JP2016047667A - エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両主布部43,44の間に配置され、かつ周縁部に設けた一対の副周縁結合部62により各主布部43,44に結合される縦区画部60(副布部)は、自身の一部に調圧弁70を備える。調圧弁70は、縦区画部60の厚み方向に互いに重ね合わされた一対の重ね合わせ部72,77と、それらの間に設けられて上流側膨張部の内外を連通させる連通部81とを備える。調圧弁70は、上流側膨張部による乗員拘束前には、重ね合わせ部72,77で連通部81を塞ぐことで膨張用ガスの流通を制限し、上流側膨張部による乗員拘束に伴い加わる外力に応じて、両重ね合わせ部72,77を変形させて連通部81を開くことで流通制限を解除する。両重ね合わせ部72,77は、両副周縁結合部62により主布部43,44に結合されることのみをもって相互に結合されている。
【選択図】図5
Description
上記特許文献1及び特許文献2に記載されたエアバッグ装置では、調圧弁107は、上流側膨張部104による乗員の拘束前には、両重ね合わせ部112によって連通部113を塞ぐことで、連通部113での膨張用ガスの流通を制限する。また、調圧弁107は、上流側膨張部104による乗員拘束時には、その拘束に伴い上流側膨張部104に加わる外力に応じて、両重ね合わせ部112を変形させて連通部113を開くことで上記流通制限を解除する。そのため、調圧弁107により、上流側膨張部104及び下流側膨張部105の各内圧を調整し、乗員を好適な内圧で拘束し、衝撃から有効に保護することが可能である。
こうした要求は、調圧弁107が、上流側膨張部104の内圧の上昇に伴って連通部113を開くエアバッグ装置や、下流側膨張部105が設けられておらず、調圧弁107が膨張用ガスを上流側膨張部104の外部へ排出させる排気弁として機能するエアバッグ装置でも同様になされるものと考えられる。
膨張部による乗員の拘束前、又は膨張部への膨張用ガスの供給初期には、調圧弁では、重ね合わせ部によって連通部が塞がれた状態となり、同連通部での膨張用ガスの流通が制限される。そのため、膨張用ガスが膨張部に溜まり、同膨張部の内圧が高くなる。乗員は、このように内圧の高くなった膨張部によって拘束され、衝撃から保護される。
上記の構成によれば、膨張部による乗員の拘束前、又は膨張部への膨張用ガスの供給初期には、調圧弁では、少なくとも1つの折り返し部分が他の少なくとも1つの折り返し部分に対し重ね合わされる。そのため、膨張部内の膨張用ガスは、両折り返し部分の間を通過しにくい。膨張用ガスは連通部に到達しにくくなり、同連通部を通じた膨張用ガスの流出が良好に制限される。
上流側膨張部による乗員の拘束前、又は上流側膨張部への膨張用ガスの供給初期には、重ね合わせ部によって連通部が塞がれた状態となり、上流側膨張部内の膨張用ガスが連通部を通じて下流側膨張部に流出することが制限される。そのため、エアバッグでは、上流側膨張部が専ら展開及び膨張し、乗員を拘束し、衝撃から保護する。
以下、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第1実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図9についても同様である。
<ガス発生器30>
図4及び図6に示すように、ガス発生器30は、インフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤が収容されている。インフレータ31は、その上端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ31の下端部には、作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
図1及び図2に示すように、エアバッグ40は、その外殻部分を構成するエアバッグ本体41と、エアバッグ本体41内に設けられた縦区画部60とを備えている。
図5は、エアバッグ本体41及び縦区画部60をそれぞれ展開させた状態で示している。また、図6は、エアバッグ本体41が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールAMの内部構造を示している。ここで、非膨張展開状態とは、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態をいうものとする。
図1及び図6に示すように、両主布部43,44の間であって、主周縁結合部45及び折り線42によって囲まれた箇所は、膨張用ガスによって乗員Pの胸部PTの側方で展開及び膨張することにより、同胸部PTを拘束して衝撃から保護するための膨張室46となっている。
