JP6111996B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部の周縁部同士を結合することにより袋状に形成され、かつインフレータから供給される膨張用ガスによる膨張部の膨張に伴い、前記乗物用シートに着座している乗員の側方で前方へ向けて展開するエアバッグ本体が備えられ、前記膨張部の少なくとも一部が、前記両本体布部間に架設された横区画部により、同横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画され、前記横区画部は、前記エアバッグ本体の後端部から前端部まで延びる本体構成布部と、同本体構成布部の後部から前下方へ向けて延びる延出部とを備え、前記本体構成布部と前記延出部との間は、前記インフレータの軸線に交差する方向に向かって切り欠かれた形状とされて、前記延出部の前端部は、自身の動きが許容されており、前記横区画部の後端部には、前記上膨張室及び前記下膨張室を連通させる開口部と、前記開口部から前記下膨張室側へ延び、かつ膨張用ガスにより開閉する筒状の弁が設けられ、前記延出部は、前記弁の弁体部を構成し、前記弁は、前記上膨張室から前記開口部を通じて前記下膨張室へ膨張用ガスが流れるのを許容するとともに、前記下膨張室から前記開口部を通じて前記上膨張室へ膨張用ガスが流れるのを規制する逆止弁であり、前記逆止弁の後端部は、前記開口部から前下方へ延びる結合部により前記本体布部に結合され、前記開口部を通過する膨張用ガスは、前記結合部に沿う方向に流れ方向を変えられ、前記下膨張室の前部には、同下膨張室内の膨張用ガスを排出するための排気孔が設けられている。
逆止弁は、上膨張室から下膨張室への膨張用ガスの流通を許容し、その逆の流通を規制する。そのため、乗物用シートの側方からの衝撃に応じてインフレータから膨張用ガスが噴出されると、その膨張用ガスの一部が開口部及び逆止弁を順に通過して下膨張室に流入する。膨張用ガスは、逆止弁を通過する際に結合部に当たり、流れ方向を前下方へ変えられる。下膨張室の膨張が進むにつれて結合部の傾斜が緩やかになり、膨張用ガスの流れ方向が前下方から前方へ徐々に変えられてゆく。
本実施形態でのサイドエアバッグ装置は、乗物としての車両に装備されるものである。なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。また、各図においては、「前方」、「後方」、「車内側」、「車外側」を、それぞれ「前」、「後」、「内」、「外」と記載するものとする。
図1及び図2に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側(図2の上側)の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図3に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図3ではその表皮の図示が省略されている。後述する図9についても同様である。
<インフレータアセンブリ30>
図3〜図5に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31の長さ方向についての一方の端部(下端部)には、ガス噴出部31aが設けられている。また、インフレータ31の長さ方向についての他方の端部(上端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
<エアバッグ本体41>
図4は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図5(a)は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、図4の非膨張展開状態のエアバッグ本体41が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを乗員Pとともに示している。
横区画部54は膨張部46を下膨張室と、それよりも上側の下膨張室とに区画するためのものであり、エアバッグ本体41と同様の素材からなる1枚の布片を、上下方向に延びる折り線55に沿って二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を両本体布部43,44の下部間に架設することにより形成されている。なお、横区画部54は、折り線55に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。横区画部54の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置する部分を構成布部56といい、車外側に位置するものを構成布部59というものとする(図8(a)参照)。
縦区画部71は、上膨張室を前後2つの部屋(第1膨張室51と、その前側の第2膨張室52)とに区画するためのものである。縦区画部71は、上下方向に延びる折り線72を有している。縦区画部71は、展開させられた状態(図6参照)では、折り線72に沿う方向(上下方向)の寸法が、同折り線72に直交する方向(車幅方向)の寸法よりも長い形状を有している。
図5(b)及び図11に示すように、両布片76,77では、それらの端縁78e,79e同士が合致させられた状態で、端部78,79同士が帯状に重ね合わされている。両布片76,77は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部81と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部82」という)との境界部分において、折り線72に直交する方向(図5(a)では左右方向)へ延びる内結合部83によって結合されている。この境界部分は、上記端縁78e,79eから上下方向についての一方(本実施形態では、下方)へ一定距離離れている。
