTPで膨張させられる。このように、胸部PTでの間隔GTと、腰部PPでの間隔GPとは同程度であるが、胸部PTを保護する部位、及び腰部PPを保護する部位が、耐衝撃性の上記相違を考慮した内圧及び膨張厚みTT,TPで展開及び膨張させられる。
さらに、本実施形態では、区画部40の傾斜部42が、腰部PPを保護する部位において、エアバッグ本体31の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜している。このことから、傾斜しない場合に比べ、上記部位の前後長(エアバッグ本体31の後縁部から傾斜部42までの長さ)が長くなる。上述したように、腰部PPは胸部PTよりも耐衝撃性が高い。また、腰部PPを保護する部位は、胸部PTを保護する部位よりも高い内圧で膨張させられる。従って、腰部PPの前後方向により広い領域が、上流側膨張部46のうち、高い内圧を有し、かつ前後方向に寸法の大きな部位から荷重を受けて効率よく拘束される。
ボディサイド部11がさらに車内側へ進入することで、上流側膨張部46により、乗員Pの上半身の後半部がさらに車内側へ押圧され、上半身が車内側へ移動させられて拘束され、衝撃から保護される。また、車内側への上記移動により、乗員Pの上半身とボディサイド部11との間隔が拡げられ、下流側膨張部47の展開及び膨張のための空間が確保される。
ここで、両弁体部66,67がそれらの面全体で密着した(実質的に閉じられた)状態で、上流側膨張部46内に膨張用ガスが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁65が開弁し始める。
すなわち、上流側膨張部46への膨張用ガスの供給期間の途中からは、乗員Pの拘束に伴う外力が加わって同上流側膨張部46が変形する。これに伴い、区画部40に対し車幅方向に強くかかっていたテンションが減少する。
また、上流側膨張部46の上記変形に伴い同上流側膨張部46の内圧PIがさらに上昇して、区画部40が下流側膨張部47側へ押圧されて(図11(b)参照)、同区画部40にかかるテンションが変化する。そして、上記テンションの変化により、車幅方向及び上下方向のテンションの差が小さくなる。区画部40における連通部64の変形が許容され、同区画部40における弁体部66,67の作動が許容されるようになる。
一方、重ね合わせ部61が下側の非重ね合わせ部62に重ねられ、車幅方向の両端部において、両縦結合部45によって本体布部33,34に結合されていることから、重ね合わせ部61において縦結合部45に近い部分では、重ね合わされた状態を維持しようとする力が強い。しかし、この力は、縦結合部45から遠ざかるに従い小さくなり、車幅方向の中央部分において最小となる。そのため、上下方向へ引っ張られた重ね合わせ部61は、連通部64、弁体部66,67及びそれらの近傍部分においてのみ同方向へ変形する。
連通部64が上下方向へある程度開くと、重ね合わせ部61では、図11(b)に示すように、上流側膨張部46の高い内圧PIを受けた両弁体部66,67においてのみ、連通部64を通って下流側膨張部47へ押し出される(反転される)。この連通部64の上下方向の幅Wが狭いときには、弁体部66,67の先端部66t,67t同士が接触し合い、調圧弁65が閉じ続ける。
そして、連通部64の幅Wの増大により、図11(c)に示すように、先端部66t,67tが離れ、調圧弁65が開弁した状態になると、上記流通規制が解除される。上流側膨張部46内の膨張用ガスは、連通部64と両弁体部66,67間とを順に通って下流側膨張部47へ流出することを許容される。ただし、膨張用ガスは、連通部64及び調圧弁65を通過する際に流路面積を絞られ、下流側膨張部47へ流入することを少なからず規制される。
上記膨張用ガスの流出により、上流側膨張部46の内圧が上昇から低下に転ずる。ただし、ボディサイド部11は車内側へ依然として進入し続けていて、膨張部36が上流側膨張部46において乗員Pに押付けられる。
また、膨張用ガスの流入により下流側膨張部47が膨張を開始するとともに、同下流側膨張部47の内圧が上昇し始める。下流側膨張部47が折り状態を解消(展開)し、上流側膨張部46と一緒になって曲面状に膨張しようとする。
このときには、下流側膨張部47は、上流側膨張部46よりも低い内圧で、上半身の前半部の側方で展開及び膨張する。この際、上述したように、ボディサイド部11と乗員Pの上半身との間隔が、上流側膨張部46によって拡げられていて、下流側膨張部47の展開及び膨張のための空間が確保されていることから、下流側膨張部47は、こうした間隔の拡大が行なわれない場合よりも、前方へ向けて展開及び膨張しやすい。
そして、下流側膨張部47の内圧の上昇開始から少し遅れて、車内側へ進入するボディサイド部11により、上流側膨張部46に加え、下流側膨張部47が乗員Pの上半身の前半部に接触し押し付けられ始める。同上半身が上流側膨張部46に加え、下流側膨張部47によって拘束され始める。
このように、上流側膨張部46及び下流側膨張部47がそれぞれ展開及び膨張したエアバッグ本体31が、乗員Pの上半身と、車内側へ進入してくるボディサイド部11との間に介在する。このエアバッグ本体31によって上半身が車内側へ押圧されて拘束される。そして、ボディサイド部11を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃が、エアバッグ本体31によって緩和されて、同上半身が保護される。