膨張室46は、縦区画部60によって2つに区画されている。縦区画部60は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。縦区画部60は特許請求の範囲における副布部に相当する部材であり、上記両主布部43,44の間に配置されている。
エアバッグ本体41が非膨張展開状態(図6参照)にされているときには、縦区画部60は、両主布部43,44の間において、略上下方向に延びる折り線61に沿って前方へ二つ折りされている。二つ折り状態の縦区画部60の上端部及び下端部は、上述した主周縁結合部45によって両主布部43,44に対し、共縫いにより結合されている。
そして、図6及び図9に示すように、縦区画部60は、自身の車幅方向両側の周縁部に沿って略上下方向へ延びるように設けられた一対の副周縁結合部62によって、対応する主布部43,44に結合されている。縦区画部60は、上記の結合により、両主布部43,44間に架け渡されている。膨張室46において、縦区画部60よりも後側の部分は、乗員Pの胸部PTの後半部の側方で展開及び膨張する上流側膨張部63を構成している。また、膨張室46において、縦区画部60よりも前側の部分は、胸部PTの前半部の側方で展開及び膨張する下流側膨張部64を構成している。
ところで、エアバッグモジュールAMは、非膨張展開状態のエアバッグ本体41(図6参照)が折り畳まれることにより、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールAMを、シートバック14における限られた大きさの収納部18に対し、収納に適したものとするためである。
ボディサイド部11がさらに車内側へ進入することで、乗員Pの胸部PTの後半部が上流側膨張部63によって車内側へ押圧され始める。上流側膨張部63内に膨張用ガスが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁70が開き始める。
(1)縦区画部60(副布部)を両主布部43,44の間に配置し、同縦区画部60の周縁部に設けた一対の副周縁結合部62により各主布部43,44に結合する。縦区画部60の一部により構成される調圧弁70として、縦区画部60の厚み方向に互いに重ね合わされた一対の重ね合わせ部72,77と、それらの間に設けられて上流側膨張部63の内外を連通させる連通部81とを備えるものを採用する。この調圧弁70において、両重ね合わせ部72,77を、両副周縁結合部62により主布部43,44に結合させることのみをもって相互に結合させている(図5)。
次に、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第2実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(4)縦区画部60(副布部)を、連通部84の設けられた副本体布部82と、連通部84を塞いだ状態で副本体布部82の一部に重ね合わされた副補助布部83とによって構成する。副補助布部83の一対の周縁部を、両副周縁結合部62により副本体布部82とともに主布部43,44に結合する。複数の重ね合わせ部を、副補助布部83と、副本体布部82のうち副補助布部83が重ね合わされた部分とによって構成している(図11)。
また、上流側膨張部63による乗員拘束時には、少なくとも副本体布部82を上下方向へ変形させて連通部84を同方向へ変形させる。副本体布部82と副補助布部83との重ね合わせ量をなくして連通部84を開放させ、上流側膨張部63内の膨張用ガスを連通部84の開放部分から流出させることができる。
次に、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第3実施形態について、図13を参照して説明する。
上記以外の構成は第2実施形態と同様である。そのため、第2実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
すなわち、上流側膨張部63によって乗員Pが拘束される前には、調圧弁70では、副補助布部83が、一対の副本体布部82a,82bの対向する各端部に重ね合わされる。連通部85が副補助布部83によって塞がれた状態となり、上流側膨張部63から下流側膨張部64への膨張用ガスの流出が制限される。
(第4実施形態)
次に、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第4実施形態について、図14及び図15を参照して説明する。
