JP5915479B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、乗物用シートの側方から乗物に衝撃が加わった場合に、その乗物用シートに着座している乗員の側方でエアバッグを展開膨張させることにより、乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に関するものである。
乗員の着座した車両用シートの側方から、側突等により車両に衝撃が加わった場合に、その衝撃から乗員を保護する装置として、エアバッグ及びインフレータを備えたサイドエアバッグ装置が広く知られている。エアバッグは、インフレータが発生した膨張用ガスにより膨張する膨張部を有する。膨張部を含めてエアバッグは、折り畳まれた状態でインフレータとともに、車両用シートのシートバック(背もたれ)の側部内に収納される。
上記サイドエアバッグ装置では、車両の側部を構成する部材(ボディサイド部)、例えばサイドドア等に対し側方から衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスがエアバッグの膨張部に供給される。この膨張用ガスによりエアバッグが展開膨張してシートバックの側部を破断し、一部をシートバック内に残した状態で車両用シートから飛び出す。このエアバッグは、車両用シートとボディサイド部との隙間に入り込み、前方へ向けて展開膨張する。このエアバッグが、乗員と車内側へ進入してくるボディサイド部との間に介在して乗員を拘束するとともに、ボディサイド部を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃を緩和して同乗員を保護する。
上記サイドエアバッグ装置の一態様として、膨張部が区画部材により、インフレータからの膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、上流側膨張部の前側に位置する下流側膨張部とに区画され、さらに、この区画部材に連通路及び調圧弁が設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
区画部材は膨張部の膨張に伴い緊張することで、車両用シートの幅方向についての膨張部の膨張厚みを規制する。連通路は、上流側膨張部及び下流側膨張部を連通させる。調圧弁は、上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、上流側膨張部から連通路を通じて下流側膨張部へ膨張用ガスが流通するのを規制する。そのため、膨張部のうち専ら上流側膨張部の内圧が上昇して、同上流側膨張部が展開膨張する。また、調圧弁は、上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により開弁する。この開弁により、上流側膨張部内の膨張用ガスが、連通路を通じて下流側膨張部へ流出する。この流出により、上流側膨張部の内圧が低下するとともに下流側膨張部の内圧が上昇し、同下流側膨張部が展開膨張する。
調圧弁の上記作動により、エアバッグを通じて乗員が受ける荷重の特性を、短時間で所定値に到達し、その後は所定値に維持されるといった、乗員を適切に拘束して保護するうえで好適な特性にすることができる。
特開2012−30614号公報
ところが、上記サイドエアバッグ装置では、区画部材が膨張部の膨張に伴い緊張することで同膨張部の膨張厚みを規制できるものの、その膨張厚みの規制が画一的に行なわれる。区画部材が、膨張部を上流側膨張部及び下流側膨張部に区画することを主眼として膨張部内に配設されているからである。そのため、膨張部の膨張厚みを、区画部材による通常の態様とは異なる態様で規制することができれば、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を高めることが可能になるものと考えられる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を、膨張厚みの規制の改良を通じて高めることのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、前記変更手段は、前記区画部材を、前記乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、前記区画部材は、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内端部が外側に位置する外端部より前記エアバッグの上流側に配置されている
上記の構成によれば、乗物用シートの側方から衝撃が加わると、その衝撃に応じ膨張部の上流側膨張部に膨張用ガスが供給される。上流側膨張部による乗員拘束前には調圧弁が閉弁され、上流側膨張部内の膨張用ガスが連通路を通じて下流側膨張部へ流通することを規制される。そのため、膨張部では、上流側膨張部の内圧が上昇して、同上流側膨張部が乗物用シートとその側方の乗物構成部材との隙間で展開膨張する。
このときには、区画部材が緊張状態になることで、乗物用シートの幅方向についての上流側膨張部の膨張厚みが規制されるため、こうした規制のないものに比べ、上流側膨張部が上記隙間で展開膨張しやすい。そして、上記上流側膨張部により、乗員が拘束されるとともに、乗物構成部材を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
上記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により区画部材の緊張状態が変化し、調圧弁が開弁する。この開弁により上記規制が解除され、上流側膨張部内の膨張用ガスが、連通路を通じ下流側膨張部へ流出することを許容される。連通路を通じた膨張用ガスの流出により上流側膨張部の内圧が低下するとともに、下流側膨張部の内圧が上昇し、同下流側膨張部が膨張する。上流側膨張部に加え下流側膨張部によっても乗員の拘束及び保護が行なわれる。
ところで、上流側膨張部が膨張するときには、その膨張厚みが上述したように区画部材によって規制されるところ、この規制の態様が変更手段により変更される。従って、こうした変更のないものに比べ、上流側膨張部の膨張厚みを、区画部材による通常の態様とは異なる態様で規制し、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を高めることが可能となる。
また、区画部材が変更手段により、乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられることで、上流側膨張部の膨張厚みは、前側ほど小さくなるように規制される。そのため、区画部材が、乗物用シートの前後方向に対し直交する方向(幅方向)へ緊張させられるものに比べ、上流側膨張部が乗物用シートとその側方の乗物構成部材との隙間へ入り込みやすくなる。上記隙間での膨張部の展開がよりスムーズに行なわれ、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能が高められる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記連通路は、前記区画部材において、前記乗物用シートの幅方向に延びるスリット状の開口部により構成され、前記調圧弁は、前記開口部の周りに設けられた一対の弁体部を備え、前記上流側膨張部による乗員拘束前には、前記両弁体部が前記上流側膨張部内で膨張用ガスにより押圧されて互いに接触することで閉弁する一方、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、前記両弁体部が前記区画部材を通じて撓んで互いに離間することで開弁するものであることが好ましい。
上記の構成によれば、上流側膨張部による乗員拘束前には、両弁体部が同上流側膨張部内の膨張用ガスによって押圧されて互いに接触することで、調圧弁が閉弁し、開口部での膨張用ガスの流通を規制する。上流側膨張部内の膨張用ガスは、開口部を通じ下流側膨張部へ流れないか、流れたとしても僅かである。そのため、エアバッグの膨張部のうち専ら上流側膨張部の内圧が上昇して、同上流側膨張部が展開膨張する。
これに対し、上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力によって同上流側膨張部が押圧されて変形する。これに伴い、区画部材を通じて調圧弁の両弁体部が撓んで互いに離間し、調圧弁が開弁する。上記流通規制が解除され、上流側膨張部内の膨張用ガスが、開口部を通じ下流側膨張部へ流出することを許容される。
