JP5556735B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された「サイドエアバッグ」では、車両用シートの幅方向に互いに重ね合わされた一対の基布が、それらの周縁部において結合されることにより袋状のエアバッグが形成されている。エアバッグでは、両基布を互いに接触させた状態で縫合(結合)させることにより仕切り部(シーム)が設けられており、エアバッグの内部がこの仕切り部(シーム)により、上流側の主膨張室と下流側の副膨張室とに仕切られている。仕切り部(シーム)における両基布間の隙間は、主膨張室と副膨張室とを連通させる連通路を構成しており、主膨張室内の膨張用ガスがこの連通路を通って副膨張室内に供給される。
こうした問題は、車両とは異なる乗物に備え付けられるサイドエアバッグ装置でも同様に起こり得る。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、隣合う前記シート材は、互いに離間させられた状態で前記ラップ部に設けられた複数の結合部により互いに結合され、前記シート材の前記端部において隣合う前記結合部間、及びその周辺箇所により前記弁体部が構成されていることを要旨とする。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、以下の記載における上下方向は車両の上下方向を意味する。さらに、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近付く側を「内側」とし、中央部から遠ざかる側を「外側」とするものとする。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図3に示すように、シートバック14内の車外側(図3では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図3ではその表皮の図示が省略されている。後述する図6についても同様である。
次に、これらの構成部材の各々について説明する。ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールAM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、図1に示すように、車両用シート12のシートバック14を基準としている。シートバック14の起立する方向を「上下方向」とし、シートバック14の厚み方向を「前後方向」としている。通常、シートバック14は後方へ多少傾斜した状態で使用されることから、「上下方向」は厳密には鉛直方向ではなく、多少傾斜している。同様に、「前後方向」は厳密には水平方向ではなく、多少傾斜している。
図3及び図4に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生源としてのインフレータ31と、そのインフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えて構成されている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31の長さ方向についての一方の端部(本実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
<エアバッグ40>
図1及び図2に示すように、エアバッグ40は、車両10の走行中等に側突等により衝撃が側方からボディサイド部11に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスGの供給を受ける。この膨張用ガスGの供給を受けたエアバッグ40は、自身の一部(後部)を上記収納部18内に残した状態で同収納部18から略前方へ向けて飛び出し、車両用シート12に着座した乗員Pの上半身とボディサイド部11との間で展開膨張することにより上記側突の衝撃から乗員Pの上半身を保護する。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMの他に衝撃センサ71及び制御装置72を備えている。衝撃センサ71は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2及び図3参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置72は、衝撃センサ71からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
本実施形態では、膨張部46が仕切壁50によって下流側膨張部48側へ上流側膨張部47及び下流側膨張部48に仕切られていることから、上流側膨張部47の容積は、膨張部46が仕切られていない場合(以下「比較例」という)のその膨張部の容積よりも小さい。そのため、上流側膨張部47の内圧は、膨張部46が仕切られていない場合(比較例)よりも早く上昇を開始し、しかも高くなる。特に、上流側膨張部47内の膨張用ガスGは、両弁体部64,65間においてのみ流通を許容され、両弁体部64,65間を経由せずに下流側膨張部48へ流出することはない。従って、膨張用ガスGの上記流出が原因で上流側膨張部47の内圧の上昇速度が低下することがない。
そして、上流側膨張部47の上記膨張により、同上流側膨張部47が折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消しようとする。上流側膨張部47が、折り状態を解消(展開)しながら膨張していくと、シートバック14のシートパッド16がエアバッグ40によって押圧され、破断予定部21(図3参照)において破断される。エアバッグ40は、図6に示すように、一部(インフレータアセンブリ30の近傍部分)をシートバック14内に残した状態で、破断された箇所を通じて同シートバック14から飛び出す。
上記のように、調圧弁66の開弁(進入量(ストローク)S2)後には、上流側膨張部47の内圧が低下するとともに下流側膨張部48の内圧が上昇する。また、乗員Pの上流側膨張部47側の受圧面積、及び下流側膨張部48側の受圧面積が時間差をもって増加する。このため、進入量(ストローク)S2以降、乗員Pが膨張部46の全体から受ける荷重、すなわち、上流側膨張部47から受ける荷重と下流側膨張部48から受ける荷重との合計は、単に、エアバッグを単一の膨張部により構成し、かつ調圧弁を設けない場合(比較例)の最大値よりも低く、しかも略一定の値(所定値α)に維持される。