次に、第4実施形態のサイドエアバッグ装置の作用について説明する。図15(a)〜(c)は、縦区画部60における調圧弁70及びその周辺部分の形態が、膨張用ガスの供給により、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については図示が省略及び簡略化されている。
各重ね合わせ部86a,86b,86cが変形させられ、それに伴って連通部89が変形させられる。連通部89が上下方向へある程度開くと、重ね合わせ部86a,86bの一部(車幅方向の中央部及びその付近)が、図15(c)に示すように、連通部89を通って下流側膨張部64へ押し出される(反転される)。上流側膨張部63内の膨張用ガスは、上記のように反転された両重ね合わせ部86a,86bの間の開放された連通部89を通って下流側膨張部64へ流出する。
(5)縦区画部60(副布部)を単一の副布片86によって構成する。この副布片86の中間部分を複数回折り返すことにより複数の重ね合わせ部86a,86b,86cを形成し、連通部89を隣り合う重ね合わせ部86a,86bの折り返し部分に設けている(図14)。
そのため、上流側膨張部63による乗員拘束前には、両重ね合わせ部86a,86bを互いに重ね合わせることによって、それらの間の連通部89を塞ぎ、膨張用ガスの流通を制限することができる。
次に、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第5実施形態について、図16及び図17を参照して説明する。
次に、第5実施形態のサイドエアバッグ装置の作用について説明する。図17(a)〜(c)は、縦区画部60における調圧弁70及びその周辺部分の形態が、膨張用ガスの供給により、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については図示が省略及び簡略化されている。
(6)縦区画部60(副布部)を単一の副布片91によって構成する。この副布片91の一部を複数回折り返すことにより、複数の重ね合わせ部91a〜91eを形成する。そして、連通部96を、複数の重ね合わせ部91a〜91eのうち、副布片91において重ね合わされていない箇所から最も遠ざかった重ね合わせ部91cに設けている(図16)。
次に、エアバッグ装置を車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第6実施形態について、図18及び図19を参照して説明する。
従って、第6実施形態によれば、調圧弁70は基本的に第5実施形態と同様に作動する。すなわち、上流側膨張部63によって乗員Pが拘束される前には、調圧弁70では、図19(a)に示すように、重ね合わせ部91d,91eの折り返し部分が、重ね合わせ部91a,91bの折り返し部分に対し後方から重ね合わされる。そのため、上流側膨張部63内の膨張用ガスは、上記両折り返し部分の間を通過しにくく、連通部96に到達しにくくなり、同連通部96を通じた膨張用ガスの流出が良好に制限される。
(7)少なくとも1つの折り返し部分(重ね合わせ部91d,91eの折り返し部分)を他の少なくとも1つの折り返し部分(重ね合わせ部91a,91bの折り返し部分)に対し重ね合わせている(図18)。
<膨張室46について>
・エアバッグ本体41は、その略全体が上記各実施形態のように膨張室46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・各実施形態における縦区画部60の車幅方向の両方の周縁部は、主布部43,44に対し、ともに上流側膨張部63内で結合されてもよいし、下流側膨張部64内で結合(図6参照)されてもよい。
・各実施形態における二つ折り状態の縦区画部60は、折り線61を副周縁結合部62よりも下流側膨張部64側に位置させた状態で非膨張展開状態のエアバッグ本体41内に配設されてもよい。
・各実施形態における調圧弁70として、上記実施形態で説明したものに代え、上流側膨張部63の内圧が所定値を越えることを条件とし、その条件が満たされるまでは実質的に閉じ(若干開いているものを含む)、同条件が満たされることにより開くものが用いられてもよい。
・調圧弁70の形成に際し、第1実施形態とは逆に、上側の副布片71の下端部が、下側の副布片76の上端部に対し前方から重ね合わされてもよい。この場合、重ね合わせ部72が重ね合わせ部77の前側に位置する。
・調圧弁70の形成に際し、第3実施形態とは逆に、副補助布部83が両副本体布部82a,82bに対し後方から重ね合わされてもよい。
・第4実施形態とは逆に、重ね合わせ部86aが重ね合わせ部86cよりも前方に位置するように、重ね合わせ部86a〜86cが形成されてもよい。
・第5及び第6実施形態において、重ね合わせ部91a〜91eが上流側膨張部63側に形成されてもよい。