図5(a)及び図6に示すように、インナチューブ91は、非膨張展開状態のエアバッグ本体41内の後部であって、挿入口50よりも下側に配置されている。インナチューブ91は、ガス噴出部31aを含むインフレータ31の下半部と、窓部33を含むリテーナ32の下半部とを包み込んでいる。インナチューブ91は、ガス噴出部31aから噴出された膨張用ガスを、第1膨張室51よりも第3膨張室53へ多く、すなわち第1膨張室51に対するよりも第3膨張室53へ優先的に供給されるように分配する機能を有している。
<開口部64及び逆止弁65>
開口部64は、第3膨張室53と第1膨張室51とを連通させるためのものである。二つ折りされた横区画部54における内結合部63は、各本体構成布部57,60の後部において結合を解除されている。表現を変えると、折り線55を跨ぐ部分では、両本体構成布部57,60を結合させる内結合部63が設けられていない。このように、内結合部63が設けられていない部分である、結合を解除された箇所と、インナチューブ91において対応する箇所とによって開口部64が構成されている。
図5(a),(b)及び図11に示すように、縦区画部71における内結合部83は、その一部において結合を解除されている。このように結合を解除された箇所は、折り線72に直交する方向に延びて、第1膨張室51と第2膨張室52とを連通させるスリットからなる開口部84を構成している。
そして、両重ね合わせ部81は非重ね合わせ部82との境界部分において、上方又は下方(本実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部82に重ねられている。折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部81は、内結合部83に沿う方向の両端部において、前述した外結合部74により、エアバッグ本体41の対応する本体布部43,44及び非重ね合わせ部82に結合(共縫い)されている(図5(a)、図11参照)。
<排気孔101>
図4及び図5(a)に示すように、排気孔101は、エアバッグ本体41の第2膨張室52に対応する箇所、及び第3膨張室53に対応する箇所にそれぞれ設けられている。後者の排気孔101は、第3膨張室53の前部に設けられている。ここで、エアバッグ本体41が周縁部の前側の下部に円弧状部41aを有していることについては前述したが、第3膨張室53の排気孔101は、円弧状部41aの下端よりも上方であり、かつ横区画部54の前端の両本体布部43,44との結合箇所よりも下方となる領域Z1に設けられている。この領域Z1は、第3膨張室53の膨張初期には、逆止弁65から前方へ遠く離れた箇所に位置し、かつ第3膨張室53の膨張が進んで結合部67の傾きが緩やかになったときには、その結合部67に沿う方向の前方に位置する。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ105及び制御装置106を備えている。衝撃センサ105は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置106は、衝撃センサ105からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
図10(a)〜(c)は、調圧弁87及び縦区画部71の形態が、膨張用ガスの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略及び簡略化されている。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
また、第3膨張室53の膨張に伴い結合部67が自身の後端部を支点として上方へ徐々に傾いていき、結合部67の全体の傾斜が緩やかになっていく現象を利用し、膨張用ガスの流れ方向を、前下方から前方へ徐々に変えていくことができ、第3膨張室53を効率よく前方へ展開させることができる。
そのため、第3膨張室53が展開し終えてから、膨張用ガスを排気孔101から排出させることができる。
(4)結合部67を周縁結合部45の一部によって構成している(図4)。
そのため、両本体布部43,44の周縁部同士を結合させる過程で、一部の領域については結合を行なわないようにすることで、周縁結合部45と排気孔101とを一緒に形成することができ、排気孔101をエアバッグ本体41の周縁結合部45とは別の箇所に設ける場合に比べ、排気孔101の製造が容易となる。
<インフレータアセンブリ30について>
・リテーナ32として、その下端部が閉塞され、上端部のみが開放されたものや、上下両端部がともに開放されたものが用いられてもよい。
・インフレータアセンブリ30の全体が第1膨張室51の内部に配置されてもよい。
・エアバッグ40は、その略全体が膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
例えば、第1膨張室51が胸部PTの側方で展開及び膨張され、第2膨張室52が胸部PTよりも前側の空間の側方で展開及び膨張されてもよい。この場合、第2膨張室52には、第1膨張室51から流出される膨張用ガスを受け入れて、同第1膨張室51の内圧を調整する機能を発揮させてもよい。
・開口部64から下膨張室(第3膨張室53)側へ延び、かつ膨張用ガスにより開閉するものであることを条件に、筒状の弁が逆止弁とは異なる形態の弁に変更されてもよい。
<結合部67について>
・結合部67は、周縁結合部45とは別に設けられてもよい。