なお、下流側膨張部47が展開及び膨張したときには、排気孔75が前方を指向する。そのため、下流側膨張部47内の余剰の膨張用ガスは、排気孔75を通じて前方へ向けて排出される。この排出により下流側膨張部47の内圧が低下し、乗員Pの上半身の前半部が下流側膨張部47によって適切な荷重で押圧されて拘束される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)上流側膨張部46のうち、乗員Pの腹部PBを保護する部位での膨張厚みTBが、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、及び腰部PPを保護する部位での膨張厚みTPよりも小さく設定している(図13(a)〜(c))。
そのため、腹部PBとボディサイド部11(アームレストAR)との間隔GBは、胸部PTとボディサイド部11との間隔GTよりも、また腰部PPとボディサイド部11との間隔GPよりも狭い。しかし、胸部PTや腰部PPを保護する部位よりも膨張厚みTBの小さい、腹部PBを保護する部位を、同腹部PBとボディサイド部11との間で展開及び膨張させることができる。上流側膨張部46のうち、腹部PBを保護する部位によって、腹部PB及びボディサイド部11の間隔GBに適した荷重で同腹部PBを拘束することができる。
また、上流側膨張部46のうち、胸部PTを保護する部位を、上記腹部PBとボディサイド部11との間よりも広い、胸部PTとボディサイド部11との間で展開及び膨張させ、両者の間隔GTに適した荷重で胸部PTを拘束することができる。同様に、上流側膨張部46のうち、腰部PPを保護する部位を、上記腹部PBとボディサイド部11との間よりも広い、腰部PPとボディサイド部11との間で展開及び膨張させ、両者の間隔GPに適した荷重で腰部PPを拘束することができる。
このように、上流側膨張部46が展開及び膨張したときに乗員Pの上半身の各部(胸部PT、腹部PB、腰部PP)を適切な荷重で拘束することができる。
(2)上流側膨張部46のうち胸部PTを保護する部位を、腰部PPを保護する部位よりも低い内圧で展開及び膨張させるエアバッグ30にあって、胸部PTを保護する部位の膨張厚みTTを、腰部PPを保護する部位の膨張厚みTPよりも大きく設定している(図13(a),(c))。
そのため、胸部PTを保護する部位を、同胸部PTの保護に適した内圧及び膨張厚みTTで膨張させることができる。また、腰部PPを保護する部位を、同腰部PPの保護に適した内圧及び膨張厚みTPで膨張させることができる。
このように、胸部PTを保護する部位、及び腰部PPを保護する部位を、乗員Pの耐衝撃性の相違を考慮した内圧及び膨張厚みTT,TPで展開及び膨張させることができる。
(3)区画部40を一対の縦結合部45によってエアバッグ本体31に結合してなるエアバッグ30にあって、区画部長C1T,C1B,C1P及び本体長C2T,C2B,C2Pの組合わせを、上流側膨張部46の3つの部位間で異なるように適切に設定している(図12、図13(a)〜(c))。
そのため、膨張厚みを、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、腰部PPを保護する部位での膨張厚みTP、及び腹部PBを保護する部位での膨張厚みTBの順に小さくする(TT>TP>TB)ことができる。
(4)区画部長を、胸部PTを保護する部位での区画部長C1T、腰部PPを保護する部位での区画部長C1P、及び腹部PBを保護する部位での区画部長C1Bの順に短く設定する。
また、本体長を、腰部PPを保護する部位での本体長C2P、胸部PTを保護する部位での本体長C2T、及び腹部PBを保護する部位での本体長C2Bの順に短く設定している(図13(a)〜(c))。
本体長の上記設定により、区画部40がないと仮定した場合の膨張厚みを、膨張厚みTP、膨張厚みTT及び膨張厚みTBの順に小さくすることができる。
また、区画部長の上記設定により、区画部40が緊張状態となって上流側膨張部46の膨張厚みを規制する度合いを、胸部PTを保護する部位、腰部PPを保護する部位、及び腹部PBを保護する部位の順に大きくすることができる。
そして、区画部40の上記厚み規制によって、本体長によって決まる上流側膨張部46の膨張厚みに影響を及ぼすことで、同膨張厚みを、膨張厚みTT、膨張厚みTP及び膨張厚みTBの順に小さくすることができる。
(5)上流側膨張部46のうち腰部PPを保護する部位では、区画部40の傾斜部42を、エアバッグ本体31の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜させた状態で配置している(図8(a))。
そのため、上流側膨張部46のうち、内圧が高くなる、腰部PPを保護する部位を前後方向に広い領域で展開及び膨張させることができ、耐衝撃性の高い腰部PPを、その耐衝撃性に応じた内圧で、しかも広い領域で効率よく拘束することができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<膨張部36について>
・エアバッグ本体31は、その略全体が上記実施形態のように膨張部36からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・エアバッグ本体31は、乗員Pの上半身の少なくとも胸部PTから腰部PPにかけての領域とボディサイド部11との間で展開及び膨張するものであることを条件に、その形状及び大きさが変更されてもよい。
<区画部40について>