上記サイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、前記区画部材は、その内端部において前記内側布部に結合され、外端部において前記外側布部に結合されており、前記変更手段は、前記区画部材の前記内端部を、前記乗物用シートの前後方向について、前記外端部の前記外側布部との結合箇所とは異なる箇所で前記内側布部に結合させる外結合部により構成されることが好ましい。
上記の構成によれば、膨張用ガスにより上流側膨張部が展開膨張する際、エアバッグの内側布部と外側布部とが乗物用シートの幅方向について互いに離間する方向へ膨らみ、両布部の間隔が拡がる。内側布部には区画部材の内端部が結合され、外側布部には同区画部材の外端部が結合されているため、区画部材は上記内側布部及び外側布部によって、互いに離間する方向へ引っ張られる。
ここで、区画部材の内端部が、乗物用シートの前後方向について、外端部の外側布部との結合箇所とは異なる箇所で内側布部に結合されていることから、同区画部材は、上記のように内側布部及び外側布部によって引っ張られると、乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられる。
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、前記変更手段は、前記区画部の一部において、前記膨張部の膨張厚みを、前記区画部材によるよりも小さな膨張厚みに規制することで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、前記変更手段は、前記区画部の一部を構成し、かつ前記エアバッグの膨張前後にわたり前記内側布部及び前記外側布部を相互に接触させた状態で結合する結合部により構成される。
上記の構成によれば、乗物用シートの側方から衝撃が加わると、その衝撃に応じ膨張部の上流側膨張部に膨張用ガスが供給される。上流側膨張部による乗員拘束前には調圧弁が閉弁され、上流側膨張部内の膨張用ガスが連通路を通じて下流側膨張部へ流通することを規制される。そのため、膨張部では、上流側膨張部の内圧が上昇して、同上流側膨張部が乗物用シートとその側方の乗物構成部材との隙間で展開膨張する。
このときには、区画部材が緊張状態になることで、乗物用シートの幅方向についての上流側膨張部の膨張厚みが規制されるため、こうした規制のないものに比べ、上流側膨張部が上記隙間で展開膨張しやすい。そして、上記上流側膨張部により、乗員が拘束されるとともに、乗物構成部材を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
上記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により区画部材の緊張状態が変化し、調圧弁が開弁する。この開弁により上記規制が解除され、上流側膨張部内の膨張用ガスが、連通路を通じ下流側膨張部へ流出することを許容される。連通路を通じた膨張用ガスの流出により上流側膨張部の内圧が低下するとともに、下流側膨張部の内圧が上昇し、同下流側膨張部が膨張する。上流側膨張部に加え下流側膨張部によっても乗員の拘束及び保護が行なわれる。
ところで、上流側膨張部が膨張するときには、その膨張厚みが上述したように区画部材によって規制されるところ、この規制の態様が変更手段により変更される。従って、こうした変更のないものに比べ、上流側膨張部の膨張厚みを、区画部材による通常の態様とは異なる態様で規制し、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を高めることが可能となる。
また、区画部の一部については変更手段により、膨張部の膨張厚みが、区画部材によるよりも小さな膨張厚みに規制される。
従って、乗員を拘束及び保護するうえで、エアバッグに対し大きな膨張厚みが要求される箇所と、大きな膨張厚みが要求されない箇所とがある場合にも対応可能である。大きな膨張厚みが要求される箇所については、上流側膨張部のうち区画部材の設けられた箇所によって対処することが可能である。また、大きな膨張厚みが要求されない箇所については、上流側膨張部のうち結合部が設けられた箇所によって対処することが可能である。このように、乗員を拘束及び保護するうえでより適した膨張厚みにて膨張部が膨張されることで、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能が高められる。
上流側膨張部が膨張用ガスにより膨張したときの、内側布部と外側布部との間隔が、同上流側膨張部の膨張厚みとなる。この点、区画部が区画部材により構成されている箇所では、上流側膨張部の膨張厚みが緊張状態の区画部材によって規制される。表現を変えると、上記箇所では、緊張状態の区画部材の幅が、内側布部と外側布部との間隔、すなわち、上流側膨張部の膨張厚みとなる。
一方、区画部が結合部によって構成されている箇所では、上流側膨張部の膨張厚みが結合部によって規制される。結合部が設けられている箇所では、内側布部及び外側布部が相互に接触させられている。そのため、上記箇所では、上流側膨張部の膨張厚みが、区画部材によるよりも小さくされ、内側布部と外側布部の小さな間隔が上流側膨張部の膨張厚みとなる。
上記サイドエアバッグ装置によれば、区画部材による膨張厚みの規制態様を変更する変更手段を設けたため、エアバッグにより乗員を拘束及び保護する性能を、膨張厚みの規制の改良を通じて高めることができる。
サイドエアバッグ装置の第1実施形態を示す図であり、同サイドエアバッグ装置が設けられた車両用シートを乗員とともに示す側面図。 第1実施形態において、車両用シート、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す平断面図。 第1実施形態において、車両用シート、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 第1実施形態において、シートバックの収納部に組み込まれたエアバッグモジュールを示す部分平断面図。 第1実施形態において、エアバッグが非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを示す側面図。 図5の6−6線に沿った区画部材等の断面構造を模式的に示す部分拡大断面図。 (A)は、図5のエアバッグが車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールを、乗員及び車両用シートとともに示す部分側断面図、(B)は(A)におけるU部を拡大して示す部分側断面図。 図4の状態からエアバッグがその一部をシートバック内に残して車両用シートから飛び出して展開膨張した状態を示す部分平断面図。 第1実施形態のエアバッグが展開膨張して区画部材が緊張した状態を示す背面図。 (A)〜(C)は、第1実施形態における調圧弁の動作を示す模式図。 サイドエアバッグ装置の第2実施形態を示す図であり、同サイドエアバッグ装置が設けられた車両用シート、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 第2実施形態において、エアバッグが非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを示す側面図。 図12の13−13線に沿った区画部材等の断面構造を模式的に示す部分拡大断面図。 第2実施形態のエアバッグが展開膨張して区画部材が緊張した状態を示す背面図。 (A)は、図12のエアバッグが車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールを、乗員及び車両用シートとともに示す部分側断面図、(B)は(A)におけるV部を拡大して示す部分側断面図。 第2実施形態を示す図であり、区画部材における調圧弁の近傍部分を示す部分斜視図。 図12に対応する図であり、エアバッグモジュールの変形例を示す側面図。 第1実施形態とは異なる区画部材が用いられたエアバッグモジュールを乗員及び車両用シートとともに示す側面図。 同じく、第1実施形態とは異なる区画部材が用いられたエアバッグモジュールを乗員及び車両用シートとともに示す側面図。
(第1実施形態)
以下、サイドエアバッグ装置の第1実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
ここでのサイドエアバッグ装置は、乗物としての車両に装備されるものである。なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近付く側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。また、各図においては、「前方」、「後方」、「車内側」、「車外側」を、それぞれ「前」、「後」、「内」、「外」と記載するものとする。
また、車両用シートには、標準的な体格を有する乗員(大人)が、標準的な姿勢で着座しているものとする。