<エアバッグモジュールAMの収納部18について>
・車両用シート12のシートバック14に代えてボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記エアバッグ装置は、上述したサイドエアバッグ装置とは異なるタイプのエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記エアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護するエアバッグ装置にも適用可能である。
Claims (8)
- 周縁部に設けた主周縁結合部により相互に結合された一対の主布部と、前記両主布部の間に配置され、かつ周縁部に設けた一対の副周縁結合部により前記各主布部に結合された副布部とにより袋状に構成され、乗員に接近した箇所で膨張用ガスにより展開及び膨張する膨張部を備え、
前記副布部は、前記膨張部の内圧を調整する調圧弁を自身の一部に備え、
前記調圧弁は、前記副布部の一部により構成され、かつ同副布部の厚み方向に互いに重ね合わされた複数の重ね合わせ部と、隣り合う前記重ね合わせ部間又は特定の前記重ね合わせ部に設けられて前記膨張部の内外を連通させる連通部とを備え、前記膨張部による乗員の拘束前、又は前記膨張部への膨張用ガスの供給初期には、前記重ね合わせ部で前記連通部を塞ぐことで膨張用ガスの流通を制限し、前記膨張部による乗員拘束に伴い加わる外力に応じて、又は前記膨張部の内圧上昇に応じて、前記重ね合わせ部を変形させて前記連通部を開くことで前記制限を解除するものであり、
前記複数の重ね合わせ部は、前記副周縁結合部により前記主布部に結合されることのみをもって相互に結合されているエアバッグ装置。 - 前記副布部は複数の副布片により構成され、
前記複数の重ね合わせ部は、隣り合う前記副布片であって、前記副布部の厚み方向に互いに重ね合わされた端部により構成され、
前記連通部は、隣り合う前記重ね合わせ部の間において前記両副周縁結合部で挟まれた箇所により構成されている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記副布部は、前記連通部の設けられた副本体布部と、前記連通部を塞いだ状態で前記副本体布部の一部に重ね合わされた副補助布部とにより構成され、
前記副補助布部の一対の周縁部は、前記両副周縁結合部により前記副本体布部とともに前記両主布部に結合され、
前記複数の重ね合わせ部は、前記副補助布部と、前記副本体布部のうち前記副補助布部が重ね合わされた部分とにより構成されている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記副布部は、互いに離間した状態で配置された一対の副本体布部と、
前記両副本体布部の対向する両端部に重ね合わされることで、前記両副本体布部間の連通部を塞ぐ副補助布部とにより構成され、
前記副補助布部の一対の周縁部は、前記両副周縁結合部により前記両副本体布部とともに前記両主布部に結合され、
前記複数の重ね合わせ部は、前記副補助布部と、前記各副本体布部のうち前記副補助布部の重ね合わされた部分とにより構成されている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記副布部は単一の副布片により構成され、
前記複数の重ね合わせ部は、前記副布片の一部を複数回折り返すことにより形成され、
前記連通部は、隣り合う前記重ね合わせ部の折り返し部分に設けられている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記副布部は単一の副布片により構成され、
前記複数の重ね合わせ部は、前記副布片の一部を複数回折り返すことにより形成され、
前記連通部は、複数の重ね合わせ部のうち、前記副布片において重ね合わされていない箇所から最も遠ざかったものに設けられている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 少なくとも1つの折り返し部分が他の少なくとも1つの折り返し部分に対し重ね合わされている請求項6に記載のエアバッグ装置。
- 前記膨張部は、膨張用ガスが供給される上流側膨張部を構成し、
前記副布部を挟んで前記上流側膨張部よりも下流側には、前記調圧弁を通じて前記上流側膨張部から流出した膨張用ガスにより展開及び膨張する下流側膨張部が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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