JP5915479B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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また、区画部材が変更手段により、乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられることで、上流側膨張部の膨張厚みは、前側ほど小さくなるように規制される。そのため、区画部材が、乗物用シートの前後方向に対し直交する方向(幅方向)へ緊張させられるものに比べ、上流側膨張部が乗物用シートとその側方の乗物構成部材との隙間へ入り込みやすくなる。上記隙間での膨張部の展開がよりスムーズに行なわれ、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能が高められる。
このときには、区画部材が緊張状態になることで、乗物用シートの幅方向についての上流側膨張部の膨張厚みが規制されるため、こうした規制のないものに比べ、上流側膨張部が上記隙間で展開膨張しやすい。そして、上記上流側膨張部により、乗員が拘束されるとともに、乗物構成部材を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
上記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により区画部材の緊張状態が変化し、調圧弁が開弁する。この開弁により上記規制が解除され、上流側膨張部内の膨張用ガスが、連通路を通じ下流側膨張部へ流出することを許容される。連通路を通じた膨張用ガスの流出により上流側膨張部の内圧が低下するとともに、下流側膨張部の内圧が上昇し、同下流側膨張部が膨張する。上流側膨張部に加え下流側膨張部によっても乗員の拘束及び保護が行なわれる。
ところで、上流側膨張部が膨張するときには、その膨張厚みが上述したように区画部材によって規制されるところ、この規制の態様が変更手段により変更される。従って、こうした変更のないものに比べ、上流側膨張部の膨張厚みを、区画部材による通常の態様とは異なる態様で規制し、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を高めることが可能となる。
また、区画部の一部については変更手段により、膨張部の膨張厚みが、区画部材によるよりも小さな膨張厚みに規制される。
従って、乗員を拘束及び保護するうえで、エアバッグに対し大きな膨張厚みが要求される箇所と、大きな膨張厚みが要求されない箇所とがある場合にも対応可能である。大きな膨張厚みが要求される箇所については、上流側膨張部のうち区画部材の設けられた箇所によって対処することが可能である。また、大きな膨張厚みが要求されない箇所については、上流側膨張部のうち結合部が設けられた箇所によって対処することが可能である。このように、乗員を拘束及び保護するうえでより適した膨張厚みにて膨張部が膨張されることで、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能が高められる。
以下、サイドエアバッグ装置の第1実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側(図2の上側)の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材(乗物構成部材)を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側(図4では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図8についても同様である。
図4及び図7に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略上下方向へ延びる長尺状(略円柱状)をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その長さ方向についての一方の端部(第1実施形態では上端部)にガス噴出部31Aを有している。インフレータ31の長さ方向についての他方の端部(第1実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
エアバッグ40は、車両10の走行中等の側突等により、衝撃が車両用シート12の側方からボディサイド部11に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスの供給を受ける。このエアバッグ40は、自身の一部をシートバック14内に残した状態で同シートバック14から略前方へ向けて展開膨張する(図8参照)。
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する外結合部54,55及び内結合部63についても同様である。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、上方又は下方(第1実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部62に重ねられている。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、内結合部63に沿う方向(横方向)の両端部において、前述した外結合部54,55により、エアバッグ40の対応する内側布部43、外側布部44、及び区画部材50の非重ね合わせ部62に結合(共縫い)されている(図6、図7(A)参照)。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2等参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加わる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
両弁体部71,72がそれらの面全体で密着した(閉じられた)状態で、上流側膨張部47内に膨張用ガスが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁70が開弁し始める。
(1)膨張部46の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段を設けている(図2)。
そのため、上流側膨張部47の膨張厚みを、区画部材50による通常の態様とは異なる態様で規制し、エアバッグ40により乗員Pを拘束及び保護する性能を高めることができる。
そのため、区画部材50が、上記前後方向に直交する方向(車両用シート12の幅方向)へ緊張させられるものに比べ、上流側膨張部47を車両用シート12とボディサイド部11との隙間へ入り込みやすくすることができ、同隙間での膨張部46の展開をよりスムーズに行なうことができ、上記(1)の効果を得ることができる。
次に、サイドエアバッグ装置の第2実施形態について、図11〜図16を参照して、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
<エアバッグ40>
図11及び図12に示すように、第2実施形態では、エアバッグ40として、第1実施形態で用いられたものとは異なる外形形状を有するものが用いられている。
<開口部65(連通路)及び調圧弁70について>
図14及び図16に示すように、開口部65(連通路)及び調圧弁70は、区画部材50において、縦方向及び横方向の両方向についての略中央部分に設けられている。折り線51が区画部材50において、車両用シート12の幅方向についての中央部に設定されている第2実施形態では、開口部65(連通路)及び調圧弁70が折り線51に跨って設けられている。