図1及び図2に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側(図2の上側)の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材(乗物構成部材)を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
車両用シート12は、シートクッション(座部)13と、そのシートクッション13の後側から起立し、かつ傾き調整機構(図示略)により傾斜角度を調整されるシートバック(背もたれ)14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車両10に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
シートバック14は、シートバック本体15と、車両用シート12の幅方向についての両側部に設けられた一対のサイドサポート部16とを備えている。シートバック本体15は後側へ傾斜しており、乗員Pの上半身を後側から支える。両サイドサポート部16は、シートバック本体15から前方へ膨出しており、シートクッション13に腰掛けてシートバック本体15に凭れた乗員Pの上半身の幅方向の動きを規制する。
次に、シートバック14において、車外側のサイドサポート部16を含む車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側(図4では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図8についても同様である。
シートパッド18内において、サイドフレーム部17の車外側近傍には収納部21が設けられている。収納部21の位置は、車両用シート12に着座した乗員Pの斜め後方近傍となる(図2参照)。この収納部21には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールAMが組み込まれている。
収納部21の車外側かつ前側の角部からは、斜め前車外側に向けてスリット22が延びている。シートパッド18の前側の角部18Cとスリット22とによって挟まれた箇所(図4において二点鎖線の枠で囲んだ箇所)は、後述するエアバッグ40によって破断される破断予定部23を構成している。
上記シートバック14に組み込まれるエアバッグモジュールAMは、インフレータアセンブリ30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<インフレータアセンブリ30>
図4及び図7に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略上下方向へ延びる長尺状(略円柱状)をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その長さ方向についての一方の端部(第1実施形態では上端部)にガス噴出部31Aを有している。インフレータ31の長さ方向についての他方の端部(第1実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ32は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、上記インフレータ31をエアバッグ40と一緒に上記サイドフレーム部17に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略上下方向へ延びる略筒状に形成されている。リテーナ32の上部には窓部33が設けられており、ガス噴出部31Aから噴出された膨張用ガスの多くが、この窓部33を通じてリテーナ32の外部へ噴き出される。
リテーナ32には、これを上記サイドフレーム部17に取付けるための係止部材として、複数本のボルト34が固定されている。表現を変えると、複数本のボルト34が、リテーナ32を介してインフレータ31に間接的に固定されている。なお、ボルト34は、リテーナ32に代えてインフレータ31に設けられてもよい。また、インフレータアセンブリ30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
<エアバッグ40>
エアバッグ40は、車両10の走行中等の側突等により、衝撃が車両用シート12の側方からボディサイド部11に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスの供給を受ける。このエアバッグ40は、自身の一部をシートバック14内に残した状態で同シートバック14から略前方へ向けて展開膨張する(図8参照)。
図5は、エアバッグ40が膨張用ガスGを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図7は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、図5のエアバッグ40が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを、乗員P及び車両用シート12とともに示している。
図5及び図7に示すように、エアバッグ40は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線42に沿って二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ40の上記の重ね合わされた二つの部分を区別するために、車内側に位置するものを内側布部43(図7参照)といい、車外側に位置するものを外側布部44(図5参照)というものとする。
なお、第1実施形態では、折り線42がエアバッグ40の前端部に位置するように布片が二つ折りされているが、折り線42が他の端部、例えば後端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ40は、折り線42に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。この場合には、エアバッグ40は、2枚の布片を車幅方向に重ね合わせ、両布片を、袋状となるように結合させることにより形成される。さらに、エアバッグ40は3枚以上の布片からなるものであってもよい。
エアバッグ40においては、内側布部43及び外側布部44の各外形形状が、折り線42を対称軸として互いに線対称の関係にある。内側布部43及び外側布部44の各形状及び各大きさは、エアバッグ40が展開膨張したとき、車両用シート12に着座している乗員Pの上半身の一部(主として胸部PT及び肩部PS)とボディサイド部11との隙間を占める形状及び大きさに設定されている。
上記内側布部43及び外側布部44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
内側布部43及び外側布部44の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部45においてなされている。第1実施形態では、周縁結合部45は、内側布部43及び外側布部44の周縁部のうち、前端部(折り線42の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する外結合部54,55及び内結合部63についても同様である。
上記縫製に関し、図5、図7、図9、図12及び図14〜図17では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合部分を側方から見た状態を示している(図5における周縁結合部45、外結合部55等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、外側布部44の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図5における内結合部63等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合の対象となる内側布部43と外側布部44との間や、上側布部56と下側布部57との間における縫糸の状態を示している(図7における周縁結合部45等参照)。すなわち、縫製が3番目の線種で表現されている図は、縫製部分を通る断面に沿った断面構造を示している。
図5及び図7に示すように、エアバッグ40において、周縁結合部45によって囲まれた箇所は、膨張用ガスGによって膨張する膨張部46となっている。
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する外結合部54,55及び内結合部63についても同様である。