(1)エアバッグ40の膨張部46を上流側膨張部47及び下流側膨張部48に仕切る仕切壁50を、膨張部46による乗員Pの拘束に際し、側方から乗員Pに押圧される箇所に設けられた2枚のシート材56,57によって構成する。仕切壁50には、両シート材56,57の端部58,59を互いに前後方向に重ね合わせてなる帯状のラップ部61を設け、さらに、一対の弁体部64,65を備えてなる調圧弁66をラップ部61に設けている(図9)。
<仕切壁50について>
・仕切壁50は、図13及び図14に示すように、折り線51に直交する方向に並べられた2枚のシート材75,76によって構成されてもよい。
・仕切壁50は3枚以上のシート材によって構成されてもよい。この場合、隣合うシート材同士は相互に結合される。結合の対象となる箇所は複数箇所となる。
また、調圧弁66,84は全てのラップ部61,79に設けられてもよいし、一部のラップ部61,79にのみ設けられてもよい。
・二つ折り状態の仕切壁50における折り線51は、上下方向に対し多少傾斜していてもよい。
・図15(A)〜(C)は、上記実施形態とは異なるタイプの調圧弁66の動作を、上方から見た状態でもって模式的に示している。
・上記実施形態において、内結合部63は、仕切壁50の折り線51に直交する方向に延びるものに限らず、斜めに交差する方向に延びるものであってもよい。
また、図13及び図14によって示される別例において、両内結合部81間の結合を解除される箇所は、折り線51の中央から外れた箇所に設けられてもよい。
また、図13及び図14によって示される別例において、両内結合部81間の結合を解除される箇所は、複数設けられてもよい。
・上記実施形態において、両内結合部63は、折り線51に沿う方向について、端縁58Eと端縁59Eとの中央から外れた箇所に設けられてもよい。
・ラップ部61(79)において、両弁体部64,65(82,83)として機能するのは、両シート材56,57(75,76)において隣合う内結合部63(81)間、及びその周辺箇所である。そのため、ラップ部61(79)において、隣合う内結合部63(81)間、及びその周辺箇所ではない部分(非近傍部分)については、端部58,59(77,78)の結合態様が変更されてもよい。例えば、上記非近傍部分は、内結合部63(81)に加え、別の結合部によって結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、ラップ部61(79)において、隣合う内結合部63(81)間、及びその周辺箇所だけ両弁体部64,65(82,83)として作動させ、それ以外の箇所が不要に動く現象、例えばばたつく現象を抑制することができる。
<膨張部46について>
・エアバッグ40は、その略全体が膨張部46からなるもの(上記実施形態がこれに該当する)であってもよいが、膨張用ガスGが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・インフレータアセンブリ30はエアバッグ40の外部に設けられてもよい。この場合には、インフレータ31と上流側膨張部47とが管によって繋がれ、この管を介してインフレータ31からの膨張用ガスGが上流側膨張部47に供給されてもよい。
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが配設されてもよい。
・上記実施形態では、乗員Pの主として胸部PTを保護するサイドエアバッグ装置を例に説明したが、本発明は、乗員Pの他の部位、例えば、胸部PT〜頭部にかけての部位、腰部〜胸部(肩部)にかけての部位、腰部〜頭部にかけての部位等、種々の部位を側突等の衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・本発明は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・本発明は、車両に限らず、航空機、船舶等の他の乗物に装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
Claims (3)
- 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じてインフレータから供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートの側方で前方へ向けて展開膨張する膨張部を有するエアバッグを備え、
前記膨張部を、面状の仕切壁により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接し、かつ前記上流側膨張部を経由した膨張用ガスが供給される下流側膨張部とを少なくとも含む複数の室に仕切り、
前記乗物用シートに着座した乗員を前記膨張部により拘束して保護するサイドエアバッグ装置であって、
前記仕切壁は、前記膨張部による前記乗員の拘束に際し、側方から同乗員に押圧される箇所に設けられた複数枚のシート材からなり、
前記仕切壁には、隣合う前記シート材の端部を互いに前後方向に重ね合わせてなる帯状のラップ部が設けられ、
前記ラップ部には、一対の弁体部を備えてなる調圧弁が設けられており、
前記一対の弁体部は、前記上流側膨張部の膨張時であって前記乗員を拘束する前には、前記上流側膨張部の膨張に伴って前記仕切壁が緊張させられることにより該上流側膨張部内の膨張用ガスによって押圧されて互いに接触し、前記上流側膨張部が膨張して前記乗員を拘束するときには、その拘束に伴い加わる外力により撓んで互いに離間し、
前記調圧弁は、前記一対の弁体部が互いに接触することで、前記上流側膨張部から前記下流側膨張部への膨張用ガスの流通を規制し、前記一対の弁体部が前記外力により撓んで互いに離間することで、前記上流側膨張部から前記下流側膨張部へ膨張用ガスを流通させることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記仕切壁は、前記膨張部が膨張したときに前記乗物用シートに着座した乗員の上半身における前後方向についての中間部の側方となる箇所に設けられている請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
- 隣合う前記シート材は、互いに離間させられた状態で前記ラップ部に設けられた複数の結合部により互いに結合され、
前記シート材の前記端部において隣合う前記結合部間、及びその周辺箇所により前記弁体部が構成されている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
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