区画部材50の内端部52が、車両用シート12の前後方向について、外端部53の外側布部44との結合箇所と同じ箇所で内側布部43に結合されている第2実施形態では、区画部材50が、車両用シート12の前後方向に直交する方向(幅方向)へ緊張する。この緊張状態の区画部材50により、上流側膨張部47の膨張厚みが規制される。区画部材50が架け渡された箇所での、内側布部43と外側布部44との間隔は、車両用シート12の幅方向についての区画部材50の寸法(L2)に規制される。この間隔は、結合部75が設けられた箇所での内側布部43と外側布部44との間隔よりも大きい。
(5)変更手段により、区画部の一部(下部)において、膨張部46の膨張厚みを、区画部材50によるよりも小さな膨張厚みに規制することで、膨張厚みの規制態様を変更するようにしている(図14)。
<エアバッグモジュールAMの収納部21について>
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・インフレータアセンブリ30はエアバッグ40の外部に設けられてもよい。この場合には、インフレータ31と上流側膨張部47とが管によって繋がれ、この管を介してインフレータ31からの膨張用ガスが上流側膨張部47に供給されてもよい。
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・第1実施形態における区画部材50として、上述したものとは異なる外形形状を有するものが用いられてもよい。
上記いずれの変形例も、区画部材50が車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられることで、第1実施形態と同様の効果が得られる。
・開口部65及び内結合部63は、区画部材50の折り線51に直交する方向に限らず、斜めに交差する方向に沿って設けられてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部71,72として機能するのは、開口部65に対応する部分(開口部65の近傍部分、より正確には、開口部65と端縁58E,59Eとの間の部分)である。そのため、上流側膨張部47の展開膨張時(乗員拘束前)に、両弁体部71,72の少なくとも先端部71T,72Tが接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、開口部65に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において開口部65に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において開口部65に対応する部分だけ両弁体部71,72として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えばばたつく現象を抑制することができる。
・二つ折り状態の区画部材50における折り線51は、縦方向(上下方向)に対し多少傾斜していてもよい。
・内結合部63による重ね合わせ部61の結合を解除される箇所は、上記各実施形態とは異なる箇所に設定されてもよい。
・折り線51に沿って折り返されることにより、内端部52及び外端部53を接近させてなる二つ折り状態の区画部材50は、折り線51を内端部52及び外端部53よりも下流側に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部46に配設されてもよい。
<結合部75について>
・膨張部46の上部が、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求されず、同膨張部46の残部が、大きな膨張厚みを要求される場合には、図17に示すように、区画部の上部が結合部75によって構成され、同区画部の残部(中央部及び下部)が区画部材50によって構成されてもよい。
・サイドエアバッグ装置による乗員Pの上半身の保護対象は、上記各実施形態と異なっていてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
Claims (4)
- 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、
前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、
前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、
前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、
前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、
前記変更手段は、前記区画部材を、前記乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、
前記区画部材は、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内端部が外側に位置する外端部より前記エアバッグの上流側に配置されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記連通路は、前記区画部材において、前記乗物用シートの幅方向に延びるスリット状の開口部により構成され、
前記調圧弁は、前記開口部の周りに設けられた一対の弁体部を備え、前記上流側膨張部による乗員拘束前には、前記両弁体部が前記上流側膨張部内で膨張用ガスにより押圧されて互いに接触することで閉弁する一方、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、前記両弁体部が前記区画部材を通じて撓んで互いに離間することで開弁するものである請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、
前記区画部材は、その内端部において前記内側布部に結合され、外端部において前記外側布部に結合されており、
前記変更手段は、前記区画部材の前記内端部を、前記乗物用シートの前後方向について、前記外端部の前記外側布部との結合箇所とは異なる箇所で前記内側布部に結合させる外結合部により構成される請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。 - 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、
前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、
前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、
前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、
前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、
前記変更手段は、前記区画部の一部において、前記膨張部の膨張厚みを、前記区画部材によるよりも小さな膨張厚みに規制することで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、
前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、
前記変更手段は、前記区画部の一部を構成し、かつ前記エアバッグの膨張前後にわたり前記内側布部及び前記外側布部を相互に接触させた状態で結合する結合部により構成されることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
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