JP5768778B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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なお、特許文献1に特に記載はないが、ガス噴出部107Aから噴出される膨張用ガスの一部をテザー103に当てて下方へ跳ね返し、上流側チャンバ105に供給される膨張用ガスの量を多くすることで、同上流側チャンバ105を下流側チャンバ106よりも先に展開膨張させることも考えられる。
エアバッグ101が、仮に、一般的なエアバッグと同様の手順で収納用形態にされるものであるとすると、まず、非膨張展開状態のエアバッグ101のガス発生器107よりも前側部分101Fを、前方から後方へ向けて折り畳む第1の折りが行なわれる。この第1の折りにより、非膨張展開状態のエアバッグ101は、略上下方向に細長い中間形態にされる。次に、中間形態のエアバッグ101に折り返し線(図示略)が設定される。ここで、ガス噴出部107Aがテザー103に近いこと、結合部109がガス噴出部107Aとテザー103との間に位置すること等から、折り返し線は、テザー103を挟んでガス噴出部107Aとは反対側(上側)に設定される。
上記のようにして上流側チャンバがある程度展開膨張して、その内圧が上昇すると、同上流側チャンバ内の膨張用ガスが連通部を通って下流側チャンバ内に流入する。この流入する膨張用ガスにより、下流側チャンバが上流側チャンバに遅れて展開膨張する。
この点、請求項4に記載の発明では、折り返し線が、ガス噴出部と屈曲状態の区画部において最もガス噴出部に近い箇所との間、すなわち、エアバッグにおいてテザーの配置されていない箇所に設定される。そのため、第2の折りは、中間形態のエアバッグの中でも厚みが小さく、剛性の比較的低い箇所で行なわれることとなる。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近付く側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。
図1〜図3に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側(図2の上側、図3の右側)の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材(乗物構成部材)を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図5に示すように、シートバック14内の車外側(図5では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図5ではその表皮の図示が省略されている。後述する図6についても同様である。
図4及び図7に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略上下方向へ延びる長尺状(略円柱状)をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その長さ方向についての一方の端部(本実施形態では上端部)にガス噴出部31Aを有している。インフレータ31の長さ方向についての他方の端部(本実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
<エアバッグ40>
エアバッグ40は、車両10の走行中等に側突等により、衝撃が車両用シート12の側方からボディサイド部11に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスの供給を受ける。このエアバッグ40は、自身の一部をシートバック14内に残した状態で同シートバック14から略前方へ向けて展開膨張する(図6参照)。
第1の折りは、図11(A)の非膨張展開状態のエアバッグ40においてインフレータアセンブリ30よりも前側部分40Fを、前方から後方へ向けて折り畳む折り態様であり、本実施形態では蛇腹折りによって実現されている。
<第2の折り>
第2の折りは、中間形態のエアバッグ40の上部を、前下方へ折り返す折り態様であり、上記第1の折りの後に行なわれる。この第2の折りの実施に際しては、中間形態のエアバッグ40において、ガス噴出部31Aと、屈曲状態のテザー52において最もガス噴出部31Aに近い箇所(布片53,54の下端縁)との間に、車両用シート12の幅方向に延びる折り返し線72が設定される。中間形態のエアバッグ40において、折り返し線72を挟んでインフレータアセンブリ30とは反対側部分(上側部分)が被折り返し部74とされて、矢印で示すように、折り返し線72に沿って前下方へ折り返される。この第2の折りにより、図13に示すように、被折り返し部74の分、エアバッグ40の上下方向の寸法が小さくなる。
この点、本実施形態では、折り返し線72が、ガス噴出部31Aと屈曲状態のテザー52において最もガス噴出部31Aに近い箇所との間、すなわち、エアバッグ40においてテザー52の配置されていない箇所に設定される。そのため、第2の折りは、中間形態のエアバッグ40の中でも厚みが小さく、剛性の比較的低い箇所で行なわれることとなる。
第3の折りは、図12に示す中間形態のエアバッグ40の下部を前上方へ折り返す折り態様であり、上記第1の折りの後に行なわれる。第3の折りは、上記第2の折りの前に行なわれてもよいし、後に行なわれてもよい。この第3の折りの実施に際しては、中間形態のエアバッグ40において、インフレータアセンブリ30よりも下側部分に、車両用シート12の幅方向に延びる折り返し線73が設定される。中間形態のエアバッグ40において、折り返し線73よりも下側部分が被折り返し部75とされて、矢印で示すように、折り返し線73に沿って前上方へ折り返される。この第3の折りにより、エアバッグ40は図13に示すように、被折り返し部75の分だけ、上下方向の寸法がさらに小さな収納用形態にされる。
上記収納用形態にされたエアバッグモジュールAMは、図5に示すように、インフレータアセンブリ30を後側に位置させ、かつエアバッグ40の多くを前側に位置させた状態で、収納部21に配設されている。そして、上述したように、リテーナ32から延びてエアバッグ40(車内側の布部43)に挿通されたボルト34がサイドフレーム部17に挿通され、ナット35によって締付けられている。この締付けにより、インフレータアセンブリ30がエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部17に固定されている。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(図2等参照)等に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加わる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