上記インフレータアセンブリ30は、前側ほど低くなるように傾斜させられた姿勢で、エアバッグ40内の後端下部に配設されている。そして、リテーナ32のボルト34が、内側布部43に挿通されている(図4参照)。こうした挿通により、インフレータアセンブリ30がエアバッグ40に対し位置決めされた状態で係止されている。また、エアバッグ40の後部下端は、インフレータアセンブリ30の下端部に対し、環状の締結具37によって気密状態で締付けられている。
上記膨張部46は、区画部により複数の部屋に区画されている。第1実施形態では、区画部の全体が区画部材50によって構成されている。区画部材50は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。ここで、区画部材50が緊張させられたときに、車両用シート12(車両10)の幅方向についての内側に位置する端部を「内端部52」といい、外側に位置する端部を「外端部53」というものとする。
図6は、図5の6−6線に沿った断面構造を示している。この図6では、各部材が厚みを省略して描かれるとともに、各内結合部63がジグザグ状に描かれている。図6及び図7に示すように、エアバッグ40が非膨張展開状態となっているときには、区画部材50は、上下方向に延びる折り線51に沿って二つに折り畳まれることにより、車両用シート12(車両10)の幅方向に重ねられている。この状態の区画部材50は、折り線51を内端部52及び外端部53よりも上流側に位置させた状態で、膨張部46内に配設されている。なお、本明細書では、インフレータ31に近い側を「上流側」といい、インフレータ31から遠い側を「下流側」というものとする。
図6及び図9に示すように、上記区画部材50は、膨張部46の展開膨張に伴い面状に緊張させられたとき、折り線51に沿う方向(以下「縦方向」という)の寸法L1が、折り線51に直交する方向(以下「横方向」という)の寸法L2よりも大きな形状をなす。区画部材50の内端部52は、略上下方向に延びる外結合部54によってエアバッグ40の内側布部43に結合されている。また、区画部材50の外端部53は、略上下方向に延びる外結合部55によってエアバッグ40の外側布部44に結合されている。
区画部材50は、上記の結合により、内側布部43と外側布部44との間に架け渡されている。区画部材50は、エアバッグ40が非膨張展開状態となったときには、二つに折り畳まれた状態となる(図6、図7参照)。また、区画部材50は、膨張部46が展開膨張したとき、車両用シート12の幅方向(車幅方向)に緊張させられた状態となり(図9参照)、同膨張部46の同方向の膨張厚みを規制する。
さらに、上記膨張部46の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段が設けられている。第1実施形態の変更手段は、区画部材50を、車両用シート12の前後方向に傾斜する方向へ緊張させることで、膨張厚みの規制態様を変更するものである。詳しくは、区画部材50の内端部52は、上記前後方向について、外端部53の外結合部55による外側布部44との結合箇所とは異なる箇所(上流側(後側)となる箇所)で、外結合部54により内側布部43に結合されている。上記の態様で、内端部52を内側布部43に結合する外結合部54と、外端部53を外側布部44に結合する外結合部55とにより変更手段が構成されている。
また、二つに折り畳まれた状態の上記区画部材50は、折り線51に沿う方向(縦方向)の両端部において、エアバッグ40に結合されている。すなわち、図7に示すように、区画部材50の上端部は、上述した周縁結合部45によってエアバッグ40の両布部43,44の両上端部に結合(共縫い)されている。また、区画部材50の下端部は、周縁結合部45によって両布部43,44の両下端部に結合(共縫い)されている。
図7及び図9に示すように、上記区画部材50により膨張部46は、その後半部分を構成し、かつインフレータアセンブリ30の配置された後側の上流側膨張部47と、同膨張部46の前半部分を構成し、かつインフレータアセンブリ30の配置されていない下流側膨張部48とに区画されている。こうした構成により、インフレータ31からの膨張用ガスは、上流側膨張部47に最初に供給され、その後に下流側膨張部48に供給される。
区画部材50は、縦方向(上下方向)に並べられた布部からなる。各布部を区別するために、上側に位置するものを上側布部56といい、下側に位置するものを下側布部57というものとする。両布部56,57は、エアバッグ40の布片と同様の素材を用いてシート状に形成されている。
上側布部56及び下側布部57では、それらの端部58,59の端縁58E,59E同士が合致させられた状態で、端部58,59同士が帯状に重ね合わされている。両布部56,57は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部61と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部62」という)との境界部分において、横方向へ延びる内結合部63によって結合されている。この境界部分は、上記端縁58E,59Eから縦方向(上下方向)に一定距離離れている。
上記区画部材50において、縦方向及び横方向の両方向についての略中央部分には、連通路及び調圧弁70が設けられている。次に、これらの連通路及び調圧弁70について説明する。
上記内結合部63は、その一部(区画部材50が緊張した場合に、横方向についての中央部となる箇所)において結合を解除されている。表現を変えると、両重ね合わせ部61と非重ね合わせ部62との境界部分において、区画部材50が緊張した場合に、横方向についての中央部となる箇所では、上側布部56及び下側布部57を結合する内結合部63が設けられていない。このように内結合部63が設けられていない部分である、結合を解除された箇所は、横方向に延びるスリット状の開口部65をなしている。この開口部65により、上流側膨張部47と下流側膨張部48とを連通させる上記連通路が構成されている。ここでの横方向は、車両10及び車両用シート12に対し衝撃の加わる方向と同じである。
図6及び図9に示すように、調圧弁70は、上流側膨張部47による乗員拘束前には閉弁して、上流側膨張部47から開口部65を通じて下流側膨張部48へ膨張用ガスが流通するのを規制し、上流側膨張部47による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による区画部材50の緊張状態の変化に応じて開弁して上記規制を解除する弁である。調圧弁70は、重ね合わせ部61であって、開口部65に対応する部分(近傍部分)に一対の弁体部71,72を備えている。
より正確には、開口部65と端縁58Eとの間の部分によって弁体部71が構成され、同開口部65と端縁59Eとの間の部分によって弁体部72が構成されている。両弁体部71,72が、それらの少なくとも一部、例えば先端部71T,72Tにおいて互いに接触することで、調圧弁70が閉弁し、開口部65や両弁体部71,72間での膨張用ガスの流通が規制される(図10(A),(B)参照)。また、開口部65が開かれ、かつ両弁体部71,72が、上流側膨張部47から開口部65を通じて下流側膨張部48へ押し出され、同下流側膨張部48内で弁体部71の全体が弁体部72の全体から離間することで、調圧弁70が開弁する。この開弁により、開口部65や両弁体部71,72間での膨張用ガスGの上記流通規制が解除(流通が許容)される(図10(C)参照)。
さらに、上記のように、両弁体部71,72を有する両重ね合わせ部61は、膨張部46の展開膨張前には上流側膨張部47に配置されている(図7参照)。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、上方又は下方(第1実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部62に重ねられている。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、内結合部63に沿う方向(横方向)の両端部において、前述した外結合部54,55により、エアバッグ40の対応する内側布部43、外側布部44、及び区画部材50の非重ね合わせ部62に結合(共縫い)されている(図6、図7(A)参照)。
ところで、上記エアバッグモジュールAMは、非膨張展開状態のエアバッグ40(図5、図7参照)が折り畳まれることにより、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールAMを、シートバック14における限られた大きさの収納部21(図4参照)に対し、収納に適したものとするためである。