・区画部40の下部の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。例えば、区画部40の下部を構成する傾斜部42は、本体部41と同一方向へ延びる形状に変更されてもよい。すなわち、本体部41及び両傾斜部42がエアバッグ本体31の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜させられてもよい。この場合、各傾斜部42の下端部は、エアバッグ本体31の下端部に配置されてもよい。
・上記実施形態において、区画部40の車幅方向両側における一対の側縁部は、本体布部33,34に対し、ともに上流側膨張部46内で結合されてもよいし、下流側膨張部47内で結合されてもよい。
また、一方の側縁部が本体布部33,34に対し上流側膨張部46内で結合され、他方の側縁部が下流側膨張部47内で結合されてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部66,67として機能するのは、車幅方向について連通部64に対応する部分である。そのため、上流側膨張部46の展開及び膨張時に、両弁体部66,67の少なくとも一部(例えば、先端部66t,67t)が接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、連通部64に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において連通部64に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において連通部64に対応する部分だけ両弁体部66,67として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えば、ばたつく現象を抑制することができる。そのほかにも、重ね合わせ部61において連通部64に対応しない箇所の少なくとも一部に切欠きが入れられてもよい。
・両弁体部66,67が、連通部64を有する区画部40とは異なる部材によって構成されてもよい。
・連通部64は、横結合部63において、折り線43から同折り線43に直交する方向へ外れた箇所に設けられてもよい。また、連通部64は、横結合部63の複数箇所に設けられてもよい。これらの場合にも、上記各実施形態と同様に、各連通部64の周りに弁体部66,67が設けられる。
・両弁体部66,67を含む一対の重ね合わせ部61は、膨張部36が展開及び膨張する前に上流側膨張部46に代えて、下流側膨張部47に配置されてもよい。
・二つ折り状態の区画部40は、折り線43を両縦結合部45よりも下流側膨張部47側に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部36に配設されてもよい。この場合、両弁体部66,67を含む重ね合わせ部61は、膨張部36が展開及び膨張する前に下流側膨張部47に配置されてもよい。
<整流布70について>
・整流布70の形状は、インフレータ26のガス噴出部から噴出される膨張用ガスを上方よりも下方へ多く供給されるように整流するものであることを条件に、変更可能である。例えば、整流布70は、インフレータ26の全体を取り囲むものであってもよい。
<ガス流れ規制部について>
・図14に示すように、ガス流れ規制部として、上記連通部64及び調圧弁65に代えて、区画部40に開口部81が設けられてもよい。この場合、区画部40は、単一の布片によって構成されてもよいし、上記実施形態と同様に複数の布片によって構成されてもよい。開口部81は、上流側膨張部46及び下流側膨張部47を連通させる孔によって構成され、上流側膨張部46から下流側膨張部47への膨張用ガスの流通を許容するものであってもよい。この場合であっても、膨張用ガスは開口部81を通る際に抵抗を受け、下流側膨張部47へ流入することを規制される。
開口部81は、区画部40において、胸部PTの側方となる部位(本体部41)と、腰部PPの側方となる部位(傾斜部42)とに設けられることが好ましい。この場合、上流側膨張部46によって胸部PT及び腰部PPを拘束することで、上流側膨張部46内の膨張用ガスを、各開口部81を通じて下流側膨張部47のうち、胸部PTの側方となる部位と、腰部PPの側方となる部位とに流入させることができる。
・連通部64及び調圧弁65として、上記実施形態で説明したものに代え、上流側膨張部46の内圧が所定値を越えることを条件とし、その条件が満たされるまでは閉じた状態又はそれに近い状態となり、同条件が満たされることにより開くものが用いられてもよい。図15(a),(b)はその一例を示している。この場合にも、上記図14と同様に、区画部40は、単一の布片によって構成されてもよいし、上記実施形態と同様に複数の布片によって構成されてもよい。
この変形例では、上記実施形態の区画部40において連通部64の設けられた箇所に、その連通部64に代えて、上流側膨張部46及び下流側膨張部47を連通させる孔82があけられ、この孔82によって連通部が構成される。
また、上流側膨張部46又は下流側膨張部47(図15(a),(b)では上流側膨張部46)であって、上記孔82を塞ぐ位置に、蓋シート83が調圧弁として配置される。蓋シート83は、孔82を取り囲むように設けられた環状の結合部84によって区画部40に結合される。結合部84は、縫糸を用いた縫合、接着剤を用いた接着等によって形成される。ただし、この結合部84としては、上流側膨張部46の内圧が所定値を越えることをもって、少なくとも一部が破断されるものが用いられる。
このようにすると、上流側膨張部46の内圧が所定値以下である場合には、その内圧が蓋シート83を通じて結合部84に加わるが、その結合部84は破断されず、蓋シート83を孔82の周りで区画部40に結合し続ける。