<縦区画部71について>
・縦区画部71として、上記実施形態とは異なる外形形状を有するものが用いられてもよい。この場合、乗員Pの上半身のうち、第1膨張室51によって拘束及び保護したい箇所に応じて縦区画部71の外形形状が変更されることが望ましい。これに伴い、縦区画部71を本体布部43,44に結合する外結合部74の形態が上記実施形態とは異なるものとなる。例えば、乗員Pの肩部PSをより広い領域で拘束及び保護したい場合には、外結合部74,75が上記実施形態よりも前側に設けられてもよい。
・インナチューブ91はインフレータ31の全体を取り囲むものであってもよい。
<エアバッグモジュールAMの収納箇所について>
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部21に相当する箇所が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、縦区画部71及びインナチューブ91の少なくとも一方が省略されたサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
(A)請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置において、
前記排気孔は、前記周縁結合部の一部の領域において前記両本体布部の結合を解除することにより形成されている。
Claims (5)
- 乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部の周縁部同士を結合することにより袋状に形成され、かつインフレータから供給される膨張用ガスによる膨張部の膨張に伴い、前記乗物用シートに着座している乗員の側方で前方へ向けて展開するエアバッグ本体が備えられ、
前記膨張部の少なくとも一部が、前記両本体布部間に架設された横区画部により、同横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画され、
前記エアバッグ本体内の後部には、前記インフレータを包み込むインナチューブが、前記横区画部と別体として配置され、
前記横区画部の後端部及び前記インナチューブの下端部により、前記上膨張室及び前記下膨張室を連通させる開口部と、前記開口部から前記下膨張室側へ延び、かつ膨張用ガスにより開閉する筒状の弁が形成され、
前記弁は、前記上膨張室から前記開口部を通じて前記下膨張室へ膨張用ガスが流れるのを許容するとともに、前記下膨張室から前記開口部を通じて前記上膨張室へ膨張用ガスが流れるのを規制する逆止弁であり、
前記逆止弁の後端部は、前記開口部から前下方へ延びる結合部により前記本体布部に結合され、
前記開口部を通過する膨張用ガスは、前記結合部に沿う方向に流れ方向を変えられ、
前記下膨張室の前部には、同下膨張室内の膨張用ガスを排出するための排気孔が設けられていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部の周縁部同士を結合することにより袋状に形成され、かつインフレータから供給される膨張用ガスによる膨張部の膨張に伴い、前記乗物用シートに着座している乗員の側方で前方へ向けて展開するエアバッグ本体が備えられ、
前記膨張部の少なくとも一部が、前記両本体布部間に架設された横区画部により、同横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画され、
前記横区画部は、前記エアバッグ本体の後端部から前端部まで延びる本体構成布部と、同本体構成布部の後部から前下方へ向けて延びる延出部とを備え、
前記本体構成布部と前記延出部との間は、前記インフレータの軸線に交差する方向に向かって切り欠かれた形状とされて、前記延出部の前端部は、自身の動きが許容されており、
前記横区画部の後端部には、前記上膨張室及び前記下膨張室を連通させる開口部と、前記開口部から前記下膨張室側へ延び、かつ膨張用ガスにより開閉する筒状の弁が設けられ、
前記延出部は、前記弁の弁体部を構成し、
前記弁は、前記上膨張室から前記開口部を通じて前記下膨張室へ膨張用ガスが流れるのを許容するとともに、前記下膨張室から前記開口部を通じて前記上膨張室へ膨張用ガスが流れるのを規制する逆止弁であり、
前記逆止弁の後端部は、前記開口部から前下方へ延びる結合部により前記本体布部に結合され、
前記開口部を通過する膨張用ガスは、前記結合部に沿う方向に流れ方向を変えられ、
前記下膨張室の前部には、同下膨張室内の膨張用ガスを排出するための排気孔が設けられていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記結合部は、前記インフレータの軸線方向に対して傾斜する方向に延びている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記両本体布部は、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部により相互に結合されており、
前記結合部は前記周縁結合部の一部により構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記エアバッグ本体は、周縁部のうち前側の下部に円弧状部を有しており、前記排気孔は、前記円弧状部の下端よりも上方であり、かつ前記横区画部の前端の前記両本体布部との結合箇所よりも下方となる領域に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
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