上記収納用形態にされたエアバッグモジュールAMは、図4に示すように、インフレータアセンブリ30を後側に位置させ、かつエアバッグ40の多くを前側に位置させた状態で、収納部21に配設されている。そして、上述したように、リテーナ32から延びてエアバッグ40(内側布部43)に挿通されたボルト34がサイドフレーム部17に挿通され、ナット35によって締付けられている。この締付けにより、インフレータアセンブリ30がエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部17に固定されている。
なお、インフレータアセンブリ30は、上述したボルト34及びナット35とは異なる部材によって車両10(サイドフレーム部17)に固定されてもよい。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2等参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加わる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
さらに、車両10には、車両用シート12に着座した乗員Pを拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、各図では、このシートベルト装置の図示が省略されている。
上記のようにして、第1実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、このサイドエアバッグ装置の作用として、代表的な動作の態様(モード)について説明する。図10(A)〜(C)は、調圧弁70等の形態が、膨張用ガスGの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略・簡略化されている。
このサイドエアバッグ装置では、側突等により車両10(ボディサイド部11)に対し側方から衝撃が加わらないときには、制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ31から膨張用ガスが膨張部46に供給されない。エアバッグ40は、収納用形態でインフレータアセンブリ30とともに収納部21に収納され続ける(図4参照)。このとき、エアバッグ40では、内側布部43及び外側布部44が互いに接近している。区画部材50は、折り線51を内端部52及び外端部53よりも上流側に位置させてなる二つ折り状態となっている。両弁体部71,72は上流側膨張部47内で重なり合っている。
これに対し、車両10の走行中に、側突等によりボディサイド部11に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ81によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31では、ガス発生剤が高温高圧の膨張用ガスを発生する。この膨張用ガスは、膨張部46のうち、まず上流側膨張部47に供給される。この膨張用ガスの供給を受けた上流側膨張部47は展開膨張を開始する。
これに伴い、二つ折り状態の区画部材50が引っ張られる。区画部材50に対し、縦方向(上下方向)や横方向(車幅方向)にテンション(張力)が掛かって、同区画部材50が緊張状態になろうとする(図9、図10(A)参照)。
上流側膨張部47に位置する両弁体部71,72に対しては、その重なり方向(厚み方向)から内圧PIが加わる。この内圧PIは、上流側膨張部47による乗員Pの拘束時ほど高くない。両弁体部71,72は、この内圧PIにより面全体で互いに密着し、両弁体部71,72間での膨張用ガスの流通を規制する自己シール状態となる。さらに、折り曲げられて区画部材50の非重ね合わせ部62に重ねられた重ね合わせ部61が、内圧PIによりその非重ね合わせ部62に押付けられる。これらのことからも、両弁体部71,72が一層閉じられやすくなる。
ここで、区画部材50では、縦方向(上下方向)に横方向(車幅方向)よりも長く形成されている(L1>L2)ことから、横方向(車幅方向)に対し、縦方向(上下方向)に対するよりも強いテンションが掛かりやすい。開口部65は、この強いテンションの掛かりやすい横方向(車幅方向)に延びているため、閉じられやすい。
ただし、上記のようなテンション(張力)の強弱関係があるとはいえ、開口部65を開かせようとする方向である、縦方向(上下方向)にもテンション(張力)が掛かるため、開口部65は確実に閉じるとは限らず、開くおそれもある。しかし、この場合であっても、両弁体部71,72が少なくとも自身の先端部71T,72Tにおいて閉じられる。これは、区画部材50が緊張することで開口部65が縦方向(上下方向)に引っ張られて、これを開かせようとする力が作用したとしても、その力は、開口部65において最も大きく、開口部65から遠ざかるに従い小さくなり、両弁体部71,72の先端部71T,72Tにおいて最小となるからである。
さらに、第1実施形態では、非重ね合わせ部62側へ折り曲げられた重ね合わせ部61が、開口部65(内結合部63)の延びる方向の両端部において外結合部54,55により、端部52,53とともに布部43,44に結合されている。そのため、上流側膨張部47が展開膨張したときには、区画部材50(非重ね合わせ部62)に対し、横方向(車幅方向)に強いテンション(張力)が掛かるだけでなく、重ね合わせ部61に対しても同方向に強いテンション(張力)が掛かる。
両弁体部71,72が、それらの少なくとも一部において互いに接触すると、調圧弁70が閉弁した状態となる。上流側膨張部47内の膨張用ガスは、両弁体部71,72間及び開口部65を通って下流側膨張部48へ流通(流出)することを規制される。上記の規制により、膨張用ガスが開口部65を流れにくくなる。上流側膨張部47内の膨張用ガスは、開口部65を通じ下流側膨張部48へ流れないか、流れたとしても僅かである。その結果、上流側膨張部47に膨張用ガスが溜まり、専ら上流側膨張部47の内圧が上昇し始める。
第1実施形態では、膨張部46が区画部材50によって上流側膨張部47及び下流側膨張部48に区画されていることから、上流側膨張部47の容積は、膨張部46が区画されていない場合のその膨張部46の容積よりも小さい。そのため、上流側膨張部47の内圧は、膨張部46が区画されていない場合よりも早く上昇を開始し、しかも早く高くなる。特に、上流側膨張部47内の膨張用ガスは、両弁体部71,72間においてのみ流通を許容され、両弁体部71,72間を経由せずに下流側膨張部48へ流出することはない。従って、膨張用ガスの上記流出が原因で上流側膨張部47の内圧の上昇速度が低下することが起こりにくい。
そして、上流側膨張部47の上記膨張により、同上流側膨張部47が折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消しようとする。上流側膨張部47が、折り状態を解消(展開)しながら膨張(展開膨張)していくと、シートバック14のシートパッド18が上流側膨張部47によって押圧され、破断予定部23(図4参照)において破断される。図8に示すように、上流側膨張部47は、その一部を収納部21に残した状態で、破断された箇所を通じてシートバック14から前方へ飛び出す。
その後も膨張用ガスの供給される上流側膨張部47は、図2及び図3に示すように、ボディサイド部11と車両用シート12との隙間において前方へ向けて折り状態を解消しながら展開する。このときには、膨張部46の膨張厚みの規制態様が変更手段により変更される。従って、こうした変更のないものに比べ、上流側膨張部47の膨張厚みを、区画部材50による通常の態様とは異なる態様で規制することが可能となる。より詳しくは、区画部材50は、内端部52と外端部53とを結ぶ方向、すなわち、車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられる。この緊張により、上流側膨張部47の膨張厚みは、前側ほど小さくなるように規制される。そのため、区画部材50が、車両用シート12の前後方向に直交する方向(車両用シート12の幅方向)へ緊張させられる場合に比べ、上流側膨張部47が車両用シート12とボディサイド部11との隙間へ入り込みやすくなり、同隙間での膨張部46の展開がよりスムーズに行なわれる。
車内側へ進入するボディサイド部11によって上流側膨張部47が乗員Pの上半身(胸部PT等)に押圧され始める。この押圧により、乗員Pは主として上流側膨張部47によって上半身(胸部PT等)を拘束され始める。また、ボディサイド部11を通じて乗員Pの上半身(胸部PT等)に伝わる側方からの衝撃が緩和されて、同上半身が保護される。
上記押圧に際し、膨張部46では専ら上流側膨張部47が展開膨張していることから、乗員Pが膨張部46の圧力を受ける箇所は専ら上流側膨張部47である。
両弁体部71,72がそれらの面全体で密着した(閉じられた)状態で、上流側膨張部47内に膨張用ガスが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁70が開弁し始める。