接着剤を孔82の周りで区画部40に対し連続して環状に塗布することによって結合部84を形成した場合には、孔82が蓋シート83によって塞がれた状態、すなわち、孔82及び蓋シート83がともに閉じられた状態になる。
これに対し、縫合によって結合部84を形成した場合には、蓋シート83が区画部40に対し縫糸によって断続的に結合されることから、縫い目からは若干の膨張用ガスが漏れ得る。そのため、孔82及び蓋シート83は、ともに実質的に閉じられた状態になる。
また、上記内圧が所定値を越えて、蓋シート83を通じて結合部84に大きな力が加わると、その結合部84の少なくとも一部が破断される。この破断により、孔82が蓋シート83によって塞がれない状態、すなわち、孔82及び蓋シート83がともに開かれた状態になる。膨張用ガスは、この破断された箇所を通じて孔82及び蓋シート83を通過することが可能となる。
<膨張厚みの大小関係について>
・上流側膨張部46のうち、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTTと、腰部PPを保護する部位での膨張厚みTPとの大小関係は、腹部PBを保護する部位の膨張厚みTBよりも大きいことを条件に、上記実施形態とは異なるものに変更されてもよい。例えば、膨張厚みTTと膨張厚みTPとは同一に設定されてもよいし、膨張厚みTTが膨張厚みTPよりも小さく設定されてもよい。
<エアバッグモジュールABMの収納部18について>
・車両用シート12のシートバック14に代えてボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールABMが組み込まれてもよい。
<その他>
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
10…車両(乗物)、11…ボディサイド部、12…車両用シート(乗物用シート)、31…エアバッグ本体、40…区画部、45,45a,45b,45c,45d,71…縦結合部、46…上流側膨張部、47…下流側膨張部、64…連通部(ガス流れ規制部)、65…調圧弁(ガス流れ規制部)、81…開口部(ガス流れ規制部)、82…孔(ガス流れ規制部)、83…蓋シート(ガス流れ規制部)、AR…アームレスト、C1B,C1P,C1T…区画部長、C2B,C2P,C2T…本体長、P…乗員、PB…腹部、PI…内圧、PP…腰部、PT…胸部、TB,TP,TT…膨張厚み。

Claims (2)

  1. 側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、
    前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも胸部から腰部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、
    前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部又は下端部に近接する部位まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、
    前記上流側膨張部のうち前記胸部を保護する部位は、前記腰部を保護する部位よりも低い内圧で展開及び膨張させられるものであり、
    展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腰部を保護する部位、及び腹部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、
    前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、
    前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、
    前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されているサイドエアバッグ装置。
  2. 側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、
    前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも胸部から腰部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、
    前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部又は下端部に近接する部位まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、
    前記上流側膨張部のうち前記胸部を保護する部位は、前記腰部を保護する部位よりも低い内圧で展開及び膨張させられるものであり、
    展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腰部を保護する部位、及び腹部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、
    前記上流側膨張部のうち前記腰部を保護する部位では、前記区画部が、前記エアバッグ本体の後縁部に対し、下側ほど前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されているサイドエアバッグ装置。
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