そして、第2の折り及び第3の折りの解消途中からは、第1の折りにより折り畳まれた部分が後方から前方へ向けて戻され始める(展開され始める)ことで、同第1の折りの解消が開始される。この解消の過程で、折り返し線72とガス噴出部31Aとの間のスペースSに入り込んだ膨張用ガスGが、後側の連通部64を通って下流側チャンバ62に流入する。しかし、上述したように、上記スペースSに入り込んでいる膨張用ガスGの量が少ないため、上記のように後側の連通部64から下流側チャンバ62に流入する膨張用ガスGの量は、上記特許文献1よりも少ない。
(1)前後方向に延びる区画部により、膨張部60が、互いに上下方向に隣接する上流側チャンバ61及び下流側チャンバ62に区画されたサイドエアバッグ装置において、非膨張展開状態のエアバッグ40に対し、少なくとも第1の折り及び第2の折りを行なうことで、同エアバッグ40を収納用形態にする。第1の折りでは、エアバッグ40のインフレータアセンブリ30よりも前側部分40Fを、前方から後方へ向けて折り畳むことにより、同エアバッグ40を略上下方向に細長い中間形態にする。第2の折りでは、ガス噴出部31Aと区画部との間に折り返し線72を設定する。そして、中間形態のエアバッグ40において、折り返し線72を挟んでインフレータアセンブリ30とは反対側の被折り返し部74を同折り返し線72に沿って前下方へ折り返すようにしている(図11(A)、図12、図13)。
このようにして、上流側チャンバ61の全体を展開膨張させることができる。
(5)展開膨張した状態のエアバッグ40において、テザー52を、車両用シート12に着座した乗員Pの肩部PSの側方となる箇所に設けることで、同肩部PSの側方では膨張部60の膨張厚みを他の箇所よりも小さくしている(図7)。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・区画部として、テザー52に代えて、両布部43,44を相互に接近させた状態で結合する結合部(シームと呼ばれることもある)が設けられてもよい。
・上流側チャンバ61及び下流側チャンバ62を連通させる連通部63,64は、少なくとも区画部(テザー52)の後側に位置することを条件に、上記実施形態とは異なる箇所に設けられてもよい。この場合、連通部63,64は、一箇所に設けられてもよいし、複数箇所に設けられてもよい。
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部60からなるものであってもよいが、膨張用ガスGが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・エアバッグ40の折りについては、第1の折り及び第2の折りは必須であるが、その他の折りについては変更、追加及び割愛が可能である。例えば、第3の折りについては割愛されてもよい。また、第3の折りでは、中間形態のエアバッグ40においてインフレータアセンブリ30よりも下側部分が後上方へ折り返されたり、あるいは、下方から上方へ向けて、蛇腹折り、ロール折り等により折り畳まれたりしてもよい。
・インフレータアセンブリ30は、その全体がエアバッグ40内に収容されてもよい。但し、その場合であっても、ガス噴出部31Aが上流側チャンバ61内の後部であって、下流側チャンバ62に接近した箇所に位置するように、インフレータアセンブリ30が配置される。
・車両用シート12のシートバック14に代えて、ボディサイド部11に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・乗員Pにおいてエアバッグ40によって保護される部位は、肩部PSから胸部PTにかけての部位に限られない。本発明は、胸部PT、胸部PTから頭部にかけての部位、腰部から頭部にかけての部位等、種々の部位を側突等の衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・本発明は、車両に限らず、航空機、船舶等のほかの乗物における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
Claims (5)
- 乗物用シートの前後方向に延びる区画部により、互いに上下方向に隣接する上流側チャンバ及び下流側チャンバに区画された膨張部を有するとともに、前記両チャンバを連通させる連通部を少なくとも前記区画部の後側に有し、折り畳まれることにより収納用形態にされるエアバッグと、
略上下方向へ延びる長尺状をなし、かつ一端にガス噴出部を有し、少なくとも前記ガス噴出部が、前記上流側チャンバ内の後部であって、前記下流側チャンバに接近した箇所に位置するように配置されるガス発生器と
を備え、前記乗物用シートの側方から加わる衝撃に応じて前記ガス噴出部から膨張用ガスを噴出させ、前記エアバッグを、折り状態を解消させながら、前記乗物用シートの側方で展開膨張させるようにしたサイドエアバッグ装置であって、
前記収納用形態の前記エアバッグは、非膨張展開状態のエアバッグの前記ガス発生器よりも前側部分を、前方から後方へ向けて折り畳むことにより略上下方向に細長い中間形態にする第1の折りと、前記ガス噴出部と前記区画部との間に折り返し線を設定し、前記中間形態の前記エアバッグにおいて、前記折り返し線を挟んで前記ガス発生器とは反対側の被折り返し部を同折り返し線に沿って折り返す第2の折りとが少なくとも行なわれることにより形成されたものであることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記区画部は、前記収納用形態の前記エアバッグでは略垂直状態となり、前記第2の折りの解消及び前記第1の折りの解消に伴い傾斜が緩やかな状態に変化するものである請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグは、一対の布部を前記乗物用シートの幅方向に重ね合わせて袋状に結合することにより形成されており、
前記区画部は、前記両布部間に架け渡されたテザーにより構成されている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記テザーは、前記膨張部の展開膨張前には前記ガス噴出部側へ屈曲させられるものであり、
前記折り返し線は、前記ガス噴出部と屈曲状態の前記テザーにおいて最も前記ガス噴出部に近い箇所との間に設定される請求項3に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記乗物用シートは、車両の側部を構成するボディサイド部の車内側において、同車両の前方を向くように配置される車両用シートであり、
前記テザーは、前記エアバッグが展開膨張した状態では、前記乗物用シートに着座した乗員の肩部の側方に位置するものである請求項3又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
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