すなわち、膨張部46への膨張用ガスGの供給期間の途中からは、乗員拘束に伴う外力が加わって膨張部46(上流側膨張部47)が押圧されて変形する。これに伴い、区画部材50に対し横方向(車幅方向)に強く掛かっていたテンション(張力)が減少する。縦及び横の両方向のテンション(張力)の差が小さくなる。
また、膨張部46の上記変形に伴い上流側膨張部47の内圧がさらに上昇して、区画部材50が下流側膨張部48側へ押圧されて(図10(B)参照)、同区画部材50に掛かるテンションが変化する。そして、上記テンション(張力)の変化によっても、縦及び横の両方向のテンション(張力)の差が小さくなる。区画部材50に位置する開口部65の変形が許容され、同区画部材50に位置する弁体部71,72の作動が許容されるようになる。
一方、重ね合わせ部61が非重ね合わせ部62に重ねられ、横方向(車幅方向)についての両端部において、外結合部54,55によってエアバッグ40の内側布部43及び外側布部44に結合されているため、重ね合わせ部61において外結合部54,55に近い部分では、重ね合わされた状態を維持しようとする力が強い。しかし、この力は、外結合部54,55から遠ざかるに従い小さくなり、横方向(車幅方向)についての中央部分、すなわち両弁体部71,72において最小となる。このため、縦方向(上下方向)へ引っ張られた重ね合わせ部61は、弁体部71,72及びその近傍部分においてのみ同方向へ変形する。
開口部65がある程度開くと、重ね合わせ部61では、上流側膨張部47の高い内圧PIを受けた両弁体部71,72のみが、開口部65を通って下流側膨張部48へ押し出される(反転される)。
上記のように両弁体部71,72が反転された後の開口部65の上下方向の幅W1が狭いときには、先端部71T,72T同士が接触し合い、両弁体部71,72が先端部71T,72Tにおいて閉じる(図10(B)参照)。この状態は、開口部65の上記幅W1が、各弁体部71,72の幅W2(図10(C)参照)の合計値(=2・W2)よりも狭い期間続く。
そして、開口部65の幅W1がこの合計値(=2・W2)よりも大きくなると、先端部71T,72Tが離れ(図10(C)参照)、調圧弁70が開弁した状態となる。調圧弁70の上記開弁により上記流通規制が解除され、上流側膨張部47内の膨張用ガスGは、開口部65や、両弁体部71,72間を順に通って下流側膨張部48へ流出することを許容される。
上記膨張用ガスGの流出により、上流側膨張部47の内圧が上昇から低下に転ずる。ただし、ボディサイド部11は車内側へ依然として進入し続けていて、膨張部46が上流側膨張部47において乗員Pに押圧される。
また、膨張用ガスの流入により下流側膨張部48の内圧が上昇を開始し、同下流側膨張部48が膨張を開始する。膨張部46が上流側膨張部47に加え下流側膨張部48においても乗員Pに押圧されるようになり、上流側膨張部47に加え、下流側膨張部48によっても、乗員Pが拘束される。また、ボディサイド部11を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃が、上流側膨張部47に加え下流側膨張部48によっても緩和されて、同上半身がより保護される。
下流側膨張部48は、上記上流側膨張部47よりも低い内圧でもって、折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消しようとする。この際、ボディサイド部11と乗員Pとの隙間に既に上流側膨張部47が入り込んでいることから、下流側膨張部48は上記隙間を前方へ向けて展開膨張しやすく(図2参照)、下流側膨張部48による乗員Pの拘束及び保護が適正に行なわれる。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)膨張部46の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段を設けている(図2)。
そのため、上流側膨張部47の膨張厚みを、区画部材50による通常の態様とは異なる態様で規制し、エアバッグ40により乗員Pを拘束及び保護する性能を高めることができる。
(2)連通路として、区画部材50において、衝撃の加わる方向に延びるスリット状の開口部65を設ける。また、調圧弁70として、開口部65の周りに一対の弁体部71,72を備えるものを用いるようにしている(図10(A))。
そのため、上流側膨張部47による乗員拘束前には、両弁体部71,72を上流側膨張部47内で膨張用ガスにより押圧して互いに接触させることで調圧弁70を閉弁させ、上流側膨張部47から開口部65を通じて下流側膨張部48へ膨張用ガスが流通するのを規制することができる。
また、上流側膨張部47による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、両弁体部71,72を、区画部材50を通じて撓ませて互いに離間させることで調圧弁70を開弁させて上記流通規制を解除することができる(図10(C))。
(3)区画部材50を、変更手段により、車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることで、膨張厚みの規制態様を変更するようにしている(図2)。
そのため、区画部材50が、上記前後方向に直交する方向(車両用シート12の幅方向)へ緊張させられるものに比べ、上流側膨張部47を車両用シート12とボディサイド部11との隙間へ入り込みやすくすることができ、同隙間での膨張部46の展開をよりスムーズに行なうことができ、上記(1)の効果を得ることができる。
(4)エアバッグ40を、車両用シート12の幅方向についての内側に位置する内側布部43と、同幅方向についての外側に位置する外側布部44とを袋状に結合することにより形成する。区画部材50を、その内端部52において内側布部43に結合し、外端部53において外側布部44に結合する。さらに、区画部材50の内端部52を、車両用シート12の前後方向について、外端部53の外側布部44との結合箇所とは異なる箇所で内側布部43に結合させる外結合部54,55により、変更手段を構成している(図6)。
そのため、内側布部43及び外側布部44によって区画部材50を、車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることができ、上記(3)の効果を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、サイドエアバッグ装置の第2実施形態について、図11〜図16を参照して、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
なお、各図において、前述した第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号が付されている。
<エアバッグ40>
図11及び図12に示すように、第2実施形態では、エアバッグ40として、第1実施形態で用いられたものとは異なる外形形状を有するものが用いられている。
図12は、エアバッグ40が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(非膨張展開状態)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図15は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、図12のエアバッグ40が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを、乗員P及び車両用シート12とともに示している。
エアバッグ40における内側布部43(図15)及び外側布部44(図12)の各外形形状及び各大きさは、エアバッグ40が展開膨張したとき、車両用シート12に着座している乗員Pの上半身の多くの部分(腰部PPから肩部PSにかけての領域)とボディサイド部11との隙間を占める形状及び大きさに設定されている。
エアバッグ40の膨張部46に設けられて、同膨張部46を上流側膨張部47及び下流側膨張部48に区画する区画部の一部(上部及び中央部分)は、区画部材50により構成されている。膨張部46の上記一部は、乗員Pの上半身を拘束及び保護するうえで比較的大きな膨張厚みが要求される箇所である。第2実施形態では、乗員Pの腹部PBから肩部PSにかけての領域の側方で膨張する箇所が上記一部とされていて、ここに区画部材50が設けられている。
図13は、図12の13−13線に沿った断面構造を示している。この図13では、各部材が厚みを省略して描かれるとともに、各内結合部63がジグザグ状に描かれている。図12及び図13に示すように、エアバッグ40が非膨張展開状態となっているときには、区画部材50は、車両用シート12の幅方向についての中央部において上下方向に延びる折り線51に沿って二つ折りされることにより、車両用シート12(車両10)の幅方向に重ねられている。区画部材50の内端部52は、車両用シート12の前後方向について、外端部53の外側布部44との結合箇所と同じ箇所で、内側布部43に結合されている。この点において、内端部52が、外端部53の外側布部44との結合箇所とは異なる箇所で内側布部43に結合されている第1実施形態と異なっている。
また、図12及び図15に示すように、区画部の残部(下部)は、区画部材50に隣接して設けられ、かつ内側布部43及び外側布部44を相互に接触させた状態で結合する変更手段としての結合部75により構成されている。膨張部46のうち上記結合部75が設けられた箇所は、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みが要求されない箇所である。例えば、ボディサイド部11のうち乗員Pの上記部位の側方部分が十分高い剛性を有し、乗員Pを拘束及び保護する性能が高い場合等には、膨張部46に要求される膨張厚みは少なくなる。第2実施形態では、膨張部46のうち乗員Pの腰部PPの側方で膨張する箇所に結合部75が設けられている。
また、二つに折り畳まれた状態の上記区画部材50は、折り線51に沿う方向(縦方向)の両端部において、エアバッグ40に結合されている。すなわち、区画部材50の上端部は、上述した周縁結合部45によってエアバッグ40の両布部43,44の上端部に結合(共縫い)されている。これに対し、区画部材50の下端部は、上記結合部75に接続されている。
このように、第2実施形態では、区画部材50及びその下側の結合部75からなる区画部により、膨張部46が上流側膨張部47及び下流側膨張部48に区画されている。
<開口部65(連通路)及び調圧弁70について>
図14及び図16に示すように、開口部65(連通路)及び調圧弁70は、区画部材50において、縦方向及び横方向の両方向についての略中央部分に設けられている。折り線51が区画部材50において、車両用シート12の幅方向についての中央部に設定されている第2実施形態では、開口部65(連通路)及び調圧弁70が折り線51に跨って設けられている。
上記のようにして第2実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、第2実施形態の作用について説明するが、このサイドエアバッグ装置は、基本的には、上記第1実施形態と同様の態様で動作する。
第2実施形態では、上記第1実施形態でのサイドエアバッグ装置の動作に、結合部75による動作が加わる。すなわち、上流側膨張部47が膨張用ガスにより膨張したときの、内側布部43と外側布部44との間隔が、同上流側膨張部47の膨張厚みとなる。
この点、区画部が区画部材50により構成されている箇所では、図14及び図16に示すように、上流側膨張部47の膨張厚みが緊張状態の区画部材50によって規制される。
区画部材50の内端部52が、車両用シート12の前後方向について、外端部53の外側布部44との結合箇所と同じ箇所で内側布部43に結合されている第2実施形態では、区画部材50が、車両用シート12の前後方向に直交する方向(幅方向)へ緊張する。この緊張状態の区画部材50により、上流側膨張部47の膨張厚みが規制される。区画部材50が架け渡された箇所での、内側布部43と外側布部44との間隔は、車両用シート12の幅方向についての区画部材50の寸法(L2)に規制される。この間隔は、結合部75が設けられた箇所での内側布部43と外側布部44との間隔よりも大きい。
区画部が区画部材50により構成されている箇所は、上述したように、乗員Pの上半身のうち、大きな膨張厚みの膨張部46による拘束及び保護が要求される部位(腹部PBから肩部PSにかけての部位)の側方で膨張する箇所である。そのため、乗員Pの上記部位については、上流側膨張部47のうち区画部材50が設けられ、かつ車両用シート12の幅方向に大きな膨張厚みをもって膨張した箇所によって拘束及び保護される。
一方、区画部が結合部75によって構成されている箇所では、上流側膨張部47の膨張厚みが結合部75によって規制される。結合部75が、内側布部43及び外側布部44を相互に接触させた状態で結合しているため、上記箇所では、内側布部43及び外側布部44間の小さな間隔が上流側膨張部47の膨張厚みとなる。
区画部が結合部75により構成されている箇所は、上述したように、乗員Pの上半身のうち、小さな膨張厚みの膨張部46でも拘束及び保護のできる部位に対応している。そのため、乗員Pの上記部位については、上流側膨張部47のうち結合部75が設けられ、かつ車両用シート12の幅方向に小さな膨張厚みをもって膨張した箇所によって拘束及び保護される。
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1),(2)に加え、次の効果が得られる。
(5)変更手段により、区画部の一部(下部)において、膨張部46の膨張厚みを、区画部材50によるよりも小さな膨張厚みに規制することで、膨張厚みの規制態様を変更するようにしている(図14)。
そのため、乗員Pがエアバッグ40によって拘束及び保護されるうえで、大きな膨張厚みが要求される部位については、上流側膨張部47のうち区画部材50の設けられた箇所によって拘束及び保護することができる。また、乗員Pがエアバッグ40によって拘束及び保護されるうえで、大きな膨張厚みが要求されない部位については、上流側膨張部47のうち結合部75が設けられた箇所によって拘束及び保護することができる。このように、エアバッグ40による乗員の拘束及び保護の性能を高めることができる。
(6)区画部の一部を構成し、かつエアバッグ40の内側布部43及び外側布部44を相互に接触させた状態で結合する結合部75により、変更手段を構成している(図15)。
そのため、結合部75によって内側布部43及び外側布部44を結合させた箇所では、膨張部46(上流側膨張部47)の膨張厚みを、区画部材50によるよりも小さな膨張厚みに規制することができ、上記(5)の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<エアバッグモジュールAMの収納部21について>
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
<インフレータアセンブリ30について>
・インフレータアセンブリ30はエアバッグ40の外部に設けられてもよい。この場合には、インフレータ31と上流側膨張部47とが管によって繋がれ、この管を介してインフレータ31からの膨張用ガスが上流側膨張部47に供給されてもよい。
<膨張部46について>
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・膨張部46は区画部材50によって3つ以上の部屋に区画されてもよい。この場合、膨張部46において区画部材50を挟んで膨張用ガスの流れ方向に隣り合う二つの部屋について、上流側(インフレータ31に近い側)に位置するものが上流側膨張部47とされ、下流側(インフレータ31から遠い側)に位置するものが下流側膨張部48とされる。そして、上流側膨張部47と下流側膨張部48との間の区画部材50に連通路(開口部65)及び調圧弁70が設けられる。
<区画部材50について>
・第1実施形態における区画部材50として、上述したものとは異なる外形形状を有するものが用いられてもよい。
図18及び図19はその一例を示している。いずれの変形例でも、車両用シート12の幅方向についての幅の広い箇所(以下「幅広部50A」という)が区画部材50に設定されている。幅広部50Aは、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求される箇所に設定される。
図18では、幅広部50Aが区画部材50の上部にのみ形成されている。図19では、幅広部50Aが区画部材50の上部及び下部の両方に形成されている。
上記いずれの変形例も、区画部材50が車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させられることで、第1実施形態と同様の効果が得られる。
・区画部材50の内端部52及び外端部53は、エアバッグ40の内側布部43及び外側布部44に対し、上流側膨張部47内で結合されてもよいし、下流側膨張部48内で結合されてもよい。
また、内端部52及び外端部53の一方が上流側膨張部47内で結合され、他方が下流側膨張部48内で結合されてもよい。
・開口部65及び内結合部63は、区画部材50の折り線51に直交する方向に限らず、斜めに交差する方向に沿って設けられてもよい。
・区画部材50として、単一の部材(布片)からなるものが用いられてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部71,72として機能するのは、開口部65に対応する部分(開口部65の近傍部分、より正確には、開口部65と端縁58E,59Eとの間の部分)である。そのため、上流側膨張部47の展開膨張時(乗員拘束前)に、両弁体部71,72の少なくとも先端部71T,72Tが接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、開口部65に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において開口部65に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において開口部65に対応する部分だけ両弁体部71,72として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えばばたつく現象を抑制することができる。
そのほかにも、重ね合わせ部61において開口部65に対応しない箇所の少なくとも一部に切欠きが入れられてもよい。
・二つ折り状態の区画部材50における折り線51は、縦方向(上下方向)に対し多少傾斜していてもよい。
・区画部材50は、折り線51に沿って折り畳まれなくてもよい。
・内結合部63による重ね合わせ部61の結合を解除される箇所は、上記各実施形態とは異なる箇所に設定されてもよい。
・内結合部63による重ね合わせ部61の結合を解除される箇所は、複数設定されてもよい。
・折り線51に沿って折り返されることにより、内端部52及び外端部53を接近させてなる二つ折り状態の区画部材50は、折り線51を内端部52及び外端部53よりも下流側に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部46に配設されてもよい。
・第1実施形態において、区画部材50の内端部52は、車両用シート12の前後方向について、外端部53の外側布部44との結合箇所よりも下流側(前側)で内側布部43に結合されてもよい。
このように変更された場合であっても、区画部材50を、車両用シート12の前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることができ、第1実施形態と同様の効果が得られる。
<結合部75について>
・膨張部46の上部が、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求されず、同膨張部46の残部が、大きな膨張厚みを要求される場合には、図17に示すように、区画部の上部が結合部75によって構成され、同区画部の残部(中央部及び下部)が区画部材50によって構成されてもよい。
また、図示はしないが、膨張部46の中間部分が、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求され、同膨張部46の上部及び下部が、大きな膨張厚みを要求されない場合には、区画部の中間部分が区画部材50によって構成され、同区画部の上部及び下部が結合部75によってそれぞれ構成されてもよい。
要は、膨張部46のうち、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求される箇所については、区画部が区画部材50によって構成される。また、膨張部46のうち、乗員Pを拘束及び保護するうえで大きな膨張厚みを要求されない箇所については、区画部が結合部75によって構成される。
<その他>
・サイドエアバッグ装置による乗員Pの上半身の保護対象は、上記各実施形態と異なっていてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
11…ボディサイド部(乗物構成部材)、12…車両用シート(乗物用シート)、40…エアバッグ、43…内側布部、44…外側布部、46…膨張部、47…上流側膨張部、48…下流側膨張部、50…区画部材(区画部を構成)、52…内端部、53…外端部、54,55…外結合部(変更手段を構成)、65…開口部(連通路)、70…調圧弁、71,72…弁体部、75…結合部(区画部、変更手段を構成)、G…膨張用ガス。

Claims (4)

  1. 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、
    前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、
    前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、
    前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、
    前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、
    前記変更手段は、前記区画部材を、前記乗物用シートの前後方向に対し傾斜する方向へ緊張させることで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、
    前記区画部材は、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内端部が外側に位置する外端部より前記エアバッグの上流側に配置されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
  2. 前記連通路は、前記区画部材において、前記乗物用シートの幅方向に延びるスリット状の開口部により構成され、
    前記調圧弁は、前記開口部の周りに設けられた一対の弁体部を備え、前記上流側膨張部による乗員拘束前には、前記両弁体部が前記上流側膨張部内で膨張用ガスにより押圧されて互いに接触することで閉弁する一方、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力により、前記両弁体部が前記区画部材を通じて撓んで互いに離間することで開弁するものである請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、
    前記区画部材は、その内端部において前記内側布部に結合され、外端部において前記外側布部に結合されており、
    前記変更手段は、前記区画部材の前記内端部を、前記乗物用シートの前後方向について、前記外端部の前記外側布部との結合箇所とは異なる箇所で前記内側布部に結合させる外結合部により構成される請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
  4. 乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより膨張する膨張部を有し、前記乗物用シートの側方で同乗物用シートの前方へ向けて展開するエアバッグが備えられ、
    前記膨張部の少なくとも一部は、区画部により、前記膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記上流側膨張部の前側に隣接する下流側膨張部とに区画され、
    前記区画部の少なくとも一部は、前記膨張部の膨張に伴い緊張することで、前記乗物用シートの幅方向についての前記膨張部の膨張厚みを規制する区画部材により構成され、
    前記区画部材には、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部を連通させる連通路と、前記上流側膨張部による乗員拘束前には閉弁して、前記上流側膨張部から前記連通路を通じて前記下流側膨張部へ前記膨張用ガスが流通するのを規制し、前記上流側膨張部による乗員拘束時には、その拘束に伴い加わる外力による前記区画部材の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁とが設けられたサイドエアバッグ装置であって、
    前記膨張部の膨張厚みの規制態様を変更する変更手段がさらに設けられており、
    前記変更手段は、前記区画部の一部において、前記膨張部の膨張厚みを、前記区画部材によるよりも小さな膨張厚みに規制することで、前記膨張厚みの規制態様を変更するものであり、
    前記エアバッグは、前記乗物用シートの幅方向についての内側に位置する内側布部と、同幅方向についての外側に位置する外側布部とを袋状に結合することにより形成され、
    前記変更手段は、前記区画部の一部を構成し、かつ前記エアバッグの膨張前後にわたり前記内側布部及び前記外側布部を相互に接触させた状態で結合する結合部により構成されることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
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